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大濱委員提出資料

包括単価を導入する場合について
1.人工呼吸器利用者で文字盤での意思疎通しか取れない最重度者や全介助で療護施設に何十年も入っていたなどで、一切の社会経験の機会を奪われたため、一人暮らし開始時に数年間は介助者とのトラブル解決や日々の生活サポートに多くの時間を必要とする最重度先天性障害者などが、現在はアパートでサポートを受けながら一人暮らしを行っている。これらの障害者の中には現状の単価設定でもサポートするスタッフの件費等が足りない事例も報告されている。
 従って、包括単価を導入する場合は、このような利用者が、包括単価となり、生活が維持できなくなることのないような区分単価の設定なども含めより詳細な分類も必要となるであろう。
(最重度の利用者は人口10万人に一名程度しかいないため、コストのかかる障害者とかからない障害者を平均して一率単価にすることは不可能である)

2.例えば包括単価の利用者には以下の方式を適用する。(北ヨーロッパやアメリカ東海岸の州などで行われているパーソナルアシスタント制度と同じことができるようにする)
・ヘルパー資格については、不要とする。障害者が介助者に研修を行うか、その障害者の介助に十分な経験のある介助者が障害者とともに介助研修を行う体制が取れればよいものとする。
・24時間介助が必要であるという前提なので、外出時も、家の中にいても、包括単価でサービス提供するこのため、原則一日の範囲の外出とされている、異動介護の規定は適用しない。
・市町村が認めた最重度の障害者には、短期入院時のヘルパーの付き添いを認める。
・24時間介助が必要であるという前提なので、通年長期にわたる外出を対象外にしない。
・24時間介助が必要であるという前提なので、就労やその準備のための通勤や職場での介護を対象外としない。(働かずに家にずっといてもらうよりも、納税者になるために、たとえば相談支援事業のピアカウンセラーなど、手に職をつける支援を行うことで税金の効率的な運用につながるという趣旨)
・障害者の所有する車を介助者が運転する場合で、運転中もいつでも言われれば車を止めて介助を行える体制で行う運転は、この制度の対象外としない。(なお、障害者の所有する車を障害者の指示で運転することは、道路運送法には抵触しない)。

移動介護について
 全国の一人暮らし等の全身性障害者の中には、市町村から長時間の介護の必要性を認められながら、さまざまな行政内の制約のために、必要な時間より少ないヘルパー時間数しか決定されていない障害者がおり、そのままのヘルパー時間数では命にもかかわるため、非営利事業所の好意により、移動介護などの高い単価の制度を、3〜4倍の時間に引き伸ばして利用し、引き延ばした時間は自宅で介護を受けることで、なんとか生きながらえているという生活をしている障害者が数千人はいる。(上限なしでヘルパー制度を受けられる60程度の市町村以外のほとんどの市町村ではこのような障害者がいる)。
 このため、移動介護の単価をさげる時には、同時にこのような障害者の救済策も作る必要がある。
 たとえば、日常生活支援の最初の一時間を身体介護と同じ単価にするなども、その方策である。

日常生活支援や移動介護について
 学生などのマンパワーを利用するため、家事援助や移動介護や日常生活支援に無資格者を認め、その場合は単価を下げて支給するしくみを検討すべきである。

住居支援について
 施設から出て街中で暮らしている障害者の多くが公営住宅ではなく、民間のアパート・マンションで暮らしており、民間アパート等のバリアフリーを進めることが重要である。
 たとえば、エレベーターの義務付けのない4階建て以下の建物の場合は、一階共用廊下部分のバリアフリー(道路面から玄関まで車椅子で移動可能に)を義務付ける、共用廊下と玄関ドア下側の高さの差をなくす、などを義務付ける施策が必要である。
 また、これらを進めるためには、バリアフリーアパート・マンションへの公的資金の低利融資などを拡大し、対象バリアフリー物件の全国的なネット検索システムの運用、家賃保証システム、住人の死亡などで、住宅改造の現状回復がなされなかったときの工事費の保証など、大家に対し、「障害者に部屋を貸しても安心な環境」を提供することも必要である。


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