04/05/26 第11回仕事と生活の調和に関する検討会議           第11回 仕事と生活の調和に関する検討会議             日時 平成16年5月26日(水)                15:00〜             場所 厚生労働省9階 省議室 ○ 諏訪座長  定刻を過ぎましたので、「第11回仕事と生活の調和に関する検討会議」を開催しま す。本日はお忙しい中をご参集いただき、ありがとうございます。  早速、議題に移ります。ご案内のとおり、今回からいよいよ報告書の取りまとめに向 けたご議論を集中的にしていただこうというようにお願いしています。その議論の素材 として、事務局に資料を用意していただきました。これについて、最初に事務局から説 明をしていただきたいと思います。 ○ 勤労者生活部企画課長  お手元にお配りしていますように、私どもでこれまでの議論をまとめる形で、報告書 の叩き台となるような原案をまとめています。それについて、まずご説明させていただ きたいと思います。前回、並びに事前にお送りしているものがありますが、そのときか ら若干変わっている部分がありますのでご容赦ください。全体の構成ですが、総論と各 論となっています。総論から各論まで通してご説明したいと思います。  総論部分ですが、まず1点として働き方の現状についてまとめています。我が国にお いては、これまで欧米に追いつき追い越すような、キャッチアップ型の社会経済システ ムが構築されてきたわけです。「働き方」についても、こうしたシステムと整合性のあ るような形が構築されてきました。こうした中で、いわゆる日本型雇用慣行、長期雇用 や年功賃金といったシステムが取られてきました。こうしたシステムは、経済が右肩上 がりの時代には有効であったという整理を行っています。  その中で「会社人間」という、会社中心の働き方もある意味で社会的な考え方であっ た。他方、このような中で、会社中心の働き方が困難な者については無業者になった り、非正社員になったり、言わば正社員と非正社員という二極分化があったことをまず 述べています。しかし、経済発展をする中で国民の意識も、「ものの豊かさ」から「心 の豊かさ」にシフトしていますし、個々人が求めるライフスタイルも多様化をしている わけです。あるいは近年の国際競争の激化、さらには人口問題として少子高齢化の進行 もあります。  このような中で、いくつかの雇用管理についての考え方が経営側から示されているわ けです。これも二極化を前提とした考え方になっています。働く者の求める働き方につ いての多様化が、なかなか進まないという問題が生じているわけです。こうしたことが 働く方の不安感につながっているのではないか。  そういった考え方に立ち、2のところ、「働くこと」についての問題点に関して、3 つの点からまず総論部分ではまとめています。1つは「人口構造の変化に伴う問題の発 生状況」です。少子高齢化で労働力人口が減るということ、その中で若年者の割合も減 るわけです。また高齢者については働く機会を求めている者が増えているけれども、若 年者については職業的自立が遅れるケースもあるということです。  こういうことから、将来の少子化に伴う労働力不足に備えていくことが必要です。高 齢者についてはできるだけ働けるようにする。若年者については、職業的自立を早期に 図っていくことが重要な課題となるという整理を行っています。  3頁目の上の○、「社会保障」についても、現役世代が自ら進んで支えるという気持 になることが必要なのではないか。次の○、「働き方」の選択に大きな影響を及ぼす収 入などについては、賃金情報などの提供による納得性の確保、あるいはその自助努力に よる老後資産の問題、そういった問題について措置をしておく必要があるのではないか という整理を行っています。  2点目が「企業の競争構造の変化に伴う問題の発生状況」についてです。経済の変化 により、製造業においては「規格大量生産」から「独自の技術、少量の多品種生産」に 重点が移っているわけです。また、第3次産業についても、いかに顧客のニーズに合致 するサービスを提供するかが中心となっている中で、3つ目の○にあるように、働く者 についても「決められたものを効率的に処理すること」よりも、「分からないことに知 恵をしぼること」や「多様な他者(顧客など)の考えを思いやること」を求める傾向が 強まっています。いまの雇用管理制度が労働時間との関係で定められているとすると、 このように成果を求める仕組みと必ずしも整合していないのではないか。  それからサービス業や製造業を通し、依然として「決められたものを効率的に処理す ること」という分野が残るわけです。そういった分野では、正社員から非正社員への切 替えが進んでいるのではないかということをここで述べています。それに加えていちば ん最後のところ、「市場中心主義」ということで、労働を資源の1つと見る見方が広が っているその他方で、企業の社会的責任論も活発化しています。そういった状況につい て触れています。  3点目が「働く者の変化に伴う問題発生状況」です。「ものの豊かさ」から「心の豊 かさ」という方向へ志向が変化している中で、豊かさの基準が少し変わっているのでは ないか。水準ということから、選択肢の多さということに移ってきている点に触れてい ます。いまから働こうとする者も、既に働いている方の中でも、仕事か生活かどちらか 一方を重視するということではなくて、仕事と生活の調和を志向する者の割合が増加し ている。若い年齢層ではどちらかというと、生活を重視する傾向が顕著に現れていま す。そういった意識は生涯を通じて変わり得るものであることをここで述べています。  そうした中で労働時間の実情に着目すると、常用労働者のうち、長時間労働をしてい る割合は上昇しています。他方で失業者も発生している状況を見ると、忙しい人はます ます忙しくなって、暇な人はますます暇になってくるという現象が生じているのではな いか。あるいは、世代間で働き方に格差が生じているのではないか。  そのような状況を踏まえると、いま我が国においては働く側の意識の多様化に応じた 働き方、生き方が選べるような状況にはなっていないのではないか。正社員と非正社員 の二極化をしていること、あるいは主要な稼ぎ手と、それを補うようなパートナーとい ったことにならざるを得ない面もあるのではないかともここで述べています。  そういった中で、働く人たちがそのニーズに合った、主体的な働き方を選択するよう にするためには労働時間、仕事の場所、あるいは内容について、多様な働き方が受容さ れるようにすることが1つです。また、そういった多様な働き方の相互間での円滑な移 動を妨げるような要因は解消していく必要がある。そのような雇用をめぐる法制度など について、整理をしておくことが必要なのではないかということを述べています。  3は「問題に対する解決の方向」です。まず基本的な考え方として先ほど触れたよう に、今後は知恵や思いやりに移行していく。そういったものを発揮するためには仕事以 外の領域を含めた生活全体について、心身とも充実していることが重要ではないか。そ のことに留意すべきではないかということをここで述べています。  5頁のいちばん下の○、こうした点を踏まえて誰もが自分の生涯を見通し、その選択 により仕事と仕事以外の活動、すなわち家庭活動や地域活動、学習活動などとの調和を 図って、安心・納得した働き方をしていくことが重要になってくるのではないか。その ためにはまず労使の主体的な取組が必要ですし、そういった主体的な取組がなされるよ うな労働契約に関するルールを整備することも必要なのではないかというように書いて います。  その際、仕事と仕事以外の生活活動の調和については、いろいろな面での判定がある かと思われます。特に労働時間ということが重要である。こうした中で働く者が納得で きるような時間配分を行うようにするためには、労働時間よりも生活時間を優先して確 保できるような環境が整うことが大前提ではないかと書いています。そのためには、長 時間労働をすることについての抑制、集中して働いたあとの代償としての休暇、あるい は一定以上の時間外労働を行ったときのその後の生活時間の確保、職業生活の節目での 年単位のまとまった休暇ということも考えられるのではないか。  また優先的に確保した生活時間の折合いをつけながら、そういうことを前提に自主的 な時間管理を可能としていくことも考えられるのではないかということを書いていま す。こうした点、長さや形態による労働時間についての選択肢を整備し、そういった選 択肢の中、自主的に働き方を選択できるようにしていくことが意欲や能力の発揮、ある いは有為な人材の確保のために重要ではないかということを書いています。  6頁の下から2つ目の○、こうした「仕事と生活の調和」については、個々人が職業 キャリアを含めた人生のキャリアを展開していく。そのような、長い期間のあいだで連 続的に考えるべきなのではないかということも書いています。人生においてある時期は 仕事を優先するとしても、別の時期については家族を優先したり、さらに別の時期では 自分のために頭を使う。生涯を通じて、いろいろ時間の配分を考えていくということも 重要だということをここで書いています。  もう1つ、キャリアに関しては、これまでは1つの企業の中での職業キャリアの形成 が中心でした。今後はそうではなくて、例えば様々な活動で職場を離れる。職業キャリ アの中断になるわけですが、そういった中断についてもキャリアの形成という観点から 前向きに捉え直す必要があるのではないかということをここで書いています。そうする ことによって、企業はより独創性、あるいは工夫に富んだ従業員を確保することができ るようになるという観点から、キャリアの中断のようなものも従来より前向きに捉える 必要があるのではないか、ということをここで書いています。  その場合、働く側からすると自助努力による能力の維持、あるいは向上が必要になる わけです。そういった意識を持つことも必要である。それから、仕事と生活の調和の観 点からは、仕事のウエイトを下げることによって収入が少なくなるということもあり得 る。そういった中で、マルチジョブなど働き方の組み合わせも必要になるのではないか ということをここで書いています。  最後に、こうしたいろいろな状況の中で、賃金の下支え機能を果たしている最低賃金 制度について、そのセーフティーネットとしての機能が十分発揮されるようにすること も必要である点を併せて書いています。ここまでが総論になります。  これを踏まえて9頁以降、主に5つの点について各論的に説明しています。1つ目が 「労働時間」です。まず労働時間について、いま総論のところで触れたように、拘束度 の高い正社員と比較的自由度の高い非正社員、二者択一といった状況を改めて、育児や 家族介護、自己啓発、様々な生活上のニーズに応じて希望する生活時間を十分調整さ せ、しかも生涯の中でそれぞれの段階で納得できるような働き方を選択できる、という 観点から労働時間制度について考えていく必要があるということです。  2つ目の○、こうした際にまず労働時間短縮という視点も見逃せないわけです。そう いったことについては働く側、企業側、あるいは社会を通じていろいろなメリットがあ ることを次のところで触れています。他方、ご指摘があったようにコストの問題もあり ますので、そういったことを両面から考えていくというように書いています。  その上で10頁、「労働時間の短縮」をご覧ください。最近の労働時間動向ですが、平 成15年の総実労働時間が年間で1,846時間でした。これについては、パートタイム労働 者の比率が高まったことによる影響が大きいところです。こうしたことを踏まえるなら ば、まず労働時間については一般労働者か、パートタイム労働者であるかを問わずに、 労働時間を確実に短縮していくような取組が必要なのではないかというものです。  1つ目が「所定外の労働」です。所定内の労働時間は着実に減少しているわけです が、一般労働者を中心に、所定外について労働時間が増加していることが総実労働時間 がなかなか大きく下がらない原因です。そうしたことから、所定外労働の抑制を図るこ とが重要である。  11頁、こういった所定外の労働の抑制には、これまで労使により運用面の努力がいろ いろされてきたわけです。こうした取組に加えて、2つ目の○、法定労働時間内であっ ても所定時間を超えて労働させるような場合には、割増賃金の支払いを義務化すること などにより、時間外労働を抑制することが1つ考えられるのではないかということを書 いています。これに加え、3つ目の○、その際には所定労働時間の長短により、割増賃 金の割増率に差をつける必要があるのかどうか、そういったことについても併せて検討 する必要があることを書いています。  その上で、所定外労働が行われた後の生活時間の確保ということ、いちばん下の○で すが、一定の期間内に代償休日を与えるような仕組みについても検討すべきではない か。あるいは12頁、できるだけ働く人のイニシアチブでこういった時間が決められるよ うにという視点から、仕事ごとの所定外労働の有無や頻度といったものを事前通知す る。また、事業主が所定外労働を命じる際の手続をより明確化することについても検討 すべきではないかという点を書いています。  次は「年次有給休暇」です。その取得促進ですが、これについてはまずいちばん上の ○、ご指摘があったように例えばこういった取得促進のためには、海外の企業に例があ るような、未消化の年休を一種の負債のような形で考える取組が、大きな示唆となるの ではないかということが1つです。あるいは「また」以下で書いていますけれども、年 休の完全取得は様々な面で企業経   営にもメリットがあることをここで書いています。  未消化の年休を減らす方法として、現行の計画年休に加え、一定の計画的な年次有給 休暇の付与を使用者に義務づけることも考えられるのではないかという点をここで書い ています。  その次の○ですが、さらに時間単位の年休ということも検討する必要があるというも のです。育児・介護や通学、あるいは地域活動のために、こういった活動を容易に行え るようにするために、時間単位の年休についても検討する必要があることを、ここで触 れています。  さらに、12頁から13頁にかけて「失効年休」があります。自己啓発など、仕事と生活 の調和に資する目的に沿う場合には、2年間で失効した年休を改めて付与できる。そう いったことを検討する必要があることに触れています。  「労働時間」の大きな3点目は「自主的な労働時間管理について」です。例えば、ベ ンチャー企業創設時の研究開発者等については、一定時間を相当程度集中的に働いて、 そのあとでまとまった休暇を取得できるような労働時間制度が、なじみやすいとも考え られます。そういったことに対応して、3つ目の○、希望する者については自主的な労 働時間管理を認めることが考えられるのではないかというものです。  ただ、自主的な労働時間管理ということになると過重労働などの恐れもありますの で、新たな仕組みを併せて入れることが検討される必要があるということです。例えば イロハニホヘのところ、「過重労働防止のための措置」、「健康確保のための措置」、 あるいは「本人同意」といった措置を講じながら、こういった自主的な労働時間管理を 導入するかどうかを検討すべきではないかということをここで書いています。「労働時 間」は以上です。  次に15頁の「就業の場所」です。就業の場所も仕事と生活との調和を考える上では、 非常に重要な要素となります。その上で、例えば転勤については生活に及ぼす影響もあ るわけですので、転勤があるかどうか、あるいはその頻度といったことが分かった上で 選択できるように、雇用管理区分を設けたり明示をすることが必要なのではないかとい う点を、まず書いています。その上で、将来にわたっての転勤の有無や頻度等を事前に わかるような仕組みも併せて検討すべきではないか、ということを2番目で書いていま す。  大きな2つ目は「在宅勤務」です。テレワークという形で在宅勤務、在宅就業が広が っているわけです。15頁のいちばん下の○にあるように、在宅勤務については働く側だ けでなく、事業主、社会にもメリットがありますが、その反面で健康管理などの問題も あるわけです。こういったデメリットもありますが、できるだけメリットを活かしなが らこういった働き方について普及定着をまず図っていくことが必要であることを書いて います。  その上で16頁のいちばん上、このように働く時間と生活時間が混在するような働き方 ですので、労働時間制度の整備を行う必要があるわけです。この点については最近の通 達により、事業場外労働のみなし労働時間の適用があることを明確にしたところです。 しかし、これに加え、育児や介護などの場合に、さらに制約なしでみなし労働が認めら れるような制度を整備することも考えられるわけです。そういったことをここで書いて います。  こういった在宅勤務ですが、障害者にとっては非常に有力な勤務形態である。もう1 つは在宅就業ということで、雇用型でない、非雇用型のテレワークについても家内労働 法の解釈の拡大、あるいは在宅就業や在宅勤務の片方を規制した場合に、規制のないほ うに流れていってしまうのではないかということも指摘がありましたので、そのことに ついてもここで触れています。  3点目が「複数就業」です。多様な働き方の選択肢の整備という観点から、こういっ た複数就業も合理性を有する働き方として認知していくことが考えられるわけです。そ の場合には、関係制度をできるだけ中立化していくことが必要であることをここで書い ています。具体的には17頁、例えば労働時間の管理や労働者災害補償保険制度、あるい は雇用保険制度、厚生年金保険、健康保険など、いろいろな観点からの検討が必要だと いうことをここに書いています。就業場所は以上です。  3点目、18頁、「所得の確保」です。まず、生活していくためにはやはり所得の確保 が必要ですので、そのことについて書いています。それとともに、賃金についての情報 が重要であるということから、現行の労働契約の締結時の労働条件の明示に加え、賃金 等の処遇についての情報を、労働関係の継続中に労働条件の変更がなされた場合にも、 明示される必要があるのではないかということに触れています。それが1点目です。  2点目が「最低賃金制度」です。まず、生活のための最低限の所得を確保するという 機能があるわけですので、そういった機能が十分に発揮されるようにしていくことが求 められます。その上で2つ目の○、現行制度にあるような所定労働時間の短いものの適 用が除外されるような規定については、すべての労働者に最低基準としての制度が適用 されることを明示していくために、そういった適用除外規定については無くしていくこ とが考えられることをここで述べています。  19頁、また現行の最賃法では、最低賃金の決め方が時間、日、週、又は月単位という ことになっています。これもどのような働き方を取った場合でも、公平に制度が適用さ れるという観点から、同じ基準を当てはめるということで、時間に統一することが考え られることに触れています。その次、こういった最低賃金額について、産別最賃が地域 最賃のほかにあるわけですが、こういったものが二重底ではないかというご意見があり ました。あるいは、最低賃金については地域における労使の合意の上に成り立っている ものですし、未組織労働者の賃金水準の向上を促してきた面もある。そのような点も十 分考慮すべきである、という意見があったことをここで触れています。加えて、最賃に ついては罰則の問題、改定のあり方についてご意見があった点に、併せてここで触れて います。  次が「賃金に関わる諸制度」の問題です。退職金など、賃金に関わる公的な制度につ いて、できるだけ多様な働き方を選択できることにしていくためには、そういった制度 を中立的にしていくことが必要である点をここで書いています。退職一時金について退 職所得の控除制度がありますけれども、勤続年数の長さにより、若干控除額の仕組みが 変えられているところがあります。こういった仕組みについて、例えば自発的なキャリ ア形成についての所得控除と合わせる形により、検討し直していく必要があるのではな いかということをここで書いています。ただ、その場合に現行の制度において、中小企 業の従業員などについてはほぼ実際に支払われた退職金の全額が控除される。そういっ た実態にあるということも十分配慮する必要がある、ということをここで加えていま す。  退職一時金について、キャリアの中断ということが今後予想されるわけです。こうい ったことを踏まえれば、現行の企業における退職金について、退職理由が自己都合の場 合、会社都合の場合で額の算定を分けている。そういった格差があることは、縮小する ことが合理的ではないかということも考えられることを、ここで併せて触れています。  次に企業年金、あるいは中退金についてです。こういった制度の中には、例えば年金 制度については短時間労働者が入ることのできないような制度もあるわけです。こうい ったことも見直すことが、多様な働き方の選択ということでは必要ではないかというこ とに触れています。  4番目は、「職業生涯の過程における多様な資金需要への対応」です。職業生涯を送 る中で、いままでも繰返し触れてきましたが様々な生活上の点、例えば育児や教育、介 護といったことが起こるわけです。このためには休みだけではなく、資金も必要になる のではないか。そういったための制度の整備も必要であることをここで書いています。  22頁、そうした中で退職金ですが、これは企業が最終的に賃金の後払いとして払うも のです。むしろ、そういった様々な需要がある中では、事前に企業が賃金として払うこ とも進めた上で、むしろ個人にどうやって資産形成をするかという判断を任せたほうが いいという考え方もあるということをここで触れています。もう1つ、老後に備えて資 産形成をしていくわけですが、そういった人生キャリアの中で育児等の問題も出てきま す。こういった資金需要に対応するために、資産形成をする中での還元融資制度、「財 形」の重要性も考えておく必要があるのではないかということに触れています。  最後に、広い意味でのキャリア教育の一環として、職業生活の中での様々な資金需 要、あるいは老後に備えての資産形成といったことが若い段階から必要、ということを 十分啓発しておく必要があることを最後に触れています。  4点目が「均衡処遇」です。これまで述べてきたように多様な働き方を選択していく ことが重要であるわけですが、2つ目の○にあるように、そのためにはそれぞれ各企業 において労働時間、契約期間、あるいは勤務地、仕事の内容など、多様な雇用管理区分 のようなものが整備される必要がある。それとともに、その区分の間の賃金等の処遇の 差ができるだけ合理的になっている。働く者が納得を得つつ、合理的に選択できるよう な仕組みにしていく必要があるのではないかということをここで書いています。  4つ目の○ですが、こういった賃金等の処遇について、基本的には契約自由の原則と いうものがあるわけです。他方、働き方の多様化の中でできるだけ働く人の納得度を高 めるためには、区分間の処遇の差が認められる合理的な理由を整理していくことが必要 ではないかということをここで書いています。  24頁のところ、その際、労働時間の長短や契約期間の有無ということでなく、例えば 雇用形態の相違、あるいは総合職と一般職といった正社員内の働き方、様々な働き方の 相互間の処遇の差も当然検討を行うべきであります。まずはその中で、労働時間との関 係ということで言えば労働時間の長短、契約期間の長さや有無といった時間的なものか ら検討すべきではないか。あるいは、処遇にもいろいろあるわけですけれども、まずは 賃金から均衡処遇の問題について検討すべきであるということを書いています。  その際の基本的な方向としては、能力や成果主義が進んでいる中で、労働時間や契約 期間、能力や成果といった点とは直接関係しないような理由で差を設けることについて は合理性が乏しくなっているのではないか。その上で、どのような事情がある場合に差 を設けることが合理的なものなのかを議論する。それとともに、その際、どのような拘 束力を持たせた制度を設けていくかということも併せて議論していく必要があるのでは ないかということをここで書いています。  下から2つ目の○、当然ですが、均衡処遇は個々の労働者の処遇の差を結果的に解消 するようなものではないことをここで書いています。こういった均衡処遇を進めていく にしても、結局、何が均衡かというのは労使間で判断していく。あるいは、労使間でし か判断できない問題であることも考えられます。そのようなことからすれば、どういう ことが合理的かという判断については企業ごとで労使が話し合い、合意するような仕組 みを整備する。また、企業内で処遇に差がある場合の理由の説明、そういった事項の明 示、契約の内容の変更の仕組みなど、どういった選択をするかに当たり、働く人の納得 性を高められるような具体的措置にはどういうものがあるのかも検討されるべきである ことをここに書いています。  最後に、いろいろな働き方の実現のためには、この面でも様々な制度の中立が必要で す。例えば厚生年金についてパートの適用の問題なども、こういった観点から検討が必 要であることを触れています。  5点目が「キャリアの形成について」です。キャリアの形成については、総論でもあ ったように企業が長期雇用を保障することが難しくなっていますし、働く側の意識も変 化しているわけです。そういった中では、1社における雇用継続性を前提としないよう な職業キャリアの形成が重要となってきているのではないかということを書いていま す。その際、これも総論でありましたが、今後は知恵や思いやりのような要素が非常に 重要である。そういったことは仕事の中だけではなく、仕事を離れた中でも深めること ができるものであることをここで触れています。  こうした職業キャリアですが、まずは働く側が主体的にどうするかということが前提 になります。その上に企業、あるいは政府がどういった支援をするか。そのような支援 から考えていくことが必要であるということをここで触れています。  27頁のいちばん上、こういった職業キャリアの問題ですが、従来はどうやって仕事上 の能力を高めるかということが議論の中心になっていました。仕事と生活の調和という 観点からはそういった職業キャリアだけでなく、人生全体のキャリアの形成・展開を考 える中で職業キャリアをどう位置づけていくか、という視点も併せて必要になることを ここで触れています。そうした中では、離職等による職業キャリアの中断についても前 向きに捉えていく必要があることをここで触れています。  この問題の最後として27頁のいちばん下、こういった職業キャリアを「職業キャリア 権」として、仕事上のキャリアを獲得していくことを権利として位置づけることも必要 なのではないかということを最後に触れています。以上の5点に分けて各論を説明して います。この総論と各論で報告書を構成したいと考えています。以上です。よろしくご 審議のほど、お願いいたします。 ○ 諏訪座長  どうもありがとうございました。今日は報告書(案)の本格的な検討をす  る最初の機会です。したがってその骨子や基本哲学、方向性について、是非皆様方か ら活発なご議論をいただきたいと思います。この中に盛ってあることは、これまで事務 局から叩き台として出た案、あるいは皆様の発言の中から展開していただいた案などが 盛り込まれているわけです。是非活発なご検討をいただき、今後の報告書の取りまとめ につなげたいと思っています。  いつものように、書いてあることの中身がよく分からなかったので聞きたいといった 点があれば、その点をご質問いただきたいと思います。いかがでしょうか。 ○ 山川委員  各論の「労働時間」のところ、13頁になります。最初から細かい点で恐縮ですが、い ちばん下の○、「事業主と労働者の立場の対等性の確保」というところです。実質的な 労働時間管理を認めるための条件ということですが、具体的に対等な立場を確保するた めにどういう仕組みが想定されているのでしょうか。ある意味で本人同意など、ほかの ものについてもその1つと言えなくはないような感じがします。ほかに何か、具体的な 点があり得るのかという点についてお伺いしたいと思います。 ○ 勤労者生活部企画課長  イからヘのところですが、確かに山川委員がおっしゃるように具体的な事項と抽象的 な事象が入り混じっています。「事業主と労働者の立場の対等性の確保」と書いたの は、いちばん上の柱書きにもあるように、このような自主的労働時間管理を認めるにし ても、こうした働き方を欲しない、労働者が知り得るようなことがないような仕組みを 十分確保することが重要かと思います。その方法の1つが本人同意です。こうしたこと に加えて、さらに対等な立場を補う仕組みがないかというように、やや抽象的に書いて います。 ○ 佐藤委員  24頁の上から2行目、「均衡処遇」の中なのですが、ここは同一企業内の同じ雇用主 の中の雇用形態を踏み越えて、派遣労働者というところまで書いてある。つまり雇用関 係がない労働者、別の会社の派遣労働者の処遇の均衡まで議論しようというように意図 的に書かれたのか。そうではなくて、何となく書いてしまったのか。これは確認だけで す。 ○ 勤労者生活部企画課長  佐藤委員がおっしゃったように、確かに派遣ということになると雇用当事者が異なる ところですので、同じ雇用当事者である者の中での均衡、異なる雇用当事者間の均衡と いうのは大きく分けて考えるべきと考えています。  いずれにしても、そういった法律問題の前に派遣労働者は広く労働現場で就業してい るという実情を考えると、こういった派遣労働者について同じような仕事を同じ仕事場 の中でしつつ、処遇が違っていることについてもどうしていくか考えていく必要がある ことを念頭に置き、あえてここで書かせていただいたものです。 ○ 勤労者生活部長  ここは総論のところで、ある一方を規制して片方を規制しないと、規制のないほうに 逃げ込むのではないかということがありました。同じ職場の中でやったときに、契約が 違うからという理屈で放置しておくと逃げ込みを認めることになるのではないか。ここ はカッコ書きですが、もしそのような論理で契約構成に関係なく、そこまでも配慮して 考えておけというほうが論理的には統一できるのではないかと思いました。それを言っ ていただけるかどうか。切って逃げるというか、そのようなことも取っ払って、働いて いる者から見て公平性や納得性が高くなるものにするよう目指していく。より高い理想 を掲げるべき、という視点で是非チェックしていただきたいと思います。 ○ 北浦委員  先ほどの13頁に戻って、「自主的な労働時間管理」という表現が出てきています。そ の2つ目の○、弾力的な労働時間制度として、これまでの労働時間管理の柔軟なスタイ ルを全部一括しているわけです。それらについてはすべていろいろ問題がある。「自ら の意思に基づく自主的な」という点はちょっとくどいですが、要するにそのようなもの にはなっていないということで、新たなものを考えるというようになっています。そう すると、いままでのものとは全く違う概念の自主的な時間スタイルを考えると読めるの ですが、そうなのか。それとも、既存の制度の中の問題点を克服してやろうという趣旨 なのか。  もう少し言い換えれば、いままでのものはどちらかというと制度の枠組があって、そ の中をチョイスするような形で選択型だったが、今度はもう少し自由に絵が描けるよう な労働時間制度という意味で「自主的」と書かれているのか。「自主的」の意味合いを 教えていただければと思います。 ○ 勤労者生活部長  ここは非常に観念的な議論展開をしています。時間と場所で拘束しています。時間の 拘束については、働き方そのものの性質から使用者が拘束すること自体が難しいとか、 もともと使用者が管理するという概念の下にあるのですが、その仕事になじまないとい うものはその手を緩める。緩めた上で任せます、という構成でやってきたものについて 弾力的な労働時間制度という整理をしてみました。  ここでくどく「自主的な」と言ったのは、この仕事は労働時間において使用者の責任 を問わない。いま言った点はあくまで責任を問う中で、最終的には責任を持つが任せる ということと、ここは責任を問わない、ある意味でエグゼンプション、労働時間制につ いて問わないという範疇を作っていいかどうかという観念整理をするために、ちょっと くどく書きました。そのようなものを新たに認めますか、どうですか、端的に言えばそ ういうことです。それをオーソライズしていただけるかどうかということです。 ○ 佐藤委員  言葉の使い方なのですが、1頁、前もお話したのですが拘束度と自由度という話で す。従来型の正社員が拘束度、いわゆる非正社員が自由度が高い。拘束度というのは時 間などが限定されていないし、勤務地や仕事も限定されていない。その意味で拘束度が 高い。自由度は限定されている。  ちょっと気になるのは、例えば有期契約のフルタイムという人がたくさんいます。残 業もしている。これは自由度が高い人たちなのか。この人たちは、この分類だと自由度 が高い人のほうへ入るのです。そのような人たちがたくさんいて、「あなたたちは自由 度が高い」とラベルを貼るのはちょっと違和感があります。  フルタイムで、有期で働いている。結構、残業もする。自動車産業の期間工などそう です。これらは分類で言うとここに入るのです。でも、この人たちは自由度が高い働き 方か。好きな期間を決めて働いているということを言うのかもわかりませんが、自由度 が高いという言い方で普通聞くイメージと合うのかどうか。結構、キャッチフレーズ的 に使っていて、あとでも拘束度が高い、自由度が高いという議論をしています。  この分け方が悪いということではなくて、どう言うかなのです。この言い回しだと、 一般の読み手の理解がちょっとずれるかなという気がします。良い言葉はないのです が、ちょっと言葉の使い方で気になったので発言しました。 ○ 勤労者生活部長  おっしゃるように、わかりやすくするために極端な例、右と左をやっています。ここ での整理は期間無限定で、いわゆる終身雇用的に雇っている方と、期間も時間も限定し て雇っている方という典型を並べています。  いま雇用形態で起こっているのはそのような方々だけではなくて、例えばいま言われ たように雇用期間は制約している。その間もあるのではないか。だから、雇用形態は多 様化させていろいろやっていますという説明になっています。ただ、実は多少期間や時 間を調整しながら、使用者の意図とすると2分類の範疇をはみ出ていないのではないか と言いたくてやったわけです。  労働者の場合はまさに中間的な働き方というか、そういうことをやるならむしろ正面 に置いてくれということを言いたいためにあえて極端な整理をしています。ここで正確 に表現してしまうと、次の雇用形態に持っていこうとするときに説明のインパクトがな いものですから、乱暴なことをやっていることになります。もう少し正確にというか、 マイルドに書くということであれば工夫はしてみたいと思います。 ○ 森戸委員  細かいことですが、22頁の1つ目の○、私だけわかっていないのかもしれませんが4 行目、「したがって、個々の労働者が『賃金の後払い』よりも『後払い』分までも含め た」というのはどういう意味なのでしょうか。ここは前に清家委員がおっしゃっていた ことを書いた点だと思うのですが、よく意味がわかりません。教えていただけますで しょうか。 ○ 勤労者生活部長  申し訳ありません、これも表現が正確になっておりません。退職金制度があれば自動 的に後払いというシステムになるということでした。退職金ではなくて、月々の給与な り年俸で退職金に回すとされるようなものも、前倒しで賃金としてもらうというぐらい のつもりなのです。端的に言えば、ある意味で退職金制度なしでも年々の取り分を増や すという選択肢を置く。企業内で退職金をもらうようにして賃金をもらいますが、あな たは退職金なしで、賃金を少し高めにもらうという賃金支払いにしましょうか。そのよ うな気持を込めて書いています。もう少し正確に書ければと思っています。意味として はそのようなことです。 ○ 森戸委員  要するに、退職金の前払い制度のようなものですね。いま、言われてわかりました。 もう少し前の頁にも出てくるのですが、「賃金の後払い」という言葉が枕言葉のように わりと出てきます。ここは所得の確保の話で、賃金等にかかわる社会的な諸制度という ことです。要するに、退職金と企業年金の話をしているのですが、賃金等にかかわる社 会的な諸制度というのはタイトルとしてどうなのか。賃金のことは直接はここには書い ていないので、これは中身に入ってしまっているのかもしれませんが、タイトルの付け 方のようなことがもう少し考えられるといいと思います。その関連で、やたら「賃金の 後払い」と出てくるのかなと思いました。章のタイトルの付け方でもう少し整理すべき 点があるかなと思いました。 ○ 諏訪座長  それでは、個別の質問はよろしいですか。後ほどまた議論していただく中で思いつい たら出していただくことにしまして、以下ご意見をいただきたいと思います。ちょうど いままでで半分時間が過ぎましたので、残った時間はすべてで、特に今回はどの章につ いて順番にとはいたしません。それは次回にさせていただきます。今日はできるだけ基 本骨格や基本の哲学、方向などを主として念頭に置きながら、しかし個別のと言い忘れ てしまうといけないし、次回出られなくなることもあると思いますから、是非何なりと ご発言をいただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○ 清家委員  基本的にはとてもよくまとまっていると思うのですが、少しコメントというか考え方 を申し上げます。仕事と生活の調和に関する検討会議ということは、最初の問題意識に もあるように、問題意識は仕事と生活の調和がどうもアンバランスだからそれを戻しま しょうということです。だからこれをイメージ的に言うと、仕事と生活の調和が崩れて いるのでこれを戻しましょうということなのです。ちょっとポンチ絵的に言えば、いま そういう状況で均衡しているというのは、上に出ている仕事と生活の調和がこちらの方 向にずれているということは、その下の所にそれをもたらしている原因があるわけです から、これをこちらに移すというのは、下のほうのバランスを今度また逆に取ることな のだと思うのです。つまりここで調和を戻すのはバランスを変化されることだから、そ の変化に伴って我々はいまベネフィットを求めているのですが、コストをどう負担して いくかという話が、前にも話したかもしれませんが、やはり基本だと思うのです。端的 に言えば、仕事と生活の調和というのはある面では、所得と余暇の調和のようなもので す。つまりガンガン働いていっぱい稼ぐよりも、もう少し穏当に働いて、自由な時間や 家族と過ごす時間も取りましょうということですから、そういう意味では確かに生活を 取り戻すためには、例えば個人の立場から言うと所得の減少、あるいは場合によると雇 用の不安定性などのコストも払わなければいけないわけです。それがこの文章の中にと きどき織り混ざっては出てくるのですが、どうも全体を読んでみると、もちろんあまり 学術的な文章ではないのでガチガチにバランスというのはないのですが、どうも一方的 にいいことばかりおきそうだという印象が強くて、やはり読んでいくと、でもちょっ と、そんなにいいことばかりなのでしょうか、もうちょっと何か我々がコストを払わな ければいけないのではないか。  実は私の結論は、いろいろなコストを払ってもやはりこういう変化をしたほうがいい と思うのです。そのほうが説得力があって、その辺でよくわかりませんが、いろいろな 可能性があると思うのです。  例えば時間をやることは、企業にとって時間当たりの固定費のコストを高める、つま り時間に応じて払っている賃金などは、仮に時間比例で企業にとっては減ったとして も、時間に関係なく払っているフリンジベネフィットのような費用というのは、労働時 間を短くすればするほど時間当たりのコストは高くなります。そうすると、時短をして くださいということを企業に呑ませるためには、時間と関係なく払われているようなフ リンジベネフィットも削られることになる、そういうこともあると思うのです。あるい は働く場所を自由にしろと言っておきながら、いままでどおり企業に健康管理も全部き っちりやらせろというのも無理な話なので、個人の責任がかなり健康管理にも出てきま す。  それから、企業がマルチジョブを禁止していたのは、雇用保障をしていたからだとい うのがあれば、マルチジョブを自由にやらせろとなれば、雇用保障も弱まってもしょう がないかもしれませんなど、いろいろあると思います。  もうちょっと言えば、均衡処遇というのは典型的です。つまり均衡処遇をやるのでし たら正社員の持っている既得権をどこまで譲るのですか、という話が必ず出てくるわけ ですから、そういうコストの中で、しかしそれを払っても我々は望ましい方向に進もう としているのですというピクチャーにしないと、そんないいことばかりやるのでしょう かという感想が、ちょっと出てきてしまうかと思いました。  それとの関連で少し具体的な話をしますと、例えば先ほど佐藤委員が質問をされた時 間管理の所は、私もちょっと奥歯にものが挟まったような言い方ですが、たぶん適用除 外やそういうものをイメージしているのだろうと思ったのです。例えば適用除外のよう な形をやるのであれば、その代わり今度は企業のほうに別途、もうちょっといろいろな 労働者の健康管理コストや、そういうコストが出てきますとか。  それから、例えば最賃の所などでもどういうふうに議論するか。いろいろな議論があ って、これから議論してくださいというのはいいと思いますが、その時に必ずされるべ きなのは、例えば産別最賃をこれはおかしいというので無くすのであれば、私の意見は おかしいから無くしたほうがいいのですが、しかしその代わりやはり地域別最賃の水準 をもうちょっとちゃんとしたものにする、それから罰則をしっかりと引き上げるなど、 そういう形でバランスを取りながら変えていく。  退職金税制を中立的に戻すのはいいのですが、その代わり個人の生活の優先という形 で言えば、個人が自分で老後のために積み立てたりする分について、別の形の優遇税制 はあってもいいかもしれません。例えば401kのようなものにマッチングを認めて、個 人の積立分についても確定拠出型の、これは森戸委員の専門ですが、年金に対する税制 優遇措置を講ずるなど、何かすべてのものにカウンターバランスを取るというか、何か こちらの方向に進めようとする時には必ず別の方向でバランスを取るという話があると 思うので、そういう感じで何か記述を進めていくと、説得性がもっと増すと思いまし た。  最後に、これはあとで佐藤委員が言われるかもしれないのですが、先ほど話していた のですが、やはり何かここで新しい基軸を出すとすると、そろそろ正社員という言葉に 代わる、正社員と非正社員と言うと、いませっかく正社員は生活の豊かさの障害になっ ているのですと言っていながら、何か正というと「正しい」となっているようで、障害 になっているものが正しいのかという感じがありますので、正社員に代わる言葉、ある いは正社員に対し非正社員ではない。先ほど佐藤委員が言っていた古い働き方、要する に非正社員のイメージを上げるためには、正社員を貶めるようなネーミングもいいので はないか。古くさい働き方とか。でもネーミングも結構大切ですから、何か正社員と非 正社員に代わるものを考えたらちょっと面白い。これはちょっと最後になる話なのです が。 ○ 諏訪座長  少しまとめてあと議論をしたほうがいい部分は、事務局からまとめてお願いをしたほ うがいいかと思っていますが、ちょっといくつか非常に重要なポイントをおっしゃって いましたから勤労者生活部長どうぞ。 ○ 勤労者生活部長  アドバイスをいただいた点は、弁解ではなくて多少入れているつもりなので、そこを もう少し手厚く記述すべきということかとお聞きしました。  まず最初の議論は7頁を見ていただきますと、下から2つ目の(2)の前にギュッと 押し込めているつもりなのです。言われたように所得、余暇といわゆる抽象的に書いて ありますが、ここにありますように、まず自分の責任を持って考えることをやりましょ うという部分が、まず自己確立になると思うのです。下の所が特にそうなのですが、世 帯としての収入というものが下がります。ですから減少は避けられないので、例えば夫 婦が共に支えることやダブルジョブ、そこにマルチジョブを入れさせていただいていま すし、そういう意味で収入確保、役割分担、いままでのようなパターンでは駄目だと、 ここをもう少ししっかりとバランスを取れば、ひとついまのご指摘に対応できるのでは ないかと思いました。  13頁のほうは、おっしゃるように限定的でも適用除外ということで書いたほうがいい というのであればすぐに書ける。今これは回りくどく言っていますが、そういう手法を ここで考えてはというご提案をいただければと思います。  それから最低賃金、19頁のほうにつきまして、産別最賃を無くすならば地域最賃、こ ういう部分については、そこはもう少し充実をと、総論と書き分けていますのでもう少 し収斂することと、罰則のほうにつきましては言及しています。下から3つ目の○で、 加えて最賃法違反者に対する罰金の額が低すぎると。ここをもう少しパラパラと書かな いで、いま言われた流れとして整理してステージアップすること。  あと退職金の部分について個人の資産形成というものは、財形制度に言及することで 個人資産形成はいくかなと思っていましたが、これをもう少し説明して個人資産形成に ついて22頁の○1つ目の所で、企業または個人のいずれかの運用ができるというのが総 論で、個人資産形成も読んでしまえということをちょっと端折ってまして、それを補完 する意味で次の所で財形制度を紹介していますが、401k等をもう少ししっかり書くこ とでやればご意見を吸収できるかと思います。  あと新しいネーミングで、政治的によく貶めるのをやるのは守旧派と言っています。 守旧的な働き方など、そういうのはすぐに思いつく。これはいいかどうかわかりません ので、もう少し考えます。そんなところです。 ○ 諏訪座長  清家委員の趣旨は、私が聞いた限りでは個々のそういう所にいろいろ入っているので すが、前のほうにまとめてわかりやすく書いたらいいのではないか。つまりいままでは 地獄でこれから天国になる、そんなようなことではないので、いままでもそれなりにバ ランスが取れていたのかもしれませんが、これからはまた違ったバランスの取り方にな る。そうすると、その周辺にできていた様々な制度との間で、もう1度調整をしなけれ ばいけなくなる。そういう調整はプラスもあればマイナスもあるでしょうが、次の時代 に進むと全体としてはやはりプラスになるはずなのだと。またそうなるためにどうした らいいかをみんなで智恵を寄せ集めた、それがこの検討会議なのです。こんなような趣 旨をどこかにまとめて書いておかなくて、あちこちにちょこちょこ散らばっていても、 しっかり読む人はわかるけれども、普通の人は読んでもイメージがわかないのではない だろうか、こういう感じがしたのです。 ○ 清家委員  すごく今ので自分の考え方が整理できました。私の言いたかったのはそういうことで す。 ○ 諏訪座長  というわけですので、ちょっとそんなようなものをどこかに少し落としておく、別に 全体のトーンはまさにそういう意味なわけだったので、わかりやすく書こうという意味 かなとお聞きしました。  それでは、ご意見をさらにいただきたいと思います。 ○ 武石委員  今のコストの話とも少し関連するのですが、総論の所で企業の変化といった辺りでい ろいろ企業にとってのメリット、要はこれ全体に、労働者がいまの話で言うと地獄から 天国になって、経営者は天国から地獄へとは言いませんが、労働者がすごく獲得するも のが多くて、企業が条件を譲るというような印象を受けてしまわないようにという趣旨 なのですが、企業の変化に伴う問題発生という所で、従業員のほうがいろいろ変化して いるからそのために雇用管理をしなくてはいけないという趣旨で書かれている部分があ るのですが、それに加えて、これまでの二極化した働き方が、企業にとっても非常にコ ストがかかっていた。過重労働に伴って健康の問題が出てくれば、それが企業にとって はコストになってきたと思いますし、あとは業務、仕事の仕方を変えて成果主義でやり たいと思ってもいろいろなところに規制があって、なかなか成果とバランスさせた処遇 のあり方がうまくできないので、企業にとっても二極化した働き方にはコストがあった というのを、もう少しいろいろな視点から書き込んでもいいのではないか。そうすれば 仕事と生活の調和が取れた働き方が、企業にとって譲るばかりではなくて獲得するもの もあるのだというニュアンスが出てくるかというのが1点です。  いままであまり気にならなかったのですが、こうやって書いてちょっと気になってき たのが、要はジェンダーと言いますか、非常にこれまで性中立的、ジェンダー中立的な 議論をしてきて、仕事と生活の調和というのは、男女両方に効果があるということで全 体を貫いていただいていると思うのですが、こういうことをやっていった時に結果とし て、やはり女性が新しい働き方のほうにたくさん入って、男性が相変わらず守旧派的な 働き方をしているような状況になってしまわないように、例えば総論の1頁の4つ目の ○の辺りに、正社員と非正社員の二極化という話があるのですが、これが結果として男 女間の格差につながって、男女共に働き方が非常に制約されてきたような課題認識と か、あるいは5頁のいちばん下の○の所ですが、仕事活動と仕事以外の活動、これがい ま男女を問わず調和は図れるなど、少しジェンダー固定的な働き方にならないような布 石を総論の所で打っていただけるといいかと思います。  それと先ほど均衡や、二極化という働き方とちょっと関連するのですが、23頁の均衡 処遇の所で、2つ目の○があって、要は契約期間をどういうふうにとらえるかなので す。「労働時間、契約期間、勤務地、仕事の内容や仕事の拘束度について異なる様々な 雇用管理区分は整理される」というのがあって、24頁の下から3つ目の○の所に、「契 約期間には雇用保障という面での『処遇』としての性格も有する」とこちらには書いて あるのですが、契約期間が雇用管理区分を考える時に、まず契約期間がくるものなの か、むしろ例えば勤務地を限定して働きたいことに対して、有期契約というのがあとか ら処遇として付いてくるものなのか。私は何かちょっと後者のほうが契約期間というの は強いような気がするのですが、契約期間や仕事への拘束度という意味がちょっとよく わからなかったのですが、こういう均衡を考える時に、雇用管理区分の区分の基準が、 契約期間の所に入れるべきかどうなのか、ちょっと疑問を持ったと。一応その3点で す。 ○ 諏訪座長  あとでまとめて事務方の皆様からご意見をいただきたいと思いますが、いま武石委員 が指摘してくださいました二極化した働き方を維持していくとコストが非常にこれから 大きくなっていってしまう、あるいはベネフィットが減る、こういうようなものをもう 少しはっきり書いたほうがいいというのは、おそらく皆様のご意見の中で異議ないだろ うと思います。  それからその次のジェンダーの点もご異議ないと思いますから、最後の契約期間をど う位置づけるかという問題、これは前からちょっとずつ出てあまり深めていませんの で、少し委員の間で議論をした後で、事務局からのお考えとすり合わせてみたいと思い ますが、その点どうでしょうか。 ○ 山川委員  特に深く考えてないのですが、24頁の先ほど武石委員の言われた所の1つ上の所で、 労働時間や契約期間を理由として差を設けることには合理性が乏しくなるということで すが、そこまで言い切れるかどうかという点にやや疑問があります。というのは公務員 との比較を考えると、公務員は無期任用が原則である。それは位置づけが違うものであ って、募集体系も違うので、公務員と民間の差がこう書いてしまうと極めて明確に出て くる。それは公務員だからという説明はできなくもないのですが、労働時間でしたらま だわかるのですが、契約期間や長期的なキャリア形成という発想もあり得るかと思いま すので、せめて合理性が乏しくなる場合があるなど、やはりちょっと期間と時間という のを同一には論じられないのではなかろうかという感じがします。ただ、完全なる時価 主義的な成果主義と考えるとすれば、それはあまり差がなくなるようにも思いますが、 それがどれだけ完全なる、例えば1年契約、期間の定めがないがすべて処遇は1年単位 で精算するようなものが、どれだけ現実的かという感じもあります。せめてもうちょっ と弱めるくらいのことがあってもいいかなと思います。 ○ 諏訪座長  さらにご意見を他の先生からもいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○ 佐藤委員  法律はよくわかりませんが、人事管理の観点からですと、やはり仕事を複数事業所で 勤務地限定して雇用することを想定すると、企業としては雇用契約期間についてある程 度限定するような必要性が高くなる。つまり仕事を限定して雇用する、この仕事をやっ てもらうために雇うことからすれば、これは無期に仕事があればいいわけですが、一般 的にはそうではないわけです。  事業所もずっと、その人が定年までその事業所があるか分からないわけですから、そ ういう意味で、なぜ仕事や勤務地を限定すると有期が多くなるかといえば、やはり仕事 や事業所がある限りの雇用でせざるを得ない事情があるからです。逆に言うと、仕事や 勤務地を限定しない場合は比較的無期契約しやすいことが、その仕事や事業所が無くな ったら異動できることだと思うのです。逆に言うと、仕事を限定していても解雇のルー ルがきちっとしていれば、無期でもいいのです。ですから仕事を限定していた時に無期 にしておいて、仕事がなくなったら例えば解雇できるとなれば、そうすれば別に無期で もいいわけです。仕事や勤務地を限定した時に、勤務地や仕事がなくなった時に解雇で きないとなるから有期になる。ですから、法律と解雇ルールとセットになっているの で、ちょっとそういう意味では議論が非常に難しいかと思うのです。 ○ 諏訪座長  法律学者のほうに少し振ってきましたので、この点また少し両委員のお力でご意見い ただけませんか。 ○ 森戸委員  私も佐藤委員に法律家として先に全部言われているような気がしますが、同じことを 考えていて、つまり山川委員が出された公務員の場合と、民間の場合と同じに考えられ ないのは、事実上公務員の場合は解雇をされることがあまりないという前提でいいけれ ども、ただ最近の状況だと無期、契約期間の定めがないことが、雇用保障が一応はある と言えるのでしょうか。それは逆に言うと、例えば3年契約なら3年は首にならないと いう分だけもしかしたら無期より保障が高いこともあるかもしれないなど、そういうこ とを考え出すと、やはり契約期間という単純な問題ではなくて、従来の伝統的なと言う か労働法理論と言うか、従来の長期雇用の慣行のもとだと、契約期間がないことは事実 上かなりの程度の雇用保障を意味していて、それと比較しての有期雇用というのは、と いう話なのです。だから「契約期間」と書いてしまうとそこはちょっとぶれちゃうと言 うか、やはり従来の働き方のもとでのあまり解雇しない、できないというルールと比較 すればということがうまく分かるような書き方をしないといけないのかとは思います。 ただ均衡処遇という形をどこでどう書くかというのはあまり思いつかないのですが、や はり佐藤委員がおっしゃったようなことではないかと思います。 ○ 諏訪座長  ほかの委員はよろしいですか。それではお待たせしました。腕が鳴っていると思いま すからどうぞ。 ○ 勤労者生活部長  実は23、24頁で記述していることは、委員の方がいま議論されたことを、いわば概括 して記述したということでいるつもりなのです。というのはまず23頁の2つ目の○は、 人が雇用契約でいろいろな縛りをかけられる時に、時間的な縛りと場所的な縛り、それ から縛った上でどういうことをやれという中身の縛りがあるので、まず時間や期間で括 りになります。勤務地という所で事業所か、家庭か、それからどんな仕事をと、この3 つのエレメントでいろいろな雇用管理区分ができるのではないかを述べただけでして、 武石委員が言われたように、例えば勤務地と契約期間をこういうふうに絡めて使用者が 合理化してセットすることは、一切捨象しています。その以前のエレメントだけ述べた ということでまずとらえていただきたいと思います。  24頁は、いままでのそうしたエレメントの組み合わせの今後の基本的な方向というこ とで書いています。今後考える場合は、能力や成果主義が進むのだから能力、成果をま ず頭に置いてエレメントの組替えをしてください。そうすると、賃金処遇の決定の差を つける時に、労働時間がこうだから、契約期間がこうだから、それのみを理由として差 を設けるのは駄目です。もっと複合的な理由を絡めて言わないと駄目だという構成にし たくて書いております。  そこで、そういうことをやろうとしても次の「ただし」の所で、非常に理念的にはわ かるけれども、いまの段階で留意しなければいけないのは、ある使用者が労働者に、ど の程度仕事をやりなさいという趣旨で契約の期間や、労働の時間帯を縛るという構成が 多いのですが、労働時間については確かに仕事の拘束という側面があるのですが、期間 になると皆さんが言われるように、この期間というのはその間拘束するという裏返しで この間雇用を保障する、そういうふうに評価する方々もいるし、そういう意見があるか らよく考えましょうと。  それから、無期とか有期といってもその時に、まさに処遇という面があるからそれを 比例配分するというコンセプトもいま起こっています。そういった議論があることをよ く注意しながらやりましょう、こうコメントを加えているだけでして、まさにそういっ た議論は別途やっていただきたい。ここでたぶんそういった整理はできないだろうとい うつもりで書いた、ということでご了解いただきたいと思います。 ○ 諏訪座長  何か補足的にご意見ありますか。よろしいですか。  それでは、委員の方から出たご意見も、よく斟酌して、報告書原案をおまとめいただ きたいと思います。では、ほかの点でどうぞ。 ○ 佐藤委員  ずっと後ろを読めば読むほどわからなくなることがあるのですが、仕事と生活の調 和、ワーク・アンド・ライフ・バランスというのが非常に大事になっていて、仕事と生 活の調和のためには、働き方を非常に多元化していくことだと思うのです。それは、従 来は働く人たちのライフプラン、その中でのキャリアプランが割合画一的で、それを前 提にした働き方がある。そういう意味で働き方と、従来の日本人のライフプランなり キャリアプランが合っていた。  ところが働き方はなかなか動かないのですが、人々がこういう生活をしたい、その中 でこういう働き方をしたいと非常に多元化していく、ライフプランやキャリアプランは 多元化してきたのですが、働き方のほうは多元化していない。ただ二極化ということ は、非正社員という形で1つの働き方はできたのですが、逆に言えばもう1つ固定的な 働き方ができたと。  固定的な働き方は2つある。片一方の働き方を取ると労働条件も低いし、ある面では 違いという以上に差別的な何かがあるような二極化だと思うのです。ですから二極化と いった時にこれを多元化し、かつ二極化の基であった違いが、異なる働き方以上の何 か、そういうものを取り除いた多元的な働きをどうつくっていくかということだと思う のです。  そうした時にずっと読んで、そういう働き方、それぞれ差別的な状況が起きないよう な多元的な働き方が何なのかというのはよくわからないという感じがあって、もしかす るとすごく詳しくいろいろ書いてあるのですが、まとめの章が必要なのかなと。これが 全部実現できるというのはどういうような社会なり新しい多元的な働き方、多様なライ フプランやキャリアプランを持った人がいろいろな働き方を選び、かつ違う働き方なの だけれども、それはそれぞれ納得できる働き方が提供されているとなるのだろうかと言 われた時に、こうですよとすぐ説明できないような感じがして、何かまとめがうまく書 けると、真ん中がうまく書けているのだと思うのです。ちょっとそれがわからない。  先ほど例えば二極化し、そこに差別的な要素がある。先ほど清家委員が言われました が、正社員、非正社員という言葉にまとわりついてるものが取れたような、そういう多 元的な働き方が生まれるのだろうか、ここに書いてあることがみんなできたらそうなる か、と聞かれた時に、そうですよとなかなか説明しにくい感じがあって、ちょっと何と も言えないです。どう直せというわけではないのですが、これをやったら本当にそうい う働き方になるのだろうか、一歩踏み出すことなのか、これはちょっと全体を通して最 後にあるとわかりやすいかなと。それが読んだ印象です。 ○ 諏訪座長  非常にありがたい意見です。こういう全体の骨格や基軸に関するご指摘をいただけま すと次回にうまくつながると思います。  事務局には最後にまとめていただきますので、どうぞご意見いただきたいと思いま す。 ○ 森戸委員  今更そんなこと言うなと言われそうなのですが、もしかして自分だけわかっていない とまずいので言っておきます。5頁の(1)を私なりに読むと、仕事と生活の調和が取 れた働き方というか、人生を送る人がまさに智恵、思いやりがある。要するにどういう ことかと言うと、簡単に言えばそういう人のほうが労働者としてというか、人間として 価値が高いというか、お金を稼げるということですよね。智恵、思いやりが必要なこの 時代の働き方、「智恵、思いやり」と書いてありますが、よく言われている「問題発見 力」だと思うのですが、いまの時代に本当に価値を生み出せるのは、仕事と生活の調和 が取れている人なんだという大前提があるんですよね。  それは仕事も生活も、オフタイムも格好よく過ごす人が偉いということなのか。それ ともみんな仕事と生活のバランスがとれたことをしたいんだけど、そうではなく、仕事 に追いやられ、自分の意に反しているからそれはよくないんだということなのか。それ とも本来的に仕事と生活の調和を取っている人のほうが、単純に言えば労働時間が短い かもしれないが、仕事オンリーの人より1.5倍生産性が高いとか、そういうことですよ ね。これからいろいろな不利があったとしても、幸せな方向にいくためには何かそうい う説明がいると思うのですが、そこは皆さんどういうふうに捉えているのかがはっきり わからないので、事務局にではなく皆さんにお伺いしたいのですが、それはどういうふ うに理解したらいいのでしょうか。 ○ 諏訪座長  実に重要なポイントだと思います。いま2つの質問があったと思いますが、生活の調 和が理想的に取れているような人が、これからのあるべき人間像なのかどうなのか。こ ういうふうに聞くと、なんとなく胡散臭いイメージがあるのですが、これが第1点で す。  もう1つは、仕事と生活の調和が取れるということは、そうではないとしたら、仕事 の面で一体どういう意味を持つのか。経済、社会の面にどんな影響を与えていくのか。 この辺に関する見通しが分かっているようでよく分からないから、もう一度確認をした ほうがいいという問題提起だと受け止めさせていただきます。この2つについてご意見 はありますか。 ○ 清家委員  私は最初に森戸委員が言ったような感じではないと思います。つまり、これからの社 会で本当の意味で価値を生み出したり、企業競争の源泉になるのは、めちゃくちゃ働く 人、あるいは一時期でもという感じがします。  前にも言ったかもしれませんが、問題なのは、めちゃくちゃ働いて偉くなる人とかは 選択肢としてそれでいいのだけれども、どう考えてもそんなに偉くなりそうもない人ま で、同じぐらいめちゃくちゃ働かなければいけないというのはおかしいということ。つ まり、本来の報酬に見合わないぐらい忙しく働かされているというのは、これはバラン スを欠くわけです。  もう1つは、そういう働き方と、そうではない働き方の二極しかないというのは問題 で、その中間で程々に働きたいという人もいるわけだから、そこでバランスを取りま しょうということだと思います。  いわゆる知価社会というふうになると、ある時期自分の能力が発揮できるときにはも のすごく働くような人がいないと、経済がもたない。研究者を例に取ってみればわかる と思うのですが。一方、そうではない選択をしたい人まで、それにつき合わされてめ ちゃくちゃ忙しくなっているのを何とかしようというのが、二極分化を何とかしようと いうことだと思います。  そうは言ってももう少し生活を重視したほうが、例えば生活関連産業みたいな所で は、もしかすると生産性が高くなったりすることもあるかもしれない。バランスのいい 人は生産性が高いというのも全く否定はできない。特にサービス産業、あるいは対人サ ービス、例えば対人サービスの仕事というのは、自分が気持ちよく働いているか、そう ではなく働いているかでサービスのクオリティが変わってきますから、そういう点では きれい事的なことも多少当てはまると思います。あまりまとまらなかったのですが以上 です。 ○ 佐藤委員  仕事と生活の調和というのは、ある人にとって望ましい働き方というのが外からあ り、そういう働き方をすると生産性が高くなるということではなく、一人ひとりがスト レスなく働ける。そうすればその人の持っている力が高く発揮できるだろうということ だと思います。  自分はこの時期こういう働き方をしたいけれども、職場で認められない。例えば自分 は子育てに時間を取って残業を少し減らしたい、あるいは勉強に行きたいと思ったとき にそれができない。そうすると、その人は職場にいても100パーセント能力を発揮でき ない。私はとことん仕事がしたいという人はそれでいいのですが。  ある時期自分はこうしたい、こういう生活をしたいというのがあり、こういう働き方 をしたいというときにそれが認められない。あるいはそれを100パーセント認めるとい う意味ではないけど、そういう働き方しかないということは、その人が意欲を持って働 けないだろうというだけの話であり、その人がその会社の中でいちばん働けるというの ではなく、やはり一人ひとりがストレスなく、自分が希望する働き方ができるほうがそ の人の貢献度が高くなるだろう。そういう状況を作りましょうということではないかな と思います。 ○ 北浦委員  だいぶ重なってきてしまうのですが、どこか1つの働き方だけが正しい、価値がある ということではなく、先ほどから出ているように、多元的なというところで皆がイーブ ンの価値を持っていることだと思います。ただ、それについての評価というのは、企業 から見れば企業なりの評価があるわけですから、これは活用があるとか、ないとか。  やはりその前提はそれぞれが希望する働き方、暮らし方が多様化し、その選択肢がニ ーズとしてあるからこれが成り立っており、その多元性であって、価値としては私はイ ーブンかなと思います。今後そのバランスがどう展開してくるかはこれからの話だと思 います。  そのことに関連するのですが、1頁の「二極化」というのがかなりキーワードになっ ており、これはそのとおりだと思うのですけれども、非常にロジカルでよくわかりま す。このことと、多分佐藤委員がおっしゃった結論を書けということとつながってくる のだと思います。いま考えている働き方は、ここにある二極化の間なのか、全く違うの かということなのです。  それはなぜかと言うと、ここでは割と実態的な形の書き方をされている。そうする と、私なんかが見ると「二極分化」と言っているのが本当かなという感じがあり、それ は先ほどの拘束性、時間、契約性の問題、基軸をもう少しマルチで捉えないといけない ので、平面ではない。ですからそういう書き方で、もっと連続的な分布になっている。  もう1つは自営業という世界が抜けている。そういうものを考えていくと、実態とい うのはもっと連続的な世界の中で考えていかなければいけない。ここには拘束性の高 い、非常に不自由な、不幸な働き方と、それから楽なんだけれども、逆に処遇の低い働 き方が書かれている。そうすると、新しい働き方が間にありますなんて取るのはおかし いと思います。  その間にある新しい働き方の類型というのは、おそらくここに出てくるようなものに して、先ほどもありましたが、自主的とかも含めて作り出していくものである。ですか ら、「実態」としての二極化ということと、「理念」としての二極化が一緒になってい る感じがしました。  そういった読み方をすると、特に1頁の4つ目の○の「一方」というところの頭書き にある非正社員の位置づけの仕方が、「働き方が困難な者は非正社員として位置づけら れる」と、困難理由だけで描かれている。これも一方的な整理になりすぎているので、 こういう事実はありますが、理念としての二極を言いたいがために書いているので、お そらくこういう無理が入っているので、そこをもう少し分けてみたほうがいいのかなと 思います。  先ほど指摘がありましたが、エレメントはいろいろあるわけですから、そのエレメン トの組み合わせによって、新しい働き方ができるんだというイメージが最終的にでき上 がるといいのではないかと思います。 ○ 清家委員  私のイメージもいま北浦委員が言われてとてもクリアになったのですが、つまり二極 化といったときに、両方を撲滅させて何かを作るのではなく、その間が埋まっていない ので、その間をもう少し合理的に、もちろん両極を何とかしたほうがいい部分もあるの ですが、あくまでも両極が悪いから、撲滅させて別の中間的なものを作るのではなく、 要するに、極端な総合分布になっているのをもう少し滑らかな分布にしましょうという のが我々の考え方ではないかなと思います。 ○ 森戸委員  今3人の委員が言われたことは、ここでの議論でも出ていて分かっていたつもりでし た。報告書の案で来てみると意外と。つまり「仕事と生活の調和」そのものがというよ りも、個々人の多様な選択がいまの時点で切っても、生涯で切っても、あることが大事 なので、それはそれぞれが満足して働き、結果的に生産性につながる。  よく読むと「選択により」という言葉が出てきていますが、やはり最初に諏訪座長が おっしゃったように、もう少し整理して書いたらどうかという話につながるのですが、 なぜ仕事と生活の調和かというところが、報告書に非常に細かく網羅的にまとめられた 結果、少し埋没している感じもあるので、まとめるとこういう流れだというのがわかる と、いまのような話がもう少し浮き出るといいかなと思いました。私のほうはいまよう やくレベルが上がって分かりましたので、もうほかの議論にいっていただいて結構で す。 ○ 諏訪座長  今の議論は非常に重要だと思います。総論の冒頭で書くべきいくつかのポイントの1 つは、先ほど清家委員がおっしゃったことだと思います。もう    1つは、いま森戸委員が問題提起してくださったことで、そのときの視点が北浦委員 がおっしゃった部分だったのだろうと思います。  本当にそのとおりであり、要するにもう少し懐の深い社会になろうよということ。こ れだけ豊かになり、これだけみんなで頑張ってここまできたのだから、そしてこれを更 に進めて社会経済のバランスを取っていくためには、懐の深さというのが我々自身に要 請されているのではないか。  つまり簡単に言えば、一方ではアンデス山脈の山頂に立っている天文台の天文学者。 1年間詰めて昼夜ひっくり返ってもう家庭も何もなくやっているわけですね。この人 が、仕事と生活の調和というのを日常的にやろうと思ったら研究ができなくなってしま う。  他方で生活関連のグッズやサービスを考えている人たちが、家庭生活を何一つ顧みな いで、観念的にやって本当にいい仕事ができるかというと、これもまた逆だろうと。  こういうふうに考えると社会全体の中には、やはり様々な業種、職種があり、それが それぞれに司の仕事をやり、全体としてバランスが取れるわけなのですが、それが個々 の企業にいってしまうと、そのある部分しか分担していないだけに、その選択肢を狭め てしまうわけですね。それがある意味、選択と集中で生産性を上げるためにはよかった のかもしれないが、よくよく考えてみるとそういうことだったのだろうかと。ダイバー シティとか多元性というものは、単に社会全体の中だけでそれなりに存在すればよかっ たのだろうか。こういう問題提起だと思います。  総論としてはこういう枠組がしっかりと出た上で、一挙にそこに飛べるかというと飛 べませんから、いまあるところから次にどういうふうに進んでいくか。その次はどうし ていくか。こういうステップ・バイ・ステップのものを示しつつ、そして佐藤委員がご 指摘になった最後にはまとめとして、要するにこんな社会と経済のあり方を念頭に置き ながら、もう少し懐を深くするための新しい基軸の移動をしていくというニュアンスで まとめていけばいいのかなと感じました。時間も足りなくなってきたので、事務局のほ うからお願いします。 ○ 勤労者生活部長  ありがとうございました。いまご示唆いただいたことで総論部分の組み直しができる かと思います。違った切り口で、いろいろな対応策を考えるということで行ったときの 分析の仕方ですけど、労働者と使用者が一定の人間関係をつくっていき、管理するとい う目で区分けをするときに、使用者側の目線で雇用管理区分してきた。だからこの方は 常用雇用、その雇用者がそういう雇用管理ができるのは、実は社会保障制度などについ て社会保険を適用する、しないという基準を作っていますから、それを借用して雇用管 理をする。それで実態は連続的にあるのですけれども、ある一局面でこの方は正社員、 この方は非正社員とやっていく中で、言い方は極端ですけれども、それでは芸がない。 その間にいろいろな派遣、特に労働基準の中では時間制について裁量を増やすという要 素で、中間的な雇用管理の方法を提供し、これでうまくやってきているという分析もで きます。そこを実際に膨らませてうまくやりたいのだけれども、どうもここも正規では ない分類で使い始めているのではないかなという気持が現状認識です。  次に働き方の見直しで、サービス産業化とか付加価値競争と申しましたが、日本国が 一つの有機体として生きていく限り、いろいろな産業があり、どれもすべてコメントを 加えなければいけない。農業、製造業、サービス産業とあるのですが、ここでとりあえ ずスポットライトを浴びせて雇用管理を論ずるのは、このサービス産業化のところでど うかというぐらいのつもりで取り上げました。  その意味でストレス等がなくなるという、佐藤委員が言ったことをベースにしなが ら、ここで書いてあるのは、こういうサービス的な仕事を与えられた当該所掌の事務に だけ専門能力を高めるのではなく、もっと視野を広く取ることがむしろプラスなんだと いうことを言いたくてやりました。  当然、いろいろな興味を持っているのが普通の人間であり、その興味を満たすことが 人間にとっても気持いいし、その興味を持つことで成果がはね返ると個人にもいいし、 企業にもいいと思います。これが根っこの話であり、原理、原則です。そこをもう少し 丁寧に書けば展開できるのではないかということです。  「調和」というときに、6頁のいちばん上の1つ目の○に少ししか書いていないので すが、皆さんが議論されるときに、仕事と生活以外のいろいろな調和を考えておられる のですが、それを書き始めたら無理だなということがわかりました。ここに書いてある ように「最終的には個々人の主観による」、ですから価値判断というのは問わないとい うことで、先ほど言われた個人のダイバーシティ、価値観は問わないとしました。  政策手段でやるためには申し訳ないけれども、今回は時間という切り口だけで調和さ せてくださいというのがここのポイントです。それは何かというと、24時間という制約 された中で、何時間を生活時間に、何時間を労働時間に、そこだけをやることで価値観 の持ち方が変わってくるのではないか。  例えば70年なら70年のサイクルの中でどうするかを考えていく。それをもってこの中 では配分と言っていただきたい。ここでグッと絞ったつもりなのです。いま言われた部 分は本当は論じなければいけないし、そこまでやらないと厚みはないし、説得力はない のです。多分、価値観が違うから書けないだろうということで、私としては「個人の主 観になるとしても」というところに万感を込めて書いたつもりなんです。そこをもう少 し言及しながら、諏訪座長の言われたそういうこともあるけれど、とりあえず「時間」 から取り組むということです。 ○ 諏訪座長  次回具体的にどこから着手してどうしていくかという部分、あるいはその先に何がく るかという各論の議論をしたいと思うのですが、今日の段階でほかにご指摘いただくこ とはありますか。 ○ 山川委員  先ほどの議論とも関わるのですが、5頁の(1)の1つ目と2つ目の○の部分なので すが、どちらかというと基本的なコンセプトが下のほうで、例えば「多様な個々人が可 能な限り意欲・能力を発揮できるような多様な働き方を作る」ということが基本で、そ れがある意味現在の産業構造では企業にも有益ですよという流れのほうが、すっきりす るのではないかなと思いました。  あと簡単に申し上げますが、4頁で「所得水準に加えて働き方を選択」というと、い いとこ取りみたいになるので、「一定の」と書いてありますが、むしろ所得水準の高さ にはそれほど拘らずにというような、本人にとっても選択が問題になるみたいな書き方 にしたほうがいいと思います。  その2つ下の「しかしながら」というところでは、先ほど武石委員も言われたよう に、能力発揮を損ねる1つの大きなパターンとしては、若年、高齢だけ出ていますが、 女性という類型も入れていいのではないかと思います。  7頁で「多様な働き方のあるものを選ぶと所得が減るかもしれない」と、どれだけ労 働者として自覚し、選択すべきであるかは1つの問題かと思うのですけれども、例えば 子ども何人かと専業主婦を養うような生活はできないかもしれない、夫婦が家庭の支え になるという概念で書かれていると思うのですが、そういう発想自体、労働省自体が自 覚的に考え直さなければいけないということがあるかもしれないので、例えば「職業や 家庭生活のあり方を考える機会を持つとともに」という形で、別にそれを押し付ける必 要もないとは思います。従来型の大黒柱が子ども、奥さんを支えるという考え方でこれ をやっているとどうしても限界がありますと一言、その上での選択だと書いてもいいよ うな気がします。 ○ 北浦委員  簡単に申し上げますが、松井部長の言っている趣旨が6頁にまとまっていると思いま す。時間が有限であり、その制約の中でやる。各論との関係がもう少し見えるように整 理されているといいのではないかなと思いました。  もう1つ指摘をしたいのは、時間の問題で有限だからこそ、いままでの労働時間短縮 論理は安全衛生、健康確保という論理できたけれども、そうではなく人々の豊かさを増 していくためには、それだけのゆとりある時間をつくり出すことがベースにあるべきだ と。生活の調和の第一点は、労働時間の短縮だというのをもっと強く出せないのかなと いう気がしました。  その上で、それを阻害するものはそのような取り決めをしたとしても、残業によって 予期しない形で調和が乱されると、それを何とかしましょうということと、その調和の させ方には、やはり自由な、弾力的な働き方の組み合わせは平面軸でもあるし、生涯の キャリアの中においてもあり得ると。そんなふうに労働時間のロジックをここに打ち出 すと各論の位置づけが見えてくるのではないかなという感じがしました。 ○ 武石委員  6頁の2つ目の○で、2行目の「労働時間よりも生活時間を優先して確保できるよう な環境」と書いてあるのですが、やはりここでの議論は、労働時間と生活時間はその個 人が好きなようにバランスを取れればいいということなので、生活時間を優先すべきと まで言ってしまっていいのかなという気がしました。  これも今更という感じがしますが、「仕事と生活の調和」というタイトルなのです が、仕事というのは生活の一部だと思います。仕事と生活と対立するものではなく、生 活の中に仕事というのがあり、それがうまく調和ができるように、割と対立した概念で 書かれているのですが、もちろん生活の中に仕事が無理なく組み込まれ、それで全体と して生活が豊かになるようなイメージがいいのかなと。  ついでに2頁の2つ目の○なのですが、労働組合の交渉力の話が出てきますが、「後 退を余儀なくされる」という現状は確かにありますが、労使というのは、いままで集団 的に労働条件を決めるということが基本にあったわけですが、それがかなり個別化して きているという部分で、交渉力の後退だけではなく、労働条件の決まり方というのが労 使の集団的なものから個別性が出てきたというところで、後ろにつながってくると思う のですが、個別なところで、労使の交渉力というものを担保していく必要があるという ことに、少し個別化しているというニュアンスを入れてはどうかということです。 ○ 諏訪座長  ありがとうございました。ほかにも多々お気付きの点があろうかと思いますが、時間 になりましたので、次回更にこの叩き台を深めていただいた案に基づき、委員の方々に ご議論いただきたいと思います。次回の日程、進め方等について事務局からお願いしま す。 ○ 勤労者生活部企画課長  次回の会議は、6月16日水曜日午前9時30分から11時30分まで、場所はこの建物の5 階の共用第7会議室を予定しておりますので、よろしくお願いします。次々回は6月23 日を予定しています。報告書については次回と次々回でまとめていただければと思って おります。  今日いただいたご議論を踏まえ、報告書(案)を修正し、でき上がり次第またお送り したいと思います。今回出たことで追加すべきことがあると思いますので、追加すべき 論点、修正点があれば随時私どものほうにお寄せいただければありがたいと思っており ますので、よろしくお願いいたします。 ○ 諏訪座長  次回は6月16日水曜日午前9時30分から11時30分ということです。23日は午後3時か ら5時でよろしいですね。本日の会議は以上で終了させていただきます。ありがとうご ざいました。 照会先:厚生労働省 労働基準局 勤労者生活部企画課法規係(内線5349)