座長: | 3つのテーマに分けて説明があった。1つは制度導入後に行われた調査・研究結果に基づいた表示対象品目の見直し、2つめがコンタミネーションと推奨表示のあり方、3つめがJAS法と関連するが、表示方法の見直しであった。これからの議論ではそれぞれに分けて進めていきたい。
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(表示対象品目の見直し) |
座長: | 以前の調査では、乳製品を牛乳とヨーグルトで別品目にしていたが、これをまとめたところアレルギーの件数が増えた。また、表示という面でも個々の品目でまとめるのか、グループとしてまとめるのかで、様々な違いが出てくる。豆類という表示では、たくさんの品目が含まれるが、鶏卵という表示では単一品目になる。従って分類、品目をどう考えるのかを検討する必要がある。さらに、品目の見直しの際には、実際の食品の中にアレルギーを引き起こす蛋白が含まれているのかということを検知する方法についても問題になる。 |
委員: | エビ、カニの問題を積極的に研究していきたいという厚生労働省の考えに賛成である。調査でもエビ、カニは高い順位に入ってきている。しかし、青魚、白魚について差がないという話があったので、しっかりとした基礎研究の上で、エビ、カニの追加をして欲しい。 |
委員: | 表示対象について義務表示(5品目)と推奨表示(19品目)を分けたままで議論し、その上でそれぞれ品目を加除するのが良いと思う。エビは具体的に義務表示の話が今あがっているが、今回の調査であがってきたバナナや現在19品目に入っているが症例数が少ないマツタケをどうするのか、そういった問題も整理しないといけない。 |
委員: | 説明者に質問がある。乳製品では具体的にどういうものでショック例があるか。 |
説明者: | 資料1の16ページの表についてお尋ねかと思うが、資料2の12ページ図5でも乳があり、様々な食品で使われており、避けにくい食品である。例えば、ジュースの脱脂粉乳や薬剤のカゼインナトリウムでショックになった例もある。かなり微量な混入でも乳製品はほぼ全てでアレルギーが起こると思われる。 |
委員: | 国民生活センターにて2003年11月にソバについて調査し、その際行政へいくつか要望を出した。この会議に関係することとして、1つが欄外の注意喚起表示の徹底、もう1つが患者さんにとっては混入であろうと、原材料で使おうと含まれていること自体が問題であるから、食品衛生法に違反しているのかという点を含めて、技術的な対応の問題はあるだろうが、アレルギー物質の含有量を判断できるようにして欲しい、という2点があった。 |
委員: | 実際のところ、加工品は表示できるが、生鮮品は表示しにくい。原因としてあげられている物で症例の少ない物には加工品として使われにくい物も入っているが、それは生鮮品で発生したのか加工品で発生したのかが、わかりにくい。原因となる物が、加工品にそもそもつかわれるのような物なのか、調査したことはあるか。 |
説明者: | 確かに加工せずそのままの食品として多く見られる原因と加工食品で多く見られる乳製品のような原因がある。このことについて前回調査では考慮している。しかし、弁当などにはそのままの食品として入っていることがあり、その場合存在するだけで発症することがある。表示について純粋に加工食品のみを対象にして良いのか、という問題は確かにある。ただし加工食品でも、チョコレートのような食品では乳かカカオかピーナッツなのかなど、原因物質の特定はかなり難しい。 |
座長: | 原因物質の特定が難しい中、品目を確定していくのは難しい課題である。また製造過程だけではなく、弁当のような加工食品では消費過程でもコンタミの可能性があるという指摘をいただいた。 |
委員: | 表示の基準が、10ppmで線引きされているのはわかりにくい。直接原材料を使っているなら良いが、2次、3次で入っている場合の表示は難しい。まず5品目をしっかり定着させていくのが先決ではないか。品目を増やすのは混乱を引き起こすおそれがある。19品目については10ppmをどうやって調べるのか難しい。現在、検知についての公定法もなく判断できない。従って19品目も変更は望ましくない。 |
委員: | 保育の現場で給食でのアレルギーについて難しい問題となっている。品目などを追加する際は、食品の提供する側にアレルギーに関しての情報提供をしっかりとして欲しい。 |
委員: | 全体的な話になるが、3年前に義務(5品目)、推奨表示(19品目)を決めた際は、義務表示については検知法がない状態であわてて作ったという事情があったようだ。今後、義務表示へ品目の追加する際は各委員から提案にのっとってからすべきであると思う。また、推奨表示(19品目)については、症例が多いという面で表示するのはいいことだろうが、推奨する担保をはっきりとさせる必要があるのではないか。今の根拠は単に順列ではないかと思う。 |
委員: | 委員の意見に賛成である。消費者の立場からはショック例が多い物は表示を望む声が多い。しかし、科学的根拠をもとに進めて欲しいと思うので、そのための研究も進めて欲しい。 |
座長: | 資料4の7ページに、エビの生物学的な面、食品分類としての面、アレルゲンとしての面についての詳細な研究を開始していく、バナナ、ごまなどアナフィラキシーを起こしやすい物についても検討していくと示されているが、今回の議論をふまえて、事務局の方で改めて内容を詰めた上で次回提案していただきたい。
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(コンタミネーションと推奨表示) |
委員: | 特定原材料を使用していない旨の表示は、食品の選択がしやすくなる。また、注意喚起について、別ライン、別容器でなければ注意喚起をするという通知があると話があったがその効果についてお聞きしたい。 |
事務局: | 昨年11月の国民生活センターの調査でコンタミの注意喚起がされていない食品でコンタミが見られたという報告に基づき通知を出した。まだその周知より時間が経っていないためその効果は調べていない。また、推奨表示に特定原材料を使用していない旨の表示を追加することであるが、今の表示制度は、使ったことを表示、コンタミの可能性を表示するという、後ろ向きな表示になっている。19品目の表示を行っている企業は多いということだが、問題点として、表示がない場合、入っていないのか、入っているのか分からないということがある。今回の使っていないという表示、ある意味前向きな表示は、それを解決する1つの方法である。 |
座長: | 可能性表示の禁止を補う提案といえる。コンタミの場合、結果として入っているのものを原材料とするという視点で考えると、使っていないということを任意表示とすることは有用ではないか。 |
委員: | コンタミ表示をしたがる企業が多くなっており、通知の影響かもしれない。しかし、企業防衛の観点からコンタミ表示をする企業が増えている。コンタミ防止の科学的データ、例えばどういう洗浄をすればどれぐらい減るかなどを示し、その上で進めないと企業防衛が強まるという危惧がある。また、特定原材料を使用していない旨の表示であるが、制度導入以前に入っていないことを表示していた食品があったが減ってきている。使用していない旨の表示は、ゼロの保証をしているように取られると感じている。実際ゼロの保証は不可能と思われ、こういう事情からも入っていないという表示していた食品が減っているという印象を受けている。 |
座長: | 最終的な製品として表示する際、様々な製造過程を明示化し、材料についての情報を把握するということを製造、加工者が認識する必要があると思われる。 |
委員: | 資料4の5ページ下段の食品衛生監視員の役割が強調されている中、制度への理解度に問題があるとある。監視員とはどういう人なのか。また、8ページに制度を浸透させる必要があるとされているが、このことについて見える形で説明をしてもらいたい。 |
事務局: | 食品衛生監視員については、前回の会議で発表された資料をそのまま今回の資料に持ってきた形になっているため理解に問題があるとなっている。食品衛生監視員は、医師、薬剤師、獣医師など一定の資格を持つなど、そういった勉強をされた上で、食品衛生上の監視をするための資格を持っている人である。制度を浸透させていくに当たっては、最終的に、資料4の10ページにあるように研修で補っていくことになると思う。 |
委員: | 食品衛生監視員は科学的根拠に基づいて活動しており、根拠のないものは監視できない。従って検知法がないということは、コンタミの判断をするなどの監視自体が難しくなる。まだアレルギーは患者さんとの関係もあり、調査途上の部分があるようだが、こういったことを含め研究を続けていって欲しい。
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(表示方法) |
座長: | 文字の大きさ、色の自由度を増すということだが、JAS法と重なる部分である。 |
委員: | 色を変える、文字を大きくするのは企業としてのコスト負担が大きい。半義務では中小企業が困る。任意表示で、やっても良いということであれば、あえて導入するというところもでてくるだろう。任意表示である分には特に意見はない。 |
委員: | 委員の意見に基本的に賛成である。ただ、加工に関してたまたま最終食品に義務表示漏れがあった際、1次、2次食品に義務表示漏れがあって、それが原因の時に、最終食品製造者が責任をとることになっているのか、それとも中間製造者が責任を取ることになっているのか。アレルギー表示の理解が完全とはいえない段階で、最終製造者だけが責任を取るということを、もっと啓発をしていかないといけない。そういったことも報告書に盛り込んで欲しい。 |
委員: | 資料3の調査でも消費者から色やマークやアンダーライン、大きさを変えるという意見があがっており、他の表示との関係もあるが、1つの考え方として良いのではないか。 |
委員: | わかりやすいという点では、表示方法だけではなく、情報提供という形でまとめても良いのではないか。材料やコンタミの詳細を知りたいニーズを全て表示に含めるのは難しい。流通業者には一括表示外でまとめて表示するところもあるようであり、こういった表示やホームページや問い合わせによる対応も任意として推奨としてはどうか。
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座長: | 今日の会議のまとめになるが、表示品目の見直しについては、制度が始まって数年経った現在の表示の形を評価した上で、もし小さい手直しが必要であれば新しい調査、研究に基づいて具体的に提案していただきたい。コンタミと推奨表示のあり方と表示方法は、会議としてもわりあいに支持できる内容だという意見もあった。いくつかの提案、意見を元にして、最終的に共同会議として提案を作る際の原案を次回事務局から提案して欲しい。 |