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資料1

「障害者の在宅就業に関する研究会」報告書(平成16年4月)
− 多様な働き方による職業的自立をめざして −
(概要)


I.背景

 ITを活用した在宅就業が今後、障害者の能力に応じた就業機会を拡大し、障害者の自立の促進を図る上での重要な方策の一つとなり得るものと考えられる。 本研究会は、ITを活用した在宅就業による障害者の就業機会拡大のための施策のあり方について検討し、今般、その検討結果をとりまとめた。

II.障害者の在宅就業支援の基本的考え方

 通勤等移動に制約を抱え、あるいは健康上の理由等から企業での勤務に耐えられない障害者にとって、多様な働き方の選択肢が準備されることは、仕事を通じての自己実現、職業的な自立を図る上で大きな意義を持つ。

 企業に雇用されるための支援策を基本とし、これに在宅就業支援策を組み合わせることによって障害者の就業機会拡大を図ることが適当。また、在宅で雇用されて働くことを目指す障害者については、その希望が実現するよう在宅勤務の推進を図る必要。

 障害者の在宅就業の労働条件や就労環境を向上させていくためには、仕事の確保、知識技能の習得機会の確保、納期、品質の保障等の面で在宅就業障害者、発注元事業主の双方にとってのセーフティネットとなりうる機能を充実させていく必要。

III.障害者の在宅就業支援策の方向性

(1)障害者の在宅就業への発注に対する奨励
 障害者雇用促進法上、以下の選択肢のような仕組みを設けることが考えられるが、どの方法が適当かは雇用支援策との関係も念頭に置きつつ、今後検討する必要。
(i) 一定額以上の外注を一人分の雇用とみなして発注元事業主の雇用率に算定
(A) 雇用率未達成企業等が支払うべき納付金を減額したり、雇用率達成企業等が受け取る調整金、報奨金に加算を行う方法
(B) 雇用率算定、納付金減額等とは別に何らかの経済的な奨励措置を講じる方法

(2)官公需における配慮
 在宅就業に対する発注上の優遇措置を各地方公共団体に普及していく必要。
 国も、障害者基本計画を踏まえ、障害者の在宅就業への発注に際しての配慮について十分な検討を行っていく必要。

(3)セーフティネットとしての支援団体の整備
 支援団体は、在宅就業を営む障害者、発注元事業主の双方にとってのセーフティネットとして欠くことのできない存在であり、これを育成していく必要。

(4)在宅勤務の環境整備
 障害者の在宅勤務の雇用管理に当たる者を配置するに当たっての助成措置を手厚いものとしていくことが考えられる。
 また、「情報通信機器を活用した在宅勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」(平成16年3月)の周知を図っていく必要。

(5)能力開発機会の提供
 集合研修への参加が容易でないこと等による障害者の研修機会の制約を補うため、ITを活用した在宅での技能習得を実施していく必要。

(6)在宅就労コーディネーターの育成
 請負、雇用といった就労形態にかかわらず、障害者の在宅での仕事のコーディネートを行う人材を育成し、その配置を支援していく必要。


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