04/03/24 第11回社会保障審議会介護保険部会議事録           社会保障審議会 第11回介護保険部会議事録 1 日時及び場所 : 平成16年3月24日(水) 17時から19時           厚生労働省省議室 2 出席委員:貝塚、上田、青井、市川、漆原、小川、喜多、木村、京極、見坊、下村、        田近、中田、永島、秦、花井、山崎、山本の各委員        大村、潮谷、矢野の各委員は欠席 3 議題:これまでの議論の整理 ○渡辺企画官より資料2に沿って説明。 (山本委員)  今回の資料は今までの議論をうまくまとめている。  グループホームをつくるのに許可は必要なく無制限だ。市町村長の意見を聴取するこ とになっているが全く役に立たない。グループホームがどんどんできて、保険料が高く なっていく。グループホームに痴呆の人が入っているのかどうか疑問だ。痴呆は自分の 意志が働かないので、誰かが代行して入所させていると思う。老人になって少しでも痴 呆があればグループホームに行け、ということになると在宅介護なんて到底あり得な い。グループホームにはもう少し規制をかけることが必要で、住所地特例も適用すべ き。グループホームが多いばかりに、財政が厳しい市町村は負担が多大になる。もう少 しグループホームについて規制を考える必要がある。  痴呆の早期発見はどうやったらできるのだろうか、専門家でないと分からないと思う が教えていただきたい。  公平性・中立性を確保するため、ケアマネージャーは独立した方がいいと思う。ケア マネジメントを担う事務所のようなものをつくることになると思うが、公平性・中立性 を確保するなら株式会社ではなく公的法人でなくてはならない。市町村と協調して公的 法人をつくるのがよい。株式会社だと事業者がその資金を負担し、独立しても結局施設 の隷属的なケアマネジャーになってしまう。市町村と連携のもとケアマネジャーを独立 させることを考える必要がある。  サービスの評価、ケアマネジメント、認定調査等全般にわたって評価制度を設けるべ き。これだけたくさんの費用を使っているので事業評価をやる必要がある。評価委員会 を強力なものにすることが大事。  個室化は確かにいい考え方だと思うが、ホテルコストの負担について懸念している。 老人になるといつ異変が起こるかわからず個室に一人でいると連絡のしようがない。特 別の装備をしていつでもどこでも監視ができるようにしておけばいいが、その分ホテル コストが高くなる。専門家が全面個室化がいいと言うのなら教えていただきたい。老人 になるとお互い気をかけあうことが大事で、多人数で楽しく過ごすのもいいのではない か。  介護保険がどんどん膨張するのがいいというものではない。何でもとにかく介護、医 療というのは間違っているような気がする。自分自身の責任はここまでで、介護はこれ だけしかやらないということを明確にすることが大事だ。 (喜多委員)  現在までの部会で各委員がおっしゃったことは、今回の資料以外も含めて議論してい ただけるということでいいのか。確認させていただきたい。 (山崎総務課長)  もちろんそうだ。あくまでも議論の題材として資料を作成した。これまでの議論等を 含め全般について議論していただくつもり。 (喜多委員)  「これまでの議論の整理」はある程度よくまとまっていると思う。保険者の立場から 見れば抜けていると思う点が幾つかあるが、今までの各委員の発言は今回の資料以外も 含めて議論していただけるということなので、今日はそのことについて申し上げること は避けておきたい。ただ、1つだけ挙げると、負担の在り方の財政調整についてこのよ うな表現で本当にいいのかどうかと思う。国民的な公平という観点から今まで発言して きたが、国は財政的な側面のみを考えているのではないかと邪推している。今後真摯に 議論していきたいと思う。 (秦委員)  「これまでの議論の整理」はかなりよくできている。  グループホームは理念はすばらしいが、最近は鍵をかけたり、入居料が高額なものな どひどいものが多い。不動産屋が作ったものが目立つ。第三者評価を行う際も、内容を 明確にして行わないといけない。  ユニットケアは市民の地域での参画が進んでいかないと実現できないと思う。ケアマ ネジャーの独立については、おそらく基幹型在宅介護支援センターの活用を想定されて いると思うがもう少し細部までつめてほしい。 (永島委員)  家族が介護保険の中でどういう位置付けなのか。介護保険給付は本人のみを対象とし ているわけだが、同居している家族の介護力は介護保険の中でどのように見込まれてい るかがどうもはっきりしない。家族が同居していれば相当な介護をしている。介護力と いうのも一つのケアの環境として考えたらいいのではないか。さらに、家族も千差万別 で介護が十分にできる条件の整っている場合とそうでない場合がある。ケアマネジメン トの際に家族の状況も考慮できるかどうか考える必要があるのでは。  痴呆の方にとって家族は癒しであり心の支えだ。家族の介護は非常に個別性が強いの で介護保険に組み込むことはできないと思うが、人的な要因や環境の要因といった視点 がどこかにあればいいのではないかと思った。  家族が痴呆に対して理解があれば、かなり初期の頃から適切に対応でき症状が悪化す るのを阻止できると思う。だから介護家族の支援、相談の体制をつくることが必要。特 に痴呆の初期にどうしていいかわからず振り回されてしまう。痴呆は特に入り口での支 援が必要だし、悪化を緩やかにするという意味での予防は有効だと認識している。  権利擁護については、早い段階で相談、研修というチャンスが社会の中に数多くあっ たらいい。  グループホームはもっとあってもいい。現在入居しにくい状況にあり、質が問題にな っているが、第三者評価の調査員として幾つかのグループホームに行った限りでは、現 在の第三者評価対象は「手挙げ」方式なので、あまり悪いGHには出会わなかった。 (小川委員)  「これまでの議論の整理」は非常に整理されていると思うが、加えてほしい点がいく つかあるので申し上げる。  まず、情報公開を活用した国民の合意形成。国民が納得して合意をしなければ、保険 としての機能は低下する。さまざまな問題が新聞等で流れ憶測が広がり事業者も利用者 も不安定になっている。  地方分権について保険者の権限強化については書いてあるが、もう少し踏み込んでい いと思う。地域差を考慮してほしい。総務省に関わる問題もいろいろ出てくるし、保険 外の福祉政策にも関係してくると思っている。すべてが介護保険で満たされるわけでは ないとしたら、省庁を越えた政策として日本人がこれから少子高齢社会の中でどのよう に暮らしていくか地域の中で暮らすかというグランドデザインがある程度なければいけ ない。  リハビリやターミナルケアで医療は欠かせないと強調されているが、介護保険は在宅 重視という意味で本来「暮らし」に重点が置かれているはず。必ずしも医療と連携すれ ば解決できる問題だけではないと思う。そういう意味では、医療との連携は必要だが医 療と介護を分けて考え、求められている生活の質を高めることも考えてほしい。  個室・ユニットケアについては、これまで気が付かなかったケアの在り方の問題が、 個室化したことによって浮き彫りになってきたということではないか。多床室から全面 個室に切り替えた施設では、それまでずっと入居者によかれと思ってやってきたことが 一瞬にして崩れるような経験をしている。それは個室化によって、入居者が自分の生活 空間やプライバシーを守れることを実感したことによるものである。全面個室の施設で は、自分の生き方は自分で決めるという自己決定を最大限尊重するユニットケアの重要 性を実感しており、今言われている問題は、これまでの集団主義的に介護に慣れている 施設運営者側の戸惑いである。 (漆原委員)  施設の役割は、対象者の重度化や医療との連携だけでなくもっと広がっている。在宅 ケアサービスの必要性が強調されればされるほど、施設の役割は新たに求められてくる と思う。特に医療やリハビリテーション、痴呆性の高齢者ケアといった課題に対して施 設と在宅両方に軸足を置いた施設の在り方が必要になってくるのではないか。  老健施設又は医療系サービスを提供する施設に入所している高齢者は重度者ばかりで はない。リハビリテーションを集中的に提供すれば家に帰れるかもしれないお年寄り や、痴呆ケアをうまく充実させれば地域の中で生きていけるような高齢者も多く含まれ ている。医療管理が必要で家に帰れない方、あるいはターミナルの時期にある方、そし て他施設への入所を待っている高齢者もいる。様々な利用者が混在しており、それぞれ 必要があって施設に入っていることも認識していただきたい。各施設毎に特徴のある機 能が発揮できるように誘導していけたらよい。施設の設備基準、人員基準は機能に応じ て再考されるべきものであるし、実績や効果も情報を開示すべき。いずれにしても、施 設は重度の方や在宅ケアからこぼれた人が入る場所、という認識にはしたくない。  いかに在宅と施設を一体的に運営できるかということが重要。そのために何が必要か 考えてみると、ケアマネジャー等が高齢者を一対一で継続して見ていく仕組みが必要だ と思う。ケアマネジャー、在宅介護支援センター、主治医の役割が在宅と施設でぶつぶ つ切れるわけだが、グループホームや特定施設でかかりつけ医が月に一度訪問したり、 在宅時のケアマネジャーが何らの形で関わるなど工夫すればよいのではないか。  我々施設の経営者にとっても在宅重視は大賛成だし、何とかして在宅と施設をうまく 利用していただきたいと思っている。ここで、家族の存在の有無が非常に大きなポイン トになっているのは事実だ。在宅が長く続けられるか施設利用に踏み切るか、あるいは 施設から出られないかというポイントもまた家族が担っており、家族の方々の介護意欲 を高めて維持するという視点は欠かせない。  在宅サービスは、どこかに家族又は家族に代わる存在がなければなかなか成り立たな い。家族を支援する体制、小規模多機能施設のような役割は重要になってくると思う。 (京極委員)  これまでの議論の整理は大変よくできている。これに加えるなら、在宅重視を理念上 もう少し強く訴えなくてはいけないのではないかと感じている。  市町村の権限の強化については、例えば事業者の指定は都道府県知事でいいのか、も う少し整理し直す必要があるかと思う。  介護認定審査会は立派な方が集まって議論しているが、認定の水準だけ決め後はケア マネに委ねられる。ケアマネの水準を高めることも必要だがケアマネにバトンタッチす る際の介護認定審査会の権限機能強化も考えてもいいのではないか。  低所得者の範囲のあり方についても、市町村の役割は大きい。  医療との連携については難しい問題があるが、かつて施設に入っている人が1週間程 緊急で入院した場合、医療保険と介護保険とのダブル支給を認められていたが今は厳し くなってきている。社会的入院への対処方法ということで、一時的にダブル支給を認め るのは社会資源の効率性を考えても悪いことではないのではないか。本審議会だけでは 議論できないのかもしれないが、医療保険と介護保険の併給について在宅を維持すると いう大目標に立てば多少認めてもいいと思う。 (山崎委員)  資料1の「これまでの議論の整理」も重点化されているので、きちんと取り上げてほ しい。  在宅重視という理念に、365 日・24時間切れ目ない在宅サービスという高齢者介護研 究会の報告を含めて記述が必要ではないかと思っている。  介護保険スタートの時は、要介護高齢者が一人暮らしになることまでは制度化できな かったが、今回の議論の整理で、「一人暮らしモデル」というサービスモデルが示され たことを歓迎する。また家族同居といっても老々介護が多い。一人暮らしだけでなく家 族への評価をきっちり議論することが大事だと感じている。  在宅サービスの充実・強化については、在宅の給付をどこまで延ばすかということを 論点として挙げた方がいいのではないか。ケアプランの中で医療が十分機能していない 結果として重度化が起こっていると認識しているので、医療保険との整合性という論点 は大事ではないかと思っている。医療と介護の連携強化はどのようにルール化していく かというところが大事なポイントだと思う。  要介護認定からケアマネジメントの部分では認定審査会の意見の付与も大事だが、訪 問調査した内容をケアプランに繋げること。介護認定訪問調査からニーズのアセスメン トにつなげるところでケアマネジャーがしっかりリーダーシップをとれる仕組み。それ から給付限度額について、家族同居であるかないかも含め議論してみる必要がある。  市町村への事業者指定権限の付与については、基準該当サービスとの整理が必要にな ってくる。 (花井委員)  サービス体系の在り方、給付の在り方等で今までの体系と違った仕組と思える項目が あるが具体的な制度についてはどこまで示せるのか。  ホテルコストの徴収は既定路線になっているようだが、現在施設に入っている方の所 得層はどうなっているのか。施設見学を幾つか行ったりしたが圧倒的に女性が多い。所 得層がどういう方たちなのか心配している。  ホテルコストを徴収する場合、多人数部屋も徴収するのか。また、現在、低所得者に ついては問題は起こっていないのか。以前の資料に療養型の差額ベット代の金額が出て いたが、これにプラスしてホテルコストを取るとどのくらいの水準になるのか。 (山崎総務課長)  部会においては基本的な考え方、幹となるものをどうするかを中心に議論していただ いて、方向性を示していただければと思っている。 (中田委員)  全国老施協が介護保険制度利用者についてさまざまな調査をやっており、例えばデイ サービスの利用者の80%前後が要介護度の維持という結果が出ている。要介護度の悪化 を防ぐ効果が発揮されるということが言えるのではないか。別の調査で、子どもたちに ついて都会に出てきた多くのお年寄りがデイサービスを利用することによって新しい人 間関係ができるという評価もいただいている。痴呆性高齢者も非常に表情が豊かになっ たという話も聞いている。また、デイサービスを利用することによって家族も若干余裕 ができて今までよりやさしい介護ができるようになったというような調査結果も出てい る。その辺の視点も踏まえデイサービスについて評価していただきたい。  施設入対象者の重点化を図る、個室・ユニットケアの普及、医療面を含めた重度化へ の対応ということだが、特別養護老人ホームについては一昨年10月から優先入所基準を 導入している。ただ、地域によっては例えば厳しい冬の期間やむを得ず入所するという ケースがあり、要介護の低い人もそうした地域性とか家庭や本人の状況を考慮して入所 を受け入れている。制度的に重度に限定するというのはいかがなものか。  個室・ユニットケアだが、特別養護老人ホームも含め施設サービスの基本はやはり個 別ケアと考えている。ただハード面で見たとき、必ずしも個室・ユニットだけに限定さ れるものではないのではないか。既存の特別養護老人ホームでも、間仕切りして準個室 化にするとか、またユニットについてもグループケアをやろうと実践している。  医療面の問題だが、ターミナルケアに対する入所者のニーズが大変高い。医師の往 診、介護職員の痰の吸引や褥瘡の処置といった医療行為の問題と、介護報酬の加算など をぜひ検討していただきたい。  介護職員については介護福祉士を基本にしていくことが必要である。その上にリーダ ー職の研修体系や、個別ケア、痴呆ケア、ターミナルケアといった技能習得を第三者機 関で実施してもらって厚生労働省の認証を受ける仕組みが必要と考えている。  施設長、管理者の資格要件は介護保険制度に対応したものになっていないので、資格 要件や研修体制を早急に作っていただきたい。 (田近委員)  市町村では財政が非常に厳しくなってきている。その認識をもう少しきちんと持つべ きではないか。  1号保険料の段階別保険料は生活保護を受給しているか、あるいは市町村税を払って いるかどうかということで算定している。一方で税制改革が進んでおり、住民税の課税 ベースは国全体のマクロ政策、税制に影響を受ける。今抜本的に見直しをしているわけ で、課税所得は税制改革でどんどん変わることも考えなくてはいけない。  施設における居住費用や食費負担の在り方を見直すとのことだが、居宅サービスと施 設サービスは一体どうやって定義するのだろう。グループホームに入っても特定施設に 入っても在宅サービスで、介護保険3施設に入ると施設サービスになり給付はまるめで 払うことになる。どこで利用しようと食費の部分は明らかに抜くべきだが、居宅か施設 かという区別は非常におかしい。施設に入った場合も基本的にその人が利用したサービ スに対して給付すべきで、居宅と施設の差は本来ないはず。まるめの給付は施設での標 準的サービスとして考えればいい。標準的サービスとしてのパッケージだと位置づけれ ば、基本的にこの問題は解消できるのではないか。いつまでもホテルコストを誰が払う かというボールの投げ合をするのは不毛だ。ただし、この標準とされるサービスの内容 は明記すべきだ。もし、施設利用者でも、標準ではないサービスを望むなら、そうした サービスを受けられるようにするべきである。  1割負担の是非については問題として明記してもらいたい。1割負担のまま介護保険 を本当に持続していけるのだろうか。資産からの費用回収というのは生涯でどう負担を 支払うのかという問題であり、もっと議論すべきだ。  保険者の在り方については、県と市町村の守備範囲がどうなっているのか整理が必 要。もちろん、今後すべての市町村に全部やってもらいましょうというわけにもいかな いし、業者と近いところにいる市町村がそこで采配を振るうということは必ずしも望ま しくない。そうすると県と市町村の守備範囲を明確にしなければいけない。さらに保険 者としてすべきことは何なのかということをもっと詰めないといけない。介護保険が始 まって4年経ち、保険者がどういうことをしたいのか、またできるのか、そして市町村 に対してどんな情報提供が必要なのかということも議論しなければいけない。まだ非常 に不足している。 (下村委員)  最終的な議論のまとめは、もう少し具体性がありどちらの方向で見直しをやっていく のかが明確な方がいいのではないか。基本方針だけでなく、少なくとも重要事項につい てはもう少しはっきりさせた方がいいのではないか。よくわからないところがいっぱい 残っているように思う。  軽度の方への予防やリハビリテーションの重要性を改めて強調する必要があるとのこ とだが、今までも強調していたと思う。今までとどこが変ったかは、これだけではわか らない。どっちを向いて進もうとしているのかがよくわからないので不十分ではない か。  将来の見通しは、具体的にいつまでの見通しかはっきりさせる必要があるのではない か。年金改革法案では税制改革も行うと書いてあるが、そこまで視野に入れているのか わからない。改革をやるなら20年以降の見通しも本当は必要なのではないか。  在宅サービスでは住居費や食費は払っているので、施設に入っても食費と住居費は負 担すればいいのではないかということのようだが、本当にそんなことができるのだろう か。具体的にどのようにするのかはっきりしない。また、多人数部屋でもホテルコスト を徴収するのか、どれほどの負担になるのかということがわからない。介護の負担を重 くして医療保険の負担が仮に軽いようなことになると、療養型病床に流れると思うので 医療保険の負担との関連性も当然考えるべきではないか。  保険者や地方分権の話も出たが、保険者の在り方や体系はとりあえずは今のままやる ということだと思う。年金制度改革においてあと5年後あたりに医療も含めた改革をや るということなので、とりあえず今回の介護保険の見直しでは現状のままでいいという ことだと思う。もう少し具体性とか方向性が必要なのではないか。焦点を絞って、ポイ ントになる問題については判断ができるような資料を提出していただきたい。 (貝塚部会長)  今回の資料はやや抽象的な部分もあり、もう少し具体的にして賛否両論分かれるよう にすればいいのではないかというのが私の個人的な意見だ。具体的にして次のステップ の資料にすることも考えていかなければいけない。 (下村委員)  賛否両論あるところはなるべく明快にしていった方がいいのではないか。できる限り まとめる努力をしていただきたい。 (見坊委員)  議論のまとめには、介護保険創設時の理念、目的を大事にしなくてはいけない旨はっ きり書く必要がある。  介護の社会化において、家族をどのように考えたらいいかが不明確である。ただ高齢 者自身をサービス提供の対象とするということだけではなく、家族やコミュニティとの 関係も取り上げていただきたい。  高齢者は、個室を望む方も二人部屋を望む方もいる。そういった多様な考え方も尊重 していただきつつサービス体系をつくってもらいたい。  筋力トレーニングについては、スポーツを中心として昔から使われている言葉であ り、地域でも文部科学省の施策、高齢者の健康づくり、健康教室の関連で筋力トレーニ ングという言葉が使われていた。今回の筋力向上トレーニングは特に機器を使ってのト レーニングということだ。週に2回程度の3か月間のプログラムで、区切りをつけて専 門家が判断するということで我々は賛成している。これには当然リハビリテーションの 専門職がかかわらなくてはいけない。これをただ機械を備えればサービスが提供できる と安易に考えられては非常に問題。  リハビリテーションの専門家に聞くと、筋力トレーニングは地域、家庭でできるトレ ーニングでないといけないとのこと。通わないといけないのでは大変だ。私の地域では 公園でのラジオ体操、ウォーキング、ストレッチをやっている。機器を使ってのトレー ニングは、リハビリテーションの専門的なトレーニングに限るのか否かということの理 解に差があるが、パワーリハビリテーションは筋力トレーニングではないとの専門家の 指摘もあるので混乱している。 (上田部会長代理)  御指摘のパワーリハビリテーションについては、高齢者リハビリテーション研究会に 第一人者と言われる方をお招きして勉強した。その結果、効果のある場合がかなりある ようであるが、その効果はその方法でしか得られないものなのか、機械を使わないでも 同じくらいの効果があり得るものなのかといった辺りにまだ研究の余地があり、他にも 有効な介護予防の方法はあるので、必ずしも結論が出ているわけではない。 ○市川委員より提出資料(「介護保険の制度見直しに関する意見書」)に沿って説明。 (市川委員)  自分の力で歩いたり家事ができることを自立と考えているようだが、我々は生活が成 り立つことが自立の第一歩と考えている。生活が成り立ってから、自分で歩けるように なったとか、掃除をしようという意欲が出たという事例は数多くある。 ※貝塚部会長より閉会の宣言 照会先  老健局総務課企画法令係   03-5253-1111(内線3909)