戻る

資料3

痴呆性高齢者の現状


 2000年4月に介護保険制度がスタートし、要介護認定が実施されたことにより、我が国の痴呆性高齢者の実態が初めて明らかになった。

 それによると、
 要支援(要介護)認定者に該当した高齢者のうち、ほぼ半数に痴呆の症状がある。
 介護保険施設入所者の約8割に痴呆の症状がある。

 将来推計では、
 痴呆性老人自立度II以上
  2002年  →  2015年  →  2025年
149万人  250万人  323万人

 痴呆性老人自立度III以上
  2002年  →  2015年  →  2025年
 79万人  135万人  176万人



痴呆性老人自立度


「痴呆性老人の日常生活自立度判定基準」
 (平成5年10月26日厚生省老人保健福祉局長通知)

(1) ランクI
 何らかの痴呆を有するが、日常生活は家庭内及び社会的にほぼ自立している。

(2) ランクII
 日常生活に支障を来すような症状・行動や意志疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意していれば自立できる。

(3) ランクIII
 日常生活に支障を来すような症状・行動や意志疎通の困難さがときどき見られ、介護を必要とする。

(4) ランクIV
 日常生活に支障を来すような症状・行動や意志疎通の困難さが頻繁に見られ、常に介護を必要とする。

(5) ランクM
 著しい精神症状や問題行動あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とする。



(参考)

痴呆性高齢者数(要介護・要支援認定者)の現状

単位 万人
  要介護
(要支援)
認定者
認定申請時の所在(再掲)
居宅 特別養護
老人ホーム
老人保健
施設
介護療養型
医療施設
その他の
施設
総数 314 210 32 25 12 34
うち痴呆性老人
自立度II以上
149 73 27 20 10 19
うち痴呆性老人
自立度III以上
79
(25)
28
(15)
20
(4)
13
(4)

(1)
11
(2)
(注) 1) 痴呆性老人自立度II以上:何らかの介護・支援を必要とする痴呆がある高齢者。
2) 痴呆性老人自立度III以上:一定の介護を必要とする痴呆がある高齢者。
3) カッコ内は、重度の痴呆で運動能力の低下していない者(いわゆる「動ける痴呆性高齢者」)。


痴呆性高齢者数(要介護・要支援認定者)の将来推計

単位 万人
西暦 2002 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045
痴呆性老人自立度
II以上
149

(6.3)
169

(6.7)
208

(7.2)
250

(7.6)
289

(8.4)
323

(9.3)
353

(10.2)
376

(10.7)
385

(10.6)
378

(10.4)
参考:
痴呆性老人自立度
III以上
79

(3.4)
90

(3.6)
111

(3.9)
135

(4.1)
157

(4.5)
176

(5.1)
192

(5.5)
205

(5.8)
212

(5.8)
208

(5.7)
(注) 1) 数字は第1号被保険者のうち要介護(要支援)認定を受けた者に係るもの。
カッコ内は65歳以上人口比(%)。
2) 2002(平成14)年9月末について推計した「要介護(要支援)認定者における痴呆性高齢者」と「日本の将来推計人口(平成14年1月推計)」から算出したもの(治療や介護に関する技術の発達など政策的な要素は織り込まれていない)。



当面の痴呆対策関係施策

早期発見・軽度期 中期 後期(ターミナル)
目標: 早期発見、早期の専門職による関わり

→ 本人と介護者との関係の複雑化の防止、独居高齢者の地域支援体制づくり
目標: サービスの質の確保・向上、痴呆ケアモデルの確立

→ 痴呆の進行をできる限り緩和、尊厳のある暮らしの継続
目標: グループホームでのターミナル対応

→ リロケーションダメージの防止、安らかな看取り
対策の例

 ○  基幹型在宅介護支援センター等を中心にした地域関係者の連携体制づくり、研修会・事例検討等による痴呆ケアのレベルアップ、虐待対応ネットワークづくり、徘徊SOSネットワークづくり

 ○  主治医等による的確な早期診断・助言

 ○  地域担当保健師による相談・支援(研修)、地域体制づくりへの協力

 ○  痴呆性高齢者をかかえた家族同士による相談・支援
対策の例

 ○  グループホームの質的向上、外部評価

 ○  デイサービスの質的向上

 ○  地域密着型サービス拠点の推進

 ○  センター方式アセスメントシートの普及、地域でのモデル事業

 ○  特養、老健、療養病床における痴呆ケアの質の向上
対策の例

 ○  グループホームにおける訪問看護サービスの利用の検討

 ○  ターミナル事例の紹介

 ○  ターミナルが難しいグループホームでの医療機関との円滑な連携方法の紹介

全般
 ○  偏見解消、情報提供
 用語変更
 DCネットのPR
 ○  権利擁護、成年後見

人材養成
 ○  痴呆介護指導者研修  ○  ケアマネジャーその他各種人材養成研修
 ○  痴呆介護実務者研修  ○  事業者研修




痴呆性高齢者グループホームの事例


○ こもれびの家(宮城県名取市)
こもれびの家(宮城県名取市)の図

○ いわうちわの里(富山県下新川郡宇奈月町)
いわうちわの里(富山県下新川郡宇奈月町)の図


痴呆性高齢者グループホーム数の推移


 平成12年度から、介護保険法に基づく居宅サービスとして位置づけられたことを契機として急速に増加。
H11.3.31 H12.3.31 H13.3.31 H14.3.31 H15.3.31 H16.3.31 H16.5.31
103 266 903 1,678 2,832 4,585 5,003
 平成10年度は、国庫補助対象事業所数、平成12年度からは、WAMNET掲載事業所数

痴呆性高齢者グループホーム数の推移のグラフ



地域密着型小規模サービス拠点の事例


 せんだんの杜なかつやま(宮城県桃生町)





 一般単独型デイサービス(定員10名)

 一時的な宿泊サービス(2〜3名利用可能(任意事業))

 痴呆性高齢者グループホーム(定員9名(1ユニット))

せんだんの杜なかつやま(宮城県桃生町)の図


○ 宅老所「きなっせ」(熊本県熊本市)

 ・  一つの事業所において、通所介護・訪問介護(介護保険)、短期の宿泊・長期の入居(自主事業)を提供。

宅老所「きなっせ」(熊本県熊本市)の図
きなっせの利用者

□通い    17名 一日10名
□泊まり  定期的2名 自宅ときなっせ半々
 不定期3名
□住まい  7名
□出向いて  訪問介護 12名
どれだけ重度でも(要介護度の平均4.2)
地域での生活は可能



痴呆性高齢者対策の経緯


(身体介護中心の時代)

 1963年に老人福祉法が制定され、わが国の高齢者介護がスタートしたが、「寝たきり老人」モデルが中心とされ、痴呆性高齢者対策は立ち遅れた。


(1980年代:痴呆性高齢者対策の草創期)

 80年代に入り、ようやく痴呆性高齢者対策の体系的取り組みが模索されはじめた。

  1982年11月24日  「老人精神保健対策に関する意見について」
 (公衆衛生審議会)

  1986年  厚生省痴呆性老人対策本部の設置。
 (87年8月26日に本部報告書取りまとめ)

この報告書を踏まえ、施策の充実が図られた。

  1987年
 ・ 国立療養所における老人性痴呆に対する医療のモデル事業の開始
 ・ 特別養護老人ホームにおける痴呆性老人介護加算の創設

  1988年
 ・ 老人性痴呆疾患治療病棟・老人性痴呆疾患デイ・ケア施設の創設
 ・ 老人保健施設痴呆性老人加算承認施設の創設

  1989年  老人性痴呆疾患センターの創設


(1990年代前半:ゴールドプランの下での推進)

  1989年12月  高齢者保健福祉推進10カ年戦略(ゴールドプラン)の策定

  1990年6月  福祉8法の改正

  1990年   (1)老人性痴呆疾患診断、治療マニュアル、(2)痴呆性老人相談マニュアル、(3)痴呆性老人ケアマニュアルを作成

1991年 老人性痴呆疾患療養病棟、老人保健施設痴呆専門棟の創設

1992年 痴呆性老人毎日通所型デイサービス(E型)の創設

65歳未満の初老痴呆患者が老人保健施設に入所可能になる
(老健法改正)

1993年 痴呆性老人の日常生活自立度判定基準の作成


(90年代後半:グループホームケアの誕生)

  1994〜96年  痴呆性高齢者のグループホームに関する調査研究の実施

  1997年  痴呆性老人グループホームへの運営費補助の創設

1998年  痴呆性老人グループホームへの施設整備費補助の創設


(2000年以降:介護保険制度下の推進)

  2000年4月   介護保険制度スタート
痴呆介護研修事業の創設
高齢者痴呆介護研究・研修センターの運営開始

2003年4月 要介護認定ソフトの改定(痴呆性対応)

2004年4月 老健局計画課に「痴呆対策推進室」を設置


トップへ
戻る