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知的障害者・障害児に関する支援の在り方作業班における 議論(案)


作業班委員
芦田 真吾 東京都福祉局福祉部在宅福祉課長
板山 賢治 (福)浴風会理事長
小泉 渉 (福)全日本手をつなぐ育成会本人活動代表委員
佐々木 信行 (NPO)ピープルファースト東京事務局長
高橋 紘士 立教大学コミュニティ福祉学部教授
村上 和子 (福)シンフォニー理事長
室崎 富恵 (福)全日本手をつなぐ育成会副理事長・
地域生活支援委員会委員長
山路 憲夫 白梅学園短期大学福祉援助学科教授
(五十音順)
◎は、本作業班の議長


検討の経過

第1回
 日時 平成16年2月17日(火)13:00〜15:30
 議事
 (1)作業班の進め方について
 (2)知的障害者・障害児に関する支援の在り方について
 (3)その他

第2回
 日時 平成16年3月3日(水)10:00〜12:30
 議事
 (1)関係者からのヒアリング
(1)廣瀬 明彦氏 (福)相楽福祉会 常務理事
(2)山田 優氏 長野県西駒郷 自律支援部長
(3)瀬戸本むつみ氏 東京都立あきる野学園養護学校 PTA会長
 (2)サービス実態に関する報告
 (3)その他

第3回
 日時 平成16年3月23日(火)13:00〜16:00
 議事
 (1)サービス実態に関する報告について
 (2)知的障害者・障害児支援の現状と課題について
 (3)作業班における議論の整理について
 (4)その他


検討内容

1.知的障害者・障害児が地域生活を送る上での主なニーズについて

 知的障害者が地域で暮らす上でのニーズは、住まいの確保、日中活動、就労支援、生活支援や社会参加、相談支援、権利擁護など広範な領域にわたるものであり、これらのニーズを総合的に捉えることが必要である。

2.知的障害者・障害児に対する地域生活支援の現状について

(1)住まいの確保・居住支援に係るサービス

知的障害者
地域生活援助事業
(グループホーム)
3,449か所 平成16年2月29日現在WAMNET情報
知的障害者福祉ホーム 72か所 平成14年社会福祉施設等調査


(2)日中活動・就労支援に係るサービス

知的障害者
デイサービス
688か所
(うち基準該当
73か所)
――― 平成16年2月29日現在WAMNET情報
知的障害者
授産施設(入所)
227か所 14,254人定員 平成14年社会福祉施設等調査
知的障害者
授産施設(通所)
1,058か所 40,207人定員
知的障害者
小規模授産施設
141か所 2,255人定員
知的障害者
福祉工場
57か所 1,624人定員
知的障害者
通勤寮
124か所 2,902人定員
障害者就業・
生活支援センター
80か所 ―――


(3)ホームヘルプ、ガイドヘルプを中心とした生活支援、社会参加に係るサービス

知的障害者ホームヘルプサービス 34,154百万円(知的障害者、障害児、身体障害者を合わせたホームヘルプサービスに係る平成16年度予算額)
障害児ホームヘルプサービス
障害者自立支援・社会参加総合推進事業 4,800百万円(平成16年度予算額)
相談支援、権利擁護、金銭管理等に係るサービス
障害者ケアマネジメント体制支援事業 144百万円(平成16年度予算)
児童相談所 182か所(平成15年4月現在)
知的障害者更生相談所 73か所(平成15年4月現在)
障害児(者)地域療育等支援事業 580か所(平成16年度実施予定数、平成15年9月障害福祉課調)
知的障害者生活支援事業 160か所(平成16年度予算)
障害者自立支援・社会参加総合推進事業(再掲)
知的障害者相談員
地域福祉権利擁護事業

3.知的障害者・障害児に対する支援の主な課題と今後の対応について

知的障害者及び障害児の地域生活支援については、ホームヘルプサービスやグループホームなどの個々のサービスの充実とともに、これらのサービスを効果的かつ効率的に提供する仕組みを確立することが重要である。

地域社会の環境改善やインフォーマルな支援なども含め、地域社会全体で知的障害者や障害児の生活を支える「まちづくりの視点」から支援の在り方を考えることが重要である。

知的障害者、障害児の地域生活支援の在り方は、単に支援費対象のサービスのみならず、他の福祉施設を含めた地域社会全体の視点から捉えることが必要であり、市町村の全体的な取組を国、都道府県が適切に支援することが求められる。


委員から出された主な意見は次のとおりである。

(1).全体的な視点として
障害者数や従事者の専門性の確保に留意した上で、市町村域、市町村域を越えた障害保健福祉圏域、都道府県域に適切にサービスを配置することが必要である。

専門性を備えつつ障害種別を越えて総合的に相談支援を行う機能(地域生活支援センター)がすべての市町村に整備されることが望ましい。

入所施設から地域への移行には、生活の場、多様な日中生活の場、休日の活動の支援、金銭管理や権利擁護の仕組みなどが一体的に整えられることか必要である。

制度や仕組みを作ることとあわせて、従事者の質の向上のための方策を考えることが必要である。

高齢者福祉サービスとの相互利用については、高齢者と知的障害者のニーズや生活歴、障害の違いに対応することへの特別な配慮が必要である。

(2).住まいの確保、居住支援
公営住宅のグループホーム利用の拡大や知的障害者の単身入居を可能にすることなどの入居支援が必要である。

施設や家族との同居からグループホームでの生活にスムーズに移行するためのプログラムが必要である。

地域での暮らしの選択肢として、グループホームでの生活から一人暮らしへの支援を確立する必要がある。

障害の重い人のグループホームについては、従来の区分とは別の制度的な裏付けと地域のインフォーマルな支援の双方が必要である。

グループホームでは食事など共通の要素は世話人が対応し、余暇活動や社会参加など個別性の高いニーズについては、ホームヘルプや地域の社会資源の活用を検討する必要がある。

知的障害者福祉ホームに対し生活支援センターによるバックアップや介助員の配置を行うなどの見直しが必要である。

(3).ホームヘルプ、ガイドヘルプを中心とした生活支援、社会参加
ホームヘルプサービスについては、通学、通勤等への利用ニーズへの対応、複数の利用者が一人のホームヘルパーを利用できる仕組み、日常生活支援の適用、デイサービス等他のサービスとの代替の可能性、ホームヘルパーの資質向上などの検討が必要である。

支援が必要だから24時間のすべてをホームヘルプでまかなうということではなく、日中活動、居住、余暇活動など本人のニーズに応じた社会資源の有効な活用方法を考える必要がある。

(4).ショートステイ、デイサービス
中高生の放課後や夏休み対策として児童デイサービスを利用することについて、他の施策との関係も視野に入れた上での検討が必要である。

ショートステイについて、グループホームや借り上げ型のアパートなどで実施できるようにすることや、実施主体をNPOや株式会社に拡大することを検討する必要がある。

(5).日中活動、就労支援
知的障害者本人の活動を奨励してもらいたい。

知的障害者本人にも、ホームヘルパーの資格を取りやすいようにする必要がある。

小規模作業所を利用する知的障害者(または家族)の費用負担の現実を鑑みた場合、通所施設利用者も食事代の実費負担について検討が必要である。

(6).相談支援、権利擁護、金銭管理等
地域生活における金銭管理に関する支援が必要である。

地域生活を支える総合相談窓口、サービス利用手続き支援、権利擁護などに関する仕組みが必要である。

知的障害者相談員の活用が必要である。

(7).ケアマネジメントの手法による支援
知的障害者や障害児が地域で暮らす上での様々なニーズとこれを充足するため各種サービスを調整し、結びつけるための仕組みとそれを担う仕事の専門性が極めて重要であり、制度化に向けた検討が必要である。

介護保険のケアマネジャーが障害者の支援についての知識を習得することも必要である。

ケアマネジメントを知的障害者のホームヘルパー自らが行うことも必要である。


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