04/04/23 労働におけるCSRのあり方に関する研究会第3回議事録         第3回 労働におけるCSRのあり方に関する研究会                        日時 平成16年4月23日(金)                           10:00〜12:00                        場所 厚生労働省第24会議室 議題  労・使・CSR活動団体からのヒアリング 出席者  委員    足達 英一郎 日本総合研究所創発戦略センター           上席主任研究員    安生 徹   経済同友会常務理事    小畑 史子  京都大学地球環境学堂助教授    佐藤 博樹  東京大学社会科学研究所教授    谷本 寛治  一橋大学大学院商学研究科教授  ヒアリング    須賀 恭孝  日本労働組合総連合会総合労働局長    澁谷 明   シャープ(株)労働組合副中央執行委員長    上山 静一  イオン(株)環境社会貢献部部長    岡崎 晴美  女性と仕事研究所東京事務所所長    小林 良暢  グローバル産業雇用総合研究所所長 厚生労働省    青木政策統括官    及川労働基準局監督課長    中沖労働基準局安全衛生部計画課長    勝田職業安定局雇用政策課長    妹尾職業能力開発局総務課長    石井雇用均等・児童家庭局均等政策課長    堀江労働政策担当参事官室政策企画官    千葉労働政策担当参事官室室長補佐    川野環境省総合環境政策局環境経済課長補佐    植松経済産業省標準課工業標準課専門職 ○谷本座長  ただいまから、第3回労働におけるCSRのあり方に関する研究会を開催いたしま す。これまで1回、2回と研究会を重ねてまいりましたが、今回はヒアリングを開催し たいと思っております。労働者に関連する団体、使用者に関連する団体及び、広くCS Rに関する団体がありますが、特に今回は労働に関わる活動団体からヒアリングを実施 させていただきます。事前に配付してあるヒアリング事項について資料の順番でお話を 伺いたいと思っておりますが、最初に事務方から少しご紹介をいただきます。 ○千葉労働政策担当参事官室室長補佐  各団体の皆様方の紹介をさせていただきます。日本労働組合総連合会総合労働局長の 須賀様です。本日は、労働組合を代表するお立場からお話を賜ることとしております。 ○須賀氏  須賀でございます。よろしくお願いします。 ○千葉労働政策担当参事官室室長補佐  シャープ(株)労働組合副中央執行委員長の澁谷様です。シャープ労組におかれまし ては、企業のCSR活動に対する労働組合の積極的な関与を提案しておられます。 ○澁谷氏  シャープ労組の澁谷です。よろしくお願いします。 ○千葉労働政策担当参事官室室長補佐  イオン(株)環境社会貢献部部長の上山様です。イオン(株)は「AEONサプライ ヤーCoC(Code of Conduct)」の策定をはじめとして、CSRに先進的に取り組ん でおられる企業として注目されています。 ○上山氏  上山です。よろしくお願いします。 ○千葉労働政策担当参事官室室長補佐  女性と仕事研究所東京事務所所長の岡崎様です。女性と仕事研究所におかれまして は、女性と仕事に関わるあらゆる問題の調査・研究・提言に力を注いでおられます。 ○岡崎氏  岡崎です。よろしくお願いいたします。 ○千葉労働政策担当参事官室室長補佐  グローバル産業雇用総合研究所所長の小林様です。小林所長におかれましては、各種 公開データなども用いながら、CSRの観点を含めて「働きやすい企業」の評価を行っ ておられます。 ○小林氏  小林です。よろしくお願いします。 ○谷本座長  この委員会の日程上の問題もあり、本日は非常にタイトなスケジュールの中で5団体 にお願いしております。経営者団体のほうもいま想定しておりますが、本日は、今日来 ていただいている5団体のほうからお願いしたいと思います。非常に恐縮ですが、最初 の説明は10〜15分を目処としていただきたいと思います。その後時間がありましたら、 私どものほうから若干質問を投げかけたいと思います。最初に、日本労働組合総連合会 の須賀様よりご説明をお願いしたいと思います。 ○須賀氏  お手元に、ヒアリングに際しての私どもとしてのメモ書きというよりも完全に原稿の ような形になっておりますが、そういうものと併せて「金属労協政策レポート」を差し 上げてありますので、この2つを使ってご説明を申し上げたいと思います。あらかじめ お断りを申し上げておきたいのですが、残念ながら、私ども連合という立場ですべての CSRに関する労働組合の意向を1つにまとめてあるということではありません。した がって、今日の私どもの報告は連合本部として考えていること、とりわけ連合の中の金 属部門ということで金属産業を中心として部門を設けておりますが、その中で主要な活 動を進めておられる全日本金属産業労働組合協議会(IMF−JC)がきちんとした考 え方をまとめておられますので、連合の1つの部門ということでこちらの内容も紹介し ながら説明に代えさせていただきたいと思います。  CSRの状況認識について、3つの点でまとめさせていただいております。近年、企 業の不祥事ということがかなり大きく取り上げられております。一方、全体としてのグ ローバリゼーションの進行やIT化等により、企業に対する要請というものが社会的に 変化してきているのではないかと考えており、その下で企業が果たしていく社会的な責 任の範囲も拡大しているという認識に立っております。  特に従来からあるような、製品やサービスを通じた社会への価値観の提供だけにとど まらず、納税、メセナ・フィランソロピー活動を通じて社会に貢献するというものがこ れまでは中心であったと考えますが、先ほど申し上げた状況の中でとりわけ重要になっ ているのが、法をいかに守っていくのかということ、説明責任を含めた情報開示の問 題、顧客、環境保全、その企業を支える人材への支援、こうしたことを通じて、グロー バルな市場に対応した企業というものを考えていかなければならない。あるいは、そう したことを積極的に進める社会活動として企業の活動を位置づけなければならないとい う認識がされております。そうした行動が結果においてCSRの取組みをさらに進化さ せていくという認識に立っております。  特にヨーロッパでこうした考え方は広く浸透しており、そうした状況が世界的にも広 まっている状況にあるのだろうと考えております。特にグローバル・スタンダードとい う視点でいきますと、そのことが当然の状況になってきているというのがいまの状況で あると認識しております。したがって、企業の果たすそうした「社会的責任」は、これ からますます拡大していくものという認識に立っております。  そういう中で、欧米における違いについて次に触れております。ご承知のように、C SRはヨーロッパを中心に発展してきた考え方であり、そうしたものの根底には人的・ 内的な資源を有効に活用して、企業のマネジメント能力を高めていく、そのような考え 方にあると言われております。例としてそこに書きましたが、パートやアルバイトに対 する処遇を従業員の教育・スキルアップの支援、賃金格差を含めた正社員との格差是 正、このようなことの視点の中でその取組みがCSRを中心に行われてきたと考えてい ます。  他方アメリカの状況は、コミュニティーへの貢献という外的な要因、つまり企業活動 に直接関係のないようなことを中心に発展してきているという認識に立っております。 したがって、これからの検討に際してはアメリカ的な、外的な投資を中心とした指標作 りへの関係も含めて、もう一方でヨーロッパ的な、企業内部の課題にも焦点をあてる、 そういう両方の視点が必要ではないかと考えております。  そういう全般的な認識に立って雇用・労働の分野に関する指摘に入りますが、冒頭に お断りしたように、連合としての見解は、残念ながら、いまのところまとまっておりま せん。したがって、IMF−JCの内容に基づいて説明させていただきます。おおむ ね、ここに記載されている内容は、連合全体で議論しても、こうした方向でまとめ得る と考えておりますので、そうしたことを前提に置きながら、若干の説明を申し上げたい と思います。  特にこの中で取り上げておりますのは、2頁の枠の中の「雇用差別の禁止」から「官 僚出身者の受け入れに関する留意」まで、いくつか○を付して記載してありますが、こ のようなことが重要であろうと考えております。時間の関係がありますから読み上げは 省略させていただきますが、是非こうした職場の中におけるいろいろな差別の問題、さ らには公正な労働基準という意味での、国際基準を含めた基準の達成、男女共同参画の 話、高齢化や少子化をひかえた中での国全体としての課題、さらには従業員の代表制の 問題、地域活動を含めたボランティアへの対応、そして、従業員個々人の職業訓練等も 含めて幅広い内容での指摘をさせていただいております。そういうことについて、きち んとした対応が必要であるという認識を持っております。また、既にご承知のように、 OECDの「多国籍企業ガイドライン」や、先般国連で発表された「グローバル・コン パクト」を参考にしながら対応を検討する必要があるという視点を冒頭で申し上げてお きたいと思います。  その中で設問にいくつか答えさせていただきたいと思います。労働組合におけるCS Rの推進に関して、どういう活動を行っているのか。先ほど紹介しましたように、連合 としてはそうした活動を直接的には行っておりませんけれども、安全に関するルールが 大幅に減退してきているという認識に立っております。鳥インフルエンザの問題やリコ ールの問題、あるいは大規模な災害、事故等の多発、こうした状況を見ても特に食の安 全、医療・福祉分野でいま非常に大きな社会問題を抱えています。特に企業不祥事とい うことが大きく取り上げられておりますし、その課題が指摘されるごとに私ども労働組 合としても、企業に対してチェッカーとしての役割を果たせているのかどうかをいま厳 しく問われていると考えております。また、労働安全衛生面においても既に私どもなり の、そこに記載してあるような中期計画も持っており、ISOの認証も含めた取組みを 強めていこうということにしておりますが、CSRについては全体としての考え方を持 っていないということで、申し訳ないのですが、そういうことに代えさせていただきた いと思います。  IMF−JCの内容は後ほどご覧いただくことにします。特に現場段階における取組 みが、非常に重要であろうと考えており、そうした意味では労使協議を通じた取組みが 今後CSRを考えていく上で非常に重要な位置づけを持ってくるのではないかという認 識に立っております。そうした例もたくさんございますが、状況については私どもなり の把握がございませんので、ここに記載してあるような内容でご了解いただきたいと思 います。  いずれにしても、CSRを進めていく上で非常に重要になってくるのが、そこに働い ている従業員、あるいは勤労者に対して労働条件なり職場環境をいかに健全に保つかと いうことで、それが問われていると考えております。そうした取組みを通じてCSRの 確立を図っていけるものと考えており、その中では労使協議が非常に重要な位置づけに あると考えております。  「労働」の特殊性ということで指摘をということですが、これについては特に、従業 員の健康や安全確保の問題、雇用等を通じた、特に従業員の生活に関わる問題が非常に 重要であろうと考えており、そうしたことをきちんと取り扱うべきだと考えておりま す。「多額の寄付」と書いてありますが、いくら地域に貢献していると言っても、私ど もとして許しがたい行為として、サービス残業等の労働基準法違反や、偽装請負といっ た企業の行動を評価すべきではないと考えております。  特にCSRの内容として重要なことは、コンプライアンス、安全、生命、生活に関わ るものであり、そうしたものを評価の対象とする際には、重みを付けることもこれから は必要ではないかと考えております。OECDの「多国籍企業ガイドライン」も、国連 の「グローバル・コンパクト」もそうした視点を重視するものです。特に国際労働基準 の確立は強く指摘されておりますので、こうした分野について指摘しておきたいと思い ます。  3つ目の質問は、特にどのような分野で重要になってくるのかということですが、こ れからは、人材をいかに確保するのか、そして職場をいかに活性化するのかが日本企業 の重要な課題になると考えております。そうした意味で、職業能力開発に対する支援は 非常に重要ですし、仕事と家庭の両立を可能にする仕組みの実現、安全衛生や健康管理 に配慮した職場環境づくり、そして雇用・就労形態の多様化にも対応し得ることが企業 の中で求められる課題だと考えており、そうした視点でいくつかの内容で指摘させてい ただきます。特に職業能力の開発では、それをきちんと支えていく社内制度の充実が必 要であろうと思われ、そうした面での指摘をそこに書かせていただきました。  仕事と家庭の両立という意味では、男女を問わず、優秀な人材が少子化の中での育 児、高齢化に伴う老親の介護等、家庭生活でのさまざまな制約要因によって退社を余儀 なくされるため、こうしたことを防止する視点で、法定を上回るような育児・介護休業 の制度化、フレックスタイム制、看護休暇、事業所内の託児所の充実を図ること等が必 要であろうと思います。また、ファミリーフレンドリーな企業施策の展開がこれから重 要になってくると考えております。  健康の問題では、メンタルヘルス等を中心として心と体の健康をきちんと担保できる ような状況が必要であろうと思いますし、そのための専門的な窓口も設けるような体制 づくりが重要であると考えております。  就労形態なり雇用形態の多様化に関しては、特にパートや派遣労働者、あるいは委託 ・請負労働者に対して、労働条件において正社員との差別的な取扱いを行わないという ことも重要であろうと考えております。  4つ目の質問、政府に期待される役割という意味では、きちんとした形での私どもな りの整理はありませんけれども、いろいろな意味での評価基準を設けることや、ISO の認証を促進するという状況も考え得るわけですが、それは企業あるいは業界団体の自 主的な判断のもとに進めるべき課題であろうと認識しております。その下でCSRに関 しては、特に社内体制の強化ということが非常に重要でありますし、そのために一定の 組織を設けること、そうした組織に対して労働組合が参加できることが重要であろうと 思います。現場の声が反映できるということがいちばん重要ではないかと考えておりま す。  次に労働組合の役割についてお答えします。労働組合の参加には、労働組合自らが行 う活動、社内の体制づくりへ参画していく活動、その上でそれらの実効性を高める活動 という3つの活動があると思います。第1ステップとしては、自らの現場の情報をきち んと自らが把握していくこと、そしてその課題について、必要があれば労使協議会等に おいて問題提起をしていくこと、それが第1ステップです。  2つ目のステップとして、社内横断的な委員会に積極的に参加をすべきだと考えてお ります。特に海外事業においては、「企業行動規範」についてきちんと労使が話し合 う、あるいは、そのことについて可能な限り、労使がこうした行動をとろうということ を協定化していくようなことも必要ではないかと考えております。  自らの実践に当たっては、社員教育やモニタリング等も必要でしょうし、内部通報に 関する課題整理という問題も、そういった意味では重要になってくると考えておりま す。しかし、実際の労働の現場、あるいは企業の現場の状況を見てみますと、CSRの 取組みは経営側の専権事項であるということで、労働組合のいろいろな場所への参加を 求めないケースが多く見られます。確かにそういう見方もあるわけですが、やはり企業 経営は経営者だけでは成り立たないものであると私どもとしては考えております。多く の従業員がそうした意識の高い状況の中で企業経営に協力していく姿勢があってこそ、 はじめて企業は成立するという認識に立っておりますので、CSRの委員会や組織をつ くっていく際には、必ず労働組合の代表が加われる、そういうことについて是非考慮し ていくべきだと考えております。  少し長くなりましたが、私どもなりに考えがまとまっていない中で、金属労協の提言 を基に説明させていただきました。いずれにしても非常に重要なことは、CSRの環境 をいかにつくっていくのか。そのためにヨーロッパやアメリカを含めた各国の情報をオ ープンにしていくことです。特に厚生労働省にお願いしておきたいのは、経済産業省に おいてもこうした検討を進めておられますので、省庁間の連携もこれからは必要であろ うと考えていることを最後に申し上げて、連合としての意見表明に代えさせていただき たいと思います。 ○谷本座長  いま連合としての見解があるわけではないのだ、検討中だと書いてありますし、発言 されましたが、何か具体的な、こういった問題に関する連合としての動きがあるのです か。あるいは、これから検討しようとしてスケジュールにのぼっているとか、どういう 状況ですか。 ○須賀氏  委員会形式にするのか、ここのように研究会の形にするのかは別にして、連合として こうした取組みをきちんと行うということは既に方針化してあります。あとは具体的な 考え方を集約していく、そういう段階にあると考えております。 ○谷本座長  方針というのはいつ、どんな形で出てくるのでしょうか。 ○須賀氏  「企業の社会的責任」を確立させる取組みを進めるという意味で、連合全体での運動 の方針にしております。昨年の10月の大会でこの方向性を確認しておりますので、その 内容を具体的に政策提言する、あるいは個別の構成組織、つまり、いろいろな産業に構 成組織がありますが、その中にそれぞれの単組や支部が構成されているわけで、そこに 向けて、こういう取組みをしようということを提起し、政策提言をして、こういう取組 みを具体的にやろうということを提起することがまだ出来ていないという意味です。全 体としての方向性としては「企業の社会的責任」を確立していくための取組みを進める ことを確認しておりますが、その具体的な内容がまだ取りまとまっていないということ です。 ○谷本座長  昨年10月に決まって半年経ったけれども、まだ具体的な動きが出ているわけではない ということですか。 ○須賀氏  はい、取り組む課題がたくさんありまして。 ○佐藤委員  いまのご意見だと、政府としては特に何もやる必要はないと理解していいのか。ま た、労働分野に限定すると、CSRを取り除いても、それは本来組合として取り組むべ き課題です。CSRという視点からすると、企業が労働分野も含めて「社会的責任」を 自覚するように組合として取り組むことが従来の労働組合の取組みと違うのか。労働分 野だけであれば、CSRの議論は抜きにして、労働組合として本来やるべきことです が、その辺はどういうふうに整理されているのですか。 ○須賀氏  佐藤委員がおっしゃるような認識でいいと思います。ただ、いま特に私どもとして留 意しなければならない点として、ガバナンスそのものに労働組合のチェック機能が低下 してきているのではないかという認識を持っております。そういう意味で、ガバナンス を確立していく上でのチェッカーとしての役割を強めていこう。そのために自らも行動 していこうと。そういう意味からしますと、具体的に社内にCSRの組織が設けられた ならば、そこに積極的に参加して、チェッカーだけではなくて、自ら行動し、提言をす るという活動も必要であろうという認識を持っております。先ほど紹介した金属労協の レポートにある内容も、そうした提言をさせていただいておりますし、私ども連合も、 そうした考え方でこれからの取組みをしたいと思っております。 ○谷本座長  須賀様に対するヒアリングはこれで終わりたいと思います。ありがとうございまし た。引き続いてシャープ(株)労働組合の澁谷様、お願いします。 ○澁谷氏  連合の須賀局長から、CSRを推進していく際の労組の役割は斯くあるべきだという お話をいただいた後だけに、大変やりにくくなってしまったのですが、あらかじめ事務 局からいただいた、CSRへの労働組合の参画についてどのような関心を持ち、現在ど のような活動を行っているのかについて、資料3に沿って説明したいと思います。  シャープ労組では、CSRの取組みが働く者にとっての労働環境や労働条件を確保す る上で極めて有効であり、また、これらの取組みが働きがいの向上につながっていくの ではないかという期待を持ちながら昨年来、労組の重要な活動として位置づけてまいり ました。そこで、具体的な活動として特に力を入れているものをいくつかご紹介しま す。  まず、組合員の目線で会社、職場の課題を取り除く、こういうことを目的にした「経 営総点検の活動」を実施しております。「法令遵守」や「安全衛生」をテーマに、2万 5千人の全組合員を対象にアンケートをしたり、職場常会を通して職場の課題を掌握 し、そして改善策を会社に提言し、問題解決を図っていくという活動です。放っておく と大事に至る問題を、早い段階で取り除いていく、解決していく活動として、年に2回 実施しているところです。  次に「苦情処理の活動」ですが、特に労働に関するテーマについては、シャープの社 員はもとより、社内で働く派遣・請負の方々にもその活動を広げていこうと考えており ます。社外の方とはいえ、シャープの社内でひとたび事故や問題が起きれば、当然社会 やユーザーはシャープの問題として捉えるでしょう。何よりも、シャープの生産現場で は多くの派遣・請負の方々が事業を支えてくれているだけに、円滑な事業運営にも支障 を起こしかねない。  そこで、まず派遣・請負の取引先に対してシャープのCSRの取組みについての考え 方なり要請を行っております。また、問題解決の新たな取組みとして、シャープの社内 で働いていただいている派遣・請負の方々の苦情も、シャープの社員同様にシャープ労 使が受け付けることを今始めようとしております。具体的には、既にシャープ社員向け の苦情処理の窓口があるわけですが、これを広く派遣・請負の方々にも利用していただ けるよう、これから告知して、事実確認なり処理方法を相談者と確認の上、該当会社へ の改善の働きかけをシャープが行っていくことを考えております。シャープ社員を対象 にしたこうした問題解決のノウハウは既にいくつか積んできているわけですが、社外の 方だけに、また相談者の保護等の面でいくつかの課題が出てくるのではないかと考えて おります。  3つ目の活動紹介ですが、CSRの定着を図ることを目的に、今年度から「小集団活 動」にも取り組んでおります。際立った特徴としては、国内外のシャープのグループ全 体で取り組むということ。そしてCSR、特に法令遵守や環境のような共通認識を持ち やすいテーマを絞って、労組がバックアップしながら取り組む、こういうことが特徴で はないかと考えております。  管理職も含めた全員参加の小集団活動という進め方によって、各職場で主体的に課題 を設定し、そして解決に取り組むということになるわけで、こうした積み重ねが結果と して個人や組織にCSRを定着させていくことにつながるのではないかと考えておりま す。労働組合も、周知や推進の確認、節目節目の大会の運営等を日常活動として取り入 れようとしております。  労働組合では、これまでもさまざまな活動を通して働きがいの向上ということを目指 してきたのですが、こうしたCSRの推進がシャープの評価を高め、そこで働く人たち や、何らかの形で参画している従業員・労働者の働きがいの向上につながってくるので はないかということで、今後ともCSR推進へ、労働組合としても役割を果たしていき たいと考えております。これ以外にも3点事務方から質問事項をいただいております が、これについては資料を用意しておりませんので、口頭で説明させていただきます。  CSRの構成要素に「環境」や「社会」があるわけですが、その中で労働の特殊性と して挙げられるものは何ですかと。私どもとして明快な考え方を持っているわけではな いのですが、ただ、実際に活動する中で、環境とか社会貢献への取組みというのは「新 たなもの」「前向きなもの」として、その広がり、積み上げ、共有が非常にしやすいと 考えております。ただ、労働については「できていないこと」というのが問題となっ て、どちらかというと、法令遵守の徹底や違反の指導等、広がりの難しいテーマではな いかと考えております。  また、シャープの社内とはいえ、指揮命令の及ばない請負の方への取組みの壁、ある いは海外のシャープの拠点に同様の取組みをしようと考えているわけですが、現地の法 律や習慣、労使関係等の壁があって、環境や社会貢献等、どちらかというと皆が共有で きるものとの違いを常々感じております。労働に関するものはベーシックなものとし て、より共通認識がとれるような働きかけと継続的な取組みが必要になってくるのでは ないかと考えております。  2つ目の質問は、経済・社会構造の変革に伴って、労働の中で特にどのような分野が 重要になってくるのかです。シャープでは、経営戦略として液晶やソーラー、携帯電話 等重点部門への事業の選択と集中を進めております。これに伴って雇用の確保、人材の 適正な配置という視点で、不振部門から重点部門、戦略部門へ多くの労働者の異動をお 願いしております。また、こうした方々には大変申し訳ないのだけれども、高い目標と いうものが常に付きまとってくるわけです。重点部門、特に液晶部門においては、韓国 や台湾のメーカーと競争していることから追々長時間労働になるという肉体的な負荷と ともに、競争にさらされている精神的な負担や高い目標、慣れない仕事に対するストレ ス、そういうものが積み重なっているのではないかと見ております。  シャープ労組が昨年行った意欲調査においても、特に戦略部門、重点部門で働く労働 者は職場の十分なサポートが受けられていない、スキル不足で悩んでいる。こういうこ とを中心に、精神疾患による休職者が他の事業場に比べて多いということが見て取れま す。そういう意味で、今後とも「事業の選択と集中」を進めていくだけに、スキルアッ プ研修やOJTの強化、それだけでなく、同僚や上司の方々の精神的なサポートやカウ ンセリング体制のようなメンタルヘルスの取組みが重要になってくるのではないかと考 えております。  最後の質問は、労働におけるCSRの推進に関して政府に期待される役割は何かで す。これまた明快な考え方を持っているわけではないのですが、ワーク&バランスを実 現するためのキャリア開発体制の整備や充実が重要だというのは既に十分認識されてい ることです。キャリア開発の概念がもう少しお互いに共有できるような啓発を続けてい ただければと思いますし、経済団体への働きかけにも、これまで以上に取り組んでいた だければと考えております。ちょっと端折った報告になりましたが、以上です。 ○谷本座長  小集団活動の中にまでCSRの定着を進めようというようなことを行っているようで すね。先ほど連合からの報告で、CSRの経営課題として議論していこうとするとき に、労働組合がなかなかその場に関われないような状況が多いという話がありました。 シャープ(株)の場合、CSRの方向性を決めるという場に労働組合が関わるという状 況はどうなのでしょうか。 ○澁谷氏  私どもの会社でここ数年来とっている重要な経営戦略で、シャープのブランドイメー ジを上げていこうというのがあるのです。これを実現するために、例えば事業面でいき ますと、液晶を中心に応用商品を開発する。また、少しコストをかけて広告宣伝をす る。お蔭さまで、社会から見るシャープのブランドイメージは、多少なりとも上がって きております。  ただ、従業員が同じように私どもの会社を評価しているのかというと、従業員が見る シャープのブランドイメージはそう上がっていないのです。インターナルブランドがな ぜ上がらないのかというものを突き詰めていくと、従業員がそこに働いていて、内発的 に誇りや働きがいを感じるとか、積極的な参画をしているとか、そういうものが抜け落 ちているのではないか。  例えばこのCSRという取組みは、会社と労働組合が対立しなくて共有できるテーマ になるわけで、当初より会社とこういうものを進めるときに、労働組合に声をかけても らって、基準づくりや進め方、役割分担等を決めていくという経過があります。 ○谷本座長  そういうフォーマルな場があるのですね。 ○澁谷氏  はい。 ○谷本座長  それは何と言うのでしょうか、普通の労使協議会の場で行うのですか。 ○澁谷氏  そうですね、その中で重要なテーマとして今取り組んでいるわけです。そして、こう いう考え方を基に、例えば環境についてはお互いの役割分担をどうしようかなどです。 経済闘争というと、どうしても会社と組合が相対する部分があるのですが、このテーマ については、1つの目標に向かって役割分担ができるのかなと考えております。 ○谷本座長  なるほど、そういう認識のもとに進めておられるわけですね。皆さん、どうでしょう か。 ○足達委員  実は、昨年8月にセミナーの講師でお世話になり、ありがとうございました。その後 11月でしたか、経営企画部の下に、会社の組織としてのCSRの担当室がシャープにお 出来になったかと思います。企業組織の側にそういう組織が出来ることによって、いま までよりも労働組合として話がしやすくなったとか、何かそういう変化のようなものは ございましたか。 ○澁谷氏  もちろん、会社の中でCSRというものを担当する部署があるのと、ないのとでは大 きく違うということはあります。いくつかのテーマがCSRの中にはありますが、分散 した情報がその一部門に集まってくる。そういう所と私どもが協議をし、次の方向なり 施策を考える上では大変やりやすくなったと思っております。 ○足達委員  補足になりますが、私がシャープ労働組合の皆さんと去年8月にディスカッションを させていただいたときに、これは品質のQCではなくて、企業のQC活動に直結すると 思う、ということを言っておられたことを大変印象深く覚えており、そういう方向で進 まれることを今後とも期待しております。 ○澁谷氏  ありがとうございます。それは経営品質の改善という意味で行っております。 ○谷本座長  いわゆるTQCともまた違って、コーポレートブランドまで引っくるめた、広い意味 での会社の価値そのものだという意味合いですか。 ○澁谷氏  そうです。 ○谷本座長  そういう認識で進めて行かれることが、1つCSRを定着される企業側の大きなポイ ントだと思います。そこに労働組合が入る。先ほどお伺いしたように、基本的には労使 協議の場で問題が一緒に提起され、議論している。なるほど、わかりました。どうもあ りがとうございました。澁谷様のご報告に対するヒアリングはこれで終わりたいと思い ます。続いて、イオン(株)の上山様から説明をお願いいたします。 ○上山氏  私どものトップが、企業のあり様について、2010年を目処に、世界の小売業のベスト 10に入るのだという明確なビジョンを出しました。それは売上げや利益、シェアという 経済的指標だけのランキングの話ではなくて、「社会から評価される企業」という意味 において、そのように評価される企業に変革するというビジョンを打ち出してきており ます。もともと、いろいろな活動をしていたのですが、そのビジョンに基づいて体系的 にアクションのベクトルを合わせるという方向性をより強く出しているということがご ざいます。これはまだ試行錯誤しておりますが。  かつて、谷本先生のお話もずっと拝聴しておりまして、その中で先生がおっしゃって いた3つの視点が、まさに私どもが考えていることと基本的に一緒であります。1つ は、経営プロセスの中に社会的公正性・倫理性・環境への配慮というものを組み込んで いくのだという点。2つ目に、社会的な商品・社会的なサービス、あるいは社会的な事 業を開発するという切り口をおっしゃっています。私どもとしては当然、商品そのもの の開発と建物、店そのものを「社会的な」という価値基準から見て、いかに多面的な価 値を持つものをつくるかということがあります。3つ目は特に、小売業ですので、地域 産業としての特性を持っておりますから、経営資源をどのように地域への支援活動につ なげていくか、その仕組みをつくるかどうかと、こういう切り口で私自身も政策提言を してまいりました。3つの具体的事例をパワーポイントの資料で報告して、話題提供し ていきたいと思うのです。  まず2頁にある「お客様副店長」制度という制度を導入いたしました。ちょうど3年 ほど前に、会社の名前をジャスコ(株)からイオン(株)に変えました。会社の名前を 変えるということは企業の勝手なことで、お客様にとってはどういう意味があるのかを 社内でかなり論議しました。結論の中の1つで、従業員とお客様から、どんなイオンに 変わるべきかという提言を毎年いただくようにしております。これを「イオン21キャン ペーン」というのですが、従業員も含めて、22万〜23万件の意見をいただきました。  その中の1つに、まず正真正銘の普通のお客様に副店長になっていただく。副店長と いうのは店のナンバー2のポジションの人間です。第1年度をやって、いろいろな意味 でこれが非常に高い評価があって、現在は、昨年10月に、1年間の契約で110名に広が ってきております。  私どもとしては、1日に190万人のお客様にご来店いただいているのですけれども、 重要なのは、190万という規模のお客様に教えていただくことと情報を発信すること、 この大変大きなポジショニングにあるという認識があります。もう1つの財産として、 10万人のうちの8万3,000名のパートタイムワーカーの方。この方々は大半が主婦であ り、その地域にずっとお住まいの方です。この方々が持っている、暗黙知を含めた知恵 をいかにマネージャーが言語知に変換するかですが、これは大変な財産だと認識してい ます。  何が重要かという優先順位を論議するときに、組織内の人間だけで論議すると、お客 様から見てどうという客観的な評価が出にくいのです。そこに本当の第三者、あるいは お客様からの声を入れる仕組みというのは大変重要だと思っています。そのこともあっ て副店長制度を入れて、かなりの改善が、一部改革につながるようなことも出てきてい ます。これがご報告できる点の1つです。基本的に、私たちはステークホルダーといか に連携してアウトプットを出していくかということを非常に重要視しています。  2つ目は6頁にあることです。これは京都大学の植田先生や高月先生と一緒に連携し て2年半続けているプロジェクトなのですが、京都大学という大学、京都市という行 政、環境市民という名前のNPO、私どものジャスコ東山二条店という非常に小さな 店、それから、そこに買い物に来ていただく一般のお客様、この5つのセクターが集ま って循環型の販売システムモデルをつくろうということで、いろいろなテーマを検討し ています。  「地産地消」という、環境では大変重要なキーワードがあるのです。これは言われて 久しいのですが、なかなか広がらないという特徴があります。その土地で取れたものを その土地で消費する、最も環境負荷が低いライフスタイルだと言われているのですが、 ロットになかなかならないことと、人手がかかりすぎるということで、経済的に成り立 たないわけです。ならばということで、京都市の北部で取れたほうれん草やじゃがいも 等々の野菜を具体的な事例として、経済的に成り立つシステムを一度つくってみよう と、こういうことで動いています。  非常に具体的な事例で申し上げて恐縮なのですが、ほうれん草を素材にしたのです が、これは非常に相場物で、値段が上がったり下がったりするのです。ちょうどほうれ ん草が1束138円の相場のときに、店の売り場には、まさに京都市の北部で取れた地産 地消のほうれん草、その横には他府県から来たほうれん草、さらにその横には中国から 来たほうれん草と3つあり、それぞれ「地産地消」の意味を情報として付加してお客様 にプレゼンテーションする。当然価格は高くなるわけですが、どれぐらいの高さまでで あればお客様がそちらを選ぶのかを実証実験したわけです。  そうしますと、10円高い148円売価のほうれん草であれば6割の方が「地産地消」を 選ぶことがわかりました。もちろん、お客様にはいろいろな層の方がおられますから、 いまそれを精査しているのですが、これは非常に重要な情報です。148円売価で6割の 方が買うということであれば、それが可能な原価構成をつくればいいのです。また京都 市、あるいは、環境市民という名前のNPO、公の立場の方々がいかに認証行為をより 強くするかという価値をつけて、お客様にその意味をもっと分かっていただくことをす れば、購買比率はもっと上がるかもしれないと、こういう形でずっと続けているので す。このように、現実にこれはやれそうだという、1つの経済的な持続可能性も含めた 小さな成功をつくって、これを他府県へ水平展開する、あるいはイオン全体のマーチャ ンダイズの中に入れていくというアクションが2つ目の事例です。  3つ目の事例はパワーポイントの10頁になります。事前に厚生労働省からいただいた 質問の中にもあるのですが、「AEONサプライヤーCoC」という取引行動規範をつ くり、推進している真っ只中ですが、ちょうど3年前に、私がこれを当時の常務会に提 案したわけです。  4年ほど前に、あるスポーツブランド・メーカーの商品の不買運動が全米で起こった ことがありました。それは、そのメーカーのサッカーボールをつくっている、あるアジ アの国の工場がスウェットショップ(児童労働)であったということです。10歳とか11 歳の子どもを使って、児童労働によってサッカーボールをつくるという、反社会的な企 業であるという指摘を受けて、全米で不買運動になったわけです。  イオンとして世界の小売業のトップ10に入るというビジョンを明確に打ち出すという ことは、いま申し上げたようなことに対しても、ビジネスの仕組みとしてそれを担保す るものを体内化して常に精度を上げていくことをしない限り、そういうことは言えない ということがあるかと思います。その商品がマーチャンダイザーのスペックどおりにつ くられているか、あるいは、これは当然なことですが、品質が安全かどうかということ とは別に、児童労働や強制労働をしていないか、その国の法律を守っている工場なのか 等、従来は考えられなかったような物差しで工場や企業を評価していくことが必要であ ろうという結論に達したわけです。  10頁にある内容が、私どもが設計した要求内容の項目です。(1)〜(9)、(12)は、国際 標準規格としていろいろなものがありますので、それをベースにつくったものです。 (10)、(11)、(13)は、イオンとしてオリジナルな物差しを入れました。私どもとして、 やはり、どこかに集中的に行ってまず成功を収めなければ駄目なものですから、私ども がいま戦略商品として位置づけている「TopValu」というプライベートブランド を育てたいと思います。これは昨年度1年間で1,600億円の売上げを上げているプライ ベートブランドですが、全体で1兆7,000億円に対する1,600億円ですから、まだ10%い っておりませんけれど。「安全」「環境への配慮」などは当然その物差しに入って、そ れぞれにある基準をクリアしないと、ブランドはつけられないわけですが、 TopValuをつくる製造過程そのものもマネジメントしていける体制をつくろうと いう動機から「AEONサプライヤーCoC」をつくりました。  私どもとして直接口座を開設している取引先は約400社ありますが、その会社が直接 私どもの「TopValu」を海外及び国内でつくっているわけではなくて、必ず委託 会社や孫請け、下請けに委託されていくわけです。だから、口座開設している400社の 方の後ろに、ものすごい数の企業や工場があるわけですが、特に最終的につくっている 企業及び工場をイオン自体がマネジメントする仕組みをつくる必要があるだろうという 動機です。それは私どもと口座開設をしていただいている取引先様と一緒になってPD CAを回し、そのプランの中に、10頁にあるような要件の企画を出してそれを遵守でき るようにしていこうということです。  こういう場合に非常に重要なのはモニタリングだと思います。そういう意味でイオン のスタッフ及びマーチャンダイザー自身がモニタリングするという2者監査、それから 第三者監査も仕組みとして設計してあります。  しかし、重要なのはその前の段階で、取引先と私どもとの間で達成基準の中にこの要 素を入れてしまうというマネジメントを最初に行ってモニタリングするということです から、取引先からすると、従来言われてなかった切り口のことをやらなければいけない ので大変なことです。しかし今のところ、口座開設している400社の方から「No」とい う答えが返ってきたことはありません。ただ、温度差はありますが、おそらく、それは 海外で同じような製造過程をマネジメントされているときに、欧米のチェーンストアな り小売業と取引をされていますと、程度の差はあれ、必ずそういうことは取引契約の条 項に入っています。そのことを体験されている所はその意味を非常に強く認識されて、 企業の仕組みを変える形で答えを出して来ます。中にはそうでない所もありますので、 これからはモニタリングの結果をフィードバックして、新たな計画に入れるときに、お そらく、いろいろな問題が顕在化してくるだろうと思っております。しかし、ビジョン を目指す以上、これは通らなければならない経営のプロセスだろうと思っています。で すから、谷本先生もおっしゃっているあの3つの切り口を具体的にアクションプランに 入れてしまうということを1つ1つ試行錯誤しながら今行っているというのがイオンと しての報告です。 ○谷本座長  いま最後のところでお話されていた、サプライヤーに対するCoCを直接口座開設し ている400社と既に実際に行っているということですが、それはいつから進めておられ るのですか。 ○上山氏  昨年の下期、10月ぐらいから外部にアナウンスして準備を始め、本格的には今年に入 ってからになります。 ○谷本座長  イオン側の窓口はどこになるのですか。 ○上山氏  「TopValu」という商品を開発している専門部隊が独立部隊としてありますの で、そこと私どもとが連携する形です。私の部にCoCの推進事務局というものがある ものですから、いわゆる推進の役割をしています。ラインとしては「TopValu」 本部の本部長ですが、いちばん上は社長です。 ○谷本座長  その400社の先のところまでも配慮していこうという辺りをもう少し伺いたいのです。 もちろん温度差もあると言われましたし、1次下請けまではいいけれど、2次、3次ま ではなかなか親会社のほうからは目が届かないというのはよくあることで、厳しい強制 はしにくい部分もあると思うのですが、どうなのでしょうか。 ○上山氏  直接私どもがアプローチしているのは最終の製造工場です。私の部下及びバイヤーの 中に約十数名の、モニタリングができる資格を持った人間を社内で育成したので、まず 彼らが直接現場に行って、実際のモニタリングをいま行っています。ついこの間も、中 国とタイの工場に行って帰ってきました。やがて、その人間がインストラクターになっ て、モニタリングできる人間を鼠算式に広げていこうと思っております。  それはイオン(株)だけではなくて、例えば中国にイオン(株)の子会社がある場 合、当然現地法人の中にそれをつくります。上海の工場であれば、上海事務所のスタッ フの中にそういうスキルを持った人間を育成するという形で動かします。 ○谷本座長  3つ事例を挙げられた中で、委員の方々から何か質問がありますか。 ○安達委員  労働のこととは直接関係ないかもしれないのですが、イオン(株)が非常に積極的に 先進的な取組みをされているということですが、いまのサプライチェーンをしっかりす るということも大変な手間のかかる話です。少し理念的になりますが、そういう中で、 CSRと企業の競争力や収益性、他社との差別化ということが本当にどうなのかという ことが1つ大きな論点になっているわけです。積極的に取り組んでおられて、その辺の 手応えのようなものは何か感じておられますか。 ○上山氏  社内でも必ずその論議が出てきます。基本的にこれはブランディングにいかに結び付 けるかだと思っています。お客様が最終的にいろいろなお店がある中で、ジャスコとい う店を選ばれるときの価値判断の中に、ブランドというものが必ずあるはずだという仮 説でやっています。当然利益を追求していかなければならない企業ですが、お客様が差 別化されるときの判断基準の中に入れたい。ですから私どもが社内で言っているのは、 とにかく来店客数の増加につながる、これは長期的な課題ということです。短期で見る と、環境会計ではありませんが、コストがかかりすぎているではないかという声が当然 出ます。しかしそれは違うということで、最近はある程度社内では論議は集約されつつ あります。なぜかと言うと、トップが明確にその価値を言っています。トップ10という のはどういう意味かということです。 ○谷本座長  国内ではなくて、世界でのトップ10だという意味合いはもうそういう所まで含めてで ないというのがありますね。いまは3つの事例を通してお話いただいたのですが、こち らからお願いしていた中で、特に労働に関わるような領域についていかがですか。 ○上山氏  それについてはこういうアクションをずっと取ってくると、例えばヨーロッパのSR Iファンドからレポートが来たり、環境経営学会からの格付けのいろいろな情報が来た りします。その中に共通因子があるわけです。労働に関しては、例えば就業の継続性と いう私にとっては非常に新しい物差しがあります。それは例えばジャスコで働いている 人が、ジャスコを辞めて次の職場を選ぶときに、武器になるものをあなた方は与えてい ましたかという質問なのです。この考え方は従来はあまりなかったと思うのです。しか しやはりそういうものの考え方で、企業を評価していこうとされている大きな潮流があ るということは感じます。当然これはトップへ報告する重要な案件です。そうすると今 まで教育は最大の福祉だという基本コンセプトで、教育ということにかなりの投資をし てきたつもりですが、本当にいまのままでいいかというフィードバックはしています。 そういう意味での労働の継続性、労働に対するCSRの考え方は具現化していくべきで はないかと思っています。 ○谷本座長  最初に連合さんからもあったパートに対する対応があります。スーパーマーケット業 界は非常にパートに依存するということが大きいわけですね。何かその辺りについては ありますか。 ○上山氏  ちょうど今年コミュニティ社員制度という名前で、いわゆる期間の定めのない労働契 約の社員とパートタイムワーカー、こういう区別でものを考えないようにしました。具 体的なアウトプットとしては、いわゆるパートタイマーの方が、中小型の店長になるこ とを可能にしています。現にもう店長をやっている人がいます。これはやはり冒頭に申 した小売業の特性もあると思うのです。その地域をよく知っている人、そして主婦とい う体験は、何も情報発信をしないと財産にならないのですが、言語知に変えると大変な 武器になります。長野県は長野県1個ではないのです。10個の国によって形成されてい ますから、全く売るもの、売れるものが違うのです。同じ赤といっても赤の色を感じる 感じ方が違うのです。その辺をいかに具体的行動に表すかについては、その地域でずっ と住んでいらした方は大変な財産です。 ○谷本座長  なるほどそうですね。それは最初に副店長という例でもお話いただきました。最後に 質問として労働にこだわるわけではないのですが、労働を中心にこの研究会をやってい るのですが、政府に期待される役割については、どういうお考えをお持ちでしょうか。 ○上山氏  これは話が全然違う視点になって恐縮ですが、2013年以降の地球温暖化に関する方針 が明確に出ていない状況にあります。そのときに私どももそうですが、日本の企業は東 南アジア等々の発展途上国にマーケットを大きくシフトしています。企業戦略上環境保 全と経済成長はトレードオフではないというビジネスプロセスを作ろうとしています し、また現にそういうことに成功されている所は、大変成長されていると思うのです。 しかしそれは先進国の論議であり、発展途上国からすると例えば、地球温暖化の京都議 定書を2013年以降どうするかという中で、環境保全ではなく自分たちの国の経済成長優 先に当然のごとくいきますよね。そのときに例えば児童労働、強制労働の件は、CSR の観点ですが、これは環境も中に入った1つの大きな価値基準だと思います。そういう 状況になるときに、発展途上国をどのように見るのかという論議をそろそろ日本の国の 中でしていかないと、先進国の労働者の話をしていていいとは思えないのです。こうい うことはやはり政府で旗を振っていただき、1つの方向性を論議していく価値が十分あ るのではないかと思っています。少し違うスタンスでお話をして恐縮ですが、そういう 問題意識を持っています。 ○谷本座長  ありがとうございました。よろしいでしょうか。上山様どうもありがとうございまし た。引き続き女性と仕事研究所の東京事務所所長の岡崎様、よろしくお願いします。 ○岡崎氏  女性と仕事研究所の岡崎です。私どもはNPO法人で、3年前にNPO法ができたと きに資格を取りました。約20年この活動を行っていますが、女性が社会の中でいかに地 位を向上させるかという観点から、いまは企業に特化して企業の中での女性の地位の向 上ということにいろいろ取り組んで動いています。今日はお手元にお配りしたこのパン フレット、すでに活動しているという部分はここに書いてあるように、「人を活かす、 組織を活かす、女性の能力を開く」とまさに今回のCSRの中で女性をいかに活動させ るか。21世紀に女性のエネルギーがなければ、企業の存続も厳しいというぐらいの考え 方を持って取り組んでいます。  昨今、企業からのお話が非常に多い中で、女性をどう企業の中で活かしていくのかと いうお問い合わせをいただいています。私たちメンバーはCSRの啓蒙活動という言葉 でお話してもおかしくないくらいにいろいろな方に、CSRでこれからは取り組むべき ですというお話をしています。今回いただいた5つのテーマにおけるお話の回答を少し 述べさせていただきます。女性労働におけるCSRの推進に関しての活動は、1つが能 力開発事業で、キャリアアドバイザーの養成事業です。いま厚生労働省で取り組んでい るキャリアコンサルタント、全く中身は差異はありませんが、特に私たちが考えている のは、女性をもっと活かしていこうということです。決して企業の中で働くだけではな く、女性の企業家をもっと作っていこう。あるいは地域のコミュニティにもっと接する NPOを作っていこうというようなサポート、女性が社会で活躍できるためのアドバイ ザーを増やしていこうということで大きく取り組んでいます。  その中で企業の中でのリーダーシップが執れるような女性をつくっていこう。あるい は自分でプログラムを作っていけるような女性を応援していこう。自分のキャリアを上 げていきたいというような人を応援していこうということです。もう1つは、まだ手掛 けてはいませんが、人材紹介業ということで、女性の管理職をもっと企業の中に入れて いこうという取組みをいま実際に行っています。  2番目の調査研究としては、企業の評価研究を行っています。実績として挙げている のが、トヨタ財団の助成で「女性に開かれたシステムを持つ企業」ということで、私ど もの責任者の金谷千慧子がこれを行いました。  東京都の助成金で『女性社員登用に関する企業評価調査』、『女子学生の就職活動か らみる企業評価調査』が実名入りですでに用意できています。今日は冊数が少なく1部 回覧という形で回しますので、ご覧いただければ結構です。3番目に、地球産業文化研 究所主催の『CSRとステークホルダーコミュニケーション委員会』で金谷が報告書を 30頁にわたり書いています。地球産業文化研究所にお問い合せいただければ、このくら いの分厚い冊子が無料でいただけると聞いています。 ○谷本座長  地球産業文化研究所と言われ、通称GISPRIと言われています。 ○岡崎氏  そういうことから女性を活生化するSRIのファンドを作っていこうということで、 いま準備段階に入り、どのようにして女性の評価を高める企業が増えていくのだろうか という研究を始めています。行動計画・政策提言では、「大阪府東大阪市男女共同参画 プラン(改訂版)」を作成しています。企業へのヒアリング調査、労働意識の調査など も手掛けています。  3番目に情報発信では、『女性と仕事ジャーナル』として過去10年にわたり冊子を作 り女性の社会的地位を向上させることを手掛けています。アメリカ、フランスの発展的 な女性の地位の向上を目指しているカタリストを呼んで、国際シンポジウムを過去に開 催しています。主な活動は以上です。  CSRの特殊性は、日本の女性はまだまだ企業の中では、能力開発、能力発揮をする 場がないのはなぜかを書いています。現状としてはまだまだ日本の女性の働き方が、M 字型のカーブを描いています。アジアにおいても日本はM字型カーブをいつまでも使っ ている、使っていると言うよりそういう社会現状が現実にあります。女性の場合、一応 結婚、出産すれば自然と会社を辞めていかなければいけないというようなことから、少 し子供が大きくなり、35歳ぐらいになればパートで働いてみたいということで、正社員 より働きやすいパートという安易な考え方が、日本の社会の歴史が物語っていると思い ます。  2番目に均等処遇と公正な評価の必要性、まだまだ女性の賃金格差が社会の通例で、 皆さんも認識されているとは思いますが、男女差別が企業の中でも向上していないので す。ではそれをどうしていけばいいかで、ポジティブ・アクションの政策の推進という ことで、ここに書いている3つの部分を是非対策として考えていきたいと思っていま す。なぜ女性の管理職の増加ができないのかは、1つは中間管理職の意識、女性に対す るいわゆるジェンダーの壁です。これがなかなか取り切れていないという相談を現実に 受けています。外資の会社が日本の中で買収して、日本の企業を自分の配下に入れた場 合に、中間管理職がやはり日本の男性の意識なのだということです。これをどう変えて いくかということで、今回、私どもも外資の会社と一緒に取り組んで、中間管理職、 ジェンダーの視点から見た部下をどう取り扱っていくかというテーマで取り組んでいま す。その辺りのことについて外資のトップの方から、なぜそういう所に壁が出来るのか という質問を受けますが、これは私たちにぶつけるよりも、企業の中でお考えいただき たいと提言しています。他国の事例を学ぶということです。日本はやっと雇用機会均等 法が1986年にできて、1999年に少し改正ができて、ポジティブ・アクションの取組みが あったなどいろいろなことができていますが、まだ日本はそういう意味では非常に遅れ ているのだということです。もっとアメリカ、フランス、スウェーデンなどを参考にし てこういうところを取り組んでいかなくてはならない。日本の特殊性というより日本の 島国の考え方ではないかと思っています。  経済、社会構造の変革に伴い、女性労働の中で特にどのような分野が重要になってく るかということについては、やはり女性の能力の発揮が、女性自身にも問題があるかと 思います。マネージメントができない、判断力が男性より劣っている。劣っていると言 うより、そういう訓練を受けていない。訓練の場もなかったということで、これからそ ういう取組みをやっていかないと、企業の生き残り戦略になっていかないのではないか と考えています。新しい企業は、いまいちばん何を悩んでいるかと言えば、女性のロー ルモデルがないということです。そういうことを私どもに相談され、キャリアアドバイ ザーを有効に活用していただき、ロールモデルでなくても、いろいろなコーチングをや っていこうと企業との打ち合わせを行っています。女性たちの声を聞くということが非 常に大事ではないかと思います。企業の中で経営に関わっている人たち、トップ自らが 女性の声を聞いていくという体制づくりがこれからは企業の中に必要ではないかと考え ています。そうは言っても女性社員の課題として、もっとトレーニングを積んでやって いかなければ、女性の地位の向上はできないのではないかと思います。ある企業から女 性だけの研修をやったことがないという話を聞いて、少し唖然としました。私自身の前 職が人材派遣の会社で20年営業活動をやり、取締役までやりましたが、女性の活用は派 遣を使えばいいという発想をお持ちの方がまだまだあると思います。そういうところを 企業の取組みとして考えていただきたいと考えています。  ここに女性社員の課題として、新しいリーダーシップ概念、フェミニン・リーダーシ ップがありますが、これはどうしても女性は男性と肩を並べようということになってく ると、男性らしくという言葉ではないのですが、どうしても男性のような考え方を持た ないといけない、あるいは男性と同じような叱り方をしないといけないという錯覚を起 こすのですが、そうではなく女性は女性らしく、男性と同じになる必要はないというリ ーダーシップの教育をこれから広めていくことを考えていきたいと思っています。企業 の社会的責任のために、女性の一般投資家の増加ということは、先ほどのSRIと絡ん できますが、いい企業、女性をうまく活用している企業は、女性の応援がいっぱい付く という啓蒙活動をこれからできるような方向に持っていきたいと考えています。  次に、女性労働におけるCSRの推進に関して、政府に期待される役割は何ですかと いうことで、非常にたくさんの項目を挙げていますが、やはり保育所、子育て支援は男 女平等の中では、女性は子育てがあるから早く帰らないといけないということを考える のではなく、行政の応援の中で女性がもっと働きやすい環境になっていくことを考えて いきたいと思います。まずNPOに対して、いまは一般の株式会社、有限会社と同じよ うな税金の制度になっていますが、NPOは非常に財政は厳しく、なかなか稼ぐという 手法ができていません。今回私はNPOに入り、こういうやり方でやっていると一般企 業と肩を並べることはできないということが見えてきたので、その辺はいろいろ考えて いきたいです。資金貸与については、大きくなったNPOはいいのですが、小さなNP Oに対しては銀行は社会貢献するわけではないから、金は貸せないというのが現実の話 だと思います。特にNPOをやっているのは、大半が女性が代表でやっている関係もあ り、なかなか資金繰りがうまくいかないということで、もう少しサポートをしていただ きたいと思います。  次に女性労働政策についてです。国を挙げて日本の国は女性が働きやすい環境なのだ という施策に取り組むべきであろうと思います。日本はOECD加盟国23カ国中、19位 と非常に地位が低いということは、恥ずべきことではないかなと思っています。この中 で皆さんから出てきているパートタイムの差別をなくすということで、パートタイムの 大半が女性であるという認識を持っていただき、今日イオンさんもいろいろお話されて いましたが、パートタイムで働く女性が、いかに国の経済を支えているのかということ をもう少し認識していただき、短時間でもそれは正社員と同じような制度をつくってい くということも是非お願いしたいと思います。全部を読み上げていると時間がかかりま すので、これで私どもの報告は以上とさせていただきます。 ○谷本座長  どうもありがとうございます。最初の質問にお答えいただく中で発言されていました が、CSRの啓蒙、そういう形でいまはいろいろ発言していると言われましたが、当初 からCSRということで、20年前に立ち上げたのではないかと思いましたが。 ○岡崎氏  ちょうど20年前は主婦の再就職ということで、私自身も主婦の再就職から企業に、い わゆる人材派遣で働いて、人材派遣の会社に就職をしました。「女性と仕事研究所」 も、立ち上げは主婦の再就職を応援していこうというものでした。ちょうど国を挙げて 主婦の再就職講座がはじまった時点から、10年前に主婦ではなく、女性をもっと応援し ていかないといけないということに切り替えて、10年前に「女性と仕事研究所」という 名前に変えました。発端は日本の社会の中で、これからは主婦も社会に出ていくのだと いうことから出発しています。 ○谷本座長  女性が就労、就職していく中でのいろいろな障害、問題に取り組んでこられたわけで すが、こういう問題をCSRという視点から捉え直してきた、あるいはそういう視点か らいろいろ企業に対する活動、その辺りはどういう発想の切り替えなのでしょうか。 ○岡崎氏  企業が伸びるためには、女性をどう活かしていくかというご相談が企業からあり、私 たちもCSRという言葉で啓蒙活動をしていたわけではなく、2年ぐらい前から企業の 中の女性の地位向上がこういう中に、女性を活かしている企業はこのくらいある、ある いは女性をなかなか活かしきれていない企業はこういうことだというところから、徐々 にCSRという言葉に切り替わってきたということです。いまは全面的にCSRという 言葉を押し出して、企業と話をしています。 ○谷本座長  少し細かい話ですが、法人会員という企業はたくさんいらっしゃるのですか。 ○岡崎氏  いいえ、まだ会員として企業が入っていらっしゃるのは、まだほんの数社です。まだ 企業がそういう認識で私どもを見ていただけるかどうかというのは、非常に厳しい状況 です。 ○谷本座長  これからなのでしょうね。背景の出発点が違うので、アメリカのカタリストと同じよ うには当然見られないとは思いますが。最後に挙げていただいた政府に対する期待とい うところで、特に最初のほうは厚労省というよりは、内閣府という問題になってくると 思いますが、要するにこういう活動を行っている団体というのは日本にはそうたくさん ないので、そういう活動の基盤をもっとつくっていってほしいということが、1つのメ ッセージであったわけですね。当然一つひとつの施策に関しては、これまでのご経験も あるでしょう。最後に「Working women Fund」について、私もちらっと聞いたことがあ るのですが、必ずしもうまくいかなかったと。実際につくるところまではいかなかった わけですね。 ○岡崎氏  はい、結局昨日もそのことでずいぶん議論したのですが、ファンドというのはエコフ ァンドであれば、皆さん誰でも地球に優しい、環境に優しいというのであれば、その企 業は応援できるけれども、女性の地位向上のためにファンドをつくったところで、単体 で皆さんが認識してくれるかと言うと、やはり無理ではないか。もっとその辺をどうや ったら女性の地位が確実に上がってきているということが、わかるような何か仕組みを つくった上で、ファンドをつくらないと無理ではないか、という結論に達したわけで す。そうは言っても女性を応援していく以上、そういうファンドをつくる仕組み、仕掛 けを考えるのが「女性と仕事研究所」ではないだろうかということです。 ○谷本座長  アメリカにはかなりマニアックないろいろなSRIファンドがあり、結構うけている のです。確かにいろいろな意味での土壌が整っていないので、この形はすぐには難しい かもしれませんが、ここでつくられたいろいろな評価指標は、もっと違う形で活かせる のではないかと思います。どうもありがとうございました。駆け足ですが、最後にグロ ーバル産業雇用総合研究所の小林様、お待たせしましたがよろしくお願いします。 ○小林氏  最後ですので時間を守ってお話いたします。私は連合が発足した直後の1990年代の連 合総研、電機連合の電機総研、現代総研という労働絡みの所のシンクタンクを歩いてい ました。去年それらが全部終わり、その後自分で大層な名前の個人の研究所を作ってや っています。今日はCSRということで、電機総研のときに取り組んだ経過からお話し ます。1990年代半ば過ぎの1996年ごろから企業不祥事があり、コーポレート・ガバナン ス等が問題になり出しました。連合総研から電機総研に戻り、最初に電機総研で手掛け たテーマとして「新しい企業評価基準」の研究委員会をスタートさせました。それはス テークホールダーの一翼を担う労働組合の責務は、当時の時代で何であるかがメインの 目的であったわけです。同時にそういう中で企業をきちんと評価してみようではない か、点数化して評価しなさいと上から言われました。「ああ、そうですか」ということ で始まったわけです。その後に「望ましい企業のあり方」のアンケート調査を各界の 方々にお願いしました。一定の柱を立てて、1年半ぐらいかけて21世紀の企業のあるべ き姿はこうであるという報告書をほぼまとめ、公表情報の中から企業を点数化して、順 位を付けるということを付録に付けようと思い作業を進めました。どうせやったのだか ら、奥村ヒロシさんが座長だったので、本にしましょうということで東洋経済にそれを 持ち込んだら、コーポレート・ガバナンスは要らない、1年半かかって研究したけれど ももうそれは出さないと。点数を付けるほうだけ出すということになり、そのときの編 集担当者がリチャード・クーの「いい円」だか、「悪い円」だかで大儲けした編集者で した。「本の題名は決まっている『良い会社・悪い会社』だ」というのです。悪い会社 もきちんと実名で載せろという条件付きで出来たのが、この本です。すぐ売れてしまっ たということなのですが、そこで経営責任、株主重視、情報公開と社会的責任、財務諸 表、そのくらい柱を立てた中に、サラリーマン、OLにとって良い会社は何か、働きや すい会社は何か。それまでの企業評価はそういう分野がほとんどなかったわけなので す。それが入るのが、この本の売りだということになりました。  2番目ですが、その作業をやる過程で労働評価基準の中の労働項目は、1頁の下に書 いてあるような項目を集めて、評価をしたのです。それにより良い会社、悪い会社とい うものを順位立ててやっていったということです。この情報を集めるのがいちばん大変 で、財務情報もほとんど公表されているし、その他の情報もかなり取れるわけです。労 働条件絡みの情報がほとんど取れない。我々ができたのは、連合のお蔭で、『連合労働 条件調査』というこんな厚いものがあり、そこに賃金が載っている、自己啓発は載って いる、教育も別の年では、やっているというものを集めて評価をしたということです。 しかしすべてが取れないので、かなり代理変数を使ってやったわけなのですが、その結 果、労働に関する情報収集、評価基準、CSRの特殊性として、ほかの経営情報に比べ てブラック・ボックス化しているということを痛感しました。企業の労使はよくわかっ ているわけです。企業の労使は先ほどもお話しましたが、情報を共有しているわけで す。ただし共有したものは絶対外に出さない。ヒアリングに行っても態度を見ればすぐ わかる。あなた方にしゃべって私たちの会社が得することは1つもないと言われるのが 関の山であり、出てこないわけです。その点がやはり比較可能な数値が無公表のまま で、企業と労働組合とで社会的責任を果たす必要があるのではないかと痛感した次第で す。  その上で、3番目のご質問のこれからのCSRの重要な点、連合さんシャープさん皆 さんお話になっているので、皆さんが言わないことを言わせてもらいます。1つは正社 員にとって良い会社、これは普通の答えがありました。このとき、やはりこれから雇用 の問題が重要になっていて、雇用契約はこのようにやっているのだと明示すべきであ る。併せて解雇するときはうちの会社はこうしますとはっきり明示している会社は良い 会社だという風土を作ってもらいたいということが1つです。うちはそういう解雇する ときはルールはありません、解雇しないのだからと。これまでの実態はそういう会社が いちばん怪しい。そのときになって労使間で泥縄的に解雇基準を決めるというやり方で はなく、予めこうなっているのですということをやるべきではないかということです。 2つ目に、働き方を選択できる。3つ目に従業員がスキルアップをしたときには、その スキルアップした人間を正当に評価して、正当に処遇する制度は我々は持っているので す。その人が自分がスキルアップして能力が発揮できるような仕事に就けるという、例 えば社外公募制はうちはこのようにやっていると、そういうことがある会社。その辺が ひとつのポイントではないかと思います。もう1つは、いまや製造業の中では正社員、 お店に行っても、工場に行っても正社員だけで運用している所はないわけです。2割、 3割、半分ぐらい、いろいろな形で外から非正規雇用が入ってきています。非正規社員 に対する視点が、これからのCSRにとっていちばん重要ではないかということです。 パート、派遣労働者にとって良い会社とは何かということをやはりこの評価基準の中 で、これからはいちばん考えていかなければいけない。いままでは正社員しか考えてい ないですから、我々も正社員のことしか考えてこれはやっていませんから。それが重要 ではないかと思います。当然遵法経営、派遣法が3月1日から改正され、新聞広告がバ ンバン出ているわけです。その新聞広告に遵法経営と出てきます。いままで遵法ではな かったのかと言いたいのですが。それは当然のことです。やはり労働条件、均等待遇と いうことも項目に入ってきます。非正規労働者が「気分よく働ける」会社、この視点が 重要ではないか。聞いていくとロッカーを使わせない、食堂が使えない、そういう枝葉 末節の話なのですが、非正規労働者にとっては非常に重要な問題です。「アイツ等と 我々、ヤツ等」という、そういう感覚があるような正規、非正規というのは、これから は良い会社ではないのではないかということです。非正規労働者が気分よく働ける会社 は正規にとっても気分よく働けるいい会社に決まっていると私は考えております。  最後に政府に期待することです。遵法経営といっても、非正規に関しては守るべき法 がきちんとまだ整備されていないです。パート保護法、家内労働法というのはあります が、では何で契約社員、請負労働者保護法がないのか。派遣労働法がある。あれは保護 法ではなく、事業法ですが、きちんと保護法を作りなさい。先ほど基準……という話が ありましたが、それは法律に穴が空いているからギジノ……ができるのであり、法律を 作らないほうが悪いと言っては失礼ですが、そう私は言っております。もっと大きく網 をかける必要があるのではないかということで、非正規労働者一括保護法というのを作 りなさいと3年か5年ぐらいずっと言って回っています。あるいは有期雇用者保護法と いうような法律を是非作ってもらいたい。それを基にきちんとCSRをやっているかど うかが重要な時代に入っているのではないかと思います。以上です。 ○谷本座長  どうもありがとうございました。最終的には「良い会社・悪い会社」はごく一部しか 出なかったという話は奥村先生から聞いたことがありました。これ以降はこういう評価 基準で何か具体的な活動はされていますか。 ○小林氏  これ1回かぎりで、この仕事は終わりました。その後先ほどから何回もお話をしてい る請負の問題を調査・研究して、そこの所が今日のレポートになるわけです。やはり良 い会社、悪い会社も正規社員だけではないということを実感してきて、いまもう一度請 負関係の実態の調査に入っています。政策のときはまだ電気総研としてもきちんとした ものは出来ておりません。最後に言い忘れたのが、連合さんに、私どもも連合の資料が 役に立ったわけですが、CSRに関する情報をきちんと収集して、労使間で共有をして そのままになっているものを何とかつまみ出して、それを公表して、情報公開して、そ れに社会性を持たせるということが連合のいちばん大きな任務だろうと思います。これ は厚生労働省にやっていただいても結構なのです。そこが重要かと思っております。最 初は項目はある程度絞り込んで、先ほどの金属労協みたいに何かジュゲムジュゲムみた いにいっぱい並んでいたのでは答えようもないです。重要な点を絞り込んで情報をきち んとやってもらいたいと思います。 ○谷本座長  確かにそうなのです。社員の行動規範ですらコンフィデンシャルで、どうしてコンフ ィデンシャルにする必要があるのだろう。もっと言えば報告書に出してもいいです。そ こでいろいろ問題があったら、それも書くべきだと思うのです。多分それはもう会社は 会社のことなのだと。これまであまり社会との接点という視点で見ることはなく、せい ぜい企業内での労働組合との関係の中で。 ○小林氏  よければいいと。 ○谷本座長  よければと言うか、ある程度の合意を得れば、会社はそれでうまくいっているのだと いう発想が強かったと思うのです。いまそちらから投げかけられたのですが、連合さん から何かそういう情報を開示していく予定はありますか。 ○佐藤委員  同じことですが、小林さんがなかなか情報を出してくれないということで、ただ小林 さんが言われたように連合も各産別もさまざまな労働条件調整をやり、冊子体では企業 ごとのは全部並んでいますね。 ○小林氏  並んでいます。 ○佐藤委員  あれをいま冊子でしか出ていないのですが、集めれば企業ごとのは相当わかる。例え ばそれをホームページに載せるというと、労使はいやだと言いますか。連合で企業ペー ジを全部公開してしまうと。企業名を入れたらバッと出てくると。つまり紙に書いてあ るものを単に載せるだけでも抵抗がありますか。簡単な質問ですが。私がやろうと思え ばできるわけですね。手間ひまがかかるだけの話です。 ○須賀氏  それがいちばん答えにくいです。実態でいけばオープンにして構わないという所、絶 対に駄目という所とに分かれます。だから小林さんがおっしゃっていることは私はよく わかっているのですが、それぞれの産業別組織に持ちかけると、「だったらこれからも うこれからデータは出さない」という所まであります。結構有名な産業別本部ですが。 ○谷本座長  企業レベルでも出すところだけ出すということをやってしまうということも、かなり 暴力的なやり方になってしまうのですか。 ○須賀氏  いやそれは連合としてはできないですね。逆に連合としてそういう基礎データは取れ なくなりますから。 ○谷本座長  出してもらえなくなってしまう。 ○須賀氏  はい。 ○佐藤委員  いまの紙の情報で出ているものも、そうすると落としている企業があるということで すか。 ○須賀氏  100%完全にオープンになっていない部分もあります。 ○谷本座長  そういう基礎データが労働の問題だけではなく、かなりオープンになっていないこと が日本の企業には多く、それを法律で急にバッと網をかけるのはなかなか難しいので す。それはSRIなどの調査をするときにも日本企業に対しては、なかなか公表された データが少なく、何かその辺り足達委員ご意見ございませんか。 ○足達委員  実は昨日ドイツの格付け調査会社のイーコムリサーチの社長がちょうど来日している ので、夕食を一緒に取りました。この5年間で日本企業の回答の傾向は変わったかとい う質問をしましたところ、いくつかの企業は大きな進歩があったけれども、総じて変わ っていない。特に答えてくれないのが、雇用に関する問題であり、これはどうしたこと なのだというディスカッションをしていたところです。ヨーロッパの社会的責任投資の 調査会社では、プロウズビリティチェックという言い方をしていますが、信頼性を担保 するために、経営側、企業側からも回答をもらう。労働組合からも回答をもらう。両者 を突き合わせて情報の信頼性を担保しているということがあり、よく海外から日本は会 社の言うことだけ聞いて、それで企業評価をしているという皮肉を言われることもあり ます。私も過去いくつかの労働組合にそういうご協力ができないだろうかと、非公式な 形ですがお話をしたことはあります。あまり前向きな答えはお返しいただけなかったで す。今日まさにチェック機能というお話が出ました。その辺りもう少し社会システムと してそういう情報が回ってくるようになると、社会的責任投資やCSRというのは、大 きく日本の国の中でもジャンプアップするのかなと思っています。期待をさせていただ いています。 ○谷本座長  政府の対応というところは労働組合。 ○須賀氏  これは労働組合も含めてですが、それぞれの企業なり、産業にそういう風土を根付か せるということが大事だと思うのです。その際に労働組合が果たしていける役割はたく さんあるはずなのですが、まだまだそういうCSR的な発想に基づく企業行動ではな く、労働組合行動が必ずしも定着してきていない。企業内ですべてが解決できるという のが、これまでの労使関係の大半の部分であったと思いますので、これは組織率が低下 していくことにより、徐々にそれが影響力も波及力も含めて低下をしていっている中 で、改めてそういうことが国際的な変化の中で問われているのではないかということが 私どもの認識なのです。そういう意味で先ほど少し長くなったのですが、紹介させてい ただいた金属労協としてのまとめはこれでいいと思いますが、連合としてこれをまとめ ようとすると、先ほどもデータの開示で紹介したように、やはりレベルが相当違う中 で、一律連合としてこうしようというのはなかなか難しいです。そういう事情を是非ご 理解いただきたいと思います。 ○小林氏  私がこの格付けをやったときに、連合の調査を使ったというのが1つですが、そのほ かにいろいろなデータを使いました。いちばん活用したのが、『就職四季報』。それか ら『女子学生就職四季報』、これがいちばん書いてあります。35歳の賃金などかなりき ちんと書いてあります。やはりいい所を見せたいですから、悪い所は書かないでただ空 欄にしているだけなのですが、かなり埋まってくるわけです。出せ出せと言ってもなか なか舌も出さないから、やはりあなたの企業にとってこういうことは重要で、こういう 研究会をやってやると、企業も我が社はこうなのだと出しやすくなる雰囲気を作ってい くことが重要だなとそのとき感じました。 ○安生委員  新卒を採るときには、その人たちに向けて情報がかなり出ていると言われましたが、 まさにおっしゃるとおりだろうと思います。しかし、日本企業では新卒者向け以外には 情報の開示が少ないというのは、日本では労働の流動性が低いことの反映だと思いま す。本来はいい処遇をするということは、いい人材を集めるためにするわけです。企業 の内と外との壁が低ければ、当然働くことに関する情報は積極的にディスクローズし て、労働市場に向けてアピールしなければいけないわけです。今後、労働市場の流動性 が高まっていけば、企業の内と外との壁も低くなって、情報開示は徐々に進んでいく。 要するに、企業も必要ならばやるということだと思います。ただそれを一律に強制する となると、現時点ではどうかという問題はありますが。 ○堀江労働政策担当参事官室政策企画官  厚生労働省でCSRを研究する意味が見えてくるような気もするところで、いちばん ベーシックに言うと、環境、社会貢献というのは、会社の外に向けてやることなので公 表しやすいけれど、内輪の事情、恥などは見せませんというのが元にはあったのだと思 います。そこの部分は海外では克服してきていることなのでしょうという辺りは、今日 議論しなくても次回以降でもいいのだと思います。その辺りが厚生労働省の研究会をや ることの意味の1つになってくるのかなと思います。環境、社会貢献というのは各企業 を比べるといっても、例えば電力会社と小売業との比較がなかなか難しく、本当の労働 の部分というのは賃金はいくらで、残業がどうした、女性の社会進出ということで、本 来は比較しやすいところが、そういう内と外という話で阻まれているところがあると感 じています。少し議論が深められたらいいポイントかと思います。 ○谷本座長  どうですか、全般的に何かございましたら。 ○小畑委員  いまのご発言と続きますが、社会、環境と労働との違いの1つは、労働に関しては労 働組合というしっかりした団体がある所も違うと思います。社会、環境に関してはそう した団体がないわけですので、労働組合という団体がある、古い歴史があるということ を踏まえて、確かに組織率の低下などもあり、それでまた問題が顕在化している面もあ ると思いますが、労働組合という団体があることを前提として議論していく必要がある と感じました。 ○谷本座長  労働組合があるのだけれども、これまでかなりその内部での、先ほど企画官も言われ たように、内輪ということがありました。 ○須賀氏  労働条件の開示に関して、これは本当に私個人の見方ですが、いろいろオープンにす ればするほどいろいろな産業の中での多重構造、あるいは産業同士のユーザー、非ユー ザーという関係の中で、「えっ、そんな条件でもらっているの」、これは公務員の世界 でも言えるのですが、「そんなに退職金をもらっているの」と言うのと同じような話 が、やはりあるのです。だから出すほうは何となくやましい気持を持ちながら出す。い まはだんだんそれが慣れてきたわけではないのですが、オープンにしようということ で、A社、B社、C社、例えば自動車産業A社、B社、C社、よくよく見るとトヨタ、 日産、ホンダとわかるようにA社、B社、C社という方法で徐々にやっている所が増え て、そういうことをやろうとしているのです。それでも見る人が見ればわかるという話 です。そのくらいでしかオープンにできないのかなと思います。またそういう風土が結 果的にまだまだ日本の中には非常に根強く残っていることをどうするのかを考えない で、情報をオープンにしろと言われても、なかなか難しい面があるのではないかなと個 人的には思っています。 ○谷本座長  例えばそんなA社、B社、C社という形でもかつてはなかったわけです。やはりグロ ーバリゼーションの流れもかなり効いていると思います。もちろんこれまでどおりの国 内市場だけでいいのであれば、これまでの論理でうまくいくいかないは別にして、うま くいかなければ変えざるを得ないのでしょうが、もっと多様な視点が求められるように なってきているので、その中で変わらざるを得ない部分が出てくると思います。なかな か内部の風土は内部から変えにくいのですが、外から違うものとしてガッとはかられる ようになってくる中で。 ○須賀氏  だから先ほどどなたかがおっしゃったように、企業の良さをアピールする部分とセッ トで、そういうものをオープンにさせる。そうするとこちらはやりたいのだけれども、 いや、こちらは隠しておきたいということができなくなりますから。 ○谷本座長  そうですね。よろしいですか。小林さんありがとうございました。最後に皆さん意見 があればと思いましたが、少しそういう展開もできたと思います。本日はお忙しい中、 貴重なご意見をいただき大変ありがとうございました。本日の意見、議論を今後の参考 にさせていただきたいと思っています。次回の日程などについて事務局からお願いしま す。 ○千葉労働政策担当参事官室室長補佐  次回研究会の日程は5月後半を想定しています。委員の皆さまと調整させていただ き、連絡をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。 ○谷本座長  特段何か厚生労働省の方々はご意見はございませんか。それでは本日の会議はこれで 終了します。どうもありがとうございました。お疲れさまでした。 照会先:  政策統括官付労働政策担当参事官室調整第二係  電話 03−5253−1111(内線7719)