新しい「障害者基本計画」では、障害者が構成員として参加、参画し、共に支え合う「共生社会」の実現を目指すとしており、社会全体としてその具体化を着実に推進していくことの重要性を指摘している。当協会においてもサービス提供者として役割を自覚した積極的な取組みが求められていると考える。支援費制度はその具現化のひとつであり、現在生じている様々な課題を克服するなかで、支援費制度の掲げる理念の実現に努めたいところである。
支援費制度への移行により、特に居宅支援に係るニーズが掘り起こされ、サービス量が飛躍的に伸びたことは評価できるものと考えるが、一方では、財源不足と地域間格差という問題を際立たせたことも周知の事実である。そのような中で障害者福祉と介護保険との関係について本格的な議論が交わされつつあり、当協会にも厚生労働省障害保健福祉部障害福祉課より、介護保険制度との統合について、協会としての意見を求められているところである。よって、本会の見解を次のとおり示すものである。
〇基本的な考え方
1. | 障害者基本計画や支援費制度の理念、方向性の具体化を図るなかで、その有効な仕組みとしての介護保険制度との統合を検討する。 |
2. | 現行の支援費制度において行われている支援サービスについて、そのサービスを確保すること。介護保険制度において必要な支援が受けられない場合は、介護保険制度以外のサービスとして支援費制度によるサービスを確保すること。 |
3. | 介護保険制度の要介護認定基準と支援費制度の障害程度区分には、当然、制度的な相違があるとともに、知的障害者の支援サービスと現状の介護保険サービスは必ずしも一致しないことから、支援費制度の障害程度判断基準による要支援度に基づいたサービスを確保すること。 |
4. | 介護施設の定員規模は、特別養護老人ホームの最低基準が50名(離島等は30名)である。定員規模という制度がないが、知的障害者施設は、地域密着型として小規模施設(入所は30名、通所は20名)も多く、この小規模施設の運営を考慮すること。 |
5. | 知的障害者の多くは障害基礎年金をその所得として生活していることから、介護保険制度の本人負担(応益負担としての原則1割負担)は、特に通所施設や居宅支援サービス利用者にとっては過重な負担となるため、現状の応能負担による費用徴収制度を踏襲すること。困難な場合は必要な所得保障を行うこと。 |
6. | 低所得者である知的障害者にかかる保険料の減免制度を設けること。 |
7. | 知的障害者に対する要支援度認定について、公平な認定システムを設けること。 |
8. | ケアマネジメント体制として、同従事者の国家資格化、費用の保険給付、機関の独立性を確保すること。 |
9. | 介護保険制度との統合にあたっては、知的障害福祉サービスの利用者の意見を尊重すること。 |
10. | 今後次のような点についても協会と十分な協議を行うこと。
・ | 介護保険制度にない施設種別等の取り扱いについて |
・ | 介護保険制度の対象を20歳以上とした場合、18〜19歳の知的障害者の取扱いについて |
・ | 知的障害者のグループホームと介護保険制度のグループホームの取扱いについて |
・ | 成人の知的障害者の扶養義務について(利用者負担基準) |
・ | 費用負担のあり方等について(食費等ホテルコストと所得保障など) |
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