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支援費制度の介護保険制度への統合問題について
−日身連の現時点での見解−
平成16年6月18日
社会保障審議会障害者部会
会長 京極 高宣 様
社会福祉法人
日本身体障害者団体連合会
 会長 兒玉 明

 私たち日身連は、わが国を代表する障害者団体として障害者の自立と社会参加を求めて長年にわたり活動を行い、関係者の理解と協力を得ながら、ノーマライゼーションの実現に向けて前進してきた。
 とりわけ「完全参加と平等」を謳った1981年の国際障害者年を契機として、障害者がその障害の種類や程度にかかわらず、地域で当たり前に暮らす「地域生活支援」の実現を、中心的な課題として取り組み進めてきたところである。
 この方針は、いかなる社会経済状況であろうとも、変わらず堅持されなければならない。そして、理想を高く掲げると同時に、社会の一員として多くの国民の理解と共感を得る努力と、障害者が将来にわたって安心して地域での生活が送れるよう現実的な取り組みが必要であると考える。
 現在、支援費制度の介護保険制度への統合問題が論議されているが、障害者を取り巻く現状を考えた場合、地域生活支援を進める観点からは、障害者福祉サービスの提供について、平成16年6月4日に社会保障審議会・障害者部会の3臨時委員名で提示された『障害者福祉を確実・安定的に支えていくために 〜支援費制度と介護保険制度をめぐる論点の整理と対応の方向性(以下「中間報告原案」という)』にある、介護保険制度を活用する新しい障害者施策体系の案は、現実的な選択肢のひとつであるとも考えられる。
 しかしながら、この場合において日身連としては、平成16年5月26日に開催した第49回日本身体障害者福祉大会で採択した「支援費制度を現状の介護保険制度に統合することについては、障害者の生活と福祉の後退を招く恐れがあるため、強く反対する。」という緊急決議の基本方針が示すとおり、現行の支援費制度による障害者一人ひとりのサービス水準については、高めることがあっても、低下させることは認められない。また、「中間報告原案」が示すとおり、統合には解決されなければならない多くの課題がある。今後、日身連とこの課題の解決のための新たな協議をしていくことを、国をはじめとする関係機関に対して強く要請する必要がある。
 また、日身連としても地域社会に対して、障害者の地域生活支援とすべての市民が安心して生活できる地域社会の構築について、一層の理解と協力が得られるよう、引き続き力強くかつ粘り強く働きかけていくものである。
以上


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