04/04/14 第19回厚生科学審議会科学技術部会議事録                   第19回               厚生科学審議会科学技術部会                    議事録              厚生労働省大臣官房厚生科学課             第19回厚生科学審議会科学技術部会                   議事次第 ○日時   平成16年4月14日(水) 10:40〜12:00 ○場所   厚生労働省 省議室(中央合同庁舎第5号館 9階) ○出席委員 矢崎部会長       今井委員 井村委員 金澤委員 北村委員 倉田委員 黒川委員       佐藤委員 柴田委員 竹中委員 長尾委員 松本委員 南 委員      (事務局)       上田技術総括審議官 中谷厚生科学課長 成田研究企画官 他 ○議事  1.平成17年度 厚生労働科学技術政策について(案)  2.機関評価について  3.医薬基盤研究所について  4.遺伝子治療臨床研究に係る遺伝子組換え生物等の使用等の規制について  5.遺伝子治療臨床研究について  6.3T3J2株及び3T3NIH株をフィーダー細胞として利用する上皮系の再生医療への指   針(案)について ○配付資料  1.平成17年度厚生労働科学技術政策(案)及び検討スケジュール(案)について  2.国立国際医療センター研究所の機関評価について  3.独立行政法人医薬基盤研究所法案について  4.遺伝子治療臨床研究に係わる遺伝子組換え生物等の使用等の規制について  5.遺伝子治療臨床研究に関する実施施設からの報告について(1件)  6.「再生医療分野における異種移植の実施に伴う公衆衛生上の感染症問題に関する   指針」に基づく3T3J2株及び3T3NIH株をフィーダー細胞として利用する   上皮系の再生医療への指針(案)について ○参考資料  1.厚生科学審議会科学技術部会委員名簿  2−1.平成17年度の重点化の方向性について(総合科学技術会議)  2−2.総合科学技術会議提出資料等 ○事務局  定刻になりましたので、ただいまから「第19回厚生科学審議会科学技術部会」を開催 いたします。委員の皆様方には、ご多忙のおり、お集まりいただきましてありがとうご ざいます。本日は垣添委員、加藤委員、笹月委員、高久委員、中尾委員、中村委員、長 谷川委員から、ご欠席の連絡をいただいております。委員20名のうち、ご出席いただい ている委員が過半数を超えておりますので、会議が成立いたしますことをご報告申し上 げます。  次は委員の交代の件です。吉倉委員が委員を退任されて、新たに国立感染症研究所の 倉田所長に委員としてご就任いただいております。この結果、現在の委員は、参考資料 1の名簿のとおりになっておりますので、ご覧いただきたいと思います。  次に配付資料の確認をさせていただきます。お手元に議事次第がございます。その下 のほうに配付資料と参考資料を掲げております。配付資料は1〜6まで、参考資料は、 参考資料1と参考資料2−1と2−2です。このほかに資料番号は付いていませんが、 国際医療センターのパンフレットがございます。  では、部会長、議事の進行をよろしくお願いいたします。 ○矢崎部会長  委員の皆様方、お忙しいところお集まりいただきありがとうございました。本日の議 題は、平成17年度の厚生労働省科学技術分野における重点政策について、議論を進めて まいりたいと思います。是非、先生方の活発なご意見をいただければ、大変有難く思い ます。  初めに事務局から、平成17年度の厚生労働科学研究政策の検討スケジュールについて 説明をお願いします。 ○事務局  資料1の1頁目「平成17年度厚生労働科学技術政策の検討スケジュール(案)」をご 覧下さい。右側に総合科学技術会議等における検討状況のスケジュール、左側に厚生労 働省における検討スケジュールを示しております。総合科学技術会議では、平成17年度 の研究分野における資源配分の方針を検討しており、今年4月末の総合科学技術会議に おいて、厚生労働省をはじめとし、各省から平成17年度の重点分野についてのプレゼン テーションが行われる予定になっております。これらを踏まえ、5月末の総合科学技術 会議の本会議において、政府全体としての平成17年度の研究分野における資源配分の方 針が決定される予定になっております。  本日の厚生科学審議会科学技術部会においては、平成17年度の厚生労働科学政策の重 点についてご議論をいただきたいと思っております。さらに5月末に政府の平成17年度 の資源配分方針が決定されますので、それらを踏まえ、次回、6月、7月頃の科学技術 部会において、平成17年度の厚生労働科学の研究分野について、ご議論をいただきたい と思っております。併せて、現在の科学技術基本計画は平成17年度までとなっておりま すので、その改訂に向けて、厚生労働省として厚生労働科学研究における中長期的展望 について検討を始めていただきたいと考えております。  また、厚生労働科学研究の平成17年度の公募課題については、9月、10月頃予定して おります科学技術部会でご議論をいただきたいと思っております。 ○矢崎部会長  厚生労働科学研究政策の資源配分といいますか、予算配分が決まっていくスケジュー ルをご説明いただきました。本日の科学技術部会については、厚生労働科学技術分野の 重点領域についてご議論をいただきたいと思います。5月末の政府の研究分野厚生労働 科学資源配分の方針を踏まえ、次回の部会で平成17年度の厚生労働科学技術分野におけ る研究課題について、議論をさらに深めていきたいと思います。  それでは、平成17年度の厚生労働科学技術分野の重点について、事務局から資料の説 明をお願いします。説明に当たっては、効果的、効率的に審議が進められるように、特 に重点的に審議すべきポイントについて企画官からよろしくお願いいたします。 ○事務局  資料1の2頁目です。この2頁をご説明する前に参考資料2−1と2−2について説 明します。参考資料2−2は、総合科学技術会議等で今年に入り、説明したものをご紹 介します。1頁は今年1月29日に開催された総合科学技術会議に提出した資料です。1 月ですので鳥インフルエンザ等が大変問題になっており、総合科学技術会議でも感染症 対策についてご議論をいただきました。その際に厚生労働大臣から説明された資料で す。生活習慣病についてのウェイトは大きくなっておりますが、感染症、かなりのウェ イトがあります。また、日本をとりまくアジア地域の新興感染症も、いろいろ起こって きている状況です。21世紀の感染症対策の充実、研究体制の強化、国際協力の推進の必 要があることを説明しております。また、感染症に立ち向かうシステムでは、国、都道 府県、市町村の役割分担のほかに、さらに連携を深めていく必要があります。具体的に は、国内における対策の充実、サーベイランスの充実、C型インフルエンザ発生に備え た体制整備、WHOと連携した途上国への技術支援、国際的視野を持った研究の推進が 必要であろう、という説明をしております。  3頁は、立国調査会の際の資料です。平成17年度に向けて、今後の科学技術分野にお ける課題等について現状で考えていることを報告せよというものです。厚生労働科学研 究において考えられる重点分野では、SARS、鳥インフルエンザ研究等の強化、感染 症研究の充実、健康分野では先端科学技術の実用化が考えられること。感染症対策で は、新興、再興等の感染症対策についても強化が必要である。先端科学技術の成果を疾 病対策、健康分野へつないでいく必要がある。課題としては、国民の健康水準の向上、 疾病対策、創薬のための先端科学技術の実用化に向けた研究対策の強化が必要だろう。 具体的には、ゲノム科学の先端科学技術への実用化で、ゲノム科学の成果を国民へとい うことです。それと、医薬品、医療機器産業の競争力の強化も考えられるということ。 現在、独立行政法人医薬品基盤研究所の設立に向けての準備について報告しています。  6頁は、平成16年3月24日の総合科学技術会議に提出した資料です。この際には、安 心・安全の観点からの科学技術の推進などが議論されており、感染症対策等の安全対 策、危機管理としての安全はもちろん必要ですが、それと並行して、国民の最も関心な 事項は何であるかを「国民生活基礎調査」の結果に基づき、大臣からご説明をいただい ております。国民生活基礎調査結果によると、国民全体では約3割が、国民の大きな不 安要因としては健康問題、65歳以上では約8割の方が、悩みやストレスの原因というこ とで大きな不安をお持ちです。そのような者に対する研究開発を進めていく必要がある だろうということで、「健康安心の推進」、「健康安全の保証」という観点から進めて いったらどうだろうか、というご説明をいただいております。健康安心の推進分野にお いては、生活習慣病等の疾病予防・介護予防への最先端科学技術応用の推進というよう なこと。健康安全の保証では、感染症・テロ等対策等による健康被害の防止および迅速 対応の基盤強化が必要だろうと説明されております。  7頁は、昨日開催されたミレニアム・ゲノム・プロジェクトの評価助言会議におい て、平成17年度以降のプロジェクトの検討状況について報告させて頂いたものです。先 端科学技術の成果を疾病対策や健康増進分野へ進めることが考えられるのではないか。 その実用化に当たっては医療への実用化であるので、その根拠の明確化が必要だろうと いうことで「gEBM・EBH」としています。ゲノム科学等を踏まえたgEBM、ゲ ノムと環境因子ということで、gEといってもいいのかもしれませんがgEBMという こと。それとEBHのHはヘルスで、根拠に基づいた保健という観点から実用化に向け た研究を進めていくことが必要ではないだろうかということです。ミレニアム・プロ ジェクトの、厚生労働分野においては大きく疾患遺伝子分野と再生医療分野がありま す。7頁の下のほうは疾患遺伝子分野で、ミレニアム・プロジェクトについては平成16 年までの5年間、研究を進める予定になっております。  「主な成果」と書いてありますが、ゲノムの観点から疾病等についての研究を体系的 に進めるのは、このミレニアム・プロジェクトが初めてです。ゲノムの観点から疾病対 策の基盤整備をつくっていただいたのは、ミレニアム・プロジェクトの成果ではないか と思っております。具体的にも疾患遺伝子、関連遺伝子についても、多型や遺伝子の同 定が進められておりますし、具体的な医療に結び付くような知見も発見されておりま す。  今後を考えますと、ゲノム遺伝子診断といいますか、遺伝子に関することが医療の中 で一般的になってくるような世の中になってくるのではないかと思っておりますので、 それに根拠付けをする研究を進めていくべきだろうという説明をしております。さらに は、例えば5年後を目標に、具体的な予防、診断、治療、本態解明、創薬分野について 具体的な目標を設定し、それに向けた取組みをやってはどうかということです。その際 には、共通基盤の整備としてデータベース等の整備も必要ではないかと考えておりま す。  ミレニアム・プロジェクトのもう1つの分野で再生医療があります。再生医療につい ては、血管、皮膚、角膜等の6つの分野で研究を進めております。それぞれの進捗状況 についてはいろいろありますが、これまでの成果を踏まえ、具体的な医療、創薬につな がることが期待できるので、さらに進めることが必要ではないかと考えております。そ の際には、安全な再生医療技術の確立に向けた研究がキーになる、ということで検討状 況について報告しております。  次は参考資料2−1です。これは3月24日の総合科学技術会議に提出されたもので、 「平成17年度の重点化の方向性について」です。これは平成17年度の資源配分方針の骨 格となる位置付けと聞いております。平成17年度の重点化の方向性については、1頁に 示されている「現状認識」であり、3つ目の○にあります、急速な少子高齢化に、経済 のグローバル化等に直面する課題が山積している。安心・安全な生活の確保が課題とし て示されております。  2頁には平成17年度の施策の方向性が示されております。1、我が国の発展基盤とな る研究開発の着実な推進。2、我が国の経済を活性化し国際競争力を確保する科学技術 活動の推進。3、安心・安全な生活を実現する科学技術活動の推進。4、科学技術シス テムの改革となっています。厚生労働省関係では、特に3の安心・安全な生活を実現す る科学技術活動の推進が重要かと思います。その中でも、高齢化社会における健康の増 進、感染症対策、食の安全確保が示されています。  これらの状況を踏まえ、事務局で平成17年度の厚生労働科学政策についてということ で、資料1の2頁に、安心・安全という観点からの高い健康生活実現のための3つの視 点をまとめております。1、健康安心の推進、糖尿病を初めとする生活習慣病などの疾 病や介護状態の予防等、国民一人一人の健康問題への対応。2、健康安全の確保、SA RS等の新興感染症への対応、食の安全の確保、医療事故や医薬品の副作用など医療に 関連する諸問題への対応。3、先端医療の実現。先端科学技術の医療現場への導入促進 という観点で、ゲノム科学、再生医療、タンパク質科学等の最先端科学技術を用いて、 3視点での科学技術政策を進めていったらどうかというまとめになっております。  以上、平成17年度厚生労働科学技術政策の重点分野について、ご議論いただきたくよ ろしくお願いします。 ○矢崎部会長  厚生労働科学技術政策の重点領域と、今後の進め方の概要について説明をいただきま した。サイエンスからプラクティスへと謳われていますが、実際に、プラクティスのど こまでいくかが課題だと思います。今日は方向を決める前の段階ですので、委員の方々 から自由闊達なご意見を承れば大変有難く存じます。  ゲノム・プロジェクトのサイエンスからプラクティスで、いちばん近いところはゲノ ム創薬の領域が注目されると思います。竹中委員からコメントをいただきたいと思いま すが、いかがでしょうか。 ○竹中委員  いま私自身、研究所から遠ざかっているので、その進行状況はメールや報告書でしか 読んでいない状況でコメントします。病気と関連したタンパク質の研究はかなり進んで きて、その後の進展としてタンパク質と低分子化合物との相互利用、例えば化学とその 構造を、ちょうど構造生物学と科学とつながるところに来つつあるのではないか、そこ が次に薬を生む橋渡しになっている所に来つつある。私ども企業側から見るとそういう 位置付けにあります。  したがいまして、新薬創製の技術は、まさにサイエンスとプラクティスの間をつなぐ 所になりますので、大学等いろいろな研究機関で、病気と関係するようなタンパクが新 しく見つけられ、それの構造が三次元で分かる一方、企業が持っている化学的なものの 情報をコンピューターを通じ、うまく設計することによりプラクティスが生まれる可能 性が出てくるのではないか。その時期にちょうどきているように思っております。 ○矢崎部会長  この領域は世界的に競争の激しいところです。我が国としては、どこに集中的に予算 を配分したらいいのか、というところはいかがでしょうか。竹中委員、何かお考えはあ りますでしょうか。 ○竹中委員  実際に見ておりまして、企業サイエンスからプラクティスにもっていくとき間に入っ てくるのは、アカデミアと企業との提携の中に出てくると思います。企業側は化学やコ ンピューテーショナル・ケミストリーという面の整備をいま急いでおります。いわゆる 医学と生物学、ゲノムを中心にしたもの、今までどおりの形でも結構ですが、そちらを どんどんと。いわゆる病気というものの視点で生物学を攻めて、新しいタンパクの発見 をしていただけたらと思います。これは、私個人的には重要なことだと思います。  そうしますと、今までと変わらないではないかという形になりますが、アカデミアと 企業との間が最近より近くなってきましたので、そういう棲み分けをすれば、さらに近 くなり、それがプラクティスにつながっていくと思っております。今までどおりの配分 になってしまうかもしれませんが、私は早急に変える必要はないと思っております。 ○井村委員  いちばん下に例として2つ出ておりますが、この2つはつながっているものであるこ とは明らかだろうと思います。重点化を今までとはあまり変わらない格好で、とにかく タンパク科学あるいはゲノムが決まれば、すでにタンパク科学を超えてタンパクの構造 がある程度推測できる時代になっておりますので、おそらく非常なスピードでいろいろ なことが分かってくるのではないかと思います。そういうことが分かり、ITを利用 し、いろいろな候補の化合物などが出てきたときに、いちばん問題になるのは、治験環 境がどのぐらい整っているかがプラクティスの部分で非常に重要な課題になると思いま す。  ここで書かれている治験環境の整備という言葉を出したときに、どういうことを考え てイメージしているのか、私はご説明を伺いたいと思います。その辺をどう改善するか が重要な課題かと思っています。 ○事務局  いまご指摘いただいた治験環境の整備については、実用化というかプラクティスに当 たり大変重要だと認識しております。治験の空洞化と言われているものですから、昨年 から「治験活性化3カ年計画」を整備いたしましたし、また、治験範囲の拡大というこ とで「医師主導の治験」もしております。また、治験環境のシステムを作るために「大 規模治験ネットワーク」も動き出しました。少しずつ整備をしているところですが、さ らに続けていく必要があると思っております。 ○矢崎部会長  治験は極めて重要な課題だと思いますし、いま言われた治験を我が国で円滑に進める にはいろいろな方策が必要だと思います。それをどうしたらいいかということをいま企 画官から幾つかポイントを挙げられましたが、次回にでもそれについてお考えいただけ れば大変有難いと思います。 ○今井委員  健康安全確保の中の感染症関係ですが、結局、新型ウイルス、SARSなどが突然来 て、そして流行って、かなり脅威になって去っていくような世の中になっています。も ちろんアメリカとは離れていますが、ウエストナイル・ウイルスが来ないとも限らない 状況の中に今います。日本は医療レベル、国民の意識も高いですから、今までのところ 急に流行ったものに対しての被害は受けていませんが、例えば鳥インフルエンザなど は、オランダで流行っていたときのことを先に知っていて、先に研究しておれば焦らな くて済んだかなという状況があると思います。  参考資料2−2の感染症関係では、WHOとも連携した途上国への技術支援となって いますが、私は途上国への技術支援の前に、日本国内のために他国でも研究、まさに治 験も含めたいろいろな研究ができる体制を少し広げると、こういった感染症、しかも次 々に入って来る新型のものにはいいのではないかと思います。  1998年だったか何年だったかちょっと忘れましたが、寄生虫の国際的なコラボレート のシステムとして「橋本イニシアティブ」ができました。日本人が、いわゆるWHOな どの国際レベルのシステム作りをするというのは、わりと少ないのです。内閣として は、森内閣のときでしたが橋本竜太郎氏の提案でできたのです。それは寄生虫からはじ まってエイズまで広がっています。その先に今度はSARSや鳥インフルエンザをくっ 付けていくことは、日本が最初にイニシアティブをとっているからやりやすいのではな いかと思います。どこかで新型の何かが流行ったときに、先に日本から研究をし、要は それに対する対応策の信号が出せて、そこである程度、分かって来れば安心である。そ の辺のシステム作りを予防の面でできればと思います。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。倉田委員、何かコメントありますでしょうか。 ○倉田委員  ここにSARSと鳥インフルエンザが出ていますが、また、いまお話のあったウエス トナイル・ウイルスを含めて全部ポイントが違います。それではSARSが何が問題か というと、自然界からヒトにくるところがいちばんの問題です。鳥インフルエンザの場 合は、シベリアのほうの湖に行けばいくらでも見つかるもので、カモはほとんど持って います。カモが持っている分にはカモは死ぬわけではなく、弱毒の型です。これが一 旦、いわゆるニワトリの口に入ると猛毒化しニワトリがバタバタ死ぬ。それからヒトに くるには、もうワンステップあります。  先ほどオランダの話がありましたが、これは型が全然違うもので、Hの型が少し違う H7N7です。これが1つの例としてどうかというお話だと思いますが、日本はそのと き入ると思っていなかったということもあろうと思います。今回のものについても、ど ういうプロセスで来たかについては農水省も環境庁もいろいろ調べていますが、もう1 つ分からない。鳥の飛来するルートからすれば、韓国の問題も含め、中国の実態につい てはもう1つ把握できていない部分もありますが、とにかく、あっちこっちで大量のニ ワトリが死んでいるということだけが把握されております。  日本での今回の問題は行政の対応が早かったこともありますが、非常に速やかに対策 がとられ、治められた。今後はどうかというと、これはSARSと違い、間違いなくさ らに入ると推測しています。あとは鶏舎のつくり方や、外の野鳥が入って来ないように するとか、いろいろな工夫が必要かも知れません。日本の鳥の飼い方は、東南アジアで 起こった国々に調査に行ったり、技術協力に行った人の話を聞きますと、少し違うとい うことです。しかし、野鳥を止めることはできませんし、健康な野鳥も、先月農水・環 境省とが野鳥の会の方々が相当数の野鳥を調べたのですが、死ぬ間際に弱くなった鳥 は、ほかの鳥が食べてしまうので、健康な鳥をつかまえてもウイルスは持っていない。  カモについてはシベリアでいくらでも捕まるわけで、これは今後問題になるだろうと 思います。これに関しては、まずヒトに来る前で鳥がバタバタ死ぬというところで、そ の集団をヒトから隔離するというか、完全にそういうことをなくす、ヒト世界に近寄ら ないようにすること以外には、いまのところ方法はないと思います。ただし、このニワ トリを食べても加熱してあれば、全くヒトには影響ないこともはっきりしています。  オランダのH7の例ですが、これはH5に比べると弱毒です。アメリカで起こったの もこれと同じタイプで、日本で今回問題になったH5とは違います。それではどうやっ て防ぐかという問題については、これは野鳥の問題の話になってきます。  日本への進入ルートですが、韓国からいろいろな物資の往来と人の動きの中で入った のではないかと推測されている方もおります。カモに責任をなすりつけるなとも言われ ていますが、それでは韓国はどこから入って来たかという問題があります。それは中国 から来たのかということに関しては、我々は把握もできないし韓国自身も把握しており ません。入って来るルートについては、人が無意識のうちに運んだ可能性があるという こと、それと野鳥の2つです。ですから、鶏舎に近づく人は、自分が持ち込むと、鳥を 汚すかもしれないという前提で対応する以外には、多分、ヒト前段階のところを止める ことはできないだろうと思います。  アジアへの協力の問題ですが、今回の問題が起きてから、ベトナム、インドネシア、 タイ、そのほかの国々に対しての協力関係では、鳥インフルエンザの診断の問題に関し ては、関係国から多数の人が入れ代わり、立ち代わり出て、診断技術提供と、その現場 でできることをやっています。とにかく鳥の問題は、日本のような人の社会から隔離さ れた場所での養鶏になっていないところが、日本の状況とはかなり異なると思います。 どういうことかと言うと、人と共同生活をしています。ベトナムでもタイでもそのほか の国々においても共同生活をしています。それから、バタバタ死んだ鳥を片付けるのに マスクもしていないし、手袋もしないで素足で鶏舎の中で片付けています。そういう映 像がテレビあるいは、我々のグループが撮ってきた映像にも見られます。この問題、こ れ以上日本が立ち入ってやるかどうかについては、その国の状況があると思いますし、 とにかく、それでは人への感染は防げないと思います。  人から人への問題になりますと、その国の鳥の管理システムの問題レベルでは済まな くて、世界の問題になります。診断の技術提供をきちんとやるということに関してはや っていますが、出たらすぐ鳥と、その周辺にいた人をウォッチングする、監視すること が最大のポイントです。それをアジア諸国の間で、きちんとしていただくことでしょう か。研究者の間では、その話はずっと関係ルートを通じて、またWHOでは、もうすで に対応していると思います。 ○矢崎部会長  今井委員のご質問の真意は、おそらく橋本イニシアティブで始まった内閣での対策な ど、国を挙げて総合的な対策をしていくのが必要ではないか、いろいろなものを一歩一 歩前に対応するには厚生労働省だけではなく、いまの鳥ウイルスも含めて、農水省の関 係もありますし、我が国の全体的なものを構築してほしいというご意見かと私は思いま した。 ○今井委員  そうです。それとプラス、国際的なコラボレートの部分です。ただアジアに対して援 助をしました、支援しましたというようなピンポイントではなくて、国際的なコラボレ ートに橋本イニシアティブをつなげていけば、新型のいろいろな感染症にいけるのでは ないかと思います。 ○上田技術総括審議官 先ほど企画官から、これまでの経過と平成17年度の政策につい て説明させて頂きましたが、感染症対策についてもアジアの問題といったような視点で 取り組まなければいけないだろうと、事務局として提案させていただいています。こう した中で、今後のテーマについて、アジアの問題、他省庁との関係など、委員のご指摘 を踏まえながら進めていきたいと思っておりますので、いろいろご意見をいただければ 有難いと考えています。 ○金澤委員  3つの柱、しかも、それは今までの成果を踏まえてのご提案で大変良く分かるもので す。それで、ちょっと別な観点を1つ入れていただければいいのではないかと思うこと がありますので申し上げます。いまご提案になっているのは大体大人に対することで す。例えば生活習慣病などは大体大人です。もちろん一部子供が対象になるSARSな どがあります。しかし、10年先、20年先を考えますと、やはり子供が、決して頭の問題 だけではなく、体自身がきちんとした形で成長しているかどうかということは、極めて 大事なことだと思います。  最近聞いた話で驚いたのですが、子供たちは学校給食で養われているようなものだ、 という話も一方ではあるようです。つまり、栄養の問題が意外と見過ごされている部分 があります。「健康安心の推進」、「健康安全の確保」の中に、子供の発達の観点を是 非どこかに入れていただきたいと思います。  文部科学省では脳科学と教育という観点から発達を見ていると思いますが、それはあ る意味で非常に狭い範囲の視点です。もう少しブロードな観点から厚生労働省は扱って はいかがかと思っています。 ○矢崎部会長  食の安全だけではなく、栄養的な側面からの研究ということですね。 ○金澤委員  体の発達とともに心の発達が極めて大事なわけです。これは心の健康科学ということ でサポートしていただいておりますが、発達の視点がちょっと欠けているので、そこを お願いしたいと思います。 ○矢崎部会長  ほかにはいかがでしょうか。 ○佐藤委員  健康問題は障害を持っている方々にとって、非常に大きな問題になっているという認 識を持っています。生活習慣病的な糖代謝異常であるとか、高脂血症であるとか、そう いうものが障害を持っている方の4分の3くらいにみられるというデータも出ておりま す。健康安全という部分で、障害を持っている方の生活習慣を変えるというのはなかな か難しい面もあるのですが、そういう視点もどこかに入れておく必要があろうかと考え ております。 ○柴田委員  安心・安全、先端医療と大変結構だと思います。ヒトゲノムにしろ先端医療にしろ、 いわゆる最先端の部分を先へ延ばしていくことの大事さというのは、非常に分かりやす いと思います。安心・安全の部分で今いちばん必要なことは、先へ延ばす方向ではな く、逆に後ろ向きの方向なのではないかと。つまり、現在ある医療なら医療体制、ある いは、薬や食の安全は現在の体制でいいのかどうかを、もう1回見直し、考え直す。方 向性でいうと、全く後ろ向きの、後ろ向きという言葉はおかしいかもしれませんが、い わゆる先端を延ばすということで言えば、後ろ向きのことに今ものすごく力を入れる時 期にあるのではないかという気がしているのです。そういうことを分かりやすく国民に 知らせるためには先端を延ばすという方向だけではないという、言うならば後ろ向きな ことをやります、ということを大きな見出しにひとつ。前を延ばすことと後ろを見直す ことの提案の仕方が必要ではないか、という気が私はしています。  ここに「医療事故」の問題があります。医療事故で患者の取り違いがいくつかありま したが、患者の取り違え問題で、そのお医者さんいわく、患者に会ったときに、自分は 必ず「何々さんですね」とは言わないと、「お名前は」と聞くのだと。何々さんですね と言えば、患者はそれを聞かなくても、そのままお医者さんに言われたとおり思ってし まう人がたくさんいるのだ、ということを言っておられました。確かに、ものすごく簡 単なことを徹底することは先端医療とは全く違いますが、そのことをもっともっと日本 でやっていかないと、特に医療に対する国民の不信感を払拭することの大切さが、先端 を伸ばす以上に大切なのではないかと私は感じております。 ○矢崎部会長  後ろ向きというのは、事務局のキーワードにありますエビデンスに基づいた医療とか ヘルスプロモーション、EBHという言葉を出されましたが、エビデンスをきちんと我 が国で整えていくのも重要な領域ではないか、というお話かと思います。  今日は総合科学技術会議の委員でおられます黒川委員がいらっしゃっていますので、 我々この部会としては、総合科学技術会議での議論とキャッチボールしながら具体的な 案を固めていくという方針ですので、何かコメントがありましたら、お願いしたいと思 います。 ○黒川委員  今度は「対がんの10か年第3次」も出ておりますし、これからパブリックファンドを どう使うかという話をすると、やはり国民のいちばんの関心は、健康とか社会保障のよ うなところに、いちばん不安が多いのはたしかです。そうなると、ここは科学ですが、 あそこは科学政策の話で社会保障という、ソーシャル・ストラクチャーの話はしないわ けです。  そういう意味では、出口を何にするのかという大きなビジョンがあって、そのために は毎年どういうステップをするのかというのがすごく大事なのですが、いろいろなメデ ィカルフロンティアにしても、毎年毎年公募していると言っても、出口をどうしたら公 募の意味があるのかというのがなかなかなくて、北村委員ともよく相談しているので す。特に中谷課長その他とよく「ミッションは何なのか」そのための方策を話をしてい ます。これは省内でできることがずいぶんありますので、是非、その点を、同じ公募と いってもやり方がいろいろありますので、いま相談しているところですので、先生方と 英知をしたいと思います。  それぞれの省の中でも縦割りで取り合いをしているところもあり、そういうのは厚生 労働省としてはまずいので、出口を明確にした方策を考えてくれという話をしています ので、是非、期待したいと思います。 ○矢崎部会長  そういう意味でこの部会の議論の深まりも重要だと思います。ほかにはいかがでしょ うか。 ○北村委員  平成17年度の政策は、今までとは少し違ってテーマが包括的といいますか、大変面白 いと思います。これを担当する研究者たちにとっては、自分はいろいろな分野に入って いけるという広さもあるので、新しい方法かなと大変面白く拝見しているところです。  昨日もありましたポストミレニアムの問題委員会とか、内閣府で昨日ありましたナノ テクノロジーの委員会で議論された点ですが、5年計画が当初の目標よりも、さして芳 しくないであろうというものの、つながりの点においてどうするのか。例えば昨日のポ ストゲノムの件は、3番につながっていく形をとっておられるのですか。  平成16年度までの研究の成果とつながる必要があります。そこで中断するわけにはい かない長いスパンが必要ですので、平成16年度までの政策の引き継ぎ、つながりという 観点から見たら、どうなっているのかを説明してください。 ○事務局  ポストゲノムといいますか、ミレニアム・プロジェクトのポストミレニアムというこ とを考えますと、基本的には5大疾患についてポストミレニアムのゲノム研究を行って いただいておりますので、健康安全の中の生活習慣病の予防推進とか、その根拠のため のゲノム科学という考えでおります。  もう1つは、さらに先端技術を進めていただくという意味で、3番の先端技術に落ち 着ける、というところにつなげていけたらと考えております ○北村委員  その連続性を保つことは、確実に行われるという形で出てきていると理解してよろし いですか。 ○事務局  その方向で進めていきたいというところです。 ○上田技術総括審議官 私ども前回ポストミレニアムのお話をさせていただきました。 実際に携わっている先生方から、疾患関連遺伝子を発見しましたなどいろいろ伺ってい ますが、こういった研究が健康安心や先端医療にどうつながるか、計画の目的なり、進 め方を聞かせていただき、私どもとしては一緒に進めていきたいと考えています。ご提 言等を聞かせていただきながら、我々も取り組んでいきたいと考えております。 ○矢崎部会長  先ほど企画官から説明がありましたように、我が国全体での平成17年度研究費の資源 配分の方針を決めていく過程において、我々の議論が今後とも、そちらのほうに反映さ れるように、是非ご努力をいただきたいとともに、黒川委員におかれましては、健康安 心科学の重要さを科学技術会議の中で反映していただければ、大変有難いと思いますの で今後ともよろしくお願いいたします。  私どもとしては、先ほどのスケジュールのところでご説明がありました、6月から7 月ごろに、もう少し具体的に平成17年度厚生科学の内容などを検討していきたいと思い ます。次回は総合科学技術会議で決定された方針を報告いただいて、また議論を深めて いきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。  それでは、次の機関評価について事務局から説明をお願いしたいと思います。 ○事務局  機関評価については、それぞれの試験研究機関、ナショナルセンター等の研究所にお いて、外部評価等を行っていただいております。その結果について報告をいただき、ま た、科学技術部会のご意見もいただく仕組みになっております。  今回は、国立国際医療センターの研究所の評価について、国際医療センターのほうか ら、ご報告等をお願いしたいと思います。 ○倉辻国際医療センター研究所長  国際医療センターの研究所を4月から引き受けました倉辻です、よろしくお願いいた します。資料2です。アウトラインをご説明いたしますと、平成11年から平成13年度に かけて外部評価があり、それの報告が6頁からになっております。それで指摘されたこ とに対する対処後の中間評価として、平成15年3月に中間評価が行われました。それが お手元の資料2−2の3頁からです。平成16年が2回目の外部評価のまとめとなります ので、これに関する報告書というものはまだいただいておりませんが、それを基にして 対処方針を3頁以降に書いてあります。その2つをまとめ、概略を示したのが、1頁で す。縦横になっている2−1というもので、そのいずれの指摘でも、まず方針、それか ら、何を結果として求めるかということに関しては、概ねこれでよろしいということで したが、その具体化、それに対する対処、フレキシビリティというものを非常に強調さ れました。まず対象は、感染症、糖尿病をはじめとする多因子疾患、要は他のナショナ ルセンターでは取り扱わない疾患全部です。その病因・病態の解明と、治療・予防法な どの開発による告布をするということですが、具体的な対処方針としては、研究室長あ るいは研究部長を任期付きとし、内部での関連の研究部をグループ化して、なおかつ、 病院との協力体制というものを再編成して、外国とも最先端の協力関係というものを保 ちながら、内部でのフレキシビリティ、対応の組織として臨機応変に対応できるグルー プ化というものを対処として挙げております。具体的には後ほどご説明いたします。  病院との協力体制に関しては、現在ジェイクラックというものが、それをデータマネ ジメントセンターというふうにもうちょっと大きくして、他組織とも関連づけてつくれ るようにして計画中です。  それから、具体化ですが、現在例えばO-157の治療薬とか、そういうものに関しても、 企業を含む関連施設と連携して、それを具体化するというふうに努めております。  2番目に、国際医療ですが、これは単なる途上国に対する技術支援だけでなく、SA RS、あるいは、その他多因子疾患の最先端を、これはどこの国でも共通の疾患ですの で、国際協力の緊急体制をつくり、やっております。その一例として、今度の10月か ら、概算要求が通りましたが、病院のほうでは国際疾病センターという、臨機応変に対 応できるセクションをつくりました。それに移行する形で研究所では、感染症制御臨床 研究部という、いままでの感染・熱帯病研究部を再編して、それに新たに感染症免疫遺 伝研究室、ヒト型動物開発研究室というものを新設しまして、新しい病気にも対応でき るようにしております。これはこの1つの部だけではなく、ほかの遺伝研究部とか、難 治疾患研究部、そういう所と協力しながらやっていく。国際的な病気に関しては、病院 ・協力局という所が、例えばベトナムとか中国とか、そういうことに置き換わってきま す。それで、最終的には国際協力というものを技術的な支援と同時に、最先端の疾病の 解明のための共同研究体制というものをつくるように対処する予定です。以上です。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。いかがでしょうか。何かご質問ありますか。 ○金澤委員  この資料2の17頁のA委員という方のコメントの2番目の段落に、調査のためのアフ リカ出張が年休を取って云々と書いてあります。唖然としたというコメントがありま す。実は私どもも類似の、全く同じではないのですが、こういうちょっと考えられない ような事態がいろいろありまして、出張その他、国立のナショナルセンターに属する職 員の外での活動についての制限が強すぎると思っていたところなので、ちょうどこれが 出ていたのでお伺いしますが、こういうコメントに対してどういう対応をされるのです か。 ○矢崎部会長  いまでは学会出張するのも、休暇を取って行かないといけないという。あれは公務員 法に基づくものですかね。 ○金澤委員  それは正直言って改正していただきたいですね。 ○倉辻国際医療センター研究所長  是非改善していただきたく、私どもからもお願いいたします。 ○矢崎部会長  4月からの独法化の国立病院機構は公務員型でありますが、まず最初に私はそれを廃 止しました。それは理事長で廃止できるそうです。少なくとも研究活動に伴ったもの は、やはり本務の中に入れていただきたいと思いますが、これはいますぐにというわけ にはいかないので、是非審議会に、今後とも検討のほど、お願いしたい。そのほかいか がでしょうか。 ○黒川委員  確かにいままでそうで、国立大学などもいまは国際化しているのに、アジアのほう に、やはり先生のほうが6週間とか6カ月とか行ってこいなどというと、国立大学には そんなことやってはいけないんだという話が前々から出ています。向こうから来るのを 教えるのはいいが、長く行っているなんてとんでもないという議論があって、非常に基 本的に内向きだなというのと、明治維新から国内の人材を育てるのがミッションだった という理解はあると思うのですね。だけど、国際医療センターみたいなのは、特にこれ からのアジアについての日本の貢献というのはすごく期待されているわけなので、そう いう意味ではもうちょっと、直轄のセンターとはいえ、やはり運用については本来のミ ッションがそこにあるわけだから、是非それを直してもらいたいと思います。それか ら、いま矢崎先生は、国立病院の大きな全体の理事長ですが、その学会も、本当にプラ イオリティをつけて、その辺をきちんとしておかないと、結局評価のときに、学会で大 事なのは学問研究だからと言っても、そのミッションに合った学会のプライオリティは やはりセットしなくてはならないということはあると思いますので、その辺はやはり自 分たちで律しているというのがすごく大事だと思います。直轄のセンターのこのアフリ カなんていうのは、現地に行かなければ何も調査できないのに、そんなことしては困る というのは、間違いだと思います。 ○矢崎部会長  ありがとうございます。黒川先生が評価委員長ですので、国立病院機構のことはよろ しくお願いします。よろしいでしょうか。それでは次の基盤研についてよろしくお願い いたします。 ○事務局  それでは資料3に基づきまして、独立行政法人医薬基盤研究所の法案につきましてご 報告申し上げます。資料3の1頁目をご覧いただきたいと思います。医薬品等の開発に 資する基礎研究、生物資源の研究等とともに、医薬品の技術等の研究開発振興を一体的 に行う独立行政法人ということで、医薬基盤研究所の設立を予定しております。そのた めの法律を現在国会に提出させていただいております。その概要です。  まず下のほうの研究所の概要をご覧いただきたいと思いますが、独立行政法人の医薬 基盤研究所につきましては、基盤的研究、研究開発振興、生物資源研究の3つを業務と して考えております。それに当たりましては、国立医薬品食品衛生研究所の大阪支所、 独立行政法人医薬品医療機器総合機構の研究開発振興部門、国立医薬品食品衛生研究所 の細胞バンク、薬用植物栽培試験場、国立感染症研究所の遺伝子バンク、実験動物開 発、霊長類センターというようなものを統合しまして、新しく独立行政法人を設立しよ うとするものです。概要にありますが、目的につきましては、先ほど申し上げました内 容でして、独立行政法人としては、非公務員型を予定させていただいております。主た る事務所につきましては、大阪府の茨木市にあります「彩都」という所を開発中です が、そこに置く予定です。現在建物を整備中です。  2枚目をご覧いただきたいと思いますが、この独立行政法人医薬基盤研究所の設立に つきましては、平成7年度における国立試験研究機関の整備・再構築の最終段階で、平 成7年当時は8試験研究機関ありましたが、独立行政法人医薬基盤研究所が出来ます と、6の機関に統廃合され再編が終了することになります。以上です。 ○矢崎部会長  いかがでしょうか。何かコメントありますか。よろしいですか。これはこれからの組 織ですので、また活動が始まってからご議論いただきたいと思います。続きまして「遺 伝子治療臨床研究に係る遺伝子組織組換え生物等の使用の規制について」、課長通知で すね、よろしくお願いいたします。 ○事務局  では、事務局から資料4につき簡単に説明させていただきます。遺伝子治療臨床研究 に係る遺伝子組換え生物等の使用等の規制に関連して、平成16年2月19日付で厚生科学 課長通知を資料4のとおり発出いたしました。カルタヘナ条約に基づく「生物の多様性 の確保に関する法律」が2月に施行されたことに伴いまして、我が国において、ウイル スベクターのような遺伝子組換え生物等を使用する遺伝子治療臨床研究をじっしする際 には、事前に当該遺伝子組換え生物等の生物多様性影響評価を行うこととなりました。 資料4の通知では、その際の厚生科学課への申請手続き及び当該申請資料等における記 載事項につき、具体的な詳細を記載いたしております。申請資料のうち生物多様性影響 評価書に記載すべき事項に関しましては、科学技術部会遺伝子治療臨床研究作業委員会 の中に検討委員会が設置され、そこでのご意見を踏まえて「記載に際しての留意事項」 を作成しております。この資料4の通知に基づき、該当する遺伝子治療臨床研究を現在 実施している施設からは本通知施行後2ヶ月を目処に、また実施予定施設からは事前に 第一種使用規程承認申請がなされることになります。各申請内容につきましては、科学 技術部会遺伝子治療臨床研究作業委員会の中に新たに設置される作業委員会で、ご審議 いただくこととなっております。なお、この作業委員会、名称はまだ正式に決まっては おりませんが、前回1月の本科学技術部会にて設置の可否につきご審議いただき、ご了 承をいただいております。以上です。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。前回いただいた作業部会の意見を踏まえて、このような通 知ができたという報告です。続いて遺伝子治療研究の実験実施施設からの報告について お願いします。 ○事務局  続きまして資料5です。名古屋大学医学部附属病院で現在実施されておりますヒトβ 型インターフェロンを発現するベクターを用いた遺伝子治療臨床研究におきまして、ベ クターの投与を受けた患者さんがお亡くなりになったということで、「遺伝子治療臨床 研究に関する指針」に基づき、当該施設から重大事態等報告書が提出されましたので、 ここにご報告申し上げます。この報告内容ですが、資料の3頁下段からにありますとお り、平成13年7月から9月にかけて4回にわたり、脳腫瘍を切除した患者さんに対し て、残存腫瘍部位に遺伝子治療用ベクターの投与が行われました。治療後、患者さんは 退院し、新たな異常所見を認めることなく外来通院していらっしゃったのですが、遺伝 子治療実施後1年以上を経て脳内の異なる部位に腫瘍が再発し、更に約5ヶ月後にはま た別の部位にも腫瘍の再発が認められ、平成15年12月にお亡くなりになったというもの です。この経緯につきましては、当該実施施設の審査委員会にて評価が行われ、その結 果、死因は再発腫瘍によるものであり、遺伝子治療とは因果関係がないと判定されてお ります。以上です。 ○矢崎部会長  これは遺伝子検討部会で、すでに検討されたものですね。 ○事務局  この報告につきましては、遺伝子治療臨床研究作業委員会の先生方に、会議を開催し て審議するという形ではございませんが、すでにご報告いたしております。 ○矢崎部会長  それで、特に特段のご意見はなかったのですか。 ○事務局  ございませんでした。 ○矢崎部会長  よろしいですか。それでは続きまして資料6、次の議題の、フィーダー細胞として、 3T3J2株、3T3NIH株を用いることについての審議です。 ○安達医政局研究開発振興課長  それでは資料6に基づきましてご説明させていただきます。「再生医療分野における 異種移植の実施に伴う公衆衛生上の感染症問題に関する指針」に基づく3T3J2株及 び3T3NIH株をフィーダー細胞として利用する上皮系の再生医療への指針(案)に ついてということで、研究班の報告書が今回まとまりましたので、ご報告するもので す。  1頁をご覧ください。背景が書いてありますが、まず最初に、ここに書いてありませ んが、本件につきましては、平成12年9月の厚生科学審議会、当時は先端医療技術評価 部会でしたが、その部会におきまして、異種移植の臨床研究の実施についてご審議が行 われ、見解がまとめられております。そこでのご議論等も踏まえまして、この背景の(1) に書いてあるように、平成13年度、厚生科学研究費の特別研究事業として、主に異種の 臓器、組織等をヒトに植することを想定して、具体的にこのときには、体外循環を用い ました豚の肝細胞を使った異種移植というものを想定しつつ、異種移植の実施に伴う公 衆衛生上の感染症問題に関する指針、いわゆる「異種移植指針」というものを報告書と して策定していただきました。同報告書については、2つめの○にありますように、第 9回の科学技術部会で報告され、またその報告書の内容は、その後、課長通知という格 好で、関係者の方々への啓発普及を行いました。なお、その後、第9回の科学技術部会 の審議の中におきましては、こういう個別の指針というのも重要であるが、それととも に、臨床研究全般についての、より上位の倫理指針というものと併せて利用されるよう にしたほうがよいというようなご意見も出たわけです。その後、ご案内のとおり、昨年 7月に大臣告示としまして、臨床研究に関する倫理指針を示したところです。  本日ご報告しますのは、3つめの○にあります再生医療分野における異種移植指針運 用方法の検討ということで、具体的には培養皮膚、あるいは角膜といった、現に医療の 現場で利用されているようなものを想定して検討したものです。これらにつきまして は、フィーダー細胞として異種動物の細胞を使用するということで、この平成14年に作 りました指針の中でも、概念的にはこういった接触による細胞の利用というものも入っ ていたのですが、実際の運用では、平成14年の異種移植指針では、そのままでは使えな いというような点もありまして、この度この分野における、具体的には培養皮膚、角膜 等を想定した指針についてご検討いただいたものです。2.検討経緯ですが、平成14年 度、15年度の特別研究事業において、前感染症研究所長の吉倉先生を班長としまして、 京都大学の井上教授、あるいは自治医大の小澤教授等々にご検討をいただきました。ま た、その際、現状の調査についても行いまして、その結果、すでに8施設において、実 際のマウス由来細胞が臨床応用されているということもわかっております。検討内容に ついては、こういったフィーダー細胞として利用する上皮系の再生医療分野における指 針を作ろうということでご検討いただきました。指針の概要につきましては、2頁以降 に示してありますが、時間の関係もありますので、個々の内容についての説明は省略さ せていただきます。全体につきましては、まず昨年7月の臨床研究の倫理指針がありま すので、これを前提として活用する、より個別のものについて付加的に指針を示してい るというものです。したがいまして、記述もそのようになっておりますし、また、イン フォームドコンセント、あるいは記録の保存等々、具体的な内容につきましては、こう いったフィーダー細胞を使う場合のケースについてのことを具体的に記載しておりま す。  今後のこの報告書の取扱いですが、私どもとしては、各施設の倫理評価委員会の先生 方等、関係者の方々に利用していただけるよう、報告書の普及啓発に努めていきたいと いうふうに考えております。以上です。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。異種動物由来の細胞を用いた場合の再生医療につい て、指針でその細胞がフィーダー細胞として用いた場合に、培養したときに混じってな いかとか、そういうことを確認するとか、いろいろ細かく指針の中に書き込まれており ます。これにつきましては報告ですので、後ほど委員の方々には内容を検討していただ ければと思います。以上をもちまして本日こちらで準備した議題は終了しましたが、何 か委員の方々でご発言ありますでしょうか。よろしいですか。 ○事務局  どうもありがとうございました。次回につきましては6月ごろの開催を予定させてい ただきたいと考えております。日程調整等のご案内をお送りさせていただきますので、 またよろしくお願いいたします。 ○矢崎部会長  本日は大変お忙しいところ、貴重なお時間をいただきご議論、本当にありがとうござ いました。それでは本日の部会はこれで終了いたします。ありがとうございました。                                     −了− 問合わせ先 厚生労働省大臣官房厚生科学課    担当 中村(内線3804)    電話 (代表)03-5253-1111       (直通)03-3595-2171