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III 勤労控除の在り方について

 過去の勤労控除の見直しでは、勤労に伴う諸々の必要経費を補填することを基本的 性格としつつ、勤労意欲を増進するための経費としての性格を強めてきたところ。こうした中、今後の勤労控除の在り方、その性格をどのように考えるか。
 被保護者の就労による自立を促す観点から、勤労控除をどのように見直すことが考えられるか。
 単に勤労控除額を引き上げることは、かえって保護からの脱却を阻害することになるのではないか。
 個々の被保護者の実情(就労努力の状況等)に応じた、勤労控除の在り方や勤労控除以外のインセンティブは考えられないか。

 1 勤労控除の趣旨・概要
(1)勤労控除の趣旨
(1) 勤労に伴う必要経費を補填





 被保護世帯に収入があった場合、世帯の最低生活費から当該収入を差し引いた不足分を保護費として支給するのが基本であるが、勤労収入を得るためには、勤労に伴って被服費や知識・教養の向上等のための経費が必要となることから、勤労収入のうちの一定額を控除する。




(2) 勤労意欲の増進・自立助長

(2)勤労控除の種類
(1) 基礎控除[ 16年度上限額 月額33,190円(1級地)・収入額8,000円までは全額控除 ]
 勤労に伴って必要となる被服、身の回り品、知識・教養の向上等のための経費、職場交際費等の経常的な経費を控除するものであり、勤労意欲の増進、自立の助長を図ることを目的とする。
 基礎控除の控除額は、勤労収入に比例して増加させる方式(収入金額比例方式)を採用している。

(2) 特別控除[ 16年度基準額 年額150,900円以内(1級地) ]
 勤労に伴って必要となる年間の臨時的な経費に対応するもので、年間を通じて一定限度額の範囲内で必要な額を控除するもの。
 特別控除の控除額は、年間収入に比例させることとし、収入額の1割を限度として必要な額を認定する。

(3) 新規就労控除[ 16年度基準額 月額10,400円(各級地共通) ]
 新たに継続性のある職業に従事した場合に、その勤労収入から一定額を控除するものであり、6か月間に限って認定する。

(4) 未成年者控除[ 16年度基準額 月額11,600円(各級地共通) ]
 20歳未満の者が就労している場合に、その勤労収入から一定額を控除するもの。
 単身の者や配偶者とのみで独立した世帯を営む者等の一定の条件にあるものについては認定しない。

 この他に必要経費として、通勤費や社会保険料などが控除される。



(参考)

 勤労控除と収入認定との関係(勤労収入の場合)

収入認定額
(=(1)−(2)−(3))
(1) 勤労収入
過去3か月の平均額
超過勤務手当、
通勤手当など一切のものを合計。
(2) 勤労控除額
(1)の収入金額
  に応じて設定
(3) 実費控除
・通勤費
・社会保険料 等


世帯類型別にみた稼働世帯数及び平均勤労控除額(平成14年度)

  総数 高齢者世帯 母子世帯 傷病・
障害世帯
その他世帯
総世帯数 869,637 402,835 75,097 319,302 72,403
  うち稼働世帯数 103,711 15,429 36,226 26,231 25,825
稼働世帯率 11.9% 3.8% 48.2% 8.2% 35.7%
勤労控除適用世帯の
平均勤労控除額
(1世帯当たり月平均額)
22,402 13,466 25,644 21,400 23,369

資料) 総世帯数及び稼働世帯数(保護停止中の世帯を除く):平成14年度福祉行政報告例
勤労控除額:平成14年被保護者全国一斉調査(個別)



基礎控除の概要
平成16年度
基礎控除の概要のグラフ


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