04/04/28 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会議事録(平成16年4月28日開催分)                薬事・食品衛生審議会                  食品衛生分科会                    議事録              厚生労働省医薬食品局食品安全部           薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会議事次第                   日時:平成16年4月28日(水)14:31〜16:15                   場所:合同庁5号館 共用第7会議室 1.開会 2.食品安全部長挨拶 3.議事   農産物に係る農薬の残留基準の設定について 4.報告事項  (1)食品中のカドミウムに係る国際基準の検討状況について  (2)添加物の規格基準に規定される標準品について  (3)鳥インフルエンザ対策について  (4)鳥インフルエンザ不活化ワクチンに係る部会報告について  (5)BSEに係る最近の動向について  (6)シンフィツム(いわゆるコンフリー)及びこれを含む食品について 5.閉会 ○事務局  定刻を過ぎましたが、ただいまから薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会を開催しま す。本日は御多忙のところ御参集いただき、厚く御礼を申し上げます。  本日は、井上委員、垣添委員、熊谷委員、児玉委員、品川邦汎委員、篠崎委員、清水 委員、正田委員、柳川委員が欠席との連絡を事前に受けております。なお、羽生田俊委 員、和田直江委員からは辞任の届出がございました。  また、4月28日付けをもって新たに薬事・食品衛生審議会食品栄衛生分科会員に御就 任いただきました委員の御紹介をさせていただきます。  土屋隆委員でございますが、まだお見えになっておりませんので、後ほど御紹介させ ていただきます。  現在の分科会員総数21名のうち、11名の御出席をいただいておりますので、本日の分 科会が成立いたしますことを御報告申し上げます。  それでは、まず開催に当たりまして、遠藤部長から挨拶を申し上げます。 ○遠藤部長  食品安全部長の遠藤でございます。本日は、御多忙のところお集まりをいただき、ま ことにありがとうございます。委員の先生方にはそれぞれのお立場から、食品安全行政 の推進に御協力を賜っておりますことをこの場をおかりし、厚く御礼を申し上げます。  本日は、議事といたしまして1件、農産物に係る農薬の残留基準の設定についてとい うことでございますが、具体的には、食品衛生法第11条の規定に基づきまして、新たに 開発されました殺虫剤、ノバルロンの残留農薬基準の設定につきまして御審議をお願い したいと考えております。  また、前回開催以降、幾つか報告事項がございまして、食品中のカドミウムに係る国 際基準の検討状況につきましては、コーデックスの部会で日本の主張が一部通ったとい うふうなことがございまして御報告をさせていただくものでございます。また、添加物 の規格基準に規定される標準品についての考え方、鳥インフルエンザ対策につきまして は、特に鳥インフルエンザ発生の届出がなかったりした例があったりして非常に混乱を したわけでございますけれども、そういった状況を、また不活化ワクチンについての部 会報告について御報告をさせていただきます。  BSEにつきましては、先週の土曜日にアメリカとの交渉が持たれました。そういっ た状況につきまして御報告をさせていただきます。また、健康食品と関連をいたしまし て、シンフィツム(いわゆるコンフリー)及びこれを含む食品についてということで御 報告をさせていただきます。どうぞよろしく御審議をお願いいたします。 ○事務局  それではまず最初に、先ほど御紹介させていただきましたが、4月28日付けをもって 新たに薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会の会員に御就任していただきました委員の 方を御紹介させていただきます。  土屋隆委員でございます。 ○土屋委員  土屋でございます。よろしくお願いいたします。 ○事務局  それでは、以降の進行につきまして吉倉分科会長にお願いいたします。 ○吉倉分科会長  先に資料の確認をお願いします。 ○事務局  それでは、本日配布させていただいております資料でございますが、資料につきまし ては、右肩に「資料1」と「資料4」と書かれているもの、これが議事に関係するもの でございます。そのほか報告事項に関係するものといたしまして、右肩の方に「報告資 料1」と書かれているものから「報告資料6」と書かれているものまで、全部で10種類 の資料がございます。 ○吉倉分科会長  それでは、一番最初の議事からやろうと思いますが、農産物に係る次に掲げる農薬の 残留基準、ノバルロンの件ですね。事務局から説明をお願いします。 ○中垣課長  基準審査課長でございます。よろしくお願いいたします。  資料の1を御覧いただきたいと存じます。ノバルロン、農薬でございますけれども、 この残留基準の設定につきまして、4月15日付けで厚生労働省大臣から審議会の会長あ て諮問をさせていただいております。  なお、残留農薬基準につきましては、現在240 の農薬について基準設定がされており ますけれども、これに新たに1品目を追加しようとするものでございます。  従来、残留農薬基準の設定につきましては、国際基準の動向でございますとか、我が 国で使われております農薬の動向でございますとか、そういうものを参考にして、5品 目なり10品目なりまとめた形でこの審議会に設定の御審議をお願いしてきたという経緯 があるわけでございますが、昨年の7月から農薬取締法に基づく国内での農薬の販売使 用の登録という行為でございますけれども、これに合わせて食品衛生法上の残留農薬基 準をつくるということを政府全体として方針を打ち出したところでございます。すなわ ち国内で農薬の使用を認める、このときに一方ではその食品に残留する農薬を取り締ま るための基準をつくる。これを同時期に行うということにさせていただいたところでご ざいまして、その一番目としてこのノバルロンというのがあるわけでございます。した がいまして、今回この審議会におきます議論に合わせて農水省において使用が認められ るというようなことが同時並行的に進んでいくということで考えております。  資料の2でございます。食品安全委員会の委員長から厚生労働大臣あての食品健康影 響評価の結果でございまして、一日摂取許容量ADIが 0.011mg/kg 体重 /日というふ うに設定がされております。  内容につきましては、その後ろに付いている「農薬評価書ノバルロン」と書かれてお りまして、その次のページに検討の経緯が載せられておりますが、簡単に1ページから 説明をしたいと思います。  まず「I.1.用途」でございますけれども、これは殺虫剤でございます。7の開発 の経緯でございますが、昆虫の幼虫に対して防除効果を発揮する。諸外国では南アフリ カ、アルゼンチン、オーストラリアなどで食用農作物に登録がされており、米国におい ては、花卉、花ですね、花卉類に関する害虫防除として登録がされておるということで ございます。このノバルロンにつきましては、エス・ディー・エス バイオテックとい う会社から農薬取締法に基づいて国内で農薬としての販売を認めてほしいという申請が なされたということでございます。  2ページから試験結果の概要が付されておりますけれども、12ページに総合評価とし て、それぞれの試験結果の概要がまとめられておりますので、その説明に代えさせてい ただきます。  12ページに「III.総合評価」という項がございます。この2行目に、まず代謝試験 の結果がまとめられておりまして、ラットを用いた代謝試験において、投与後168 時間 では、尿中に投与量の0.6 〜19.9%、糞中に76.0〜95.4%排出され、体内残留量が0.1 〜4.3 %であった。また、主要な排泄経路が糞中である。さらに組織中の濃度等につい ての記載がされております。  次に、「キャベツ」から始まる段落でございますが、キャべツ、ジャガイモ及びリン ゴを用いた植物体内運命試験を実施したところ、植物体内においてはほとんど代謝は受 けないと考えられるということでございます。そこから2つパラグラフを飛ばして、 「トマト」から始まる段落でございますが、いわゆる作物残留試験がトマト、なす、 キャベツ、はくさいを用いて実施されております。ノバルロンの本体が分析されており ますけれども、その最高値は85gAI/haで3回散布した最終散布7日目に収穫した、はく さいで0.41ppm であったというようなことが書かれております。  次に、動物試験の結果でございますが、12ページの下から10行目程度。本剤の急性経 口LD50はラットで5000mg/kg 体重以上であった。亜急性毒性試験の無毒性量は、マウス で4.2mg 、イヌで10mg/kg 体重/ 日である。また、慢性毒性発がん性試験において得ら れた無毒性量について、ラット、イヌ、マウスについて記載がございますし、発がん性 は認められないということでございます。慢性毒性試験などでしばしば赤血球の関連事 項への影響が認められたけれども、そのメカニズムは代謝物を介してメトヘモグロビン が形成されたことによるのではないかというような考察がされてございます。  また、繁殖試験につきましては、ラットを用いた繁殖試験について記載がございまし て、13ページを御覧いただきますと、ラットの慢性毒性/発がん性併合試験と類似した ような結果であった。繁殖に対する影響は認められなかったということでございます。  催奇形性について、ラットとウサギでやられておりますけれども、催奇形性は認めら れておりません。遺伝毒性についても幾つかの試験が行われておりますが、遺伝毒性は ないものというふうに考察されております。  その結果といたしまして、14ページでございますが、動物種ラットについて24か月の 混餌投与の結果に基づいて、無毒性量が1.1mg/kg体重/ 日ということで、それに安全係 数100 を掛け、0.011mg/kg体重/ 日をADIとするというのが食品安全委員会のリスク 評価の結果でございます。  次に、資料の3でございます。この資料の3は、食品衛生分科会の中にございます農 薬・動物用医薬品部会の部会長の豊田先生の名前で分科会長あて出された部会の報告で ございます。部会におきましては、先ほど御覧いただきました食品安全委員会のリスク 評価結果を踏まえて御審議いただいたところでございます。  1枚めくっていただいて1ページでございます。1.品目名:ノバルロン、 2.用途 :殺虫剤、5.適用病害虫範囲及び使用方法といたしまして、乳剤としてキャベツ、な す、トマトに使う。その使い方はここに書かれておるとおりでございます。  2ページでございますが、6の作物残留試験結果がキャベツ、なす、トマトについて まとめていただいております。その結果を表にしたものがございますけれども、一番右 の欄に申請使用方法内での最大残留量として、キャベツだと0.28あるいは0.32、なすだ と0.12あるいは0.16、トマトだと0.16あるいは0.32という結果であったことがまとめら れております。  7のADIの評価は、今申し上げました食品安全委員会のリスク評価結果でございま すから省略させていただきます。  3ページでございますけれども、先ほど御覧いただきました作物残留試験結果をもと に、基準値の案をまとめていただいておりまして、具体的には、4ページに表になって おります。キャベツにつきましては、作物残留試験結果0.28、0.32というのを受けて、 1ppm という案が示されております。トマトについても同様に作物残留試験結果を踏ま えて、1ppm という案が示されておりますし、なすについては、作物残留試験結果に基 づいて、0.5ppmという案が示されております。これ以外、りんごから綿実まででござい ますけれども、欧米を見てみますと、オーストラリアにおいて、りんごから綿実につい て使用が認められており、ここに書いてありますように、それぞれ1ppm という基準が 決められておるものでございますので、それをもとに我が国へ輸入されることも考え、 1ppm という基準値の案が提案されております。  その結果として、3ページに戻っていただきたいんですけれども、3ページの8の(2) でございますが、基準値の案は見ていただいたとおりでございますけれども、これにつ いて、この基準値案で設定した場合に、どのくらい国民がこの農薬を摂取することにな るかというのを理論最大摂取量、あるいは推定一日摂取量という2つの方式で試算させ ていただいておりますが、理論最大摂取量(TMDI)方式で試算した場合において も、一番多い場合でADIの39.2%ということでございまして、そういう意味から申し 上げますと、国民の健康への問題はないというようなことから、この基準値案でどうだ ろうかというふうに部会では御結論いただいたものでございます。  (3)でございますけれども、ポジティブリストの施行に向けて、この部会で作業をや っていただいております暫定基準の第1次案にオーストラリアで基準がございますため に、このノバルロンというのも、既に公表いたしました暫定基準の案の中に掲載されて おりますけれども、この基準値が正式に設定された段階で、この暫定基準案から削除し たいということが部会で決められております。  以上が部会の報告でございますけれども、この部会の報告に基づきまして、資料4を 御覧いただきたいと思います。  資料の4は、いわゆる国民からの意見の募集並びにWTO条約に基づきます諸外国か らの意見の募集、この2つを行ったところでございまして、(1)が国民からの意見の 募集でございますが、1月30日から3月1日の間行いましたけれども、意見は寄せられ ておりません。  (2)でございますけれども、WTO通報と言われるSPS協定に基づく通報でござ いまして、1月29日から3月31日まで行いまして、アメリカから1件意見が寄せられた ところでございます。意見の内容について2ページを御覧いただきたいと思います。枠 組みしたものがアメリカのコメントでございまして、1パラは挨拶でございます。2パ ラでございますが、ノバルロンについて、米国では現在鑑賞用の植物にのみ登録してい るけれども、これは、アメリカではEPA(環境保護庁)において農薬の基準は設定さ れるということになっておりまして、そういう意味で、EPAでございますが、食用作 物の使用について検討中だと。現在、米国では、食肉・鶏肉について飼料由来によるノ バルロンの残留を認めておらず、食肉・鶏肉製品の米国輸入を禁止している。日本で は、この食肉製品についてどうするんだということが書かれておるわけでございます。  今見ていただきましたとおり、今回の基準値の案には食肉及び食肉製品の基準値の案 は出していないわけでございまして、そういう意味から申し上げますと、ここの回答に 書いてありますとおり、食肉・食肉製品に対して残留基準は設けないということでござ います。  なお、残留基準を設けないということがどうなるかということでございますけれど も、もう既に食品衛生法改正の中でポジティブリスト制への移行を決めておるわけでご ざいます。したがいまして、このポジティブリスト制が実施された段階において、残留 基準がない食品に当該農薬の残留が認められた場合には、基本的にその食品の流通は禁 止されるということになります。そういう意味では、アメリカと整合性がとれるという ことだろうというふうに考えております。  以上、簡単でございますけれども、説明に代えさせていただきます。 ○吉倉分科会長  それでは御質問をお願いします。  ちょっと皆さんが考えておられる間に私から質問しますが、この資料3ですが、1つ は、資料3の一番最後のページで、キャベツからなすが出ていますね、それから、その 下にりんごとなっているんですが、1つの質問は、このリストにない食物については、 これは使ってはいけないという、そういう理解でいいんですか。 ○中垣課長  農薬の使用自体というのは農薬取締法で規制をすることになります。農薬取締法で今 申請が求められておりますのは、この資料の1ページ、ページ数にすると上から2枚目 でございますが、1ページの5に書かれておりますキャベツ、なす、トマトでございま すので、この3つに限られる。この3つ以外のものに使った場合には、農薬取締法で違 反になるということになります。 ○吉倉分科会長  わかりました。それから、これは害虫名も適用と書いてあるんだけれども、これも何 か対象になるんですか、それとも単に、どうなんですか、ただ参考のために書いてある んですか、どっちなんですか。 ○中垣課長  この害虫以外の害虫に使ったら農薬取締法違反になるかどうかという御質問だと解し ておりますけれども、残念なことにそこまで知識がございませんで、回答を留保させて いただきます。申し訳ございません。 ○吉倉分科会長  わかりました。それからあと、りんごから綿実について、これは、ちょっと手続がよ くわからなかったんですが。りんごから綿実については、まだこれはリストに載ってい ないと考えていいわけですか。どういう具合に考えるんですか、ちょっとさっきよくわ からなかった。 ○中垣課長  4ページのこの表に基づいて御説明をしたいと思います。今、分科会長の方から御質 問のございましたとおり、キャベツ、トマト、なす、この3品目については、国内でこ の品目についてノバルロンという農薬が使用を始められるということでございます。一 方、オーストラリアにおいては、もう既にノバルロンというのが、ここに書いておりま すとおり、りんご、なし(日本なし・西洋なし)、マルメロ、びわ、綿実、こういうも のについて既に使われておるという現状にございます。アメリカあるいはEU、あるい はオーストラリア、こういったいわゆる科学的に基準を作成してきておるというような 国につきましては、それらの国々からの農作物の輸入というのが当然のことながら考え られますので、基準がつくれる範囲、具体的に申し上げますと、ADIの範囲内に摂取 量をとどめることができるのであれば基準をつくっていこうということで、この分科 会、あるいは部会に御審議をこれまでもしていただいたところだと考えておりますし、 今回もオーストラリアで基準がつくられておると、そこからの農作物の輸入が考えられ るということから、この基準値を設定しようということで提案されているものだと考え ております。 ○吉倉分科会長  要するに、この4ページですね、暫定基準というのから、ここを削ってしまうわけで すね。 ○中垣課長  具体的には正式な基準をつくる。正式な基準がこの基準値案というところの、これを 正式な基準と仮に申し上げると、正式な基準ができたのだから、今公表している暫定基 準の案からは削除してしまうという形になるわけです。 ○吉倉分科会長  わかりました。要するに、これは一番最後の欄が消えるわけですよね、そうですね。 それからあと、さっき今回が農水と厚労省と並行してやるという最初のケースだという 話なんですが、このりんごから綿でしたね、これについては、これは厚労省だけでやる ということになるわけですよね。 ○中垣課長  これは輸入農作物を考えた話でございますから、分科会長御指摘のとおり、厚生労働 省単独という形になります。 ○吉倉分科会長  はい。何か御質問あればよろしくお願いします。 ○丸井委員  今の資料3の一番最後の、資料1の方にもありましたが、これまでの経緯で農薬登録 申請というのは、これは農林水産省に出されたものですか。そうすると、農林水産省か ら厚生労働省に回ってくるのに2年かかったということですか。何かとても長いような 気もしますけれども、大体これは農薬等について、農薬登録というのはこれぐらい時間 がかかるものなのかどうかと思いまして。と言いますのは、その後、10月以後非常に早 いペースで動いているようなんですが。 ○中垣課長  資料2の3枚目、「検討の経緯」、ここに対する御質問だろうと思います。農林水産 省に対して農薬の登録の申請があったのが2001年の11月28日、次の2003年の10月29日に 厚生労働大臣から食品安全委員会にリスク評価をお願いした。この間2年もかかってい るのに、10月から、今が4月でございますから半年しかかかっていないと。この2年と 半年という比較だろうと思います。農薬登録申請が出た場合に、農林水産省がまず何を するかということでございますけれども、農林水産省の外郭団体で独立行政法人農薬検 査所というのがございます。ここの農薬検査所において、事務的なチェック、言うなれ ば事前審査みたいなものを彼らはやっておるというふうに承知をいたしております。そ の事前審査が2年かかったのかどうかというのは、食品安全委員会が昨年の7月にでき たという過渡期にございますので、食品安全委員会ができる前は、厚生労働省にござい ました残留農薬安全性評価委員会、通称安評と呼んでおりましたけれども、この安評で リスク評価をやっておりました。その安評でノバルロンが審議されておって、幾つか保 留事項があって、その保留があったために、その安評の経緯を除くとこういうふうにな るのか、それとも何か別の事情があって、農林水産省内部に2年ほどとどまっていたの か、ちょっとそこまで資料を持ち合わせておりません。恐縮でございます。  今の手続、今、仮に全く新しい農薬が農林水産省に申請があるということで考えてみ ますと、農林水産省の農薬検査所で事務的な審査をした後、厚生労働省に対して、こう いう申請があったという連絡がまいります。厚生労働省は、その連絡を受けて直ちに資 料をください、うちは残留基準をつくりますという申し出を農林水産大臣に対して行 い、その大臣に対する要請の結果として資料が送られてまいります。その資料の到着を 待って、今度は直ちに食品安全委員会に対してリスク評価を依頼するということでござ いまして、農林水産省から申請があって連絡を受けた後、食品安全委員会にリスク評価 を送るまでというのは、事務手続として1週間程度、早ければ1日、2日で厚生労働省 としてはカバーをしております。 ○吉倉分科会長  もしもほかになければ、豊田先生、何かこれはありますか。 ○豊田委員  特にありません。 ○吉倉分科会長  そうすると、結論的には、資料3の一番最後の表でこのりんごから綿実まで含めての 報告ですが、大体この部会報告でよろしいですか。  それでは、そういうことですと、要するにこの部会報告を整理して、それで分科会の 報告にしたいということです。薬事・食品衛生審議会規定第3条の規定に分科会の議決 をもって審議会の議決とし、厚生労働大臣あて答申することになっておりますが、それ では、答申書の案の配布をお願いします。                 (答申書案の配布) ○吉倉分科会長  別紙というのは配られるんですか。別紙のとおりというのは、別紙がないけど……。 ○中垣課長  申し訳ございません。コピー代を節約するために別紙を省略しておりますが、資料3 の4ページのこの表の基準値案までが添付されることになります。申し訳ございませ ん。 ○吉倉分科会長  そうすると、暫定基準案がこれには出ているんだけれども、これはどうするんです か、残したまま別紙にするんですか。 ○中垣課長  別紙に付きますのは基準値案まで。農作物名と基準案のこの2つのカラムでございま す。 ○吉倉分科会長  わかりました。要するに、最初の2つのカラムだけですね。 ○中垣課長  はい。 ○吉倉分科会長  それであとは全部削ると。おわかりになりますかね。4ページ目の農作物で下にキャ ベツとあって、それと基準値案のppm で1、1、0.5 、ほかは全部削除して、そういう ことにするということです。  それでは、本文の方も別にめんどうくさい文章じゃないので、それでは、これから 「案」をとって、それから今の別紙を整理して答申したいと思います。そうすると、今 後はこれはどういう具合になるんですかね。今後のスケジュールについてお願いしま す。 ○中垣課長  御答申に基づきまして、できるだけ早く一、二か月を目途に告示し、残留基準として 正式に発効していきたいというふうに考えております。 ○吉倉分科会長  それではどうもありがとうございました。そうすると、今度は報告に入るわけですけ れども、一番最初の食品中のカドミウムに係る国際基準の検討状況をお願いします。 ○中垣課長  報告資料の1を御覧いただきたいと存じます。食品中のカドミウムの国際基準につき まして、3月22日から26日にかけてオランダで開催されましたコーデックス委員会の食 品添加物・汚染物質部会において議論がなされましたので、その結果を報告させていた だきたいと思います。  4ページを御覧いただきたいと思います。この3月のコーデックスの部会に備えまし て、昨年12月9日にこの分科会の下にございます食品規格部会において国際基準の案に 対してどのような対応をするか御検討をいただきました。  その背景でございますが、98年からカドミの国際基準について検討がされておる。1 の(2)でございますが、米、小麦、大豆などなどについて基準値原案、これは98年の デンマーク案がベースにされておりますけれども、その原案について12月15日までにコ メントを提出するよう求められておるというようなことがあったところでございます。  2番が審議の結果でございますが、厚生労働科学特別研究「日本人のカドミウム暴露 量推計に関する研究」という、これは国立環境研究所の新田先生にお願いしたわけでご ざいますが、この解析結果を踏まえて議論していただいたところでございます。  具体的には6ページでございます。この新田先生の研究班におきまして、(1)でござ いますが、国民栄養調査から得られました食品の摂取量と農林水産省において実施され ました農産物等のカドミ含有量のデータ、例えば米ですと約3万検体についての分析が されております。この分析を統計学的な手法を用いて掛け合わせて、日本人がどれぐら いのカドミをとることになるのかというのを描いていただいたのが6ページの下にござ います図でございます。縦軸が頻度でございまして、横軸がカドミウムの摂取量を体重 kgあたりで推定したものでございます。  このような推定をすると、(2)でございますが、比較対照となるのは、JECFA の暫定 週間耐容摂取量、いわゆるPTWIと言われているものでございますけれども、これと 比較して平均値では半分以下、国際的に基準値設定の目安にされている95%値では、暫 定週間耐容摂取量程度の水準となる。  一方、我が国の現状から出してみた修正案、これが7ページにございますが、7ペー ジが昨年12月時点で示されておりましたコーデックスの原案と我が国の修正案でござい ます。我が国の修正案というのは、例えば米ですと、我が国の米というのはカドミの濃 度がある程度高いというような現状から、合理的に到達可能な範囲でできるだけ低く基 準を設定するという考えにのっとって作成をしてみたものでございまして、米ですと、 コーデックス原案0.2 に対して、我が国修正案は0.4 、小麦ですと、0.2 に対して0.3 というような数値であるわけでございますが、1枚戻っていただいて6ページでござい ますが、真ん中の表でございまして、コーデックス原案と我が国修正案をカドミの暴露 量、摂取量の推定をしていただいております。これを見てみますと、平均値で考えます と、ほとんど大きな変化はない。  また、国際基準の設定の目安である95%値で見ても、どちらもPTWIである7を下 回っておるというようなことから、戻って恐縮でございますが、4ページの「2 審議 結果の概要」の(1)でございますが、まず、国際基準を設定するという場でございま すから、FAO/WHOの合同食品添加物専門会議、JECFA と呼ばれておりますが、こ のJECFA で国際的な暴露評価を実施すべきだというのが我が国の考え方の1番。  (2)でございますが、とは言いながら、コーデックス委員会で基準値案が審議され ておるわけでございますから、我が国としても、今申し上げましたとおり、修正案につ いて両者の摂取量に明らかな差異はない。平均値は7マイクロの半分以下である。さら に95%値においても耐容量を下回ったことから、先ほど見ていただきましたような修正 案を提出したというところでございます。  この我が国の修正案を含めまして、1ページ目に戻って恐縮でございますけれども、 1ページの「2 検討結果」でございますが、我が国以外にも多くの国々から修正の 案、意見が提出されたところでございまして、これらの意見をもとに議論がされたとこ ろでございます。その議論の結果でございますが、まず(1)でございますけれども、基 準値設定の対象をカドミウムの摂取寄与の大きい品目に限ろうと。すなわち、いろんな 農作物、いろんな水産物からカドミウムは少しずつ出てまいるわけでございますけれど も、寄与率の小さなものまでつくる必要はないのだろうというようなことから、例え ば、大豆が外されております。  次に2番でございますが、2ページ目の(2)でございます。小麦、野菜などについて は、原案どおりの基準値案としようと。ただし、軟体動物については更なる議論が必要 だということで除かれております。  (3)精米の基準値案については、0.2 mg/kg を0.4mg/kgにしよう。また、来年の2月 にJECFA 、FAO/WHOの合同食品添加物専門家会議において、摂取量の評価を行 い、暴露評価を行い、来年以降の基準値案の検討に資するということでございます。  現在の基準値の案が3ページにございます。3ページの表がその審議結果でございま して、食品群、基準値案、ステップ、ステップというのは、下にステップについて注を 記載しておりますけれども、ステップ5となっておりますが、5というのは、部会が終 わった段階が5でございます。その部会が終わって、さらに各国のコメントを要請して 総会、この総会が今年の6月末から予定されております。今後の予定といたしまして は、6月末にステップ5の総会が開催され、さらにステップ6で各国のコメントが要請 されて、ステップ7の部会、これが来年の3月にオランダでまた開催される予定となっ ております。スタップ8、その部会が終わりますと、来年6月の末からまた7月になる んじゃないかと思いますけれども、総会にまたかかるというような手続で進められてい く予定でございます。  以上が国際基準のカドミウムに関します流れの御報告ということでございます。  他方、国内における基準についてどうするのかという点について御報告をさせていた だきたいと思います。国内の食品基準というのは、当然のことながら食品衛生法に基づ いて、この審議会の意見を聴いて厚生労働省が定めることになるわけでございます。先 ほど御説明を申し上げました農薬と同様に基準を定めるということになりますと、日本 としてのリスク評価を実施していただく必要がございますので、厚生労働省としては、 昨年の7月に食品安全委員会に対してリスク評価をお願いしたところでございます。食 品安全委員会における審議というのが若干長引いておりますけれども、食品安全委員会 のカドミウムのリスク評価の結果を受けまして、こういった国際基準の動きも踏まえ て、この分科会の下にございます食品規格部会における審議を行っていただきたいとい うふうに考えておりますので、今後ともよろしく御指導方お願いをしたいと思います。  以上でございます。 ○吉倉分科会長  一応報告ですが、何か御質問ありますか。  よろしいですか。軟体動物のカドミウムなんていうのは、場所によって大分違うんじ ゃないですか。まあ、本議題に直接関係ありませんので。  なければ、次の報告に移りたいと思います。それでは、「添加物の規格基準に規定さ れる標準品の改正」等についての意見・情報をよろしくお願いします。 ○中垣課長  報告資料の2を御覧いただきたいと思います。  添加物の試験方法につきましては、この分科会の下にございます添加物部会において 議論を賜っておるところでございますが、その試験をする際に、標準品という物差しを 使うわけでございます。例えば、タール色素の赤色40号でございますと、その赤色40号 の純品を物差しにして、市販されている、あるいは市販しようとする赤色40号がどれぐ らいの純度があるのかなど試験検査することになるわけでございますが、その物差しと なる標準品の規定についての御報告でございます。  報告資料の2は、いわゆる国民への意見の募集をしたときの資料でございまして、4 月7日付けで意見募集をし、4月27日まで意見を募集したところでございますが、1ペ ージの下から五、六行目、「4 改正の内容」というところにございます。これを説明 したいと思います。  (1)の後に「1.」というのがございますが、タール色素の標準品12品目あるわけ でございますけれども、これについて、現在国立医薬品食品衛生研究所の標準品という ような規定がされておるわけでございます。しかしながら、国立医薬品食品衛生研究所 の具体的には大阪支所で今までこの標準品を供給していただいてきたところでございま すが、その業務内容を見直す。具体的に申し上げますと、大阪支所をゲノムでございま すとか、生物資源でございますとか、そういうものの研究供給を主体とする研究所、研 究機関に変更しようと。またさらには、独立行政法人にしようということで法案を国会 に今提出をし、参議院では御了解を得、現在衆議院に回っているところでございます。 また、標準品という観点から見ますと、必ずしも国立研究機関から供給しなくても、一 定の条件のもとで民間機関から供給していただいても問題がないというようなことがあ るわけでございます。  具体的に申し上げますと、添加物の分野で申し上げますと、キシリトールについては 既にそのような形になっておりますし、医薬品分野の標準品、例えば日本薬局方の標準 品についても、その大半が民間機関から既に供給をされておるというような現状にござ いますので、そのようなことを受けまして、一定の条件を課して大臣の登録という制度 のもとで、民間機関が製造する標準品という形に改めたいというふうに考えておるとこ ろでございます。  2ページでございます。2ページの上から3行目キシリトールの標準品でございます が、キシリトールの標準品は、現在食品添加物公定書で定めた標準品ということになっ ておりまして、既に民間から供給されておるわけでございますが、この際、このキシリ トールの標準品にも一定の条件を課そうと、登録制にしようということで改めたいとい うふうに考えております。  3番がチアミン塩酸塩、ニコチン酸アミド及びリボフラビンのこの3つの標準品でご ざいますが、これも国立医薬品食品衛生研究所標準品となっておるわけでございます が、先ほど申し上げました医薬品分野の日本薬局方の標準品というのがございまして、 実態としては、今それが用いられておりますので、それに合わせようということでござ います。  (2)がその標準品を製造するものの登録に関する規定を新しく設けようということで ございまして、「1.」が登録基準の審査に必要な事項、「2.」が登録自体の基準と いうことで、(1)としてすべての標準品を製造する。(2)が製造作業を行う場所の規定。 (3)が試験検査に必要な設備器具の規定。(4)が衛生的、安全な貯蔵の規定。(5)が標準 書の規定などなどの規定を置こうということでございまして、添加物部会にも御報告し 了解をいただいた上で、厚生労働省といたしましては、今御説明をしたような方向で、 この添加物の試験検査に基づく標準品について改正をしたいというふうに考えておりま す。  なお、食品安全基本法との関係でございますが、4ページ目を御覧いただきたいと思 います。このような規定を変える際には、食品安全基本法でリスク評価をしなければな らない。そのリスク評価は安全委員会が行うというふうになっておるところでございま すが、食品安全基本法の中にリスク評価が明らかに必要でない場合には、例外規定とし て、そういったリスク評価を行わないこととすることができるというような規定がござ いまして、安全委員会に照会いたしましたところ、リスク評価を行う必要がないという ような決定を4ページ目でいただいたところでございます。  以上でございます。 ○吉倉分科会長  御質問いかがですか。  登録すれば誰でもできるという、その辺はどうなんでしょうか。 ○中垣課長  一定の条件をクリアできるのであれば、おっしゃるとおりでございます。 ○吉倉分科会長  そこがつくったものは確実にいいという保証はどういう具合にして確保するんです か。 ○中垣課長  それを今申し上げました登録の条件の中で規定をしているという形になるのだろうと 思いますが、現実問題といたしましては、それほど多くの需要があるものではございま せん。しかも、タール色素をはじめとして、極端に限られた十数品目でございますか ら、なかなか、これでいわゆるビジネスベースに乗るかと言われますと、そういうわけ でもないのだろうというふうに考えておりまして、一方では、どこも供給してくれない というのも、我々として非常に困りますので、公益法人とも今、先ほど申し上げました 日本薬局方の標準品を供給しておる財団法人でございますから、このタール色素等につ いても供給をできないか、この登録を受けてくれないか検討をお願いしているところで ございます。 ○吉倉分科会長  大体状況をおわかりになりましたでしょうか。  それでは、なければ次の報告に移りたいと思います。鳥のインフルエンザですね、お 願いします。 ○南課長  監視安全課長の南でございます。報告資料の3に基づきまして御説明をいたします。  御案内のとおり、この鳥インフルエンザ対策でございますが、これは鳥から鳥への病 気の感染防止という観点から、また鳥と人間が濃密に接触することによってこの病気が 人間に感染するかもしれない、そういった観点からの対策、いろんな観点からの対策が 講じられたわけでございます。ここでは食品を介してのインフルエンザ対策について御 説明をいたします。  まず、6ページを見ていただけますでしょうか。厚生労働省の対応状況ということで ございますが、このインフルエンザの事件は、まず山口県において発生しました。1月 12日にこのウイルスが報告をされ、次に大分、それから京都の農場といった順でこの病 気の発生が報告をされたわけでございます。山口県で報告がされまして、それを受けま して、食品関係では、ここの農場は卵をとる、いわゆる採卵をする農場であったという ことで、卵が既に出荷されていたということもございました。食品安全の観点からでは なくて、山口県と協議の上、不安解消の観点から鶏卵の自主回収を要請したということ でございます。  また、翌日の1月13日でございますが、高病原性鳥インフルエンザに関するQ&Aを ホームページに立ち上げまして、この中で鶏肉や鶏卵を食べてこの病気にかかったとい う症例は世界的にもありませんと、そういう知識についての情報提供を行ったというこ とでございます。  1枚めくっていただきまして、京都において発生したこの事例につきましては、この ウイルスであるということが確定したのが2月の28日であったわけでございますが、実 はその1週間ほど前から、この農場において死亡鶏が多発したということがありまし た。そして25、26におきましては、こういったものが出荷をされて鶏肉になっていると いうことが後になってわかりました。大きな問題になったわけでございます。  こういった国民の皆様の関心の高まりを受けまして、この鳥インフルエンザに関する 関係省庁対策会議等が開催をされました。厚生労働省、特に食品部局としましては、こ の3の(5)でございますが、食鳥処理場への感染食鳥の搬入防止の徹底、これは農場に おきまして、毎週その農場は、農林水産省の管轄でございます家畜保健衛生所にその疾 病状況についての報告をするということが決められまして、したがいまして、こういっ た鶏が食鳥処理場へ搬入される際には、その報告書の写しを付けないと受け付けないと いうふうに、そういう指導を都道府県に対して行ったわけでございます。  それから(9)でございます。3月の9日におきまして、内閣府の食品安全委員会、農 林水産省、環境省等連名で国民向けの啓発資料を発出したわけでございます。この中に は鶏肉・卵の安全性のほか、人への感染の可能性とか、あるいは飼っている鳥が死亡し た場合の取扱いなどについてまとめたものでございます。また、後ほど御説明をいたし ます。  それから(12)でございます。これは食肉処理場における対策でございますが、先ほど 農場におきましての死亡鶏の増加といったようなことについては、農場から家畜保健衛 生所に報告が義務づけられたということでございます。農場から出荷されて、食鳥処理 場までの輸送の間において、死亡する鶏がどんどん出てきたという場合にどうするかと いうことでございまして、こういった状況があった場合、食鳥処理場において処理をす る前に、死亡鶏の率が3%を超すような事例があった場合には、この簡易検査キットを 用いてスクリーニング検査をするように通知をしたわけでございます。現在までに4つ の検査の事例が報告をされております。いずれのケースにおきましても、スクリーニン グ検査で陰性になっております。なぜそういった多くの鶏が死んだかということです が、4件ともに熱中症ということで死んだと聞いております。  1枚目に返っていただきます。先ほど説明しました4省庁の連名による自治体への通 知でございます。この中に鶏肉・卵の安全性についての記載がございまして、1ページ の一番下でございます。なぜ、この安全性について周知をする必要があったのかという ことがここに出ております。3例目、これは京都の例でございますが、発生農場から鶏 肉・鶏卵の一部が食品として流通した、また、発生農場の事業者が自主的に回収をして いると、こういったことで、その鶏肉や鶏卵の安全性について不安や困難を招いている ということがございまして、こういった情報を提供するということになったわけでござ います。  3ページを見ていただきたいと思います。これが国民の皆様へということで情報提供 した内容でございます。鶏肉・卵の安全性については、第2パラグラフになりますが、 鳥インフルエンザについては、これまで、鶏肉や鶏卵を食べることによって人に感染し たという事例の報告はございません。このため、食品衛生の観点からは、鳥インフルエ ンザ発生農場から出荷された鶏卵や鶏肉を回収する必要はないと考えられますというこ とでございます。しかしながら、感染した鶏が実際に市場に出回るということは、これ は好ましくないことでございまして、鶏肉につきましても、病気にかかっていない健康 な鶏が食用に共用されるという理念のもとに食鳥検査法があるわけでございます。した がいまして、こうは言っても、実際には、食鳥処理場に入る前にそういうものは入って こないという手当てがなされておりますし、また食鳥処理場に入った時点におきまして も、死亡率が高いものについては簡易検査キットによる検査がなされると。さらには、 食鳥検査において、目視でありますが、検査が行われる。こういったことで、現実的に は、こういった病気にかかったものが市場に出回るということは極めて考えにくいとい う状況ではございます。  念のために、下にあります「○」が2つ打ってございますが、鶏卵を生で食べること が健康を損なうおそれがあるとの報告はこれまでありませんが、不安な方は加熱するこ とをおすすめしますと。また、鶏肉は十分加熱して食べてください。これは食中毒予防 の観点から、未加熱あるいは加熱不十分で食べることはおすすめできません。こういっ た情報を提供してございます。  以上でございます。 ○吉倉分科会長  では、御質問、何かありますか。どうぞ。 ○丸井委員  鳥のお話をしていただきました。この後BSEもあるそうですけれども、例えばBS Eの場合には、牛を考えると、牛を育てているところから牛の屠畜場を経由するわけで す。牛の場合には非常に大きいので、屠畜場で実際に屠畜しなければ、ほとんど食用に はなっていかないと思います。けれども、鳥の場合には当然小さいものですから、農場 から食鳥食場で、このあたりのところで実際には農場で閉鎖的に飼われていて、そのま ま移動するのでしょう。大分の場合には庭で飼っているというのがありました。鳥の場 合には非常に小さいので、鳥をしめてというのが非常に簡単にできるし、家庭でも処理 ができて、牛の場合に比べるとはるかに漏れが多いのではないかと思います。そのよう な状況で、例えば牛の場合と鳥の場合というのは、もし食肉経由で何か問題が起こると いうときに、管理の仕方は違うやり方を考えなければいけないのではないかと思いま す。別の言い方をすると、牛の場合には市場がいわば閉じた形で動けるのに対して、鳥 の場合には、野鳥の話は別にしても、食肉だけでもあちこちに穴があるような気がしま す。その辺、鳥の場合に特に何か注意されるというようなことがあるのでしょうか。 ○南課長  牛と鶏の比較になると思うんですが、牛の場合は人間にうつる病気、人畜共通伝染病 と呼んでいるわけなんですが、そういった人間にとって極めて健康被害が起きるような 病気をたくさん持っているということがございまして、厳しくそういう規制が成り立っ ております。その規制のやり方というのは大体世界共通でございます。また、鶏でござ いますが、鶏から人への共通感染症というのはほとんどないわけでございます。もちろ ん食中毒菌みたいなものは持っておりまして、かかることがございます。そういうこと で、人へのリスクというものはかなり違うというふうに考えております。農場から食卓 への、その間での規制ということにつきまして、鶏も牛も世界的に、日本の規制という のは、大体世界標準に近いのかなと思っております。  御心配の大量飼育をしているものについては、農場から食鳥処理場に来て、そこで検 査を受けて出ていくと。小さい規模で処理されるものはございます。それは公的な検査 制度はかかりませんが、認定小規模という形で、公的な検査がかからないというのはち ょっと語弊がありますけれども、そういう食鳥検査員による、食鳥検査員というのは常 駐してずっと見ているわけです。そういう小さいところにおいては、そこの従事者の食 鳥処理衛生管理者によるチェックが行われているということで、いずれにしましても、 お店の方が、食堂の方が鶏をしめて、そこでお客さんに出すということは法的には禁止 されているということでございます。そういう許可をとらないとできないというシステ ムにはなっております。 ○吉倉分科会長  よろしいですか。フランスなんかに行くと、殺した鳥が毛のまま店先にぶら下がって いるのがありますけれども、日本はああいうことはやってはいけないわけですね。今の 話だとね。 ○南課長  許可なしにそういうことはできないことになっております。 ○吉倉分科会長  はい、どうぞ。 ○丸井委員  例えば最近はそういうことは全くないのかもしれませんが、農家なんかで自分の庭先 の鳥をしめるというのがあります。これは販売とは別ですけれども、それも何らかの形 で管理下にあると思ってよいのでしょうか。 ○南課長  農家で食卓に供するために行われるというのは、それは仕方がないことですね。そこ までは規制はできません。それを処理して多くの人に差し上げるとかということはでき ないということでございます。 ○吉倉分科会長  先ほど4件ほど移送中に3%を超えるというのがあったという話で、これは結構数が 多くなると、1万だと300 か、そんな数になりますね。この4件は熱中症だというんで すが、冬でも熱中症、要するにどのくらいバックグランドとして鳥がしょっちゅう死ん でいるのか、そこの辺の理解というのは要るんじゃないかと思うんですが。 ○南課長  ちょっと年平均でどれだけというデータは今持っておりません。ただ鶏は、農場から 食鳥処理場に運ばれる間は、ケージに8羽とか10羽とか、そういう単位で詰め込まれま すので、冬でも圧死とか、あるいは熱中症といいますか、温度が高くなって死ぬという ケースはございます。 ○吉倉分科会長  鶏舎でも結構出るんじゃないですか。今のああいう非常に密集したところだと、恒常 的に何%か死んでいるんじゃないですか、普通の状況で。この報告が一体数で報告する のか、全体の鳥の割合で報告を求めているのか、その辺も多少ともあると思うんです。 ○南課長  これは家畜保健衛生所への報告ですが、何々農場、何々月、何々週ということで、使 用羽数が何羽、死亡羽数が何羽、鳥インフルエンザの可能性を否定できないような症状 はありやなしやというような様式に記載して毎週報告をしているということでございま す。 ○吉倉分科会長  そうすると、その数を判断するのは、この食肉検査所の人が判断するわけですが、そ れはクライテリアはつくっているんですか。食肉検査所は農水の管轄ですか、厚労省の 管轄ですか。 ○南課長  食鳥処理場での食鳥検査は厚生労働省でございます。今御説明しましたのは、これは 農林水産省の方で農場から家畜保健衛生所に報告されるものでございます。その報告を されたもの、その写しが食鳥処理場に持ってくる鶏に添付されてくるという形になって おります。したがいまして、それが食鳥処理場に届くということは、農林水産サイドに おいて、それはインフルエンザではないという判断が下されたというふうに考えており ます。 ○吉倉分科会長  ということは、ちょっとしつこいかもしれないけれども、それが付いていれば、何羽 死んだというのが付いていれば、そういう書類がくれば、一応、食肉処理場としてはそ れを受け入れると。何羽死んでいるか知らないけれども、食肉処理場でその数字を判断 することは、するんですか、しないんですか、どうなんですか。 ○南課長  それはいたしません。農場において死亡数が多い又は症状が出るということになりま すと、これは家畜伝染病予防法において、そこで処理されるものでございます。 ○吉倉分科会長  わかりました。はい、どうぞ。 ○神田委員  国民向けへの周知徹底ということが3月9日付けで出されるという形では非常に遅か ったんじゃないか。当初から食べて何か害があった例はないということは言っておりま したけれども、ここにありますようなことが取りそろえてある周知徹底の中身が出され るのはちょっと遅かったのかなと。結果論で申し訳ないんですけれども、というふうに 思うんですが、こういった緊急的なと言うんでしょうか、周知徹底しなければならない ようなことが出たときに、今回のことが今後どういうふうに生かされるのか、やっぱり 遅かったんじゃないかと思いますけれども、そのあたりがどういうふうに受け止めてい らっしゃるのかなと思います。海外でも日本で発生する前に、いろんなことがわかって いたわけですから、その辺が残念だったなというふうに思いますけれども、それと、こ の周知徹底の仕方ですよね、今後こういった問題が起きたときに、どういった手立てで やるのがいいのかというようなこともまとめられているんでしょうか。 ○南課長  山口で1件目が起きまして、これは1月12日だったわけでございますが、私どもとし ては、直ちに次の日にQ&Aを厚生労働省のホームページに立ち上げまして、その中で 鶏肉・卵を食べることによっての健康被害というものは報告されていないという情報提 供はしてございます。ただ、それだけでは足りないのではないかという御指摘だと思い ますので、その点につきましては、今後さらに検討させていただきたいというふうに考 えております。 ○吉倉分科会長  神田委員の御意見ですから、やはり、こういう分科会で消費者としてはどういう形で 教えてもらえば一番わかるのかという、消費者側からの提案というのも必要じゃないか という具合に私はちょっと思ったんですね。SARSのときも厚生労働省が非常に一生 懸命やったけれども、受取る側は必ずしもそうではなかったということがありますし、 すぐ食品分科会などを開けば、新聞記者の方が来ますから、それも1つのやり方ではあ るんですが。何か御意見があれば。神田先生お願いします。 ○神田委員  1つは、意見というよりも、その場合に聞きたかったのは、どういうふうに総括して いるのかなということが1つ聞きたかったことなんですが、もちろん、最初から食べて 人にうつるということはないと。本当に濃密に接触した人でなければということは確か に出していましたけれども、もう少しトータルで後の方で出されましたように、野鳥が 死んでいたら、その扱いをどうするのかということに至るまでのようなことはなかった ものですから、やっぱりホームページではなかなかあれですので、新聞とかテレビとか 私たちが一番目につきやすいものがまず使われなければなかなか難しいのかなというふ うに思っています。ただ、行政として、こういった問題をどう受け止めていって、今後 どういうふうに周知していく方法があるのかと考えていらっしゃるのかを私は聞きたか ったんですけれども。 ○吉倉分科会長  何かありますか、南さん。 ○南課長  不十分だということでございますので、ほかにどういう方法があるのか、また内部で 検討をさせていただきたいと思います。 ○吉倉分科会長  ぜひとも、委員の先生方からもいろいろそういうことに関して意見をいただいておく 方がいいかと思います。  それでは、ほかになければ、その次のインフルエンザの動物用医薬品、これはワクチ ンでしたっけ、お願いします。 ○中垣課長  報告資料の4番に基づいて御説明申し上げます。鳥インフルエンザの一連の流れでご ざいまして、報告資料の4を見ていただきますと、「動物用医薬品ノビリスインフルエ ンザH5に係る食品中の残留基準の設定について」ということで、農薬・動物用医薬品 部会の豊田部会長の名前で吉倉分科会長あての報告書でございます。  1枚めくっていただきますと、このノビリスインフルエンザH5というのは、2番の 用途のところを見ていただきますとおわかりいただきますように、鳥インフルエンザの 不活化のワクチンでございます。H5と書いてございますとおり、鳥インフルエンザA 型のH5N2亜型の培養ウイルス浮遊液を不活化したものということでございます。  4番の適用方法でございますけれども、皮下に1羽ずつ注射をしていくというような 方法で使われるものでございまして、5番の残留試験結果でございますけれども、残留 試験は実施されておりませんが、後で述べますけれども、これまでの試験結果等からこ の結果というのは推定できるだろうというような評価がされております。  6番の食品健康影響評価でございますけれども、食品安全委員会において、次の3ペ ージ目を見ていただきますと、ここに書いておりますのは、食品安全委員会の評価結果 の総括でございます。まず、ノビリスインフルエンザH5の主剤というのは、鳥インフ ルエンザウイルスのH5N2亜型をホルムアルデヒドで不活化させたものだ。このた め、主剤は感染力を有するウイルスを含んでいない。また、製剤に使用されているア ジュバント等の添加物は、いずれも国内外において使われてきたもので、国際的な毒性 評価もある。ワクチンの摂取量から考えると、健康影響というのは実質的に無視できる と考えられる。  これらのことから、ノビリスインフルエンザH5は、適切に使用される限りにおい て、食品を通じて人の健康に影響を与える可能性は実質的に無視できる。すなわち、鳥 インフルエンザを予防するために、あらかじめこのワクチンを打った鳥の肉、あるいは 鳥から生まれる卵、この影響について、食品安全委員会としては、適正に使用される限 り、健康への影響というのは実質的に無視できるというような結論をしておるわけでご ざいます。  その上で、ただし書きとして2点に触れておりまして、まず1点が休薬期間、すなわ ち最後にワクチンを打って、その打たれた鳥の肉、あるいは卵をいつまで出荷しないか ということでございますけれども、36週間は出荷されないようにするべきだという意見 でございました。もう1点は、そのワクチンの使用そのものについてでございますけれ ども、ワクチンの使用は、家畜としての鳥の間の疾病の蔓延、これを防止するというこ とでございまして、食品安全そのものと関係するものではございませんが、ワクチンの 使用については、早期的及びとう汰により根絶をはかることが困難になった場合に限定 すると。それとともに、家畜衛生当局の指導の下に、十分な管理措置を講じた上で行う というような2点をコメントしておるところでございます。  7番の諸外国における使用状況でございますけれども、メキシコ、香港で販売をされ ております。このような状況を考えて、部会において御審議をいただいたところでござ いますが、食品安全委員会においても、人の健康への影響は実質的に無視できるという ことでございますので、残留基準の設定は要らないだろうというような御結論をいただ いたところでございます。  以上、御報告させていただきます。 ○吉倉分科会長  何か御質問ありますか。  一応、そういう報告だということで。  あとは、その次の日米BSE協議について。 ○南課長  報告資料5に基づきまして説明をいたします。これは外務省がつくった資料でござい まして、字もかすれてなかなか臨場感の出ている資料でございます。御了承いただきた いと思います。  4月24日、先週の土曜日でございましたが、第3回の日米BSE協議が開催をされた わけでございます。米国産牛肉の輸入再開問題等、あるいは日本からの牛肉の輸出の問 題についても話し合われたわけでございます。  協議のレベルでございますが、前回、前々回同様外務省、厚生労働省、農林水産省、 食品安全委員会の局長レベルの出席によって協議が行われました。  協議の成果でございますが、3の下の方、(3)を見ていただけますでしょうか。専門 家及び実務担当者から構成されるワーキンググループを立ち上げるということが決まり ました。ワーキンググループにつきましては、今御説明いたしましたように、専門家と 実務担当者、また必要に応じてOIE等国際機関の方の知見も参考にするということで ございました。  めくっていただきまして、このワーキンググループの議論の内容については、適宜外 にブリーフィングを行う。またタイムフレームですが、夏までの間、毎月1回以上を開 催する。そしてこの議論の状況については、必要に応じて開催される日米局長級会合に 報告をするということでございます。このワーキンググループにおいての検討事項は (2)でございます。BSEの定義・検査法、SRMの定義と除去方法、サーベイランス のあり方、フィードバンのあり方、国としてのカテゴリー区分、また牛の月齢鑑別方法 等、こういったことについて、技術的、専門的な観点から議論をするということでござ います。 (1)全体的な枠組みでございますが、このワーキンググループを含めた日米協議を夏ま での間に精力的に進める。日米双方がそれぞれの国内での議論を深めて、夏をめどに米 国産及び日本産牛肉の輸入再開について結論を出すべく努力をすることが決まったわけ でございます。次の局長級会合につきましては、ワーキンググループの議論を踏まえた 上で調整するということで協議が終了したわけでございます。  以上でございます。 ○吉倉分科会長  御質問何かありますか。 ○神田委員  単純なことですが、BSEの定義、SRMの定義とあるんですが、この定義というの はないんですが、そのことを二国間のところで確認をするということなんでしょうか。 1つは簡単なことで。まずそれだけで。 ○南課長  BSEの定義は、まずは検査法が日本とアメリカで違うと。違うということになる と、その結果として出てくるものが違うわけでございますので、BSEの定義について は、検査法についても議論をしていただくと。また、SRMの定義につきましても、ど こまでSRMと呼ぶかということ……。 ○吉倉分科会長  SRMは何かということを言ってもらって……。 ○南課長  失礼しました。牛がBSEに感染した場合に、まず感染の原因と言われますプリオン が集積をしやすい場所ということになっておりまして、脳、それから目、こういった頭 部、首から上の部分、それから脊髄、それから脊柱に含まれる背根神経節、それから回 腸の遠位部が今のところSRMという特定危険部位というふうに日本ではなっておるわ けでございます。これについての定義と除去のあり方について協議をするということで ございます。 ○吉倉分科会長  よろしいですか。要するに、検査でBSEかどうかはわかるわけですが、どういう検 査をするかということが協議の内容になり得るわけですね。それから、SRMはどこま で食べていいかという話で、これも結構難しい話です。どうぞ何かあれば。 ○神田委員  何かよくわかりませんけれども、BSEの定義というのは……。 ○吉倉分科会長  はい、品川先生。 ○品川(森)委員  これは私の私見ということにしておいてください。と言いますのは、例えばBSEと いうのは、これは病気の名前ですよね。ですから、病気があって初めてBSEなんです が、実際ここで議論、こういうことが出てくるというのは、例えば日本では、BSEと いうふうに少なくとも臨床症状から診断されたものは一例もないわけなんですね。特に その典型的なものが8例目、9例目のようにウエスタン・ブロット法によって確認、も ちろん、その前にエライサ法で検出されて、ウエスタン・ブロット法だけで確認された 免疫染色も出てこないというような例まであるわけです。ですから、そういうようなも のはBSEと呼んでいいのかどうかという話が外国ではあっても不思議はないだろうと 思うわけです。ただ、日本では、BSEの検査をする場合に、エライサ法で陽性が出た ものを確認検査、これはウエスタン・ブロット法、あるいは免疫染色の両方、あるいは いずれかが陽性のものは、これはBSEとするというふうに決めておりますので、日本 の国では、それは問題ないだろうというふうに思います。よろしいでしょうか。  それからもう一つ、これは私が言わない方がいいのかどうかわからないのですが、今 のSRMの問題ですけれど、SRMという、日本は特定危険部位(SRM)、このあた りの言葉の定義が、役所の方の定義と入り組んでいて非常に複雑な部分があるやに私は 理解しております。ですから、その部分についてちょっと説明していただけますか。と いうのは、と畜場法の問題と食品衛生法問題が絡んでくるということがあると思います ので。 ○中垣課長  BSE部会の部会長から御指示でございますから御説明申し上げます。  日本で法的に使われている言葉というのは、特定部位という言葉でございます。SR Mというのは、一般的に特定危険部位と日本では訳されておるかと思いますけれども、 残念なことに、法的に日本で使われている言葉というのは、特定部位という言葉でござ います。特定部位というのは、BSEの特別措置法及びと畜場法の中で使われておりま して、頭部でございますとか、脊髄でございますとか、そういうものが指定されておる わけでございます。  一方、部会長がおっしゃっておりますのは、脊柱の問題でございます。脊柱の問題に ついては、昨年12月でございますか、この分科会でも御議論いただきましたけれども、 我が国の特定部位の法的な定義というのが、と畜場で除去する部位という定義になって おりまして、脊柱は、昨年の12月にも御説明申し上げましたけれども、と畜場ではとれ ないという問題がございますので、特定部位の中に入れることはできないというような ことから、脊柱を特定部位の中には入れておりません。一方、例えばOIE、例えば欧 米で言われておりますSRMというのは、我が国で申し上げますと、特定部位プラス脊 柱を言っておるということでございます。  以上でございます。 ○吉倉分科会長  ついでに特定部位が何かも言ってもらった方がいい? いいですか。 ○神田委員  いいです。 ○吉倉分科会長  それ、必要なければ結構です。ほかに何かありますかね。  それでは、この報告はこれでよろしいですか。結局、委員会をつくって今から会合を 定期的に持ちますよという、それだけのことですね、簡単に言えば。神田委員どうぞ。 ○神田委員  1個だけ。双方が適当であると合意する場合にはOIE等の知見を参考とすると、こ うなっているんですけれども、合意をするんでしょうか。 ○南課長  委員長の方からありましたように、まだなんにも決まっておりません。 ○吉倉分科会長  これは非常に意味深長な文章ですね。  それでは最後の報告にいきたいと思いますが、コンフリーの件、お願いします。 ○中垣課長  報告資料の6に基づいて御説明申し上げます。  この報告資料6は、3月24日付けで公表いたしました文書でございます。内容的に申 し上げますと、シンフィツムというのは、いわゆる学名でございまして、一般にはコン フリーと呼ばれておりますが、コンフリー及びこれを含む食品について、食品安全委員 会に食品健康影響評価をお願いしたところでございます。  どういう状況にあるか、また、なぜこの時期にこれをやったかということでございま すけれども、この1ページの一番下の※印、「諸外国の状況」というところを御覧いた だきたいと存じます。直接のきっかけは平成15年12月、カナダの保健省というところで ございますが、カナダの保健省が消費者に対し、コンフリーあるいはこれを含む食品に ついて、肝臓障害を引き起こすおそれがあるエチミジンという物質を含む可能性がある ことから、これらの食品を使用しないように勧告をしたところでございまして、我々と いたしましては、この情報をもとに調べておったところでございまして、上にさかのぼ って恐縮でございますが、平成13年7月に、アメリカFDAが関係業界に対して同様の 理由からコンフリー等を含む栄養補助食品の自主回収等を勧告いたしております。アメ リカにおいても、あくまで自主回収という形で法的な強制的なものというのはとってい ないようでございます。また13年の1月に、オーストラリア、ニュージーランドの食品 委員会というのは、コンフリー等に含まれますピロリジジンアルカロイド、この中に、 これはアルカロイドでございますからいろんな種類の物質が入っておるわけでございま すが、これの耐容摂取量を設定いたしております。その後の調査によると、こういった 耐容摂取量を設定はしたけれども、コンフリー等を含む食品というのは、やはりオース トラリア、ニュージーランドにおいても、食品への使用をしないようにというような勧 告が出ておるようでございます。このような諸外国の状況が1つ。  それと、我が国においてどのような状況にあるかということでございますけれども、 13年7月のアメリカFDA、この勧告を私どもの方から業界団体に流しまして、その業 界団体自体は、今コンフリーを含む食品というのを供給しておりません。しかしなが ら、インターネットを検索してみますと、数社がこのコンフリーを含む食品を売ってお るようでございます。  また、コンフリーというのは、十数年前にブームと申しますか、いわゆる家庭菜園等 で栽培をして天ぷらにするとか、ゆでて食べるとかというようなことがあったように聞 いておりまして、そういう意味で申し上げますと、食品として出回っている、あるいは 食べられておるというような可能性というのも、少ないながらあるのだろうというふう に考えまして、その後、いわゆる毒性学的ないろんな試験の資料等を文献で収集するな どして、一番最初の「○」に戻りますけれども、3月24日、食品安全委員会にリスク評 価をお願いしたところでございます。  このリスク評価の結果でございますけれども、本日、専門調査会が食品安全委員会の 中で開かれておるところでございます。食品安全委員会の専門調査会においては、次回 もう一度議論をするというような結果だったと聞いておりますけれども、いずれにいた しましても、食品安全委員会リスク評価の結果を受けて、食品衛生上必要な措置をとり たいというふうに考えております。  具体的に申し上げますと、健康への悪影響の蓋然性が高いということでございますれ ば、法的には有害、有毒物質を含む食品という形になりまして、昔の4条、今の6条で 直ちに流通禁止という形になろうかと思います。また、健康への悪影響の疑いが払拭で きないということになりますと、昨年の法改正で特殊な方法により摂取する食品に限っ て導入をしたような4条の2、昨年アマメシバで議論していただきましたけれども、あ あいった方策をとるということもあろうかと思います。また、一部の部位だけが危険だ ということになりますれば、昔の7条、今の11条に基づいて規格基準をつくるというよ うなこともあるのだろうと考えておりますけれども、いずれにいたしましても、リスク 評価の結果を待って措置をとりたいと考えております。  また、先ほど鳥の関係で丸井委員の方から御指摘のあった食品衛生法にひっかからな いところをどうするんだと。例えば、この場合だと家庭菜園をどうするんだという問題 があるわけでございます。この家庭菜園の問題につきましても、リスク評価の結果に応 じて、例えば、食べるのはやめてくださいとかというようなことをメッセージとして流 さなければいけないのだろうというふうに考えておりますが、その際問題となるのは、 神田委員から御指摘のあった、どこまで徹底できるのかという問題で、これはなかなか 難問でありまして、ぜひぜひ消費者団体等の御協力も得ないといけないでしょうし、い ずれにいたしましても、リスク評価の結果を待って措置をとりたいというふうに考えて おりますので、とりあえず食品安全委員会でリスク評価をお願いしたことを報告させて いただきたいと思います。ありがとうございました。 ○吉倉分科会長  何か御質問ありますか。 ○小沢委員  コンフリーに限らず、植物性のアルカロイドが問題になりながら、長く食べられてい るようなものというのはいろいろありそうな気がするんですが、詳しくはわかりません が……。それで、今回はこういうアメリカのFDAでこういうことが出たということが 恐らくきっかけになっているんだと思うんですが、アマメシバのときはそういう被害が 出たと。それから、今度はFDAからのそういう情報が得られたというようなことがあ ると思うんですが、何かしらある程度、ほかにそういうふうな要素があるものがあるの かどうか。今後似たようなものについて、どういう検討していくのかというふうなこと は、一体何かお考えなのでしょうか。 ○中垣課長  小沢委員の御指摘はごもっともだと思います。当然のことながら、10万、数十万、数 百万ある食材の中で、いろんなものがあるのだろうと私も思います。また、研究機関の 中でもデータベースを整備するとか、いろんな報告を出していただいているところでご ざいます。もちろんマンパワー的にも、経済的にも用いられる資源には限りがあるわけ でございますから、私どもとして今考えておりますのは、第一には、諸外国の情報をま ずつかむ。特に新しい動き、これをしっかりつかんでいくということが一番だろうと思 っております。具体的には、国立医薬品食品衛生研究所の中に専門的な部署をつくっ て、アメリカでFDAでございますとか、EUでございますとか、あるいは幾つかの文 献を指定をして、ネイチャーでございますとか、ニューイングランド・ジャナールでご ざいますとか、そういうものを指定して情報を上げていただいておりますし、また、そ のホームページに公開していただいておるところでございます。これがまず最低限のこ とだろうと思います。これに加えて、厚生労働科学研究でございますとか、私どもの予 算でございますとか、少しずつやっていっておるわけでございますけれども、正直申し 上げて、少しでもそれにプラスαで付け加えることができればというふうに考えている ところでございます。 ○吉倉分科会長  ジャガイモの青いところのソラニンとか、トマチンとかアルカロイドはいろいろあり ますね。大体食べていいかみんな知っているわけですね。別にそれまで、ジャガイモの 皮をむくまで規制しなきゃいかんかというと、そういうところと微妙に重なり合ってい るけれども、コンフリーとか、アマメシバなんか日本で余り食べられていないから、健 康にいいとどんどん食べてしまう。そういうことで、全部横並びの対応というのは多分 できないのだろうと思います。ただ、こういうのは、つい食べ過ぎてしまう人がいるの かもしれないし、ただ、これは1mgというのは、パーキログラムボディウエイトという のは、どのくらいのコンフリーを食べた量になるんですか。1mgアルカロイドというの は、コンフリーにしてどのぐらいなんですか。 ○中垣課長  これは1μg でございまして、そういう意味で申し上げますと、体重50キロで50μg という形になるわけでございます。量的に今直ちに何百グラムというような数字は持ち 合わせておりませんが、文献的に申し上げますと、たしかニュージーランドでコンフリ ーをゆでた状態で1週間ぐらい食べた方がお亡くなりになられております。そういうこ とを考えると、普通食べるのがどんなに食べても数百グラムオーダーだというふうに考 えますから、そういう例もある、あるいはアメリカにおきましては、健康食品の状態で 食べた方々で、数例の方々が肝障害を引き起こしておられるというような報告もあるわ けでございますが、幸いにして我が国では、先ほど申し上げました業界団体自体が、あ るいはそこの加盟会社がやめておるということもあるのだろうと思いますけれども、今 までのところ、そういった肝障害の報告事例というのは、文献的にも保健所を通じた調 査の中でもございません。 ○吉倉分科会長  そういう状況を一応理解した上で考えた方がいいのだろうと思います。これは安全委 員会に送ったわけですよね。諮問したわけですね。 ○中垣課長  はい。 ○吉倉分科会長  これでよろしいですか。大体時間になりましたが、事務局の方から何かほかにありま すか。 ○事務局  特にございません。 ○吉倉分科会長  それでは、今日も長い間大変ありがとうございました。 ○事務局  長時間にわたりまして御審議ありがとうございました。これで分科会を閉会いたしま す。どうもありがとうございました。                                     (了) 照会先 医薬食品局食品安全部企画情報課 03−5253−1111(2449)