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資料1

食物アレルギーとその表示


順天堂大学医学部公衆衛生学教室
堀口逸子




◎疫学的側面
  食物アレルギー患者の罹患状況

◎環境的側面(実行可能性)
  食品製造流通業者の理解と取り組み状況
  保健所(食品衛生監視員)の理解と取り組み状況
  医療関係者の理解
  栄養関係者の理解
  消費者の理解



◎環境的側面(実行可能性)
 ・ 食品製造流通業者の理解と取り組み状況
 ・ 保健所(食品衛生監視員)の理解と取り組み状況
 ・ 医療関係者の理解
 ・ 栄養関係者の理解
 ・ 消費者の理解

【食品製造業の従業員数別割合】 平均23.1人
  事業所
構成比(%)
食料品製造業 57,557 100.0
 1 〜 4人 20,011 34.8
5 〜 9 13,410 23.3
10 〜 19 9,964 17.3
20 〜 29 4,385 7.6
30 〜 49 4,048 7.0
50 〜 99 3,109 5.4
100 〜 199 1,631 2.8
200 〜 299 477 0.8
300人以上 485 0.8
派遣・下請従業者のみ 37 0.1

総務省統計局事業所企業統計調査(平成13年)より



◎環境的側面(実行可能性)
 ・ 食品製造流通業者の理解と取り組み状況
 ・ 保健所(食品衛生監視員)の理解と取り組み状況
 ・ 医療関係者の理解
 ・ 栄養関係者の理解
 ・ 消費者の理解

 ● 調査1:平成16年2月
食品産業センター会員主要企業に対してのファックスを利用した質問紙調査
調査対象(124):約70%以上が従業員が500人以上の企業

 ● 調査2:平成16年2月
保健所食品衛生監視員を通じた質問紙を利用した聞き取り調査
調査対象(72):従業員10人未満が約60%、2件を除きすべて50人未満の企業

  1)  ラベルの作成にあたり、原材料の表示義務のある5品目の確認をどのようにしているのか
  2)  ラベルの作成にあたり、原材料の配合比の確認をどのようにしているのか
  3)  19品目の記載はどのようになっているのか



◎環境的側面(実行可能性)
 ・ 食品製造流通業者の理解と取り組み状況
 ・ 保健所(食品衛生監視員)の理解と取り組み状況
 ・ 医療関係者の理解
 ・ 栄養関係者の理解
 ・ 消費者の理解

  1)  ラベルの作成にあたり、原材料の表示義務のある5品目の確認をどのようにしているのか
大企業
「ほとんどしていない」1.2%
中小零細企業
「ほとんどしていない」23.0%、 「あまりしていない」13.5%

  2)  ラベルの作成にあたり、原材料の配合比の確認をどのようにしているのか
大企業
「ほとんどしていない」1.2%
中小零細企業
 「ほとんどしていない」36.1. %、 「あまりしていない」18.1%

  3)  19品目の記載はどのようになっているのか
大企業
「対象となる製品すべてに記載」67.5%
中小零細企業
「対象となる製品すべてに記載」38.1%
表示義務の5品目は記載していますか「対象となる製品すべてに記載している」73.0%



◎環境的側面(実行可能性)
 ・ 食品製造流通業者の理解と取り組み状況
 ・ 保健所(食品衛生監視員)の理解と取り組み状況
 ・ 医療関係者の理解
 ・ 栄養関係者の理解
 ・ 消費者の理解

 ● 調査1:平成16年2月
 ● 調査2:平成16年2月
の自由回答項目

1)  制度が始まって、どんな影響がありましたか
2)  制度が始まってから取り組んだことは何ですか
3)  アレルギー表示に関して困っていることは何ですか
4)  アレルギー表示制度に関して改善してほしい点は何ですか



◎環境的側面(実行可能性)
 ・ 食品製造流通業者の理解と取り組み状況
 ・ 保健所(食品衛生監視員)の理解と取り組み状況
 ・ 医療関係者の理解
 ・ 栄養関係者の理解
 ・ 消費者の理解

 ● 調査1:平成16年2月
 ● 調査2:平成16年2月
の自由回答分析結果

  1  企業は社内教育体制を整備するとともに、消費者への情報提供システムを再構築している
  2  表示に関わる現場の体制が、多く変更されている
  3  製造業者は、各方面からの問い合わせに対して、正確な詳細な迅速な情報開示を求められている
  4  輸入品に対して情報不足である問題が発生している
  5  製造上の自由度が減少している
  6  原材料業者の情報に誤りがあると影響が多大となる
  7  表示のルールや基準がわかりづらい
  8  消費者に周知できていないことから発生している問い合わせが見られる
  9  大中企業では解決されていても小・零細企業では解決できていない課題が残っている



◎環境的側面(実行可能性)
 ・ 食品製造流通業者の理解と取り組み状況
 ・ 保健所(食品衛生監視員)の理解と取り組み状況
 ・ 医療関係者の理解
 ・ 栄養関係者の理解
 ・ 消費者の理解

 ● 調査3:平成16年2月
某県食品衛生監視員を通して見た食品製造流通業者の理解と取り組み状況

担当する管内の製造業者がアレルギー表示制度を現在理解できていると思いますか

十分思う 1 1.9%

まあまあ思う   15 28.8%

あまり思わない 30 57.7%

ほとんど思わない 6 11.5%

52  100.0%

担当する管内の販売業者がアレルギー表示制度を現在理解できていると思いますか

十分思う 1 1.9%

まあまあ思う 5 9.6%

あまり思わない   29 55.8%

ほとんど思わない 17 32.7%

52  100.0%

担当する管内の製造業者のアレルギー表示が十分されていると思いますか

十分思う 0 0.0%

まあまあ思う   18 35.3%

あまり思わない 26 51.0%

ほとんど思わない 7 13.7%

51  100.0%
担当する管内の製造業者の19品目の取り扱い状況を把握できていますか

十分思う 0 0.0%

まあまあ思う 3 5.9%

あまり思わない  24 47.1%

ほとんど思わない  24 47.1%

51  100.0%



◎環境的側面(実行可能性)
 ・ 食品製造流通業者の理解と取り組み状況
 ・ 保健所(食品衛生監視員)の理解と取り組み状況
 ・ 医療関係者の理解
 ・ 栄養関係者の理解
 ・ 消費者の理解

 ● 調査3 :平成15年2月
某県の食品衛生監視員を対象とした質問紙調査

 ● 調査4:平成14年12月より15年2月
全国の食品衛生監視員を対象とした質的調査(デルファイ法)
「アレルギー表示の監視において営業者教育、消費者への情報提供、製造所や販売店での監視等を実施する際に問題となると思われる点 」を抽出

 ● 調査5:平成15年2月
全国の保健所および食品衛生監視員を対象とした質問紙調査



◎環境的側面(実行可能性)
 ・ 食品製造流通業者の理解と取り組み状況
 ・ 保健所(食品衛生監視員)の理解と取り組み状況
 ・ 医療関係者の理解
 ・ 栄養関係者の理解
 ・ 消費者の理解

 ● 調査4:平成14年12月より15年2月
「監視等を実施する際に問題となると思われる点 」

順位 項目
1 原材料と製造過程に関して全てを理解していないと表示の正確性を判断できない
2 日替わり弁当や詰め合わせ商品の表示に関する指導が難しい
3 製造記録等の確認が必要となるなど、監視に要する時間が長くなる
4 微量混入に対してその場で迅速に検査ができないため指導が難しい
5 表示のルールが難しい(表示の順番、代替表記、省略表記、など)
6 健康被害の苦情の場合、食品やアレルギーによるものかの確認が困難
コンタミ防止の指導が、洗浄方法などのガイドラインがないため難しい
8 食品衛生法以外の管轄外の法律に関する情報が不足している(知識がない)
9 製造記録などを見てもキャリーオーバーの確認が難しい
10 監視には、管轄外の法律の領域まで立ち入る必要が生じている
11 小規模製造業者への指導が難しい
12 「特定原材料に準じるもの(19品目)」の取り扱いがあいまいであるため、指導が難しい
13 機器の整備不足や検査期間の不足がある
14 監視側の人手不足
15 監視の件数が多く、指導が十分にできない
製造業者においては輸入品の調査が難しく情報が得られないため、指導も難しくなっている
17 監視員が、食物アレルギーの情報を持っていないため消費者からの問い合わせへの対応が不十分になる
消費者への情報提供のツールと機会がない
原材料が非包装食品や運搬容器で納入されている場合があり、特定原材料等に関する情報がない
法律によって相談窓口が異なることで混乱を生じる



◎環境的側面(実行可能性)
 ・ 食品製造流通業者の理解と取り組み状況
 ・ 保健所(食品衛生監視員)の理解と取り組み状況
 ・ 医療関係者の理解
 ・ 栄養関係者の理解
 ・ 消費者の理解

 ● 調査5:平成15年2月

Q 製造・流通業者への情報提供媒体の整備
  度数 累積%
かなりある 5 0.9 0.9
まあまあある 172 32 33
あまりない 266 49.5 82.5
ほとんどない 94 17.5 100
合計 537 100  

Q 指導の統一性 (「はい」の度数と割合)
  度数
保健所で管轄外の法律についての対処を統一しているか 319 59.2
保健所で日替弁当、詰め合わせ食品の表示の指導を統一しているか 363 67.2
保健所で19品目の指導を統一しているか 398 73.7
保健所でコンタミについて指導を統一しているか 328 60.7

*19品目の指導内容
  度数
必ず記載するよう指導 47 13.5
企業の判断 301 86.2
書かなくてよいと指導 1 0.3
合計 349 100
*コンタミの指導内容
  度数
必ず記載するよう指導 144 51.2
企業の判断 136 48.4
書かなくてよいと指導 1 0.4
合計 281 100



◎環境的側面(実行可能性)
 ・ 食品製造流通業者の理解と取り組み状況
 ・ 保健所(食品衛生監視員)の理解と取り組み状況
 ・ 医療関係者の理解
 ・ 栄養関係者の理解
 ・ 消費者の理解

Q 食物アレルギーについて十分知識がある
  度数 累積%
かなりある 19 3.5 3.5
まあまあある 196 36.4 39.9
あまりない 287 53.2 93.1
ほとんどない 37 6.9 100
合計 539 100  

Q JAS法も含めた表示のルールを理解している自信がある
  度数 累積%
かなりある 7 1.3 1.3
まあまあある 152 28.4 29.7
あまりない 309 57.6 87.3
ほとんどない 68 12.7 100
合計 536 100  
Q 製造記録など資料がある場合表示の正確性を判断できる自信がある
  度数 累積%
かなりある 32 6 6
まあまあある 253 47.4 53.4
あまりない 220 41.2 94.6
ほとんどない 29 5.4 100
合計 534 100  



◎環境的側面(実行可能性)
 ・ 食品製造流通業者の理解と取り組み状況
 ・ 保健所(食品衛生監視員)の理解と取り組み状況
 ・ 医療関係者の理解
 ・ 栄養関係者の理解
 ・ 消費者の理解

Q 日替弁当・詰合わせ食品の指導が難しい
  度数 累積%
かなり思う 235 43.8 43.8
まあまあ思う 224 41.7 85.5
あまり思わない 74 13.8 99.3
ほとんど思わない 4 0.7 100
合計 537 100  

Q 19品目の指導が難しい
  度数 累積%
かなり思う 86 16 16
まあまあ思う 194 36.1 52.1
あまり思わない 226 42.1 94.2
ほとんど思わない 31 5.8 100
合計 537 100  

Q コンタミについての指導が難しい
  度数 累積%
 かなり思う 172 31.9 31.9
まあまあ思う 217 40.3 72.2
あまり思わない 133 24.7 96.8
ほとんど思わない 17 3.2 100
合計 539 100  
Q JAS法等管轄外の法律についての対処が難しい
  度数 累積%
かなり思う 258 48 48
まあまあ思う 193 35.9 84
あまり思わない 78 14.5 98.5
ほとんど思わない 8 1.5 100
合計 537 100  



◎環境的側面(実行可能性)
 ・ 食品製造流通業者の理解と取り組み状況
 ・ 保健所(食品衛生監視員)の理解と取り組み状況
 ・ 医療関係者の理解
 ・ 栄養関係者の理解
 ・ 消費者の理解

 ● 調査3:平成16年2月

食物アレルギーを理解している自信はありますか

十分ある 2 3.6%

まあまあある   34 60.7%

あまりない 17 30.4%

ほとんどない 3 5.4%

56  100.0%

アレルギー表示を理解している自信はありますか

十分ある 1 1.8%

まあまあある   28 50.0%

あまりない 20 35.7%

ほとんどない 7 12.5%

56  100.0%

アレルギー表示に関する質問に的確に対応できる自信がありますか

十分ある 0 0.0%

まあまあある   22 39.3%

あまりない 20 35.7%

ほとんどない 14 25.0%

56  100.0%
アレルギー表示を理解している自信はありますか

十分ある 1 1.8%

まあまあある   17 30.9%

あまりない 28 50.9%

ほとんどない 9 16.4%

55  100.0%



◎疫学的側面
 ・ 食物アレルギー患者の罹患状況
◎環境的側面(実行可能性)
 ・ 食品製造流通業者の理解と取り組み状況
 ・ 保健所(食品衛生監視員)の理解と取り組み状況
 ・ 医療関係者の理解:?
 ・ 栄養関係者の理解:?
 ・ 消費者の理解:?

図


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