○ | いわゆる拘束度の高い働き方と自由度の高い働き方の中間的な働き方、すなわち、仕事と生活の双方にバランスよく時間が配分された働き方を拡大するメリット・デメリットについてどう考えるか。また、こうした議論に際しては、働き方の選択肢の多様化がもたらすベネフィットとコストを明確にすることが重要なのではないか。
・ | 働く者にとっては、仕事以外の活動に向け得る時間が拡大し、家庭活動、学習活動、地域活動等に参加しやすくなることから、仕事と生活双方に意欲を持って臨んで能力を十分に発揮し、充実した生涯を送ることができるようになる一方で、労働時間の減少に応じて賃金額が減少する可能性や、少ない時間でより多くの実績・成果を求められる可能性もあるのではないか。 |
・ | 企業にとっては、家庭や地域社会などにおいて様々な経験を重ねた従業員から、独創性と工夫に富んだ貢献を受けることができる一方で、賃金変更の柔軟性が確保されない場合には人件費の負担増につながる可能性もあるのではないか。 |
・ | また、中間的な働き方の整備により、男性を含めて働く者が家庭や地域で過ごす時間が増加することにより、男女ともに生き方の選択肢が拡がり、家族の絆の深まりや地域社会の再生、ひいては少子化の緩和につながることなどが、社会全体にとってのメリットとして期待されるのではないか。 |
|
○ | 中間的な働き方を拡大するためには、総実労働時間が平成15年で2,004時間となっている一般労働者の労働時間の短縮を進めることが必要ではないか。また、その前提として、同一の企業又は事業所内において、労働時間の短い働き方を選択しようとするときに、時間比例を超えた処遇の格差の存在に起因して、そうした働き方の選択が阻害されるといったことのないように検討することも必要ではないか。
|
○ | 労働時間の短縮については、これまで、「労働時間短縮推進計画」、「ゆとり休暇推進要綱」や「所定外労働削減要綱」等に基づき、各般の取組を推進してきたところであり、総実労働時間も平成15年には1,846時間まで減っており一定の効果を上げてきた。しかし、近年の状況を見ると、パートタイム労働者、一般労働者ともに横ばいとなっており、総実労働時間の減少は、パートタイム労働者の全労働者に占める割合が高まったことによるところが大きいと考えられる。また、近年、一般労働者、パートタイム労働者ともに所定外労働時間が増加しており、年休取得率や取得日数も趨勢的な低下を経て横ばいの状況にある。こうしたことを踏まえ、今後、労働時間の短縮を一層進めるためには、どのような課題に重点的に取り組むべきか。
|
○ | 仕事と生活の調和を図る観点から、あらかじめ予定された時間を超えて仕事に拘束されることとなる所定時間外労働の抑制を図る必要性についてどう考えるか。 我が国において、業務の繁閑に時間外労働の調整により対応し、雇用量の調整を回避している等の実態があることも踏まえつつ、所定時間外労働の抑制を図るとした場合、どのような対応が考えられるか。
〈参考〉 | 我が国において時間外労働に対する割増率の定めがある事業場及び定めはないが支払を行っている事業場のうち、所定時間外労働に対する割増率が25%以上の事業場の割合は約78%となっている。 |
|
○ | また、仕事と生活の調和を図る観点からは、所定時間外労働に関する仕組みについて、調和を図る主体である労働者が自ら働く時間を選択できるよう、労働者のイニシアチブを基本に据えた制度設計を行う必要性があるのではないか。
|
○ | 例えば、それぞれの労働者が自らの仕事について所定外労働の有無や頻度などを事前に知らされ、納得していること、事業主が所定時間外労働を命じる際の手続を明確化すること、企業の所定時間外労働に関する業務命令の必要性と労働者の生活上の都合を調整するシステムを構築することなど、所定時間外労働に関するルールを確立する必要性があるのではないか。
|
○ | 仕事と生活の調和を図る上では、まずは所定時間外労働の削減等による労働時間の短縮が求められるが、所定時間外労働が行われた場合における自由時間の確保の観点から、所定時間外労働の代償措置として自由時間が確実に確保される仕組み(いわゆる代償休日の制度化)についてどう考えるか。
|
○ | また、自由時間を確保する観点からは、年次有給休暇の取得促進が重要と考えられるが、周りに迷惑がかかると感じられること、職場の雰囲気などを理由に有給休暇の取得をためらう者が多く、取得率が数十年来向上していない中で、取得促進を図るため、使用者に何らかの取組を求める必要があると考えられるが、その方策をどのように考えるか。また、年次有給休暇を取得する権利が2年で消滅することをどう考えるか。失効した年次有給休暇の活用方法を考えてみてはどうか。
|
○ | 代償休日の制度化とともに、年次有給休暇の取得促進策や失効年休の活用があわせて実施されることにより、週単位の休暇が取得しやすくなれば、働く者が自らの働き方や生き方を見直す機会となるのではないか。
|
○ | 所定時間外労働の抑制を図る際に、所定労働時間の長短により何らかの異なる取扱いをする必要はあるか。
・ | 所定労働時間の短い者については十分に自由時間が確保されており、一定時間を仕事に取られることがあったとしても本人に及ぼす影響は相対的に小さいのではないかとも考えられる。 |
・ | しかし、所定労働時間の短い者は生活を重視したライフスタイルを志向している可能性が高く、また事業主があらかじめ短時間の拘束しか行わないことを前提としている分、生活に与える影響度は所定労働時間が長い者よりも相対的に大きいと考えられるのではないか。 |
|