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第2章 ネットワークによる臓器あっせん業務の状況の検証結果

(注)  枠内は、ネットワークから聴取した事項及びネットワークから提出された資料等により、本検証会議として認識している事実経過の概要である。

ネットワーク中央評価委員会による臓器あっせん業務の状況の検証結果

1.初動体制並びに家族への脳死判定等の説明及び承諾
 平成14年4月6日1:13に、仕事中に意識障害を生じ、同日2:10に救急車にて臓器提供施設に搬送される。
 4月10日に、家族より臓器提供意思表示カード、腎臓バンクの登録カード及び骨髄バンクの登録カードの提示があった。
 4月13日12:05に主治医は患者を臨床的に脳死と診断し、家族に病状を説明し、臓器提供の意思を確認したところ、家族からネットワークコーディネーターの説明を受けたいとの申出があったため、同日18:10に病院は関東甲信越ブロックセンターに連絡した。
 同日18:41に、ネットワークのコーディネーター2名及び都道府県コーディネーター1名が病院に到着し、院内体制等を確認するとともに、医学的情報を収集し一次評価等を行った。
 4月13日23:07に、ネットワークのコーディネーター2名及び都道府県コーディネーター1名が家族(患者の姉、妹、姪)に面談し、看護師同席の下、脳死判定、臓器提供の内容、手続等を文書を用いて説明。その際、家族構成等を十分に確認した。
 4月14日0:23に、患者の姉、妹、姪が脳死判定承諾書及び臓器摘出承諾書に署名捺印。家族の総意であることを確認し、コーディネーターがこれらを受理している。

【評価】
 ○  コーディネーターは、病院から家族への臓器提供に関する説明依頼を受けた後、院内体制等の確認や一次評価等を迅速かつ適切に行っている。

 ○  家族への説明についても、コーディネーターは、脳死判定・臓器提供等の内容・手続を記載した文書を手渡してその内容を説明し、家族から承諾書を受理している等、コーディネーターの家族への脳死判定の説明等は適正に行われたものと評価できる。

2.ドナーの医学的検査及びレシピエントの選択等
 4月14日1:42より、心臓、肺、肝臓のレシピエント候補者の選定を開
始。膵臓と腎臓についてはHLAの検査後、同日6:31よりレシピエント候補者の選定を開始している。
 法的脳死判定が終了した後、同日12:17より心臓、肝臓、腎臓の各臓器別にレシピエント候補者の意思確認が開始された。
 心臓については、候補者の病状が安定していること及びドナーの医学的理由により、第1候補者及び第2候補者の移植実施施設側が移植を辞退したため、心臓の移植が見送られることになった。
 肺については、適合患者不在のため、移植が見送られることとなった。

 肝臓については、第1候補者はドナーの医学的理由にて移植実施施設側が移植を辞退。第2候補者は家族の意向を理由に移植実施施設側が移植を辞退。第3候補者は、候補者の病状が安定しているため移植実施施設側が移植を辞退。第4候補者はドナーの医学的理由にて移植実施施設側が移植を辞退。第5候補者は、候補者の体調不良を理由に移植実施施設側が移植を辞退。第6候補者及び第7候補者はドナーの医学的理由にて移植実施施設側が移植を辞退。第8候補者の移植実施施設側が肝臓の移植を受諾した。
 膵臓については、適合患者不在のため、移植が見送られることとなった。
 左右の腎臓については、第1候補者が家庭の事情を踏まえ移植実施施設倫理委員会の判断として移植実施施設側が腎臓の移植を辞退。第2候補者、第3候補者及び第4候補者の移植実施施設側が移植を受諾している。
 また、感染症検査やHLAの検査等については、あっせん対策本部において適宜検査を検査施設に依頼し、特に問題はないことが確認されている。

【評価】
 ○  今回の事例においては、適正にレシピエントの選択手続が行われたものと評価できる。

 ○  また、ドナーの医学的検査等は適正に行われている。

3.脳死判定終了後の家族への説明、摘出手術の支援等
 4月14日11:16に脳死判定を終了し、主治医は脳死判定の結果を家族に説明。その後、ネットワークのコーディネーターより、情報公開の内容等について家族の確認を得ている。
 また、同日、ネットワークのコーディネーターより、家族に対して、心臓移植については医学的理由で、肺移植と膵臓移植については適合者不在のため移植が見送られることとなった旨を報告している。

【評価】
 ○  法的脳死判定終了後の家族への説明等に特に問題はなかった。

4.臓器の搬送
 4月14日にコーディネーターによる臓器搬送の準備が開始され、参考資料のとおり搬送が行われた。

【評価】
 ○  臓器の搬送は適正に行われた。

5.臓器摘出後の家族への支援
 平成14年4月15日臓器摘出手術終了後、コーディネーターは手術が終了した旨を家族に報告し、病院関係者等とともに御遺体をお見送りしている。
 平成14年5月7日にネットワークのコーディネーター2名と都道府県コーディネーター1名が自宅を訪問し、ご焼香後に厚生労働大臣の感謝状を手渡しその後の経過報告を行っている。家族からは「臓器提供をするのは本当に大変なんですね。家族の方が病気になるのではないかと思うくらい。もう少し(家族の)負担が小さくなるような体制にしないと提供する人がいなくなるのではないか。」との発言があった。
 平成14年8月9日にネットワークのコーディネーター1名と都道府県コーディネーター1名が自宅を訪問し、肝臓移植を受けたレシピエントからのサンクスレターを手渡している。家族から、レシピエントの経過は今後も知りたいとの希望を受けている。
 その後もレシピエントからのサンクスレター郵送等、ネットワークのコーディネーターが適宜報告を行っている。

【評価】
 ○  コーディネーターにより、ご遺体のお見送り、家族への報告等適切な対応が採られている。


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