戻る

第1回過重労働・メンタルヘルス対策検討会 議事概要(案)


 日時 平成16年4月28日(水) 10:00〜12:00
 場所 厚生労働省労働基準局会議室
 参加者
  参集者:和田委員(座長)、安福委員、大野委員、黒木委員、中島委員、西村委員、東委員、藤村委員
  事務局:恒川安全衛生部長、中沖計画課長、中林労働衛生課長、山崎主任じん肺審査医、高橋主任労働衛生専門官

 議題
  (1)メンタルヘルス対策の在り方について
  (2)過重労働対策の在り方について
  (3)その他

 議事概要
開会、安全衛生部長からの挨拶の後、議事に先立ち和田委員が座長に選出された。
資料NO.3「会議の公開の取扱いについて」が検討会の合意事項とされた。
事務局から資料の説明がなされた後、参集者によりメンタルヘルス対策及び過重労働対策について討議がおこなわれた。主な意見は以下の通りである。
(1)メンタルヘルス対策
心身の過重負荷が高まると過労死も過労自殺も蓋然性が高まるのではないか。
過重労働により非常に疲弊した状況がうつ病発生の地盤を作ることはある。
どのくらいの時間外労働でうつ病が発生するか特定するのは困難。
同じ負荷がかかったときの影響は心と身体で分けて考える部分が必要。
心の健康について月100時間といった基準が適用できるかについてはもっと検討が必要。
メンタルヘルスについては精神障害の素因も関わるので、問題を掘り下げていくと労働者の採用時点でのチェックなどがされるおそれがある。
精神障害の素因によるものはセルフケア等で防止できるか疑問。
業務による影響が大きいものへの対策ということであれば、過重労働による発症にある程度絞り込んで検討することが必要か。
採用時点でのストレスに弱い者の排除という点について、うつ病の罹患経験者は約2割であり、特別な者とはいえない。
「ストレス脆弱モデル」から言えば、個人の弱い部分にストレスが加わらないように職場で配慮することが必要ではないか。
異動による人間関係の変化で症状が改善される例などもあり、企業としては個々人の特性を把握し配慮することが必要ではないか。
世界的にはメンタル面を含め健康情報の取得については抑制する方向である。
成功事例があれば、体制、教育等について推進する根拠になるのではないか。
メンタルヘルスに関しては、産業医がまだ標準的な知識として持っていないことが多い。
産業医がメンタルヘルスの問題を自分の責任と考えるのか等課題は残っている。
教育を重視すべき。使いやすいものがあれば普及する。
メンタルヘルスの手法をきちんと示すことが対策となる。
中小企業では人材不足もあってどう手をつければよいかわからない現状もあるのではないか。
個人がどうストレスを感じているか、職場にどのような負荷がかかっているかわからないとストレスの状況の把握はできない。
ストレスの状況把握には、置かれている状況と周囲のサポート、緩和要因などを総合して考えることが必要。
ストレス把握には職場環境の面と労働者個人の面と両方考えることが必要か。
負荷がかかっている職場について、健康管理部門から問題提起ができない現状にある。
個人がストレスを受けていることを知らせるためには、管理監督者がそれを把握することが第一である。
管理監督者がメンタルヘルスケアのメインになっているが、管理監督者に大きな負荷がかかり、部下のマネジメントをする余裕がないのが現状。
メンタルヘルスの問題に積極的に取り組むと、どこまで企業が介入するか、プライバシーの問題と表裏一体となる。
対策に取り組んで悩んでいるところと、手を付けられずやっていないところと二極化しているのではないか。
加療中の者が正常な状態で労働に耐えられるか、職場復帰してまた問題が起きることも考慮が必要。
加療中でも普通に仕事ができる者は高血圧、糖尿病などと同じ扱いでよいのではないか。
ストレスの評価については数量的な評価と質的な評価の2つの視点からの検討が必要。
EAPを利用した場合、情報が会社や産業医に還元されず、コストが増えるだけで何も変わらないということも起きる。
企業としては言い訳として形作りを進め、産業医も外部に任せたほうが仕事が減るということでEAPを利用することがある。
EAPを含めネットワークで取り組むということを強調することが必要。
ネットワークにおいて、産業医の権限を高めて情報がすべて集まるようにし、産業医が指導的に行うことが必要。併せて能力も高めることが必要。
そこまでの素養を産業医が持っているか、その実現に耐えられるか疑問はある。
小規模事業場で産業医がうまく機能していないのは、素質の問題より産業医がどういう機能をするかに問題がある。情報を伝え、皆で答を出していくことが必要。
経済的問題、家庭問題で悩む者もいる。それぞれに対応できる者がチームを組んで対応することが必要。
中小企業では、総合的なサービスを提供できる外部機関の育成が必要。
メンタルヘルス、HIVなどの問題は医学知識のない事業者には手が出せない。
医療業務従事者がもっと前面に出ることが必要であるが、安衛法の事業者責任の体系を崩すことには行政も抵抗があるのではないか。
産業医が十分仕事をするためには、その待遇の改善も必要。
産業医のカバーする範囲は非常に広く、メンタルヘルスはその一部。専門の医師がサポートするネットワーク作りが必要。
基本は4つのケアで、それを高める、場合によっては法的な措置もとるということで大丈夫ではないか。
システムとして作ることが重要。
専属の産業医のいないところでは、衛生管理者、保健師等の力を借りることも重要ではないか。
地域でのうつ病対策等では保健師等の医療従事者が中心となっている。
プライバシー等の問題もあるが、企業の中に専門医が入っていくことで復帰指導等円滑に進むこともあるのではないか。
精神科医が企業に関わることのできる者は限られており、企業の内実を知っているのが産業医であるので、そこでのリンケージをつくることが重要。
衛生管理者は守秘義務に関して罰則等がないので、プライバシー保護で隘路になる。その活用のためには仕組みの見直しも併せて必要。
衛生委員会の充実も重要な課題。
(2)過重労働対策
月45時間以上の対応について、超えていないと産業医等のスタッフには情報が来ないので、労働時間の状況等が事前に入手できるとしたほうがシンプルでよいのではないか。
負荷要因について、長時間労働ばかりでなく、拘束時間が長い業務、裁量労働、海外出張等の問題も出てくるのでそれに対する考え方も示す必要があるのではないか。
労働者の自主的な努力を促すことも必要。
過重労働に関してはきちんとした総合対策があるので、これを実行できる体制をとればかなり進むのではないか。
次回は5月28日(金)10:00から開催されることとなった。

(以上)


トップへ
戻る