04/05/26 平成16年5月26日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 農薬・動物用 医薬品部会 議事録      薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 ○日時:平成16年5月26日(水)13:56〜17:04 ○場所:ホテルフロラシオン青山(芙蓉西・芙蓉東) ○出席者:   委員   豊田委員(部会長)、井上(松)委員、大野委員、岡田委員、小沢委員、        加藤委員、下田委員、中澤委員、米谷委員、山添委員、吉池委員   関係省庁 農林水産省消費・安全局衛生管理課薬事・飼料安全室 嶋崎課長補佐   事務局  遠藤食品安全部長、高井企画情報課長、中垣基準審査課長、        宮川課長補佐、鶴身専門官、浦上係長、渥美係員 ○議題:   (1) 食品中の残留農薬等に係る基準の設定について     ・ボスカリド(農薬)     ・鶏伝染性気管支炎生ワクチン(動物用医薬品)     ・豚ボルデテラ感染症精製(アフィニティークロマトグラフィー部分精製)・      豚パスツレラ症混合(油性アジュバント加)不活性ワクチン(動物用医薬品)   (2) 食品中に残留する農薬等へのポジティブリスト制の導入について     ・暫定基準について     ・一律基準について   (3) その他 ○事務局  それでは、ただいまから「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品 部会」を開催させていただきます。本日はお忙しい中お集まりをいただきましてどうも ありがとうございます。  開催に当たりまして、食品安全部長の遠藤からごあいさつを申し上げます。 ○遠藤食品安全部長  食品安全部長の遠藤でございます。  薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会の開催に当たりまし て、一言ごあいさつを申し上げます。  委員の先生方におかれましては、日ごろから食品衛生行政の推進につきまして、種々 御指導を賜っておりますことを心から感謝を申し上げます。  本日は、食品中の残留農薬等に係る基準の設定につきまして、まず農薬のボスカリ ド、動物用医薬品の鶏伝染性気管支炎生ワクチン、豚ボルデテラ感染症精製・豚パスツ レラ症混合不活化ワクチンにつきまして御審議をいただくことしております。  食品安全委員会の専門調査会におきましては、既に食品健康影響評価が済んでいるも のでございます。また、本日は農薬等のポジティブリスト制に係る暫定基準につきまし て、お寄せいただいた御意見、御質問につきまして、前回に引き続き御審議をいただき ますほか、ポジティブリスト制の施行に当たりまして、食品衛生法第11条第3項に規定 します「人の健康を損なうおそれのない量」、いわゆる一律基準の設定につきましても 御審議をお願いしたいと考えております。  審議事項がちょっと多くなりますけれども、よろしくお願いを申し上げます。  開会に当たりまして、一言ごあいさつに代えさせていただきます。 ○事務局  本日は青木委員及び井上達委員より欠席の御連絡をいただいております。農薬・動物 用医薬品部会の委員が13名でございまして、そのうち11名御出席をいただいております ので、委員総数の過半数に達しておりますので、本日の部会が成立しておりますことを 初めに御報告を申し上げます。  それでは、豊田部会長に審議の進行をお願いしたいと思います。今後の御審議をよろ しくお願いいたします。 ○豊田部会長  それでは、お集まりいただきましてありがとうございました。議事に入らせていただ きたいと思います。  初めに、事務局の方から配布資料の確認をお願いいたします。 ○事務局  お手元にお配りしてございます資料でございますが、議事次第の後に座席表があろう かと思います。その後それぞれホチキスで束ねられているものがございまして、右上に 資料1−1、資料2−1、資料3−1、資料4、資料5、それから参考資料1、参考資 料2、参考資料3、それから委員の先生方には資料の番号は振ってございませんが、農 林水産省及び環境省から、「農薬の使用者が遵守すべき基準を定める省令の一部改正の 省令の制定について」という書類が1つ、一番最後に付けてございます。それとあとも う一つ、前回も既に委員の先生方に配布をいたしました資料ですが、この意見の冊子が お手元に置いてございます。それとあともう一つ、バインダーでとめられている分厚い ものですが、文献の1と右肩に付いてございますものがお手元にあろうかと思います。  以上でございます。 ○豊田部会長  配布資料の不足がございますでしょうか。  特にございませんか。それでは審議に入らせていただきたいと思います。  議題の1でございます。「食品中の残留農薬等に係る基準の設定について」、本日は 農薬1品目、それから動物用医薬品2品目について審議を行うこととしております。  まず最初に、農薬ボスカリドにつきまして、資料1に基づいて事務局から御説明をお 願いいたします。この農薬の基準案の作成に当たりましては、関係委員に既に資料等に つきまして御検討いただいているところでございます。  それではよろしくお願いいたします。 ○事務局  ちょっと1つ資料の件で訂正を言い忘れておりました。議事次第と書かれている紙が あろうかと思います。それを1枚めくっていただきますと、配布資料の欄がございます が、それの資料1−1のところ、一番最後「結果(案)」と書いてございますが、この 「(案)」がなくなっておりますので、その点を訂正したいのと、あとそれから、その 同じページの一番下でございますが、下から2行目に、「平成15年4月13日同部会資料 」と書いてございますが、これは「平成16年」の誤りですので、その点は訂正をさせて いただきたいと思います。失礼しました。 ○豊田部会長  それでは事務局の方から、お願いいたします。 ○事務局  それでは、お手元の資料 1−1を御覧ください。  まず1ページ目ですけれども、これは5月20日に食品安全委員会から我々の方にいた だきました評価結果の通知でございまして、3ページ以降、食品安全委員会の農薬専門 調査会でとりまとめられました評価書となっております。それから29ページが資料1− 2、これが農薬・動物用医薬品部会、本部会の報告案となっております。それから37ペ ージを御覧いただきますと、資料1−3となっておりまして、こちらが国民栄養調査の 結果から得られました農産物及び畜産物の摂取量データとなってございます。  それでは、審議の経過についてですけれども、まず4ページの方を御覧ください。厚 生労働省の方には昨年の11月に農林水産省の方から、農薬の登録申請に係る連絡がござ いまして、それを受けまして、食品安全委員会に対して残留基準設定に係る食品健康影 響評価について要請をいたしました。それから、今年の4月に食品安全委員会で報告書 の案がとりまとめられまして、その後、今月の12日まで国民からの意見聴取が行われま して、先日20日にこの報告書がとりまとめられました。  評価書の内容についてですけれども、5ページの方を御覧いただきますと要約が載っ てございまして、本剤ボスカリドはアニリド系化合物の殺菌剤でございます。  結論を先に申し上げますと、本剤の許容一日摂取量(ADI)は、0.044mg/kg体重/ 日と設定されました。試験の結果より、催奇形性及び遺伝毒性は認められておりませ ん。また、発がん性試験においては、ラットの甲状腺で腫瘍が認められましたけれど も、作用機序は非遺伝毒性であり、閾値を設定することは可能であると結論付けており ます。  そうしまして6ページ以降、動物体内運命試験や、植物体内運命試験等、種々の毒性 試験等の結果の概要が載ってございまして、それらをまとめたものが20ページの方に総 合評価として載ってございます。そこを御覧ください。  かいつまんで申し上げますと、4行目以降ですけれども、ラットを用いた代謝試験に おいては、主要排泄経路は糞中となっております。もう少し下にいきますと、植物体内 運命試験においては、植物の体内ではほとんどでは代謝されないと考えられるという結 論になっております。  また、同じページの下から4行目ですけれども、ラットの慢性毒性試験及び発がん性 試験におきましては、肝臓への影響、具体的には、肝の解毒系の亢進に関すると考えら れる酵素誘導が認められたという結果が報告されております。  また、ラットの各種試験におきまして、甲状腺への影響が認められております。これ については、18ページを見てもらいますと、そこに表4が出ておりまして、遺伝毒性試 験結果の概要が記載されております。ここで復帰突然変異試験等において、すべて陰性 という結果が得られておりまして、このことを考慮してラットにおける甲状腺に対する 発がん性の機序は非遺伝毒性のものであり、ボスカリドの評価に当たっては、閾値を設 定することは可能であると結論付けております。  以上の各毒性試験の結果から、22ページの方を御覧いただきますと、表6という形で マウス、ラット、ウサギ、イヌを対象としました各種毒性試験における無毒性量の記載 がなされておりまして、また、備考の欄には、発がん性や神経毒性、催奇形性について 認められないといった記載がなされております。最終的には、その下の方に書いてあり ますように、農薬専門調査会において行われた評価としまして、ラットの雄を用いた24 か月間の慢性毒性試験の結果から得られました無毒性量の4.4mg/kg体重/ 日を採用して おりまして、さらに安全係数を掛けまして、ボスカリドのADIが0.044mg/kg体重/ 日 と設定されております。  以上が食品安全委員会がまとめました食品健康影響評価でございます。  これに基づきまして、私どもの方で作物残留試験等々の残留基準値の案をまとめまし たものが資料1−2、29ページでございます。  29ページの5のところに表がございますけれども、ここに今回申請されている農薬の 適用範囲と使用方法を記載しております。  (1)としてボスカリド水和剤としては、ぶどう、いちご、トマト、なす、きゅうり、 たまねぎ、小豆、いんげんまめへの適用の申請がなされておりまして、次のページを御 覧いたしますと、(2)ボスカリド・ピラクロストロビン水和剤としまして、りんご、な し、おうとうへの適用の申請がなされております。使用方法のうち、使用回数は3回以 内の散布、使用時期については、ぶどう、小豆は収穫7日前まで、いんげんまめは、収 穫21日前まで、それ以外の作物に対しましては、収穫前日までの使用ということで申請 がなされております。  それらにつきまして、作物残留試験を行いまして、適用される範囲内で一番たくさん 農薬が残っている最大残留量をまとめたものが32ページにございます「作物残留試験成 績」になっております。ここには基本的には、最大残留量というものは、最も大量かつ 最終的な採取からの期間が最も短い場合の作物残留試験、いわゆる最大使用条件下での 試験結果を書いてございますけれども、一部その申請の範囲内であっても、最大使用条 件下以外でも高い数値が出ているものがありまして、いんげん、りんごになっておりま すが、そちらについては※印を付けております。小豆についてですけれども、こちらの 方は、適用の範囲内における最大残留量としましては、収穫14日前までの値が該当する ことになりますけれども、今回の場合は、農薬の減衰の程度を鑑みまして、申請されて いる使用時期である収穫7日前までの残留値により近いと推定されます収穫6日前の結 果を採用してございます。  同じページの下にまいります。農薬のADIは、先ほど御説明申し上げましたとお り、食品安全委員会の評価となっております。  33ページにまいりまして、8番のところで諸外国における使用状況といたしまして は、JMPRにおける毒性評価はなされておりません。また、国際基準も設定をされて おりません。アメリカ、カナダ等では食用農作物について登録されておりまして、ま た、オーストラリア、ニュージーランド、EU等では登録申請がなされております。こ こに記載はされておりませんけれども、アメリカでは、食用農作物以外にも畜産物や加 工食品等について残留基準が現在設定されております。  それでは、基準値案についてですけれども、規制の対象となりますのは、ボスカリド 本体で、基準の案を次の34ページ、35ページに示しております。ここを見ていただきま すと、農薬の登録申請があった作物については、登録有無という欄に「登録申請中」と 記載がございます。また、今回のボスカリドにつきましては、アメリカの基準を参考 に、畜産物と加工食品にも基準値案を設定しております。これらをもとに登録申請中の 作物のうち、作物残留試験成績の欄に数値が入っているものにつきましてはEDI試算 をしておりまして、それ以外の食品についてはTMDI試算をしております。  算出についてですけれども、37ページの方を御覧いただきまして、そこに国民栄養調 査の結果から得られた各食品の摂取量が記載してございますが、これをもとにして計算 されております。  畜産物から摂取される農薬の量につきましては、具体的に申し上げますと、まず34ペ ージの下の方をから35ページにかけて見ていただきたいのですが、「牛の肉(筋肉) 」、「牛の肉(脂肪)」、「牛のその他の内蔵等」、それから「豚の肉(筋肉)」とい きまして、「山羊のその他の内蔵等」というところまでありますが、それらの摂取量デ ータとしましては、39ページの方を御覧いただきまして、その下の方に畜産物の摂取量 の表がございますけれども、そのうち、「牛・豚・羊・馬・山羊の筋肉及び脂肪」とい うところと、その下の「牛・豚・羊・馬・山羊のその他の内臓」というところにありま すデータを使っております。  具体的に申し上げますと、例えば、「牛・豚・羊・馬・山羊の筋肉及び脂肪」の大人 における摂取量であれば、34ページの基準値案のうち、牛・豚・羊・馬・山羊につい て、「(筋肉)」、「(脂肪)」という分類がありますが、その中で最も高い基準値の 値、この場合ですと「牛の肉(脂肪)」、「羊の肉(脂肪)」、「馬の肉(脂肪)」又 は「山羊の肉(脂肪)」について0.30という基準値が書かれておりますが、これが一番 高い値となっておりまして、これに先ほどの39ページのところの摂取量を56.2という値 を掛けますと、大人の筋肉及び脂肪における摂取量が算出されます。同様にしまして、 「牛・豚・羊・馬・山羊その他の内臓等」における大人の摂取量でありますが、国民平 均のところの1.3 という値に34、35ページの中の「牛・豚・羊・馬・山羊その他の内臓 等」のところを全部見ていただきますと、そのうち、一番高い値であります0.35という ものを1.3 に掛けまして算出しております。  このようにして得られました本薬の一日当たりに摂取する農薬の量、推定一日摂取量 ですけれども、それのADIに対する比率が33ページの方に戻りまして、そちらの表の 方に国民平均37.7、幼小児73.6、妊婦29.1、高齢者36.9という結果になりまして、結果 としましては、ADIの範囲におさまっているということになります。  それから追加的な情報でございますが、昨年10月末に公表いたしました暫定基準第1 次案には、このボスカリドについては記載はしてございません。  以上がボスカリドに関する資料1の説明でございます。 ○事務局  補足をさせていただきたいと思います。基準の案のところで2点ほど、34ページ、35 ページでございます。34ページの下の方を見ていただきますと、いちご、ぶどうという ところがございますが、これはいずれも我が国で登録の申請が出てございます。  ちょっとその右側に目を移していただきますと、外国の基準として、参考として書い てございますアメリカの基準を見ていただきますと、例えば、いちごでございますと、 アメリカは1.2、日本の基準で今回案としてお示ししているのは15という形になってお ります。それから、ぶどうについても、アメリカの基準は3.5 でございますが、日本で 今、私どもが提案してございますのは、10という数字になっております。  その理由でございますが、正確にこれだという栽培方法とかの違いを私も正確に説明 はできないんですが、まず実際に現地で使われる濃度の違い、日本の方が使用量で、例 えばいちごの例で申しますと、単位面積あたりの量が3倍ぐらいになっている違いがあ る。ぶどうで申しますと、有効成分の単位面積あたりで言うと8倍程度違う。それか ら、実際に散布の仕方とか、栽培の形態とか、こういうものが日米で違うということに なります。実際に日本の栽培形態、それから日本での適用の仕方、GAPに基づいてと ったデータがその右側にございます作物残留試験の成績でございまして、そのような違 い、使い方、栽培の形態等々の違いから、作物残留試験は、いちごで申しますと、最大 が7.28ppm 、それから、ぶどうにつきましては5.20と、このような結果が出ております ので、いちご、それから、ぶどうにつきましては、諸外国の基準と異なるといいます か、数字の大分違うものを設定してございます。  それから、35ページの食肉の下のところになたね油、それから落花生の油、それから 干しぶどうという、この3つの加工食品の基準も今回の案として出しています。これは 海外のアメリカの基準をそのまま引用したものでありますが、今後ポジ化等に移行いた しますし、加工食品についても、実際に評価をされたデータについては、それを参考に 設定をしていくべきだと考えますので、今回案の中に追加をさせていただいておりま す。  以上、補足として追加をさせていただきます。 ○豊田部会長  ありがとうございました。それでは、ただいまの報告案につきまして、質問、御意見 等がございましたらお願いいたします。 ○米谷委員  事務局の方から追加の御説明をいただいたわけですけれども、実はそこのところ、私 も最初に見せていただいて一番気がかりでございました。先ほどはいちご、ぶどうとい う34ページの下の方の作物で御説明いただきましたけれども、全体を見ますと、作物残 留試験をやったものにつきましては、全部アメリカの基準よりも高い基準値案が示され ているというのが実態でございます。その御説明は多分、適用形態といいますか、日本 での実施の方法が海外のものと当然違うからという御説明でございましたけれども、そ れで本当にいいのか私もちょっとわからないんですが、なぜか作物残留試験をやったも のについては、全部高めに残ってしまっているということで、それでよろしいんでしょ うかということです。それが質問でございます。 ○豊田部会長  ただいまの御質問は、その使用方法、日米の差というものがまだよくわからないとい うことだと思います。その点についていかがでしょう。  それでは加藤委員の方から。 ○加藤委員  もとの向こうでの使い方というのは直接知りませんけれども、少なくとも大きな差の 1つ、きゅうりについては、日本のきゅうりは御存じのようにごく小さなきゅうりです ね。アメリカはかなり日本より大きな、どちらかと言うと、化粧水をとるへちまです ね、あれと同じぐらいの大きさというふうに聞いていますし、実際に写真などを見たり するときは、そういうようなものになっています。つまり、散布してからの肥大成長、 これに伴う希釈効果、これがアメリカの方ははるかにきくということで、それで低い濃 度になっているんじゃないかと思うんです。日本の場合は、たしかこれは、きゅうりは 収穫前日まであと1日、翌日にはもう収穫すると。アメリカの方はもう少し後、前日で はなくて少なくとも2日以上間隔を置いてあると思いますので、恐らくその効果が両方 きいていて、アメリカの濃度と、それから日本の残留濃度が一桁以上違っているという ことになっているんじゃないかなと思っていますが。もし農水省等で資料をお持ちであ れば、伺えればありがたいです。 ○豊田部会長  米谷委員お願いします。 ○米谷委員  適用の量と、刈り取るまでの時間が違うということでは説明できると思うんです。そ ういう場合に海外と同じような条件で使えば、もっと基準値を低くしても、日本で実施 できるのか、農水省の方針の方にもかかわってくるので、厚労省としてはお答えにくい かと思いますけれども、使用量自体が日本は高いんですか。薄く使えば、あるいは、か けてから最後、作物を刈り取るまでといいますか、時間をおけばもっと低くできる可能 性があるのか、あるいは、そういうのは日本の農業上はできないのか、その辺をちょっ とお聞きしたいんです。 ○豊田部会長  山添委員は関連のことでしょうか。 ○山添委員  今、使用形態のお話をなさったんですけど、僕も実際のことはよくわかりませんが、 日本の場合は、きゅうりとか、いちごというのはビニールハウスで栽培することが結構 ありますよね。そうすると雨にかからないですね。雨で農薬を散布しても落ちない。中 の場合は全然水分の供給の仕方が違いますね。そうすると洗えないということもきいて いるのかなと、僕はこのデータからは少しそう思ったんですけれども。 ○豊田部会長  課長お願いいたします。 ○中垣基準審査課長  今御指摘のございましたきゅうり、いちご、ぶどうについてでございますけれども、 先ほど事務局から御説明しましたように、認めようとしておる使用方法が異なる。その ために試験をやってみると残留量が我が国で高い。ただ一点、米谷委員の御意見、事実 関係だけ確認させていただきますと、残留試験がありますのは、32ページの表のとおり でございまして、34ページの表というのは、例えば小豆についても残留試験結果はある けれども、この場合にアメリカの基準値を参考にこの基準値をつくったということか ら、作物残留試験欄というのは空欄にさせていただいております。すなわち、作物残留 試験結果があるものがすべて高いということではないという、その点はお断りしたいと 思います。  2点目、申し上げなければならないと思いますのは、要は最終的に推測される農薬の 摂取量がADIを上回る懸念があるのかないのかということなんだろうと考えておりま す。すなわち、いろんな使用方法を認めることによって、健康危害の可能性が高いと、 蓋然性が高いということでございますれば、当然のことながら、基準値を強制的にでも 引下げる、あるいは基準値をつくらない。ポジティブリストでございますからつくらな いということも、当然のことながら我々は考えなければいけませんし、先生方の御意見 を伺いたいと思うわけでございます。  一方、ADIの範囲内にあるということであれば、ある程度日本農業の現状というの も、あるいは試験結果があれば認めていかざるを得ないのだろうというふうに考えてい る次第でございます。  以上でございます。 ○豊田部会長  ただいまのことにつきまして、他の委員の方から何か御意見ございますでしょうか。  他にはございませんでしょうか。これは確かに米谷委員から御指摘のとおり、この 表、リストだけを見ますと、単純に外国の基準値と比較いたしますと、やや突出した感 は否めないという感じがいたしますけれども、実際の我が国における散布、使用状況の 例、残留試験の状況を見ますと、このようなデータが出ているということがまた紛れも ない事実であるということですね。それからまた、先ほど山添委員の方から御意見がご ざいましたように、我が国における栽培の形態というものが若干異なっているであろ う。フィールドで行っている場合と、そうでない場合もあるであろうというようなこと も、当然、我が国の場合はやや違う形で使用されている場合が多いということを鑑みま すと、こういったような残留のデータが出ているのであろうということは、大体理解で きるようになってきているわけでございます。そういたしますと、ここら辺の先ほどの トータルとしてのいわゆる摂取量ですね、そういったものから考えていきますと、先ほ ど課長の方から御意見がございましたように、その範囲内におさまっているということ でございます。  今お話になりました、いちごとか、ぶどうとか、あるいはきゅうりとか、こういった ものにつきましては、摂取量の方からだと思うんですけれども、それほど、たしか後ろ の方から見ますと、それほど多くなっていない。掛け算する部分が非常に少なくなって いるということで、全体への寄与は少なくなっているということではないかと思いま す。  何か御意見ございますでしょうか。  ほかにももし何か御意見があればと思いますけれども。山添委員お願いします。 ○山添委員  本来はここの場での議論ではなくて、食品安全委員会の議論かもわからないんですけ れども、21ページのところに甲状腺の影響についての記載があります。これを甲状腺が んを含めて、これは薬物代謝酵素の誘導が起きる現象であって、これはラットに特有の 現象であるというふうな結論が得られているわけですね。そのことに関しまして、実 は、多分、今日配られていないと思うんですが、農薬抄録を事前に資料をいただいてお ります。その資料のところの成績の結果を拝見しますと、実はBRODと書かれている 174 ページのところがありまして、そこのところに、酵素誘導の上がり方に性差があり まして、雄と雌でかなり違いがあります。雌でどちらかというと七、八倍、雄に比べて 上がっているんですね。ところが、実際のその前のページのところのTSH、甲状腺の ところへの影響については雄の方が強く出ていまして、必ずしもフィードバック機構で 単純には説明ができないのではないか、この数字を信じますと。  実を言いますと、ひょっとすると、データから見ると、雌で一桁数字が違っているの ではないかという気がいたします。それをここの委員会ではなくて、ほんとは食品安全 委員会なんですけれども、確認をしていただきたい。それで間違っているのであれば、 それで了承いたします。 ○豊田部会長  事務局お願いします。 ○事務局  事務局の方から、安全委員会の事務局の方に今いただきました御意見について確認を させていただきます。また、先生の方に御返答申し上げるという形にさせていただきま す。 ○豊田部会長  ありがとうございます。そういういつもどおりの方法でよろしくお願いいたします。  それから、あとちょっと教えてほしいんですけれども、34ページと35ページのところ に、先ほど動物について基準値を設けるというようなことがございましたけれども、こ れは実際にアメリカ等のデータで、こういったものに何か残留したとかというようなデ ータというのはあるんでしょうか、ないんでしょうか。 ○事務局  ちょっとお時間をいただきたいと思います。 ○豊田部会長  わかりました。吉池委員お願いします。 ○吉池委員  摂取量に関してですが、国民栄養調査のデータが11月の調査データということで、多 くの農作物がある中で、年間の平均摂取量から比べると、過大に評価されるものもあれ ば、過小に評価されるものもあると思われます。今回アメリカの基準から比べて高めに 設定され、登録基準案が提案されている「いちご」と「きゅうり」と「ぶどう」に関し て言うと、恐らく、どれも年間の平均摂取量よりもやや過小に11月では評価されている という可能性も若干考慮に入れなければいけないのかと思います。 ○豊田部会長  ありがとうございます。今、吉池委員が国民栄養調査の実施時期というものにちょっ と触れていましたけれども、確かにこの国民栄養調査というのは、一見、非常にあまね く1年間にわたって調査しているように思うんですけれども、実際にはそうではない状 況にあるということでございますので、そういった時期による影響というものが少しあ るのではないか。私も実際にこれを今話題になっているいちごというと、やはり時期が ございますね。それから、ぶどうも時期がございますということも少しは気になってい たところでございますけれども、課長お願いいたします。 ○中垣基準審査課長  私から言うよりも、吉池先生から言っていただいた方がいいのかもしれませんが、確 かに国民栄養調査の時期的な問題というのは、事務局といたしましても問題意識を持っ ております。その上でいろんな試算をしておるというのが1点。  2点目には、いつまでも問題意識ばかり持っていてもしょうがないので、昨年から春 夏秋冬、4シーズンについて、吉池先生のところの研究所、すなわち独立行政法人国民 健康栄養研究所にお願いし、データをとっているところでございます。その結果がまと まれば、我々がこういった農薬あるいは動物薬、添加物の試算にしております食品摂取 量についても、新たな数字を御提案できるのだろうというふうに考えておりますし、そ のような形で、また、いわゆる摂取量の評価をしていきたいと考えております。  一方では、どうしても基準をつくるときの試算には限界がございますから、基準をつ くって流通が始まった後の調査、また、これは米谷先生のところの国立医薬品食品衛生 研究所を中心にお願いせざるを得ないのだろうと思っておりますけれども、マーケット バスケット調査にも力を入れていきたいと考えておるところでございます。  以上でございます。 ○豊田部会長  先ほどの件、お願いします。 ○事務局  私が今手元に持っているのがアメリカのフェデラル・レジスターの昨年7月に出た評 価ですけれども、ボスカリドについての暴露評価のレポートを今見ましたけれども、個 別に肉について、残留のデータというのはここには載っておりませんので、ちょっとそ の点については確認をして御返答するという形にさせていただきます。ただ、数字を見 ますと、それからあとアメリカの例で評価を見ますと、単に食用の作物だけではなく て、飼料用となるような部分についても残留基準が設定をされているところを見ます と、それからあと、部位によって基準がそれぞれ違っているということからすると、あ る程度何らかの根拠に基づいて設定されているものだと。いずれにしても、確認をして 御返答申し上げます。 ○豊田部会長  わかりました。ありがとうございます。  さて、先ほどの件につきましては、先ほど課長の方からちょっとお話がございました ように、現在、摂取量については、またいろいろ調査が行われているところであるとい うことなので、それを勘案いたしますと、それができ上がった段階で何らかの見直しが あるのかというような感じもいたしますので、そういったことからすると、少し高め に、要するに残留試験からしては高めに設定はしているけれども、将来的に見直すとい うことを考えに入れると、これでどうかなと。一応ここでも認めてもいいのかというふ うに私は思ったんですけれども、ほかの御意見ございますでしょうか。  それでは、特に御意見がなければ、本報告案をもちまして、当部会の報告とさせてい ただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。               (「異議なし」と声あり) ○豊田部会長  それでは、異議ないという皆様の御了解をいただきましたので、ありがとうございま す。  それでは、本報告案をもって当部会の報告書としたいと思います。事務局から今後の 手続につきまして、説明をお願いいたします。 ○事務局  本件につきましては、食品衛生上の修正が必要でなければ、本報告案を部会報告書と いたしまして、今後WTO通報及びパブリックコメントを求めまして、所要の手続を終 了した後に、食品衛生分科会に諮る予定としております。 ○豊田部会長  ありがとうございました。では、そのようにさせていただきたいと思います。  それでは続きまして、動物用医薬品の鶏伝染性気管支炎生ワクチン、豚ボルデテラ感 染症精製・豚パスツレラ症混合不活化ワクチンについて、資料2及び3に基づき事務局 から御説明をお願いします。この動物用医薬品の基準案の作成に当たりましては、関係 委員に既に資料等について御検討いただいているところでございます。  それではよろしくお願いします。 ○事務局  それでは資料2と3につきまして御説明させていただきます。  まず、資料2−1を御覧いただければと思います。これは平成16年4月8日付けで農 林水産大臣から厚生労働大臣あてに、「動物用医薬品の承認に係る意見について」とい うことで意見を求められているものでございます。  内容につきましては、本文の1行目の終わりから記載されておりますけれども、動物 用医薬品の承認に関しまして、薬事法第83条第1項により読み替えて適用される薬事法 の第14条第2項第2号(残留性の程度に係る部分に限る。)に該当するかどうか、すな わち食品等に残留して人の健康に害があるかどうかというところについて意見を求めら れているものでございます。  本日御審議いただく品目につきましては、「記」の下に記載されているものでござい ます。1つ目が鶏伝染性気管支炎生ワクチン、商品名は「“京都微研”ポールセーバー IB」というものと、豚ボルデテラ感染症精製(アフィニティークロマトグラフィー部 分精製)・豚パスツレラ症混合(油性アジュバント加)不活化ワクチン、商品名が「ス ワイバックARコンポ2」の2品目でございます。  次に、2ページ目を御覧いただければと思います。これも農林水産大臣からいただい ているものでございまして、「動物用医薬品の使用基準の設定に係る意見について」と いうものでございます。本日御審議をいただく2品目につきまして、使用者が遵守すべ き基準を定めることについて意見を求められているものでございます。また、これらの 通知を受けまして、厚生労働大臣から食品安全委員会あてに食品健康影響評価の依頼を しているものでございます。  それでは、鶏伝染性気管支炎生ワクチンの方から説明させていただきたいと思いま す。3ページを御覧ください。資料2−2でございます。「鶏伝染性気管支炎生ワクチ ンの食品健康影響評価について(案)」ということで、これは食品安全委員会の専門委 員会での審議が終了しまして、現在パブリックコメントを募集しているというものでご ざいます。  1番としまして、鶏伝染性気管支炎についての説明が記載されております。鶏伝染性 気管支炎は鶏を自然宿主とする急性の呼吸器病で、ウイルス感染症ということでござい ます。ウイルスは空気伝播、あるいは汚染された養鶏器具や人に付着して伝播する。伝 播力は非常に強く、我が国でも鶏群間にまん延し、常在化している。呼吸器症状の他 に、産卵異常、腎炎、卵管炎、下痢等を示す。感染しても不顕性感染で終わるか、軽い 症状で済むことが多いが、幼齢のものでは症状が激しく、死亡率も高くなる。また合併 症による発育障害や幼雛期の感染で無産卵鶏となる場合がある等、経済的被害が大き く、家畜伝染病予防法の監視伝染病(届出伝染病)に指定されているということでござ います。  2番といたしましては、今回、農林水産省に申請があった「“京都微研”ポールセー バーIB」についての説明が記載されているところでございます。これは国内で分離さ れたIBV、このウイルスでございますけれども、これを継代培養とプラーククローニ ングにより純化・弱毒化し、乾燥させたものを主剤としまして、使用方法としまして は、所定の溶解用液または精製水で溶解後、点眼、点鼻あるいは散霧接種、さらに飲水 投与して使用されるというものでございます。  国内での使用状況につきましては、2パラ目になりますけれども、ウイルス株は異な りますが、数種の生ワクチンが承認されて市販されているということでございます。  添加剤につきましては、次のパラグラフでございますけれども、ここの製剤の乾燥ワ クチン中に保存剤としてベンジルペニシリン、ストレプトマイシン、カナマイシンが微 量含まれているということでございます。しかしながら、これらはいずれもヒトの医薬 品として長い使用実績を持つ他、その1羽あたりの使用量も最大でもヒトにおける使用 例の1000分の1である。また、ベンジルペニシリン、ストレプトマイシンは我が国、そ れからJECFAで、カナマイシンについては欧州医薬品審査庁でADIの設定が行わ れておりまして、これと比較すると、1羽あたりの使用量は、少なくとも数百分の1未 満であるということでございます。  次に3番でございますけれども、ポールセーバーIBの安全性に関する知見等につい てでございます。ここにヒトに対する安全性についての記載がございます。この製剤に つきましては、申請にあたりまして、ヒトに対する直接的な病原性等の検討は行われて いない。しかしながら、このウイルスがヒトに感染したという事例はこれまで報告され ておらず、人獣共通感染症とはみなされてはいないというものでございます。  4ページからは、製造用株の生物学的性状等、それから5ページに行きまして、鶏に おける安全性試験、臨床試験についての試験結果が記載されているところでございま す。  6ページにまいりまして、「食品健康影響評価について」というところを御覧くださ い。これは食品安全委員会の専門調査会の方でとりまとめられております案でございま すけれども、主剤は鶏への感染性を有する生ウイルスであるが、鶏伝染性気管支炎ウイ ルスは種特異性を有し、人獣共通感染症とはみなされていない。また、ヒトに感染した 事例も報告されておらず、ヒトへの病原性はないと判断される。  また、製剤には乾燥ワクチンの保存剤として、ベンジルペニシリン、ストレプトマイ シン、カナマイシンを含有しているが、いずれも極めて微量であり、含有成分の摂取に よる健康影響は無視できると考えられる。これらのことから、この製剤が適切に使用さ れる限りにおいて、食品を通じてヒトの健康に影響を与える可能性は無視できるものと 考えられるという案が示されているものでございます。  それでは8ページの方を御覧ください。資料2−3、この部会の報告案について御説 明させていただきます。  1番といたしまして、品名:鶏伝染性気管支炎生ワクチン、それから商品名:”京都 微研" ポールセーバーIBということで記載させていただいています。  2.用途としましては鶏伝染性気管支炎の予防。その下の記載につきましては、先ほ ど御説明させていただいた内容と同様です。鶏伝染性気管支炎について記載させていた だいているところでございます。  3.主剤といたしましては、発育鶏卵培養弱毒鶏伝染性気管支炎ウイルス。  4.適用方法及び用量でございますけれども、本品1バイアル(1,000羽分)を30mlに 溶解した後、1羽分を点眼、点鼻、あるいは散霧接種する。また、さらに鶏の飲水量に 応じた液量の飲料水で希釈して飲水投与する。  散霧接種では、粒子の直径が100 μm 〜300 μm 前後になるように散霧機を調節し、 一定時間に噴射される液量より1羽分が1羽に噴射される計算で乾燥ワクチンを精製水 で溶解する。均等に分散収容された鶏の上方約50cmの高さから噴射液が全面に均等に落 下するように、噴射孔を下に向け噴射するという使用方法でございます。  5番の残留試験結果でございますけれども、対象動物における主剤及び保存剤等の残 留試験等は実施されていないということでございます。  6番の食品健康影響評価につきましては、9ページにまいりますけれども、先ほど御 説明させていただきましたように、評価案が公表されているところでございます。  7番にまいりまして諸外国における使用状況、このワクチンの類似品が米国及びフラ ンスにおいて販売されているということでございます。  8番残留基準(案)とございますけれども、食品安全委員会における評価結果を踏ま え、残留基準を設定しないこととして取扱うこととしたいというふうに考えているとこ ろでございます。  続きまして、資料3の説明に入らせていただきます。資料3−1を御覧ください。 「再掲」と資料3−1に書いてございますけれども、資料2と同一のものでございます ので、1ページ、2ページ目は割愛させていただきます。  資料3−2の3ページでございますけれども、「豚ボルデテラ感染症精製・豚パスツ レラ症混合不活化ワクチンの食品健康影響評価について(案)」ということでございま して、これにつきましても、食品安全委員会の専門調査会の方で審議を終了して、現在 パブリックコメントを募集しているというところでございます。  一番、豚ボルデテラ感染症の記載がされているところでございますけれども、豚ボル デテラ感染症としましては、豚萎縮性鼻炎(AR)というものがございます。ARは、 鼻甲介の萎縮性病変を特徴とする慢性疾病で、進行すると上顎の短縮や鼻曲がり等の顔 面の変形が認められる。この病気は伝染性が強く、致死率は低いものの、発育遅延や飼 料効率低下が起こり、経済的損失が大きい。原因菌はボルデテラ・ブロンキセプチカ (Bb)というものでございます。  次に、2といたしまして豚パスツレラ症の説明が記載されてございます。豚のパスツ レラ症としてはパスツレラ・ムルトシダ、Pmと略されておりますけれども、これによ る肺炎とAR(豚萎縮性鼻炎)が知られているところでございます。  3番でございますけれども、今回農林水産省に申請のありました商品名:スワイバッ クARコンポ2についての説明でございます。  4行目あたりに記載がございますけれども、Bb培養上清をアフィニティークロマト グラフィーにより部分精製したBb産生シアル酸結合型赤血球凝集素を主剤とする乾燥 ワクチンを、Pm菌体破砕上清をホルムアルデヒドで不活化させたものを主剤とし、ア ジュバントを含んだ希釈用液に溶かした液状不活化ワクチンと混合して、豚の耳根部又 は臀部筋肉内に注射して使用されるというものでございます。  続きまして、添加剤についての記載のところを御説明させていただきます。このペー ジの下から9行目あたりにございますけれども、この製剤には添加剤が数種含まれてい るとの記載がございますけれども、そのうちのアジュバントとして含有されている流動 パラフィン、不活化剤として使用されたホルムアルデヒドについては、過去に食品安全 委員会の動物用医薬品専門調査会において、ワクチン中の含有量等を考慮し、摂取によ る健康影響は無視できる範囲であるという評価が行われているというところでございま す。  その他に、アジュバントとしてオレイン酸エチルが含有されておりますけれども、こ れにつきましてはヒト医薬品や食品添加物として使用実績がある他、通常の食物中にも 含有されている。さらに、ラットにおける代謝及びヒトの臨床知見から、食品添加物を 含め通常含有されるレベルの量の食物中のオレイン酸エチルは問題ないとする報告があ るとされております。  そのほか保存剤としてチメロサール( エチル水銀を含む) が含有されておりますけれ ども、4ページを御覧ください。チメロサールにつきましては、2行目でございますけ れども、2003年にWHOにおきまして、「ワクチンに含有されるチメロサールに暴露さ れた幼児、小児、成人に毒性があるとする証拠はない」との声明及びQ&Aが出されて いる。  それから、6行目あたりになりますけれども、欧州医薬品審査庁におきまして、通常 動物用ワクチンに用いられる用量でヒトに明白なリスクはないと考えられるとして、ワ クチンの保存剤に限り0.02%を超えない濃度で利用する限りMRLを求める必要はない とされているということでございます。  なお、この製剤に含有されているチメロサールの量はこれを下回っているということ でございます。  4番でございますけれども、スワイバッグARの安全性に関する知見等について、ヒ トに対する安全性についての記載がございます。  この製剤につきまして、ヒトに対する直接的な病原性等の検討は行われていないとい うことでございます。Bbは免疫力の低下したヒトに対し日和見感染すること、Pmは ペット等の咬傷や掻傷から感染することが知られている。しかしながら、このワクチン に含有される主剤は、Bbについては培養上清の部分精製物、Pmについては菌体破砕 上清を不活化したものであり、いずれも感染力を有しているものではないというふうに されております。  それから、安全性試験については、豚における安全性試験以降に豚におけるアジュバ ント消長確認試験について記載されているところがございます。  5ページに、接種反応消失時期確認試験というのが実施されておりますけれども、こ れは後ほど資料3−3のところで説明させていただきたいと思います。  6ページにまいりますけれども、5番の食品健康影響評価についてでございます。  本文の3行目あたりからでございますけれども、主剤は生菌体を含まず、かつ毒素も 不活化処理されていることから、主剤のヒトへの病原性は無視できると考えられる。  また、製剤に使用されているアジュバント等の添加剤については、いずれも国内もし くは国外において医薬品や食品添加物としての使用実績があり、既存の毒性評価とワク チンの接種量を考慮すると、含有成分の摂取による健康影響は無視できると考えられる とされております。  接種部位の局所反応については、4週以降では肉眼的にはワクチン接種の影響はほと んど消失した。10週以降では病理組織学的検査でも修復性変化を主体とする局所反応が 軽度から消失となった。  このことから、この製剤が適切に使用される限りにおいて、食品を通じてヒトの健康 に影響を与える可能性は無視できるものと考えられると評価されております。  しかしながら、ただし書としまして、留意すべき事項が記載されておりまして、局所 反応の所見から「と畜場出荷前10週間は注射しないこと」とするべきであることという ふうにされているところでございます。  それでは、資料3−3、8ページの方を御覧ください。こちらが当部会の報告案でご ざいます。  1番、先ほどと同様に品名、それから商品名を記載させていただいております。  2番、用途としましては、ボルデテラ・ブロンキセプチカ及び毒素産生パスツレラ・ ムルレトシダの混合感染、またはそのいずれかの菌の感染による豚の萎縮性鼻炎の予防 でございます。その下に先ほどの御説明させていただきましたが、豚萎縮性鼻炎等の説 明を記載させていただいております。  3番、主剤でございますけれども、ボルデテラ・ブロンキセプチカ菌由来シアル酸結 合型赤血球凝集素とパスツレラ・ムルトシダ菌抽出抗原でございます。  4.適用方法及び用量につきましては、豚の耳根部又は腎部筋肉内に注射する。成豚 では、1回1mlを2〜3週間隔で2回注射する。ただし、2回目の注射は分娩予定の約 1か月前までに注射する。次回以降の繁殖期に行う追加注射は、1mlをその分娩予定の 1か月前に1回注射する。子豚では、生後5週齢以降に1ml、その2〜3週後さらに1 mlを注射するということでございます。  5番の残留試験結果でございますけれども、5週齢から36週齢、これは妊娠豚でござ いますけれども、これらを用いた接種反応消失時期確認試験が実施されております。接 種部位の接種反応消失時期について肉眼的所見及び病理組織学的検査が行われて検討さ れているところでございます。  肉眼的所見では、単回接種後2週間における剖検所見で接種週齢にかかわらず半数に 筋組織の軽度の白色化が認められたが、接種後4週以上が経過した部位には肉眼的異常 は認められなかった。反復接種でも、最終接種後4〜11週における肉眼所見に異常は認 められなかった。  病理組織学的検査では、耳根部において単回接種2週後の組織では、筋繊維の萎縮、 肉芽腫、繊維化は軽度〜重度を示した。これらの病変は接種後10週にはすべて消失〜ご く軽度、12週経過後には消失となった。生後36週齢の妊娠豚を用いた場合は接種後13週 の部位においてごく軽度〜軽度の肉芽種、消失〜ごく軽度の線維化が認められた。2回 反復接種では、接種後11週の妊娠豚腎部で筋繊維の萎縮は消失〜ごく軽度、肉芽種は軽 度〜中程度、繊維化は消失〜軽度であったという結果でございます。  6番にまいりまして、食品健康影響評価でございますけれども、先ほど御説明差し上 げましたように、適切に使用される限りにおいて、食品を通じてヒトの健康に影響を与 える可能性は無視できるものと考えられる。  ただし、留意事項として、局所反応の所見から「と畜場出荷前10週間は注射しないこ と」とするべきであることというふうに案がされております。  10ページにまいりまして、7番諸外国における使用状況でございますけれども、当ワ クチンの類似品が米国、英国等において販売されている。  8番の残留基準(案)でございますけれども、食品安全委員会における評価結果を踏 まえまして、残留基準を設定しないこととする。ただし、使用にあたりましては、留意 事項として記載されておりますこと、食品安全委員会における食品健康影響評価結果に 基づき休薬期間を設定するとともに、本休薬期間が適切に遵守されるよう農林水産大臣 あてに通知することが適当であるとして取扱うこととしたいという案でございます。  以上でございます。 ○豊田部会長  ありがとうございました。それでは、以上の報告案について御質問、御意見等をお伺 いしますけれども、資料2と資料3がございますので、順番としましては、最初に資料 2についての方が無難かなと思いますので、もし資料2について何か御意見がございま したらお願いいたします。 ○米谷委員  本剤はワクチンですけれども、それの保存剤として、この部会でも扱っています抗生 物質というか、そういうものが保存剤として入っているというものでございます。食品 安全委員会の方の報告、3ページ目のところでは、1番に当たる使用量も最大でも人に おける使用量の1,000 分の1程度であるということで、ごく微量であるから問題はない ということでございますけれども、これは本当に保存剤として使っているのか、極端に 言えば、何か相乗効果的なものがあるのかないのか、その辺がちょっと興味深いといい ますか、どうかなというふうには感じました。作用上、本当に保存剤として使っている のか、それとも何らかの作用があるのかどうか、これを化学物質で代用できないのか、 その辺のことで何か知見がありましたらお教えいただきたいんですけれども。 ○豊田部会長  補足の説明がございますか。お願いいたします。 ○農林水産省  農林水産省でございます。  この製剤に入っています抗生物質なんですけれども、保存剤というよりかは、むし ろ、このウイルスを培養する際の培養液、これにバクテリアがコンタミしないように、 コンタミしても増えないようにというために必要最低限に入っている抗生物質でござい ます。これは、私どもが出しています動物用生物学的製剤基準という、薬事法の42条に 基づく基準があるんですけれども、その中でも必要最低限の抗生物質の添加は認められ ている形になっています。そういう形のものでございます。したがいまして、相乗効果 というものをねらっているものではございません。 ○豊田部会長  わかりました。米谷委員、それでよろしいでしょうか。 ○米谷委員  はい。 ○豊田部会長  ほかにございませんでしょうか。  特になければ、資料3の方につきまして何かございますでしょうか。米谷委員お願い します。 ○米谷委員  これも添加剤の方についての質問なんですが、添加剤については、国内あるいは国外 において医薬品や食品添加物としての使用実績があるということで、もちろん医薬品に つきましては医薬品添加物規格がありますし、食品添加物につきましては食品添加物の 規格がありまして、食品添加物公定書に収載されています。ですから、そういうものを 使わないといけなということになっておりまして、これまで、私、両方に関与してきた 人間としてちょっと気になりますのは、こういうふうな動物用医薬品ですと、名前がそ ういう化合物であれば規格がないものでもいいのか、それとも、動物用医薬品の添加剤 としての規格をお持ちなのか、その辺をちょっと確認だけさせていただきたいんです が。 ○豊田部会長  ただいまの御質問につきまして、何かございますか。 ○農林水産省  今の御質問は、この製剤に含まれていますアジュバントとしての成分についてかと思 いますが、まず、動物用医薬品としての規格というものはありません。あくまでもこれ は医薬品添加物ですとか、食品添加物の規格ということで中身を審査しています。基本 的に医薬品添加物ですとか、食品添加物の規格に入ってものであれば、まず安全であろ うという前提のもとで審査をしておりまして、その中で、具体的にはその安全性試験の 中で、接種部位での反応というものを見て出荷制限というものを定めているということ でございます。 ○豊田部会長  ただいまでのよろしいですか。 ○米谷委員  確認なんですが、医薬品添加物規格なり食品添加物規格をパスした規格品を使うとい うことなんですか。 ○農林水産省  基本的にはそういうことになると思います。 ○米谷委員  どうもありがとうございました。 ○豊田部会長  ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。 ○井上(松)委員  類似品が欧米あるいはアメリカに出ていると書いてありますね。それはつくり方の、 生成の方法が同じようでつくった類似品なのか、あるいは何が類似なのか。 ○農林水産省  食品安全委員会さんの方の文章なんですけれども、恐らく、こういうボルデテラを予 防するワクチンですとか、パスツレラを予防するワクチン、こういったものが世界的に 使用されているということだと理解しています。 ○豊田部会長  よろしゅうございましょうか。大野委員お願いします。 ○大野委員  この辺の毒性実験のやり方は、よくわからないので教えてほしいんですけれども、こ の報告書の5ページのところの安全性試験を豚について各3頭ずつやっていますね。そ の下の接種反応消失時期確認試験だと、5週齢で27頭とか、6週齢で36頭とか、そうい うかなり多数の動物を使っていますね。医薬品の方の感覚でみると、安全性試験の方が 多数の動物を使うというような感覚なんですけれども、どうしてこういうふうに違いが あるのかということと、接種の5週齢には27頭、6週齢では36頭と非常にばらついてい るのはなぜなんだろう。GLP上で見ると、途中で実験をやったのが抜けているんじゃ ないかと、そういうような疑惑が出てきちゃうんですけれども、そういうのはいかがな んでしょうか。 ○豊田部会長  毒性試験の方法論についてちょっと御質問がございましたけれども。 ○農林水産省  今の5ページの育成豚における安全性試験というのは、私どもがこういった動物用の ワクチンについての安全性試験としてのガイドラインを出しておりまして、その中で通 常1群3頭で常用量と高用量、それから無接種対象ということで試験をして、この製剤 の対象動物に対する安全性を見てくださいよということをガイドラインで示しておりま して、それに基づいた試験になってございます。  それから、その下の接種反応消失時期の確認試験というのは、これはそれとは別に接 種反応についての確認試験を実施しておりまして、その中では、こういう細かい週齢 等、たくさんの頭数で実施をしているというふう理解しています。 ○豊田部会長  その後半の部分のところ、確認試験の何頭以上でなければいけないとか、そういうこ とが決まっているんでしょうか。 ○農林水産省  後段についてはないと思います。 ○豊田部会長  特にないんですか。 ○農林水産省  はい。 ○事務局  頭数については、申請者の試験の関係もございますので確認をさせていただきます。 ただ、先ほども御説明がありましたように、農林水産省で定められているガイドライン に基づいて、少なくとも最低そのラインに基づいて試験をされているということでござ います。 ○大野委員  安全性試験が大型動物については3頭ぐらいというのは、医薬品なんかもそうなの で、そうなのかなと思って今まで安全性試験のデータを見てきたんですけれども、大型 動物を使うのはお金もかかるし、動物愛護の問題もあるので仕方がないと思っていたん ですね。ところが、こちらの方で非常に多数の動物を使われるのだったら、安全性試験 の方は、もっと多数の動物を使ったらより信頼できるデータが得られるんじゃないかと いうふうに思ったんですけれども、ただ、安全性試験の場合には、試験が終わった後、 全部殺して、各臓器に対するいろんな影響を見なくちゃいけないんですけれども、この 後半の試験は、場合によってはそういうことをしないで、表面だけを見るだけで、あと 実際にほかの目的にも使えるのかなというふうな感じをしたんですね。齢数がこれだけ 違うというのがどうも理解できない。 ○農林水産省  今、大野先生がおっしゃられましたとおり、前段の試験はかなりきっちりとした飼育 環境で、細かい検査項目を設けて、このものの安全性というものを評価しなさいとい う、ある意味で厳しい内容のガイドラインになっています。当然それに基づいて試験を いたしますと、あまりたくさんの動物を使って試験をするというのが、実際上無理にな ってきますので、1群3頭ぐらいが豚の場合には最大限なのかなというふうに理解して います。  後段の方の試験は、ある意味、各製剤によってオプショナルでやられるものでありま すので、この製品については、こういう形で接種部位での試験をしたという形でござい ます。 ○豊田部会長  わかりました。よろしゅうございましょうか。 ○大野委員  結構です。 ○豊田部会長  そのほかにございますでしょうか。  特になければ、それでは御意見がないようでしたらば、本報告案をもちまして、当部 会の報告とさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。               (「異議なし」と声あり) ○豊田部会長  それでは異議なしということで、ありがとうございます。それでは、本報告案をもち まして、当部会の報告書としたいと思います。  事務局から今後の手続について説明をお願いいたします。 ○事務局  本件につきましては、食品安全委員会からの正式な通知を受けた上で、修正がなけれ ば、本報告書案を部会報告書としまして、食品衛生分科会に報告するということと、農 林水産省の方に通知をする予定としております。  以上です。 ○豊田部会長  それでは、よろしくお願いいたします。  それでは、議題2の「食品中に残留する農薬等へのポジティブリスト制の導入につい て」の方に移りたいと思います。  この暫定基準、第一次案と言われるものにつきましては、4月の部会で主な意見の途 中まで審議いただいたところでございますが、本日は引き続き御審議いただきます。  それでは、資料4につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。 ○事務局  資料4に基づきまして御説明をさせていただきたいと思います。  前回御審議いただいた点、大きな4番「暫定基準の設定方法について」というところ の途中まで御審議いただいたと思うんですが、御審議いただいた内容、御指摘いただい た内容を踏まえまして、1から4番までのところで再度事務局で精査をいたしまして、 語句の訂正等をさせていただいております。  まず、4番までのところで、訂正箇所について御説明をさせていただきたいと思いま す。  資料4の1ページ目、この点については語句の修正となっております。  2ページ目、こちらも特に大きな修正ではなくて、フェニトロチオンについて特段の 取扱いをする必要はないと考えているということを明記させていただいております。  それから3ページ、1-7.になりますが、コメントの趣旨が若干違っておりまして、 1-7.の(1) ですが、世界に現存するすべての農薬を対象するべきではないかというよう な御指摘をいただいております。それから、(3) といたしまして、総農薬摂取量を減ら すため、総農薬基準を決めるべきと。  回答案といたしましては、この青色の字のところが追加になっておりますが、今回の ポジティブリスト制では、すべての農薬が規制の対象となっている。これらの暫定基準 の設定にあたっては、科学的なデータに基づき評価を行い、基準を設定しているという ふうに申し出があった国々について、調査検討の上、参考にすることとした。それか ら、暫定基準をリスク評価に基づき、見直す際には、国民の食生活をもとに基準値の設 定を行うこととしています。  さらに、(2) の御指摘ですが、生物を用いた試験法については、現段階で実用化でき るようなものがあるとは考えていない。なお、個々の毒性、物質ごとに毒性・物性等が 異なることから、国内的、国際的にも原則として、個々の農薬ごとに基準値を設ける方 策がとられているというふうに記載をさせていただいております。  次に5ページにまいりまして、一般規則案( ポジティブリスト制導入に係るの暫定基 準の規則(案))ですが、参考資料といたしまして、参考資料1というものが別にホチ キスでとめたものが付いていると思うのですが、こちらの方の7ページになります。こ れがパブリックコメントを求めた際の「ポジティブリスト制の導入に係る暫定基準の規 則(案)」、ここについてのコメントをここに集約させていただいております。  資料4に戻らさせていただきまして、2-1.になりますが、追加をさせていただいてお ります。  御指摘の点といたしましては、一定量を定めるのではなくて、検出限界量として規制 するべきではないかというような御指摘をいただいておりまして、なお、検出限界をも って規制するという方策は、科学技術の進歩により検出限界は変わり得るものであるこ と。人の健康危害のおそれと係わりなく検出限界を採用することは 過剰な規制になり かねないなどから、平成15年5月、昨年の5月の法改正において採用されていないとい うことを追加させていただいております。  2-2.の(3) は、規則案に関することはございませんでしたので、別途掲載をさせてい ただいております。  6ページ、抗生物質の点について若干追加をさせていただいております。含有しては ならないという規定については、そのまま残したいというような御説明をさせていただ いたところですが、そのほかの農薬等と同様に、我が国の基準、コーデックスの基準、 米国の基準、これらがあるものについては、暫定基準として設定をすることとしている ということを追加させていただいております。  それから、次の7ページにまいりまして、2-5.になります。ポジティブリスト制の対 象外の物質ということで御指摘をいただいているわけですが、追加といたしまして、専 ら国外で使用される農薬等であって、ポジティブリスト制の対象外にすることを希望さ れる場合にあっては、本年2月に設けた外国使用農薬等の基準設定を要請する制度、こ れらに基づいて、必要な資料を添付した上で要請をしていただきたいということを追加 させていただいております。  それから10ページ、4番の「暫定基準の設定方法について」ということですが、御質 問の点について中身を精査いたしまして、もう少し詳細に書かせていただいておりま す。  (2) ですが、昭和47年の食品衛生調査会の考え方に沿って、現行基準、登録保留基 準、国際基準、外国基準がある場合、そのうち最小の値を採用するという原則を定める べきと。47年の食品衛生調査会の考え方というものがADIから求められる基準値、そ れから残留試験から求められる値を考慮して採用するというものであったかと思うんで すが、それらと同じように暫定基準の設定にあっても、現行基準、登録保留基準、国際 基準、外国基準、これらのうち最小の値を採用すべきであるというような御指摘をいた だいております。  また(3) ですが、国内基準がなく外国の基準が複数ある場合、最も低い値を採用すべ きと。  それから、(5) といたしまして、複数の外国基準を参考にする場合、食品業界として 実行可能なものとしていただきたい。例えば最高基準値の国の輸入占有率が多い農産物 などでは十分な配慮をしてほしい。主要輸出国の基準値を採用してほしい。  それから(7) になりますが、外国基準を採用する場合には、供給バランスに配慮し暫 定基準を設定すべき。特に幾つかの農薬では穀物の主要供給国である米国基準より低 く、それらの農薬が果たしている役割の重要性から見た上でもっと慎重に検討するべき ではないか。  (8) ですが、各基準設定根拠となったGAPを考慮し、当該国からの食品の輸入が過 去の統計から主である場合には、その数値を採用すべき。  (9) といたしまして、動物薬については従来残留なしが原則であった。しかし、外国 基準がある場合には、外国基準をもとに暫定基準を設定すべき。  それから、(10)トウモロコシは海外基準が採用された小麦よりも海外依存率が高いの で、海外基準を採用するべきというような御質問をいただいております。  回答といたしまして、詳細に回答案を作成させていただいております。特に追加にな った点について御紹介をさせていただきますと、2行目の後ろの方になりますが、コー デックス基準、登録保留基準、JMPR等と同様の科学的な方法により基準を設定され ている外国の基準を参考にこれらの暫定基準値案は定めている。具体的には次のとお り。  まず、我が国がWTOに加盟していることに鑑み、コーデックスがある場合にはこれ らの採用している。  次に、コーデックスがない場合であって、農薬の登録保留基準など我が国で設定され た基準がある場合にはこれらを採用することを基本としている。これらの基準について は、我が国の環境省や農林水産省において農薬の登録等にあたって用いられてきたもの であって、毒性試験結果や残留試験結果等に基づき科学的に設定されたものと考えてい る。他方、参考とした外国基準については、これらの試験結果を入手していない。した がって、我が国の環境省や農林水産省が毒性試験結果に基づき設定した基準を採用する ことは、科学的にも適切なものであって、かつ国際的な基準設定方法にも合致している ものと考えている。  また、コーデックス基準がなく、我が国で設定された基準がない場合には、外国基準 を参考とすることとしています。その際に複数の国の基準がある場合には、それぞれの 国でそれぞれの基準が国内産品はもとより輸入品にも適用されていること、これらの国 で残留試験結果等に基づいて科学的な方法によって基準が設定されているというふうに 考えられること、今回の暫定基準の設定がポジティブリスト制の導入のため数多くの農 薬を対象にしていることから、個々の農薬のADIと作物残留摂取量の検討といったリ スク分析を行うことが困難であることなどを勘案して、平均値をとることを基本として います。  その上でコーデックス基準を採用した場合には国内産品について、我が国で設定した 基準を採用した場合には、輸入品について生産、流通や農薬の使用実態等を勘案する必 要がある場合には、それぞれ国内基準あるいは外国基準を採用することとしている。具 体的には農林水産省のホームページにある各農産物ごとの自給率が低いグレープフルー ツ、レモン、パイナップル、小麦、大豆等について必要に応じて外国基準を基本としま す。また、トウモロコシについては、農林水産省のホームページには掲げられていませ んが、さらに調査の上で対応したいというふうに考えております。  また、動物薬についても上述と同じですが、加えて国内における残留試験結果等に基 づいて、農林水産省から通知された値を用いるということは、農林水産省との連携とい う観点からも望ましいものというふうに考えている。また、暫定基準について、基準値 の変更等の要望がある場合には、別途要請制度を設けているので、必要な書類を添えて 要請していただくことが可能であるというふうに記載をさせていただいております。  それから、次の12ページにまいりまして、4-3.ですが、参考とした国、5か国です が、それら以外の国を採用していただきたいというようなコメントです。特に(1) 輸入 実績のある国、輸入量の多い中国、台湾、タイなどの基準も参考にしてほしい。  (2) 韓国の基準も参考にしてほしい。  (3) は、ホップはその多くがドイツから輸入されているということで、ドイツの基準 を採用してほしいということでございます。  回答案といたしまして、2パラ目になりますが、ホップについては、その多くが輸入 であり、説明文書の図3のただし書というものになりますが、参考資料1の6ページに なります。国内登録があって外国基準がある場合、ただし書として、生産量や流通や使 用実態を勘案するという提案になりますが、これらのただし書に該当するものとして、 海外基準の採用を検討している。また、国外で使用されている農薬等については、新た な基準値設定、または基準値の変更等の要望は要請制度を設けているという点を記載さ せていただいております。  それから13ページ、4-6.になりますが、(2) といたしまして見直しの点ですが、暫定 基準の見直しはリスクアナリシスの原則に沿って、食品安全委員会によるリスク評価を 実施するとともに、その作業計画を明示するべきである。  回答案といたしまして、2パラ目のところを追加させていただいておりますが、計画 に基づき実施する予定の一日摂取量を調査結果、マーケットバスケット等ですが、これ らを踏まえ、優先順位を付した上で見直しを行うことを考えている。また、この際に は、毒性試験データ等必要な資料を収集して、食品安全委員会にリスク評価を依頼する こととしているというふうに記載をさせていただいております。  14ページ4-9.になります。(2) として、摂取量の少ないもの、その他の内蔵とか、そ ういった摂取量の少ないものについて、ADIから残留許容量を割り当てる、いわゆる フードバスケットのような考え方、これらを採用してくれないかというような御指摘を いただいております。  回答案として2パラ目になりますが、今回の暫定基準はADIの評価を行わず、コー デックス基準や諸外国の基準を参考に設定するということから、御指摘のような、AD Iから摂取量に基づいて許容量を割り当てる方式を採用することは困難であるというふ うに記載させていただいております。  次のページ、4-13. になります。例外の場合の御質問をいただいておりますが、回答 といたしまして、先ほどの留意事項、6-2.生産量等を勘案するという点ですが、これら については御説明を追加させていただいております。3-2-2 という分類がございます が、3-2-2 つきましては登録保留基準と外国基準があって、外国基準を採用するが、そ の平均値について特別な扱いをした場合という類型になっておりますが、これらについ ては、該当するものはございません。  それから、5-2 の類型ですが、外国基準を採用するものの平均値について特別な扱い をしたものということですが、これらについては、ここに記載しておりますが、これら に限られたものであって、それぞれ大きな違いがあるというふうに判断をして、これら のものを除いて、外国基準の平均を採用しているということでございます。  以上が4番、暫定基準の設定のところまでについて修正をさせていただいた点でござ います。まず、ここまでで御審議いただければと思います。 ○豊田部会長  ありがとうございました。前回に引き続いて、暫定基準に対する御意見につきまし て、その回答、「1.総合的な意見」から4番目のところまで御説明をいただきまし た。この部分につきまして、何か委員の方から御意見等がございますでしょうか。小沢 委員お願いします。 ○小沢委員  前よりはわかりやすく整理をしていただいたと思うんですが、2つほどございます。  1つは、もう少し親切にという意味では、3-3.のところに「不検出としています」と いうだけなんですが、いろんな団体が御意見をお出しになるときに、全容を理解するの はなかなか難しくて、たしか不検出は別表1という形で記されていたと思いますので、 別表1にありますというふうに書いてあげた方がより親切かなという細かな点です。  それから今回の中で、これは大変良かったと思っているんですが、暫定基準の設定方 法の4-1.の回答案のところで、まずこうするんですよ、次にこうするんですよ、また、 こうするんですよという手順をきっちり書いていただいたのがとてもよかったと思いま す。この場では、そういうふうに理解はしていても、今まで資料でフローチャートみた いな図がかかれたり、文書で書かれたりはしているんですが、例えばフローチャートの 読み方にしても、流れというか、一番最初に優先するんだよという優先の流れが非常に わかりにくかったということで、このことが全体を理解する上で非常に大事なことだと 思っておりますので、今後いろんな資料を説明されるときだとか、リスクコミュニケー ションの場などでは、まず、このことをきっちり丁寧に説明なさった方がという、余計 なことかもしれませんが、ここで入ってよかったなと思っておりますので、加えさせて いただきたいと思います。 ○豊田部会長  ありがとうございました。そのほかにございますでしょうか。  特にございませんでしょうか。  それでは、引き続きまして、前に進めるということで、5の「加工食品」以降につい て、事務局の方から御説明をお願いできればと思います。よろしくお願いします。 ○事務局  18ページの加工食品のところから御説明をさせていただきます。  まず5-1.ですが、(1) 加工食品の残留基準の考え方として、「残留基準に適合した原 材料を用いて製造され又は加工された加工食品は残留基準に適用する物とする」という ことを明確にしていただきたい。  (2) 濃縮される例(野菜ジュース等)がございますが、これらの判断基準はどうなっ ているのかという御意見をいただいております。  回答案といたしまして、加工食品については、規格基準に適合した原材料を用いて製 造又は加工された食品は、流通を可能とする。先ほどの規則案第6項に記載しておりま すが、そのように考えております。その運用にあたっては、まず一律基準を適用するも のとして、検出された値が一律基準を超えた場合には、原材料として用いた農畜水産物 ごとに設定された基準値をもとに判断をする。それでも判断できない場合には、使用さ れた原材料を確認することになるというふうに回答させていただいております。  ただし、コーデックスで基準値が設定されている加工食品については、それらを参考 に基準値を設けると。  5-2.(1) ですが、加工品で安全性が確保できるものについては、原料の基準値は要ら ないのではないかという点。  それから(2) 加工食品を原材料として使用している場合、なかなか判断でできないの で、一次農産物から最終加工品に至るまでのすべての食品に対する暫定基準を適用して いただきたい。  (3) コーデックス基準で設けているもの以外の加工食品についても基準値を定めてほ しい。  (4) 原材料の段階の規制だけではなくて、最終形態又は最終形態までのすべての段階 において判断、規制できるようにしてほしいという点をいただいております。  回答案といたしまして、1-2.総合的な御意見のところにもありましたが、従来から原 材料について基準を設定していたところでありまして、加工食品の基準値の設定に当た っては、使用される原材料やその使用割合、加工方法等によって残留の量が異なるとい うことがあることから、コーデックス基準が設定されている加工食品のみを暫定基準の 対象としている。基本的には、原材料で管理をするということを考えておりまして、ポ ジティブリスト制を採用している米国等においても、同様な取扱いになっているものと いうふうに理解をしているところです。  5-3.残留基準の決められていない原料を使った加工食品はどのように考えるかという 点ですが、ポジティブリスト制自体は加工食品を含めてすべての食品が対象となります ので、残留基準の決められていない食品は、一律基準の対象となるということです。  5-4.栄養補助食品等生薬や植物成分を濃縮したもの、生薬エキス等は、欧州では一部 医薬品として流通しているものがあって、ヨーロッパ薬局方4局を基に基準が設定をさ れているので、これらを参考に検討してくれないかということですが、農薬等の国際基 準の評価を行っているJMPR、JECFAと同等な科学的な評価、データに基づいて 評価を行い基準を設定しており、さらに、これらのデータについて提供可能であると申 し出があった基準を参考にしているところでございまして、今回の医薬品分野の公定書 であるヨーロッパ薬局法を採用することは必ずしも適当ではないというふうに考えてお ります。  それから、5-5.加工食品について、原材料の残留基準を参考に管理をするということ ですが、2行目の後ろの方にございますが、その際の“加工とみなす”/“加工でない ”の定義を明確にしてほしい。  それから、中段のところあたりにございますが、“抗生物質・合成抗菌剤について、 含んではならない”という規定になっているが、これらについてはどうなるのかという ような御意見をいただいております。  回答案といたしまして、ポジティブリスト制度は個別の基準値が設定されている場合 を除いて、一律基準を超えて検出はならないということとされています。一律基準を超 える農薬等が検出された場合、当該食品の適否は使用された原材料が基準を満たしてい るかどうかによって判断することとしているので、その食品が加工とみなされるか、み なされないかによって判断されるものではない。したがって、基準値表の食品分類にあ る食品に遡って判断がされるということでございます。  それから、抗生物質・合成抗菌剤についてですが、規則案の1、2に記載しておりま すが、例えば濃縮されたもの、それから乾燥品であっても含んではならないという規定 は適用されるということでございます。  5-6.製パン業者がパン中の残留農薬をコントロールすることは不可能である。暫定基 準の設定は、小麦もしくは小麦粉の段階で設定すべきであるというような御意見をいた だいております。何度も出てきますが、加工食品については、コーデックスにおいて基 準が設定されているものについて設定していると考えている。製パン業者を含む食品関 連業者にあっては、食品安全基本法にも明記されているとおり、自らが食品の安全性の 確保について第一義的責任を有していることを認識し、必要な措置を講じる責務を有し ているということを回答案にさせていただいております。  以上が5番の加工食品の点でございます。 ○豊田部会長  ただいま5番の加工食品の部分につきまして御説明いただきましたけれども、この部 分で御質疑、御質問等ございますでしょうか。  特にございませんでしょうか。 ○吉池委員  加工食品については、何をもって「加工」かというのは、なかなか複雑だということ がここでよくわかるのですが、コーデックスで加工食品として設定しているものに関し て、コーデックスではどういう考えで加工食品を定義し、どういうものに対して設定を しているのかということを教えていただきたいと思います。 ○豊田部会長  コーデックスの加工食品としての区別という意味だと思いますけれども。 ○事務局  暫定基準の第一次案の方でお示しをしたものといたしましては、主に油の類です。そ れから、あとは小麦粉でありますとか、ふすまのような粉のものが中心であります。幾 つか果実のりんごジュースでございますとか、あと干しぶどうとか、乾燥果実のような ものがあります。いずれの場合も、いわゆる加工係数といいますか、実際に加工すると どういうふうになるのかという、そういうデータの提出があって、それでコーデックス で個別に判断をされているという理解です。 ○吉池委員  個々のことはともかくとして、日本も大体そのような整理の考え方に従って今後進め ていくという理解でよろしいんでしょうか。 ○事務局  ポジティブリスト制になることから勘案すると、そのような資料があるものについて は、基準は設定していけるものだと思いますけれども、技術的な内容については、やは り、こういう部会の場で、私どもとして1からつくったものでありませんので、恐らく 御議論いただく必要があるんだと思います。 ○吉池委員  わかりました。 ○豊田部会長  ありがとうございました。課長お願いします。 ○中垣基準審査課長  18ページの5-1.の回答でございますが、先ほど小沢委員から御指摘があったように、 できるだけわかりやすく書くという観点から申し上げると、5-1.に(1)と(2) と2つの 御意見を入れておるわけですが、(2) についてわかると言えばわかる。わからないと言 えばわからないような回答になっております。したがって、濃縮される例については、 前も御議論いただきましたけれども、水分含量等を指標に試算した値を判断基準とす る。すなわち、2倍濃縮であれば2倍の基準値を指標とするということで御理解を願っ ておるかと思いますから、もう少しそこはわかりやすく書き加えたいと思います。 ○豊田部会長  わかりました。ありがとうございました。5-1.の部分の回答については、若干わかり やすくするということでございました。  ほかにございますでしょうか。  特にございませんようでしたら、次の6の基準値に係るところについてお願いいたし ます。 ○事務局  6の「基準値に係る個別意見」として3つばかり挙げさせていただいておりますが、 6-1.は代謝物の話です。非常にややこしいので読み上げますと、農薬AとBがあって、 Aが代謝されてBになる場合、同じ食品、農産物に基準値が定められていると。Aにつ いて、ある農産物Xに基準が定められた場合、代謝物として生成されるBについて、同 じ農産物Xについては、一律基準を採用するのではなく、適切な基準を定めてほしいと いうような御指摘でございます。  回答案としては、御指摘を前提において、農産物Xに農薬A、代謝物である農薬Bが 同時に検出された場合、農薬Bに一律基準を適用するという考えはございません。  それから、6-2.として異性体の話です。農薬CとDがあって、両者は光学異性体であ る。そのときに農薬Cの農産物Xの基準値と農薬Dの農産物Xの基準値が異なり矛盾が 生じる上、分析上も困難である。農薬CとDを分離せず、総計で基準値を設定してほし い。  それから(2)のところも複数の異性体の一つであるものについて整合性を図ってほし いという点でございます。  回答案といたしまして、異性体によって毒性が異なる場合がございますので、基準値 が異なる場合も想定される。一慨に「総計によって基準値を設定する」ことは適当では なく、個別具体的に検討する必要があると考えている。特に(2) の事例については、整 合性をとる方向で検討をしたい。  それから、6-3.テトラサイクリン系抗生物質の残留基準の点です。テトラサイクリン 系抗生物質は、クロルテトラサイクリンとテトラサイクリンの合計の基準値に変更して ほしいということでございます。これらはコーデックスにおいて、ADIが3剤、オキ シテトラサイクリンとクロルテトラサイクリンとテトラサイクリンの和としてADIが 設定をされているので、魚についての基準値も和として設定をしてほしいという点で す。  回答案といたしまして、留意事項の1にございますが、現行基準というものについて は、今回の改正の対象とはしていない。また、JECFAでは、御指摘のように、3剤 の和としてADIが設定されていますが、コーデックスにおいて、魚介類についてはオ キシテトラサイクリンのみの基準値というふうにされているということでございます。  6番は以上です。 ○豊田部会長  ただいまの6番「基準値に係る個別意見」について御説明いただきましたけれども、 この部分につきまして、何か御意見、追加等ございますでしょうか。  特にございませんようでしたらば、次、7番はどうされますか。 ○事務局  御紹介だけさせていただきます。 ○豊田部会長  お願いいたします。 ○事務局  7番として、今回の意見の募集の直接の対象ではなかったんですが、これらについて 御意見をいただいております。  (1) ですが、現行基準についても見直しをしていただきたい。  (2) として一律基準についても種々コメントをいただいております。  それから、次のページ分析法について、一斉分析法であるとか、また、標準品の問 題、これらについても対応をお願いしたいというようなコメントをいただいておりま す。  それから23ページ、残留基準の設定方法等一般の話ですが、むしろ農薬の使用を減ら すような方向にもっと検討をしてほしい。または空気中、水分、水からの摂取も考慮し た方がいいんじゃないか。  それから24ページ、監視指導関係ですが、今後のモニタリング検査であるとか、検疫 所の検査体制はどうなるのか。また、(2) として検査体制を強化して、違反の食品が輸 入されないようにしていただきたいというようなコメントを多くいただいているところ です。 ○豊田部会長  ただいま、そのほかの意見というものについて御紹介がございました。そのほかに何 かこれ以外のことでも結構なんですけれども、もし御意見とか、検討すべき事項がござ いましたら何か。小沢委員お願いいたします。 ○小沢委員  確かに今回の意見募集の対象外のところなんですが、今回の対象に入れろというの は、ちょっと無理かなというふうに理解はしているんですが、このポストハーベストの OPPだとかTBZだとか、普通の消費者の立場からすると、これが何で食品添加物と して扱われているのかということが、経緯は重々理解はしているんですが、今後の国際 的な動向だとか、似たような問題が出てきたらどうするのかということで、宿題として というか、整理する方向というのはやはり考えていかないと、とても奇異なまま続くん じゃないのかという気がいたしております。 ○豊田部会長  ありがとうございます。これは私が一度、前にも言ったことがあるかと思いますけれ ども、私も実際問題として非常に奇異な感じがします。なぜかというと、ほかのものは 皆外国に合わせるとか一生懸命言っているのに、この部分だけは残っているというのは ちょっと不思議な感じがいたします。課長お願いいたします。 ○中垣基準審査課長  申し訳ございません。この問題につきましては、正直申し上げて法改正を伴うものに なるわけでございます。すなわち、添加物の定義をどうするかというところに絡んでま いるわけでございまして、今回の意見募集の整理といたしましては、確かに対象ではな いという形でやっておりますけれども、対象外のものについても回答はしようというふ うに考えております。かなり御意見自体が膨大な数になりますから、また、後で御相談 させていただこうと思っておりますけれども、この部会の中にワーキンググループでも つくっていただいて、その御指導を得ながらつくってみて、最終的には、この部会にま た御報告するというような形で進めたらどうかというふうに考えておるわけでございま す。また、その中で先ほど御指摘のあったOPP等についての考え方を示させていただ きますけれども、御理解願いたいのは、法律の根幹にある程度触れていくような問題で あるということは御理解願いたいと思います。 ○豊田部会長  ありがとうございました。ほかに何かございますでしょうか。  特になければ、事務局の方から、これらの議題等に関しまして、今後の予定がござい ましたら御説明をお願いします。 ○事務局  今もお話をさせていただきましたが、前回、今回にわたり、主な意見については御審 議いただいたところですが、個別の意見等については、約600 からの意見をいただいて おります。全体の約半分になりますが、そこで先ほども話がありましたように、何人か の専門の先生によってワーキンググループを設置していただいて、個別意見について御 検討いただいた上で、再度この部会にお諮りをしたい。できれば、そのような今後の予 定にさせていただけないかというふうに考えております。御検討をお願いします。 ○豊田部会長  ただいま事務局の方から御提案がございましたけれども、この本の厚い方にございま すように、コメントとして寄せられました御意見が非常に膨大になっております。そう いったことでワーキンググループ、作業班と言われるものですね、そういったところで 個別の意見について御検討をいただいた上で、それをこちらの当部会の方に持ってきて いただいてまとめて審議するという、作業としては、個別でここで議論するよりも整理 された形でできるのではないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。委員 の方で、今の方法論につきまして何か御意見ございますでしょうか。 ○米谷委員  この暫定基準につきましては、事務局の方で主体的に動いてこられたわけですけれど も、その出された基準値の個別のものについて、この部会にワーキンググループをつく って回答を考えてくださいというふうに言われましても、すぐこちらの方としては、ど ういう回答をしていいのかという、私がもし委員に選ばれた場合に、少し困るようなこ とになるかもしれません。その辺のところ、どういう方針で臨まれるんでしょうかとい うことです。 ○豊田部会長  わかりました。もう少し詳しく事務局の方から御説明いただければ大変ありがたいと 思います。 ○中垣基準審査課長  今、米谷委員御指摘のとおり、実際の作業は事務局でやらさせていただいたところで ございます。逆に申し上げますと、この部会でつくっていただいたルールに基づいて、 外国の基準あるいは国内の基準を集めて、先ほど御紹介のあったフローチャートに基づ いて、基準値を定めていったという単純作業をやったということでございます。ですか ら、そういう意味から申し上げますと、出てきた意見について、数字をどうのこうのす るとかというのは、数字のチェック、数字が間違っているというような意見であれば、 それは事務局がチェックをしていくという形になるんだろうと思います。  逆に申し上げますれば、全体の方針にかかわるようなこと、主なものについては、こ の資料4の中で御議論賜ったわけでございますけれども、非常に小さなものまで含むと 数百のものがあるわけでございまして、それについて事務局で整理をして、この場に一 度で出してもいいわけでございますけれども、実際上見れないような、今まで出した意 見集と同じ、あるいはそれ以上の厚さになってまいるんだろうと思います。したがいま して、ある面で申し上げますと、細かな作業になってまいるわけでございますが、その 回答ぶりの方針なりとも何人かの先生方に御協力願えればというふうに考えた次第でご ざいます。 ○豊田部会長  米谷委員いかがでございましょうか。多分、数値の問題ではないというようなお話で はなかったかと思うんですけれども、そうではなくて、もう少し意見的なものを、こう したらどうかとか、こういうふうにまとめ上げたらどうなのかとか、そういうふうなこ とではないかと、私は今ちょっとそう思ったんですけれども。 ○米谷委員  いずれにしても、ワーキンググループができた場合に、その意見がここに出て、もう 一度ディスカッションされるということ、そのときに事務局の御意見が入ってくる、あ るいはワーキンググループの段階で事務局の御意見が入ってくる、両方入ってくるとい うことでしょうか。 ○豊田部会長  わかりました。今の点については、事務局の方はいかがでしょうか。 ○中垣基準審査課長  この部会も、恐らく次のワーキンググループも同じだろうと思いますけれども、膨大 な作業を先生に押しつけるわけにはいかんのだろうと思っております。したがいまし て、いずれにしましても、案が2つできるのか、これは案もつくれませんという形にな るのかは別問題として、事務局で一応の整理をさせていただいた方が実際的ではなかろ うかというふうに考えているところでございます。 ○豊田部会長  ということで、多分、事務局の方からも整理があるということだと思います。  ほかに委員の方から御意見ございますでしょうか。  特に御意見がなければ、ワーキンググループの御検討を願う委員の先生には大変御迷 惑をおかけするかもしれませんが、特に御意見がなければ、ワーキンググループを設置 いたしまして、個別意見につきまして事前に御検討いただくことにしたいと思います。  実際に私の方からお願いするのも恐縮なんですけれども、具体的に作業をお願いする 委員といたしまして、農薬の関係から加藤委員、それから動物薬関係から大野委員、そ れから分析法の関係から米谷委員ということでお願いしたいのでございますけれども、 お願いできますでしょうか。  大変申し訳ございませんけれども、米谷委員もお忙しいところ大変恐縮ですけれど も、ぜひ御協力いただきたいと思います。  それでは、御協力がいただけたということでございます。また、別にほかに参加希望 がもしありましたら、この場で言っていただければと思いますけれども、かなり大変な 作業になるかと思いますけれども。  特になければ、それではワーキンググループに参加される3委員におかれましては、 どうかよろしくお願いしたいと思います。  それでは、事務局の方から何かございますでしょうか。 ○事務局  ワーキンググループ等の日程等については、追ってまた御連絡を、御相談をさせてい ただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○豊田部会長  それでは、次の議題に移りたいと思います。2番の方ですね。「食品中に残留する農 薬等へのポジティブリスト制の導入について」ということで、ポジティブリスト制の導 入にあたって、「人の健康を損なうおそれのない量」、いわゆる一律基準について事務 局から資料5について御説明をお願いいたします。 ○事務局  お手元にございます資料5と、委員の先生方には、右肩に「文献1」等と入っており ます文献、全部で7つ添付をしてございますが、資料5の中で引用しておるもとに文献 でございます。  それで、初めに傍聴をされている方々、それから、この部会の公開の問題がございま すので、あらかじめお断りをいたしますが、参考としておる文献はすべて公開されてい る文献ですので、引用されている文献の名前を見れば、入手の可能なものでありますけ れども、先ほどの寄せられたコメントの冊子と同様に、厚生労働省の行政相談室におい て、閲覧を可能とするような形で準備をしております。したがいまして、文献につきま して、私どもの行政相談室に来ていただければ閲覧ができるという形をとっておりま す。その点をまず、最初にお断りをしたいと思います。  それで資料5でございます。この一律基準につきましては、この中の部会の委員の先 生方の多くの方が御参加をいただいたと思いますが、昨年6月27日に毒性・残留農薬・ 乳肉水産食品合同部会で法改正の関係の説明をした際に少し触れたものでございます。  今回は、まず前段でございますが、法律第11条第3項の施行にあたって、かぎ括弧で ございますけれども、2行目に「人の健康を損なうおそれのない量として厚生労働大臣 が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定める量」、これについて定める必要がある。 この紙においては、その次のパラグラフでございますが、法的な背景、それから農薬等 に関する安全性に関する評価及びポジティブリスト制を採用する諸外国の事例などを示 して、その設定の考え方について、現時点での知見をとりまとめたいというふうに考え ております。  それから、その次の前段の文章にございますが、この件につきましては、そこにござ いますように、食品安全基本法第23条第1項に規定に基づきまして、食品安全委員会に 食品健康影響評価を依頼しなければならないという規定がございますので、これは依頼 をする案件であるということであります。こちらでとりまとめをといいますか、考え方 を整理した上で、最終的には安全委員会の評価というものを受けた上で決めるというこ とになります。  資料5の1ページ目のIの法的背景でございます。点線が囲まれているところが法律 の条文、昨年改正をされました改正食品衛生法第11条第3項の文章でございます。その ちょうど真ん中あたり、(5)と書いてあるゴシック体で書かれている文字のアンダーラ インの引いてあるところです。「人の健康を損なうおそれのない量として厚生労働大臣 が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定める量を超えて残留する食品は・・・販売し てはならない。」という規定になっています。  それで、その内容についてが、その下の点線で囲まれた以下のところになります。ど のようなものが規制されるか、まず、その量についてですけれども、農薬、それから飼 料添加物、動物用医薬品、ただし、その中で人の健康を損なうおそれがないことが明ら かなものとして厚生労働大臣が定めた物質を除いたもの、これは以下、農薬等とまとめ ておりますけれども、これらについて残留するものについて規制をする。その量である ということになります。  ただし、規格基準、いわゆる残留基準が設定されているものは、この量を適用しない というものになります。すなわち、残留基準が定められていない場合に適用される。  具体的な例として、1ページ目の下にございますが、いずもの農作物にも残留基準が 設定されていない農薬が農作物に残留する。もしくは一部の農作物に残留基準が設定さ れている農薬が、当該農薬に関する基準が設定されていない作物に残留する。この2つ の類型があるということになります。  ちなみに、ここで言っている残留基準の中に何が含まれているかといいますと、2ペ ージ目の真ん中より少し上、IIの上のところに「(参考)」がございますが、これが、 私ども今申し上げている残留基準の中です。1つは、御審議をいただいている暫定基 準、それから現在もう既に基準を定めているもの等々を含めた残留基準、農作物ごとに 定められている基準、これが1つですけれども、これだけではなくて、(2)にございま すが、閾値が設定できない。ADIが設定することができないという評価された農薬に ついて、不検出という基準を定めているものがございますが、不検出というもの。それ から抗生物質、それから化学的合成品たる抗菌性物質について含有してはならないとい う基準がございますが、この抗生物質の中には個別に数字として基準を設けているもの はございますが、それを除いて、「含有してはならない」という基準を定めております が、これも残留基準ということになります。これらのものが設定されていないものにつ いて適用するということになります。  2ページ目の上に2つパラグラフがございます。まず、上の方が国内での農薬の使用 の規制との関連を説明してございます。2番目は海外での使用の規制との関連について 説明をしてございまして、上の方の2ページ目の第1パラグラフの3行目ぐらいから、 一律基準の適用があるのは、国内で使用が認められていない農薬が農作物に残留する場 合、つまり農薬取締法とか、動物用医薬品については薬事法でそもそも使用が規制をさ れている。したがって、残留基準が設定されるのは、使用が認められている農薬と農作 物の組み合わせということになります。  それからあと、同じことですが、一部の農作物で使用が認められている農薬、使用が 認められていて残留基準が設定されている農薬であって、当該農薬等の使用が認められ ていない農作物に残留している場合。  それから、海外でも同じような使用に関しての一般の規制がなされています。ポジテ ィブリスト制ではコーデックス、それからJMPR、JECFAで科学的な評価が必要 とされるデータに基づいて基準を設定している諸外国、こういうものの基準を参考に暫 定基準を設定していること。それから、いわゆるインポートトレランス、海外で生産さ れて我が国に輸出される農産物に使用されている農薬について、残留基準を設定する制 度を設けていますので、一律基準の適用になるのは、そこにございますように、これら の国々でも使用が認められていない場合、使用が認められていない場合というのは、使 用が認められていない農薬であるとか、一部には認められているけど、その使用は認め られていない作物、そういうものが適用になりますよということになります。  その次にポジティブリスト制の採用している諸外国の事例でございます。これは以前 にも参考とさせていただきましたが、カナダ、ニュージーランド、ドイツ、それからア メリカ、これらの国々で、このような一律基準のような考え方に基づいてやられている ものがございます。  それで具体的な例といたしまして、そこではEUの事例がございます。EUの事例は 参考文献として1番のものがございます。概要を文章にいたしますと、EUはポジティ ブリスト、域内で加盟各国がそれぞれ農薬の使用でありますとか、残留の規制とかをや っていたものを、域内全域にわたって同じ残留基準、使用の基準、そういうものを設定 していくわけで、ポジティブリストに移行していく、EUとしてそういう規制を検討し ているところでございます。  使用の対象外の作物に残留する場合、つまり残留基準が設定されていない農作物に残 留する場合、安全性に関する資料がない場合、すなわち、いずれの農作物にも基準が設 定されていない農薬が残留する場合などについて、0.01mg/kg を基準として、この基準 を超えるレベルで残留することを禁止することが提案されています。  これはまず、ゼロトレランスというのが分析技術上達成できない。それから、既存の 農薬で、この基準により消費者の健康が保護される。ただし、その設定が例外となる場 合には、低い基準が設定される。施行にあたって詳細な検査、つまり実際にコンプライ アンスを確認する際に、一つ一つについて詳細な検査をするよりも、検査効率が高いス クリーニングのようなものをやっていこうということであります。  もう少し具体的な説明を3ページの上のパラグラフに書いてございます。EUでは分 析定量下限値、いわゆるLOD:Level of Determinationという規定を適用するものと して、現在そういうものを適用するものがございますが、既に失効した農薬が作物に残 留する可能性がない場合とか、それから、登録されている農薬であっても、使用対象の 作物でないことから、そういうものに残留する可能性がないものについては、LODと いうことはやっている。ただ、先ほど申し上げましたように、加盟各国で使用が認めら れていて、使用されている多くの農薬が再評価を受けて、例えば経済的な理由なんかで 使用できなくなる。そういうような事例が数百という単位で出ているようでして、そう いうような事態に対応するという観点もあり、実際に基準がない場合に、流通している もの、もしくは輸入を認めないようなときに検出される。そういうような場合があると すると、実際に流通の可否を判断するということは極めて任意に判断する。また、その 判断基準自身が不明確になる。それから、定量下限値以下で管理するということは、残 留物の定義でありますとか、分析方法とか、分析法自身を正式に承認してやらない限り 難しい。そういう考え方から0.01という基準を示そうということであります。  参考資料の方で、法的な部分だけについて申し上げるとすれば、参考文献1の方で申 しますと、英語の方の資料と日本語の資料が付いてございますが、法的にどのようにす るかというと、英語の方にしかございませんが、25ページのところにコンプライアンス ・イズ・マキシマム・レジディーレベルという、これはEUの規則の文章が載っていま す。その1番のところで、その基準を超えるものについては、流通において残留を認め ないということが規定をされていて、それは何の場合かというと、1つは残留基準が超 える場合、それからもう一つは0.01mg/kg を超える場合、そういうふうに法的な規制を 行うというふうに欧州委員会の規則案には規制の案として書かれております。  次に資料5に戻りまして、IIIでございます。「一律基準が適用される農薬が残留す る食品の安全性について」です。要するに、基準が設定されていない農薬、つまり安全 性の試験成績等個別のリスク評価がなされていない農薬が含まれている。これについて どう考えるかということですが、これまでに農薬等のリスク評価を行った類似の化学物 質の評価に基づいて、当該農薬の安全性について評価する必要がある。  まず、IIIの1として、3ページの真ん中あたりにございますが、安全性試験成績等 に基づく個別のリスク評価がなされていない農薬の安全性評価について、幾つかの事例 を拾いました。  まず1つがJECFA、FAOとWHOの添加物専門家会議の香料の評価でございま す。結論から申し上げますと、香料の安全性評価において、毒性評価が十分でない化学 物質については発がん性の有無を問わず、許容される暴露量の閾値を1.5 μg/day とし ています。これはJECFAの評価においては、香料は食品の通常成分であるものが多 いこと。それから、香料の食品への使用が限られていること。化学的構造的にグループ 化が可能であるなどを踏まえて、毒性データの乏しいような物質を含めて、香料全般の 安全性評価を迅速に行うために、構造活性相関を活用して、代謝・摂取量・毒性データ を用いて判断樹に従って判断するとしています。  どんな判断樹かと申し上げますと、これは文献の2でございます。英語の方にしか判 断樹が、これも訳を付けているんですが、文献の2というところにございまして、23ペ ージにその判断樹が示されています。これは第44回のJECFAの専門家会議の報告書 の一部です。アネックス5の香料の評価手法に関するレポートの部分ですが、それの23 ページに判断樹が出ています。資料5の3ページの下のところを併せもって見ていただ けるといいかと思いますけれども、まず、最初に判断樹では、構造クラスごとの分類を 行って、その次に安全な産物に代謝されるかどうかということを予見をする、それでイ エス・ノーで分けていくわけです。それで使用条件が構造クラス別、これはいわゆる発 がん性とかに疑いがあるのかどうかみたいなもので3つぐらいのクラスに分けおりま す。それのクラス別に許容暴露閾値というものを設けておるんですが、それに該当する かどうか、それから、その物質もしくは代謝物が生体成分であるか、それから当該物質 のNOELが意図する使用条件下で十分な安全性があるのかどうか、それから使用実態 が1.5 μg/day 以下になるかどうかということでございます。  最終的に、例えば安全な産物への代謝が予見されないものについても、1.5 μg/day という閾値以下であれば、その物質は安全性に関する懸念はないだろうという判断にな る。それ以外のもの、例えば超えているようであれば、追加資料をくださいとか、そう いうようにするというのがあります。  それともう一つ、FDAの間接添加物に関する評価というのがあります。これも結論 から申し上げますと、容器から溶出する、食品に移行するものですが、間接添加物と、 こういう訳を当てておりますが、間接食品添加物の規制にあたって発がん性の有無を問 わず、許容される暴露量の閾値を1.5 μg/day としています。具体的には、これは容器 ・包装や器具に使用される物質のうち、食品に混入又は混入するおそれのあるものにつ いて、当該物質を使用した際に、食品中の濃度が0.5ppb以下になることが確認されてい る場合は、健康、安全上の問題はないというふうに判断をするというものです。この 1.5ppbというものは、一日一人当たり1.5 μg 以下の食品経由の暴露量、一人あたり固 形物を1,500 グラム、アメリカ人ですから、そういうことで計算をしていると思います が、液体食品を1.5 キロ、合わせて3キロを摂取するということで、濃度としては0.5 ppb以下の場合は、その添加物の規制から除外するという規定になっております。  その規定を資料として付いてございますのは、根拠等のバックグラウンドは、ちょっ と英文資料しかございませんが、文献3の前段のフェデラル・レジスターの文献にござ いますが、規制等の内容につきましては、文献3の21ページに資料が付いてございまし て、英語で申しますと18ページでございますが、21ページの左側のカラム、一番上に食 品摂食製品、これもちょっと仮訳ですから正確な訳ではないかと思いますが、食品の容 器・包装、加工器具に使用される物質のうち、成分が食品に混入、混入するおそれのあ るものについては、以下の条件に該当する場合、閾値を下回っているとみなして、添加 物に関する規制の適用から除外する。(1) が発がん性が確認されていないもの、(2) は 以下の理由から健康や安全性にかかわる問題を有していない場合と判断するもの、例と して先ほど申し上げました0.5ppb以下であることが確認されて、また予測されるという ものであります。  資料5に戻りますが、(3)といたしまして関連する主な文献ということですが、この 1.5 の導き出している論拠の部分として出しているものが毒性学的閾値(Threshold of Toxicological Concern:TTC) というものとして、その考え方がまとめられているも ので、文献4、5、6、7で主なものが示されています。この解析というものは、文献 4か、いずれにいたしましても、レビューのペーパーですので、個々の文献がまたそれ ぞれあるんですけれども、Munro というカナダ人の学者でございますが、1996年におよ そ600 余りの化学物質、これは農薬等も含めて化学物質のデータベースというものを使 って、それのエンドポイントを発がん性、それから発がん性以外の毒性評価項目、例え ば神経毒性でありますとか、免疫毒性でありますとか、等々のエンドポイントについて データベース化したものを用いて調べた。  その際に発がん性のエンドポイントから求めた1.5 μg/ヒト/ 日とTTCがほかのも のでも十分カバーできる。文献4では、こういうことが結論とされておるわけですが、 発がん性のポイントも含めても1.5 μg/day であっても大丈夫だと。  このものについて、エンドポイントを求めたものについては、文献の4のところで結 論の部分だけをお示しすることになろうかとも思いますが、文献の4の英文の方で言い ますと3ページ、それから、日本語の方で申し上げますと63ページでございますが、要 約、サマリーのところの結論部分のポイントでございますが、日本語の方で申し上げま すと、63ページの上段でございますが、1.5 μg/ヒト/ 日の毒性学的閾値は適切に安全 性を保障すると結論ができる。食物中に存在する化学物質を本閾値未満の用量で消費す る場合は特にリスクを伴わない。さらに、遺伝毒性、発がん性に関する構造的傾向を示 されない化学物質については、さらに解析を行うことにより、より高い可能性がある と、こういう結論になっております。  この結論でございますが、発がん性のエンドポイントの選択に関して申し上げると、 発がんの生涯リスクが100 万分の1を超えないという目安に基づいて設定をしておりま して、これが参考にもございますが、資料5の4ページの下でございますけれども、我 が国における主な死因の生涯リスクとして、これは中央環境審議会の報告書でございま すが、死因との比較という点で申し上げるとすれば、100 万分の1というリスクはおよ そこのあたり、つまり落雷とか自然災害という、その間のあたりというような類のもの であろうということになります。  それから、資料5の5ページの方にまいりまして、今までに安全性に関してのリスク 評価がなされた農薬の安全性評価がどういう結果であったかというものであります。  まず、農薬の方に関して申し上げますと、我が国で残留基準を設定しておりますもの は240 の農薬がございます。それから、国際的にJMPRで評価したもの、私どもが数 えたものでは224 ございまして、この中で低いものを並べてみますと、ちょっと単位を 注意をしていただけるとありがたいですけれども、アルドリンが0.1 μg/kg/day、体重 1キロあたり、一日あたりということです。  一方、動物用医薬品の場合は、29動物用医薬品について、我が国で評価をしてござい ます。JECFAについては54でございますが、これを見ますと、クレンブテロール、 これはβ作動薬ですけれども、それからデキサメサゾン、酢酸トレンボロン、この2つ はホルモンでございますが、これらについてはADIが0.004 μg/kg/dayというものに なっています。今までの(1) 、(2) で、それぞれ安全性の評価の閾値もしくはADIと いうものの低いものがありますので、それに基づきまして、どれぐらいの暴露量といい ますか、暴露になるのか、食品としてはどれぐらいの量になるのかというのを、仮に10 ppb 残留する、0.01残留すると過程した場合の計算を示しております。  5ページの一番下の表がそれであります。左側が0.1 μg/day/kg、これはアルドリン のADIから引っ張ってきております。それに体重50キロを掛けて残留量を掛け合わせ ると、およそ500 グラム相当のものとして量としては計算される。同じように一番右 側、0.04μg 、これはクレンブテロールの例を引っ張ってきておりますが、これで計算 をいたしますと、20グラムに相当する。ちょうど真ん中に0.03μg/kg/dayというのがご ざいますが、これは先ほどの香料、それからアメリカの間接添加物の毒性学的な閾値、 1.5 μg/day を体重50キロで換算いたしまして、ADIのような表現の仕方、体重あた りの表現にいたしますと、0.03μg/kg/dayとなりますので、それに基づいて計算いたし ますと150gということになります。  6ページでございますが、その量というものを国民栄養調査、私どもが残留基準を設 定する際のフードファクターとして使っておるものですが、平成10年から12年の一日摂 取量と比較をいたします。そこの表でありますが、米が190 グラム、小麦が118 グラ ム、これは国民平均ですけれども、大豆が56グラム、乳製品になりますと143 グラム、 豚肉等であれば36グラム等々でございます。香料、それから添加物において、毒性学的 閾値に相当する食品の量である150 グラムを超えているものはお米だけで、それ以外の ものは下回っています。20グラムと比較すると、上に書いています農産物であれば超え ておりますし、肉であれば、ここに書いてあるものであれば、同じぐらいか、それを超 えている。もしくは、一方で農薬の方のアルドリンの500 グラムと比較いたしますと、 農薬の方の数字の一番低いものと比べると、どれも範囲の中におさまっているというこ とになります。  次に7番目、資料5、7ページでございます。  IVといたしまして、「一律基準の設定について(案) 」ということであります。一律 基準の設定については、先ほども申し上げましたように、食品安全基本法に基づきまし て、食品健康影響評価を食品安全委員会に依頼することとしておりますが、現段階にお ける検討をとりまとめると、次のようなポイントが挙げられるのではないかということ で、5つほどポイントを挙げました。  まず1つは農薬の基準の設定、それから農薬に関する規制等々に関してのものです。 国内外において使用される農薬は、一般にその使用に先立って、毒性について評価を経 た後に主要対象作物や使用量などの制限のもとに使用され、また、使用される作物に対 して、その使用量と毒性評価に基づいて残留基準が設定される。したがって、一律基準 は基本的に当該農薬等の使用が認められていない農薬に残留する場合に適用されるもの である。  それから2番目は、いわゆる毒性学的な閾値に関するものです。JECFAそれから FDA等の安全評価は、香料、それから間接添加物等に関するものでありますけれど も、化学物質の安全性という観点から農薬についても準用できるものと考えられること から、許容される暴露量の閾値について1.5 μg/day を目安とすることには一定の合理 性があるものと考えられる。この許容量は、人が一生涯にわたって摂取する場合におい ても安全を確保できる量と定義されている。  (3) が現行の基準のADIに関する部分です。これまでに我が国もしくは国際的にJ MPR及びJECFAで評価された農薬及び動物用医薬品419 、これは私どもが数えた ものですけれども、農薬動物用医薬品等で重複もございますので、そういうものを除き ますと、419 ぐらいについてADIが定められています。この中で(2) において許容さ れる暴露量の目安である1.5 μg/day を50kg体重換算のADIである0.03μg/kg/day未 満のものというのは、先ほどの資料の5ページの真ん中にございます表を見ていただく とおわかりのように、クレンブテロール、エキサメサゾン、酢酸トレンボロンの3つ、 全体の0.7 %あるということからも、1.5 μg/day を許容量の目安とすることは妥当な ものであると。  なお、ADIが0.05μg/kg/day未満と評価されるものにあっては、基準を設けない農 産物について、発がん性等の理由によりADIが設定できない農薬等と同様に個別の農 薬等の分析法を定め不検出とし管理することが考えられる。  (4) 仮に農薬等がO.01ppm 残留する食品を150g摂食する。これは暴露量の点ですが、 暴露量が1.5 μg/day となりますけれども、許容量は人が一生涯にわたり摂取する場合 において安全性が確保できる量であること、実際に国民の摂取量のうち150 グラムを超 えるものは米のみであること、米についてはほぼ自給されており、かつ農薬取締法の改 正等により国内の農薬等の使用が厳正に規制されたことなどを考えると、農薬等の摂取 量が許容される暴露量の目安である1.5 μg/day を一生涯にわたり超えることはあり得 ないものと考えられる。  (5) としてポジティブリスト制を導入している国々では、0.01ppm から0.1ppmの範囲 で一律基準値を定めている。また、農薬のポジティブリスト制導入が検討されている欧 州連合においても、一律基準値として0.01ppm が提案されている。  参考といたしまして、もう少し理解が深まるようにということで、(1)から(3)をつく ってございます。  まず8ページの上、(1)でございますが、個別の農薬毎、もしくは既知・未知の別に 一律基準値を設けるべきとの意見、こういうものについてはどうかということですが、 一律基準値は、人が一生涯にわたり摂取した場合においても安全を確保できるものとし て設定されるものである。そこにありますように、国内外で使用が認められおらず、本 来、食品中に残留しない農薬について、原則として適用する。国際的にも個別の農薬 毎、既知・未知を間わず一律基準を定めていることなどから、一次基準値については、 一つの基準値を定めることが妥当であると考える。  それから(2)につきましては、一律基準値より低い残留基準を設ける場合について。 残留基準というものは、使用が認められている農薬にして適正な使用方法に従って実施 された試験結果に基づく残留量が基本となって決まる。つまり、農薬の使用方法などに よって、それぞれの農畜産物中での残留実態は異なります。2のところでございます が、適正に使用すれば、農畜産物中の残留量が極めて少ない場合であっては、適正な使 用を確保する観点から国内的にも国際的にも低い数字を設定することとしており、一律 基準値を下回る基準を設定する場合があります。  例えば、それは我が国の基準の例で申し上げますと、下にあるようなものです。これ はちょっと表の見方がややこしいですけれども、0.05以下が、全体が約9,000 ございま して基準が9個ある。だから、全体に占める割合は0.01というので、例えば、1以下の ものは全体の68.9%ということですので、それぞれが幾らじゃなくて、それ以下のもの をすべて足し合わせたものがということであります。  それから動物用医薬品については、9ページの上に出ているような分布であります。 いずれにしても、2の「すなわち」のところにありますが、残留農薬等の規制は適正を 使用を前提の一つとしたもので、使用の認められていない農薬等について、適用する一 律基準とは趣旨が異なると。つまり、一律基準より低い基準というものが設定されるも のであるということであります。  それから加工食品については、先ほど来、資料4で説明していたとおりです。  ちょっと長く説明がなりましたが、資料5につきましては以上でございます。 ○豊田部会長  ありがとうございました。ただいま資料5につきまして事務局の方から御説明がござ いましたけれども、これにつきまして、御意見、御質問等がございましたらお願いいた します。 ○米谷委員  今年度から始まる厚生労働科学研究の公募課題の中に、ポジティブリスト制に伴う一 律基準と加工食品基準という公募課題がありまして、そこに私の方から応募させていた だきました。一律基準をどう設定したらいいかということを、毒性学的観点から、ある いはもう一つは分析法の観点から検討する、そういう分担課題を2つ入れております し、もう一つ、加工食品基準につきましては、分析法を検討するということ、それか ら、もう一つ追加で急性暴露評価をどうするかということ、これにつきましては、吉池 先生にも参加していただいて申請いたしました。その結果、事前評価ではほとんど満点 に近い評価をいただきまして、採択されましたけれども、今日、研究費の交付申請が来 たところでございます。  これからいろいろ研究していくわけでございますけれども、一律基準については、研 究全体は3年計画ですけれども、早くした方がいいということで、1年計画でやるとい う予定にしています。そういうふうなことで、一律基準につきましては、今後、健康影 響の面から、あるいは分析法の面から検討していく予定でございますけれども、それの 研究が始まる前に、今回のように、こちらの基準審査課の方から、これまでの現段階に おける検討をおまとめいただいたということで、こういう案を出してこられて、かなり 方向性をもって示されているわけですけれども、余りこういうのを先に出されますと、 私たちがこれからやる研究の方に枠をはめるということで、本省の方の行政運営上ちょ っとよくないんじゃないかというようなことを感じておりますけれども、そういう点か らいかがでしょうか。よその省庁では、ちょっと研究に方向性をつけるというようなこ とで問題になったこともありますけれども、我々は学問的にやっていって、結果が同じ であればいいんですけれども、最初から枠をはめられているような気もいたしまして、 その辺をちょっとお伺いしたいなということです。 ○豊田部会長  わかりました。研究との兼ね合いをどうするのかというお話がございました。 ○中垣基準審査課長  研究はぜひぜひ、別に補助金の対象であろうとなかろうと、どんどん進めていってい ただきたいと思っております。一方では、先ほど御議論いただきました資料4にもござ いましたように、一律基準をどうするんだというような御意見というのは実はたくさん 来ております。それを例えば、先生の研究が1年だとすると、来年の3月だと思います から、そこまで何も言わないで、ポジティブリストの施行が近づくというわけにも一方 ではまいらないわけでございます。  したがいまして、最終的な結論は、このペーパーにもございますように、安全委員会 のリスク評価、さらには、そのリスク評価結果を踏まえて、ここの部会、分科会で御議 論願うという形にはなるわけでございますが、今ある情報をまとめるとどうなるかとい うようなことというのは示していかざるを得ないだろうというふうに考えておる次第で ございますし、この情報に追加すべき点、あるいは変更すべき点、あるいはもっと考え 方として、こういう考え方を採用すべきというようなことがあれば、ぜひぜひ御意見を 賜りたいと思っている次第でございます。 ○豊田部会長  小沢委員お願いします。 ○小沢委員  御説明をいただいて毒性学的な意味を私は申せませんので、むしろ全体の感じという ことなんですが、いただいた資料を見まして、全体の方向として、いろんな国の状況を 見ていくと、ドイツなどは0.01ppm ということが提示されていたりして、その考え方と いうか、背景にあるものが、例えばカナダは見直し中だということはあるんだけれど も、どうしてかなとか、それからニュージーランドが0.1ppmだとか、ドイツが0.01にし た根拠だとか、その辺をもう少しきっちりつかむ必要が……。つかんでいらっしゃるの かもしれませんが、考え方がどうなのかということをもう少し明確にした方がいいの じゃないのかなというふうに感じております。  それと、2ページの下の方にEUが0.01mg/kg を基準値としている根拠というのが、 ある意味でいただいた文献の方の1の方も、70ページから71ページにかけてのところで 非常にわかりやすいなということで、特に分析技術の点だとか、2番目に0.01にする と、これで消費者が保護されるんだと。この設定が例外になるときは、さらに低いMR Lが厳重に規定されるということもあって、特に第3にということで、検査法との関係 で検査効率が優先されるという、ここの考え方もある意味では日本ではない考え方なの かなと思って、マネジメントとのかかわりでは、なるほどというか、そういう考え方も あるんだなというふうなことでは感じていたんですが、いずれにしても、日本が一律基 準を提示するときのこういうEUのようなと言うとおかしいんですが、そういう考え方 を鮮明にする必要があるのではないのかなというふうに感じました。  ここの資料の中では、今までの背景としてはJECFAの例ですとか、FDAの間接 添加物の評価だとか、そういったことが示されていて、1.5 μg/day という根拠という 考え方を示されているんですが、こういうことからのアプローチだけなのかなと。私は 本当に専門家じゃないのでわからないんですが、そういうことがどうなのかということ だとか、それから毒性学的閾値の取扱いについても、これもJECFAなどで確認され たものなのかなということが余りよくわかりません。  それと、この資料の中では、発がんの生涯リスクが100 万分の1だということを書い てある下に、我が国における主な死因の生涯リスクの表が出てくるのはちょっと唐突か なという、かえってわかりにくいのかなというふうな、これは感じなんですが、そんな 気がしているところです。ちょっと感想めいた話ですが。 ○豊田部会長  ありがとうございました。課長お願いします。 ○中垣基準審査課長  まず最初の御意見、カナダ、ニュージーランド、ドイツの背景をもっと調べるべしと いう点でございます。少なくともインターネット等では調べたわけですけれども、なか なか確たるものが実は見つかっておりません。もっと調べてみたいと思います。  2番目の考え方として、文献1の70ページ、71ページ、この整理を参考にすべしとい うことだと思います。この理由というのは3つ挙げられておって、1つ目が分析技術上 の問題、要するにゼロは無理、できない、2番目がいわゆる安全性の問題、3番目が効 率性の問題と3つ挙げられておるかと思います。  ただ、残念なことに資料5の1ページの法文を読んでいただきますとおわかりのよう に、日本は、「健康を損なうおそれのない量」という形でセットしておりますから、E Uとの関係で言うと、(2)を少なくとも核とせざるを得ない。恐らく(1)の問題、すなわ ちゼロトレランスが無理だというのは、この法文を設定する際に既に議論が終わってい る。(3)の効率性の問題というのは、確かに副次的な問題としてあるんだろうと思いま すけれども、法文との関係で申し上げますと、少なくとも核にはならない議論だろうと 思っておるわけで、そういう意味から申し上げてEUの(2)で、文章的に言うと文献1 の71ページの上から10行目ぐらいのところに、第二にということで3行書かれておるわ けでございますが、この3行をいろんなデータを持ってくると5ページまでいったとい うようなことで御理解を賜ればありがたいと思っているわけでございます。  3番目のJECFAでオーソライズされたものかということの御質問、これは御質問 だろうと思いますが、オーソライズされております。米国においてもフェデラル・レジ スター(官報)に載せられておるわけでございますから、そういう意味では考え方とし てオーソライズされております。  4番目の生涯リスクの関係でございます。4ページ目の末尾の御指摘だろうと思いま す。これを今回つけましたのは、生涯リスクという概念がよくわからないというような 御意見を、実は昨年の暮れでございますが、一度この部会で議論させていただいたとき に出て、あるいは、その場ではなくて、その終わった後だったと思いますけれども、い ろんなところからそういう意見が出てきた。100 万分の1だとすると、人口が1億人だ とすると、毎年100 人がんになることですかというふうに考えられた方がかなりの数お られた。これは生涯リスクですから、毎年100 万人生まれて平均寿命が100 年だとする と、毎年1人がそのリスクを負うか負わないかというような考え方なんですけれども、 ほかのリスクとの間でリスクの大小というのがわからないので、参考までに中央環境審 議会が100 万分の1の発がんのリスクを議論したときのペーパーの参考資料を付けてき たわけでございますが、逆に、これが誤解を招くという御意見でございますから削除す ることも考えたいと思います。 ○豊田部会長  ありがとうございました。ほかの委員の意見はございますでしょうか。  実はもう本日の持ち時間が17時ということで、5時に近づきつつあるんでございま す。ということで、非常に大事な設定についての案というところにつきましては、ま だ、ほかの委員の方の御意見もまだ聞いていないというような状況でございますので、 私、座長の考え方といたしましては、ほかの委員も、これにつきまして十分にお考えい ただきまして、次回あたりにぜひ御意見を聞かせていただきたいと思います。ちょっと 議論がまだまだ足りない、明らかに不十分ということでございますので、次回までに持 ち越しということにさせていただきたいと思いますけれども、それでよろしゅうござい ますでしょうか。  ちょっと時間の都合がございますので、もしよろしければ、次回、再度検討するとい うことにさせていただきたいと思います。  事務局の方から何かございますでしょうか。 ○事務局  参考資料等が若干御紹介だけ。この資料5という以外ですけれども、よろしいです か。 ○豊田部会長  わかりました。お願いいたします。どうぞ。 ○事務局  参考資料2がその他の農薬・動薬の進捗状況でございます。参考資料3といたしまし て、6月30日にこのポジィティブリスト制に関しての意見交換会を開催する予定にして ございますので、その案内を先週21日に出しております。これも御参考ということで す。それから、委員の先生方のテーブルには出しておりますが、昨日、農林水産省、環 境省から、「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令の一部を改正する省令の 制定について」という文書を厚生労働大臣にいただきました。これはいわゆる農家が農 薬を使用するときの守るべき基準というものを変えますと。変えるにあたっては、厚生 労働省に意見を聴かなければならないという連携規定になっておりまして、それで意見 を聴いてきたということになります。  ちょっと内容だけ簡単に御説明いたしますと、この資料の一番最後のページを見てい ただくとわかるんですが、上に改正する案、下に現在の案というものが載っておりまし て、改正点は2点です。1つが生育期間と書いてございます。ちょうど5の真ん中あた りに、いわゆる農薬を使っていい期間というのを明確にするということで、それを見直 そうと。それからもう一つが有効成分の種類ごとの総使用回数を超えて使用してはなら ない。現在の下の方の例で言いますと、播種から収穫までがその期間となっているんで すけれども、農薬の使用について播種だけではない。要するに範囲が不明確な部分があ るので、生育期間というものを別に定義をして、それを変える。それともう一つは有効 成分ごと、今までだと同じ有効成分で別々の会社がつくっている製剤があったりとかす ると、それぞれごとに3回だから3+3で6回使われていた、同じ有効成分であって も。それをそういうことにならないように、3+3じゃなくて有効成分として3回です よと、そういうことを厳密に厳格にしよう、それを守らなかったら農家の方は罰せられ ますと、そういうことにしましょうということです。内容的には問題のないような話で すので、私どもとして、問題がないということで返答しようと考えております。  以上、参考資料、それから御報告ということでございます。 ○豊田部会長  ありがとうございました。それでは、そのほか次回日程とかにつきましては、どうで しょうか。 ○事務局  次回の日程でございますが、6月の下旬ぐらいで調整をさせていただこうと思いま す。いずれにしても、委員の先生方にお諮りをして決めたいと思います。よろしくお願 いいたします。 ○豊田部会長  それでは、以上をもちまして、本日の部会を終了させていただきます。どうもありが とうございました。 照会先:医薬食品局食品安全部基準審査課残留農薬係・乳肉水産基準係 (03−5253−1111 内線2487,2489)