04/04/15 薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会 平成16年4月15日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所   平成16年4月15日   14:00〜   厚生労働省専用第21会議室                 2.出席委員(12名)五十音順   ◎池 田 康 夫、 上 原 至 雅、 岡 田 義 昭、 神 谷   齊、    川 嵜 敏 祐、 後 藤   元、 櫻 井 秀 也、 早 川 堯 夫、    藤 上 雅 子、○堀 内 龍 也、 三 瀬 勝 利、 吉 田 茂 昭    (注) ◎部会長 ○部会長代理      欠席委員(4名)    折 笠 秀 樹、 守 殿 貞 夫、 木 村   哲、 溝 口 昌 子  3.行政機関出席者   鶴 田 康 則(大臣官房審議官)、 岸 田 修 一(審査管理課長)、   平 山 佳 伸(安全対策課長)、   赤 川 治 郎(医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長)、   辻 村 信 正(医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長) 他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻を過ぎましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催 させていただきます。お忙しいところ御出席いただきましてありがとうございます。本 日は16名の委員のうち折笠委員、守殿委員、木村委員、溝口委員の4名が御欠席でござ いまして、櫻井委員は20分ほど遅れて来られるということでございます。ということで、 16名のうち現在11名の委員に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりま す。  まず始めます前に、この4月1日に医薬品医療機器総合機構が設立されましたので、 御紹介申し上げたいと思います。配付資料で色刷りの横長の一枚紙がございます。従来 の審査センターと医薬品機構、それから医療機器センターの業務が統合されたものでご ざいまして、左上の方に業務の種類が丸で囲んで書いてありますけれども、救済業務、 研究業務のほか、審査業務、安全対策業務が追加されるというものでございます。  右側の方に組織図が載ってございますけれども、総務部、企画調整部、健康被害救済 部のほか、その後には審査関係の部門としまして審査管理部から新薬審査第一部、第二 部、第三部、それから生物系審査部、一般薬等審査部、医療機器審査部、それから信頼 性保証部はGCPや書面適合性調査を行うところでございますが、そういった8部が設 置されます。それ以外に安全関係では安全部と品質管理部といったところで、品質管理 部の方ではGMPの方も行うことになります。それから研究振興部と、こういった構成 でございまして、3月までのところ3機関を併せた人数が230名ぐらいでございました けれども、それが350名ぐらいになるということです。これはまだ現在350名ぐらいの 人数を目指しているということでございまして、大体2年ぐらいを目指してその人数に 達するよう審査官を充実させたいと思っております。  それに伴って人事異動がございまして、本日は欠席しておりますけれども、3月まで 審査センター長をしておりました豊島が、今度はここの審査センター長兼理事というこ とでございます。また、新薬審査第一部、第二部、第三部、それぞれ従来の構成を若干 変えております。それぞれ部長が今日も出席しております。以上でございます。それで は池田先生、よろしくお願いいたします。 ○池田部会長 ありがとうございました。総合機構になってから第1回目ということで、 よろしくお願いしたいと思います。それでは本日の審議に入りたいと思いますけれども、 その前に事務局から配付資料の確認と資料作成に関与された委員の報告をお願いしま す。 ○事務局 それでは資料の確認をさせていただきます。資料1〜4までがあらかじめお 送りした資料でございます。本日の席上配付資料といたしましては、議事次第、座席表、 当部会の委員名簿、資料5といたしまして「新キット製剤」の表、それから資料6とい たしまして「優先審査品目の指定について」、資料7といたしまして「医薬品第二部会 審議品目の薬事分科会における取扱い、毒薬・劇薬の指定の要否及び生物由来製品/特定 生物由来製品の指定の要否について(案)」でございます。それから資料8といたしまし て「ガチフロ0.3%点眼液 専門委員リスト」、それから先ほど説明に使いました「医薬 品医療機器総合機構 組織図」でございます。よろしいでしょうか。  それから、平成13年1月23日の薬事分科会申合せに基づく資料作成に関係された委 員の確認でありますが、本日の議題については関与委員はいないということでございま す。それから本日御欠席でありますが、守殿先生から本日の議題については特段意見は ありませんという御連絡を受けております。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。それでは審議に入りたいと思いますけれども、 本日は審議事項が1議題、報告事項は4議題となっております。お手元にガチフロ0.3 %点眼液がございますけれども、これが最初の議題1でございます。総合機構の方から 説明をよろしくお願いします。 ○事務局 議題1、資料1、医薬品ガチフロ0.3%点眼液の製造承認の可否等について、 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。なお、本品目の審査は医薬品医療機器 審査センター時代に実施したものであり、審査報告書についても本年3月に確定された ものであるため、以後審査センターとして審査の概要を述べさせていただきます。  ガチフロキサシンはこれまでニューキノロン系抗菌薬が弱点としていたグラム陽性菌 に対する抗菌力が増強された薬剤であり、本邦では平成14年4月に杏林製薬株式会社に より経口剤が承認取得されています。点眼剤につきましては千寿製薬株式会社により開 発が進められ、今般申請されたものでございます。海外では米国において2003年3月に 承認されております。  本申請では、眼瞼炎、麦粒腫、涙嚢炎、結膜炎、瞼板腺炎、角膜炎、術後感染症の適 応について承認申請が行われました。  本申請の専門委員としては、資料8にありますとおり奥村委員、折笠委員、久保田委 員、澤委員、田中委員、檜山委員、藤田委員、山口委員の8名が指名されました。  臨床試験の成績といたしましては、国内において実施された第I相試験1試験、第III 相試験4試験の計5試験が評価資料として提出されております。第III相比較試験は細菌 性結膜炎患者を対象に実施され、対照薬である0.3%オフロキサシン点眼液に対する非 劣性が検証されました。また、一般臨床試験として、麦粒腫、瞼板腺炎、眼瞼炎及び涙 嚢炎を対象とした試験、細菌性角膜炎を対象とした試験、手術前無菌法試験の3試験が 実施されました。いずれの疾患においても本剤の有効性が確認され、安全性上特段の問 題点は検出されませんでした。  以上より、本剤は既存のニューキノロン系抗菌点眼剤と比較し、特段に秀でた点は見 受けられないものの、審査結果の欄に記載のあります適応菌種、適応症に対し有効性は 確認され、かつ安全性について特段の問題点は認められないことから、本剤を承認して 差し支えないと判断いたしました。  なお、申請された効能・効果のうち「術後感染症」については、実施された臨床試験 において検証されているのは、既に発症している術後感染症に対する有効性ではなく、 周術期の外眼部の無菌化であることから、適応症名としては「眼科周術期の無菌化療法」 とすることが適切であると審査センターは判断いたしました。  本申請は新投与経路医薬品であることから、再審査期間は6年とすることが適当であ ると考えております。なお、原体は劇薬に該当し、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該 当せず、また、本剤は生物由来製品又は特定生物由来製品には該当しないと判断してお ります。薬事分科会には報告を予定しております。よろしく御審議のほどお願い申し上 げます。 ○池田部会長 ありがとうございました。もう既に平成14年に経口薬として承認されて いるガチフロの点眼薬0.3%ということでございます。委員の先生方から御質問を受け たいと思います。どなたかございますか。堀内委員、どうぞ。 ○堀内部会長代理 一般的に申しますと、ニューキノロンは比較的水に対して溶けにく いわけですが、この製剤は比較的溶けやすい性質を持っているために点眼薬に開発でき たのだと思います。しかしながら、中性付近ではやや難溶であると言われておりますが、 審査報告書の5ページにありますようにいろいろな点眼薬を併用する場合があると思い ますけれども、中性領域ですと難溶性になってしまう可能性があって、分布が悪くなる ことが考えられると思います。その場合に間に5分置けば問題はないと記載されており ますけれども、添付文書には全く記載がありません。中性領域での点眼液はどのくらい あるのでしょうか。もしかなりあるとすると、併用する場合には5分以上置くというこ とを添付文書にも記載する必要があると思いますが、いかがでしょうか。 ○池田部会長 機構の方、いかがですか。 ○事務局 申し訳ありません、中性領域の点眼液がどのくらいあるかについてはこちら で把握していないのですが、相互作用や各点眼液の間を5分以上空けるといったことに ついては適切に情報提供する必要があると考えますので、確認の上適切に添付文書に反 映させたいと存じます。 ○池田部会長 そのほか委員の先生方、いかがでしょうか。これは少し透明性、懸濁が あるかどうかなど、割に見にくいですね。そのようなことはありませんか。今堀内委員 からも御指摘があったのですけれども、非常に容器とかラベルのはり具合などが…、私 の目が悪いのかどうか分からないのですが。このままですか。 ○事務局 容器につきましては、ほかの点眼液で使用されている容器と同様のものでご ざいます。 ○池田部会長 これは同じなのですか。 ○事務局 はい。 ○堀内部会長代理 pH6で溶ける限度の0.3%に濃度を設定したとなっていますね。そ うすると、この容器自体はある程度水分を通過させる性質を持っているということです が、本当に3年間の使用期限中に沈殿が生じることは起こらないと考えてよろしいです か。 ○新薬審査第一部長 そこは実際にもう少し高い濃度のものを使って開発をしていたの ですが、安定性の試験で問題が出てくることが分かったので、マージンをとって0.3% に落ち着いたという経緯がございます。ですから、0.3%濃度でしたら通常の使用の中で の有効期間3年は十分に保証できるということで、この濃度に落ち着いたということで ございます。確かに実際の患者さんの家で保管ということになりますと、若干そういう 先生御懸念の点はあるかもしれませんが、通常の医療機関内の保管においてはまず問題 は起きないということは一応確認されています。 ○堀内部会長代理 部会長がおっしゃったようにもう少し見やすいといいですね。 ○池田部会長 そのほか委員の先生方何かございますか。後藤委員、どうぞ。 ○後藤委員 内服薬が既に市販されておりまして、内服薬の場合一番大きな問題が血糖 値の異常と言われているわけですけれども、これは点眼薬ということで血中濃度が非常 に低いということです。しかし、どうして血糖値異常が起こるかというメカニズムはま だはっきりしていない現状にあって、65歳以上の患者さんあるいは糖尿病を持っておら れる患者さんの血糖値の異常に関してどの辺まで確認されて問題がないと判断されたか を確認させていただきたいと思います。 ── 櫻井委員着席 ── ○事務局 点眼をした場合の全身への移行ですが、定量限界以下でございます。また高 齢者に対する安全性といたしましては、今回実施された臨床試験において合計157例の 高齢者が登録されておりまして、その中で血糖に関する副作用は特段認められておりま せんし、その他の副作用についても特に非高齢者と比べて発現率が高いという傾向は認 められておりません。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。そのほかにどなたかございますか。どうぞ。 ○藤上委員 審査報告書の20ページに、「眼科領域における臨床現場で第一選択として 汎用されていることからニューキノロン系抗菌薬に対する耐性化が進み」という文言が あるのですけれども、このガチフロは他のニューキノロン系製剤との交差耐性というの はどのようになっているのでしょうか。交差耐性は見られないのですか。 ○事務局 この薬剤もニューキノロン系でございますので、ニューキノロン系に耐性と なったものに対しては耐性を示しております。 ○藤上委員 そうですよね。何を言いたかったかといいますと、既存薬よりも更に強い 抗菌力を有するニューキノロン系の点眼薬の開発が望まれているという言葉がありまし たので、他剤との交差耐性があるということと、後ろの方にはそれほど抗菌力は強くな いという記載も見られたような気がしたものですから。 ○事務局 20ページの下の方は申請者の回答でございまして、私ども審査センターとい たしましては21ページの真ん中辺にございますが、特段既存のニューキノロン系の抗菌 薬と比べて優れたところもないし、また劣っているところもないと考えております。 ○池田部会長 強いて言えばグラム陽性球菌に多少いいということでしょうか。 ○事務局 さようでございます。 ○池田部会長 どうぞ、神谷委員。 ○神谷委員 33ページの「(3)小児適応の開発について」というところに書いてあること を読みますと、4月から1〜11歳の投薬を開始するとありますが、このことがもう始ま っているのかどうかということ。それから専門委員の意見の中にクラミジアのことが書 いてありますけれども、クラミジアのデータが出ておりません。恐らく会社の方ではテ ストをやっていると思うのですが、どの程度の抗菌スペクトルがあるのか、もしお分か りでしたら教えてください。 ○事務局 審査センターよりお答えいたします。まず小児への治験の方でございますが、 4月より開始と聞いておりますけれども、今日現在まだ治験届等は私どもの手元に回っ てきておりません。ただ、ただいま統合等がございまして、もしかしたら受付は済んで いるのかもしれないのですが、そこについては早急に確認したいと存じます。それから クラミジアに対する抗菌力といたしましては、in vitroのデータではございますが提出 されておりまして、既存のニューキノロンと同等ないしはニューキノロンの中では比較 的強い抗菌力を有することが確認されております。 ○神谷委員 ありがとうございました。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。どうぞ。 ○新薬審査第一部長 ちょっと補足をさせていただきますが、治験届そのものは2月27 日に出ていることはここに書いてあるとおりでございます。通常どういう治験であって も、届出を出してから30日以内に行政側がストップをかけない場合は開始してよろしい ということになっておりまして、私どもの方で開始に待ったをかけることはしておりま せんので、予定どおり4月からはリクルートできる状態にはなっております。ただ、そ の規定に合っている患者さんが入るかどうかは個々の医療機関の状況によりますので、 恐らく始まっているだろうと言えるという状況です。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。そのほかいかがでしょうか。眼瞼炎、麦粒腫等の 適応と、そのほか眼科周術期の無菌化療法という格好で適応症が決まっておりますけれ ども、よろしいですか。委員の先生方からこの0.3%のガチフロ点眼薬は特に問題ない ということでございましたら、承認を可とさせていただいて薬事分科会への報告とさせ ていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。ありがとうございました。 それではこの件に関しては承認を可とさせていただきたいと思います。  それでは続きまして報告事項に移りたいと思いますので、事務局の方から説明をお願 いいたします。 ○事務局 まずは議題1、医薬品ロセフィン静注用0.5g、同1gの輸入承認事項一部 変更承認及びロセフィン点滴静注用1gバッグの製造承認事項一部変更承認について報 告いたします。資料2を御覧ください。本剤はセフェム系抗生物質製剤であり、本邦で は1984年5月に輸入承認の申請が行われまして、1986年3月に承認されているもので ございます。今回の申請は、日本感染症学会から「淋菌感染症に対する抗菌薬の効能・ 効果追加についての要望書」(平成14年8月5日付け)が提出されたことを受けたもので ございまして、適応菌種としては淋菌、適応症としては淋菌性尿道炎、淋菌性子宮頸管 炎、淋菌性咽頭炎、淋菌性精巣上体炎、淋菌性骨盤内炎症性疾患、淋菌性直腸炎の一部 変更承認申請がなされたものです。審査の結果、安全性・有効性上特段の問題点はなく、 これらの効能・効果を承認して差し支えないと判断したものでございます。本剤につき ましてはいわゆる適応外使用の公知申請に基づくものでございます。  続きまして議題2に移らせていただきます。医薬品ジスロマック錠250mgの製造承認 事項一部変更承認について報告いたします。資料3を御覧ください。本剤は15員環マク ロライド系抗生物質製剤でございまして、1997年12月に成人及び小児の各種感染症を 適応として製造承認申請が行われ、2000年3月10日に承認を取得しているものでござ います。今般クラミジアによる性感染症を対象に第III相二重盲検比較試験が行われ、適 応菌種としてはクラミジア・トラコマティス、適応症としては尿道炎、子宮頸管炎の効 能・効果、用法・用量の追加について一部変更承認申請がなされたものでございます。 審査の結果、安全性・有効性上特段の問題点は見受けられず、これらの効能・効果を承 認して差し支えないものと判断しました。再審査期間は現在の残余期間を考えているも のでございます。 ○事務局 続きまして議題3、希少疾病用医薬品の指定の取消しについて、資料4に基 づきまして御説明いたします。1枚めくっていただきますと、取消しの品目が出てまい ります。1品目めが乾燥濃縮人活性化血液凝固第VII因子でございます。対象疾病といた しまして、インヒビターを保有する血液凝固第VIII因子欠乏(血友病A)患者又は第IX因子 欠乏(血友病B)患者の出血抑制であります。申請者は財団法人化学及血清療法研究所で ございます。2品目めがブロピリミンで、対象疾病が膀胱上皮内癌、申請者がファイザ ー株式会社及び株式会社ヤクルト本社ということでございます。  2枚めくっていただきまして下に1ページとあるところでございますが、最初の品目 の取消しの理由が出てまいります。まず「表1」を見ていただきますと、指定後に前期 第II相試験、後期第II相試験、それから血中動態試験を行っております。1枚めくって いただいて2ページでございますが、試験結果が出てまいります。ここを見ていただき ますと、「表2」のところで分かりますのが半減期が非常に早いものであったというこ と。それから「表3」を見ていただきますと後期第II相試験結果が出ておりますが、40 〜50%程度の有効率しか出てこなかったということでございます。  更に1枚めくって一番上のところを見ていただきますと、取消しの大きな理由が三点 挙がっております。一点目が先ほど言いました有効率の点でございまして、せいぜい50 %程度ということで、既存製剤に勝るレベルには行かなかったと。期待したほどの効果 は得られなかったということでございます。それから二点目が半減期のことでございま して、やはり短いということで3〜4時間おきに頻回に使用せざるを得ないという製剤 になってしまったと。それから三点目といたしましては同種の製剤、「ノボセブン」と いう遺伝子組換え製剤が既に承認を終えて、インヒビター患者の止血管理に広く使用さ れているという状況があります。こういったことを考えて、製剤の開発をこのまま続け ていくことは困難ということでありました。化血研といたしましてはより有用なインヒ ビター製剤ということで、具体的には今第VII因子と第X因子をコンビネーションした製 剤の開発をしていこうということで動いております。  続いて2品目めでございますが、1枚めくっていただきますとブロピリミンでござい ます。更に1枚めくっていただきますと中止の理由が出てまいります。「3.開発中止に 至った経緯」でございます。当時開発を行っておりました米国ファルマシア・アップジ ョン社がFDAに膀胱上皮内癌の関係で申請をしておりました。しかしながら、当局と 調整しましたが、承認に至ることはできなかったと。更に開発を続けることが困難とい うことで、開発の中止を決定したということでございます。  更にめくっていただきますと、我が国においては膀胱上皮内癌について既に日本ビー シージー製造が開発したイムノブラダーというBCGを使った膀注用製剤がございまし て、その奏効率が非常によく8割近い効果が得られていると。それに比べますと開発を 予定している製剤の有効率が高くないことから、開発の継続が困難であると判断したと いうことでございます。また、関係の日本泌尿器科学会の方にもこの製剤の開発中止に ついては御了解いただいているということでございます。希少疾病用医薬品の取消しに ついては以上でございます。 ○事務局 続きまして報告事項の議題4、新キットの承認についてでございます。資料 5と各委員の方々にお配りしているキットの見本がございます。こちらは今回の新キッ ト製剤2品目でございまして、点滴静注用アシクリルバッグ250mg/100mL、同200mLで ございます。申請者は小林製薬工業株式会社、有効成分はアシクロビル、承認年月は今 年2月で既に承認されています。従来のキット製品では薬剤を用時溶解して使用するも のでしたが、今回の製品については既に溶解済みの輸液バックで販売するという形態の ものでございます。以上です。 ○池田部会長 ありがとうございました。それではただいま5品目について報告事項を 説明いただいたのですけれども、先生方から一つ一つ御意見を伺いたいと思います。議 題1の医薬品ロセフィン静注用の報告事項について、いかがでしょうか。感染症学会か ら平成14年8月に淋菌感染症に適応の拡大をお願いしたいという要請があって、このロ セフィン静注用0.5gの適応拡大が現時点でよろしいのではないかということでござい ます。先生方から御意見ございますか。どうぞ、堀内委員。 ○堀内部会長代理 抗生物質の適応拡大のときにいつも思うのですけれども、抗生物質 の場合はどういう種類の菌に有効であるかということが問題だと思います。効能・効果 のところにも書いてありますように、こういう菌種があってそのうち「本剤感性菌によ る下記感染症」ということで疾患名がずっと記載されているのですけれども、それが必 要であるということがよく理解できませんので、説明をしていただけませんでしょうか。 効能・効果はこういう菌種に有効だというので十分ではないかと思いますけれども、い かがでしょうか。 ○池田部会長 一般的な話で、抗生剤の場合には効能・効果で菌種と感染部位の二つが あるけれども、ということですね。 ○事務局 確かにin vitroでは堀内先生のおっしゃるとおりでございますが、薬剤によ りまして組織への移行性等異なるものもございます。また、どこの部位から分離される かによって耐性度などが異なる菌種もございますので、そういったことも加味して、臨 床試験において一応有効性が確認された疾患を「下記感染症」という中に記載するよう にしております。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。 ○堀内部会長代理 治験をやらないと適応症にならないということですね。確かに場合 によって分布の問題はあるかもしれませんけれども、どこの組織にどのような分布の仕 方をするというのが分かっていれば、それは基礎的な検討で分かるわけですから、本当 に必要なのかということです。いつもそう感じているので、今ここでお答えいただかな くても結構ですけれども、問題提起としておきたいと思います。 ○新薬審査第一部長 堀内先生がおっしゃる点は確かに臨床開発の中で、特に感染症の ように非常に広範な疾患が全部ターゲットになるようなもので、全部を網羅して試験を することがいかに困難かということに根ざしているお話だと思います。欧米では新規の 抗菌剤の開発をする場合に日本の比ではなくて、8,000例とか1万例というぐらいの症 例をやらなければいけなくなるような事態も最近では生じていると聞いております。我 が国において承認前にそれだけの規模の試験をやることはまず不可能という状況でござ いますので、従来その点について感染症学会や化学療法学会、それぞれの学会の先生方 も随分いろいろと御苦労なさっておりまして、それをどのように整理するかということ で、国の方では抗菌薬の臨床開発のガイドラインをまとめてきたという経緯がございま す。  ここのガイドラインの考え方は、現在一応使われているものは主軸となる感染症領域、 呼吸器と泌尿器それぞれでメジャーな疾患、主に肺炎あるいは慢性気道感染症のような 疾患をターゲットにして、規模の大きい比較試験を一つやる。それから泌尿器の方は主 に複雑性尿路感染症のようなケースを対象にして比較試験をやると。この二つを軸にし まして、その周辺の適応についてはできる限りの症例をある程度集めて、それに基づい て適応症を整理しておこうという考え方です。薬剤によって菌種は抗菌スペクトルが違 いますので、それが違ってくるのは仕方がありません。適応症はできるだけぶれないよ うに、そういう基軸となる部分をきちんと押さえたものについては、効能・効果はなる べくそろっていくようにということで、知恵を絞ってやってきているというのが現状で ございます。  とはいうものの、比較的臨床で分離されることがまれな菌種、あるいは皮膚科の辺り でもよく見るのですが、非常に字が読みにくいような難しい名前の疾患、極めてまれに しか出てこないそういう疾患がございます。こうしたまれなものについては症例を求め ても無理だというところが確かにございますので、今回の報告事項のように文献上公知 であるといったことに基づいて後から手当てをするようなことも一方で行っているとい う全体的な状況がございまして、何もしていないというわけではないのですが、何分カ バレッジエリアが非常に広いものですからこういう現状になっております。 ○池田部会長 確かにかなりスペシフィックな疾患名が出てくることがありますよね。 それは恐らく臨床試験のときにやはりそういう症例がエントリーされたということで、 例えばこれでしたら「骨盤腹膜炎」や「ダグラス窩膿瘍」というようなものも一々疾患 名に入ってきていますね。そういうことなのでしょうか。 ○新薬審査第一部長 それで疾患名その他につきましても、今抗菌剤全般に対しての再 評価の作業が行われておりまして、古典的な病名がまだ残っているといったものは今整 理が進んでおります。もうじき全体の効能の整理の整合化を図った形に切り替わるとい う予定になっておりますので、それもまた一つの取組としてやっているということを御 紹介します。 ○池田部会長 そのほかにございますか。どうぞ、後藤委員。 ○後藤委員 今の点に関してですけれども、そういう形で整理されていくことが望まし いと思うのです。例えばこの薬剤の効能・効果を見ると、「淋菌」が有効な菌種として 入っているわけです。疾患名の二つ目が「咽喉頭炎」ということになっているので、素 直に読めば淋菌に対する咽頭炎に関しては一応ここで適応があるということで見ていっ て、それからまた2行下に来るともう1回ここに「淋菌性咽頭炎」が出てきます。一番 下に淋菌のものだけまとめるとか、もう少し分かりやすい整理ができるといいと思うの ですが。 ○池田部会長 その辺はどうでしょう。 ○事務局 後藤先生の御指摘のとおりでございまして、現在部長の森の方から紹介がご ざいました再評価の過程の中で、菌の限定が入っている疾患名についてはその菌名を取 る方向で検討しておりますので、これも再評価のときには全部きれいにそろう予定でご ざいます。 ○後藤委員 よろしくお願いします。 ○池田部会長 今回淋菌性の感染症を入れるということで、淋菌性の感染症の名前をこ の中に分かりやすく入れたというふうに理解するのが妥当かなと思います。確かに後藤 委員がおっしゃるように、片や淋菌があって片や咽頭炎があるわけですから、淋菌性咽 頭炎は当然入ってくるということですね。 ○新薬審査第一部長 今の話につきましては再評価とこのものの承認の前後関係があり ますので、少し先取りをして今回これの承認に当たっては整理させていただきます。 ○池田部会長 そうですね。よろしいですか、後藤委員。そのほかこのロセフィンに関 して何か御意見ございますでしょうか。感染症学会の方から要望が来たということです けれども、後藤先生特にそのほか追加することはないでしょうか。日本の分離された淋 菌に関しては、MICは海外の報告と比べると少し高いのですか。何かそういうことは あるのですか。よろしいでしょうか。それではこのロセフィン静注用の件に関しては先 生方の御了解を得られたということにして、次はジスロマック錠です。これもクラミジ アでございますけれども、これに関しても同様に尿道炎、子宮頸管炎などの適応拡大と いうことでございますが、いかがでしょうか。 ○堀内部会長代理 今回のクラミジア・トラコマティスの場合には、投与の仕方が1,000 mgを1回経口投与するとなっていますね。違うものについては500mgを1日1回で3日 ということですけれども、この審査報告書で体内動態などを見ても、なぜこれだけ投与 の仕方を特に変えなければいけないかよく分からないのですが、もう1回説明をしてい ただけますか。複雑だと思うのです。もしこういう投与の仕方を規定されますと、実際 に投与するときに例えばクラミジアの場合には1,000mgを1回投与という形でないと、 適正な投与の仕方でないということになってしまうわけですね。本当にそれだけの違い があるかどうかお尋ねしたいのです。 ○新薬審査第一部長 今回の適応追加になっているクラミジア・トラコマティスなので すが、性感染症なのです。主に泌尿器の先生方のところに患者さんがいらっしゃるケー スだろうと思うのですが、そちらでは患者さんはそうなかなか繰り返し来てくれません。 1回できちんとたたいておかないと、すぐ耐性化をしたり再発、慢性化という問題が現 実にあるようでございます。欧米においては患者さんが症状が出ていらっしゃったとき に、そこで診断をしてすぐに処方して、1回で十分な有効性が出るような量を飲ませて、 それでもう帰してしまうと。この方が現実的にコンプライアンスの面でも治療の確実性 が期待できるということで、1回投与というのがかなり広く行われているという事情が ございます。我が国においてもそういう使い方を泌尿器科領域、性感染症の治療に当た っておられる先生方が御希望なさっているというのが背景としてございます。今回の追 加された菌種は、これだけがSTDに関係するとほぼ言えるような形になっております ので、現実に現場で混乱が起きるということは比較的ないのではないかと考えておりま す。背景は一応そういうことになっているのですが。 ○堀内部会長代理 分かりました。 ○池田部会長 泌尿器科領域ではCDCのレコメンデーションにあるように、本にも書 いてある1回で大量にやるという国際的な標準治療法というのは、我が国の泌尿器科領 域でももうコンセンサスになっていると考えてよろしいですか。後藤委員、その辺はそ ういう理解でよろしいでしょうか。 ○後藤委員 感染症学会でもそのようになっています。 ○池田部会長 先生方、そのほかに何かございますか。よろしいですか。それではこの アジスロマイシンもクラミジアに関しては適応拡大ということで、投与方法もスペシフ ァイして1回1g経口投与という格好で記載するということで御了解いただいたとして よろしいでしょうか。ありがとうございました。  それでは次に希少疾病用医薬品の指定の取消しについて2品目ございまして、一つは 血液由来の凝固第VII因子、それからもう一つはブロピリミンですけれども、これについ て何か先生方から御意見ございますでしょうか。第VII因子についてはリコンビナントの ものがあるということ、それから実際に成績が余り芳しくなかった、半減期が非常に短 いということで、これ以上開発しても難しいだろうと。現時点では恐らく患者さんがイ ンヒビター症例で困ることは特にないということですね。ですから、取消しもやむを得 ないかなと思いますけれども、いかがでしょう。よろしいですか。  次の膀胱上皮内癌の方、ブロピリミンですけれども、これも既にイムノブラダー等が あって、それと比べて有効性が勝るとは思えないので試験研究を中止しようということ ですが、これについてもいかがでしょうか。吉田先生、何かございますか。泌尿器科の 領域でもやむを得ないだろうということですけれども、よろしいでしょうか。先生方何 か御意見ございますか。それではこれについても先生方の御了解を得られたということ で。  次に議題4でございますけれども、お手元に実際にアシクリルバッグがございますが、 アシクロビルが既に溶解済みのものです。これを新キット製剤として承認してほしいと いうことですけれども、これについては何か御意見ございますか。100ccと200ccの250 mgができているそうですけれども、何かありますか。もう既に溶解済みだということで。 ○堀内部会長代理 このラベルは別なのですね。このままのラベルですか。 ○池田部会長 これはそのままですか。 ○事務局 実際にはそのパッケージの上に印刷される予定になっております。 ○堀内部会長代理 ラベルは実際に使用する側から見るとかなり重要なので、その見本 といいますと実際のものを作って出していただければと思いますが。 ○池田部会長 岡田委員、何か御意見ございますか。 ○岡田委員 一応安定性や有効期間は今までの製剤と同じと考えていいのでしょうか。 ○事務局 はい。安定性は常温保存で3年間ということで、従来のものと同じでござい ます。 ○岡田委員 それと、要するに酸化されないように脱酸素剤が入っているのですけれど も、添付文書か何かでこのインディケーターの錠剤の色が変化したら使用しないとか、 そういうことは一応注意書きとして書いてあるのでしょうか。 ○事務局 添付文書に書いてあるかどうかは調べないと分からないのですが、通常の保 存であれば3年間有効であるという試験結果等によって担保できると思われます。 ○池田部会長 あとはやはりここにどのように書いてあるかとか、実際に使う人はこれ を使うわけですから、ここにどのようなものを記載してその辺を担保するかというのが ないと、先生方も判断に迷うのではないかという気がします。 ○堀内部会長代理 最近こういうキット製剤がたくさん出てくるのですけれども、有効 性と安定性の問題をきちんとしておかないとまずいと思うのです。値段も場合によって はそれほど高くないということもありますし、簡単だからというのでそれを使うケース も多いのです。ですから、この1枚の紙ではなかなか判断しにくい。実際にはキット製 剤が出ると現場に売り込みが来るので、かなり重要な問題ですのでよろしくお願いした いと思います。 ○池田部会長 事務局の方から何かございますか。 ○櫻井委員 100mLと200mLと二つそろえたのは、ゆっくりやるときは200mLを使うと、 単純にそういうことなのですか。100と200では点滴速度を変えるだけでも2倍ぐらい でしたら十分に調節できそうですけれども、これは二つそろえて、余分な手数とお金を 掛けているのではないかという気もするのですが。 ○池田部会長 その辺は何かありますか。 ○事務局 今回は溶解済みのキットなのですけれども、同じ申請者が前回用時溶解のア シクロビル製剤を造りまして既に承認されていますが、そのとき医療機関に対してどの ぐらいの輸液量を使っているかという調査を実施いたしました。その結果100mLを使っ ているところと200〜300mLを使っているところが大体であったということでございま した。それに基づきまして300は200で代用できるという医療機関が多かったという結 果がございまして、それで100mLと200mLにしたということになっております。 ○櫻井委員 これは小児用のキットがあるのですか。 ○事務局 小児用ではなくて、同じアシクロビル製剤なのですが、用時というのは使用 時、必要時に…。 ○櫻井委員 用時というのは必要時ということですか。 ○事務局 必要時に溶解しまして投与するという形態のものでございました。 ○櫻井委員 そうすると、液体だけの…。 ○事務局 液体の上に溶解するものが付いていまして…。 ○櫻井委員 それでセットになっていると。それが100だけ出ていたわけですか。 ○事務局 100と200で両方発売されています。 ○櫻井委員 やはりそのときに出しているわけですか。 ○事務局 はい。 ○池田部会長 実際に臨床的には200と100で使い勝手が違うというふうには余り思え ないですけれども、後藤委員どうでしょうか。 ○後藤委員 臨床医から見ればどちらが使い慣れているかというだけのことで、純粋に 医学的な効果や副作用の問題のレベルの話ではないです。 ○新薬審査第一部長 担当のエリアかどうかというところがあるのですが、今日の御議 論で実際の製品の添付文書と最終的な製品の形状、形態、これでキット製品として本当 に問題を起こさないかどうかということについていろいろと御指摘、御懸念がなされて おりますので、最終的な市販の形態をどのようにするのか、それから添付文書の案はど のようになるのか、一応これは確認いたしまして後日先生方の方にお示しさせていただ くように、私どもの方で対応させていただきます。 ○池田部会長 ありがとうございました。この溶解するということ自体は先生方も余り 御異存はないと思いますので、是非そういう格好で先生方の御意見を伺っていただきた いと思います。よろしいでしょうか。それでは報告事項についてはこれで終了させてい ただきたいと思います。ありがとうございました。予定した議題は以上なのですけれど も、事務局の方からどうぞ。 ○事務局 それでは資料6でございますが、優先審査品目の指定ということで一点御報 告させていただきたいと思います。株式会社ヤクルト本社から申請がありましたエルプ ラチン注射用100mg、一般名はオキサリプラチン、申請年月日が平成16年2月25日で ございます。この品目について優先審査の希望が出てまいりましたので、優先審査に指 定するかどうかという専門協議を開きました。専門委員といたしましては当部会の委員 であります吉田先生、県立愛知病院長の有吉先生、国立病院四国がんセンター院長の高 嶋先生、それから東北大学医学部教授の松野先生、以上4名の先生に専門協議に入って いただきまして、優先審査に該当するかどうかという御意見を頂きました。その御意見 等を踏まえまして優先審査品目にすることが妥当ということで、3月31日付けで結腸・ 直腸癌の効能について優先審査品目に指定することといたしました。  御参考までに優先審査を行う医薬品等の優先審査制度について簡単に御報告いたしま す。まずは大きく二つの分野に分かれまして、(1)が希少疾病用医薬品、希少疾病用医療 用具などに該当するものでございます。(2)が、適応疾病が重篤であるということ、かつ 既存の医薬品又は治療法と比較して有効性又は安全性が医療上明らかに優れているとい うこと、このいずれの要件も満たすものでございます。今回のエルプラチン注射用100 mgについては、この(2)のカテゴリーで優先審査として指定するということでございます。  なお御参考まででございますが、優先審査制度の考え方について昨年の秋以降検討会 で御議論いただきまして、平成16年4月から取扱いを若干変更しております。「注1)」 のところで、今までは適応疾病の重篤性かつ医療上の有用性ということでございました が、 適応疾病の重篤性と医療上の有用性を総合的に評価して選定するといったことで、 その考え方については下に書いてあるとおりでございます。  1枚めくっていただきますと、「2.優先審査品目指定の手続」でございます。これも 優先審査品目の指定について透明性を高めるべきだという御意見がございまして、昨年 4月から優先審査品目の指定について専門協議を行うということ、それから指定が終わ った後担当の部会、抗悪性腫瘍剤ですと当部会でありますけれども、当部会に御報告し て御了解いただくという扱いにさせていただきました。その扱いに従いまして本日御報 告申し上げております。  また1枚めくっていただきますと、優先審査の理由書ということでヤクルト本社から 出てきたものでございます。下にページが打ってございますが、4/7ページを御覧いた だきたいと思います。医療上優れるという理由でございます。「表(3) オキサリプラチン の国内第II相試験成績と他剤の成績」の一番上のカラムがオキサリプラチンでございま すが、対象がフッ化ピリミジン系の治療抵抗性患者ということで、右から二つ目を見て いただきますと生存期間中央値が約11.3か月と出ております。同じような治療抵抗性患 者のもので見ていただきますと、他剤はやはり10か月程度になっております。そういっ たことで生存期間を延ばしているということ。  それから5/7ページでございますが、併用療法の関係の成績が出ております。海外の 試験でございますが、第III相比較試験ということで「表(4)-1」を見ていただきますと、 5-FU/LVとオキサリプラチンの群については生存期間が16.2か月ということで、他 の5-FU/LV群に比べますと1.5か月延びているということ。  それからまた1枚めくっていただきますと他の試験でございますが、やはり併用療法 の生存期間の比較が出ております。「表(4)-2」でございますと、(2)が5-FU/LVとオ キサリプラチンの群でございますが、生存期間中央値が19.5か月ということで、他の併 用療法に比べまして2〜4か月延びているといった点がございます。こういった点を考 慮いたしまして、医療上特に優れていると判断して優先審査品目と指定いたしました。 以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。どなたか御質問ございますでしょうか。オキ サリプラチン、結腸癌、直腸癌について、今までのデータからすると非常に優れている ことがうかがえるということで、医療上の有用性が強く示唆されるので優先審査に指定 したということでございます。吉田委員、何か追加することはございますでしょうか。 ○吉田委員 特段ないのですが、一つ申し上げますと社会的にも本当に期待が高過ぎま して、患者団体からも圧力があって早く承認してほしいということがありました。それ からもう一つはヤクルトそのものにも少し問題があるのですけれども、どうも申請まで に時間が掛かり過ぎて圧倒的に世界から遅れてしまっていると。大規模試験でかなり決 着がついた段階で日本がフォローするということになっておりますが、日本にはまだ5- FUのいい経口剤がありまして、こういったものとコンビネーションで更にどれぐらい 有効性が上がるか非常に興味のあるところで、プロミシングな薬剤だと思いますので、 私も委員として優先審査は当然であろうと判断しました。 ○池田部会長 ありがとうございました。確かに本当にいいお薬だと思われるものが、 取組が遅くて成績が遅れてしまうというのは問題ですね。その辺はどうしたらいいので しょうか。いい薬を早く使いたいのに企業の方の取組が非常に遅いために、世論の力を かりて無理やりという傾向がとても強いのは問題があると思うのですけれども、その辺 は行政の方から何か意見はありますか。 ○新薬審査第一部長 総合機構からお答えさせていただきますが、この4月に発足しま した医薬品医療機器総合機構では審査と治験相談を一体として行うという業務をやるこ とになっております。治験相談については先生方もある程度御存じかと思いますが、開 発の過程における企業の戦略に対して適正かつ速やかに、無駄な試験の繰り返しを避け てできるだけ早く、しかも正しい有用なデータを収集するために規制側の審査等の経験 を生かして相談に乗るという制度でございます。これを審査をしているグループと相談 をやるグループが一体となって行うことによって、より的確なアドバイスができるとい うことが期待されているわけでございまして、今私どももより充実した指導助言という ことに努力しようとしております。ただ、企業が経済性、採算性の問題で開発の着手を 決断するのが遅れるとかという部分に関しては、さすがに私どもの方ではなかなか手が 出ないところでございますが、それについてはまた別途いろいろな手が講じられること が期待されると思います。 ○池田部会長 企業もやはり医薬品を取り扱うには患者さんがいるわけですから、それ なりの責任があります。よろしいでしょうか。先生方何かこれについて御意見ございま すか。特にございませんか。ありがとうございました。  それでは一応今日準備した議題はこれで終了したわけですけれども、事務局の方から 何かございますか。 ○審査管理課長 次回の日程ですが、5月21日金曜日10時半からでございまして、場 所はまた追って御連絡申し上げます。付け加えまして、櫻井委員と藤上委員におかれま しては当第二部会に関しては本日をもって御退任と伺っておりますので…。 ○池田部会長 では、櫻井委員と藤上委員から一言だけごあいさつをお願いいたします。 ○櫻井委員 お世話になりましたけれども、医師会の役員の交代があり、退任すること になりました。ありがとうございました。 ○藤上委員 私も日本薬剤師会の方の役員を退任しましたので、交替ということになり ます。ありがとうございました。最後に一言言わせていただいてよろしいでしょうか。 実はここの部会ということではなくて、私は第一部会、第二部会に参加させていただい ていたのですけれども、部会で議論されたことがそのまま市販後のメーカーの広報の在 り方に反映されていないというのが時々ありますので、そういうものをどのようにして 確認されていくのかと思ったのです。実はある薬剤の薬理作用に関して同種同効品と違 うということを強調したい部分があったのですけれども、部会の方でまだそれを強調す るエビデンスがないということで、それは広報しないようにという形になったのですが、 いざ出てきたパンフレットなどにはしっかりそういうことが書いてあるようなことがご ざいますので、そういうものはどのように御確認なさっていくのかと思いまして…。 ○池田部会長 行政の方からの指導あるいはその確認ですね。 ○新薬審査第一部長 御指摘いただいたものに関しては市販後の情報提供資材が様々ご ざいまして、一番注目して行うものは添付文書でございますが、病院現場に行く場合は インタビューフォームその他見やすいパンフレット、あるいはワークシートのようなも の、様々な資材が作られます。それらをすべて点検し切るということはなかなか難しい のですが、私どももできるだけ御指摘の趣旨を踏まえて個別の指導についても努力して まいりたいと思います。これまでも幾つもの事例について懇切丁寧に御指導いただきま して、ありがとうございました。 ○池田部会長 それではこれで本日の部会を終了させていただきたいと思います。どう もありがとうございました。    ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 佐藤(内線2734) - 1 -