04/05/17 薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会 平成16年5月17日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録 1.日時及び場所   平成16年5月17日(月) 14:00〜   厚生労働省専用第21会議室 2.出席委員(13名)五十音順   井 上 和 秀、 岩 崎   学、 金 井   淳、◎河 村 信 夫、   堺   秀 人、 櫻 井 秀 也、 首 藤 紘 一、 谷川原 祐 介、  ○長 尾   拓、 長谷川 紘 司、 樋 口 輝 彦、 藤 上 雅 子、   村 勢 敏 郎   (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(4名)   小 嶋 茂 雄、 永 井 良 三、 南 部 鶴 彦、 早 川   浩 3.行政機関出席者   鶴 田 康 則(大臣官房審議官)、 岸 田 修 一(審査管理課長)、   平 山 佳 伸(安全対策課長)、   豊 島   聰(医薬品医療機器総合機構審査センター長)、   森   和 彦(医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長)、   辻 村 信 正(医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長) 他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 それでは定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部 会を開催させていただきます。本日はお忙しい中、また天気の悪い中御出席いただきま して、ありがとうございます。委員の総数17名のうち13名の先生に御出席いただいて おりますので、定足数に達しております。小嶋委員、永井委員、南部委員、早川委員が 御欠席でございます。  始めに事務局の方の変更がございましたので、今日配付しております医薬品医療機器 総合機構の組織図に基づきまして、御案内申し上げたいと思います。今年の4月1日付 けて発足しました独立行政法人でございますけれども、お手元に色刷りの資料がありま すが、その左上の方にどういう部門の仕事をするかということが載っております。医薬 品副作用被害などの救済業務を行う部門、医薬品等の審査を行う部門、安全対策の部門、 それから研究振興の部門と大きく四つの部門がございます。組織図が右側の方にござい ますけれども、一番下の研究振興部は現在国会で独立行政法人医薬基盤研究所の法律が 審議中でございまして、これが成立した暁には来年の4月にそちらの方に移行する予定 でございます。理事長の下に理事がございますけれども、事務局側といたしまして今日 出席の豊島理事が審査センター長と兼務しております。それから審査センター長の下に 審議役とございますけれども、古澤審議役でございます。審査部門は幾つかの部に分か れてございまして、審査管理部といいます全体の連絡調整を行う部門、それから新薬審 査第一部、こちらは今日森部長が出席しております。新薬審査第二部の赤川部長でござ います。新薬審査第三部が辻村部長でございます。生物系審査部の國枝部長でございま す。今日は出席しておりませんけれども、一般薬あるいは後発品を行う一般薬等審査部、 医療機器審査部、それから信頼性保証部、これはGCP、書面、信頼性調査を行うとこ ろでございます。次に安全部の方でございますが、その下に品質管理部とございますけ れども、こちらはGMPを行うところでございます。発足前は総数として235名の陣容 でございますが、これを3、4年かけて50%アップの357名の人員でもって臨むという ことで現在人員採用計画を進めております。簡単ではございますけれども、医薬品医療 機器総合機構の御説明をいたしました。それでは河村先生、よろしくお願いいたします。 ○河村部会長 それでは本日の審議に入りますけれども、本日は非常に蒸し暑いので、 委員の先生方、上着をお取りになって結構ということにさせていただきましょう。お役 所の方も結構でございます。もうお取りになっている方もいらっしゃいますが、そうい うことにいたしたいと思います。  一月抜けましたので、先生方お久しぶりでございました。審議に入る前に事務局から 配付資料の確認と資料作成に関与された委員の報告をお願いいたします。 ○事務局 それでは資料の確認をさせていただきます。資料1〜5までがあらかじめお 送りした資料です。本日の席上配付資料といたしましては、議事次第、当部会の名簿、 座席表、それから資料1-1としまして審議事項の議題1の「審査報告書(2)」、資料4-1 としまして報告事項の静注用フローランの添付文書の差し替え版でございます。資料6 としまして「新キット製剤」、資料7としまして「医薬品第一部会審議品目の薬事分科 会における取扱い、毒薬・劇薬の指定の要否及び生物由来製品/特定生物由来製品の指定 の要否について(案)」、資料8としまして「専門協議 委員名簿」、それから資料9とし まして「優先審査品目の指定について」という資料をお配りしております。  また、平成13年1月23日の薬事分科会申合せに基づく資料作成に関係された委員の 確認でございますが、本日の議題については関与された委員はいないということでござ います。以上でございます。 ○河村部会長 ありがとうございました。本日は審議事項が三つ、報告事項が三つとい うことになっております。議題1の医薬品ジオン注、内痔核の局所の硬化療法に使うお 薬だそうですけれども、事務局の方から御説明お願いいたします。 ○事務局 それでは議題1、資料1の医薬品ジオン注等の製造承認の可否等について、 医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。なお、本品目については当日配付資 料1-1として「審査報告書(2)」をお配りさせていただいておりますので、併せて御覧 いただければと思います。内容は本剤の劇薬指定の要否に関する審査結果の追加となっ ております。  本剤は日局硫酸アルミニウムカリウム4%と日局タンニン酸0.15%を含有し、添付の 希釈液にて用時希釈して用いる注射剤で、肛門外への脱出を伴う内痔核に対し、その粘 膜下に投与して痔核を硬化・退縮させることにより、肛門外への脱出症状を消失させる ことを目的とした製剤です。2種類の製剤が申請されておりますが、本剤の投与に先立 ち、肛門括約筋の弛緩を目的として行われる麻酔処置について、局所麻酔の場合には本 剤を無痛化剤入り希釈液で、腰椎又は仙骨硬膜外麻酔の場合には生食液で希釈して用い ることから、その麻酔法による使い分けを目的としてそれぞれ異なる希釈液を添付した 2製剤が申請されております。なお、本剤は中国において1979年に医薬品としての認可 を受けた消痔霊の処方を基にして国内で開発されたものです。  本剤の専門協議では本日の配付資料8に示しますように、井村委員、佐藤委員、谷本 委員、松野委員、吉田委員が専門委員として指名されております。  本剤の規格及び試験方法、毒性、薬理、吸収・分布・代謝・排泄に関して提出された 資料の内容には大きな問題はないものと判断いたしましたので、臨床試験成績について 述べさせていただきます。  まず有効性に関してですが、第III相試験においてGoligher分類の第II〜IV度の脱出を 伴う内痔核患者を対象に、本剤の有効性及び安全性を検討する試験が実施されました。 また、本試験と並行してGoligher分類第III度及び第IV度の患者を対象とした手術療法が 実施され、その調査結果も参考として提出されております。本剤投与に先立つ麻酔は患 者の状態により選ぶことが適当であること、また本剤の投与量は痔核の大きさにより決 まることから、希釈液及び投与量の種類は患者の病態に応じて担当医師が選択すること とされております。その結果、主要評価項目とされました投与28日後の脱出の消失率は 94%であり、また投与後1年間の再発率は13%でした。また、このうちGoligher分類 第III及び第IV度の患者について見ると、脱出の消失率が94%、再発率は16%でした。一 方、手術療法における調査結果では、術後28日後の脱出の消失率は99%、1年間の再 発率は2%であり、手術療法による成績は本剤の試験結果をやや上回る結果となりまし た。しかしながら、本剤においては手術と異なり局所麻酔下での治療も可能であるため、 合併症などのリスクにより腰椎麻酔の実施が困難である患者に対しても治療が可能とな ることなどを考慮すると、本剤による治療について臨床上の意義はあると判断いたしま した。また、通常では手術適応とならないGoligher分類第II度の患者につきましては、 現在薬物療法などの選択肢があるものの、既存の薬物療法は痔核に伴う脱出の改善には 効果が乏しいこと、またそのために臨床現場においては長期にわたって薬物療法を必要 とする症例が存在することから、第III相試験において有効性が確認されたGoligher分類 第II度の患者も本剤投与の対象として差し支えないものと判断いたしました。  次に本剤の安全性に関してですが、本剤は内痔核の粘膜下に投与することにより痔核 を直接硬化・退縮させるものであるため、不適切な投与により周囲の固有筋層を傷害し直 腸筋層壊死などを引き起こすことが危惧されます。本剤の臨床試験では、第II相試験に おいて注射が前立腺に及んだために発現した血尿1例が報告されております。申請者は このことを踏まえ、第III相試験の開始に当たっては解説ビデオを用いた説明を行うなど して手技の徹底を図っており、第III相試験ではこのような事例は発生しませんでした。 このように、内痔核の粘膜下に直接投与するという性質上、その安全性は手技によると ころが大きく、本剤の投与に際しては十分な知識と技術を持って行うことが必要である と考えられました。この点につきましては添付文書の「重要な基本的注意」に「本剤の 投与は、痔疾治療に精通し、本剤を用いた手技を理解した医師が行うこと」と記載する とともに、誤投与の際の危険性を明記しております。  また、申請者に市販後の安全性確保のための体制について照会しましたところ、本剤 は肛門専門医を中心に販売すること、使用前には治験参加医師の講義を含む講習会を開 催することによって投与手技を具体的に伝達し、その講習会の受講証を有する医師に販 売することを計画しているとの回答を得ております。また販売名についてでございます が、本日の諮問議題としましては「ジオン注『局麻剤希釈セット』」等の名前になって おりますけれども、本日配付しております資料1-1にもございますとおり、販売名とし ましては「ジオン注無痛化剤付」及び「ジオン注生食液付」と変更することとしており ます。  以上のとおり医薬品医療機器総合機構での審査の結果、脱出を伴う内痔核の患者に対 する本剤の有用性は認められ、また市販後における安全性確保のための体制が採られる ことを確認したことから、承認して差し支えないものと判断いたしました。なお、本剤 は再審査期間6年、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品には該当 しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほどよ ろしくお願いいたします。 ○河村部会長 ありがとうございました。この件に関しまして、御質問ございましたら お願いいたします。麻酔を目的としていないのだから無痛化剤なのだそうですね。よろ しゅうございましょうか。それではこれは承認を可として薬事分科会に報告になるので すね。 ○堺委員 一つよろしいでしょうか。薬効とか投与法に関することではございませんが、 一つ要望がございます。本剤はアルミニウム製剤でございまして、この製剤の特徴とし て長期間連続投与というものではございませんが、高齢者あるいは腎機能障害、特に腎 機能障害を有する方の場合に、以前に高リン血症のアルミニウム製剤で若干問題が生じ たことがございます。そのことを考えますと、これを拝見しましたが、腎機能障害のあ る方に本剤を投与した場合の追跡ということになりますと、まだ必ずしもデータが十分 でないと思われます。ですので、今後の市販後調査においてそういう腎機能障害の方に 本剤を使用した場合の血中のアルミニウム濃度を幾つかの症例で追跡していただいて、 安全性を確認していただければと思います。 ○河村部会長 これは一応添付文書のところには慎重投与として…。 ○堺委員 慎重投与となって注意ということだけ書いてございますが、これだけではア ルミニウムがどうなるかということがちょっと分からないかと思いましたので、一応申 し上げました。 ○河村部会長 提出されたデータにはありましたか。どうぞ。 ○事務局 今の堺委員からの御指摘についてでございますけれども、申請者の方と相談 をいたしまして、実際に市販後にどういうことができるかということについて検討して おります。血中のアルミニウム濃度を実際に測るということですが、やはり通常の市販 後調査の中ではなかなか難しいということもございます。また、今回のこの治療法が基 本的には1回のみの投与で、複数回行うものではないということもございますので、腎 機能障害のある患者さんについては尿量を十分に確保して、入ったアルミニウムがきち んと排泄できるような形を確認するということで、注意喚起を記載する方向で現在検討 を進めております。また、より重度な透析を受けているような患者さんについては禁忌 という方向で現在検討を進めておりますので、その辺りで今回の御意見も踏まえまして 添付文書の方を改訂したいと思います。 ○河村部会長 提出された資料の中では、かなりの腎機能障害の患者さんについてはな かったのですね。 ○事務局 今回の臨床試験の中では基本的にそういった患者さんは対象から外れていた ということで、データはございませんでした。 ○河村部会長 先生、市販後も腎機能障害のある人にはほかの方法を採るように思うの ですけれども、なかなか資料は集まらないのではないかと…。 ○堺委員 そうですね。実際に使用されなければそれでよろしいのですが、一応そうい う注意が喚起された方がいいかと思いまして、発言させていただきました。 ○河村部会長 そういう御発言があったということで。ほかにございましょうか。では よろしかったら薬事分科会に報告とさせていただきます。ありがとうございました。  次に議題2に移りますけれども、「ペガプタニブナトリウムを希少疾病用医薬品とし て指定することの可否について」でございます。事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは資料2、ペガプタニブナトリウムを希少疾病用医薬品として指定す ることの可否についてでございますが、一枚めくっていただきますと審査報告書が出て まいりますので、それに従いまして御説明いたします。名称といたしましてはペガプタ ニブナトリウム。予定される効能・効果は中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性 症でございます。  更に一枚めくっていただきますと審査結果が出てまいります。希少疾病用医薬品の指 定の要件は大きく三点ございまして、対象患者数、それから医療上の必要性、開発の可 能性でございます。まず一点目の対象患者数でございますけれども、2003年現在の国内 の滲出型加齢黄斑変性症は約34,000人ということです。滲出型というのは血管の新生を 伴うものでございますが、そのうち中心窩下に血管が新生するものについては約半数以 上の17,000〜27,000人と推計されております。したがいまして、指定の要件であります 5万人以下を満たすと考えられます。  次に医療上の必要性でございますが、加齢黄斑変性症、特に中心窩下にできるものに ついては失明の原因になり得るということで、疾患としては非常に重篤だと考えられま す。現在使用できる方法等でございますけれども、レーザー光等を用いたもの、それか ら昨年当部会でも御審議いただき承認いたしましたベルテポルフィンを用いた光線力学 療法、レーザーを当てて治療するものといったところでございます。本剤はレーザー等 の機器は使用しないということ、それから適用部位が割と広めにとれるといった利点が あるということでございまして、ベルテポルフィンに加え新たな治療法の選択肢として 医療上の必要性があると考えます。  三点目の開発の可能性でございますが、本薬は血管内皮増殖因子阻害薬ということで、 血管新生を阻害することが期待されていること。また、海外では既に臨床試験が先行し ておりまして、プラセボに比べて高い有効性が確認されているといったことからも本剤 の開発の可能性があると考えられます。  以上の対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の三点を考えまして、希少疾病用 医薬品として指定して差し支えないのではないかと考えております。御審議よろしくお 願いいたします。 ○河村部会長 希少疾病用医薬品でございますが、御質問、御意見ございましょうか。 どうぞ、金井先生。 ○金井委員 眼科の委員は私だけなので、一言御説明させていただきます。これから日 本も高齢化社会になって、加齢黄斑変性症はますます増えてくるのではないかと思って おります。この方法の外国のデータを見てみますと、6週間に1回硝子体内に注入して いるのですけれども、眼内炎の発症がある程度出ています。そういうことでもし日本で この治験をやる場合、このプロトコルについて概要を見たのですが、細かいことは書い ていなかったので、どのような状態でやるのかというのはやはり注意を要するのではな いかと思います。それから日本での治験の適応疾患の除外基準の中に糖尿病網膜症が入 っているのですけれども、やはり糖尿病網膜症ではなくて糖尿病自体のある患者さんは インボルブしない方がいいのではないかと。やはり高齢者ということでコンプロマイズ ドホストになります。また、糖尿病も入っていますので、感染に対するリスクはより高 くなるのではないかと思っています。これは6、7回と眼内に入れますので、やはりそ れだけ感染に対するリスクは高くなるのではないかという理由でございます。 ── 審議官着席 ── ○河村部会長 ありがとうございました。これはその方がよろしいであろうというふう に会社の方に伝えてもらうと。そうすると、大体眼内に注射するというのは重症糖尿病 の人に対しては普通やらないと。 ○金井委員 硝子体の手術はやります。糖尿病網膜症でも治験中に発症することもあり ますので、糖尿病自体をいわゆる除外の中に入れておいた方がいいのではないかと思い ます。 ○河村部会長 そういう御意見があったということで、ちょっと調整してください。 ○事務局 分かりました。申請されたメーカーの方に伝えたいと思います。 ○河村部会長 ほかにはございましょうか。この前レーザー併用のものをやったばかり でまた次が出てきていますけれども、先生、これは両方の治療を併用できるのだそうで すね。 ○金井委員 ただ、前のレーザーは高いので、なかなかシステムを買えないのではない かと思います。 ○河村部会長 よろしゅうございましょうか。ではこれも薬事分科会の方に報告という ことにさせていただこうと思います。ありがとうございました。  議題3、タクロリムス水和物点眼液でございます。これも希少疾病用医薬品として指 定することの可否についてですが、御説明お願いいたします。 ○事務局 それでは資料3を用いまして、タクロリムス水和物を希少疾病用医薬品とし て指定することの可否について御説明いたします。  一枚めくっていただきますと、先ほどと同じように審査報告書が出てまいります。名 称がタクロリムス水和物。予定される効能・効果が抗アレルギー剤効果不十分の春期カ タルでございます。更に一枚めくっていただきますと審査結果が出てまいります。先ほ どと同様に対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性、以上三点に基づいて御説明い たします。  まず対象患者数でございますけれども、春期カタルの患者数を推定いたしますと全国 で8,700人くらいということです。それで抗アレルギー剤効果不十分についてはその半 数強ということで4,000〜5,000人と見られておりまして、オーファンの指定要件であり ます5万人以下を満たすと考えられます。  次に医療上の必要性でございますが、春期カタルというのは角膜の中に肉が増殖して くるといったことで、角膜実質にも混濁が生じて視力低下になってまいります。現在で は抗アレルギー点眼薬があるわけですが、効果が十分ではないという問題点がありまし て、重症例ではステロイド点眼薬が用いられると。ただ、ステロイド点眼剤については 現在は適応がないという状況にございます。そういった中で本剤は免疫抑制剤という新 しいカテゴリーの作用機序のものでございますので、新たな治療法として医療上の必要 性があるのではないかと考えております。  三点目の開発の可能性でありますが、申請者であります藤沢薬品工業株式会社は後期 第II相試験で春期カタル及び中等症以上の通年性アレルギー性結膜炎を対象とした試験 を実施しております。その中で□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□。□□、通年性アレルギー性結膜炎については□□□□□□□□□□ □□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、抗アレルギー剤を超える メリットはないと申請者は判断いたしまして、春期カタルに絞った開発を行うことにな りました。こういったことから春期カタルに対する開発の可能性があると考えまして、 対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性、以上の三点から希少疾病用医薬品として 指定して差し支えないのではないかと考えております。御審議よろしくお願いいたしま す。 ○河村部会長 ありがとうございました。以上のようなお薬でございますが、御発言ご ざいましょうか。また金井先生、一言お願いいたします。 ○金井委員 このFK506はシクロスポリンと同じように免疫抑制剤の点眼でありまし て、今回申請されました春期カタルは若い人たちに使用して、ちょうど上眼瞼の後ろ側 にいちごの表面のように凸凹する大変重篤なアレルギー性の結膜炎です。こういう疾患 になりますと目を開けていられないと、あるいは角膜の上皮の方にも変性が来ます。時 には潰瘍や何かが来ますので、我々としてもこういう薬が早く出現しないかと期待して いたものであります。  ただいま御説明なさらなかったのですけれども、実はシクロスポリンの点眼を実験的 にやってみますとやはり縮瞳傾向があって、それがなぜかということが分からなかった のです。このFK506でも報告書を見ていますと、ウサギに点眼いたしますとやはり縮 瞳傾向が見られるという状態が出てきます。その詳細はどうかということがこの報告書 の中には書いていなかったので、ヒトや何かには出ていないようでございますけれども、 どういう機序が考えられているのかということを会社としてもう少し…。  それからこの目薬自体、目薬としては我々が一番嫌ないわゆる懸濁液でございます。 ですから、動物や何かの実験で角膜内、あるいは結膜内への移行などを見るときに、懸 濁しますと表面が乾燥してしまうわけです。そうするとやはり表面にもFKや何かがく っついてしまいますので、実際に角膜内への移行や何かを調べられたときにどういう方 法で…、角膜の上皮を削って実質だけを調べたのか、それによってデータ的にも大分変 わってきます。その辺がどうだったかということがこの報告書の中には書いてありませ んでしたので、ちょっと質問とコメントをさせていただきました。 ○河村部会長 それではこれはやはり会社の方へ問い合わせて、金井先生に御報告して ください。 ○事務局 そうですね。手元にこの資料はございませんので、確認をいたしまして移行 性等について先生の方に御報告いたしたいと思います。 ○河村部会長 ほかに御発言ございましょうか。よろしゅうございますか。それではこ れも金井先生の方へ宿題の返事が来て、薬事分科会の方に報告という扱いにさせていた だきます。  次に報告事項に移ります。事務局の方からお願いいたします。 ○事務局 まずは報告事項の議題1、「医薬品静注用フローラン0.5mg、同1.5mgの輸 入承認事項一部変更承認について」を御報告いたします。  資料4及び本日配付資料4-1を御覧ください。本日配付しました資料4-1については、 既に先生方に配付しておりました資料4の別紙2にあります添付文書の差し替え版でご ざいます。どちらの添付文書を見ていただいてもよろしいのですが、添付文書の3ペー ジの上の方の「用法・用量に関連する使用上の注意」という場所の中の(2)の3行目の 誤記が修正されたものでございます。資料4では「添付)・静注用フローラン1.5圧」と いう形でちょっと文章が読めない状況になっていましたものを、本日配付しました資料 4-1の方では「その間は患者の症状、血圧」というふうに文章を直したものでございま す。申し訳ございませんでした。  それでは元に戻りまして、資料4を中心にということですが、本剤についてはプロス タグランジンI2でありますエポプロステノール、一般名エポプロステノールナトリウム を有効成分とする注射剤でございます。本剤については平成11年1月に「原発性肺高血 圧症」を効能・効果として承認されているものでございます。今般グラクソ・スミスク ライン株式会社より、効能・効果を「原発性肺高血圧症」から「肺動脈性肺高血圧症」 とする輸入承認事項の一部変更承認申請がなされたものです。なお本剤については、平 成14年6月17日に希少疾病用医薬品の指定がなされているものでございます。結論と いたしましては、審査の結果承認して差し支えないと判断いたしました。なお、再審査 期間については現在の再審査期間の残余期間であります、平成21年1月24日までを考 えております。 ○河村部会長 ありがとうございました。 ○事務局 続きまして、希少疾病用医薬品の指定の取消しについて御報告いたします。 資料5でございます。一枚めくっていただきますと取消しの品目の概要が出てまいりま す。医薬品の名称がフィブロネクチン(ヒト血漿)でございます。対象疾病はちょっと長 いのですが、遷延性の角膜上皮欠損といったものでございます。申請者の名称は日本ケ ミカルリサーチ株式会社、指定は平成8年4月1日でございます。  更に二枚めくっていただきますと、試験研究中止の理由が出てまいります。1の「(2) 開発の経緯」でございますけれども、1989年にNew York Blood Centerから原料血漿を 入手することにしておりましたが、その後輸入製剤の入手ができなくなったということ で、国内製剤への切替えを検討したということでございます。後で出てまいりますが、 国内製剤についても日本赤十字社等々からの入手に努めてきましたけれども、結論とし ては入手できなくなったということでございます。一方、1995年8月に日本角膜学会か ら開発の要望書が出ております。  「2.フィブロネクチン(FN)点眼液の医療上の必要性について」でございますが、希 少疾病用医薬品として指定した当初は医療上の必要性がかなりあったということでござ います。しかし、「3.当該疾患治療における科学技術の進歩について」でございますが、 患者自己血から調製するものがかなり品質よくできるようになったということで、指定 のときの状況と変わってきたということでございます。また、新たな治療法ということ で、羊膜移植や治療用コンタクトレンズというものも出てきたという状況がございまし た。  一枚めくっていただきますと、「4.フィブロネクチン(FN)点眼液の原料調達につい て」ということで、先ほど申しましたが、輸入が難しくなったと。それから国内原料の 調達も検討したのですが、結論としては難しかったということがございました。そうい った原料の入手が難しかったという点、それから医療上の必要性という観点でも、他の 治療法、それから自己血由来のものも品質よくできるようになったということから、フ ィブロネクチンのヒト血漿を用いた製剤については開発を中止したいということでござ います。また、学会から御要望を頂いておりましたけれども、こういった状況について 学会等にも御説明をして、開発中止について御了承いただいております。以上でござい ます。 ○河村部会長 それでは新キットについて、お願いいたします。 ○事務局 続きまして新キットについて御説明申し上げます。資料6と委員の方々2名 に一つずつ実際のキットの見本を配付させていただいております。また、この見本につ いては販売時期等によりパッケージができていないものもございますので、それについ てはパッケージの案も併せて添付させていただいております。  今回新キット製剤は10品目ございます。その一番目はKCL補正液キット20メック、 株式会社大塚製薬工場から申請されました塩化カリウム製剤でございます。これは両頭 針付きポリボトル製剤でございます。  続きましてセレベント50ディスカス、グラクソ・スミスクライン株式会社からの申請 でございまして、キシナホ酸サルメテロールでございます。こちらの丸いものでござい まして、60回使用可能な吸入剤でございます。   ボルビサール注シリンジ、こちらは株式会社富士薬品から申請されたもので、塩化第 二鉄、硫酸亜鉛、硫酸銅、ヨウ化カリウムを混合したシリンジでございます。  ネオビタカイン注シリンジ2mL、同5mL、申請者はビタカイン製薬株式会社でござい まして、塩酸ジブカイン、サリチル酸ナトリウム、臭化カルシウムでございます。こち らはシリンジ製剤となっておりまして、見本は5mL製剤でございます。  ネオフィリン注点滴用バッグ250mg、申請者はエーザイ株式会社でございまして、ア ミノフィリンの入ったバッグ製剤でございます。  プリンク注シリンジ5μg、同10μgでございますが、こちらは大洋薬品工業株式会社 が申請でございまして、有効成分はアルプロスタジルを含有するシリンジ製剤でござい ます。  20%キシリトール注シリンジ「NP」でございますが、申請者はニプロファーマ株式 会社でございまして、キシリトールを有効成分とするシリンジ製剤でございます。  10%トランサボン注シリンジでございますが、こちらもニプロファーマ株式会社の申 請でございまして、トラネキサム酸を配合するシリンジ製剤でございます。以上でござ います。 ○河村部会長 ありがとうございました。以上3項目について御報告いただきましたが、 最初のフローランでございますけれども、内科の先生、何か御追加、御発言ございます か。よろしゅうございますか。よろしゅうございましたら、これは報告とさせていただ きます。  それから希少疾病用医薬品の取下げについては、金井先生よろしゅうございますね。 キット製剤について、堺先生、何か御発言ございますか。 ○堺委員 特にございません。 ○河村部会長 ほかの先生方、この3項目についてはよろしゅうございますか。ではこ ちらは御確認いただいたものとさせていただきます。あと事務局の方から報告があるそ うでございます。 ○事務局 それでは優先審査品目の指定ということで御説明させていただきます。本日 お配りした資料9、「優先審査品目の指定について」でございます。今回二つの療法に ついて優先審査品目として指定することといたしました。まず一つ目でございますが、 ヘプセラ錠10とゼフィックス錠100との併用療法ということで、一般名がアデホビルピ ボキシルとラミブジンの併用でございます。効能・効果でございますが、ラミブジン投 与中にB型肝炎ウイルスの持続的な再増殖を伴う肝機能の異常が確認されたB型慢性肝 炎及びB型肝硬変におけるラミブジンとの併用によるウイルスマーカー及び肝機能の改 善ということございます。  二つ目でございますが、ペグインターフェロン アルファ-2b(遺伝子組換え)等とリ バビリンとの併用療法でございます。一般名がペグインターフェロン アルファ-2b(遺 伝子組換え)、それから現在使われていますインターフェロン アルファ-2b(遺伝子組 換え)、これらとリバビリンとの併用でございます。効能・効果でございますが、リバビ リンとの併用によるC型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善ということで、血中 HCV-RNA量が高値の患者ということでございます。  一枚めくっていただきますと優先審査の制度について簡単に書いてございます。まず 優先審査を行う医薬品でございますが、希少疾病用医薬品、医療用具については審議会 で指定していただきますが、それ以外に「(2)次のいずれの要件にも該当するもの」とい うことでア、イとございます。「ア 適応疾病が重篤であると認められること」、それか ら「イ 既存の医薬品又は治療方法と比較して、有効性又は安全性が医療上明らかに優れ ていると認められること」、このアとイの要件を満たすものについて優先審査を行うこ とになっておりました。なお、御参考でございますが、注1)といたしまして、本年の4 月から取扱いを変更してございます。今回指定したものは3月末でございますので、1 の(2)の要件に該当するということで指定しております。  平成16年4月以降の指定の要件を簡単に御説明いたしますが、適応疾病の重篤性と医 療上の有用性とを総合的に評価する、総合的に見るということでございます。適応疾病 の重篤性については、一番重いのが生命に重大な影響がある疾患、次の分類が病気の進 行が不可逆的で日常生活に著しい影響を及ぼす疾患、それからそれ以外のものというカ テゴリーでございます。こういった適応疾病の重篤性と医療上の有用性ということで、 既存の治療法、予防法、診断法がないようなもの、あるいは有効性や安全性、肉体的・ 精神的患者負担の観点、こういったものの総合的な評価等を勘案して指定するものでご ざいます。  「2.優先審査品目指定の手続」でございますが、(1)は優先審査希望が申請者から提出 された時点で担当の専門委員の先生方の御意見を伺い、医薬食品局において指定をする というものでございます。(2)でございますけれども、その指定の判断について事後に薬 事・食品衛生審議会の担当部会に御報告して御了承いただくということでございます。 ということで本日御報告させていただいております。なお、当部会で優先審査が適当で ないというものについては通常審査に戻るということでございます。(3)でございますが、 優先審査の事実の公表については当該部会にて承認審査が終わった時点で審議結果と共 に公表することにしております。  更にめくっていただきますと、優先審査に指定した主な理由が出てまいります。まず アデホビルピボキシルというB型肝炎の薬でございますが、右下にページ数がございま して、5ページを御覧ください。そこを見ていただきますと図が出てまいります。現在 B型肝炎の治療では抗ウイルス剤ということでラミブジンが使われておりますけれど も、このラミブジンを使っていると変異ウイルスが出てくるという問題点がございます。 このウイルスが出てまいりますと、ウイルス出現例の半数ぐらいが肝機能が悪くなって、 症状が悪化すると死に至るといった状況にございます。こういった状況のところでヘプ セラ錠、アデホビルピボキシルを使うと、肝機能が維持されるということでございます。 更に7ページを御覧いただきますと、図2がございます。こちらはラミブジンの投与で 変異株が出現した患者を対象とした試験でございます。「個々の症例における血清 HBV-DNA量の変動」ということで、投与によりDNA量が下がっていると、効いている ことが分かっていただけると思います。こういったことから有効性も認められるだろう ということで、優先審査品目として指定して差し支えないのではないかと判断いたしま した。  次にC型肝炎のお薬の方でございますが、11ページから「優先審査希望理由書」が出 てまいります。ペグイントロン皮下注用、レベトールカプセル、イントロンA注射用で ございますが、14ページに主な試験の結果が出てまいります。「表 HCV-RNA陰性化率」 ということで、投与群の「PEG/R群」というのがペグイントロンとリバビリンの併用で ございます。現在C型慢性肝炎の治療については難治性のものが存在するということで、 この難治性のものについては現在の治療法ですと大体2割程度の有効率、持続陰性化率 しか得られていないという状況にございます。その状況でこの表の下から二つ目の 「HCV-RNA陰性化率」というところを見ていただきますと約2倍強の47.6%、既存のイ ンターフェロンとリバビリンの併用で48週間投与、現在24週間投与が基本になってい ますが、48週間投与にいたしましてもやはり2倍ぐらいの44.8%ということで、難治性 のものについても既存のものに比べて高い有効率が認められているといった状況でござ います。こういったことから優先審査品目に指定していいのではないかと判断いたしま した。以上、御報告でございます。 ○河村部会長 以上は御報告だそうですから、承っておけばいいのかもしれませんが、 何か御発言ございましたらどうぞ。では承りました。あとは次の予定ですか。 ○審査管理課長 次回の日程でございますが、7月29日木曜日の午後2時からという予 定でございます。よろしくお願いいたします。それから本部会の委員であります櫻井委 員と藤上委員におかれましては、それぞれ医師会と薬剤師会の方の役員改選の関係上、 今回でもって御退任でございます。どうもありがとうございました。 ○河村部会長 どうもありがとうございました。ほかの御報告はありませんでしたか。 ○事務局 一点忘れておりまして、申し訳ございません。当部会で御審議いただきまし たレビトラ錠、それからサンドスタチンLAR筋注用、ベンゾダイン注については先月 の23日付けで承認させていただきましたので、御報告いたします。どうもありがとうご ざいました。 ○河村部会長 おかげさまで今日は非常に早く1時間以内に終わってしまいました。御 協力どうもありがとうございました。 ( 了 )   連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 佐藤(内線2734) - 1 -