04/05/27 労働者の健康情報の保護に関する検討会第2回議事録          第2回 労働者の健康情報の保護に関する検討会           日時 平成16年5月27日(木)              15:00〜           場所 合同庁舎5号館13階専用第16会議室                  照会先 :厚生労働省労働基準局安全衛生部                          労働衛生課産業保健班                          TEL03−5253−1111                             (内線 5495)                             担当:武末、中野、松井 ○主任中央じん肺審査医(山崎)  本日はお忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。第2回目を始め たいと思います。前回ご欠席でした委員をご紹介します。トヨタ自動車株式会社安全衛 生推進部部長の加藤隆康委員です。上智大学法学部教授中嶋士元也委員です。なお、本 日は松本委員、鳥井委員がご欠席で、荒井委員が少し遅参されるということです。それ では座長、よろしくお願いします。 ○保原座長  皆様お忙しい中をお集まりいただき、誠にありがとうございます。早速討議に入りた いと思います。初めに資料の確認、及び説明をお願いいたします。 ○主任中央じん肺審査医  論点を整理した資料1と、参考資料1から3です。ご確認ください。また青色のファ イルを席上に配付してあります。これは平成12年の議事録と、本検討会の第1回目の資 料です。なお、この議事録については、当時、そのものについて委員の皆様方に確認す る手続や、公開といった対応をとっていませんでした。その点、ご理解いただきたいと 思います。  さて、参考資料1ですが、エイズに関するものです。3枚目の(3)、事業者は労働 者に対してHIV検査を行わないこととしています。  参考資料2は柚木委員が提出された資料で、後ほど委員から説明をいただくことにな っています。  参考資料3は前回議論に上った派遣労働者に係る健康診断の実施についてです。例え ば特殊健康診断は派遣先が行うこととなっており、派遣元事業者に結果を送付すること となっています。  また、産業医等の「等」の意味、あるいは「健康情報の廃棄」それぞれについて、過 去の検討会での議論についてご質問がありました。先ほど説明した席上の議事録の当該 部分に附箋を付けておりますのでご覧下さい ○保原座長  それでは参考資料2について策定にも携わった柚木委員より、内容の概要についてご 説明をお願いいたします。 ○柚木委員  全衛連がなぜこの個人情報保護に関するガイドラインを作成したかといいますと、す べて全衛連の会員機関は、個人情報保護法の適用を受ける個人情報保護法取扱い事業者 ということになっています。この保護法の細部規定が適用される前に、このガイドライ ンをまとめたのは、厚生労働省保健局の指導通達に基づいて健保組合から健診機関に対 して事業契約をする際に、個人情報保護法の遵守事項と同様の内容を契約に盛り込むよ うな要請がたくさん出てきました。そこで、こういうものを作ったのですが、このガイ ドラインの作成にあたっては、平成12年度に行われた労働省の中間報告を参考にしてお ります。また、総務省の個人情報保護推進室の指導も受けました。  次にガイドラインの内容の特徴ですが、健康情報のうち、プライバシーの保護と個人 情報保護の観点から、取扱いに注意が必要な範囲を示しています。2番目として、顧客 の対応、例えば個人情報の活用の範囲と事前了解の方法等実務的な要領を示していま す。3番目として、情報開示に関する対応は3つの点に留意しました。1つ目は検体の 分析、画像診断のような外部委託と呼ばれている業務のうち、個人情報保護法上の内部 扱い、外部扱いの別を明確にし、外部扱いとなる委託事業者に対する情報管理の対応方 法を示しています。2番目は内部役職員に対する個人情報保護管理規定の作成と指導方 法を示しました。3つ目は情報処理上のセキュリティ対策については、基本的事項のみ を示しており、具体的な方法は現在作成中の健康診断事業におけるリスクマネジメント の指針に詳しく取りまとめる予定です。なお、この冊子は、6月ごろには完成できるか と思っています。 ○保原座長  ありがとうございました。それでは議事を始めさせていただきます。本日は前回の議 論を踏まえ、事務局で論点整理をしてもらいましたので、まず事務局から説明をお願い します。 ○主任中央じん肺審査医  資料1に沿って説明します。これは前回の議論を踏まえてまとめたものですが、中間 取りまとめで、一定の結論に至っているものや、個人情報保護法に照らしてすでに明ら かと思われるものでも、論点間の論理的関係を明らかにするために一体的にまとめてい ます。もっとも、新たな論点の場合、文の末尾を「・・・ではないか?」という形で結 ぶようにし、他方、こうした疑問形にあえてするまでもないと思われるような場合に は、例えば保護法に徴して明らかなものなどは、体言止めにするなど工夫しています。 いずれにしても便宜のもので、決して議論を排除する趣旨ではありません。  まず、労働衛生上、健康情報の取扱いの在り方に関する基本的な考え方ですが、中間 取りまとめでは次のように述べています。特別な機微の情報として慎重に取り扱われる べきものである。また処理にあたっては事業者の健康を守る義務と労働者のプライバシ ーの保護のバランスについて配慮する必要がある旨、謳っています。  以下、こうした基本的な考え方を具体化するための、実体上及び手続上の要件、及び それらに関係する事柄について、各局面ごとに論点を挙げています。  まず、「目的の特定と目的外利用の制限」についてです。個人情報保護法15条では、 利用目的をできる限り特定しなければならないとしています。そこで、「できる限り」 とはどの程度と解すべきか、その意義が問題となってきます。この点、単に労働者の健 康の保持・増進ということだけではなく、事業者に使用される誰が取得された情報の全 部、またはどの一部に基づいていかなる対応を採るのかという事柄が特定されて、はじ めて「できる限り」の趣旨に合うのではないかということです。  また、事業者はあらかじめ本人の同意を得ないで、その目的の達成の範囲を超えた取 扱いをしてはならない。これは保護法16条の規定そのものです。  次に「収集」です。事業者が法定外で任意に情報収集するに際しては、本人の同意が 必要である。これは12年の中間取りまとめでこう述べています。  次に「本人の責任において同意しない自由は、個人の権利として保護されるべきでは ないか」。さらに収集の段階の同意をいうならば、同じく利用停止とか、廃棄について はどうか。この点、前回委員から廃棄に際しての情報保護についての意見があったとこ ろで、これを敷衍・一般化した論点です。  また、法定であると任意であるとを問わず、本人の選択の自由はこれを認めるべきで はないか。この点、現行法上、労働者に対して受診義務66条5項が設定されている。お 手元には関係法例集を用意していますので、適宜ご覧いただければと思いますが、そこ で、このことについていかに考えるかが問題となります。  例えば義務付けの趣旨目的をどのように解すべきか。また、かかる趣旨目的と本人の 選択権といった法益とを比較考慮した場合、本人に対する権利制限は妥当な範囲内のも のなのかどうか。また、仮に義務付けが必要であったとしても、義務付けの程度が果た して現行制度は妥当かどうかなど、整理しておく必要があるのではないかと思います。  ちなみに検査項目については、法例集の265頁、266頁にあります。肝機能検査ですと GOT、GPT、γGTPの3つが法定の健診項目となっています。  さらに、法定の健康診断において、検査値そのものを収集するように運用をしてきて います。この点をどう考えるのかという問題があります。  次に収集の必要性が大きくなくて、他方で本人の権利利益の侵害が大きい場合の問題 です。この点、HIVの検査については先ほど説明しました。また、HCVに関しても 検査そのものについては禁じていませんが、当該検査を実施した医療機関から、直接本 人に通知するものとしており、事業者の目に触れないようにと指導をしてきているわけ です。  4つ目は守秘義務です。人間ドック等の情報の活用が進む中で、もう少し広く守秘義 務を設定する必要があるのではないかということです。その場合の範囲や行為主体が問 題となります。思うに、法益保護の観点からはできるだけ守秘義務の範囲、対象を広く 設定すべきという意見がある一方で、刑罰でもって対応するには謙抑性の観点からあま り広げるのは適当ではないという意見もあり得ます。いずれにしても仮に条文化する場 合には、罪刑法定主義などの原則があるので、今日いただいたご意見を踏まえて、我々 のほうでもまた検討したいと考えています。  次は情報の管理体制です。健康情報が目的に合致しているかどうかの判断基準や、そ の判断をする者をルールの中で明確にしておく旨、中間取りまとめで謳っています。  次にルール遵守を監視するものとして、誰が適当であるか。この点は中間取りまとめ では「利用目的に合致しているかどうかの判断基準や、その判断するものを事業所のル ールで明確にする必要がある。この個別の事例について判断するものとしては産業医な どや衛生管理者などが適当」としています。それでは産業医や衛生管理者が実際にいな い場合、誰が適当なのかが1つの論点です。  さらにこの前の議論では、目的内の使用に仮託して、実質的に目的外の使用が行われ た場合の事後的救済についてどのように考えるべきか、指摘があったところです。  また、開示についてですが、一般の健康診断と同様に、特殊健康診断の結果について も通知を義務付けるべきではないか。  さらに、第三者への提供は、本人の同意を前提になされる必要がある。これは保護法 にも同様の規定があります。確かに守秘義務を置くわけですが、生涯にわたる健康確保 が言われている今日の流れからすると、事業者から第三者に情報が提供される際の規律 は、きちんと法定なりしておく必要があるのではないかということです。  また、第三者提供に関し、合併等事業承継の場合に、健康情報だけを排除してこれを 承継されないようにするというのは難しいのではないかという意見がありました。中間 の取りまとめでは合併等に際しても、第三者とみなして、本人の同意を求める必要があ るという基調でまとめられていましたが、この点、見直しをすべきではないかというご 意見です。  8つ目として、法律による対応の必要についてです。個人情報保護法の運用では、デ ータ数5,000未満の事業所は対象にはなりませんので十分な保護は図りがたい。したがっ て、労働衛生分野で法律上の手当てをすべきであるとのご意見がありました。  次に法律事項にできないようなものもありますので、それらは事業者に取扱いのルー ルを策定してもらって、事前に労働者の同意を得ておく。そうしたことが前回の中間取 りまとめでも書かれています。その際、具体的な内容としては労働者と事業者が事前に 協議の上、情報区分ごとに情報収集等の処理についてのルールの策定が必要であるこ と。そして、それらは産業医等や衛生管理者等の参画の下、衛生委員会で審議をするこ とといった手続き上の要件が中間取りまとめで謳われています。  また国は事業者がルールを策定するにあたって、依拠すべき指針を示す。この点、保 護法も同様に事業者に対して指針を示すこととしており、それに倣った考え方です。ま た、事業者が策定するルールには、次のような点が盛り込まれる必要があるのではない かと考えられます。例えば使用目的ですと、先ほど使用目的の特定について事業者に使 用されるいかなる権限を有するものが、どのような目的、つまりいかなる対応を取るた めに、どの程度の情報を把握すべきかといったことについて、明らかにすると申しまし たが、事業者は組織は千差万別ですし、それを一律法律事項としては書き難いものがあ るので、これはやはり事業者に作ってもらうのがいいのではないかと考えられます。そ して例えば、国がその際の原則や注意点をこの指針で示すことはできないものかという 意味です。  さらに収集の際の同意、廃棄、管理体制についてのいろいろなルール、その外留意事 項として11章にあるような特に配慮が必要な健康情報の場合であって、本人が医師た る産業医を信頼して漏らしたような情報は、原則として当該医師以外に知らされてはな らないのではないか。あるいは中間取りまとめで問題になった産業医による一元的管理 についてどのように考えるのか、誰が生の検査値を管理するのかというのもこれに関係 した問題でした。  また、こうした点と密接に関係しますが、産業医の役割をどのように考えるべきか。 産業医の機能の充実を図るためにはどのようにすべきか。これはこれ自身、大きな課題 ですので、本検討会で議論し尽くすことは難しいかもしれませんが、関係する部分とし てご議論があるかと思い、掲げています。  さらに、開示や外注の際の契約のあり方などです。  以上がルールに盛り込むべき内容と思われるものですが、もちろんこれらの中には事 業者によるルールに委ねるのではなく、法律事項とすべきというご意見もあるかもしれ ません。そうした議論を排除するものではありません。  特に配慮が必要な健康情報の取扱いの留意点ですが、精神の健康に関してはメンタル ヘルスのほか、在職精神障害者の問題がある。このことについて留意する必要があるの ではないかとか、メンタルヘルスに関して外部資源の活用の際の守秘義務対策といった ものについても考える必要があるのではないかというご意見がありました。特に前者の ほうについては、障害者雇用対策部のほうでの検討では、いわゆる在職精神障害者につ いては、障害者として事業者が把握する際には本人の自己申告を待って、はじめて企業 が確知できるということを原則にするという議論の方向であり、そのことと、一方事業 者が安全配慮義務、あるいは公法上の義務を果たす上で情報収集に努めることとの整合 をどう取っていくべきかという趣旨の意見であったかと思います。  さらに小規模作業場への対応です。事業者の規模の大小で求人を区別すべきではない のではないかというご意見、その場合に地域産業保健センターの活用が考えられるので はないかというご意見がありました。  最後に、教育や研修、教育のあり方、事業者の教育、あるいは情報提供のあり方につ いても論点として挙げているかと思います。 ○保原座長  どうもありがとうございました。前回はいまご説明いただきましたように、さまざま な問題についてフリートーキングの形で議論しましたが、今日も引き続き、なるべく自 由に議論を進めたいと思います。説明のあった論点ごとに議論をしていきたいと思いま すが、委員の皆様はお気付きのようにいちばん大きな問題が現行の法定健康診断の労働 者への義務付けの問題をどうするかということで、これはかなり大きな問題で、差し当 たりここで結論を出すということにはならないかもしれませんが、とにかくその問題に ついて、委員の忌憚のないご意見をいただきたいと思います。世間では雇い主に健康診 断をしてもらう必要はない。自分の健康は自分で守るというような意見も結構あり、現 実に健康診断の受診を拒否するとか、外国人にもその傾向が見られるとか、そもそも労 働者の健康情報を雇い主が見るということを当然視していいのかという問題、あるいは 反対に労働者の健康管理はやはり雇い主がきちんとやっていくべきで、そのためには労 働者に対する義務付けが必要だというご意見など、いろいろあると思いますが、忌憚の ないご意見をいただきたいと思います。  まず、この点から議論を始めたいと思いますが、どなたからでも結構ですが、いかが でしょうか。 ○中嶋委員  いま座長がおっしゃったことは、論点整理の2頁目の差し当たりいちばん上の、法定 であると任意であるとを問わず、本人の選択の自由は認めるべきではないか。この点、 労働者の受診義務、労働安全衛生法66条5項についてどのように考えるべきかという、 このテーマとして考えてよろしいでしょうか。 ○保原座長  はい。 ○中嶋委員  私は法律のほうの立場ですのでその点からいきます。労働安全衛生法は多分、事業者 に国が命じて、職場の労働安全衛生を守らせるという体系で貫かれていると思います が、非常に異例な規定がこの66条5項で、労働者に受診義務を負わせているという規定 になっています。これをまず差し当たりどうするかがおっしゃるとおり、大変重要な問 題だと思います。このままでもいいとも言えますが、私は国が法律によって健康情報が 発生するような規制はなるべく避けたほうがいいと思っています。つまり、労働者に命 ずることは避けたほうがいいという意味です。ですから、私は66条5項によって個人情 報の発生をこういう形で促進するというような方向にはあまり賛成できないと思いま す。したがって、これは少し表現を緩和するか、別個の方法を考えたほうがいいのでは ないかと思っています。その際に、2段階にわたって考えてみたのですが、これは私の 考えとしては労働者の受診義務66条5項を削除します。そうすると、労働者に受診義務 がないということになると、労働者もいい加減になる可能性があるし、使用者も受診義 務が労働者にはないのだから、大した熱を入れなくてもいいという気持になるという、 把握を怠るという恐れがあると思います。それは使用者と労働者の間のことですので、 同じような趣旨を別個の形で、つまり使用者には健康把握、健康診断をする義務があ り、労働者にはそれに協力する義務がある。反対側からいうと、労働者は健康診断を受 ける権利があり、使用者は場合によったら健康診断を命ずる権利もあるという。そうい う国との関係ではなくて当事者の権利義務を何らかの形で法制上挿入できれば、この66 条5項という異例な規定は削除しても、差し支えないのではないか。そうすると、何か の代替手段があるかというと、就業規則に健康診断の事項を使用者に記載させるような 方向がいいのではないかと思っています。そこで、就業規則については労働基準法の89 条に使用者が就業規則を作るときは、必ず記載しなければならない事項と、そういう定 めがあるときは記載しなさいというのと、相対的に記載しなさいという事項の2つに分 かれているのですが、現在89条7号で、労働安全衛生に関する事項という規定があるの で、これは任意的記載事項のほうですから、結論からいくと、そこに健康診断等を含む という括弧をしてでもいいから、規定を挿入すると、使用者は健康診断をしなければな らないことになり、労働者は多分使用者が命じたときは少なくともそれに協力する義務 がそこで発生すると、こういう形で当事者の契約の問題として考えていけることになる のではないかと思うのです。  ただ問題は、任意的な記載事項にすると、任意的だから記載しなければそれまででは ないかと使用者が考えると思いますが、必ずしもそうはならないと思います。なぜかと いうと、行政解釈によっても明らかですが、別に健康診断に関して内部で明確な規定が なくても、いままでそういう健康診断をする慣習や内規やマニュアル、健診制度が現実 にあれば必ずそれは記載しなさいという意味においては、任意的な記載事項といって も、66条1項で法定健診は義務付けられているので、企業では法定健診をしなければな らないし、現にしているという慣習は少なくともあるはずです。  そして、多分毎年定期的にやることですから、マニュアルはあるはずなのです。それ は就業規則にあれば書いておきなさいという趣旨になっていますから、使用者は必ず書 かなければならないことになると思います。だから、それを必要的な記載事項とすると 少し強ければ、任意的でやっても効果は私は同じだと思います。そういう形でまず第一 段階として労規法の改正を若干伴うことですが、そういうようにすれば労働安全衛生法 は事業者の国に対する義務なのだと。当事者間は就業規則という自主的な契約規則で合 意の下に、あるいは労働者の大勢の意見を聞いた上で決めていく事柄だという形で、公 法上も私法上も健診制度というのは担保できていくと思いました。趣旨はお分かりでし ょうか。 ○保原座長  はい、分かりました。いま中嶋委員から、1つは労働者の受診義務をやめて、労働者 が健康診断を受ける権利という方向で考えてはどうか。それは就業規則の任意的記載事 項との関係を考えればいいということですね。私も法律家なので、いろいろ個人的な意 見はありますが、今日は座長ですので、どうか委員の方のご発言をお願いします。結 局、中嶋委員のご意見ですと、安全衛生法上、労働者の健康診断の受診義務は外すとい う方向で考えると。 ○中嶋委員  健康情報が発生するのだから国が労働安全衛生法という法律で受診を命ずることは適 当ではない。そこにもありましたとおり、基本的には労働者の個人の同意が基本になる ということは、ほぼ明確なコンセンサスだと思いますので、体系的に合わないし今日的 ではないという趣旨です。 ○保原座長  いまの点、いかがでしょうか。 ○藤村委員  法律には全く素人です。ただ、労働環境を大変衛生的に保つためには、ある程度必要 な検査というものはあると思うのです。例えば法定健康診断には胸部レントゲンがあり ます。最近結核などが増加する傾向にあり、開放結核の者がいた場合、労働職場の危険 性は非常に高まるわけです。そのようなことを考えると、やるべきであるとか、やらな くてもいいというニュアンスで話しておくと健診率は低下すると思います。採血される のはいやだ、針を刺されるのはいやだという人はいっぱいいます。医療というのは病気 になった労働者をなるべく速く社会復帰させて、労働生産に加わらせるという使命があ るわけです。つまり、医療というのはある意味、健康な国民を作って、健康な生産活動 を行うための非常に生産的なものであると考えますと、ある程度の危険を避けること、 例えば感染の危険を避けることは重要な意味があります。病気の効率的な治療というの は早期診断早期治療が原則ですので、そのためには健診は労働者個人にも役に立ちま す。これを漠然とやってもいいよ、断る権利もあるといっていて、果たして健康な社会 が作れるかということは、やや疑問に思います。 ○保原座長  いまの藤村委員の意見を法的にまとめますと、66条の5項には2つの側面があって、 1つは職場一般を伝染性の疾患、具体的には結核等から守る。もう1つは個人個人の労 働者の健康を確保するというこの2つの目的があって、そのためには労働者に健康診断 を義務付けているのはそのためだ、というご意見だと思いますが、それでよろしゅうご ざいますか。 ○藤村委員  はい。 ○柚木委員  いま行われている法定の定期健康受診などというのは、結核の集団感染から予防する という意味で始まったことが、いまの法定健診に結び付いていると思うのです。ですか ら、これをいたずらに外してしまうと、例えばTHPという健康診断があり、これは健 康測定なのですが、個人が企業に対する努力義務になっておりますので、なかなかうま く軌道に乗ってこない。平成元年からスタートしているわけですが、なお小さなところ でうろうろしているような実態なのです。ですから、これはやはり義務付けをしない と、THPと同じような健康診断の取組みになってしまうので、このように不況がある と、企業は安い健診だとか、金のかかる健診はしたくないわけですから、義務付けをし ないと結核などの感染症が蔓延して、集団の中の個人の健康を守り切れないのではない かと思います。ですから、そういう意味で義務付けはある程度必要ではないかと思いま す。 ○保原座長  できるだけ多くの方の意見を聞きたいので、ほかの方、どうぞご意見をお願いしま す。 ○主任中央じん肺審査医  76頁に法文があるので、これをご覧いただいたらと思います。66条健康診断1項ない し3項に、事業者に対する健診実施の義務付けがあります。他方5項には労働者のほう に受診の義務付けをしている、今問題にしているのは労働者の受診義務の方の問題で す。 ○保原座長  現行の規定は雇い主に対して、労働者にかかわる健康診断実施義務を課す。反対に、 労働者もこれを受診しなければならないという受診義務がある、そういう組み合わせに なっています。 ○中桐委員  この問題は労働組合レベルで考えますと、現行の義務規定があっても健康診断の実施 は中小事業場になると受診率はかなり低く、大企業ですとかなりの部分は高いです。さ らに有所見率になると中小事業場に高いというのが実態です。実態をさらに言います と、事業主の方は健康診断を実施しないばかりか、実施したとしても、それは自分で払 えということをする方もいます。このごろのメンタルヘルスも含めた長時間労働、過重 労働の中で、健康診断にも行けない、時間がないという労働者がたくさんいます。逆に 健康診断があるから引っかかって救われる方もいるし、行かないで突然死される人もい る。そういう実態を考えると、義務を外していいのかと大変心配します。  もう1つ考えなければならないことは、これは職域の健康診断ですが、その人のライ フステージを考えると学校の過程、職域、退職した後の地域医療を含めて、それぞれ健 康をチェックすることは行政としてずっとやってきたことですし、これからも健康21の 中でもそういう発想だと思うので、職域の中だけでの健康診断と区切らないほうがいい のではないか。働く人の一生の中でどうなのかという視点が必要だと思います。  そういうことを言っているときに、健康診断の項目自体が問題ではないか。それが全 然当てはまっていなくて、そんな診断をしても何の意味もないのだという見解を持つ医 者もいます。こういう問題提起についても本当は考えなければいけないことかもしれま せん。そういった意味で、この義務を外すと、ちょっと怖いという感じはしますが、先 ほど中嶋委員が言った義務よりも権利ということについて、私も衛生文化、健康文化と いうことを考えたときに、労働者側のモラルハザードも少しあります。  皆さんもよくご案内だと思いますが、健康診断を受ける前2週間はお酒を飲まない で、我慢をして、健康診断が終わって大丈夫だと言われたら、その日に一生懸命お酒を 飲んでいるという実態もあるのです。そういう問題もありますが、そこは自己責任では ないかというのはあります。いまそうなので、絶対に駄目だというつもりはありませ ん。今後に向かって、先ほど言った視点を持ちながら、プライバシー保護との問題で、 労働者が権利を持つということで、少し発想を変えていけば、もっと自らが健康をチェ ックするのだということについて、向かっていく方向で検討することについては、反対 はしたくないと思います。 ○加藤委員  いまのは難しい議論だと思います。企業の立場からしますと、やるのか、やらないの か、あまり中途半端にしてほしくないという気持です。いま先生が言われたように、就 業規則の中にはどこの企業でも明確に入っていると思います。それをやるということは いいとは思うのですが、ただ、今回そうなりますと、例えばこの65条の関係で規則の中 に健診項目など決まっています。それがみんななくなってしまうということですね。 ○主任中央じん肺審査医  もう一遍言いますと、事業者への義務付けをいま云々しているわけではありません。 事業者の義務付けは置いておいて、5項の労働者の側の受診義務のほうの是非はどうで しょうか、という議論ですから、健診の内容そのものまで広がる話だとは考えていませ ん。 ○加藤委員  やるかやらないかを個々にということですか。 ○保原座長  法定ですからやらなければいけないのです。 ○加藤委員  いまはですね。 ○保原座長  企業が、健康診断を現実にやっていれば、書かなければいけないというのが就業規則 上のことなのです。だから、ほぼ確実に書かれることになる訳です。そうすると、それ は当事者の労働者と使用者間でもちゃんとやることをお互いに約束し合ったということ になりますから、労働者は今年はやっていないからやれと言えるし、使用者は法定健診 なのに、お前は受けないのはよくないから受けなさいということになると、安衛法上の 労働者の受診義務を外して、就業規則の問題とした方が、逆に法定健診制度が実効化し ていくのではないかという考え方だと思います。 ○中嶋委員  確かに医療として、つまり個人の健康の利益だけではなく、先生や藤村委員が言った ように職場環境の問題があります。特に伝染性の場合はそれが大いに必要だと思いま す。それは法定健診項目が現在規則で11項目ありますが、その中で伝染性のものは結核 なのです。胸部X線撮影は結核予防法に明確な規定があり、事業者は4条で必ず胸部X 線撮影をしなければいけないと書いてあるし、7条で学校の教員、労働者はX線撮影を 必ず受けなさいと非常に強い規定になっています。だから私は結核に限っていえば、結 核予防法で十分強い健診体制ができると思って、そちらには言及するつもりはないので すが、ただ、ほかの健診項目は、労働省も納得して健康診断体制を強力に実施してもら うという意味では、むしろ当事者でそのように決めたという形にしたほうが、実効性が あると考えたわけです。結核は予防法で非常に強い規定があるので、あのままだとする と、法定の健診項目の中ではあれはあれで貫徹されると思います。 ○井上委員  確認したいのですが、事業主に対しては健康診断の実施義務があって、労働者は任意 で、受けなくてもいいことになるわけですか。 ○中嶋委員  いや、就業規則に書いてあれば、そこはマニュアル等で指導すべきだと思いますが、 使用者に我が社には健診制度があるから受けなければいけないと書いてもらえば、労働 者は特別な事情がない限り受けなければいけないわけです。業務命令の一種と考えてい いと思います。ただ、プライバシーは別で、これはまた縛りがかかります。合理的な就 業規則の内容は、労働契約を規制し、支配するという中身になるというのは一般的に法 律上認められた考えです。 ○堀江委員  私はいまのような決め方をした際に、結論として現場での労働者の受診率は下がるの ではないかという危惧があります。ただ、その辺は法律の専門家でないのでよく分から ないのですが、そのように労働者の義務を排除して権利という考え方に変えた場合に、 むしろ受診率は上がるということは予測されるのでしょうか。 ○中嶋委員  安全衛生法の改正では義務とも権利とも書かないわけです。安全衛生法は使用者を義 務付けている法律ですから。 ○堀江委員  それはいまも使用者の義務がありますね。 ○中嶋委員  はい。だけど、これはフランスなどしか健診制度はないと思います。特別の病気のと きだけ見なさいというだけで、ドイツにもありません。ですから、先進各国の中では、 事業者に法定健診を義務付けていることが違例で、さらに健康情報との関係をいま我々 は討議しているので、健康情報との関係でいえば、国が法律をもって労働者の義務付け をするのは、いささかいびつで、受診率が上がるかどうかと言われると私もちょっと分 かりませんが、必要な部分は就業規則に持ち込んだほうがいいのではないかという考え なのです。 ○堀江委員  受診率が下がらないということであればいいのですが、私は何か下がるような気がし ますし、事業者に労働者の健康診断をしなさいという義務がある以上、国が労働者の健 康情報を事業者によって収集させていることに実態は変わりがないわけですから、それ で国が健康情報を収集しなくなるという考え方がよく分からないのですが。個人情報を 保護するために国が指定して、情報を収集するという構造は残るわけですね。ですか ら、健康情報の保護につながるのでしょうか。 ○中嶋委員  それは使用者の義務を通じて、収集するのは維持しようというわけなのです。労働者 の義務付けを通じて収集するのは当事者に任せたいということなのです。 ○堀江委員  ですから、事業者が収集することを国が義務付ける以上、健康情報は事業者の手元に くるわけですね。 ○中嶋委員  もし、それを規制するならば、もう事業者の義務化も欧米なみにやめたほうがいいと いうことまで行き尽くと思います。 ○堀江委員  そういう議論ならはっきり分かるのですが、そこまで踏み込んだ話ではないわけです ね。 ○藤村委員  ごく常識的に考えますと、日本は非常に効率的に平均寿命を延ばし乳児死亡率を減ら しているわけです。これは要するに医療が非常に受けやすい体制があるからなのです。 ところが、昨今はご存じのように、健康保険の本人の自己負担が3割になりました。3 割になったら、自覚症状のない糖尿病、自覚症状のない高血圧の受診率が目に見えて下 がったのです。ところが、自覚症状のある、あるいは苦しんだり、辛かったりする人た ちの受診率は下がっていないのです。そうしますと、何かの縛りがないと、一般に自分 に健康に自信があって、自覚症状のない者は健診も受けませんし、医療を受ける機会も 失うという可能性があるので、それは非常に危惧するところです。  というのは、欧米の例も挙げていらっしゃったのですが、欧米の医療に対するアクセ スは、日本と比べると全然悪いわけです。そういうものが平均寿命や国民の健康寿命、 健康状態に影響していると思うのです。そういう意味でお考えいただきたいということ です。 ○柚木委員  個人情報が発生するような義務を負わせるべきでないとおっしゃるのですが、この委 員会の趣旨は、個人情報が漏れないようにするためにはどうすればいいかということで あって、健康診断の法定の健診項目を変えるとか、そのような議論ではないと思うので す。特に平成元年に労働安全衛生法が改正されて、血液検査項目や心電図が増えたこと によって、有所見率が46%とか48%に上がってきているということによって、生活習慣 がいかに悪いかということが発見されて、その予防にもつながるような健康施策をやっ ているのではないかと思うのです。ですから、そういう議論は個人情報が逃げないため にはどうするかという議論に入っていかれたほうが、私はこの会の趣旨に合っているよ うな気がします。 ○堀江委員  別の観点なのですが、結核のことはある程度第三者の健康を守るために強制していい のだという考え方は、みんなが共通して認識しているようなのですが、結核に限らず、 一般健診の目的の中には、私はサーベイランスという考え方が入っていると思っていま す。例えば分かりやすい例でいえば、有害業務ではないけれども、ただ単に座っている 仕事の人には非常に体重が大きい人がいて、いろいろな臓器のいわゆる生活習慣病が発 生しがちだということは、母集団を的確にとらえることによって確率として統計的に有 意差が出てくるものなのですが、もし、受診率が下がってしまうと、その分母がおかし くなって、結果的に検出できるものが検出できなかったりする可能性が生じてはまずい なという危惧があります。これは必ずしもレントゲンの話ではなくて、一般健診という のは誰でも全員に図ることによって、何らかの集団としての情報を得ようとする場合に 使えるものだと思っているからです。  もう1つは一般健診の場では有害業務のある人もない人も年に1回、必ず医療職がご 本人にお会いできるチャンスがありまして、実際上健診項目というわけではないのです が、問診の中で医師、あるいは多くの現場では看護師等が面接をして、本当のばく露が どういうものであるとか、何が辛いのかとか、本当は痛いところはないのかといったよ うな議論から、いろいろと保健指導ができていくわけですが、そういう場合にも先ほど 藤村委員の意見にもありましたが、自覚症状がないとか、自分ではそれほど悪い業務を していないという人はなかなか来てくれないのですが、その裏打ちをする義務として、 労働者の義務があるということが、1つ担保になっているのではないかと私は思ってい ますので、その辺は慎重に考えたほうがいいのかという気がします。 ○中嶋委員  よく分かりますが、これは私どもでいう一種の精神規定なのです。使用者は健診を実 施しないと罰則が付いていますが、労働者は受けなくても刑罰は科せられないのです。 これは結核予防法も同じです。だから、これを見て受けなければいけないという精神的 効果を狙うという意味では、現行法のままでも私はいいとは思いますが、それだと使用 者が本当に健康診断を受けさせたい者が受けないときに、使用者はこの規定ではどうし ようもないのです。就業規則に書いたほうが「受けろ」という命令権があるのです。そ れで、受けなければ特別の場合を除いては軽い処分、あるいは少なくとも受けなさいと いう命令権ぐらいは発生すると考えられます。だから、こういう精神的な規定を置いて いい場合もたくさんあるというのは私も知っているのですが、柚木委員のご意見と関係 するのですが、我々は確かに情報処理をどうするかというために集まっているのです。 無用なといったら少しあれですが、ほかの場違いなところから義務が発生することも整 備したほうがいいと。それは使用者側の義務から処理の過程を規制することはあるけれ ども、労働者側から発生することについては、なるべく抑制的なほうがいいというのが 私の考えで、処理過程については別個に考えるべき点があると思います。 ○井上委員  先ほど中桐委員が中小の問題を出しました。私は神奈川で衛生管理活性化委員会とい うのを運営しており、これは中小企業のレベルアップを図るための委員会なのです。健 康診断の実施等が法的になっていないと、中小の事業主というのは健康診断の実施まで はまだまだ理解が低いような感じを受けています。ですから、やはり法でしっかり受け る義務を果たさないといけないのではないかと思います。  もう1つ、過重労働の問題が出ており、健康診断を任意としてしまうと、事業主の責 務を果たすということがなかなかできなくなるのではないかと思います。何かあった場 合には事業主に責任を持たされますので、法的に受ける義務もしっかりやっておかない といけないのではないかと思います。 ○荒井委員  私自身は労働者自身の保護ということ、あるいは情報を自分がコントロールできる権 利は完全に担保されるべきだと思っていますが、自分が知らずに加害者になる可能性 は、いつも我々にはあるわけです。例えば開放性の結核にかかっていても知らない。そ れをやはり誰かが指摘してあげないと、結局は加害者になると思うのです。そうする と、自分が加害者でないことの担保に健康診断を受けるというのに、レントゲンを撮っ て、開放性の結核でないことを証明することは非常に重要な、個人の価値にとっても大 事なことなので、私自身は加害者でないということの証明にも、1つ健診を受けるとい う権利があるのだろうと思っています。  ですから、それが国が命令するのかどうか、いまの難しい議論は私には判断し切れな いのですが、いずれにしろ自分が加害者であり、かつ加害者であるかもしれないし、あ るいは被害者であるかもしれないという可能性を、いつも従業員について考えるべきで すし、我々がコントロールできる範囲の就労時間など、カウンタブルなもの、目に見え るもの、実証できるものについては、ある程度収集できないとコントロールはできない と思います。悪意がなくても、悪いことは起こるということだと思います。 ○加藤委員  確かにこの健診の問題は非常に重要だと思うのですが、例えば日本人は自分の健康に 関して、自己管理と自己責任をどこで持てるか。いま先生が言われたように、結核の問 題についても、仕事によって、加害者になり得ることもあるとすれば、その辺での自己 責任をどこで持てるか。非常に重要だと思うのです。そういった風土が日本全体にある かどうか。まず、何を外すべきかというところがあるような気がするのです。その辺の 地盤がきちんとなってきた上で議論できるならいいのでしょうけれども、日本というの は、周産期からずっと健康診断の制度があって、老健法までいくわけです。そういった 制度がある中で、真ん中だけポコッと抜けるような気がしますし、そこをどう考えるか だと思うのです。先生が先に言われた、外国の方が日本に来て、定期健診を拒否すると いう問題がかなり出ているのですか。 ○保原座長  私は聞いています。ただ、これは何人というのは全くわかりません。 ○加藤委員  あまり事例にあったことがないものですから。ただ、海外から帰られた方で時々、上 司の方がなぜ部下の健康まで面倒を見なければいけないのかというのは、議論になった ことがあります。就業制限などもあるわけです。  どういったところから問題提起が出ているのか。個人情報保護法の関係から出てきて いるとすれば、確かに重要な問題だと思うのですが、現実にどういった問題があるのか というのは、実感としてはわかりません。ただ、やっているのは日本だけですね。フラ ンスも定期健診があるとはいえ、日本ほどではないですね。 ○保原座長  フランスの話を申し上げると、私は最近改めて調べて、フランスでは採用のときと、 定期健康診断年に1回というのは、明文の規定で雇い主の義務であると同時に、労働者 の義務もあって、いまのところ変わっていないようです。 ○加藤委員  項目としては、あまりきちんとされていないのではないですか。 ○保原座長  項目は規則みたいなので出ていますが、日本ほどきちんとされていない。それでも、 日本でやっている主なものは大体やっている感じですが、日本よりは項目が少ないです ね。あとは雇い主がやってもいいとか、やらなくてもいいとかいう程度です。EU全体 では、EUの指令というのがあって、危険有害業務について、労働者が健康診断を受け る権利があるという書き方です。ただ、ドイツなどは危険有害業務については雇い主の 義務になっているように聞いていますが、EU全体としてはそれも義務づけがなくて、 労働者が受診をする権利という書き方になっています。  いま一通りご意見を伺いましたが、座長としてでなく、私個人の意見を少し言わせて いただきたいのです。中嶋委員のご発言は結局、全体としてできるだけ情報の収集を少 なくすべきだという考え方なのだろうと思います。法律家が議論するときに、こういう ことをやったら、結果的に受診をする人が減るだろう、あるいは増えるだろうというの は、予測の範囲を出られない。つまり、法律家というのは、実態調査というのを普通あ まりやりませんから、予測の範囲を出ないのですが、結局こういう議論をするときに は、受診をする人が減ってもし方がない。そうでないと、自己責任というのは貫徹でき ないのだということなのだろうと思うのです。  これは中嶋委員にお聞きしたいのですが、結核予防法か何かで強い規定があって、学 校保健法や安衛法で同じことをやれば、その義務は免れるという形になっているのだと 思いますが、監督という点から言うと、どうなのですか。つまり、健康診断の場合は、 一応、労働者10人以上の企業はみんな結果を届け出なければいけないことになってい る。その中にX線検査も入って、建て前としては、そこで一応つかまえることができる わけですが、結核予防法に従ったかどうかという判断は、どこで行われるのか。 ○中嶋委員  結核予防法というのは、どういう形で履行を担保しているのでしょうか。 ○保原座長  いまおそらく、職場と学校が多くの人をカバーしていますから、それぞれでやってい るのだと思いますが、職場でも学校も関係ないという人は、結局野放しなのですか。 ○労働衛生課長  疎覚えの知識ですが、ご存じのように定期の健康診断というものがあり、その中に、 例えば事業者など、その中にいろいろな会社が入っているわけです。学校、福祉施設と いった所には、結核予防法の第4条で、定期健康診断としてレントゲンの撮影をするこ とが義務づけられています。その担保の仕方ですが、定期健康診断の結果を、それぞれ 所轄の保健所長に届け出るという仕組みがあったと思います。ただ、実際、保健所にす べてが届けられているかどうか、それは地域の実情とか、さまざまなことがあるのだろ うと思います。そういう仕組みは一応ありまして、もし明示的にある所がやっていない ということであれば、当然ながら都道府県の知事の権限で事業場等に対して、「結核予 防法に基づく定期健康診断を実施すべし」ということを指導することは可能だと思いま す。疎覚えで自信はありませんが、おおむねそういう内容だったと思います。 ○中嶋委員  罰則がついていますからね。 ○保原座長  職場、学校、施設など、人が集まりそうな所については健診義務を課して。 ○労働衛生課長  施設長、事業主というところに健診の実施義務が課せられます。 ○保原座長  もう1つの問題は就業規則で、これは釈迦に説法ですが、10人未満の事業場というの は結構あるわけで、就業規則は作成が義務づけられていない所はどうするのだという問 題です。どうせいまでもあまり健康診断をやっていないのではないかと言えばそれまで なのですが、法律論としては全く野放しになるという問題があり得る。それから、新し く企業を作った場合というのは、慣行というのはあまりないでしょうから、合併などの 場合、前から引き継いでいるという所もあるのかもしれないですが。 ○中嶋委員  そうすると、必ず記載しなさいというところまで格上げできれば、私はそれがいちば ん確実だと思うのですが、賃金、労働時間と同じように扱えるかどうかは、行政のほう のセンスがわかりませんので、いまのところは7号で安全衛生に関しては任意的、総体 的記載事項になっているのです。健診も入っているはずだから、普通は就業規則上の根 拠があるはずなのですが、そこを指導して整備していけばいいのではないかと。10人未 満の事業場は、事業主自体が健診義務を実施していないというほうの問題ですね。 ○保原座長  いまは法律上は義務がかかっているけれども、事実上なかなか難しい。しかし今度は 法律上も義務を外そうということになると、外すと言っていいのかわかりませんが、い ちばん大きな問題は、結局適正配置などの問題で、いまだと健康診断を基礎にして、雇 い主は最低、労働者の健康状態をつかんでいるわけですが、今度は健康診断を受けたく ないという労働者については、雇い主の健康情報の把握が十分でなくなるということは 当然あると思うのです。 ○中嶋委員  逆に、使用者は受診を命ずる権利が出てくるから。 ○保原座長  現行法では命ぜられないですか。 ○中嶋委員  現行法では、例えば66条5項に基づいて命ずるというのはできないと思うのです。こ れは国に対する義務ですから、使用者は労働者に対して命ずることができないというこ とです。 ○保原座長  あまり法律屋同士で議論してもしょうがない。 ○中嶋委員  我々はいつも、こういう姑息なことでもめている集団です。ただ、いろいろ考えた ら、これは役所が労働者の義務まで命ずるというのは、いかに温情や広い職場健康の配 慮に基づくものとしても、何かピンと来ないのです。使用者に責任を持たせる、労働者 にも責任を持たせるためには、明確に就業規則でやったほうがいいというのが私の考え です。 ○保原座長  この問題について、だいぶ議論が出たようです。今日はほかの問題もたくさん検討し なければいけないので、この問題は今日決めるわけでありませんから、あるいはずっと 決めないかもしれないし、わかりませんが、これは大きな問題ですから、この問題で特 に何かご発言はありませんか。これだけは言っておきたいと。いずれまた議論したいと 思います。 ○堀江委員  細かいことですが、安衛法上、労働者の義務はほかの部分にも出てくるのはご承知の とおりだと思います。26条に包括的にかかわっているのに加えて、例えば私の経験です と、製鉄所の中で第1類の特化物がある作業場で喫煙、飲食をしている人がいる場合 は、これは法的にきちんと禁止されていることですということで、労働者は国からの規 定を破っているという状況が発生します。当然、そういったものについては重点的に監 視をして、事業者もその責任を果たすべく指導をしているということです。ほかにも清 掃の義務、洗身の義務、保護具の着用の義務など、たくさんあるとは思います。 ○中嶋委員  最初に出てきましたが、健康情報というのはセンシティブデータだったわけです。そ うすると、法秩序全体というと、大げさで本当にすみません。学問的な体系がある以 上、それに合わせて行政をしていく必要があるのではないかというのが私の基本的な考 えで、センシティブデータを国が体系をずらしてまで、事業者はもちろんいいとして も、労働者にまで法的義務を課すことは少し考えたほうがいいのではないか。当事者の 役割として、そういう権利義務が生じますというようにしたほうがいいのではないかと 考えた次第なのです。だから、健康情報は中間報告によっていちばんのセンシティブデ ータだということは、我々は一般に認識しておりますので、そこはちょっと情報の発生 が抑制的であるべきではないか。 ○堀江委員  細かいことなのですが、そうすると、病者の就業禁止に関する規定で、例えば高気圧 作業の規則などでは、高血圧の人を作業につけたらいけないという規定がありますが、 前提として情報があるということで、いろいろな法律が組まれている部分も見直しがか かるか、あるいは実態としてその情報がなければ、病的な状況があるという前提でリス クを回避する行動をとらなければいけなくなる可能性があるのかと思います。 ○中嶋委員  使用者の義務については免除させるわけではありませんから、従来どおりではないで しょうか。使用者の義務は、免除をするという議論にはなっておりませんから、相変わ らず維持するという。 ○保原座長  労働者が健康診断を受けないというと、やはり雇い主の情報収集は限定されると考え てもしょうがないのではないか。 ○中嶋委員  私の考え方はむしろ、契約上、受けなければいけないのです。 ○保原座長  安衛法は外すけれどもですね。 ○中嶋委員  私はむしろ受けなければいけない度合が強まるという考えなのです。 ○保原座長  わかりました。この議論はまたそのうちにやりたいと思います。今日は「論点の整理 (案)」にたくさん論点が出ていますので、時間の許す限りやっていきたいと思いま す。基本的な考え方は前の中間取りまとめなので、これについては特に異論がないと思 います。2「目的の特定と目的外利用の制限」です。先ほど事務局の人とも少し話して いたのですが、私はたまたま昨日の夜テレビを見ていたら、個人情報保護法をもう少し 具体化したような。 ○主任中央じん肺審査医  それは調べました。担当に問い合わせてみたら、全体というよりは、電気通信分野の ことです。この前説明しましたが、情報保護法に沿って、各分野ごとでいろいろなガイ ドラインや法律の手当などの検討がされている。その1分野の話ではないか。つまり情 報通信分野で総務省のほうで検討をしている。だから、労働者の健康分野で、いまこう いう検討をしていますね。同じように、総務省の情報通信分野でこういう検討をしてい るという話なら知っていると、言っておりました。そのことではないでしょうか。 ○保原座長  いまのような前提で、ご議論をお願いしたいと思います。2の「できる限り特定」と いうのはどういうことか。今のところは、労働者の健康情報が取得された場合に、誰が どのように利用するかとか、どの健康情報について、どういう目的との関係で利用でき るのか、できないのかということが決まっていないのですが、これを特定する何かうま い方法があるかというのが第1の問題です。事務局で何か補足がありましたら、お願い します。 ○主任中央じん肺審査医  ここでの論点としては、ここに書いたような程度まで各事業者で定めておくことが必 要なのではないかということです。10章をご覧下さい。ルールの中にどのように謳わ せるかということについて、「ルールには以下の点が盛り込まれるべきではないか」と しており、○の2つ目に「できる限り特定された目的をルールの中に謳わせること」と するのが必要ではないか。その際に、国が一般的な留意点なり原則なりを示せないかと いう点で、国のかかわりが出てくるのかと思います。その場合、例えばセンシティブ情 報であれば、直接の上司しか知ってはならないなど、ある一定の原則は示せるのかと思 うわけです。それ以上に、どういう責任のどういう方々がどの程度の情報を知ってどう いった対応をするのか、国のほうで何か一定の考えを示せるかというと、組織は千差万 別でいろいろあるでしょうから、私もわからないところがあって、むしろ何か原理・原 則を導けるものがあるのかどうか、この場でお伺いしたいと思っているところです。 ○安全衛生部長  ここで、事業主が労働者の健康情報を法律に基づいて収集できるということにしてあ るのは、あくまでも「労働者の健康の保持・増進」という目的で収集していいことにな っているのですが、実際にその目的だけに使われているかどうかというと、いろいろ裁 判例でもありますが、不当な解雇、配転などに使われている例もあるわけです。その面 で、健康情報を集める目的をクリアにする必要があるのではないか、というのがこの問 題意識です。ですので、企業の実態やさまざまなご見識を伺いたいところです。 ○保原座長  この点、まず初めに企業の方にお伺いしたいのですが、いかがでしょうか。 ○加藤委員  不当な配転というのはよくわかりませんが、使っているのは健康の保持・増進がほと んどで、あとはその事後措置に基づく就業制限。他に使うことはありますか。例えばこ ういう例はあります。ご本人から生命保険の代用審査の証明書を書いてくれとかです。 ○保原座長  健康診断の結果に基づいて、例えば「異常なし」とかですね。 ○加藤委員  はい。それはご本人からです。あと最近は聞いたことがありませんが、昔は結婚する 相手から要求されて、そのご本人が取りに来られるという例もあるということも聞いた ことがありますが、経験したことはありません。ほかの目的では、企業の中では使うこ とはないような気がします。 ○保原座長  模範的な企業だと、そういうことになる。 ○井上委員  私のところもそうです。適正配置ということでしょうね。あと、昇格などのときに上 のほうに行く方です。そういうときはあるのではないかと思います。重要なポストに就 けるのに、本当に大丈夫か、それはあるかもしれないです。 ○保原座長  これは正当な利用かどうか難しいところですが、例えば外国に行くときに健康診断を して、ちょっと危ないという人はチェックをするというのは、正当な目的ですか。 ○井上委員  適正配置になるのではないですか。ということでやっていると思います。 ○保原座長  おそらくそこが境界線。 ○加藤委員  ただ、海外に赴任する場合は、健康診断がなされています。これによっては、海外赴 任する場合の健康状態について、非常に糖尿病が悪いとか、向こうで薬がもらえるかど うかなど、いろいろな項目をチェックしながら、ここの国ならいいだろうという判定を やっています。 ○保原座長  エイズは証明書を出さないと行けないとか。 ○加藤委員  あります。それは会社では行いません。自分で病院に行ってもらって、証明書をもら ってくる。 ○井上委員  私の所もエイズはいま、本人から直接向こうの相手国に出すようにしています。会社 は検査結果をもらわないようにしています。うちは生保の代用審査もやらないことにし ています。 ○加藤委員  健康診断結果で問題ないという生命保険会社が多くて、最近少ないですね。しかし、 結果をなくす人というのは結構いるのです。自分の健診結果を家庭にも持って帰らない というのが現実かと思います。 ○保原座長  それはやはり、もし規制をしなければいけないことになれば、模範的でない企業を考 えて、濫用を防ぐにはどうするか。 ○加藤委員  堀江委員も産業医の経験があるでしょうから、どうなのですか。使い道と言ったっ て、そうないような気がします。 ○堀江委員  とりあえず性善説に立って考えたいと思うのですが、労働衛生という分野における健 康情報ですので、井上委員もおっしゃったように、適正配置ということが中心だと思い ます。導く拠り所とするような文章として私がいつも考えているのは、国連が産業保健 をどのように見ているかというところに沿って考えるのが、いちばん妥当ではないかと 思っています。1950年に既にWHOとILOの合同委員会が産業保健を定義しています から、その中で言われていることは産業保健そのものの活動の目的になりますが、労働 者にとって不利な健康条件から、職場において労働者を保護する。これはとりもなおさ ず有害な作業環境があれば、それを取り除く、改善することなのですが、これは人によ って個人差があるので、ある個人にとって有害であれば、方法としては作業環境を改善 する方法のほかに、個人の健康条件を改善していただく、あるいは配置転換することも 出てくるということなのです。いずれにしろ、仕事と労働者との適性をうまく導くのが 目的であるべきだと思います。それを超えたもの、すなわち、いまちょっと議論になっ ていますが、本人が自分自身の健康保持・増進のためだけに何か活用したいというのは 本来の目的ではないのではないかと思いますし、保険に入りたいというのもやはり本来 の目的ではないと思います。それはたまたま活用できる情報があるというだけで、目的 に集中した情報ではないのではないかと思います。 ○保原座長  この点は、何か定めるにしても、抽象的な規定にならざるを得ないですかね。 ○堀江委員  イギリス等の倫理規定等では、例えばの例ですが、産業医という立場の人がご本人の 健康状態を知っている主治医等に健康情報の収集を申し出る場合においても、仕事との 適性に関係のある情報以外は聞いてはならないという倫理規定もありますので、抽象的 とはいえ、その時点で評価しなければいけない仕事との関係を見極める上で、本当に必 要なのかどうか、各担当者が考えて収集するのが望ましいのではないかと思います。 ○保原座長  その場合、本人の同意はどういうことになるのですか。 ○堀江委員  本人の同意なしにできる。 ○保原座長  仕事に最低必要限度はできるのですか。 ○堀江委員  できる場合もあると考えられると思います。正確に調べてみます。 ○保原座長  いま収集のほうに少し入っていますが、「目的外利用の制限」というのは、いまのと ころもし法律で書くとしても、抽象的にならざるを得ないですかね。また議論すること にして、3の情報の収集について、1番目の○は当然ですが、2番目の○はいかがでし ょうか。これもいちばん大きな問題は健康診断でしょうけれども、例えば任意の情報の 収集、例えば人間ドックを受けなさいと言ったときに、自分は人間ドックを受けないと 言って、その結果、本来、人間ドックを受けていれば発見されたような病気などがあっ た場合に、それは誰の責任だということになるということですかね。でも、それはやは り法定の義務でないとすれば、個人の自由のほうが優先するという考え方なのか。先ほ ど山崎さんからご説明いただいた、総務省の通信関係のことで、私が昨日ちらっと聞い たところでは、できるだけ長く情報は保存させるとか何かやっていましたね。 ○主任中央じん肺審査医  はい。保存年限というのは我が方でも、5年間と規定がありますが、それは情報をき ちんと保存しておきなさいという趣旨の規定です。他方ここで問題にしている論点は、 本人の意向をどの程度反映させるべきか。本人のプライバシー権、あるいは情報コント ロール権をいかに反映させていくべきかという論点です。座長の言われる情報通信分野 への個々の保存年限をできるだけ長くというのは、どういうコンテクトで語られている のか、その点については承知していません。 ○保原座長  おんぶに抱っこの議論をすれば、妊娠中からずっと、乳幼時期も含め学校保健、産業 保健、老人保健となっていくと、全体として資料がみんな残っているほうがいちばんい いと考えるのか、そうではなくて、ある時期が来たら、どの段階でもその資料は廃棄す べきなのか。それはどうなのでしょうか。この間、藤村委員が何かおっしゃっていたよ うな気がしましたが。 ○藤村委員  医学的には、必ずしも周産期から高齢者までのデータを全部揃えていたほうが有利と いうことはないと思います。ですから、例えばもう少し短いターム、5年ぐらいの情報 というのは大変必要だと思います。確かに母子手帳などにいろいろ記載があります。母 子手帳を一生持っている人はほとんどいませんから。 ○保原座長  そう言われればそうですね。 ○藤村委員  ですから、そんなに長い期間を視野に入れて考える必要はないと思います。 ○保原座長  現行法では、何も決まっていないのですか。 ○主任中央じん肺審査医  健康保持という観点からすれば、一定年限は保管しておいてもらう必要があるわけで す。したがって、その保存年限は、本来の健康の保持・増進という目的の観点から置か れた規定です。  それらは本人のプライバシー権、あるいは自己情報のコントロールという観点から、 本人の意向をどのように反映させられるかという規定ではないのです。法定の健診はさ ておいて、任意の健康診断の場合、あるいは任意の健康情報の収集については、前回の 検討会で本人の同意が前提になっている。そうすると、自分の情報を収集するという局 面で本人の同意が必要であるならば、その終わりの段階でも、もうこの情報はなしにし てくれとか、あるいはこの情報を利用するのはやめてくれとか、この情報を廃棄してく れという本人の意向を反映させるという権利が認められていいのではないか、という議 論が当然出てくるわけです。私はこの前その論点だったと理解しました。 ○保原座長  私はいままで、この問題を考えたことがなかったです。 ○主任中央じん肺審査医  個人情報保護法には、既に「個人情報の停止」という条文があって、その条文は本人 の意向を超えたような利用がなされていることが示された場合には、情報の利用の停止 という権能を与えているわけです。ただ、そっくりそのままここにカセット的に入れる ということではなくて、やはり労働衛生分野の健康情報、センシティブ情報であること に鑑みて、別途の考え方があり得るだろう。つまり、平成12年の中間取りまとめでは、 収集の段階でも同意というものを謳ったわけです。この収集の段階の同意というのは、 健康情報保護法では謳っておりません。だから、それはいわゆる労働者の健康情報を手 厚く保護しようという姿勢が現れているということです。  一方、停止の部分についても、個人情報保護法に謳われている以上の手厚い保護は与 えるべき、という議論があるかもしれない。少なくとも個人情報保護法レベルの保護 は、これは既に一般事業者に及んでいるわけで、個人情報の停止は及んでいます。もち ろん、例の5,000という限度はありますが、何れにしてもそれで十分とするのか、それ 以上のプラスアルファの保護を健康情報に与えていくと考えるのかということです。条 文はここの資料にあります。 ○保原座長  いつでも停止や廃止を求めることができるという考え方にするのか、それとも一定期 間を過ぎたら、雇い主は当然廃棄するというようにするのか、それとも就業規則か何か で決めるようにするのかですね。 ○労働衛生課長  収集のたびに、労働者に対して、この情報については……に使うとか。確かに情報を 収集するに際しての同意が必要ということであれば、通常、当然の帰結として、それで 停止という話は、おそらく論理的には出てくるのだろうと思います。 ○保原座長  よくインフォームド・コンセントで患者の同意を得るときに、「1回同意をした人で も、いつでもやめられます」というのは書かれています。だから、そういう考え方にす るのか。いま課長がおっしゃったような考え方だと、収集のときである程度決まってし まうという考え方ですが。 ○労働衛生課長  1つの考え方として、収集に同意が必要であれば、その情報を使わないでほしいとい うことについても、本人の申立てがあるべきではないかという議論はあるのだと思いま す。 ○藤村委員  倫理規定が、それぞれの職種によって違うのです。産業医など、あるいは保健管理者 などという人によっても違うと思うのです。個人情報を保護しなければならないという 立場だったら、例えば医療のカルテが5年間の保存義務があると同じように、5年ぐら いの期間を過ぎたら廃棄すべきだと思います。例えば医師の倫理規定はいろいろありま す。例えば世界医師会のヘルシンキ宣言などありまして、これは対象者にはっきり目的 を話して、説明をした上で同意を得て行い、しかもその結果は必ず本人に十分役立つも のでなければいけないということになっています。医師としてはそういう観点でやって いくことが習慣づけられているのです。健康診断の場合は、関与する人間が必ずしも医 師でありませんし、ここで収集という言葉を使っているということは、配置転換などの 目的で、事業主がデータを収集するという印象を受けますので、情報の確認ぐらいでし たら非常にすっきりすると思うのです。 ○保原座長  そうですね。ここでは一応、事業主が主体になっている。 ○藤村委員  事業主が収集してはいけないのではないですか。 ○保原座長  これは前の検討会でも議論をして、堀江委員にいろいろお知恵を拝借して、実際に堀 江委員が前の勤務先でおやりになっていた、産業医による健康診断情報の収集を教えて いただいたのです。これはあとからまた出てくると思いますので、順序が逆になります が、先生からお話願えますか。 ○堀江委員  現行法上は事業者が記録し保存するという義務がありますので、事業者の委任を受け て、事業場内で産業医が保存しているというのが当時の実態だったのです。一般化する ということであれば、いま現在、健康診断というのは、通常は事業場の外の柚木委員の ような健診機関が実施されて、その情報がどこか事業場に送られてくるのです。それが 例えば非医療職である事業者の事務職等に直接行くのではなくて、一旦は必ずそこの事 業場を担当している産業医の所に送ってもらって、産業医がこれならよかろうというこ とであれば、例えば事業者に渡す、あるいは本人の同意が必要なら、同意を得て渡す、 あるいはこれはちょっとまずいだろうというのであれば、守秘義務をかけるなど、情報 の仕分けをするような流れは考えられないかと思います。 ○井上委員  だから、大きな事業場で、専任の産業医がいる所ではそれは通用すると思うのです が、実際には月に1回程度の契約の嘱託産業医の場合が多いわけで、そういう結果が来 たとしても、今度は労働者や事業主に対しても情報が遅れてしまうし、そのやり方だっ たら全然業務が回っていかないのではないかと思います。実際に実務として、これは大 きな弊害が出てくるのではないかと思います。 ○加藤委員  50人未満の産業医がいない企業はどうするのですか。 ○保原座長  この間のは、できるところからやればという話でした。そこまではあまり書きません でしたけれども。フランスなどは典型的でそうなっているわけです。雇い主は生の健康 情報を受け取らない。制度が少し違いますから。 ○堀江委員  当然、あるべき論をしていると思います。ですが、産業医の機能強化という意味で は、そのぐらいのことをしないと産業医は仕事をしたことにならないのではないかと、 むしろ思います。嘱託産業医だから、健康情報については自分は関知せずに、事業者に 全部渡してしまっていいのだというようなルールにしていると、結局、産業医機能はお ざなりになってしまうのではないかとも思います。現状のルールでいくと、健診機関は 事業者に情報を渡し、その中の有所見のものに限って、産業医の所に持っていって意見 を聞くわけですが、そもそも有所見を非医療職である事業者の事務職等が仕分けをする というのは、理屈から言ってややおかしな点があるのではないかと思います。  これは産業医がこのぐらいの情報であれば、うちの事業場の特性からして問題はな い、あるいはそれこそ就業規則上、例えば労働者が包括的に合意しているのであれば、 事業者にそのまま送ってもよかろうというのであれば、健診結果が嘱託産業医の手元に 届いて、その日のうちに事業場に転送しても構わないと思います。それはそのような形 を作ることによって、嘱託産業医の機能、あるいは役割を自覚し、強化していくような 方向に行くのではないかと思います。 ○井上委員  そのために衛生管理者制度があるのではないでしょうか。産業医一本化というのは、 今のままでは回っていかないと思います。 ○堀江委員  もちろん、事業場の窓口は衛生管理者がいちばん適当だと思います。 ○加藤委員  そうなると、それもあくまで50人以上が前提ですよね。 ○保原座長  そうですね。ただ、衛生管理者というのは、守秘義務がないということとの関連でど うですか。 ○井上委員  だから、その辺をちゃんとつけていただいて。 ○保原座長  例えば守秘義務をつけたほうがいいとか。 ○井上委員  それは守秘義務をつけないと、いまのものではまずいと思います。 ○加藤委員  前の議論のときに、衛生管理者は産業保健職と同じ扱いにするということがありまし たね。ですから、そこでは健診をやった事務の人も入るということであれば、守秘義務 がある。 ○保原座長  ただ、衛生管理者は、健康診断の事務に携わらなければ、守秘義務はないわけですか ら、保健婦と同じように守秘義務を課すかということです。 ○井上委員  衛生管理の法律で決まっている職務というのは、結構深いですね。健康診断などにも 携わっていいことになっていますし、又やらなければいけないことになっていますか ら、それなりに衛生管理者を窓口にして、嘱託産業医がそれもあれもは無理でして、実 際には衛生管理者がデータを持って行ったりすることで判定等をお願いするわけです。 衛生管理者が判定するわけではないし、全部データを持っていって、産業医の先生にお 願いして動いているわけですから。 ○堀江委員  実務はそれでよいと思います。しかし、その場合、衛生管理者がこれが有所見だ、こ れは有所見でないという判断はしませんよね。 ○井上委員  それはないです。 ○堀江委員  私が議論しているのはそこの点で、情報というのは判断する場合に、それが医学的な 判断であれば、医療職がやらないと責任が持てないのではないかという議論です。持っ てこられるのは衛生管理者でも構いませんが、その際は場合によっては封を開けないと いうことも必要かもしれません。また、衛生管理者もいろいろな方がおられるのをよく 承知していますので、その衛生管理者とのコミュニケーション、あるいはその事業場の システムの中で、それが妥当であれば衛生管理者と常に連絡をとりながらやるというの は一向に構わないと思います。 ○井上委員  産業医以外の医療職というのは、保健師とか看護師だと思うのですが、それを置いて いる企業というのは、もっと少ないですね。 ○柚木委員  50人以上の所は、産業医と衛生管理者がいますね。50人以下の所は、衛生管理推進者 というのができましたね。 ○井上委員  安全衛生推進者、そちらにもやはり……。 ○柚木委員  そうですね。そこで確保できていると思います。当然、我々健康診断機関の立場から 言えば、健康診断の結果は一覧表にして事業場に持っていきます。封筒に入れて、個人 のほうにも持っていきます。その一覧表を見て、産業医がいる所では、その産業医が健 康相談のときに呼んで、「ここはどういうふうに変えなさい」ということをやっておら れる企業は多いです。ですから、衛生管理としては、非常に徹底されているのではない かと思います。  また、50人以下の所では、各地域に産業保健センターがありますので、そういう所は 監督署からコーディネーターという方がいらっしゃって、地域の医師会と密接に連絡を 取り合って、地域産業保健センターで健康相談を受けなさいという指導はできているよ うです。ですから、衛生管理に非常に積極的な経営者は、そういう所を利用してやって おられるのが実状ですし、理解力のない経営者は何ぼ突っついても行かないというとこ ろが、健診機関としてつかんでいる情報です。 ○保原座長  時間の関係で、もう1つだけ議論したいと思います。4の「守秘義務」です。実はい ま既にこの議論に入っているわけですが、守秘義務の範囲として、1つは法定健診以外 の項目についても守秘義務を課すかという問題と、もう1つは守秘義務が課せられる主 体、誰に守秘義務を課したらいいか。先ほど衛生管理者という話が出ていましたが、そ の点はいかがでしょうか。 ○井上委員  あれだけの法律で決められた健康管理のいろいろなことをやるわけですから、それは やはり課すべきだと思います。 ○保原座長  まず、どんな健康情報について、守秘義務を課すべきかというのは、いかがでしょう か。現行の制度は、法定健康診断について定めているだけで、しかもあれは一般の。 ○主任中央じん肺審査医  健診の事務に携わった者です。 ○荒井委員  一般論になって、広げてしまって申し訳ないのですが、いま個人の医療情報にアクセ スできる人がどんどん増えています。例えば、私の病院は電子カルテ化をしているの で、もちろんアクセスする権限はここまでというのがあるのですが、相当な範囲、守秘 義務が課せられていない方が健康情報にアクセスできる可能性を持っています。それは もちろん就労の倫理の上では、当然、就労者としての義務は発生していますが、ペナル ティーは発生しない、あるいは何も担保されていないわけです。ですから、いま健康管 理の問題、あるいは健康診断の問題もそうなのですが、それ以外でも人のセンシティブ 情報に接する者について、こちらでの案を参考にしてでいいと思うのですが、ある程度 のガイドラインができたほうが安全だと思います。さもないと受診抑制、あるいは風評 など、いくらでも出てくるわけです。  例えばある人がA病院に入院した。そうすると、その病院のカルテに誰がアクセスで きるかという権限はすぐに我々は限定するわけですが、そういうことができないとすれ ば、誰でも見られるというのがどこの病院でもできてきますし、どこの健診機関でも、 電子化されればそうなってくる。そこは知り得る方全員に守秘義務を課していくぐらい のつもりでやっていかないと、これからの個人情報保護は進んでいかないと思います。 ですから、一般論としては、相当広い範囲に守秘義務を課すべきだろうとは思うので す。 ○保原座長  私はその点、知識ゼロなのですけれども。 ○荒井委員  例えば病院の職員でID等を持っている人間は、その人間が持っている権限の範囲 で、個人情報を参照できるわけです。そうすると、どこまでアクセスできるかは、もち ろん制限が加わっていますし、病名に入れないとか、カルテに入れないなどいろいろな ことはあるのです。いずれにしろ、例えば住所、名前というところに関しては、アクセ スできるわけです。そうすると、いまの大きな意味で言っている個人情報で言ったら、 病院ではアクセスできている。そういう意味では、今度は会社の中でも同じだと思うの です。要するに電子データにした場合には、例えば入力する人は、当然アクセスできる わけです。そうすると、誰が入力するか、あるいは誰が参照できるのかというところま で言うと、いまいろいろな所でいろいろな情報がリンクされているわけですが、そのと きに何も担保がないです。要するにパスワードを貸したなどとやっているわけですが、 それではどうにもならないので、誰がアクセスしたかわかる仕組みも必要ですが、それ よりも守秘義務が発生するほうが先ではないか。テクニカルな問題です。 ○保原座長  アクセスの仕方。 ○荒井委員  アクセスできる可能性のある人は守秘義務を持つ。そのようにやらないと、難しい。 誰でも、いくらでもアクセスできる。 ○労働衛生課長  非常によくわかる話なのですが、逆に言えば、例えばこれは1つの想定ですが、100 人の会社があって、100人すべてに守秘義務をかけたというのでは意味がないのです。 むしろ大事なのは、アクセス権をどの範囲に設定するか。そのことのような気がするの ですが。 ○荒井委員  いや、だからアクセス権は発生させても、発生させる仕組みがちゃんとできていれば いいのですが、いまできていると言いながら、できていないわけです。それがいちばん の問題だろうと思います。そういう意味では、アクセスできる可能性のある人に守秘義 務を課すというようにしないと、実際にアクセス権のない人がアクセスしているわけで す。その実態のほうが先行しているわけです。 ○井上委員  企業はもう、アクセスできる人は産業医、産業看護の医療職、専任の衛生管理者まで で、それ以外はできませんというように、限定してしまっています。 ○荒井委員  もちろん、理論的にはそうなのです。理論的にはそうだし、それは実際そうなので す。しかしです。 ○柚木委員  全衛連の加盟健診機関は、コンピューターで結果報告をやる以前から、各健診機関の 職員に守秘義務を課しているのです。健診機関のほとんど全部だと思います。だから、 法定健診であれ、人間ドックであれ、それは健康診断業務として、守秘義務がみんな事 務職も教育として叩き込まれていたのです。ですから、この委員会ができて、平成12年 の中間報告を出したときから、情報をどうするかということも規定でちゃんと決めてい る所がほとんどだと思います。ですから、それはやはり決めておかないと、漏れていく 可能性は高いでしょうし、教育を徹底させないといけないと思います。 ○労働衛生課長  おそらく問題は、大きく分けて2つあると思うのです。事業場内、あるいは健診機関 だったら健診機関内の情報が外に漏れることを防ぐのが1つです。もう1つは、機関の 中で、実際に誰が個人の具体的なデータに対してアクセスできるか。おそらく両方の議 論があるのだろうと思います。ともすれば、外に漏れることについては、非常に厳格に やろうということで動いているのですが、実は社内でいろいろな方々がいろいろな方々 の個人情報を、あの方はどういう病気なのだろうと。今後むしろそちらのほうが大事な 領域になってくるのかと思います。もちろん、外に漏れるのを防ぐのは当然重要です が、そんな感じもちょっといたします。 ○加藤委員  ……コンピューターそのものは我々の部が持っていますから、外に漏れることはまず ないのです。診療所の中には受付の子もいますし、その中にいる人たちが医務職という ことで、全員が外に漏らしてはならないということです。そこから先というのはどうな のでしょうか。 ○保原座長  極端なことを言うと防ぎようがない。内部で。 ○加藤委員  例えば産業医の先生が、誰かに仕事のためのコンピューター使用の許可を出して、そ の人が漏らしてしまったら、どうやってチェックするか。 ○荒井委員  だから、アクセスできるというか、アクセスできる可能性のある人について、法的な 明文化が必要だと言っているのであって、それは誰かということを特定する必要はない と思います。要するに、誰がアクセスするかわからないわけです。シスアドがいて、例 えばシステムアドミニストレーターだったら、理論的にすべての情報にアクセスできる わけです。シスアドの倫理として、それはしませんけれども。ですから、そういう方た ちにも守秘義務を課すことをしないと、結局、誰もが安心してシステムを使えないこと になるので、たぶん倫理のレベルはもちろんみんなクリアしているはずなのです。だけ ど、それは倫理をクリアできない人がいるのが事実なわけで、それを担保しようという ことなわけです。 ○保原座長  非常に広い範囲ですね。 ○荒井委員  そうです。端末に触われる人であれば誰でもということです。 ○加藤委員  それは可能性としてありますね。 ○中桐委員  しかし、それは誰かというのは特定できないわけです。悪意を持ってやる人、もしく はそれを使って何か悪いことをするとか、何かしたとか。守秘義務を課す人はある限定 的な者であっても、そうでない人がそれにアクセスして、それを何か悪いことに利用し たということについての罰則がきちっとあれば、それは防げませんが、抑止にはなりま すね。この電子化情報というのは、そういう仕組みしかないのではないですか。 ○荒井委員  そうなのですが、いま守秘義務さえないのです。要するに話したって。 ○保原座長  いまのところはですね。 ○荒井委員  まず守秘義務を明文化しないことには、私たちはどうしようもないですね。「私は守 秘義務がありません」と言われても、職務上の守秘義務は当然あります。いずれにし ろ、守秘義務という概念が皆さんの中であるのだということが明確にならないと、自分 がアクセスしたことに関して責任があるのだということをわかってもらわないとまずい のだろうという意味では、守秘義務を課す、「あなた守秘義務があるよね」と言うこと は意味がある。 ○保原座長  わかりました。私の不手際で、議論がまだ4までしか行っていないのですが、そろそ ろ時間になりましたので、今日はこの辺までにさせていただきたいと思います。労働者 の受診義務をめぐって、ホットな議論がありましたし、そのほかもいろいろ委員の先生 方に教えていただきましたが、大変恐縮ですが、事務局のほうで可能な範囲で整理をし ていただき、次回に続けたいと思います。 ○主任中央じん肺審査医  座長、今日言い足りなかったことなど、引き続いて意見がありましたら、事務局に送 っていただくということでもよろしいですか。今日のことも含めて、送っていただけた らと思います。座長からもありましたが、次回は6月28日(木)の午後3時からです。 それまでにできる限り、先生方のご意見を論点ごとに整理する形にしていきたいと思い ます。今回は事前に資料等をお送りすることができなかったのですが、今度はできるだ け事前にお送りして、そのご意見をいただけるように努力したいと思っています。  後先逆になりましたが、委員のお手元にお配りしている第1回の議事録の案を各委員 に先日発送して、本日内容を確認したものを持参していただいています。近日中に事務 局でその議事録案を修正して、ホームページ上に公開したいと思っています。 ○保原座長  委員の先生方、何かご発言はありませんか。みんなおっしゃりたいことがたくさんあ ると思います。いま事務局から話がありましたように、今日議論された問題点、まだ議 論されていない点についても、先生方のご意見をお寄せいただければ幸いです。本日は ありがとうございました。