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II 自立支援に係る論点について

要保護者の抱える様々な問題に対して、単なる金銭給付では自立に結びつかないのではないか

日常生活面の
問題
金銭管理(家計管理)が不十分
家事、家庭管理(炊事・洗濯・掃除)が不十分
多重債務等を抱える(年金担保融資を繰り返す等)

健康面の
問題
糖尿病等生活習慣病だが、食事、運動等の日常生活管理が不十分
慢性疾患で長期入院
統合失調症で、服薬管理が十分でなかったり、対人関係がうまく取れない
統合失調症で長期入院
アルコール依存症で断酒努力が長続きしない
うつ病、「ひきこもり」等の精神的問題を抱える

就労面の
問題
就労習慣が欠如、就労に向けた意欲が不十分
就労経験が少なく、労働市場のニーズに合致する技能、技術が身に付いていない
子育て、介護等のため就労できない


要保護者の自立支援のためには、地域レベルで様々な具体的な支援サービスをそろえ、要保護者に個別に提供していくことが必要ではないか

諸外国における公的扶助制度の見直しの動向(「福祉から就労へ」)
(1)受給者のうち、就職できる者には就職を、就職できない者には、社会的活動やボランティア等を義務付け。義務違反に対しては支給停止等の措置。
(2)受給者の自立支援を図るため、地域の社会資源(ボランティア団体、協力企業等)を活用した多様な就労支援メニューやボランティア活動等による社会参加メニューを内容とするプログラムを策定。
【就労支援メニュー・社会参加メニューの例】
補助金付き雇用(協力企業に対し補助金を支給)
職業訓練
ボランティア団体での就労
(3)自治体等が受給者に対するきめ細やかなカウンセリングを通じて個別に援助計画を策定。(2)の就労支援メニュー等の提供により包括的、集中的支援を実施。

日本の生活保護制度の現状
稼働能力のある者に対しては、ケースワーカーによる就労活動・求職活動等の指導・指示や生業扶助の実施(技能修得費の支給)
傷病などにより稼動能力のない者に対しては、ケースワーカーによる療養指導や医療扶助の実施

→
指導・指示、扶助の実施以外のメニューが不足。
被保護者の状況(自立阻害要因や短期自立の見込みの有無等)に応じたきめ細やかな自立支援施策のメニューをそろえ、具体的に実施していくことが必要ではないか。
当該自立支援策の実施に当たっては、関係機関、関係部門における既存の保健福祉施策や雇用施策との連携のほか、地域の社会資源(社会福祉法人、民間団体、協力企業等)の活用が必要ではないか。
【就労に向けたメニュー】ボランティア活動参加、職業訓練、就労体験、協力企業による雇用
【その他自立に向けたメニュー】社会的入院の解消(退院先の確保、居宅生活支援)、介護予防、グループカウンセリングその他各種保健福祉サービスの提供


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