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血小板製剤の保存前白血球除去について


資料1  血小板製剤の保存前白血球除去について(概要)

資料2  「保存前白血球除去の基準設定について(意見)」
 (平成15年4月23日薬事・食品衛生審議会血液事業部会安全技術調査会)


(参考文献)

 ○ Transfusion, 1996;36:11-20.

 ○ Vox Sang, 2001; 81: 56-77.

 ○ 23rd Best Meeting April 6, 抄録集,2002;226-242.

 ○ Guide to preparation, use and quality assurance of blood components, 9th Ed.

 ○ Technical Manual. 14th Ed, AABB

 ○ Draft Guidance for Industry: Pre-strage Leukocyte Reduction of Whole Blood and Blood Components Intended for Transfusion. Jan 2001, CBER.

 ○ 半田誠:血液フロンティア, 2002;12(10):61-71.

 ○ N Engl J Med;337:1861-1869,1997.

 ○ Transfusion, 2002; 42: 1356-1364.

 ○ Blood, 2004; 103: 333-339.

 ○ 血小板製剤の添付文書
(濃厚血小板「日赤」、照射濃厚血小板「日赤」、濃厚血小板HLA「日赤」、照射濃厚血小板HLA「日赤」)

 ○ 血小板製剤の使用基準
(平成6年7月11日薬発第638号厚生省薬務局長通知)



血小板製剤の保存前白血球除去について(概要)


1.概要
 <導入スケジュール等>
 日本赤十字社では、かねてより準備を進めてきた成分採血由来の血小板製剤(一般名:人血小板濃厚液)について、本年7月1日から、白血球数の低減化が全く期待できない機種、及び白血球除去フィルターが装着されていないため白血球低減化に対応できない採血キットを用いた採血を中止し、本年9月下旬を目途に白血球数低減化が可能とされている成分採血装置又は採血キットを用いて採取したものへの切り替えを完了する予定である。

 <自主基準の設定>
 血小板製剤1バッグ中の残存白血球数の基準は、平成15年4月23日の薬事・食品衛生審議会血液事業部会安全技術調査会において示された1×10個以下とし、生物学的製剤基準が改正されるまでの間は、日本赤十字社の自主基準として白血球数に関する品質管理を行ってゆくこととしたい。導入にて工程のバリデーションを行い、必要な場合は成分採血装置の再調整等を実施する。また、導入後は出荷前の全数検査は行わず、抜取り試験により白血球数を測定して統計学的に解析し、基準に適合しているかどうかを判定する。

 <添付文書の改訂>
 血小板製剤への保存前白血球除去の導入に伴い、血小板製剤の添付文書を改訂し、血小板製剤の使用基準(平成6年7月11日薬発第638号厚生省薬務局長通知)等に従ったベッドサイドフィルター使用の推奨等に関する使用上の注意事項を削除する。

 <1,2単位の休止及び小分けの実施>
 1、2単位の血小板製剤については、現在、全血採血由来で製造しているが、今後導入を予定している全血採血由来製剤の保存前白血球除去を行う際には、血小板が白血球とともに白血球除去フィルターに吸着されてしまうため全血採血由来で製造することが出来なくなることを踏まえるとともに、日本未熟児新生児学会の意見を踏まえ、さらに適正使用の推進の観点からも成分採血血小板からの小分け製造を推進していきたいと考えるが、必要な整備や制度上の問題が解決されるまでの間は、1、2単位の血小板製剤の供給を一時休止する。


2.導入スケジュール(予定)
 ・ 平成16年5月中旬〜下旬
白血球数低減化が可能とされているフィルター付き採血キット(次頁3の(1)(1):グループA)により採血した血小板製剤中の白血球数の確認

 ・ 平成16年5月下旬〜7月下旬
白血球数低減化が可能とされている血小板成分採血装置(次頁3の(1)(2):グループB)により採血した血小板製剤中の白血球数の確認

 ・ 平成16年7月
白血球数に関する品質確認作業の対象としない血小板成分採血装置及び採血キット(白血球数の低減化が全く期待できない機種及び白血球除去フィルターが装着されていないため白血球数低減化に対応できない採血キット)を用いた採血の中止

 ・ 平成16年7月下旬〜9月中旬
血小板成分採血装置(次頁3の(1)(2):グループB)の再調整後の再確認

 ・ 平成16年9月下旬
 再調整しても白血球数低減化に対応できない血小板成分採血装置(次頁3の(1)(2):グループB)を用いた採血の中止

 ・ 平成16年10月〜
血小板成分採血装置の全機種において保存前白血球除去を導入
抜取り試験の開始
血小板製剤の添付文書の改訂


3.白血球数に関する日赤の自主基準(案)の設定及び考え方
 (1)  白血球低減化の方法
(1)  採血キットの改良(白血球除去フィルターを装着)により白血球数の低減化を実現(約1500台)‥‥グループA
(2)  血小板採血装置の性能により白血球数の低減化を実現(約430台)‥‥グループB
 (2)  白血球数の基準 【資料2】
 当該一バッグ(一製剤)あたり白血球数1×10個以下。
 (3)  測定方法
 各血液センター(製造所)において検体を採取し、測定施設(日本赤十字社中央血液センター)に送付してフローサイトメーターにより測定。
 (4)  品質管理の方法【資料3】

 残存白血球数を測定し、統計学的手法により解析することにより工程の変位を検出し、原因究明・工程の是正等に資する。

統計学的に、90%あるいは95%の信頼度において95%の適合率を目標とする。

※適合率と信頼度の設定目標の根拠
 〔資料3、p12:仮訳〕
 例えば、発熱性溶血性輸血反応の予防するためであれば、90%の信頼度で90%の製剤が基準に適合するということを目標にすることが考えられる。これに対して、リスクのある受血者のサイトメガロウイルス感染など、より重篤な続発症を予防するためには、同じ(90%)又はそれより高い(95%)の信頼度で、前記よりも高い比率の製剤(例:95%)が基準に適合するという目標にすることが考えられる。

  ※  日本赤十字社においては、リスクの高い患者には、医療機関の依頼に応じてCMV陰性血液を供給している。

(1)  導入前(〜平成16年9月)
 90%あるいは95%の信頼度において95%の適合率が得られるよう、初期バリデーションを行う

 グループA: 採血キットの種類ごとに
〔n=100又はn=200〕×3ロットずつ測定

 これらは、採血終了後、バッグに採取された血小板を白血球除去フィルターを介して別のバッグに移す仕組みの採血キットである。従って、白血球数低減化は機械の性能によるのではなく、採血キット(フィルター)の性能によるものとなるため、採血キットの種類ごとに3ロット測定(精度管理で一般的に行われている)を実施する。

 グループB: 全機台に対し、1台につきn=20ずつ測定

 これらは、採血中に血液成分を分離する際、同時に白血球数の低減化がはかられる。これらの機械の採血性能についてはメーカーが調節を行っており、白血球低減能は機械1台ごとの性能によるため、全機台について1台ごとに測定を実施する。
 1台につき20検体ずつ白血球数の絶対値を求め、それらの平均値と標準偏差とから、基準に適合する機台である事を確認する。適合しない場合は、機械を調整後再び同じ測定をする。

(2)  導入後(平成16年10月〜)

出荷前の全数検査は行わず、抜取り検査として実施する。

 グループA: 採血キットの種類ごと(各機種ごと)に100本に1本以上又は1月に5本(n=60/年)のいずれか多い本数を測定。

 これにより、採血キットの種類ごと(各機種ごと)に4カ月に最低20本、1年で最低60本の検体の残存白血球数から、基準に適合しているか否かを95%の信頼度で確認することができる。

 グループB: 全機台に対し、1台につき100本に1本以上又は1月に5本(n=60/年)のいずれか多い本数を測定。

 これにより、全機台に対し、1台につき4カ月に最低20本、1年で最低60本の検体が得られ、残存白血球数の平均値と標準偏差から、基準に適合しているか否かを95%の信頼度で確認することができる。

 (5) 参考
(1)  諸外国の基準及び品質管理の状況等【資料5】〜【資料9】
(2)  白血球数低減化の効果【資料10】〜【資料13】


4.添付文書の「使用上の注意」の改訂について(案)【資料14】〜【資料15】
4.添付文書の「使用上の注意」の改訂について(案)


5.1、2単位の血小板製剤と小分け製造について(案)
 1、2単位の血小板製剤については、現在、全血採血由来で製造しているが、今後導入を予定している全血採血由来製剤の保存前白血球除去を行う際には、血小板が白血球とともに白血球除去フィルターに吸着されてしまうため全血採血由来で製造することが出来なくなること、及び日本未熟児新生児学会の意見を踏まえるとともに、適正使用の推進の観点からも成分採血血小板からの小分け製造を推進していきたいと考えるが、必要な整備や制度上の問題が解決されるまでの間は、1、2単位の血小板製剤の供給を一時休止する。


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