04/03/23 第2回政策評価に関する有職者会議議事録             第2回政策評価に関する有識者会議           日時:平成16年3月23日(火)13:30〜15:10           場所:専用第12会議室(5階) ○高橋座長  それでは定刻になりました。遅れている委員もいらっしゃるかと思いますが、第2回 政策評価に関する有識者会議を開会させていただきます。もう年度末ということで、大 変お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございました。事務局からの御報告に よりますと、阿部委員と堀田委員は御欠席ということだそうでございます。  それでは、事務局から本日の議事について説明をよろしくお願いいたします。 ○川尻政策評価官  政策評価官の川尻でございます。  本日は3つの議事を予定しております。1点目は厚生労働省における政策評価に関す る基本計画改正案、それから平成16年度の事後評価の実施に関する計画案、この2つに ついてあわせて御審議いただきたいと考えております。2点目といたしまして、平成16 年度以降の総合評価の実施方法について、見直しを行いたいと思っておりまして、その 在り方について御議論いただきたいと考えております。3点目は御報告事項でございま すが、UFJ総合研究所に委託して実施いたしております「都道府県の政策評価の施策 への反映状況等に係る実態調査」について御説明をし、御質問等をいただきたいと考え ております。  以上でございます。 ○高橋座長  ありがとうございました。それでは今日は3つほど議題があるようでございますが、 まず第1に、厚生労働省における政策評価に関する基本計画改正案及び事後評価の実施 に関する計画案について説明をしていただき、その後委員の皆様の御意見をいただけれ ばと思います。  では、事務局の方からよろしくお願いいたします。 ○川尻政策評価官  1点目の議事につきましては、資料1〜3までが主たる関係資料ということでござい ます。資料2、資料3と非常に分厚いものになっておりますので、構成がどういう形に なっているかということを御説明した後、資料1に沿いまして改正のポイントを御説明 させていただこうと思います。  資料2の「厚生労働省における政策評価に関する基本計画改定案」は2部構成になっ ておりまして、本体が10ページほど、それから別紙という形で、政策体系と評価予定表 をあわせて記載したものが80数ページになってございます。  どういう位置付けかということは本体の6ページを御覧ください。これは基本計画で ございますので事前、事後両方の評価の関係を書いておりますが、一番多い事後評価の 関係を別紙では定めておりまして、6ページの7の(1)のイの(イ)に、「厚生労働 行政全般について、別紙の政策体系及び評価予定表を定める」と書いてございます。  例えばということで別紙の4ページを御覧いただきますと、基本目標、施策目標、実 績目標という形でブレークダウンをしてまいりますが、そういう目標に沿って何年度に どういう手法で評価をするかというような予定を、それぞれ5カ年計画で書いているも のという形でございます。本日の資料は、今回改正しようというところにアンダーライ ンを引く形になっておりますので、非常に膨大なものとなってございますが、かなりの 部分は特段今年は変更しないというような中身でございます。  それから恐縮でございますが、基本計画改正案の6ページにもう一回戻っていただき まして、資料3の位置づけについて先に御説明をさせていただきたいと思います。資料 3につきましては、本体6ページの7の(1)のイの(ロ)に書いてございますが、 「政策体系に基づき事後評価の対象とする政策の評価は、評価予定表を基礎として、以 下の場合に実施することとし、毎年度実施計画において具体的に定める」となってござ います。したがいまして、基本計画の別紙が基礎となっておりますが、より具体的に定 めているものが資料3の「厚生労働省における事後評価の実施に関する計画案」という 位置付けになっているものでございます。  そういう資料の構成になっているということを前提といたしまして、今回改正したい ポイントを、資料1に基づきまして御説明をしようと思います。資料1は2枚ものでご ざいますが、そちらを御覧いただければと思います。  まず1ページの上の方に書いてございます今回の改正の基本的な考え方でございます が、現在の基本計画の対象期間は、平成14年度から18年度までの5年間ということにな ってございます。昨年、平成15年度に入るときには、平成14年度に1年間実際にやって みて、少し使い勝手が悪いところ等々、施策体系全体を簡素化する観点から見直しを行 いましたが、平成16年度に入る今の時点ということについて言いますと、毎年基本計画 を見直しますと経年比較ができないということもありまして、今年はできる限りそうい う全般的な見直しを行わないという方針を立てて臨んでおります。ちなみに、ほかの省 がどういうことをやっているかでございますが、どちらかというと基本計画は5年もの というよりは3年ものが多く、来年が最終年度になるということもございまして、あま り大きな改正はないように聞いております。しかしながらということで3つ目の丸でご ざいますが、施策の見直し等に伴う実績目標等の一部改正を行う、こういうような方針 で改正をしております。  大きな1、「実績目標の整理、評価指標の見直し」というところでございますが、大 きな改正点を3つほど例として挙げさせていただいております。それぞれの関係につい て別紙のページ数を申し上げますと、最初の公共職業安定所関係の業務は基本目標4と いうことで、別紙ですと35ページから始まるところでございます。公共職業安定所関係 業務、ハローワークの関係でございますが、これにつきましては最近もまだ非常に雇用 情勢が厳しいということもございまして、経済財政諮問会議の方からは、アウトカム目 標を設定して政策を進めていくべきだということが非常に強く言われております。そう いうことも踏まえまして、国民にわかりやすく、効率的な業務の実施を図るため、達成 すべき具体的な目標を設定するという形で、ほかの基本目標についてアウトカム目標が 全部設定できているかと言われればそういうわけではないのですが、できるところから やろうということで、できるだけアウトカム目標を入れ込むという形で、基本目標4全 体について見直しを図っております。  具体的にはそこに書いてございます。公共職業安定所の求職者の就職率は、平成14年 度の実績が20%台後半ということでございますが、それを平成16年度において30%程度 に引き上げることを目指す。あるいは障害者雇用に関しましても、平成16年度において は15年度を上回る就職件数等を目指す。大分障害者の就職も厳しくなっておりますが、 今年度以上のものを目指す。あるいは若年者の雇用に関しても、平成16年度の新規高卒 者の内定率について15年度以上の水準の確保を目指すというように、できるだけアウト カム目標を書き込むという形での改正を行っております。  2点目の大きな改正が、別紙でいいますと69ページからでございますが、障害者関係 の施策目標の見直しということでございます。障害者の関係につきましては、平成8〜 14年度、7カ年の障害者プランというものがございまして、それが終了しました関係で 平成15年度においては実績評価を行っておりますが、平成16年度にいきますともう既に スタートしております新障害者プラン、平成15〜19年度の5カ年計画でございますが、 これの最初の評価を行うことになりますので、この時点をとらえて実績目標等を見直す という形にしております。例は書いてございませんが、69ページで最初に出てくる項目 でありますと、例えば障害者の関係のグループホームが、平成14年度末までに約2万人 分整備という目標を掲げておりましたが、改正後のものとしては、平成19年度末までに 約30,400人分整備することという形で、新障害者プランに基づきまして、実績目標の見 直しを行っているというような中身でございます。  3点目の大きな改正内容は、別紙では82ページからでございます。これは施策が制度 構築から実施段階、利用段階という形で1段階進歩しましたので、それにあわせて目標 自体から見直しをしているものということでございます。現在の施策目標ですとそこに 書いてございますように、国民等と行政との申請・届出等手続等のオンライン化を推進 することでございますが、これは平成15年度、今年度までにオンライン化を図るという ことで進めてまいりまして、来年度からはそれを利用していただく形になりますので、 変更後では厚生労働省電子政府構築計画等を推進することという形で書いております。 評価指標を見ていただきますと、申請・届出等手続等のオンラインの利用件数を指標と して採って、そして評価を進めていくということで改正を予定しているものでございま す。  資料1の2ページに参ります。これは今まで大体事後評価や実績評価の話をしてまい りましたが、実際にはもう一つ事前評価といたしまして、毎年度概算要求の時期に合わ せまして、新規施策などの事前評価をやっております。現在のところ概算要求に向けて 事前評価をやるということだけを決めておりましたが、この資料を御覧いただきます と、平成13年12月に閣議決定されました「政策評価に関する基本方針」でも、「事前評 価については、政策効果が発現した段階においてその結果の妥当性を検証すること等に より得られた知見を以後の事前評価にフィードバックする取組を進めていくものとする 」というような形にされておりますので、今回考えておりますのは事業の開始から一定 期間、原則3年と考えておりますが、それを経過した後において事後評価をしようとい うことでございます。  例えばということで資料に書いてございますが、平成15年度、今年度に事前評価を行 った事業につきましては、平成16年度からスタートして3年間実績がとれますと、平成 19年度に事後評価を行うというような形で、事前評価と事後評価を組み合わせていきた いということでございます。改正の具体的な案文という形になりますと、基本計画改定 案の、先ほど見ていただいた6ページの下の方の下線でございますが、(1)事後評価 の対象とする政策のニでございます。「事前評価を実施した政策について──中略いた しますけれども──事前評価の実施後、一定期間が経過したもの」も事後評価の対象と するということで、基本計画を見直しているというような形でございます。それが大き な2点目の改正でございます。  資料1に戻っていただきまして、大きな3点目の改正が「評価結果の公表の早期化」 ということでございます。これはもう各省ともいろいろ努力をしておりまして、政策評 価、特に事前評価の実施結果につきましては、相当早くに公表をされております。厚生 労働省の過去の実績はそこに書いてございますが、平成14年度ですと11月29日、今年 度、平成15年度ですと、これは一部を除いておりますが8月29日をもって公表しており ます。これを各省の実施状況と見てみますと、まだまだ厚生労働省は遅いと。8月末に 政策評価を発表して、そして概算要求も同時ではないかという話もありますので、もう 1カ月前倒しをしようということでございまして、7月末を目途に公表するというよう な形で、実施計画に書き込んでおりますプロセスの所要の改正をしておるということで ございます。  それから資料1には書き込んでおりませんが、この有識者会議の関係がありますの で、恐縮でございますが、資料2の基本計画の本体の8ページを御覧いただければと思 います。ここの大きな8というところで、学識経験を有する者の知見の活用に関する事 項ということで、この有識者会議の位置づけについて書いてございます。二重線で消さ れている方ですが、政策評価に関する基本的事項について意見を聴取するとか、政策評 価に関しまして評価書の作成、あるいは評価結果の政策への反映状況の取りまとめを行 う場合に、この有識者会議の意見を聴取するというような形で、実際に評価書を見てい ただく、あるいはその実施状況を見ていただくという形で基本計画上は書いてあったわ けでございますが、去年の9月にこの有識者会議の第1回がスタートするときも、個別 の評価結果だとか個別の施策の反映状況をこの有識者会議で御意見をいただくというこ とではなくて、もう少し大所高所から、厚生労働省の政策評価の在り方について御意見 をいただきたいということでございます。そこを明らかにする意味で今回お示ししてお りますような形でございますが、基本計画の策定や変更について有識者会議で意見を聞 かせていただくとか、あるいはその他政策評価に関する基本的事項の変更等について御 意見をいただくという形で、有識者会議の実態にあわせて、基本計画の方もちょっと書 き過ぎていたところがございましたので、改正をさせていただこうとしているというこ とでございます。  以上でございます。 ○高橋座長  ありがとうございました。現在動いております政策評価に関する基本計画改正案、そ れから事後評価、これについて手直しを中心とした変更を行うということでございまし た。それではこの件に関しまして御意見、御質問等がございますれば、委員の皆様から 御発言をいただきたいと思います。  先日新聞に出ていた職業安定関係の数値目標というのはこの話ですか。 ○川尻政策評価官  中身的には一緒でございますが、政策評価の基本計画で書くというよりは、むしろ施 策そのものとしてそういう目標を掲げてやっていきますという公表をしているというこ とでございます。同じものの表裏というか、そういうような形になります。 ○梅田委員  ちょっと確認だけですが、ここで事前評価に対しての事後評価と書かれているのは、 実績評価とは別立てであり、かつ総合評価とも違うという位置づけなのでしょうか。一 般的には微妙に総合評価とも重なる部分もあると思われるし、実績評価とも重なる部分 もあるように思いますが、ここの位置づけというのはどういう感じですか。 ○川尻政策評価官  おっしゃるように施策単位で見ると重なるところがございますが、一応新規施策につ きまして概算要求の段階で事業評価として事前評価をやりますので、それと同じような 事業評価方式で一定期間経過後やると。それとは別途、施策体系に基づいて実績評価を やるということもありまして、部分的には重なってくることもあるということでござい ます。 ○政策評価官室室長補佐  政府がつくっております政策評価に関する基本方針というのがございまして、その中 で事業評価方式と実績評価方式と総合評価方式と大きく3つの枠組みをつくっており、 事業評価方式の中で事前に行うものと事前に行ったものの検証、事後に行うものという ような体系とされているところでございます。 ○堤委員  評価結果の公表の早期化がございますが、11月が8月になって、7月になると。この スケジュールというのは、どういうところでどういうふうに決まっているのか。例えば 6月にはできないのかといった話になろうと思うのですが、この7月というのは何かあ るのですか。 ○川尻政策評価官  もう事務的にぎりぎりということでございまして、この3月31日までの実績をとった 上で、今の予定でございますと2カ月の間に原局がまとめまして、政策評価官室に報告 をしてもらう。そして必要な調整をした上で7月末に公表ということでございますが、 要するに3月末までの実績をそうやって2カ月ぐらいの間にとっていかないと、7月末 までの公表にはいかないということでございますので、相当厳しいスケジュールではな いかと思っております。 ○高橋座長  そうすると、お役所の話だと決算が出てきますよね。そしてそれをある実態的ないろ いろな、要するに執行量とかそういうデータを集めてこちらに持ってくるということに なると、相当スケジュール的にはきついものなのでしょうね。 ○川尻政策評価官  ですから非常に簡単に数字がとれるものと、それから正直言いますと1年ぐらいかけ ないととれないものがございまして、そこまで遅らせて評価するかというと、これはど うしようもないものですから、その場合には1年遅れのデータももとにしながら、ある いは定性的な報告をもとにしながら評価をするということでございますが、原則は前年 度の実績をできるだけ出してもらって評価をするということにしております。 ○稲葉委員  資料1に「実績目標の整理、評価の指標の見直し」とありまして、主な変更点とある のですが、これはまだこのほかにもたくさんあるのか、それとももうこの出ているもの だけか。我々からすればまだ少しはあるのではないかと思いますが、ほぼこれで網羅さ れているのかというのが第1点。  それからもう1点は、物によっては30%程度という数字が出ているのもあるし、それ から若年者の雇用には前年度を上回るという、数字が出ていないのもあります。当然前 年度を上回るというのは毎年のことで、行政としては当たり前にそういうふうに目標に してこられたのではないかと思うので、これは数字を出さないということに対して何か 理由があるのでしょうか。 ○川尻政策評価官  まず1点目は、主な改正点を網羅しているかということでございますが、細かな改正 はそれぞれの基本目標で、12ほどございますが、それぞれについてやってございます。 ただ、あえて御質問がございましたので比較的改正点が多い箇所ということで申し上げ ますと、例えば別紙の27ページに基本目標3というものがございますが、ここも最初の ハローワーク関係で出したのと同じでございますが、かなり数字を入れた見直しを行っ ております。基本目標3の関係が、今ここに例として出しました3つ目の次に大きい改 正かなと思っております。例えば27ページの真ん中あたりですと、労働時間対策の推進 を図ることということで、今までは数字は入れておりませんでしたが、年間総実労働時 間1,800時間の達成・定着という形で、できるだけ数字を入れていくというような改正 をしております。それ以外はかなり部分的な改正という形になろうかと思います。  それから、2点目は基本目標4のところの関係で、実際に数字が入っているものと入 っていないものがあるではないかということですが、ここは正直申し上げますと、私ど もの方もどのような理由で数字を入れたか入れないかということについて、詳細に把握 をしていないところがあるのですが、公共職業安定所本体でやるものにつきましては、 今よりも上げる、先ほど20%台後半と申し上げましたが、それを上げていこうというこ とでございます。ただ一般的に申し上げますと、若年の就業につきましても、あるいは 障害者の就業につきましても、どちらかというと現在はきつくなる傾向にあるものです から、そこについて15年度の実績が出ておりませんが、少なくとも今年度、15年度より はよくしようと。どちらかというと厳しくなる傾向にあるけれども、ベクトルを逆に向 けようというような形でこういう書きぶりになっているということだけしか、私の方か らは御説明できませんが、並びが悪いとおっしゃればそういう気もいたします。 ○稲葉委員  例えば雇用政策ですと失業率を現在は5%だが、これを4%台にするとか、それの問題 に触れていないとか、有効求人倍率はどうなのかという、質問が出ると思います。そこ が一番基本的なことで、それに従って職安のそれぞれが就職率30%を目指すということ になるのではないでしょうか。雇用政策の基本となる数字は出さないということなので しょうか。 ○川尻政策評価官  今のお話については、別に確認します。 ○高橋座長  これは政策評価の原論の話だと思うのだけれども、やはり行政活動が及ぶ範囲みたい な、もっと機能の仕方みたいなのがあって、そういう意味でいえば多々ますます予算を 打てばそれだけ成果が上がるという、そういう世界と、世の中のいろいろなトレンドに 対して介入して、それを例えば今の有効求人倍率は低下を抑止するための施策を打つと いう話では、やはり評価指標の考え方が随分違うのかなと。そこら辺がまだまだ厚生労 働省の施策体系として、これは全体なのでしょうか、何か整理し切れていないので、ど うしても今おっしゃったような質問がいろいろ出てくるのかなという印象を、ちょっと 伺っていて受けました。 ○川尻政策評価官  そこは、おっしゃるとおりかもしれませんし、それからできるだけ政策を細かく分析 していこうということになりますと、大所の数字はおっしゃるとおりですが、それを構 成している細かな要素についてもできるだけ実績をとって、そして評価しようというこ となので、両方が必要ということなのだろうと思います。たまたま今回御説明している ところがかなり微細なところに入っているものですから、そういう印象を受けられるの は当然かと思います。 ○高橋座長  あと一方で統計指標の問題があって、さっき1年どうしてもかかるようなものと、速 報値が出るものと、やはり統計体系と政策評価の関係の整理がまだまだなのかなとい う、そんな感じです。 ○田村委員  今の目標値の話ですが、今厚生科学研究費の補助金をいただいて、厚生労働省の実績 目標の体系をほかの省庁やほかの国と少し比較しているのですが、一番目につくのが、 どういう理由かよくわかりませんが、厚生労働省の指標には目標値が非常に少ないです ね。ほかの省庁の方が目標値が出ています。  今、高橋先生が言われたように、確かに政策が及ぶところか及ばないところかという のもありますが、及ぶ範囲でも目標値が非常に少ないので、ここは何かしら少し改善な り改正をしてもいいのではないかと思います。指標の継続性という観点から、体系の大 幅な改正を行わないというのはいいのではないかと思いますが、いずれにしても5年後 にまた、今からだと3年後ですか、ある程度見直しをしていくのでしょうけれども、そ の過程でもやはり目標値を立てるということはそれなりに重要ではないかと思いますの で、この16年度は難しいにせよ、17年度ぐらいから少し目標値を入れ込むことを検討さ れてもいいのではないかと思います。  ただ一方、これも少し調べているのですが、あと他省庁のも見ていますが、目標値の 合理的な立て方というのはあまりなくて、結構エイヤーでやっているようなので、それ にどれほど意味があるかというのがあるかもしれませんが、と思います。 ○高橋座長  やはり厚生労働行政における政策目標値の意味みたいな研究は、その手法みたいな議 論はどこかで必要なのでしょうね。いかがでございましょうか。野川委員。 ○野川委員  まず素朴な質問ですが、この別紙に書かれている記載事項に下線が引っ張ってあるも のと、二重線があるものと、これは確認ですが二重線が引っ張ってあるものは消すとい うことで削除して、下線が引っ張ってあるものは加えるということですよね。そうする と、これは前に同じようなものをいただいて、それからの変更の部分ということです か。 ○川尻政策評価官  改正か改正でないかというのは、現行の基本計画を今度改正しようとするものかとい うことで、事前にお配りさせていただいている資料からの変更点ということではござい ません。 ○野川委員  一番初め、去年の9月に配付された1回目の資料と比べてです。 ○川尻政策評価官  去年の9月の1回目の有識者会議の資料は、まさに現行の計画をお配りしております ので、そこから変更するということではそのとおりでございます。 ○野川委員  そうですね。そうすると、かなりたくさん線が引っ張ってある部分もありますが、先 ほどの稲葉委員の御質問にもかかわるのですが、主な変更点というところにどういうよ うな趣旨でこの3点を挙げられているのでしょうか。ほかにもものすごく線が引っ張っ てあるのは、単にパッと見て随分変わっているなというところだけでは主な変更点とは いえないということかもしれませんが、そういうことでしょうか。例えば基本目標8の 69ページから70ページにかけては線だらけですよね。この辺は特に別に技術的なものだ という…。 ○高橋座長  これは多分さっきおっしゃられた新しい障害者プランができたので、全面的に変わっ たのですね。 ○野川委員  それに伴う技術的なものということだけですね。実質的なということではないとい う、そういう趣旨ですか。 ○川尻政策評価官  今たまたま御指摘いただいた69ページ、基本目標8の関係は改正の主なポイントの2 つ目で、障害者プランということで資料1で説明をさせていただいたものでございま す。それで、主なものをどういう単位で選んだかということでございますが、実際には 評価指標という一番下の記述内容について相当細かく変えているものもございますけれ ども、指標の部分を変えたものはこの有識者会議で御議論いただくにはちょっと細か過 ぎるかなということで、やはり施策目標、あるいは実績目標という、施策の中身にかか わるような事柄について大きく変更したところを取り上げて、先ほど3点ばかり説明さ せていただいて、あえていえばそれ以外に基本目標3の関係も大きく改正しているとい うようなことでございます。 ○野川委員  今の点はわかりました。もう1点、評価結果の公表ですが、そのためのガイドライン とか枠組みとか、もっといえば様式というようなものは大体できているのでしょうか。 ○川尻政策評価官  評価結果につきましては、評価書そのものは大体項目ごとに3〜4ページのものがご ざいますし、それから概要版という形で1ページ横長のA4でございますが、それに6 〜7項目ぐらい入ったものと両方つくっておりまして、それぞれ記者配付をしたり、ホ ームページに掲載をするという形で公表をしているところでございます。様式自体は基 本計画ではなく、実施要領という事務方ベースのもので決めております。 ○野川委員  ちょっと気になったのは、今のお話でも若干ずつ基本目標の中身も変えたりしていま すし、それからさっきなぜこの点については数値目標が出ないのかとか、こういうよう な施策目標の立て方をしているのかという御質問が出ているわけです。公表するとき に、こういう施策目標を立ててその結果こうなりましたというだけではなくて、そもそ もなぜそういう施策目標が立てられて、それからそれがこの5年の期間内にどういう理 由でどのように変わって、そしてこういう結果になりましたというような、それはかな り細かくなってしまうのかもしれませんが、そこまでのことを恐らく国民は求めている のではないかと思います。そもそもどうしてこういう施策目標の体系があるのかという ことも含めて、そういった公表の仕方みたいものは何か工夫があるのでしょうか。 ○川尻政策評価官  これは様式というよりは、それぞれの評価書の書き方ということになるのかもしれま せん。それで、お手元には参考資料2という形で、実際にこれはホームページ上で公表 しておりますが、実績評価書の一例だけ、全部ですと非常に分厚く電話帳みたいになり ますので、一例だけお配りさせていただいております。  最初は実績の状況をずっと書かせていただいて、数値だけではなくて、それなりの文 章による評価もしておるというようなことでございますが、それを踏まえまして4ペー ジ以降から、評価結果という形で結果的に有効であったかどうかとかいう結論を書き、 それから政策への反映方針というのが6ページ目の真ん中あたりでございますが、どう いうふうに今後政策へ反映をしていくのかというようなことも書いてございます。それ から特記事項といたしまして、どういうところでどういう議論があったかとか、国会に おいてどういう議論があったかというようなことも書かせていただいておりますが、先 生がおっしゃったなぜこういう施策目標を立てたのかというところについては、確かに 書けていないところがございます。そこら辺は、今後また課題として検討をさせていた だこうと思います。 ○高橋座長  ありがとうございました。はい、どうぞ。 ○渡辺委員  すいません、1回目欠席だったもので初めてですが、今お聞きしていて、例えば2カ 月後、3月が終わってからこの報告をするまでにどのくらい時間がかかるかという問題 について、いわば定量評価、つまり数量的な目標と定性的な評価とは当然違うわけで す。それでこういう表をずっと拝見しても、要するにIT化時代というのは何かという ことを、もう一つ本質的にやらなければいけないのではないかと。ですからそのIT化 という問題が、いわばインフラストラクチャーであって、その上にいろいろな目標の実 施状況というのは、3月に終わって初めてわかるのではなくて、職業安定からみんなそ ういうアクセスというのは、時々刻々毎日数字がつくられているわけです。ですから、 政策というのは3月が終わって2カ月後に評価があるのではなくて、新年度があれば4 月はどうだったろうか、5月はどうなったのか、こういうことを定量的に追い続けてい くというのが民間技法です。ですから売り上げと利益が3月31日になって初めてわかる のではなくて、我々が花王にいるときはデイリーが決算、毎日が決算だったと。  ということからいくと、やはりIT時代における何をやっているかというその成果の 動きというのは、本来デイリーが基本で、それで月々がわかって、もう3月終わりには 2月までの定量的数字は全部わかっていて、それで3月30日で最後の日が金曜日だとす れば、1日加われば定量的なものは全部そこで終わるという基本的政策でやらないと、 やはりクイックな次の年度の予算とか、政策の遂行度のいっていない問題が日々どうい う点にあるのかということを思考していけないのではないでしょうか。  ですから、ここに書いてあるような表というのは連続した、つまり過去2年間なら2 年間の上に、今年度が始まったら少なくともデイリーといかないまでも、月々にどうい う推移でたどっているのかというのが、国民の目から見ればいわば行政の当たり前の監 視なのではないかと。これをIT化の前提としてまずつくり上げた上で、そういうもの にのせるのはどういう評価の項目であるのか。しかし、一定期間が終わらないと定性的 なものはできませんから、そういうものはどういうタイミングでつけ加えていくのか。 こういうことをやらないと結局白書みたいなもので、1年間終わって3カ月後に白書が 出て、その白書はどうかなという研究対象にはなるけれども、政策に対する時々刻々の 評価と対応というのはできないのではないかと思います。 ○高橋座長  今、渡辺委員がおっしゃったのは大変重要な御指摘かと思います。例えば私の関係し ている領域ですと、介護保険というのは割とそれに近いです。大体レセプトがあがって 2カ月ぐらいで国保中央会がデータを出すと、それぞれの保険者がそれはどうなってい るかと。そうするとやはり在宅が伸びているとか、施設がブレーキがかかっていると か、医療ケア、それでそこでどうするかみたいな話、そういう一つ一つのある制度、運 用の中で出てくる、派生してくる情報をリアルタイムでつかまえて、今の運用の執行状 況をどう評価するかというシステムが非常に確立しつつあります。  ところが、同じように動いたはずの支援費という、最近新聞をにぎわせていますが、 あれが実は情報をとるシステムが全然ないのです。そうすると、原局は一生懸命サンプ リングをかけて調査をして、どうなっている、それでこうらしい、ああらしいという話 になっているのですが、それはまさにシステムの運用に関する情報を収集する仕組みが うまくできていない。これは無理もない話で、厚生労働省と、それから実際にそれを執 行しているのは市町村ですから、売り上げとか、それがリアルタイムにオンラインでつ ながっている企業の視点とは違うわけです。厚生行政というのは相当の部分補助金行政 をやっていますから、そうするとそういうリアルタイムで情報を押さえて、ある年度内 にそれを評価するという仕組みにはなかなかなじみにくい。それをやはりキャッチアッ プしようとしているということ。  それからもう一つは、やはり公共事業型の年度単位でぼんと出す、場合によっては執 行期間は工事もそうだけれども2月、3月に組むという、そうするとそれはもうリアル タイムではなくて、1年単位でしかどうもとれないような種類のものもある。そこら辺 はこれからの評価の議論をする上では、今の御指摘を踏まえて、これは次期の計画とも 絡むのかと思いますが、少しそれぞれの事業の性質を別の見方から見て、情報の収集の システムと連動させてどうするかというような、これは大変大きな研究課題を御示唆い ただいたような気がいたしますが、いかがでございましょうか。 ○渡辺委員  もう一つ、例えば10ページにエイズの問題だとか、そういう一つの情報収集があるわ けですよね。そんなエイズなんていうのはもうまさに時々刻々であって、今度は鳥イン フルエンザのいわば鳥の数だとか、そういうものが…。いわば情報というのは何かと。 それと同時に、さっきの有効求人倍率なんか当然とられているわけですが、そういうも のの政策数値に対しての誘導というのは、やはり適宜対策を日々打っていかなければい けない。その打ったやつが、それではどうきいているかきいていないかという反応を確 認する。このこと自身が私は行政なのではないかと。ですから、行政というものと情報 というものが遊離しているはずはないのですが、そういうものと評価がつながるという のは、ごく当たり前のプラン・ドゥ・シーなのではないかと思っています。それが政策 評価という新しい格好で入り出して、それがまた評価の作り物ということではなくて、 結果はもう2カ月後の発表はわかっているという、もう日々である程度わかっている と、こういう一つの対応体制を行政はとる必要があるのではないか。  ですから、市町村との情報ネットワークも個々にばらばらにとって、それがほとんど 生かされていないとすると、膨大な金だけかけていてデータは生かされていないという ことになりますので、私は再構築はこういう視点からも非常に政策側にとって重要なあ れになるのではないかと思います。 ○川尻政策評価官  今いろいろ御指摘いただいた点は恐らく大きく2つの問題があって、1点目として、 情報をどれだけリアルタイムにとるかと。厚生労働省の中でも直轄といいますか、全部 が国家公務員でやっているものは比較的データがとりやすいのですが、都道府県、市町 村を通じてデータをとるものはなかなかリアルタイムにとれない。でもそれをできるだ け早くとって、そして必要に応じて政策に反映していく必要があるという、この情報の 関係はそのとおりだと思いますし、その情報の整備の仕方についても、できるだけ重複 のないようにということはまさにそのとおりであろうかと思います。  2点目として、そういう形で得た情報をどういうふうに政策に反映するかということ につきましても、やはり行政の進め方もいろいろございまして、さっきおっしゃった就 労関係というのは、まさにリアルタイムに反映すべきところがあると思います。ただ一 方で、どうしても行政ですと毎年の予算をどうやってつくっていくかということがござ いまして、年度単位である程度締めてみて、それぞれの施策間でどうウエイトづけを変 えていくのかということになりますと、どうしても8月末の概算要求に向けてもっと大 くくりのところで実績をとり、評価をして、そして新規施策をするのか廃止をするのか というようなこともしなければいけない。  ですから、細かく反映するところもございますが、少なくとも政策評価法に基づいて ミニマムとしてやらなければいけないところは、年度年度にきっちりと取りまとめをす ることも大事ではないかなと考えております。 ○渡辺委員  ただ、予算の概算要求をするときも、7月か8月に出たデータをもって概算要求した のでは遅過ぎるわけですよね。だからそれは時々刻々行われているまでの、例えば12月 まで、それは6カ月でもいいのですが、そういう一つのデータから来る政策提言を、も う春のうちから打ち出していくということの方が、概算要求の政治的一つの認知という ものがむしろ進むのではないか。つまりデータというのを本当に上手に活用されるため には、やはりそういう体系をもう一回整備される方が有効なのではないか。それで国民 はそのデータを共有していけば、国民的支持も一方において上がるのではないでしょう か。 ○高橋座長  ありがとうございました。大変原理的な、やはりなぜ政策評価という概念が導入さ れ、なおかつそういう部署をつくったかということとも関係があると思います。従来の 予算を現業の部分で動かしていたものを、事後的に報告して予算なり統計をつくるとい うことではなくて、もっとダイナミックにしたいということでこの制度が入ってきたわ けですが、それを受けとめて行政のスタイル、政策のスタイル、予算執行のスタイルを 変えるようなところまではまだ成熟していないという、そこら辺で課題を御指摘いただ いたというふうに受けとめて、少しこの議論は、次のテーマもございますので、移らせ ていただけたらと思います。  第2の論点でございますが、平成16年度以降の総合評価の在り方についてというテー マが挙がっております。これにつきまして御説明をお願いいたします。 ○川尻政策評価官  それでは恐縮でございますが、資料4をお開きいただければと思います。これはいつ 何をやるかというよりは、総合評価の手法の見直しについて、今考えていることを簡単 に記載したものでございます。総合評価の在り方につきましては、実は去年の9月のこ の有識者会議でもいろいろと御意見をいただきました。地方自治体の事業評価に比べま しても、ある程度エポックごとに総合評価を行うということは意味があるのではない か、そういうものをもっと重視すべきだという御意見。あるいは一方で、この総合評価 書の実例を見ると、審議会の答申をなぞっているようなものでおもしろくない、という ような厳しい御指摘もいただきました。そして、なぜそうなっているかというのを我々 事務局なりに考えたのですが、それで資料4の現状というところでございます。  現在、例えば大きな法律改正でありますとか、先ほどの障害者プランのように大きな 計画を改正するときに、こういう総合評価をやるという形にしております。どういう時 点でどういうものをもとにやっているかということでございますが、そこの現状に書い てございますように、審議会や研究会等の知見を活用しながら、結論的には対象となる 制度・計画の内容の決定にあわせて評価を行い、公表している。もっとわかりやすく言 いますと、法案であれば審議会の最終答申をいただいて、法案がまとまって国会に提出 したころに総合評価を行って、そして公表しているということでございますが、もうゴ ールがわかりきっているものですから、法案と違うことはなかなか書きにくいと。その 後の法案審議の関係もございまして、やはりどうしてもあまり変わったことというか、 問題点が書きにくいということでございます。  したがいまいして、今回考えております変更案ということでございますが、やはり早 期に情報を提供して、国民からも御意見をいただくことを考えようということでござい まして、変更案の真ん中の丸をごらんいただきますと、「評価対象となる施策に係る情 報・データを収集・分析し、問題点等を整理した上で、より早期に公表する」。具体的 にはここに書いてございませんが、例えば大きな制度改正でございますと、審議会で中 間取りまとめをやったり、あるいは複数案を提示したりというようなときがございます が、そういうタイミングなどが典型的かなと考えております。それを政策評価という手 法でもって分析して公表をするという形で、公表時期を早めたい、最終結論に至ったも のというよりは、より広い考え方というものを提示して、そして公表していくというこ とでございます。  「加えて」という形で3つ目の丸でございますが、それだけだとやりっ放しになるも のですから、その後に行われた具体的な改正もフォローアップする、あるいはその間に 出てきましたいろいろな国民からの御意見も、評価書に反映をさせるような形でやって みられないかなということを考えておるわけでございます。  2ページ目以降、これはもう細かな話で、総合評価書の様式という形で書いてござい ます。具体的には例えば前回の会議で、評価をしたらしっ放しで、国民から、あるいは マスコミの方からいろいろな意見が出てきた場合に、どういうふうに反映されるのかと いうようなお話もございましたが、4ページ目、一番後ろのページをごらんいただきま すと、政策評価をやった後のフォローアップの書き方でございます。評価結果の反映状 況を書くのは当然でございますが、例えば評価過程で明らかになった問題点、これは政 策そのものの問題点もありますし、評価そのものを行ったときの問題点、こういうもの に気付けば書いていこうではないか。あるいは一番下の欄でございますと、パブリック コメントというのをつけることがございますが、そういうものもきちんと評価書の中で 書いていこうという形で、総合評価を早い段階でやり、それからその後のいろいろな議 論もできるだけ一覧性のある形でフォローアップとして書いていくということで、少し 工夫をしてみたいと考えております。もちろん総合評価の様式というのは各省とも悩ん でおるようでございまして、何がいいのかわかりにくいのですが、いわばトライアル・ アンド・エラーをおそれずにやってみたいということで、こんな改正を考えたというこ とで提案をさせていただきました。  以上でございます。 ○高橋座長  ありがとうございます。それでは今の御報告に対して御意見、御質問等をお願いいた します。 ○梅田委員  一つだけ。厚生労働省さんの場合は、総合評価をやる時期を平成18年まで一応置かれ ていますよね。何についてやると。非常に珍しいといえば珍しい、意欲的といえば意欲 的ですが、まず1番目の質問は、トータルすると年間何本ぐらい総合評価をやることに なっているのですか。 ○川尻政策評価官  10本程度です。 ○梅田委員  それで、もう既に14年度と15年度はされてきたのでしょうか。 ○川尻政策評価官  総合評価は実際には先ほど申しましたように、法案が提出されてからですし、具体的 な実施時期等を政策評価官室が改めて指示しているということもございまして、15年度 分はまだ現在進行形でございます。 ○梅田委員  大体実態はわかります。それで言いたかったのは、この変更案は異議なしで賛成で、 この方向でやるべきであり、各省ともこれで悩んでいるというか、すごく大きな作業と いうか、総合評価というのはそれぞれの政策分野に見合った手法、専門的な分析手法な どを使ってやるというのが大体コンセプトだと思うのです。各省とも、手法とかいろい ろなことを今試行中であり、研究中であるわけです。ですから、この変更案に対しては 賛成だけれども、この方向でやる以上は、もう少し大がかりな取組姿勢というのが必要 なのではないかという感じがするのと、前もって年間計画で総合評価を位置づけておら れて、今回、前におかしいなと思っていたところを改正されていて、それはそうだよな と思ったのは、総合評価が並んでいるところがありましたよね。毎年総合評価をやると いうことは本来あり得なくて、そういうところが今回総合評価、実績評価とかモニタリ ングとかが直されているので、それは当然の話であって、だんだん本来の姿に近づきつ つあるのかなと思います。今回のこういう変更案はまさにそのゲートに入ったわけです が、これを本格的にやるというのは、かなり専門的な手法を使ってきちっとやらない限 りあまり意味がないというか、実績評価の延長線上でこちょこちょっとやる程度ではい けないのではないかなという感じが少しあります。難しさもよくわかった上で発言して おりますが、その辺の取組姿勢をお聞かせいただけたらと思います。 ○川尻政策評価官  確かに総合評価をやる対象というのは、例えば年金の改正ですとか介護保険の改正で すとか、非常に大きなものがございまして、一番よくデータを持ち、あるいは一番問題 点がよくわかっているのはそれぞれの担当局でございますので、そこがどの程度政策評 価という目で見て、いい評価書をつくってくれるかということにかかっているわけでご ざいます。恐らく梅田先生がおっしゃりたいのは、そういう原局だけではなくて、例え ば別の第三者的な委員会を開いて、政策評価をしてみるということも考えてはどうかと いうお話なのだろうと思いますが、そこまで当室に予算があるわけではありません。一 方で、おっしゃるように単に時期を変える、あるいは評価書の様式を変えるというだけ ではなくて、総合評価が今までおもしろくない、意味がないと言われておりましたの で、それをできるだけ意味のあるものに変えたいという意識、意向は強く持っておりま す。 ○渡辺委員  今日、年金の問題なんて腰が重くて出てくるのがちょっと億劫だったのですが、総合 評価で今、年金の話、私は今回はやはりすごく不満に思っています。つまり、総合評価 は誰のためにあるかといったら、恐らく国民とタックスペイヤーのためにやるのだと思 います。  それで、公的年金がここまできましたがいくつか問題があって、一つはこの複雑な制 度を国民はほとんどわかっていないわけです。今日もテレビ局が来たのですが、アナウ ンサーもディレクターも例えば401kのことをよく知らないのです。そういうところが 取材に来るのだから恐ろしい。つまり、まず総合評価の最大の問題は、国民がその制度 や在り方を理解しているということが出発点なのではないか。ですからディスクロー ジャーとかあまり難しいことを言わないで、奥さん方10人に聞いたら、10人のうち少な くとも7人は年金制度を一応ほぼ正しく語れるということがなかったら、いわば政策と いう意味がタックスペイヤーと全然離れたところで運用されていると。こういうことが 年金とかそういうものであってはいけないのではないか。ですから日本の場合は公に対 する、つまり行政に対する信頼度が今まで非常に強かったから、それでも一応おさまっ てきたと思いますが、ほとんど知られていないということが第1点。  第2点は、審議会制度というものに対する信頼性も多少揺らぎ出している。つまり、 審議会の人たちの公正というものに対してのアカウンタビリティーということ。  第3点は、それでは確かに自民党、公明党が一つの政権担当として、今の年金制度の 改革案を出されましたが、パブリックコメントを多分やられていて、かなりいろいろ反 対意見が出ているのだけれども、ほとんど無視されて、それで国民の世論調査でもほと んど反対されている。つまりこういうものが総合評価なしで、いい制度と言い切ってし まっていいのかというと、これは根本的な政策評価に対しての問題点を含んでいるので はないか。私自身もNHKで、坂口大臣と2度「日曜討論」でお目にかかってやりまし たが、冷静に政策評価というものを考えると、根本的にそういう問題をどういうふうに 行政は考えていくのか、ということに突き当たるのではないかと私自身は思っておりま す。これは非常に大きな問題ではないかと思います。 ○稲葉委員  例えばこの年金の問題を変更案でいくと、どのように処理されるのが一番望ましいと お考えでしょうか。今のままでは国会で審議して、連休明けになるのかどうかわかりま せんが、この政策評価の結果が発揮されないまま法案が通ってしまうということになる のですが、本来考えていらっしゃる総合評価の在り方でいくと、年金問題を例にとる と、どのようなプロセスになるのでしょうか。 ○川尻政策評価官  年金問題に特化されると既に法案も出しているものですから言いにくいのですが、一 般論として申し上げますと、大きな法改正があるときには、今までは例えば1月ぐらい に、審議会の最終答申をもらい、それから法案がもう一言一句ぐらい固まった段階で総 合評価をしておったわけですが、大抵そういう大きな制度改正のときには、前年の秋ま でに中間取りまとめなり複数案の提示があったりいたします。そのときに政策評価とい う観点から、ただ単に関係者の意見を取りまとめるというよりは、今までの実績に基づ いて分析をして、そして評価書を公表する。政策評価ですべて何かが決まるというわけ ではありませんが、いろいろな政策を御議論いただくときに、渡辺委員も冷静にとおっ しゃいましたけれども、比較的冷静に実績に基づく分析結果というものを公表すること によって、議論の何がしかの役に立てばというようなイメージで考えております。 ○田村委員  そもそも制度計画がもう内容を決定した段階で公表するというのに比べれば、非常に 前進だと今回は思います。ですから、もうちょっと早めにやるというのはあれですが、 ただもう制度改正が見えていれば見えているほど、多分総合評価をやっても、それはや はり行政の方々の意向に沿ったものしか出てこないだろうなという気がします。なの で、やはりここはくっつけばくっつくほど、それは行政の企画立案そのものですから、 もう総合評価と呼ぶ必要も全くなくて、第三者に何かを頼むなら別ですが、第三者に頼 まないで行政の中でやるのでしたら、それを総合評価と呼んでも何と呼んでも、ほとん ど何も変わらないのではないかと私は思います。  ですから、ここでせっかく政策評価で総合評価という方法があるのであれば、まだ政 策課題に上らないうちに、ある程度基礎的なデータなり知見を集めるという意味でやっ ていかないと、多分客観的なデータなり資料というのは出てこないのではないかと私は 思います。もちろん今の年金問題でみんなが納得するようなデータも視点も、それは絶 対必要だと思います。でも、それは総合評価と呼ぶ必要がないのではないかと私は思い ます。ですから今回少し早めにという話ですが、もうちょっと早めでもいいのではない かという気がします。それでないと、総合評価としての意義が多分乏しくなるのではな いかと思います。  例えば今でしたら、さんざん大騒ぎして医療保険の自己負担が2割から3割になった わけですよね。3割になってどうなったのか、誰も関心を持っていない。学者で関心を 持っている人はいるかもしれませんが。例えば今3割のものをやってどうなったのかと いうのを評価しておけば、その後また議論をするときに非常に有効になるのではないか と思います。2割から3割になったことについて、今だったら多分厚生労働省も、マイ ナス面も少しは議論できるのではないかと思いますので、そんな形で、政策課題にくっ ついたものの総合評価をやってもいいのですが、むしろ総合評価の意義をもう少し高め ていくのであれば、ある程度引き離した方がいいのではないかと思います。 ○高橋座長  総合評価のテーマ設定という大変大きな、そこら辺は誰がそれをまた考えるのか、決 めるのかという問題も含めまして、なかなか重要な論点をお出しいただいたのですが、 いかがでしょうか。 ○野川委員  今の田村委員のおっしゃったこととも関係しますが、総合評価を10本ほどやっておら れるということでしたけれども、この変更案は速やかに国民に対してディスクロージャ ーしていくということが大きいと思いますが、まさに介護保険にしろ年金にしろ大きな 問題であれば、その政策の結果があらわれる時期というものが非常にタイムスパンが長 い場合があって、国民に対して早く政策の結果がどうなったか、その評価の内容をあら わすということです。また、対象となっている政策の構造といいますか、その政策が実 際に効果をあらわしていく時期的なものであるとか、内容的なものであるとか、例えば 数値ではなくて質的なものでしかあらわれないものももちろんありますから、そういっ たこととの関係をどういうふうに考えていくのか。つまり、すぐに何か数字でもってぽ んぽんとあらわせるものが、一番変更案のような総合評価のやり方であらわしやすいと か、何かクリアにこういう形ですぐに言えるものがやりやすいというようなことになる のではないかというふうに、素人はもちろんお考えですけれども、思うように思いま す。  その辺はどうなのでしょうか。私の考えではやはり総合評価の対象となるものは、む しろ変更案のような内容でやることが難しいものも多いのではないかと思いますが。 ○川尻政策評価官  すべて我々が悩んでいることを先取り的に言っていただいております。確かに総合評 価について2年ほど前にこの基本計画をつくりましたときには、やはり大きな制度改 正、大きな計画を対象にしようということで、それはそのときの方針として決めたわけ でございますが、そういう考え方と、それから本当に総合評価という方式になじむのか どうかということは、また別なのだろうと思います。  ですから、今おっしゃっていただきました意見をもとに、どちらかというとあまり大 き過ぎるものはうまくいかないかもしれませんが、一つでもいい例をつくって、それを 広めていくという形で、冒頭申し上げましたがトライアル・アンド・エラーでもいいの でやっていきたいと思っております。   ○渡辺委員  今、田村委員が言われた医療保険を例にすると、3割に負担が上がって、私は、経済 団体健康保険組合の理事長をやっていますが、今年は確かに保険組合の財政が改善して いますが、その解析が重要なのです。3割に上がってなぜ改善されたか。負担も変わっ たけれども、市場原理によってお医者に行く人数はどれだけ減ったのか。今まで行かな くていいような人まで病院へ行っていたのが、どれだけ価格効果によって行かなくなっ たのか。つまりこういうもうちょっと事をきちっと、ねらいと結果が政策の基点におい て…。我々が小泉内閣で期待した官から民へというのはそういう意味であって、要する に民営化によって合理性を追求すると。政策と結果が、そういう内閣の方針というもの との整合性を持っているかどうか。つまり、そういうものが今後の日本のいろいろな面 で大きなプラス波及をしていくわけで、そういうものがこういう評価の中からやはり …。ただ数が増えたとか減ったという解析であれば、数字を見るだけに終わってしまう という感じがちょっとします。やはりその辺を切り込んでいくだけの勇気があるかどう かということに、これから総合評価はかかっているのではないかと思います。 ○高橋座長  ありがとうございます。田村委員に御示唆していただいたことがかなり大事で、総合 というのも大文字で全部年金をで評価するみたいな話なのだけれども、むしろそれをあ るファセットというか側面をうまく切り出して、そしてそれについて評価してみるとい う、要するに医療制度丸ごと、これはもう世の中の大議論の世界ということではないで しょうか。 ○渡辺委員  そうです。ですから、要するに今度の改正は信頼性の回復が目的であれば、それは未 払い率が極端にもうゼロに近づくかどうかが証明するわけです。しかし今度の政策が、 それは未払い率がどうなるかわかりませんが、ほとんど改善しないという状況であれ ば、いわばいい信頼性のある保険制度は、給料から引かれている強制者は別として、自 由意思で払う人たちにはほとんどきかなかったということになるのではないか。つま り、そういう政策目標を持てばいいのですが、今度の改正に未払い者を減らすというの は当然意図が託されているとは思うんですけれども、そういうのをもっとリアルに議論 することが、日本の行政と政治の改革につながっていく問題の切り口になるのではない かと。評価というものが。 ○高橋座長  それは政策評価の課題設定の考え方というか、そこら辺が非常に重要になるだろうと いうことで、一応共通の理解ということにさせていただいてよろしゅうございましょう か。 ○田村委員  ちょっと1点だけいいですか。資料3の5枚目から別紙というのがあって、ここに 「基本目標1施策目標5−Iについては総合評価方式とし」と書いてありますが、これ は16年度だか17年度にこの「結核等感染症の発生・まん延の防止を図ること」、これの 総合評価をやるということですか。これはどういう経緯で決まっているのですか。 ○川尻政策評価官  法律が成立、改正されたときに、何年後かの見直しというのがございまして、それに 合わせて大きな見直しをするときは総合評価でやろうということで、2年ほど前に基本 計画をつくったときにそういうスケジュールで進んでいまして、それに沿って各年度の 何方式でやるかというのも決めているということでございます。 ○高橋座長  少しでもいい総合評価を積み重ねていただくということに、どうもなるのかなと思い ます。なかなか課題の大きさに比べて、それを実現していく上でのいろいろな条件が大 変だなというのが私の印象ですが、ちょっと時間のこともございますので、この件はよ ろしゅうございましょうか。  最後に調査を委託していらっしゃるということで、都道府県の政策評価の施策への反 映状況等に係る実態調査というものを実施しているということでございますので、御報 告をお願いいたします。これは中間取りまとめができているということでございます が、資料はどれですか。 ○政策評価官室室長補佐  政策評価官室室長補佐でございます。資料5をごらんください。私の方から、今回U FJ総研に委託して行いましたアンケート調査と、それからヒアリングの結果につきま して、簡単に御報告させていただきたいと思います。現在、中間的な取りまとめ状況に なっているところでございます。  今回、47都道府県すべてを対象とした政策評価に関するアンケート調査、また北海 道、東京、神奈川、奈良、この4都道府県で現在までにヒアリング調査をいたしており ますが、目的といたしましては大きく2つございます。一つは、政策評価の結果をそれ ぞれの都道府県でどのように活用しているかという反映の状況について、またもう一つ が、それぞれの県が出先機関として持っております、特にこれは保健所と福祉事務所と 労政事務所の3つに限定して調査を行いましたが、そうした機関の調査というものをど のように行っているかということについて調べたものでございます。  主な調査結果につきまして、これから詳細について簡単に御説明いたしますが、反映 状況の方につきましては、各都道府県ともやはり予算への反映が最も多くございまし て、それから各都道府県などでつくっております総合計画のようなものに役立てている という回答が多かった一方、組織や定員、あるいは新たな規制といったようなものにつ いての活用方法はあまりされていないようである、ということが大きな結論かと思いま す。  また出先機関の評価につきましては、そもそもやっているところがあまりございませ んでしたが、やっている場合のケースにつきましても、出先機関そのものが自ら評価を 行うというのではなく、それを所管しております都道府県庁側の組織の方が、通常の評 価活動、事業評価等の活動の中の一環として行っているというのがどうも実情のようで ございます。  では、冒頭から簡単にヒアリングの結果なども交えながら御説明したいと思います。  1枚めくって2ページ目は全体像でございますが、46の都道府県が政策評価を「導入 している」ということでございまして、下の図にありますように政策評価の導入の目的 は、「政策立案に反映」しているというところが20件(43.5%)、また「予算に反映」 しているというところが6件(13.0%)、このような実態でございました。  3ページに進みますと、政策評価のプロセスについてですが、政策評価の対象をどの ようにしているかいうことにつきましては、一番多かったのが「いくつかの例外を除 く、ほとんどの事業」としておりますところで15件(32.6%)でございまして、それ に続きまして「全事業」が8件(17.4%)というような順になっているところでござ います。  4ページの評価の主体でございますが、一番多かったのが「主管部局による評価の後 に評価部局による評価」を行うという仕組みをとっているところが24件(52.2%)、 その次に「主管部局のみの評価」を行うというのが15件(32.6%)ということでござ いまして、「その他」の中には、「主管部局による一次評価の後に、知事以下三役等で 構成する政策検討会議による二次評価」を行うといったような回答も見られたところで ございます。  5ページのところは特にグラフも入れておりませんが、部局長会議などによる調整な どをしているかというところは完全に拮抗いたしました。同数ぐらいでございます。ま た、知事の関与があるかどうかというところも、「関与している」が若干少ない17件、 「関与していない」が28件でございます。それから第三者機関の関与につきましては、 「関与している」が16件、「関与していない」が29件と、関与している方が少なくなっ ています。住民からの意見反映は、「反映させている」が29件と6割を超えているとい ったような状況でございます。  6ページをお開きいただきますと、こちらが反映状況の回答でございます。この4項 目について反映をしているかどうかということで、それぞれの県に尋ねておる結果でご ざいまして、44件は「予算への反映」をさせている、27件は「総合計画などの策定への 反映」をさせている、「組織、定員などへの反映」は15件、「規制の導入・見直しなど への反映」は5件という結論になったところでございます。  7ページをごらんいただきますと、予算に反映させる主な理由について、先ほどの44 件のうちですが、「予算の重点配分を行うため」と答えておりますのが、このページの 上から5行目でございますが、25件(56.8%)と最も大きくなっておりまして、次の 目的が「事業継続の適否を判断するため」ということになっております。社会保障や労 働分野につきましても同様に予算反映を行っているということで、「反映させている」 が42件ございましたが、これはヒアリングの資料の中から出てきますが、ただし国が行 う義務的な経費については評価の対象外としているというのが、少なくともヒアリング 先すべての回答でございました。  8ページに参りますと、こちらは今説明したとおりで、それが図になっているところ でございます。  ヒアリングの結果も、後ほどあわせてごらんいただければと思いますが、特に神奈川 県などにおきましては施策、事業の縮小・廃止を検討するための重要なツールとしてい るという、比較的行革的な発想で用いています。また北海道などにつきましては、「継 続・拡充・縮小・廃止」というような4つの観点から、これは予算編成前にやって反映 させるという結論であるようであります。また、奈良県は独特な方法をとっておりまし て、効果性・効率性という2点でそれぞれに評価を行って、このうちの片方もしくは両 方が下っているという評価になったものについて見直しをする、ということとなってい るようでございます。  8ページの(2)でございますが、総合計画などの策定への反映で、「反映させてい る」が27件。これは先ほどもありましたが、この文章を見ていただきますと、「総合計 画などの進捗状況を把握するため」というのが18件と最も多くなっておりまして、次 に、「総合計画などの内容を見直す必要があるため」というのが7件という結論になっ ているようでございます。  9ページは、ごらんいただきますと先ほどのとおりでございまして、組織、定員など への反映は「反映させている」が15件、規制の導入・見直しなどへの反映は「反映させ ている」が5件と、あまり活用はされていないようでございます。  10ページでございますが、反映状況の公開の方法で、これは複数回答でございます。 各県に聞きましたところ、「WEB上で公開」しているところが38件(82.6%)、 「窓口での閲覧が可能」が36件、そのほかは「広報に掲載」や「行政内部のみの利用」 というのも若干数ございました。「その他」の中身につきましては本文上から4行目に ございますように、「議会への報告」「記者発表」「点検(評価)の結果、達成が困難 な行動目標について、その要因と対応方針を次期実施計画に明示」するといったような 反映方法が提示されたところでございます。  11ページにつきましては、社会保障・労働に特化したケースでございますが、これは 反映させたケースとして、細かい文章のところは省略いたしますが、社会保障分野とし ては、比較的子育て支援関係にこれを活用して充実させたという回答があったところで ございます。労働分野の中を見ますと、ワークシェアリング導入などについて、一定の 評価を受けて予算化を図ったという回答があるところでございます。  なお、その他気付いたことという11ページの一番下の真ん中のポツのところにつきま しては、国・県・市町村・民間の役割分担の適切性について評価をしているが、その反 映が問題だと言っており、また一番下は、国・県・市町村等が共同で評価をすることが 必要だ、という問題意識をお持ちの県があったようでございます。  12ページからは出先機関に係る政策評価の実施状況でございます。こちらの「実施し ている」というところにつきましては、下の帯グラフと関連させていただくとわかりま すように、保健所につきまして11件(23.9%)、福祉事務所につきまして9件(19.6 %)、労政事務所につきまして8件(17.4%)ということでございます。これはヒア リングの中でも出てまいるのですが、例えば北海道などにつきましては、予算策定は本 庁所管課が通常行っているので、そちらが実施している。あるいは東京都につきまして も、そもそも事務事業評価という形の中で、場合によって個別機関を取り上げるという ような評価。また神奈川県につきましても、施策の執行なり予算の執行が出先であるな らばそれが評価対象となって、本庁の予算計上課が評価書をつくっているというような 仕組みになっております。このページに書いてありますように、先ほども申し上げまし たが、ほとんどのところが出先機関担当部局が評価を行っている現状であるということ でございます。  それから13ページでございます。したがって、活用の方法としてもほとんど目新しい ものはあまり見られなかったうち、(保健所、福祉事務所)と書いてある枠の中の1点 目でございますが、「各保健所ごとに「めざす姿」と「評価の視点(指標)」等を盛り 込んだ「保健所機能強化計画」を策定し、地域の特性を踏まえた地域保健対策事業を計 画的に実施」すると。こうしたところにつきまして、これは評価結果を事業見直しに活 用したり、本庁への施策提言の資料としているようでございます。  最後14ページは、自由に問題点や気付いたことについて述べていただいているところ でございますが、例えば保健所につきましてはポツの2つ目の後段部分でございます が、「出先機関自体において評価を行うに際しては、その評価結果の活用方策をより明 確にして実施する必要があると考える」。3ポツ目になりますと、「出先機関が独自に 事業を企画立案し、予算を確保して実施することはあまり考えられない状況であり、本 件の行政評価の仕組みを出先機関で実施することは難しいと考える」。最後の4つ目の ポツの後段、「各出先機関で実施している各種事業を含んでいるが、あくまで施策の目 的別の評価として行っている」というようなことでございます。  また福祉事務所につきましても、最初のポツにありますように、「企画立案、予算部 門を本庁の主管課が担っている現状では、福祉事務所において政策評価を実施する必要 性はあまり見出せない」。2つ目のポツもこれまでと同様の結論かと思われますが、 「福祉事務所ごとに中長期的な数値目標等を掲げたプラン等を定めていないため、有効 な県民効果指標が設定できないと思われる」というような意見をいただいたところであ ります。  また、最後の労政事務所や労働センターにつきましては、そもそも客観的な指標とな るものが少ないため、評価することが困難なのではないかという意見をいただいたとこ ろでございます。  そのほかヒアリングとしてまた3枚のペーパーがついておりますが、今途中で簡単に 言及させていただきましたので説明は御省略させていただき、最終的にヒアリングなど を含めた詳細なものは、冊子として成果物としてでき上がらせるつもりでございますの で、そちらができ上がりましたら各先生方にもお届けしたいと考えております。  以上でございます。 ○高橋座長  ありがとうございました。何か御質問は。 ○森田委員  よろしゅうございますか。何も申し上げてこなかったものですから、最後に今日を含 めて、総合評価的なことをさせていただきます。  1点申し上げておきたいのは、厚生労働省はいろいろと努力されておりますけれど も、ちょっと私もほかの役所や都道府県の評価にかかわったりもしておりますが、そう いう観点から見ますと、少し評価の仕組み自体が、まだ体系性が見えにくいという気が いたしまして、それぞれの評価で何をどう評価するかというフレームをもう少しはっき りさせていただいたら、今日の議論もかなり整理できるのではないかという気がしてお ります。  それについて3点ほど具体的なことに触れさせていただきますと、1つは先ほどの総 合評価の話もございましたが、基本的な年金とか医療とかそこまで大きくいかなくても そうですけれども、制度そのものについて評価するのかというのと、制度のもとで実施 しているその実施の在り方について評価するのかというのは、関連しておりますけれど もちょっと質が違う問題かなと思っております。  制度そのものにつきましては、やはり大きな制度になりますとあまり短期的に評価を してどうこうというのは、もちろん情報はいいのですが、きちっとした評価をするのは かえって難しいし危険であるかなと思いますし、そうした政策になりますとかなり大き な価値判断を含んでおりますので、それは今の日本の民主主義の原則でいいますと、や はり最終的には政治にやっていただくということになり、その評価というのは、テクニ カルな観点について評価情報をどうやってつくるかという話になるかと思います。  他方、実際にやっているところでは、一定の制度のもとでこういうことをミッション としてやらなければいけないという前提があって、それをどう達成したか、達成するか の話ですから、比較的目標値も立てやすいし、具体的な評価もしやすいのではないか。 それが混同してしまいますと、いろいろな意味で混乱しますし、この評価制度にとって 一番私自身が危険と思いますのは、これが先ほどの評価の結果を予算に反映させるとな ってそれは結構ですが、政治的にこの評価結果がいろいろ使われるということになりま すと、評価そのものの権威にもかかわるのかなという気がしております。  その意味でいいますと目標値というのはどうするのかと。社会のニーズを前提にして 決めるのか。あるいは現在利用可能なアベイラブルな理想数の中で、何が可能なのかと いうところによって目標値も決まってくると思いますし、最初の雇用の就業の機会に関 してもそうですが、多分景気がよくなれば行政は何もしなくても就業が増えるだろうと いうこともありますと、途中のアウトプット、行政活動の成果と、最終的な社会的なま さにアウトカムの間の因果関係をどうきちっと押さえるかというのは、かなり重要なこ とかなと思っております。  ちょっと余計なことを申し上げたかもしれませんが、その辺、今日の御議論を聞いて いたところではもう少しクリアな形で、これは現実ではなかなか難しいのですが、試行 錯誤の中でもそういう方向でやっていかれるのがいいのではないかと、総合評価的な感 想でございます。 ○高橋座長  はい、大変総括的にコメントをいただきました。ほかに何か。 ○篠原委員  現在、執行機関は独法化の方向にあります。そこで、この評価表の7ページは国立病 院が独法化するということで評価を外していますが、評価の観点から、企画立案として の、厚生労働省としての評価が残るのではないかと思います。それと、厚生労働省所管 の12が独法化されたのですが、それに関連した評価はどう考えておられるのですか。 ○川尻政策評価官  国立病院の関係で評価を全くしないということではなくて、16年度から新たに独立行 政法人として、現在の国立病院・療養所の大部分が移行してスタートするものですか ら、そのやり方をまた考えるつもりでございます。ただ、今までは直営というか、国立 で完全にやっておりましたので、そういう観点からの経営的なものというのを政策評価 の中にも入れておりましたが、そちらの方は独立行政法人の評価としてやっていき、む しろ政策医療ネットワークなどの観点から、どういう施策目標を立てるのかというよう なことを、16年度の評価は17年度にやることになりますので、その時点に向けて見直し ていくということであろうかと考えております。まだ具体的にはそこら辺の整理はでき ておりません。 ○高橋座長  既に移行した独立行政法人については、評価委員会が立ち上がっているのですよね。 ○川尻政策評価官  ええ、独立行政法人の評価の仕組みとしては、篠原先生もある部会の委員になってい ただいておりますが、そういう形で既にスタートをしております。 ○渡辺委員  資料3の4ページ、社会保険庁の実績の評価というのを14年度中にやるということ で、これはやられたということですか。 ○川尻政策評価官  社会保険庁の評価は、ちょっとこの流れとは別でございますが、15年度も既にやっ て、毎年やっております。先ほどお話がありました例えば保険料の収納率につきまして も、データをとり、分析をし、今後の在り方を考えるというような形で、ちょっと今手 元にはございませんがホームページにも公表しております。 ○渡辺委員  そうするとこういうのも14年度に引き続いて15年度もやるとしないと誤解を受けるの ではないか。これを見ると何か14年度はやらなかったので15年度に延ばしてこれをやる のかなと、こういうふうに誤解を受けるので、ちょっとそういう点を、細かいですが。 ○稲葉委員  一言だけ。先ほど森田先生からお話があった、制度について評価するのかどうかとい う話で、これは政治に任せた方がいいという御発言だと思うのですが、この辺は我々か らすると、例えば年金の問題は全部政治が問題なのだと言ってしまって、私たちが何も やらないということは非常に違和感があります。例えば社会保険庁がいろいろなことで 保険料をいろいろなものに使っていた問題等について、これは制度の問題だから政治が 悪いということになると、それで終わってしまう。先ほど座長の方からもお話がありま したが、評価について制度をやるのか、具体的な問題に特化するかということについ て、整理していただきたいと要望したいと思います。 ○森田委員  私は、政治の問題だから評価をするなというのではなくて、むしろ違う形できちんと 評価をしろというつもりでございます。日本の場合には言うまでもなく、それぞれの所 管している省庁が実質的な政策をおつくりですので、その意味でいいますと当然のこと ながら制度がどうあるか、そして次にそこで政策をつくる場合に、その評価の結果を反 映させるというのは大変重要なことです。  しかしながら、ある目標を立ててその活動をきちっとやっているかという、本来の狭 い意味での行政に対する評価と、そうした制度の枠組みをつくる評価というのは少し性 質が違うのではないか。そこのところを踏まえた上で、制度は制度として、特に年金に なりますと世界各国で非常にテクニカルな問題ですから、どういう形でそれをきちっと システムとして完結してワークするものにするかと。それはその評価の仕方があるかと 思いますが、別な分野になりますと国民のどの層にどういう形で負担を求めるか。年金 もかかわっておりますけれども、それについての適否というのはなかなか評価が難しい 話ではないかと。そこのところをきちっと踏まえた上で、こういう価値観に基づく場合 にはこういう評価、別な価値観に基づく場合には別の評価と、その辺を明確にして評価 をする方がいいのではないかと、すべきではないかと、そういうことでございます。  したがいまして、政治的な判断そのものについてどうこうと言っている、外すべきで あるということは全然考えておりません。 ○渡辺委員  ただ一番問題なのは、国民が知っているか知っていないかです。だからこの公的年金 制度を一回調査してみたらどうですか。第1号、第2号、第3号とか基礎年金と報酬比 例年金というのは、国民の何%が正確に理解しているのか。これをなくして民主主義は スタートできませんでしょう。 ○森田委員  おっしゃるとおりです。それは私は全く全面的に賛成でございます。 ○渡辺委員  つまり制度の理解を行政官庁がどれだけ国民に徹底しているかということが、まず最 初の行政のスタートなのではないでしょうか。 ○森田委員  ですからそれは逆の意味で言いますと、制度を周知させるというむしろ行政の方の仕 事の評価になるかと思います。もとの制度そのものが、その評価とはちょっと違うので はないかということを申し上げたのです。 ○渡辺委員  でもスタートはそこから始まる。 ○森田委員  はい、ですから関連しておりますが、そこのところはある意味で、この評価は何を対 象にしてどう評価するかということを、もう少し明確にしていただきたいというのが最 初のメッセージでございますので。 ○高橋座長  恐らく評価の世界というのは非常に大きくいろいろ多元的なものがあって、その中で 現在の制度に基づいて動いている、とりわけ厚生労働省の政策評価官室の所掌事項にな る政策評価とはどういうものであるべきかということについて、しかしその中だけで議 論していると外の大きな評価の世界との関係がわからなくなるので、そこはきちんと留 意しながら、制度としての政策評価の範囲、方法、テーマ設定等について少しきちんと 議論して、ここでもまた御意見を伺う機会をつくるようにという、多分そういう御指摘 を委員の皆様からいただいたということかなと思っております。その辺を少し次回にま た宿題ということで御検討いただいて、またの御回答というか、こんな考え方で、その 中で今やっていることが整理されていく。それからちょっと都道府県の中で気になった のは、やはり厚生労働省というのは地方自治体まで含めて動かしているわけですから、 そうすると共同の評価も要るのではないかみたいな御提言もあって、これも一つの切り 口かもしれないなと思いました。そんなことも含めていろいろ御研究も、まだまだ歴史 の浅い制度でございますので、それを充実させて本来の趣旨にかなうような形で発展さ せていくということで、いろいろな形でこの有識者会議も御活用いただきたいという、 そんなことで一応整理をさせていただくことでいかがでございましょうか。  それでは最後に事務局の方から。 ○川尻政策評価官  政策評価の役割と、それから森田先生から若干ありましたけれども、価値判断に入る ところの審議会の役割をどういうふうにやっていくかというのが、実はいつも悩んでい るところでございまして、今日御指摘がありましたように、そこの位置づけについてあ いまいなまま進んでいるということは否定ができないと思います。そういう意味で総合 評価のやり方を変えるときに、今日いただいた意見などを意識しながらできるだけ整理 すべきものは整理して、また次回のこの有識者会議でどう言っていただけるのかわかり ませんが、いずれにしましても御報告をさせていただこうと思います。 ○高橋座長  それでは、次回の日程等について。 ○政策評価官室室長補佐  次回は秋頃になろうかと思いますが、具体的な日程につきましては、また後日別途調 整させていただきたいと思います。  以上でございます。 ○高橋座長  それでは今日はどうもありがとうございました。これで閉会させていただきます。                                     <了>