1) |
入所命令制度(法第29条)の目的は「感染拡大防止」だが,命令に強制力がない。
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2) |
入所命令の適否の診査に関する結核診査協議会の機能が発揮しにくい。
(個別の「事前診査」が困難,診査前の「応急入院」の制度がないなど)
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3) |
命令による入所を含めて,患者登録時の入院率には地域格差が著しい。また,入院期間が全体として長く,地域格差も大きい。入院や退院の基準,及びその適用(診査会の機能)に関する課題がある。
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4) |
命令入所中の結核医療(法第35条)の質に関する診査制度が曖昧(結核診査協議会が適正医療普及の観点から医療内容を診査できるのは,法34条による「一般医療」に限定。)
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5) |
強制力のある入院制度は,現行の29条/35条とは別枠で検討すべき。感染拡大防止目的の強制力のある入所命令制度は必要だが,強制力を行使すべき対象患者は,現行の第29条による入所患者のごく一部に限定される。
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6) |
強制力のある入所命令制度の創設にあたっては,対象患者の範囲を限定したうえで,感染症法に準じた「応急入院」や「移送」の制度を付加し,入所の「勧告」を前置しての命令制度とすべき。
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7) |
感染拡大防止の観点とは別に,「治療中断の防止」(多剤耐性菌の増加等の脅威を抑止するための将来に向けた社会防衛)を主目的とした公費負担医療(福祉)の制度は今後も堅持すべきである。
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8) |
結核診査協議会は,役割の異なる2つの部会制組織とする方法もある。(→ (1)強制力のある入所命令制度を創設した場合に,命令の適否を診査する部会,(2)結核の適正医療普及の観点から公費負担医療の内容を診査する部会) |