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資料1
平成16年5月31日
共同会議


アレルギー物質を含む食品表示制度に関して
(厚生科学研究食物アレルギー全国モニタリング調査の結果を踏まえて)


(独)国立病院機構相模原病院臨床研究センター
アレルギー性疾患研究部長
海老澤元宏




アレルギー物質を含む食品表示制度の背景


平成13年4月の食品衛生法の改正は平成9年、10年の”食物アレルギー対策検討委員会”のデータをもとに厚生科学研究の”食物アレルギー研究班”(主任研究者:海老澤 元宏)において検討された試案に基づいている。

平成9年、10年の調査はレトロスペクティブな調査であったので、記憶バイアスがはいっている可能性を考慮しプロスペクティブにデータを収集して表示制度の整合性を検証するために食物アレルギーモニタリング調査が食物アレルギー研究班において平成13年と14年に行われた。
3ヶ月毎に「食物摂取後1時間以内に発症した食物アレルギーによる有害反応」を医師が診療した症例をプロスペクティブにモニターした。



食物アレルギーモニタリング調査に関して


全国の2000名以上の医師の協力を得て行われた大規模調査を2年間にわたって行った。

2年間の成果として3822症例が集まり年齢・原因食品・症状・検査データなどが解析された。



調査方法

 日本小児アレルギー学会員(2425名)、日本アレルギー学会認定・専門・指導医(1778名)に対し調査の主旨を説明し、調査協力の同意を得られた2011名(第2回調査時)を調査協力者とした。
 協力者には葉書調査票を3ヶ月毎に郵送し、プロスペクティブに調査を行った。調査は平成13年1月1日〜平成14年12月31日に行った。
☆調査対象
 「何らかの食物を摂取後60分以内にその食物に対しアレルギー症状を呈し、かつ医療機関を受診したもの」




調査対象及び結果

  第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回
調査期間 平成13年
1月〜3月
4月〜6月 7月〜9月 10月〜12月 平成14年
1月〜3月
4月〜6月 7月〜9月 10月〜12月
対象 1430名 2011名 1991名 1988名 1986名 1975名 1972名 1958名
回答 905名
(63.3%)
1236名
(61.4%)
1149名
(57.8%)
1062名
(53.6%)
942名
(47.4%)
820名
(41.5%)
880名
(44.6%)
691名
(35.3%)
症例有り 235名 338名 398名 311名 251名 292名 254名 125名
症例数 430例 596例 789例 479例 415例 495例 430例 206例
  2294例   1546例



受診した医療機関
N=3523
受診した医療機関のグラフ



受診した専門科

N=2800
受診した専門科のグラフ



n=3882
患者の年齢分布のグラフ
患者の年齢分布



各年齢群での性比のグラフ

各年齢群での性比



n=3882
食物アレルギーモニタリング調査全体としての原因食品のグラフ

食物アレルギーモニタリング調査全体としての原因食品



果物(n=232) 魚類(n=171)
Item n(%) Item n(%)
Kiwi 75 (32.3) Mackerel 24 (14.0)
Banana 40 (17.2) Salmon 22 (12.9)
Pear 14 (6.0) Tuna 13 (7.6)
Apple 10 (4.3) Cod 11 (6.4)
Peach 8 (3.4) Horse mackerel 10 (5.8)
Grape 8 (3.4) Sardine 8 (4.7)
others 77 (33.4) Amberjack 6 (3.5)
    others 77 (45.1)

果物および魚類の内訳



shellfish (n=241)
Item n(%)
shrimp 161 (66.8)
crab 40 (16.6)
scallop 10 (4.1)
others 30 (12.5)

meat (n=71)
Item n(%)
chicken 32 (45.1)
pork 23 (32.4)
beef 11 (15.5)
duck 3 (4.2)
others 2(2.8)
tree nut (n=74)
Item n(%)
walnut 32 (43.2)
cacao 16 (21.6)
almond 7 (9.5)
cash nut 7 (9.5)
macadamia nut 3 (4.2)

甲殻類・肉類・木の実の内訳



0才のグラフ 1才のグラフ
0y
(n=1270)
1y
(n=699)

0才と1才での原因食品



2,3才のグラフ 4〜6才のグラフ
2&3y
(n=594)
4-6y
(n=454)

2,3才と4〜6才での原因食品



7才〜19才のグラフ 20才以上のグラフ
7-19yr
(n=499)
>20yr
(n=366)

7才〜19才と20才以上での原因食品



報告された即時型食物アレルギーの症状のグラフ

報告された即時型食物アレルギーの症状
(12.3%(465/3794)で入院加療を要していた)



アナフィラキシーの原因食品のグラフ
Fruit:もも8, キウィ7, バナナ4,など
Shellfish:エビ14, カニ3,など (cases)

アナフィラキシーの原因食品
(43.6%のアナフィラキシー症例で入院加療を要した)



アレルギー物質を含む食品表示との関係
順位 食物アレルギー例 例数 パーセント   順位 ショック例 パーセント   現行表示
1 鶏卵 1486 38.3   1 109 25.8  
2 牛乳・乳製品 616 15.9   2 93 22.0  
3 小麦 311 8.0   3 70 16.5  
4 ソバ 179 4.6   4 28 6.6  
5 エビ 161 4.1   6 14 3.3  
6 ピーナッツ 110 2.8   5 18 4.3  
7 イクラ 87 2.2   7 8 1.9  
8 大豆 76 2.0   9 7 1.7  
9 キウイ 75 1.9   9 7 1.7  
10 バナナ 40 1.0     4 0.9    
11 カニ 40 1.0     3 0.7  
12 鶏肉 32 0.8       0.0  
12 クルミ 32 0.8     2 0.5  
14 イカ 30 0.8     3 0.7  
15 サバ 24 0.6     1 0.2  
16 豚肉 23 0.6     2 0.5  
17 サケ 22 0.6     3 0.7  
18 ゼラチン 18 0.5     1 0.2  
19 ヤマイモ 15 0.4     4 0.9  
20 モモ 14 0.4   7 8 1.9  
21 メロン 13 0.3       0.0    
22 マグロ 13 0.3     1 0.2    
23 タコ 12 0.3     2 0.5    
23 牛肉 11 0.3     1 0.2  
25 ゴマ 11 0.3     1 0.2    
26 タラ 11 0.3       0.0    
26 リンゴ 10 0.3       0.0  
26 アジ 10 0.3       0.0    
26 ホタテガイ 10 0.3     1 0.2    
 
その他 ブリ 6 0.2     3 0.7    
  オレンジ 4 0.1       0.0  
  アワビ 3 0.1     1 0.2  
  マツタケ 0 0.0       0.0  
  合計   24品目
◎:義務 5
○:推奨 19


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