04/03/18 非医療従事者による自動体外式除細動器(AED)の使用のあり方検討会 第3回議事録                    第3回     非医療従事者による自動体外式除細動器(AED)の使用のあり方検討会                        日時 平成16年3月18日(木)                           10:00〜                        場所 厚生労働省省議室 ○佐藤課長補佐  定刻になりましたので、ただいまから第3回「非医療従事者による自動体外式除細動 器(AED)の使用のあり方検討会」を開催いたします。  本日は、小林委員、杉山委員から欠席のご連絡を賜っております。また岩尾医政局長 は国会等業務のため欠席でございます。それでは、島崎座長に議事進行をお願いいたし ます。 ○島崎座長  おはようございます。本日は、お忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがと うございます。本日の議事につきましては、前回から引き続きまして、「非医療従事者 のAED使用に向けて整理すべき論点」を基に議論を行いたいと思います。  まず事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○佐藤課長補佐  お手元に資料1と資料2の合計3枚の資料があります。過不足等がございましたら、 ご連絡賜ればと思います。 ○島崎座長  それでは、早速議題に入りたいと思います。議題1については、資料1の項目に従っ て、各委員のご意見を伺いたいと思います。  まず、前回も議論になっておりました1の(1)の「非医療従事者によるAED使用 と医師法の法的整理」について、医事課から説明をお願いします。 ○泉課長補佐  資料2の「非医療従事者によるAEDの使用と医師法との法的整理」というタイトル のペーパーで、医療従事者によるAEDの使用と医師法の具体的な第17条との関係を説 明いたします。  医師法第17条は、「医師でなければ、医業をなしてはならない」と規定しているわけ です。「医業」とは、(1)当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもっ てするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(「医行 為」)を、(2)反復継続する意思をもって行うこと(「業として行うこと」)と解して いる」。これは定まった法的な解釈です。  今回問題になります除細動器ですが、心室細動や無脈性心室頻拍の方に対して、強い 電流を心臓に流して治療する機械であると理解しています。したがって、その使用は、 患者の生命、身体に危害を及ぼすおそれがないとは言えない。したがって、これまでの 医行為性の判断からすると、「医行為」に該当しないとは言えないということです。  そうしたときに、非医療従事者によるAEDの使用をどのように考えたらよいかを整 理しました。これまでの検討会の議論にもありましたように、非医療従事者によるAE Dの使用と医師法第17条との関係については、「たまたま心室細動の者に遭遇した一般 市民」、「AEDを使用することがあらかじめ想定されている者」という2つのパター ンに分けて考えるのが適当ではないかと思っています。  「たまたま心室細動の者に遭遇した一般市民」の場合ですが、一般的には「反復継続 する意思をもって行う」という反復継続性が認められません。したがって、「医業」に は該当しませんので、医師法第17条には抵触しない。すなわち、医師法違反にはならな いという整理かと思います。  2番目の、「AEDを使用することがあらかじめ想定されている者」というのが多少 問題になるわけです。例えば、あらかじめAEDの使用が想定される方々というのは、 救急隊員、警備員、客室乗務員、駅の職員などが該当するわけですが、これらの方々に よるAEDの使用については、反復継続する意思をもって行うと認められますので、形 式的には「医業」に該当すると考えられます。  しかし、AEDについては、医学的な判断のほとんどは機械が自動的に行っておりま すし、また使用者が一定の知識、技能を身に付けていれば、患者の状態を悪化させるお それは、基本的にはないといった特徴があります。したがって、心室細動の方の救命に は迅速なAEDの使用が必要不可欠であること。AEDの使用の危険性は比較的低い。 AEDの使用は、突発的な緊急時に限定されるといった事情にかんがみ、必要な場合に AEDを使用することがあらかじめ想定されている者によるAEDの使用であったとし ても、少なくとも(1)から(4)までの条件を満たす場合には、医師法違反にはならないと 考えられます。  (1)〜(4)を順にご説明いたします。(1)は、医師等による速やかな対応を得ることが 困難であること。(2)は、使用者が、対象者の意識及び呼吸がないことを確認している こと。(3)は、使用者が、AEDの使用に必要な講習を受けていること。(4)は、使用さ れるAEDが医療用具として薬事法上の承認を得ていること、といった条件を挙げてい ます。  しかし、これらの方々が、(1)から(4)までの条件を満たさない場合に、AEDを使用 した場合でも、必ずしも医師法違反で罰せられるかというと、そうではなく、事後的に 個別に緊急避難と認められるか否かの検討が行われるもので、個別のケースによって は、緊急やむを得ない措置として違法性が阻却され、医師法違反とならないこともある と考えられるわけです。平たく言いますと、(1)から(4)まで絶対的な要件と言うことは できないということです。  簡単ですが、非医療従事者によるAEDの使用と医師法第17条との関係は、以上のよ うに整理されるのではないかと考えております。 ○島崎座長  これは前回から、こういうコンセンサスでということはご説明いただいて、少々ディ スカッションもいたしましたが、いまの説明に対して何かご質問等はございますか。こ れはあまり議論はないかなという気がいたします。一般の人が(1)〜(4)を全く満たさな い場合でも、緊急避難になることもあるということですか。 ○泉課長補佐  AEDを使用する場合というのは、まさに緊急事態ですので、おおよそ違法性が阻却 されるケースなのだろうと思っています。しかし、法律上、整理いたしますと、(1)か ら(4)までの分の条件が必要になるということです。  また一般の方と言っても、2類型あって、(1)のたまたま心室細動に遭遇された一般 市民は、医師法第17条の問題ではありませんし、警備員、スチュワーデスといった方々 についても、そもそもAEDを使用するというのは緊急事態ですので、(1)から(4)まで の条件を挙げましたが、一つひとつ見ていけば、違法性が阻却されることがあるだろう ということです。 ○島崎座長  これに関してはあまり問題のないところかなという気がいたします。では、次に進み たいと思います。いま1の(1)を説明していただきましたが、前回は1の(2)まで は一応議論をしておりますので、1の(3)からということにさせていただきます。 (2)に関して問題がありましたら、あとで戻って議論したいと思いますので、差し当 たって(3)に入りたいと思います。  (3)に関して、この他に条件として、今までは、「適応と禁忌」、例えば、小児な どで8歳未満、あるいは体重25kg未満の患者に対しては、AEDが可能なのかどうか、 あるいは行ってもいいのかということをひっくるめて、これに関して全般的に何かご意 見はございますか。AEDの小児用というのは、小児用の機具を取り付けてやるのです が、あれは体重何kg以上が可能となっているのですか。 ○佐藤課長補佐  我々の理解では、小児用に特化されたAEDの製品というのは、まだ承認されていな いと思います。アメリカでは、そういうものが使用されているようであります。そうい う機具が承認されれば、ここに書いたようなことはそう気にする必要はないのかもしれ ませんが、承認されていない前提で、こういう問題をどう考えるかという問題提起で す。 ○島崎座長  そうすると、本邦で行う場合、小児用に特別なアダプターが使えないということにな ると、一応禁忌のような格好になるのですか。 ○佐藤課長補佐  薬事法の承認上はさまざまあるようですが、適応の中に「8歳以上」という記載があ ったり、禁忌の中に「8歳未満」という記載があるようですが、我々が調査した限りに おいては、少なくとも小児で適応が取れているもの、あるいは禁忌となっていないもの は基本的にはないと考えております。 ○五阿弥委員  まず承認の申請があるのかどうか。あった場合は、承認の見通しはどうかを教えてい ただけますか。 ○佐藤課長補佐  承認に関しては、厚生労働省の中の共通ルールでありますが、株価等に関連する部分 もありますので、承認されるまではそういう情報は公表しない。我々の行政サイドから そういう情報は提供しないという考え方になっております。  以降の会議の中で、申請の情報を公表してもよいという業者がありましたら、できれ ばご紹介をさせていただきたいと思います。 ○島崎座長  そうすると、社会環境によって左右されるのですが、ここではそういう条件付きでい いとか悪いというディスカッションになるのですか。 ○佐藤課長補佐  小児用の承認が現在ないという状況で、承認されることが当然望ましいわけですが、 そういう状況の中で、いまある機器の流用などが考えられるのかどうなのかという点で す。ここに書いた小児というのは、あくまでも例示で、この4条件以外に定めるべきも のはないのでしょうかという問題提起です。 ○島崎座長  野々木先生、何かご意見はありますか。 ○野々木委員  前回、ビデオ提示をしましたが、米国では同じAEDの機種で、パドルを変えるだけ の装置が出てきております。いま救急隊員の現場での困難性というか、8歳未満の心室 細動を確認したときにどうするのか、という問題に直面していますので、是非とも早急 に承認、あるいは申請を促すような形をとっていただければと思います。現時点では成 人のAEDは、8歳未満には禁忌になると思います。 ○野見山委員  現在そういう機器は、日本では使えないということですから、全くのパブリック・ア クセスの場合は別としても、ある程度継続的に使用を予測される人たちは、してもらう という国民の期待もあるわけです。その人たちがしなかった場合には、非難も浴びるわ けですから、器械がないから使えないということは明示しておいてあげなければいけな いのです。そういう器械が出てくれば、そのときに追加承認ということで、現在ある器 械については、8歳未満は禁忌と明示しておいたほうがいいのです。医師が使う場合 は、医師の裁量権の中で自由にできますので別だと思います。ここははっきりと禁忌は 禁忌としたほうがいいと思います。 ○島崎座長  簡単な器具ですが、現時点では申請がないということで入手できない。それはいまの 段階では明記すべきだろう。ただし、市販できた段階で、即刻それを変えるのがいいの ではないかということで、形としてはそうなりますかね。  8歳未満は体重が25kgというのも入っていますね。例えば、こういう形のものであれ ば禁忌ということになりますが、あとここにかかわる問題で基本的に禁忌は何かありま すか。 参考資料の2/4頁の「特殊状況」ですが、小児に関しては、いま言ったような ことで、発表資料2の坂本教授のデータでは、1歳未満は未定で、これも差し当たっ て、いまの段でいくと無理だろう。水に濡れていれば、それなりの処置を行う。埋込み 式のペースメーカーもそれなりの工夫をこらして行う。経皮薬剤が付いていれば剥がし て拭き取るということが、一応特殊状況というか、すべて対応できるということで小児 以外の禁忌は一応ないと考えられますが、何かほかに禁忌になるようなものがあります か。 ○五阿弥委員  基本的な質問ですが、例えば、倒れていた人がいたとして、この人が7歳なのか8歳 なのか、体重が25kg以内なのか以上なのかは分かりません。そのときに例えば、7歳だ った6歳だった、体重が24kgだったして、小児は禁忌としてやった場合、一般の人が緊 急避難としてやるわけですが、その場合はどういう関係になりますか。判断をする時間 がないわけです。一般論としては禁忌をやるというのは分かるのですが。 ○丸山委員  現実にAEDを使って救命なりをなさったのであれば、あとは医事課の説明のよう に、違法性が阻却されるかどうかという問題で、一般の方だとそこにも行かないという ことで、仮にキャビンアテンダントや救急隊員の場合であっても、医師法第17条に該当 するが、緊急避難という言葉を使われていますが、広く法秩序に反する行為ではないと いうことで、犯罪とはならない、違法ではないということになると思います。むしろそ ういうことをしない場合の問題が現実には大きくなるのではないかと思います。やって しまったら、いろいろな理屈の立て方はあると思いますが、救命のために必要な行為だ ったということで責任を問われることはないと思います。 ○島崎座長  正当業務行為としての医師、看護師、救命士がそれをやらなかった場合は問われます が、それ以外の非医療従事者はやらなくてもいいのですね。 ○丸山委員  やる義務はありません。 ○島崎座長  一応、禁忌としてこういうものがあるということで、機具の市販までそういう形でと いうことになりますね。非医療従事者の場合は心臓アンドですね。適応は、一応8歳以 上、25kg以上で心臓と呼吸が止まっている患者です。細かく言い出すと、どう見分ける のかという問題になってきて、あとの教育とも絡んでくるかと思いますので、一応そう いう形でいいかと思いますが、いかがでしょうか。 ○丸川委員  「心室細動、無脈性頻拍の者に遭遇した」と書いてありますが、そんなことは最初か ら分からないわけですから、「意識がなくて、心臓、呼吸が止まっている者に遭遇した 者」と書き換えたほうがいいのではないかと思います。結果的に、そこでAEDを使え ば、AEDが心室細動か無脈性頻拍か診断してくれるわけですから、結果的にはそうい う者に遭遇したことになり、意識がなくて、心肺停止ということでいいと思います。 ○島崎座長  (2)の(2)に引っ掛かってくるのですが、あとで細かいところはやることにいたし ましょうか。それ以外に、特にこの問題に関してはございませんか。 ○竹下委員  いまの1の(3)の「適応と禁忌」ですが、丸山委員が言われたように、それをしな かった場合の問題で、特に刑事違反になるとか、法律的に違反になることはないと思い ます。しかし、もともとこの趣旨は、広くこういう蘇生に多くの方に加わっていただき たいということですから、例えば、7歳だと思ったのでしないということがないよう に、ただ「禁忌だ」と書かないで、どこかでその点は強調して書くべきで、是非お願い したいと思います。 ○古橋委員  私も竹下委員と同じ意見です。たまたま医療業務以外の仕事に就いている方を念頭に 置いた場合、適応と禁忌という切り口をあまり掘り下げますと、AEDの普及をブロッ クしていく気がするのです。AEDの生命に対する第一の目的は、遭遇した人が直ちに 使っていくという意識の普及だろうと思います。専門的な切り口で適応と禁忌の議論を すること自身が、私は今回のテーマに少しブレーキをかけていくと思います。今まで勉 強させていただいた1回目、2回目の専門の参考人の皆様からも、誤作動をした場合の 危険度についてもご意見をいただいたわけですので、そういうスタンスを大事にしたほ うがいいと感じます。 ○島崎座長  あまりネガティブにこういうものを捉えては駄目だということですね。 ○古橋委員  考えるということはいかがなものかと思います。 ○島崎座長  これは例えばの例で適応と禁忌ということがディスカッションされているわけです が、このほかに条件として何かございますか。いまの話ですと、条件であまりギリギリ とやらないほうがいいだろうということだと思いますが、どうしてもここだけはという ことはありますか。 ○野見山委員  先ほどの心臓と肺の停止ですが、PADということで考えると、それを確認できるよ うな講習を受けた人でなければ使ってはいけないという感じになってしまいます。予想 なのか期待なのか分かりませんが、継続的に行う人たちと、たまたま一生に1回遭遇す るかもしれないが、やってほしいという人に対しては、第1回にお話があったように、 使ってほしいという対象の考え方も、器械そのものの性能に期待するとすれば、誤作動 はまずないことを前提にして、心臓と肺の停止を強調するのもどうかなという気はしま す。  逆に、子供に対しての適応というか、使うのはどうかという点はまた別の問題がある のではないかと思います。子供の場合は心室細動を発生したときに、大人の器械を使え ば心室細動として捉えるので電気は流れるわけです。その結果、果たして大人と同じよ うな期待ができるかどうかとなると、私は問題があると思いますので、やはり子供用の 器械が現実に手に入らない段階では、ある程度クリアにしておいたほうがいいのです。  ただ、それでは8歳の子供なのか7歳なのか、25kgなのか24kgなのかということで責 任を問われるかということになれば、使った人が25kgだと思った、8歳だと思った、9 歳だと思ったということなら、責任を問われないということさえ明確にしておけばいい のではないかという気がするのです。 ○島崎座長  小児の場合は、適応がないのに流れる可能性があるのですか、何とおっしゃったので すか。 ○野見山委員  心室細動であれば、除細動というのは器械は動くわけです。ですから、大人用のもの を使えば電流が目的とするものと全然違うということです。 ○丸川委員  私はいま矛盾を感じていました。心肺停止の心停止は要らないのです。意識がなくて 呼吸停止だけでいいのです。いまAEDが診断するわけですから、心停止がなければ除 細動しないわけですから、そういう意味では呼吸と意識停止だけでいいのではないかと 思います。 ○島崎座長  講習を全く受けずに心臓あるいは呼吸停止を判断できない人も、一応形としてはやっ ていいということで、アメリカでも一応講習を受けた人がやりなさいということになっ ています。あとで2に戻ってくるかもしれませんが、やはり何らかのそれなりのことを 行う上では、CPRというかBLSの教育を受けてAEDをやったが、患者が戻らなか ったので、そのままその場を立ち去ったなどという、むやみやたらと広げてしまうのは 問題があるかなという気がしますので、やはりそれなりの教育は必要だと思います。ど の辺までの教育かということになると、後ほど議論になると思います。条件としては、 ほかに特に大きなものとしてはありませんかね。  続きまして、2の「非医療従事者によるAED使用の普及方策」についてということ で、まず(1)の「国民の理解の促進、気運醸成に係る方策」ということで、先ほどの 禁忌などを含めて、講習を受けた人がやりなさい等を含めたものも書かれたパンフレッ ト、あるいはそういうものを含めたものでいいと思いますが、これは厚労省では何か考 えておられますか。 ○佐藤課長補佐  我々も毎年9月9日に「救急の日」を設けて救急に関する普及啓発の週間の行事を行 っており、そういう中でAEDを取り上げることは考えられるかと思っています。それ 以外でも、方法、手法などのご提案がありましたらという趣旨で挙げております。 ○島崎座長  これは非常に大切なことで、皆様もあまり条件付けばかりでガチガチにやって、実際 にできないよりは、それなりにPRをしていただいて、国民全般にそういう意識を持っ てもらうことは非常に重要だと思います。「救急の日」などはそれの絶好の機会です が、何といってもメディア、報道人にこのことをきちんと理解していただき、報道して いただくのがいちばんいいのかなという気がします。ここで結論を出して「こうしま しょう」というよりも、報道でこういうことに少し触れていただくだけでも、効果が全 然違うと思います。 ○羽生田委員  普及方策の中に入ってくると思うし、またその上の4条件の問題にも絡むのですが、 教育、いわゆる講習をやる中に、この4つをどう入れていくかということになると思い ます。むやみやたらに誰でもすぐやれというよりは、やる気がある人だったら、講習を 受けるということを前提にすべきだと思います。例えば、(2)の「呼吸がないことを確認 する」とか、対象者のそういったものを確認するということを現実問題としたら、例え ば、酔っ払って寝ていてちょっと起こしても起きなければ意識がないと判断をされるこ ともあり得るわけです。誰でもそういう場合にAEDを装着して、AEDがやれと言わ ないからいいのだというように判断をするのか。原則として講習を受けてやってくださ いということを前提にすべきだと思います。 ○島崎座長  それが先ほどの2の(2)、あるいは2番で引っ掛かってきますが、1ではあまりや れやれという形では言わないほうがいい、それなりの教育はちゃんとしてくださいとい うことですね。 ○羽生田委員  やれやれという中に、原則はきちんと講習を受けてやってくださいというものを基本 にしたほうがいいのではないかと私は考えています。 ○島崎委員  私もそれは賛成です。それはあとでディスカッションで出ると思います。 ○野々木委員  いまの羽生田委員の意見に賛成ですが、広く普及するためには、(1)に関係する と、ナショナル・キャンペーンを展開することなどが必要です。例えば政府広報などを 使って、テレビで繰り返し心肺蘇生の重要性、「AEDというものがあって、トレーニ ングを受ければ、こんなに簡単にできて、人を救うことができるのだ」というキャンペ ーンを是非張ってほしいのです。  具体的にどういう効果が現れているかというと、昨年のアメリカの学会で拝見したの は、オーストリアが1カ月間ナショナル・キャンペーンをして、テレビで繰り返しAE Dの普及活動をして、一般の人が自分の会社の社長の名前は知らないが、AEDのこと は十分わかったというアンケート調査もありましたので、政府としても、是非そういう キャンペーンを張ってほしいと思います。 ○島崎座長  私は小学校、少なくとも中学校、あるいは高校の入試に必須項目に入れれば、一遍に なると思います。文科省の管轄になりますが。 ○野見山委員  先ほどの羽生田委員のお話に関係しますが、意識がないからAEDを使うのではな く、意識がないということと、呼吸がないということだと思います。現在のBLSで脈 に触れるか触れないかというときに、循環停止をどうやって判断するかということでも 分かりますように、心臓が止まっているということに関しては、講習を受けても現実に は判断はなかなか難しいのが一般の方なのです。確かに講習を受けてから使ってくださ いという考え方は正しいと思いますが、講習を受けない人は使ってはいけないというの も正しくないと思います。  このキャンペーンというか、この流れが進んでいけば、継続的にこれを使うチャンス がくることを期待される人たちは、現実的に講習を受けざるを得ないわけです。そうい う人たちがいない場所は今後は非常に少なくなってくると思います。そうすると、最初 に誰かがAEDを使ったとしても、そういう人たちがその場に居合わせる、駆けつける 可能性はずっと高くなるわけです。  ただ、その人たちが来るのを待つのは、医師が来るのを待つのと同じように、ある時 間を経過してしまいます。AEDというのは、心室細動が発生してから除細動をかける 時間が短ければ短いほど戻る可能性は高いわけですから、基本的にはAEDは器械に信 頼を置いて使うことを前提にして考えていただければいいかと思います。 ○羽生田委員  おっしゃるとおりです。私たちはAEDに限らず、例えば、医業広告などにしても、 最悪のときを一生懸命考えてしまうのです。どういうことが起きてしまうことが心配な のかを考えたときに、ただ、酔っ払って寝ている人でも、面白がって脱がせて、パッド を貼ることも起こり得るわけです。議論の中でそういうことが起きていいのかというこ とを考えておかないといけないという意味で、講習を受けましょうということを基本に 普及を図ろうと言ったので、受けない人はやってはいけないとは言うべきではないと思 っています。きちんと講習を受けることをいかに普及させるかということですから、座 長が言われたように、いまは小学校、中学校、高校でも十分そういう時間が取れるよう になっているはずですから、文科省がこういうことにも力を入れて、教育の中に入れて いくことが必要だろうと思っています。 ○竹下委員  私は先ほど野見山委員がおっしゃったことに賛成いたします。これは先ほども申しま したが、是非できるだけ多くの方が、我々が念願しているようなことに参加していただ かなければいけないわけで、それを除外するようなニュアンスが少しでも加われば、決 していいことではないと思うわけです。一方で普及を一生懸命やって、政府のほうでも 是非努力をしていただきたいと思います。政府やいろいろな学会で何種類ものビデオを 作って、いろいろな所で講習会を開く。一方でそのような講習会を広く多層に渡って行 っていくことが必要ですが、片一方ではあまり規制を設けないで、できるだけ幅広くこ れに参加していただけるような文書にしておかないと、自分は受けていないからやって はいけないのではないかと思って参加しないようなことがあると、本当に元も子もない と思います。 ○島崎座長  それはあとの教育のところでも、もう一度戻ってくると思います。ただ、それをガリ ガリとやっていくと、医師法違反になってしまう可能性があります、後ほどその件に関 しては議論するということで、資料2の2の(2)の「あらかじめ想定されている人」 を含めて、後ほど教育については話をしたいと思います。 ○三井委員  いまはまだ2の(1)ですね。国民の理解の促進の部分ですが、先ほど座長は、マス コミの力などに期待すると言われ、例えば、高円宮殿下のこと、いろいろなマラソン大 会、航空機に塔載をし、客室乗務員がということで、いろいろなタイミングで新聞等で 報道されて、たぶん今まで全く関心がなかった人たちも関心を持つ。多少かじっていた というか救急法に関心のある人は、さらにそれを突っ込みたいのです。  私が感じたのは、AEDのことだけが特化されている部分の報道が多く、心肺蘇生法 と組み合わせでというのはほとんどありませんでした。私はAEDを語るときは、必ず 心肺蘇生法がセットになって語られなければいけないと思いますので、国民に対する正 しい理解を促進してもらう、醸成してもらう。そのときには心肺蘇生法のことも視野に 入れたというか、それが必要ではないかと思います。 ○島崎座長  私もそう思います。 ○野見山委員  先ほど羽生田委員が言われた心配な点は、私も考えてみました。問題はAEDという 器械をどこに置くか、どのように管理するかです。例えば、空港の通路に置いている場 合に、AEDを外せばその時点で警報が鳴るという管理の仕方であるとか、コンビニに 置いておき、コンビニから持ち出すときには店員が一緒に走っていくなどという考え方 で管理の面を考えれば、そういう可能性は少ないのかと考えたのです。 ○島崎座長  それでは2の(2)の「『必要な講習』の展開」です。ここでは、(1)広く市民を対 象としたもの、(2)企業、職域におけるもの、(3)教育現場におけるもの、という3つの 分け方で、大体こういう感じになるのかなという気はしますが、それぞれの対象がある だろうということです。講習をやるとしたら、こういう形の講習になるのですかね。基 本的なものを教えておき、あとはそれぞれの職場なりフィールドでプラスアルファをど う教えていくかは別問題だと思いますが、何かご意見はありますか。救急隊員は(2)に 当たりますか。これは異論のないところですかね。 ○羽生田委員  むしろ救急隊員の守備範囲というか、業務の中での取扱いにしていくという捉え方に なるのではありませんか。 ○島崎座長  彼らが行う救急処置というのは業務ではないのですよね。 ○渡延指導課長  もちろんこの場でのご議論次第ですが、事務局として整理すべき論点を考えた際に は、前回の議論でもAEDを使用する場合の非医療従事者の類型は3つなのか、いくつ なのかという議論があったのですが、本日資料でご説明したとおり、医師法との関係で 分けて整理していけば2類型ということになってくるだろうと思われます。  したがって、前回でも議論していた消防の方、警察の方等々についても、AEDの操 作そのものか、あるいは先ほど来出ている心肺蘇生術の基礎的な部分を組み合わせた部 分をコアの部分とすれば、その部分は各型について共通しているのだろう。それプラス 職域なり活動領域の特性で遭遇する頻度や活動する領域の特殊性をオンする形、付加す る形での講習の展開が、企業なり職域でそれぞれ考えられるのであろうという思想で整 理しています。  同じような視点で見ていきますと、(1)の「広く市民を対象としたもの」というのは、 私がいま申し上げた言葉で言えば、コアの部分で、AEDの器械の操作そのものプラ ス、極めて基礎的なCPRの部分です。(3)の「教育現場におけるもの」となりますと、 もちろん今後社会を担う若い方という切り口から、付加価値がまた別の意味で、(2)と は違う付加価値が付くのかもしれません。いずれにしてもここでは粗く3つに分けまし たが、3つを貫くコアの部分に、それぞれの領域の特殊性でオンされるのではないかと いう形で整理していけば、例えば、消防隊員に対する必要な講習のあり方も、(2)の 「企業、職域におけるもの」の展開の1つの例として整理されるであろうと、事務局と しては考えて整理したものです。 ○島崎座長  そういう意味では、(1)はたまたま遭遇する可能性があるが、(2)(3)に関しては、そ れなりの反復継続になり得る可能性があるということになるのですかね。 ○鈴木委員  いまの救急隊員のところを整理してかかる必要があるかと思います。まず1点は、現 在、救命士が乗車して救急隊運用をしている所は、まさに包括的指示下での除細動を実 施しているわけです。救命士が乗らないときの救急隊員がいるわけですが、この救急隊 員に現在の除細動が、最初の段階では半自動だったのですが、自動に切り替わりまし た。そのときに救命士でない救急隊員に対して、MC体制の下で、現在救命士が使って いる除細動器をどう使わせるかという問題が1つあると思います。  この部分と、いまここで言っているAED、どちらも自動になりましたからAEDと 言えば同じかもしれませんが、ここで言っている簡便なAED、PADに近い部分につ いては、分けて検討したほうがいいのではないかと思います。まさにいま救命士が使っ ている除細動器は別枠で検討する。ここで言っているAEDについては、別に機材は同 じですから、分けて検討する必要はないのではないかと思います。 ○島崎座長  救命士が使っている除細動器を救急隊員が使うので、こことは離したほうがいいとい うことですか。 ○鈴木委員  はい。 ○島崎座長  プラスアルファの教育の基本を作っておいて、プラスアルファの教育でCPRとAE Dだけの本当のベーシックなものというのではなく、それぞれの職種なり立場でプラス アルファは絶対必要だと思うので、そのプラスアルファで解決していくような形を考え ていたのですが、どうなのでしょうか。 ○鈴木委員  いま私が言っている部分は、ここで議論しているAEDについて職種で云々ではな く、救急隊員の場合は、すでに救命士が使っている除細動器があるわけです。この除細 動器は精度が少し違うわけで、救命士の使っている除細動器の使用については別枠で検 討するという棲み分けをしておいたらどうでしょうかということです。それが一緒にな ると混乱してしまうのではないかということです。 ○渡延指導課長  これは1回目、2回目で、この検討会で言っている非医療従事者というのはどういう 方かという議論があったかと思いますが、そこでドクターなりナースなり、それから救 急救命士については、それぞれの職務に関する法令、制度の中で医業として、あるいは 診療の補助として除細動器が使えるようになっておりますので、ここで言っている非医 療従事者という概念には入らない。これはすでに前回、前々回でも議論されたところか と思います。  そうなってきますと、ここでの非医療従事者という概念に入るのは救急救命士ではな い救急隊員というか、普通の消防職員が対象になってきます。そういう方については、 前回と今回の議論に出ていますが、基本的に2つに色分けされます。となりますと、そ の方について救命士以外の救急隊員についてAEDを使用することになったときには、 ここで掲げられている4条件が当然かかってきます。したがって例えば、(4)の「使用 されるAEDが医療用具として薬事法上の承認を得ていること」というのが引っ掛かっ てきますが、これについて、いま救命士が使っているのは半自動も全自動も混在してい るように聞いておりますが、ここでの一連の議論では前回でもいわゆる全自動を前提と するという議論だったかと思います。したがって、救命士ではない普通の救急隊員、消 防の職員に(4)の条件から出てくる機具以外のものを使わせるという議論は、この検討 会の射程範囲ではなかろうと思っています。 ○島崎座長  それはプラスアルファのところで、例えば、半自動にかかわる講習を、ある程度決め てやるという話になれば、半自動を救急隊員はやってもいいということですか。 ○渡延指導課長  (2)の(4)の、使用されるAEDが医療用具として、薬事法上の承認を得ているこ とをどう捉えるか次第だと思います。たしか1回目の資料で事務局から説明いたしまし たが、現在の薬事法上の承認区分では、PAD様のものはない、半自動のものも、いわ ゆるフルオートマチックなものも扱い上は同じになっている。そこをさらにこの検討会 なりの議論で絞り込んでいくのか。絞り込んだ結果、それが普通にアクセスする一般の 方でも外形的に見分けられるようにできるのかというのは、なお課題として残っている だろうと思います。結論として全自動に限るべきで、外から分かるような仕切りをすべ きという議論になるかもしれませんし、半自動でもオーケーということになるかもしれ ません。半自動でもオーケーとなったら、いま座長がご提起になったような議論が必要 になってくるだろうと思います。もしフルオートマチックでなければ駄目だということ であるなら、そもそもそういう議論は生じないという形になろうかと思います。 ○島崎座長  しかしここでは、基本的に非医療従事者はフルオートマチックでなければ駄目だ、と いう大前提で議論していますよね。 ○野々木委員  確認をしておいたほうがいいと思います。除細動器のスイッチを押さなくてもかかる のがフルオートマチックですので、現在はありません。現在あるのは半自動と考えてお いたほうがいいと思います。ですから、救急隊員や救命士が使っているのも一般人に解 禁しようとするのも、原理的には同じなのです。結局マニュアルの部分があるかどうか の違いだけで、AEDに関しては私は同じものだと考えています。 ○島崎座長  しかし、マニュアルのところの幅が、救命士が使っているものは幅広くて、押さない と駄目ですよね。 ○野々木委員  基本的には同じです。マニュアル式のものもAEDを選択すればあとは同じなので す。半自動というのは、最終の除細動器のショックを押さなければいけないという意味 で半自動ですよね。本当のフルオートマチックというのはまだありません。 ○島崎座長  最終的にはボタンを押しますよね。では、いま救命士が使っているのも、ここでやる のも基本的には全く同じですね。 ○野々木委員  基本的には全く同じであるということでよろしいですか。 ○鈴木委員  大変有難いお話をいただいたのですが、私はこういうことだと理解しています。救命 士の場合はモニターを見て、VF、VT等を確認して、これは対象であるというのをま ず判断します。そのうえで、いま言っている読み取りをするわけです。ですから、その 部分のモニター等は今検討している部分のAEDには付いていないわけです。そういっ た部分で器具に全面的に委ねて行為をするのか、そこに一定の判断があって器具を操作 して、自動式というのを操作していくのかという違いが、現実の救急隊にはあるのだと 思います。私はそこが心配になったので、現在救命士が使っているのは、判断要素を含 んだ部分については別途検討するほうが、この議論としては分かりやすいのではないで しょうかという提案をいたしました。 ○佐藤課長補佐  1回目の参考資料(5)に、「除細動器の分類及びAEDとして利用可能と考えられ る機器について」というのがあります。野々木委員からご説明がありましたように、全 自動のものは参考資料(5)の2枚目に6つのリストがありますが、パッドを貼れば自 動的に解析が始まって、ショックボタンを押さなくてもショックが行われるといった全 くの全自動の器械に対しては、確かに承認されておりません。  いま我々が言っているAED(自動体外式除細動器)に関しては、大きく分けて、参 考資料(5)の1枚目にある「半自動式」と呼ばれていたものと、AEDといった機種 があります。これの大きな違いは何かと言いますと、手動式に変わるかどうかという点 です。いま消防で救命士の方々が使用しているのは、マニュアルタイプにも変わり得る もので、容易にマニュアルにもなります。例えば、プリント機能やこのあとの事後検証 等がある関係で、こういった記録がはっきり残るものを使っています。  一方、PADとして使用される機器は、マニュアルにすぐ切り換わって、電流が簡単 に流れることがないよう安全性の観点から簡単に手動には切り換わらないもので、既に 販売されています。ここに書いてある、かつて半自動式と呼んでいたものを、マニュア ルに切り換わるものをAED、PDAとして認めるかどうかの議論がなされているので はないかと思います。 ○島崎座長  この図の中の右側のAEDですが、救命士、救急隊は左をそのまま使う可能性が非常 に高い。これはプラスアルファの教育の中でやっていただいたらいいと思うのです。そ ういう意味ではわざわざ分ける必要はないと思います。そういう考えでよろしいでしょ うか。 ○鈴木委員  確認しておきます。現在、左側の半自動以外のAEDなるものを積載している救急隊 もいるわけです。ですから、左側のほうは、ここのテーブルではなく、検討するとし て、AEDの右側のほうをこの検討会で議論されるということでよろしいのではないか と思います。 ○島崎座長  それは(2)の(2)に当たるという形でやっていきましょうということです。 ○丸山委員  参考資料(5)の上のほうに、手動式除細動器というのがあって、「人が、波形の鑑 別、エネルギー量設定、除細動器を行う」とありますが、現在、これは救急隊では全く 使われていないという理解でよろしいのですか。 ○島崎座長  これは病院の中だけです。 ○丸山委員  使っているという。 ○羽生田委員  エネルギーがどうというのは、救急隊は使っていないですか。 ○島崎座長  手動式は使っていないと思いますが。 ○羽生田委員  救急隊は積んでいないのですか。 ○鈴木委員  救急隊は半自動です。 ○丸山委員  手動は使っていないということでよろしいのですね。 ○羽生田委員  私が言ったのは、資料2の中の法的整理の中で、救急隊員は反復継続してAEDを使 用する可能性が非常に高い職種というふうに、私は理解をするのです。ですから一般市 民と同じようなAEDの講習を受けるという意味ではいいのですが、反復してという意 味では救急隊員の過程の中に、そういう形で入れていくべきものと解釈しているので す。 ○島崎座長  それは絶対やってもらわないと困ります。 ○羽生田委員  (2)の(2)の「企業、職域におけるもの」という考え方と、救急隊員はこの中では なく別だと。これは企業の中でやるとか、職域で集まってやるとかいう講習のやり方の 話であって、対象としている救急隊員については、反復継続して使うという意味では、 市民の講習とは別な考え方で内容的にそう違いがなくてもいいのですが、反復継続して 使うという捉え方ですべきだという意味で、こことは意味が違うのではないかと思いま す。 ○島崎座長  意味が違うといえば意味が違うし、もしこの中に入れるとすれば、そのプラスアルフ ァの所が突出して必要だと思うのです。そこのところの教育はきっちりやってください というのは、ここでそれをどこまでやりましょうとかいう話の委員会ではないですよ ね、それはまた別です。 ○野々木委員  前回にも議論されましたが救命士、救急隊員もそうなのですが、警察官だとか消防士 は救急の場面に遭遇する可能性の高い職種なのです。今日2つに分けていただきました が、前回お話したとおり医療従事者は医師、救命士、看護師とすると、病院にいる薬剤 師だとか技師だとかは遭遇する可能性が高い職種となります。これは今日の議論でいく と職域に入ってしまうのですが、他の職種とは異なるのではないかと私は思うのです が、いかがなものでしょうか。 ○島崎座長  私の理解では、インホスピタルの非医療従事者で日常的にベッドサイドにおられる臨 床検査技師、工学技士、放射線技師、薬剤師等は、その病院の責任において中で教育し ていただいたらいいなと考えているのです。プレホスピタルの職員とはちょっと違うか なという気がするのです。 ○野々木委員  そこを明らかにしていただければいいかなと思います。 ○島崎座長  私はそういう具合に考えているのですが、そこまで全体の教育の中に取り込むと、非 常に大変になってくる。本来そういうものが病院そのものの責任の一部だ、というよう に思うのです。  消防士には救急隊員でない消防士もおられるのでしたか。その消防士はプラスアルフ ァの教育のグレイドはいろいろあると思うのですが、それはやってもらうということ で、どれぐらいやるかは別問題だろうと思います。 ○鈴木委員  いま座長がまとめられたように、第2回目の時に私もその発言をしたのですが、例え ばいま言っている消防士ですが、一定の初任教育の中で教育を受けてくるわけですね。 また、救急隊員になるためには250時間以上の時間を勉強してくるわけですから、もう、 それぞれの職域の中で必要な教育はやってきているわけですから、そこにこのAEDの 部分をどう加えるかです。これはそれぞれの職種の中で全部違っているので、警察官、 消防職員を一緒にする必要はなく、それぞれの職域の中で判断をしていく。いま座長が まとめていただいたことを第2回目で主張させていただいたわけです。そのようにさせ てもらえればありがたいと思います。 ○島崎座長  よろしいですね。 ○野見山委員  確認ですが、必要な講習の展開が(1)(2)(3)と分かれていますが、先ほどの非医療従 事者という点では2つに分かれました。(1)は「たまたま心室細動等に遭遇した一般市 民」でいいと思いますが、(2)が「AEDを使用することがあらかじめ想定されている もの」。(3)の「教育現場におけるもの」というのは、中学生、高校生、大学生という のは、学生に教える講習と理解してよろしいのでしょうか。 ○島崎座長  そうですね。これは学校での教育という意味です。 ○野見山委員  先生に教えるという意味ではなくて、学生に教えるという意味ですね。 ○島崎座長  生徒に教えるという意味です。 ○竹下委員  少し議論がもつれているように聞こえるのですが、先ほど羽生田委員が言われたこと なのですが、「『必要な講習』の展開」の所が(1)、(2)、(3)に分かれていますが、こ れは、いま話に出ているような消防隊員であるとかいった方々の話をしているのではな くて、いかに講習を展開するかというやり方についての話だと考えます。市民を対象に して公民館で話をするのか、あるいは職域の方々を対象にして、そこでするのかなどで す。委員会では、一般市民を対象にしていかに講習を実施するかを討論することが大事 だと思います。  したがって資料の2で話されているように、一般市民を対象にしているものと、AE Dを使用することがあらかじめ想定されているようなものの2つに分ける。資料の1の 2の(2)のところで3つ書いてあるのは、例えば一般市民を対象にした講習会がこう いう3つのグループでできるのではないかという考えならばよく分かるのです。それが はっきりしないものですから。 ○島崎座長  そういう意味で2の中にこれと別に、救急隊員を外せばすっきりするだろうというこ とでしょう。 ○竹下委員  救急隊員、警察は別立てにしていただく。 ○島崎座長  警察は頻回に行う、一般市民の1が全部入ってしまうのですか。 ○竹下委員  警察は分かりません。警察はまたご議論をいただけばいいと思います。 ○島崎座長  考え方が竹下委員が言われるような考え方で。 ○竹下委員  そういう考え方で整理されたほうが。 ○島崎座長  職域・企業でプラスアルファのところが大きく変わるというのは、ここに入れてしま うと、いま言ったような話の流れになるし、この中に入れる話ではないといえば、別に それを取り出してやってもいいというようには思います。 ○丸川委員  1点、たぶん重複すると思いますが、例えば薬剤師がという話がありましたが、薬剤 師が病院の中でAEDを使う場合と、病院の外で使う場合とでは話が別になるのです か。座長のお考えでは一緒になるのですか。 ○島崎座長  中で教育を受ければ一緒だと思います。 ○丸川委員  そういうことはこの(1)、(2)、(3)というのは、あくまでも教育の戦略であって、質 を問うているわけではないですね。 ○島崎座長  そうです。プラスアルファの質は、それぞれの職場でやってくださいというように私 は思っているのです。 ○丸川委員  これを戦略として見ないと、職域で受けた人、企業で教育を受けたりする人、広く市 民を対象としたもので受けた人の間に、基本的には格差があってはいけないわけです。 AEDを使えるということに関しては、同じレベルの教育がなされていることにしない といけないと思うのです。ですから、例えば薬剤師で市民の教育の中で講習を受けた人 も、たまたま病院の中で遭遇すれば、そのレベルでやっていいわけですね。そういうふ うに解釈しないと。 ○島崎座長  中に自動があればですね。 ○丸川委員  あなたは市民の教育を受けただけだから、この職場ではしてはいけないという雰囲気 が出てはいけないということですね。それは確認していただきたいと思います。 ○渡延指導課長  事務局がこの論点を整理したときの考え方をもう一度申し上げますと、いまの先生方 のご議論も結局講習をやる間隔というか、どれぐらいの頻度でブラッシュアップするか というところで、普通の一般人と警察なり消防の方は差がつくだろうというところをめ ぐっての話だと思うのです。  この論点ペーパーでは1の(2)の(3)「必要な講習の中身は何か」というところに ついては、ある行為をする瞬間に満たしているべきものは一体何なのか、ということだ け絞り出してきている。したがって、それが時間が経ったときに、どれぐらいの間隔で もう一遍充電しなくてはいけないかということは、ここには要素として入っていないわ けです。  そういったものが必要になるのは、一定の頻度でそういう事態に遭遇する方であろう から、確かにいまご指摘のありました(2)の企業、職域におけるものとしてやる際には もちろんこうした者と消防とか警察とかの距離の遠い一般の企業が普通の従業員教育、 あるいは社会貢献的な切口から、一般にやるものもあるでしょうし、特に消防とか警 察、運輸、鉄道といった所が、距離の近い従業員を抱えていることに着目してやるケー スも当然あるでしょう。後者のケースであれば一定の間隔で対象を絞り込み、ブラッ シュアップするという要素は加わるだろうということで申し上げているものです。  したがって講習をやるに当たっての間隔の要素を(2)の(3)に持ち込むのであれば、 それはそういうふうな整理ももちろん可能ですし、2の(2)の(2)の所は、単なる世 の中において講習が行われる3つの局面をフラットに整理しただけのものと。整理する ことはもちろん可能です。先生方がご提起されている論点自体は、十分承知しているつ もりなので、最終的に次回以降、集約のネタを出すときに、ただいまのご議論が反映さ れるように整理をしたいと思います。 ○竹下委員  確認というか追加いたします。いま間隔のことを言われましたが、間隔だけではなく て、この講習の内容が若干違うと思うのです。単に付け加えるというだけではなくて、 例えばCPRがいま話になっていますが、CPRを是非入れなくてはいけないというご 意見もありますが、私はそれはあまり強調し過ぎないほうがいいのではないかという意 見なのです。  しかし、救急隊員とか何かの方にはCPRは必ず受けていただく必要がある。既に受 けておられるわけですが、日常的に遭遇する方はそこまで必要かと思います。しかし、 一般の市民の方がCPRの講習を必ず受けなければならないとすると問題になるかもし れないので、資料の2の1と2と分けて考えるほうが、妥当ではないかということを申 し上げているわけです。 ○島崎座長  (3)「医療従事者等の積極的協力」の「必要な講習のための講師の確保」です。こ れはどの程度のところまでインストラクターとして認めるかという話です。いろいろご 意見が前回も出たかと思いますが、医療従事者そのものはもちろんインストラクターに なり得るわけで、救急隊員もおそらく個人的には大丈夫かなという気がしますが、ずう っとやっていくと一般市民と反復、継続が想定される職種の人の、どの辺のところから インストラクターとして認められるかという話になると思うのですが、この点に関して 何かご意見がございますか。  いちばんの問題は、一般人に従来BLS等を教えておられる赤十字の方々、あれは何 ていうのですか。 ○三井委員  救急法の指導員です。 ○島崎座長  指導員、ああいう人たちをインストラクターとして認めるかどうかというところです か。それ以下は言えない。一般の人が講習を受けたからそのままということは、まずあ り得ないと思うのですが、どの辺のところまでの人たちを。救急法指導員は一般人です ね。 ○三井委員  はい。 ○島崎座長  いかがでしょうか。 ○鈴木委員  これは前回とダブりますが、是非お願いしたいと思うのは、消防機関としてはBLS と称する普通救命講習等を実施する時に、そのインストラクターとしては、応急手当普 及員がいちばん下の指導者なのです。その上に応急手当指導員がいるわけですが、まず ここの部分は2つに分ける必要があると思うのです。まずインストラクターを育てるた めの指導者というのは誰か。これは医師、看護師、救命士でいいのだろうと思うので す。インストラクターが今度一般の市民等に講習をできる。ここの部分が先ほどの日赤 の救急指導員とか、消防で言っている応急手当普及員以上、という位置付けになってく るのではないかと思っています。現在、普及業務等でやっているその人たちにも、指導 のできるような体制を作っていただければと思います。 ○島崎座長  日赤関係、消防関係の方はそういう形で、当然言われると思うのですが、いかがでし ょうか。その辺のところまでがインストラクターとして適当だというご意見なのです が、どうでしょうか。 ○大越委員  日本航空ではいま15名のインストラクターがいるのですが、全員アメリカ心臓協会の BLSインストラクターを持っています。その中で医療職の方はいま12名で、3名ほど 補助的にCPRを組んで行う時だけやっていますが、もともと教官です。全く一般の方 でも十分教えられると思っています。 ○島崎座長  教えてほしいのですが、三井委員、応急手当指導員は何時間ぐらい。あれはいろいろ なあれがあるのでしたか。 ○三井委員  そこに至るまでの時間は、前回の参考資料(2)で出していると思います。表題が 「日本赤十字社救急指導員について」と書いてありますが、こういう順序を経て指導員 になってきますので、日数では大体2週間近く使うことになるのでしょうか。 ○島崎座長  次の頁の最低5日、この辺になってくるのですね。 ○三井委員  そうです。これ全部セットなので、矢印にある流れです。いちばんコアな部分が、 (5)の最低5日間が、指導者として必要な教育法も含めて、しっかり内容を理解をして もらう期間です。 ○島崎座長  この最低5日間というのは、5日間まるまるということですか。1年かけてというわ けではないですね。 ○三井委員  集中させます。 ○島崎座長  応急手当指導員は。 ○鈴木委員  応急手当普及員ですが、24時間3日間です。その上に応急手当指導員がいますが、こ れは5日間40時間です。 ○島崎座長  鈴木委員の言われるのは、応急手当普及員で24時間3日間講習をすれば、インストラ クターとしてはかまわないだろうということですね。 ○鈴木委員  はい。 ○島崎座長  大越委員の3人の方というのは、何日間ですか。 ○大越委員  かなり短縮した形なのですが、2日間です。もともと取られた方は日赤の指導員の資 格も取られて、かなり一生懸命やっている教官の方々です。 ○島崎座長  いかがでしょうか、応急手当普及員あるいは指導員は、3日間なり、最低5日間なり の講習を受けて、それなりのCPRにかかる基本的なこと、AEDにかかることを、そ れぐらい時間をかけてやっていただければ、インストラクターとしての資格はいいと思 います。 ○野々木委員  日赤と消防から提案していただいたように、従来のBLSの指導者がいるわけです。 AEDの指導に関してはAEDの機能だとか安全性の教育が必要なので、そこを指導者 として補充してBLSのインストラクターを現在実施している方に普及に係わっていた だくことが、いちばんいいのではないかと思います。  指導方法は共通化したほうがいいと思いますから、救急医療財団、心肺蘇生法委員会 等で内容を決めていただければよろしいかと考えます。いかがでしょうか。 ○三井委員  いま野々木先生からのご指摘は、たぶん前回ぐらいに鈴木委員からも私からも、現状 のものにプラスアルファのAEDに関する特設の時間を取って、それで指導者として認 めていただきたいという提案なのです。鈴木委員、野々木委員の言われたようなことで いいのですね。 ○鈴木委員  プラスではなくて、いまの24時間の中に入れるということです。あるいは40時間の中 にAEDの指導内容も含めてやっていきたい。 ○三井委員  日赤としては、現状の指導者にAEDに関して付加させていくという考え方で、多 少、鈴木委員とは違います。 ○島崎座長  インストラクターをどう教えるかというのは別問題です。これはまさにメディカルコ ントロールに入ると思いますから、ここでは話を別にして、インストラクターというこ とで3日間の中に入れたいということですね。 ○鈴木委員  誤解があってはいけないので確認しますが、現在、普及員を持っている方、あるいは 指導員の方は当然プラスアルファで、これから新たに普及員・指導員になる方について は、現在の24時間、あるいは40時間の中に含めていくという意味です。 ○渡延指導課長  前回までの議論の中で、日赤の救急法指導員の話、消防庁がやられている応急手当普 及員なり、応急手当指導員の話、それからあとJALとして養成しておられるインスト ラクターの話等々がありました。それぞれAEDの使用が一般解放されていない現時点 で展開されている講習について説明を受けたわけです。ただいま野々木委員が言われた ように、今後こうしたAEDの普及の気運が高まると、ほかの主体でもこういったさま ざまな講習を展開してくる所が、たぶん出てくるだろう。今までやられていなかった所 についても、そういった要素を盛り込む形での何らかの工夫をされるだろう。  したがってこの検討会でいま存在しているものだけを押さえる議論では、たぶん済ま ないはずであって、今後とも出てくる各種の講習の、どういうものが指導者として適当 なのかをうまく把握する仕組み。いま学会、外部的な機構というお話がありましたが、 そういった所を含めてご議論をいただければ、今後の幅が広がっていくのではなかろう かと考えています。 ○古橋委員  いずれこうした人々の学習とか普及とかという課題が出てくるとは思いますが、日本 看護協会は現在、認定看護師の救急看護領域で、これはほぼ1年間勉強する資格の者も おりますし、もちろん医師などのほうがもっと盛んでおられますが、救急看護学会とい うのもあります。ですから、そういう方向が出れば、そうした機構や組織が十分協力を していって、また都道府県の看護協会組織も出来ていますので、このテーマを自分たち のテーマにして、大いに参加させていただくことは可能であろうと思っています。講習 のカリキュラム等々の中身を知りながら、看護職としてそういう所に参画をさせていた だければと思っています。 ○島崎座長  インストラクターとして、どれぐらいの講習時間なり経験を積んだ人たちがなるのが 適当かという話で、いまある職種というよりは大体この程度のものというのがあればい いなということと、では、結局それはメディカルコントロールなりインストラクターを 教える上の立場というとおかしいですが、そういう人たちの中で考えてもらうことにな るのか、あるいはいまここで、例えばそういう学会なりJRCなり、いろいろな形の中 で決めたものをここへ下げてくるのか。あるいはこういう形でここで決めたから、それ でやりましょうという形にするのか、どうなのですか。大体一般的にはCPR+AED を何日間ぐらい現場でやる人がインストラクターとして教えられるのですか。イメージ として大体3日間ぐらいなのですか。 ○野々木委員  前回、提示させていただいたAHAのハートセーバーAEDというコースでは、受講 時間は3時間から4時間です。それのインストラクターコースがあって、プロバイダー のコースに加え更に1日、実際の教え方を受講する内容です。丸2日間でハートセイバ ーAEDという基本的なCPRとAEDの指導者を養成している形です。 ○島崎座長  受講は3時間か4時間でしょう。 ○野々木委員  そうです。指導者用コースは1日です。 ○島崎座長  1日プラス数時間。 ○野々木委員  そうです。 ○島崎座長  インストラクターの一般の勉強を3時間か4時間受けて、1年後にもう1日どこかで 受ければ、そのままインストラクターとしてOKという意味ですか。 ○野々木委員  現在提案されているのは、その翌日にインストラクターコースを実施している。 ○島崎座長  連続してということですね。 ○野々木委員  はい、継続性というのがあるのでしょう。 ○島崎座長  数日は少なくともいるなという気はしますが、それが2日がいいのかどうか、います ぐ結論は出せませんが、その辺のアイディアで何かございますか。1週間も2週間もと いうと。現場でやってもらう人たちをどんどん増やしていくのには、インストラクター の数が多くないと駄目なので、それのメディカルコントロールの話になるとまた別問題 ですから、そこのところはいま議論をしなくていいのでしょう。数日ぐらいというコン センサスでよろしいですか。                   (賛同) ○島崎座長  (4)「その他」ですが、AEDの配置状況に関する情報提供、これは厚生労働省の ほうで。 ○佐藤課長補佐  これ具体的に申しますと、例えばここにAEDが配置されているという、共通のマー クなり何なりが必要かとか。あるいはアメリカ、イギリスや何かの例を見ますと、地域 のエマージェンシー・メディカル・サービスと結び付いて、エマージェンシー・メディ カル・サービスが、例えば通報があった場合に、どこそこにAEDがあるので使ってく ださいという指示をするケースや何かもあると聞いています。そういう意味で日本にお いて、そういった体制と結び付いた考え方があるのかないのか、といった点についての 論点かと思います。 ○島崎座長  これはどういう場所に置きましょうとかいう、ディスカッションではないのですか。 これに関してはどうでしょうか。私の頭の隅にあったのは、各地域なり都道府県のメ ディカルコントロール協議会等で検討をしてもらえばいいかなと、実は思っていたので す。けれども、ミニマムこれだけだというのは。アメリカなどは地域によっては決まっ ているのですね。オヘア空港みたいな中だと何百メートルに1つとか決めているみたい ですが、いま具体的にミニマムはこうしましょうというのは難しいです。全国統一版み たいなのがいるのでしょうか。 ○佐藤課長補佐  ここで言っているのは配置状況に関する情報提供ということなので、そういう意味で はここにAEDがありますよという、共通マークとかいったものが必要かとか、そうい った話です。 ○島崎座長  トイレマークみたいなものですね。そういうものは考えておいたほうがいいでしょ う。 ○羽生田委員  この配置状況というのは、どういう施設に置いてあるという情報提供と、施設の中で どこに置いてあるという情報と2つありますね。 ○島崎座長  先ほどの職種で出ていましたが、反復使用が行われることが想定されるような場所と いうのは絶対にいるわけでしょう。 ○羽生田委員  基本的に反復使用の状況というのはどういう。 ○島崎座長  例えばスタジアムとか、駅とか公共の場。 ○羽生田委員  特定多数の大勢の人が集まる場所ということですか。 ○島崎座長  そうです。基本的な場所としてはそういう所で、中でどういう形でそれを示すかとい うことと両方あるでしょう。これはディスカッションをしても仕方がないと思うので す。 ○丸川委員  これは先ほど野見山委員からもありましたが、AEDの管理方式をディスカッション する場が書いてないので、私はここに入れていただきたいと思うのです。先ほど羽生田 委員からもお話がありましたが、酔っぱらいがふざけて使うというような話は当然起こ り得るので、こういう管理方式をするというディスカッションと、それを国民に知らせ るという2つの問題を提案したいと思います。 ○島崎座長  道路の消火栓のように、道路の脇に置いておくとあっという間になくなるでしょう し、建物の中にしても、アメリカなどだとあれ鎖が付いているのですか。取ると警備室 でどこで開けたか分かるということなのでしょう。 ○大越委員  いま座長が言われたとおり、飛行機の中の「ここに置いてありますよ」と言ってしま うと、いざ使おうとした時になかったりしてしまうこともあって、その情報提供は施設 によって難しいのかなと思います。 ○野見山委員  そういった情報提供が飛行機の中にあるのか、飛行機のどこにあるかというのは別に したとしても、これを全国的に広範囲に行えるように展開するということであれば、最 低どういう所には置きなさいという話なのか。置いたほうがよろしいという話なのかと いう区分にして、少なくともそういう場所であるとか責任体制というか、置かなければ いけないということは管理体制と一緒に、ある程度、案は出したほうがいいのではない かと思うのです。  例えばもう何十年も前に問題になったバレー選手の心肺停止状態で、何も心肺停止の 蘇生がなされなかったという問題が現実に起こっているわけですし、スポーツの場は非 常に起こりやすいというのは既に分かっているわけですから、そういう所には義務化し て設置しなければいけない。義務化ではないけれどもあったほうがいいという所、その 辺はこの委員会として、ある程度の提案は管理方針とともに必要だと思います。 ○島崎座長  そういう分け方は必要でしょうね。ただ、絶対に置くべき場所というと、いまの話だ と音楽会場とか、体育館、スポーツジム、スポーツの観戦場とかいう話になって、それ 全部置きなさいという話になるのか、置くべきだという話になるのか。ゴルフ場とかい ろいろありますね。そういう区分である程度、ここには置かないと駄目だというのがあ りますか。例えばここで決めたのを強制できるのですか。 ○渡延指導課長  一定の施設の開設者とか、一定のイベントをやる方に強制することになれば、これは 法律で義務付けなければならないので、そこまで直ちにできるものかどうかは別問題だ ろうと思います。  ただ、いま座長が言われましたように、置くべきなのか、望ましいのか、推奨される のか。また置いたときの管理の仕方は丸川委員が言われたように、どういう形で管理す ることが推奨されるのか。さらに強弱の度合いは別として、結果として置かれたもの を、どうやって世間の人たちに言うのか。鳥瞰的に、地図的に知り得るケースもあれ ば、いま補助犬のマークとか貼ってありますが、そのビルに入る時に入口で分かった り、あるいは建家の中で非常口が共通のサインとなっていて誰でも知っているように、 そういったものが普及すれば、また建家の中で在り処が分かるようになってくる。そう いう意味で多面的な切口はあろうかと思っています。  ただ、いずれにしても一定の要件を満たす方に義務付けるということになると、正直 なところこの問題については特定案を受けて、速やかに対処の方向をまとめたいと思っ ている中で、スピードコントロール的には法律で強制することは難しいと思っているの で、事務局としてはそこまでは視野には入れていません。 ○島崎座長  例えば置いたほうが望ましいとか、あるいは置いたほうがよいとかいうことを引っく るめて、場所的なものもここでいま決めるのですか。 ○三井委員  置く場所で優先順位が付けられるかどうか。絶対だとか、望ましいといったときに、 鈴木委員のデータの中で、それらしい人が発生する場所というのは、傾向として特定で きるのですか。 ○鈴木委員  データとして心肺停止患者の発生がどこで多いかというのは、たぶん出ないと思いま す。ただ、消防機関から言うと、不特定多数が集合するような施設には、基本的には努 力規定として、こういう物を設置してほしいというのは、何らかのものがあっていいの かなという気はします。たぶんいま諸外国でもAEDを設置義務付けられているのはな いと思っているのですが、情報はいかがですか。 ○佐藤課長補佐  我々が聞いている話で申しますと、アメリカがクリントン大統領の「ラジオ宣言」の 際に、連邦の公共施設、連邦の政府に配置をしますといったようなことで言ったという 話はありますが、それ以外で必ず置きなさいといった規定があるとは聞いていません。 ○大越委員  航空機が義務付けられました。たしか2005年までだったと思います。 ○島崎座長  いま渡延課長が言われたように、法的にいますぐあれしてしまうと、非常にスピード が遅くなるだろう。差し当たって望ましい場所とか、置いたほうがいい場所ということ で共通のコンセンサスで、皆様がここは置いたほうがいいだろうと思われる場所を挙げ ていただきましょうか。航空機などは置いたほうがいい場所でしょうね。 ○大越委員  空港に是非置いていただきたいと思います。 ○五阿弥委員  要するに公共交通機関とかそういう所は、まず適用になると思うのです。 ○島崎座長  公共交通機関というと、電車。 ○五阿弥委員  例えばターミナル駅とか、乗客数が多い所、あるいは大規模なホールとかです。公共 機関の場合ではそういう物が置きやすいわけですが、プライベートな所だったら義務付 けも法律も難しいと思います。大規模な不特定多数が集合するような場所には、できる だけ置いてほしいということはできると思うのです。  あと、先ほどの情報提供ですが、航空機は情報提供というのはしていないみたいです が、国民の理解を促進させる意味でも、ここにこういう物があるのだと。町を歩いてい るとこういうマークがあって、これは実はこういうものなのだということを知らせるの は私は必要なことだと思います。例えば列車に非常停止のボタンがどこにあるか、あれ はみんなが分かるわけです。時々それを押す人がいるけれども、しかし、それはそこで みんなが分かるということがいちばん重要だと思います。 ○島崎座長  言われるとおりだと思います。いま言った交通機関のメインのところ、空港はすべて になっても、例えば駅であればターミナル駅、スポーツの観戦場所、スポーツの観戦場 所もピンキリですね。 ○羽生田委員  要するにこの委員会としては、不特定多数が多く集まる場所とか、そういう規定であ って、例えばこれだけの人が出入りする駅だとか、劇場だとかということで、大まかに 人が集まる所ということでいいのではないですか。 ○島崎座長  イメージとして、例えばいま言った空港、航空機、ターミナル駅、スポーツ観戦場、 音楽会場。 ○三井委員  デパートなどは必要でしょうね。 ○野見山委員  場所ということではなくて、あるものが行われる際ということも、是非入れておいて いただきたい。いちばん多いのがマラソンなのですが、走る場所は普通は人はいないの ですが、市民マラソンなどの時は非常に可能性が高くなる。 ○島崎座長  お祭り、イベントのときは要りますね。私はゴルフ場は全部置くべきだと思うので す。適応の人が多いと思います。 ○野見山委員  いちばん多いですね。 ○島崎座長  例えばそういうものです。 ○野々木委員  以前に厚生労働省に日本循環器学会から、三田村先生、竹下先生を中心に「AED使 用推進の提言」をだしています。その中に公共性の高い場所に設置するという要望を出 しています。義務付けを提案しているのが航空機と大型客船です。発生した時に間に合 わないような状況のところは義務付けをしてほしいということです。あとはいま議論に あった新幹線、空港、駅、学校、競技場という所は、推進するという形で要望を出して います。もしご参照いただければここに資料があります。 ○島崎座長  ただ、ここの方向性としては、いま言ったように義務付けるまでやると、ちょっとあ れだろうから、それより1ランク下ででも、まず自主的にやっていただこうということ です。  3の「地域の救急医療体制における位置付け」の「医療従事者による病院前救護及び プレホスピタルケアとの有機的関連の確保」、「事後検証の的確な実施」。これはメデ ィカルコントロールそのものですね。「有機的関連の確保」という意味ですか。 ○佐藤課長補佐  まさにチェーン・オブ・サバイバルです。 ○島崎座長  チェーン・オブ・サバイバルですね。これはメディカルコントロールの中に取り込ん でいけばいいということですね。これに関して何か質問等がありますか。 ○鈴木委員  3の(1)では「医療従事者による病院前救護」といっているのですが、例えば救急 活動の実態などを見ると、転院搬送要請を受けて救急車がある診療所とかに行きます が、これは医療従事者の下にあるわけですが、そこで心停止になったという時に、そこ に除細動器がないということが現実にあるわけです。そういう所にAEDを設置したほ うがいいという趣旨のものなのですか。 ○島崎座長  違います。これは医療従事者と病院前及びプレホスピタルケアとのという意味ではな い。医療従事者が病院前で何かしたという話ではないのでしょう。医療従事者によるプ レホスピタルとの有機的関連の確保、そういう意味ですね。 ○渡延指導課長  やや言葉が尽きていなかったのかもしれないのですが、これは救命士あるいはドクタ ーカーで、ドクターが出張って来るようなケースを想定して、まず、ファースト・レス ポンダーだか、現場に居合わせた方がAEDを使いながら出動要請をすると、ドクター カーのドクターあるいは救命士が現われて、病院前救護活動をやる。その後かつぎ込ま れて院内につながっていくという意味で書きました。これは非医療従事者でAEDを使 う方と、このA及びBと書いた者が連携するという意味で書いた資料です。 ○丸川委員  これは「事後検証の的確な実施」というのが非常に堅い表現なのですが、当然、事後 検証は必要なのですが、具体的に一般市民がどこかでAEDを使いましたと。その人は 検証をするためにどこかに連れて行かれるのですか、それともその場ですんでしまうの か、そういう議論が絶対に出てくるのです。 ○島崎座長  イメージとして一般の人がやった内容を、そのままプレホスピタルからインホスピタ ルへチェーン・オブ・サバイバルで引き継いでやった。最初にやったのが非常に良かっ たということ、あるいは全然まずかったということを検証して、それが非常に問題がな いようなら、やった本人が特定できればその人に「非常にうまくやられましたね」とか いう話になるのではないですか。それは一般の人ですが、一般以外の人だと、頻繁に反 復継続するような場所の管理職とかいうところへ、一応フィードバックがかかるような ことはあるのですか。 ○丸川委員  イメージとしてそこへドクターが出掛けて当事者に「どういうふうになったのですか 」と聞くことになるのですかね。そういうことを意味するのですか。もう1つはメディ カルコントロールに取り込むと言われましたので、それではメディカルコントロール協 議会の中の検証委員会みたいなのが、実際にこれを検証するのですか、それとも全く別 の組織というイメージをするのですか、どういうふうに考えたらいいですか。 ○佐藤課長補佐  そもそもこの辺のメディカルコントロールが必要なのかというご議論と、もし必要と した場合にどういったメディカルコントロールを行うのかといったような話の内容もあ ろうかと思うのです。例えばですが、心肺停止でAEDの適用になる患者の例で申しま すと、まず間違いなくその後救急車なり何なりで運ばれる。そういう意味では事後検証 の対象になってくる場合が大変多いのではないかと考えています。  そういう中で丸川委員が言われたように、そういった方々にインタビューまで考えて やる場合、あるいはAEDそのものの器械の中に記録が残っているので、そういったも のを基に、こういうケースでやられたようですと。今後、普及啓発活動をやる際に、こ ういった点に注意してやるべきであるといったようなフイードバックをかけるとか。実 際のメディカルコントロールのやり方については、さまざま考えられるのではないかと 思っています。 ○丸川委員  講習をするときに、そういう検証に協力しなさい、検証がありますよということを教 育するということになりますね。 ○佐藤課長補佐  まさに普及啓発の部分とトレードオフの関係になってくる部分もあろうかと思います ので、どういった検証を行うのか、行わないのかといった話になってこようかと思いま す。 ○丸川委員  私の希望としては、できるだけ実施者の負担にならないような、客観的な検証の方式 を導入することをお願いしたいと思います。 ○古橋委員  いまの件に関してですが、3の(1)(2)の表現は、ややお役所のお好きなような 感じがするのです。要は規制をかけるというような視点ではなくて、今までここで出て きた議論は市民がこういうことに参加してくれていたら、救命率は上がるのだというこ とでやってまいりました。ですからこの事後の検証というのは、それが本当に役立った かどうかということであり、いま町中でもあるいは飛行機の中でもご協力をしたことに 関しては、知事にすぐ航空会社から連絡がきて感謝状がきたりします。要は参加したこ とに対して肯定的に評価をされるという事態で動いています。  駅でCPRを実施した人にその行為をある意味で褒め称えるというと大げさですが、 そういう視点で考えるのであって、今までなかったAEDの実施がこういうふうに救命 率が上がってきたということを、後からメディカルコントローラーが評価をすればいい ので、参加をした人が後から意見を聞かれるということではなくて、もっとソフトに肯 定的に行為が良かったことと、そのときどうしてそれをやろうと思いましたかというよ うな切り口で、ご議論をいただくほうがいいと思うのです。(1)についても、こうい うことについては、その事後のスタッフがより普及するように検討することであると思 います。 ○島崎座長  私も事後検証の的確な実施というのは、むしろそちらのほうを考えています。ただ、 一部、公的な場で働いている人たちに何か問題があった時は、そこの管理職等にこうい うことがありましたよぐらいのフィードバックはかけてもいいかなという、程度のこと を考えています。 ○羽生田委員  私は前にも講習を受けた人がやるようにもっていくという中に、「事後検証」という 言葉が良いか悪いかは分かりませんが、教育の中でどういう状況であったということ を、来た救命士なり、ドクターカーならドクターに説明をしていってほしい。何もしな いでどこかに行ってしまう人も当然出てくるでしょうけれども、その教育の中で、これ は後のいろいろなために、その人のためにも必要なのだという意味で、どういう状況だ ったということを伝えていってほしいという形で、教育の中でやってほしいというぐら いに思っています。 ○島崎座長  それはまさに現場の状況が頭に浮かぶのですが、やった人がこういう状況で倒れてお られたのでAEDをこれだけやりましたということを、救急隊員なり救命士なりに話を してもらうということも含めて、それを教育の中に取り込んでもらうということでしょ う。  3以降を今日お話をしていただいたのですが、全般的なことで特に1に関して、いま 羽生田委員からもお話がありましたし、先ほどからたびたび出ています1の特に(2) の(3)、教育に絡んでくるところで、CPR+AEDの形をどういう具合にやっていく かということが、1つ大きな話として残っているのですが、基本的にAEDはAEDだ け特別のものというのではなしに、アメリカでもそうですが、ベーシック・ライフ・サ ポートの一環に、新しくAEDが、そういう意味ではニューBLSという言葉がアメリ カでは使われていますが、新しいベーシック・ライフ・サポートという捉え方でやって いったほうがいいかなと。もちろん緊急避難的にAEDだけやるということがあっても いいと思うのですが、それを前面に押し出すよりはという気はするのです。この辺のと ころはいかがでしょうか。 ○羽生田委員  座長の言われたとおりなのですが、いま日本でのBLSなりACLSなりの形を、各 学会から集まった緊急医療財団の心肺蘇生法委員会で、救急も消防も入ってやっている わけですから、BLSの中にこれを入れるということを、これが実際に動き出すとき に、そういう形をきちんとするという方向で、是非もっていっていただきたい。そうす るといろいろな講習とか何かもすべてBLSの中に、既にAEDが入っているという講 習に変わっていくわけですから、そういう形にもっていっていただければ、いろいろな 面で話がスムーズにいくのかなと考えています。 ○五阿弥委員  私は素人ですから疑問に思っていることが1つあります。CPRを絡ませるというの は、いま当然のように言われています。心臓マッサージはいいのですが、マウス・ツー ・マウスはかなり抵抗があるのです。心肺蘇生、倒れている人を救うという知識では分 かっていても、大事なのはいかに実行するかなのです。例えばいろいろな教育現場とか 一般市民の方がやっている時に聞いてみると、マウス・ツー・マウスは非常に抵抗があ る。実際問題として心臓マッサージだけと、心臓マッサージ+マウス・ツー・マウスで どれだけの成績の違いがあるのかといった場合に、実はあまり違わないという説もあり ます。国民に広く知ってもらい、実際にやってもらうことを考えると、CPRはもちろ んいいのですが、心臓マッサージだけでもという考え方でもいいような気がするのです が、いかがでしょうか。 ○島崎座長  CPRあるいはBLSというのは、もちろん心臓マッサージ、人工呼吸という技術が 入っているのですが、いちばん最初にあるのが観察なのです。その観察の中には意識が ないことの見方、呼吸がないことの見方、脈が触れない、心臓が動いていないことの見 方がまずあるのです。私はむしろそちらのほうが大切だなと思っているのです。もちろ ん言われたように人工呼吸そのものでの感染の危険性とか、人工呼吸をやらなくても最 近は心臓マッサージだけで救命率としてはあまり変わらないとか、いろいろなデータが 出ています。けれども基本はこうですよと、それが義務として教えられたら現場でそれ をやりなさいというのではなしに、基本的には観察してこういう形でやって、AEDが あってというもの全体としてのBLSという考え方を私自身はもっているのです。だか らやらなくていいよと、だから省きましょうという話にはならないように思うのです。 ○五阿弥委員  私が言っているのはバイスタンダーとして、ぱっと助けるといった場合に、心臓マッ サージ+マウス・ツー・マウスもやらないといけないという意識が、どうも強過ぎるの です。ですから嫌だなと、私は見て見ぬふりをしようというような意識になるのであれ ば、あまりいいことではない。できるだけそれに参加してもらうような仕組みづくりを 考えるときに、従来のままの形でいいのだろうかという疑問を私はちょっともったもの ですから。 ○竹下委員  ただいまの五阿弥委員のお考えに賛成いたします。今までどおりのCPR、BLSの 講習会にAEDを入れるというだけでしたら、今まで以上にこれがどんどん普及してい く形にはなりにくい可能性があると私は思うのです。  いまサイエンティックに明らかになっているのが、例えば4分以内であれば、もうカ ルディオ・バージョンだけで十分に救命できるわけです。その人たちが救命の機会を除 外されてしまうということを除くために、この委員会があるのだろうと思うものですか ら、是非その人たちを救命できるような仕組みをつくっていかなければいけない。その ためには、いま島崎座長が言われたような基本的なところ、例えば呼吸がないのをどう やって確認するか。私は確認をする必要はないと思っているのですが、どうやって呼吸 がありそうかということを判断するかはAEDの講習の中、あるいはビデオの中にそれ を取り込めばいいと思うのです。  BLSにしてもおそらく数時間講習が行われると思うのですが、それをもっと短い形 にして幅を広く、まずとにかく網を掛ける。その中でCPRとかBLSに興味のある方 は是非その講習のほうにもお見えくださいと言えば良いと思います。でも第一次的には AEDだけをなさるような方を、できるだけ広くリクルートする。緊急避難的には何も ない方でもいいかもしれないが、できればそういうビデオでも見ておられたらより参加 しやすくなると考えられます。それがPADの研究では20分とか25分ぐらいで十分だと いう話もありますので。 ○島崎座長  竹下委員のお話はよく分かるのです。そうすると基本的な、やってもやらなくてもい いけれども、CPR、BLSの基本的な観察ぐらいはできるようにと、それプラスAE Dということで時間的にはどのぐらい考えておられますか。 ○竹下委員  せいぜい2時間、マキシマム2時間で、できるだけ短いにこしたことはないです。教 育の内容をコンパクトにまとめることができるかということになると思います。 ○野々木委員  従来のBLSのコースにAEDを含めることは全く問題ないと思います。竹下委員の 意見には賛成ですが、今後AEDをいかに普及させるかという意味では、AEDと簡単 なBLSを加えたハートセイバーAEDのようなものに当たるものを、選択肢として準 備すべきだろうと思います。その時間をどれぐらいにするかについては議論が必要だと 思うのですが、ハートセイバーAEDでは、3時間から4時間ぐらいということです。 全くの一般人と公共の場の従事者に対しての指導時間を区別するという二重構造を避け るなら、一定の3時間から4時間ぐらいの短いコースを推奨することになると思いま す。 ○島崎座長  そうすると、やはり2、3時間ということですか。 ○野々木委員  ハートセイバーに準じたら3時間から4時間になりますが、それは議論していただい たらいいと思います。いままでの外傷の処置も含めたようなBLSをすべてということ になると、相当な時間がかかると思います。 ○島崎座長  ここで言うBLSは、おそらく数時間以内で抑えられるようなものだと思います。 ○野々木委員  短時間のコースを想定していて、日赤や消防で実施している長い時間ではないもので すね。 ○島崎座長  JAテックみたいなものは入っていない、止血法の仕方などといったものは一切入っ ていない、ミニマムな時間でということを考えているのです。 ○三井委員  五阿弥委員や竹下委員の言われていることもわかります。私は、現在CPRに関し て、世の中に十分に普及しているかと言ったら、そんなことはないのだろうと思ってい ます。そのような意味で、いろいろな機会を捉えて、AEDの問題は多くの国民を感化 できる1つの機会だと思いますから、そのような機会に後押しをしていきたいというこ とが1つ。AEDをやれば助かる人だけではない、不整脈の対象で心室細動と無脈性の 心室頻拍だけが対象になると、それ以外の人たちを救うには、やはり心肺蘇生法が必要 になるということ。以上の2つの観点から意見を述べました。 ○丸山委員  いま少しお答えいただいたのですが、島崎座長のお話は、当初からBLSなりCPR なりACLSの関連を1つ強調されることに私は気付いており、もう1つがメディカル コントロールも強調されてきたと思うのです。それが今回のAEDの救命、健康回復を なるべくたくさん得ようということだと思うのですが、AEDの普及を媒介として、市 民の救命、健康回復とどのように繋がり、BLS、CPRと関連付ければ、あるいはメ ディカルコントロールをすれば、どれほど有効なのか、10分、20分レクチャーいただけ ればと思います。これまで、その2つの問題が、折に触れて座長や他の委員の方からも 出ているのですが、門外漢からはメディカルコントロールがなぜ必要なのか、後のフォ ローアップさえしてもらえば、使用自体は講習なしに自由にやってもいいのではないか とも思えるのです。その辺りの救命を念頭に置いた必要性、有効性についてレクチャー をお願いできれば、問題の整理になるのではないかと思います。有効であれば、それを 取り入れるというのも個人的には全くやぶさかではないのですが、どう有効であるかと いうことが、いま1つわからないのです。 ○島崎座長  時間がないので、1分ぐらいでお話いたします。メディカルコントロールそのもの は、もともと救急救命士なりが医療行為を行うときに、誰かが保障して彼らにきっちり とした医行為をさせているのか、医療行為の担保であり、それが目的なのです。一般の 人が行うことも含めて、何か医行為を行うときに、それが質的に担保されているかを誰 かがチェックする必要があるだろうというのがメディカルコントロールです。そのよう な意味では講習についても、インストラクターが教えることも、ドクターがインストラ クターを教えることも全部引っくるめて、医行為に関わることはすべてメディカルコン トロールだという考え方なのです。それは行っている内容が医学的に正しいか、やり方 が正しいかということを保障するシステムなのです。大きく言うと、メディカルコント ロールのない一般人が行う蘇生その他に関わる処置、救急救命士が関わる処置というの は考えられないわけです。 ○丸山委員  そこまではよく聞くのでわかるのですが、それが人体に対する危害の回避あるいは救 命、健康回復にどう有効に働いているのかがわからないのです。 ○島崎座長  正しい方法でなされなければ、回復は望めないということです。それはEBMでデー タは出ません。 ○丸山委員  ひょっとしたら、メディカルコントロールがなくても同じ救命率が得られるかもしれ ないというのがずっと頭の隅にあるのです。 ○島崎座長  それはあり得ないです。例えば心臓マッサージを100回やって1回の人工呼吸にしよ うなどといったことは、メディカルコントロールをやっていればあり得ないです。 ○丸山委員  AEDの使用に集約した委員会ですから、AEDの使用についてメディカルコントロ ールの持つ意味を伺いたいのです。 ○島崎座長  いま言ったような観察、心臓は止まっているか、呼吸が止まっているか、意識がない かなどといった観察を引っくるめて必要だということです。 ○丸山委員  それがどう有効性に機能的に結び付いているか、といった辺りを整理していただけれ ばわかりやすいと思います。 ○島崎座長  全くそのようなことをやっていない、ある種、教育を全く受けず、緊急避難的に目の 前のものをやるとした場合、いくつか頭にイメージがあります。例えば、若い女性が倒 れている、それを中年のおじさんが「おっ、倒れてるわ」と、呼吸があるか、脈がない か、意識がないか全くわからない、倒れているから胸を開けて、そこにあるAEDを持 ってきてボンとやっている図を想像してください。端の人から「あなた何やっているの 」と言われて、「いや、こういうのをAEDでやれって言ってるから。別に呼吸があっ ても、心臓が動いていても、やったら器械が決めてくれるからいいというのでやってい るんですよ」と言うのと、講習を数時間でも受けた、私はその証明書を持っていて、こ のようなことだからやっていると言うのと、同じ形で考えられるでしょうか。 ○丸山委員  エピソード的には雰囲気は違うのですが、それが仮に起こったとして、これまでのA EDの話で、猥褻とかプライバシーの問題は置いて。 ○島崎座長  それは置けないです。それが教育の中にも入っています。 ○丸山委員  先生方は救命医療の大きな枠で捉えるのですね。 ○島崎座長  大きな枠は、そのような現場の些細なことも引っくるめて捉えないと、AEDあるい はBLSを行うというシステムそのものが成り立っていかないです。 ○丸山委員  AEDの有効性に直接役立っているということを示せれば、もっと説得力を持つと思 うのです。それが十分示せていないように感じるのです。 ○島崎座長  丸山委員とは話の筋がちょっと食い違っているように思います。委員の意見は、何も しなくても、それをできるだけ広くPRして、誰でもができるシステムにしたほうがい いのではないかということですか。 ○丸山委員  結果で救命率、回復率が良ければ、そちらを選択することを国民は望んでいるのでは ないかと思うのです。 ○羽生田委員  それを出すためにもメディカルコントロールは必要だと思います。 ○丸山委員  それがどのように有効に働いているかを示して。 ○島崎座長  それはプロの判断です。プロの判断で、いままで何十年と医学教育を受けて、CPA の患者を見てきて、このほうがいいと考えたからです。 ○丸山委員  別の意味でもメディカルコントロールで、医師の判断、メディカルプロフエッション の判断を信頼しなさいということだけなので、エビデンスベイストのものを。 ○島崎座長  EBMはそのような意味ではないです。 ○羽生田委員  先ほどの人工呼吸ないし心臓マッサージの話と関連すると思います。最初にAEDで 心配したのは、前提条件抜きにそのようなことがアフターレイクする可能性があるので はないかということでした。あれは前提条件が満たされたときのみに許されていること であって、それ自身が許されているわけではないのです。そのような医学的な問題も含 めて、もう1回検討しなければいけないのではないかと思います。そのような疑問や希 望がある以上、医学的に有効であることを説明しなければならないと思います。AED と心臓マッサージだけでいいではないかと言って、それが一人歩きしてしまうと非常に 危ないし、医学的にも悩ましいことです。実際にそれがいま歩き出しているのです。そ れは駄目である、医学的にこうだという説明をする義務があるのではないかと思いま す。 ○島崎座長  何も知らないよりは、少しでも勉強して知ってやるほうがいいのではありませんか。 ○丸山委員  それが結果にどう結び付いているかです。これについての報告書を出すと思うのです が、そのことについて説明するほうがずっと説得的になると思います。 ○島崎座長  CPRの数時間の教育を行ってAEDを行った分と、AEDだけを行った分の大規模 のスタディ、AEDは部分的にはありますが、そのようなスタディで大規模のものはあ りません。それはいままでの経験的な医療関係者のプロの判断で、これを基本的にやっ たほうがいいだろうということでやってきているから、そのようなデータはないので す。 ○丸山委員  割付けスタディは無理だと思うのですが、もう少しメディカルコントロールやCPR やBLSを組み込んだほうが、このような筋道で救命に効果的であるという理屈は示せ ると思うのです。 ○島崎座長  私はAEDそのものはBLSの中の1つの応用問題だと捉えています。応用問題だけ でいいという話には、プロの判断ではならないと思います。 ○丸山委員  いまの世の中は、プロの判断を信用しなさいだけでは通らないと思うのです。 ○島崎座長  しかし、データがなければ。 ○野見山委員  それはすぐには片付かない問題だと思います。特に実施する対象が1と2と2つに分 かれましたが、1と2の教育の中身と、実行しなければならない中身にも関わってくる 話だと思うのです。一般の人は人工呼吸をしなければAEDをやってはいけないと言わ れると、これはどうだろうかという気がします。この点については、もう少しまとめて 話をする機会があってもいいのではないかと思います。 ○五阿弥委員  倒れた人がそばにいればその医者がやるわけで、医療従事者がいないから一般市民が 参加せざるを得ないのです。ことさらメディカルコントロールという言葉を強調するこ と自身が、一般の人の救命への参加というものを意識的に遠ざける結果になりはしない かということを非常に心配します。私は講習はどうでもいいと言っているわけではなく て、段取りも少し早くなるだろうから、受けたほうがそれはいい。ただ、そもそも医療 従事者がいないのだから、受けなければ駄目かという話ではない。メディカルコントロ ール云々かんぬんという話になるのだろうかということだと思います。 ○島崎座長  もちろんそうです。受けていない人にやるなというわけではなく、緊急避難的に行っ てもいい。しかし、一般的には受けてやったらどうかという話で、そのミニマムは、少 なくとも呼吸が止まっているとか意識がないぐらいをどのように見分けるかを含めた講 習を受けてから、AEDをやったほうがいいのではないかという話だと思うのです。 ○野見山委員  例えば新聞で大きく、きれいに絵を描いて説明し、その出されたものを見た人が、実 際にその場に立ったときにやってはいけないのかという話もあるのです。 ○五阿弥委員  AEDそのものは、結局、素人でもできるように開発されたものである、AEDのP Aというのはパブリックアクセスなのです。そこをきちんと押さえた議論にしないと、 そもそも何のためにやっているのかという話になりますから、メディカルコントロール という言葉をあまり強調するのは良くないと思います。 ○島崎座長  そのような意味でのメディカルコントロールではなく、全く反対の意見で、あなた方 はちゃんと医学的に正しいことをやっているのか、いい加減にやっているのではないか と言われたとき、逆の悪い条件を考えると、それはちゃんと担保してやっているという ことなのです。むしろ、私はそちらのほうから見て言っているだけで、教育を受けてい ない人はやっては駄目だという話ではないということは先ほどから言っております。 ○五阿弥委員  先ほど最悪の事態を考えるという発言がありましたが、最悪の事態というのは何もし ないことなのです。そこをどうやって防いでいくかという話です。 ○羽生田委員  最悪の事態というのは、何もしないでも悪いことがあります。 ○五阿弥委員  今回のこの場合です。AEDの場合について私は言っているのです。その場合の最悪 の選択というのは何もしないことです。 ○羽生田委員  AEDが必要な場合ということですね。 ○五阿弥委員  必要な場合でなければ作動しないわけです。 ○羽生田委員  必要かどうかという意味でも、そのような判断ができる限り的確にできるために講習 を受けることを推奨するということで、講習を受けていない人がこのようなことをして はいけないとは誰も言っていません。 ○五阿弥委員  ニュアンスの置き方で、先ほど言われているようなメディカルコントロールという言 葉を、ことさら強調する必要はないのではないかという話です。 ○羽生田委員  メディカルコントロールという言葉のニュアンスが悪いのです。 ○島崎座長  先ほど、心臓、呼吸が止まっている人はVF、VTだけではないという話が三井委員 からありました。その人たちも同時に助けられる技術を、AEDを学ぶときに勉強して もらっても悪いことはないと思います。 ○五阿弥委員  私は心臓マッサージはいいが、マウス・ツー・マウスはいらないのではないかと言っ ているのです。 ○島崎座長  別に、マウス・ツー・マウスをしなければ駄目だという話は誰もしていません。 ○五阿弥委員  考え方として、CPRを一緒にやるという場合に、もう少し簡便に、実際、やりやす いような形をもう少し考えてはどうかと先ほど私は言ったわけです。 ○島崎座長  CPRを行う中身のものに関しては、基本的な教育の中で人工呼吸、心臓マッサー ジ、心肺停止の観察といった基本的な形で教えて、それをやる人がどこまでそれを実行 するかという問題とはちょっとまた別だと思います。教えられる人たちも大変だからA EDだけやりたいという人が確信犯的にいれば、やっては駄目だという話はここでは誰 もしていないのです。 ○五阿弥委員  それは私も言ってはいません。 ○島崎座長  それでいいのではありませんか。いかがですか。 ○五阿弥委員  どういうことですか。 ○島崎座長  講習を受けなければやっては駄目だと言っている話ではないということです。 ○五阿弥委員  それはもう前提なのです。前提ではあるが、メディカルコントロールという言葉をこ とさら強調することが、一般市民の救命への参加ということを、1つ遠ざける結果にな りはしないかということなのです。 ○島崎座長  メディカルコントロールという言葉が表に出て、メディカルコントロール下でAED とCPRをしようというPRをするわけではなく、ここはそれなりの人たちが集まって いる場だからそのような話をしているだけで、概念的にそのようなものだということを 座長として言っているだけのことです。 ○野々木委員  メディカルコントロールという言葉を誤解されている部分もあるのかもしれません。 目の前で倒れた人をいかに救命するかという、チェーン・オブ・サバイバルの各パート の中で、AEDだけを導入すればすべてが解決するわけではないのです。院外心停止の うち心室細動率は日本では2割、3割と低率なのですが、それが通報が遅れているため なのか、欧米と病気の種類が違うことによるのかを知るためには、情報を提供してもら い、解析しないと対策に繋がらないわけです。チェーン・オブ・サバイバルのこの部分 が悪かったので救命ができなかったから、次はこのように改善しようというための検証 であって、メディカルコントロールというターミノロジーが非常に誤解を与えるのであ れば、別の言葉にしたほうがいいのではないかと思います。 ○島崎座長  その言葉が表面的に答申案の中に出てきたとしても、それを何らかの形でメディアな りにPRするときに、そのような言葉が入ってきたら、むしろいろいろな誤解を招くこ とはわかっていますから、そのような言葉は使わないほうがいいとは思います。この委 員会の中での話としてはその言葉が使われて当然だと思います。 ○丸川委員  いまの誤解のことですが、メディカルコントロールの中身には、AEDが有効だと教 育すること自身がメディカルコントロールの一部なのです。医師が制御するという意味 ではなく、医学的教育がメディカルコントロールの一部なのです。そのようなことがわ からないと非常に困るわけで、そのような意味でメディカルコントロールが誤解される のであれば、この委員会でもこの言葉を使うのはやめたほうがいいと思います。 ○島崎委員  むしろ、この委員会の中では、そのようなことも含めたターミノロジーとしてメディ カルコントロールがあると思います。学校の先生が生徒に、このようなことをするのだ ということを教えるのもある種のメディカルコントロールの一部だということです。 ○丸川委員  先に定義をはっきり言って理解してもらうか、理解してもらえないならば、その言葉 を使うことはやめるかのどちらかだと思いますが、おわかりいただけますか。決して制 御するとか掌握するという意味ではなくて、改善のための事後検証もメディカルコント ロール、教育することもメディカルコントロール、現場に医師が駆け付けるのもメディ カルコントロール。要するに、医療関係者がそこに関与すること、あらゆる意味で関与 することすべてメディカルコントロールという言葉に含めているのです。医者が「お前 は何だ」と言ってやっているわけでは決してないのです。 ○島崎座長  そのような言葉を使わないほうが誤解を招かないというのであれば、この委員会の中 でも使わないようにしますが、使わない、使うはあまり基本的な中身として意味はない のです。 ○丸川委員  言葉の意味が理解されていればいいのです。 ○島崎座長  言葉の意味は、先ほど委員からも言っていただきましたからわかっていただいたとは 思います。 ○竹下委員  フォローアップがどうであるかや講習については、おそらくあまり問題にされていな いと思います。丸山委員が言われた、AEDでそのような教育をすることの効果が、講 習を受けないでした人と果たしてどう違うかということも、おそらくないと思います。 アメリカなどでも、PADS研究なども全部講習を受けた人が一応やっていますのでな いと思います。五阿弥委員が言われていることは非常に大事な点だと思います。それ は、結局除外をしないということが非常に大事だと思うからです。私も医学関係者の1 人ですが、CPRなどを一切しないで、4分以内に除細動だけで助かる人がたくさんい るのです。病院で起こることは大抵そうですから、我々循環器の人間として、それがた くさんいることはよく知っているわけです。もし、CPRなどを受けることが強く推奨 されるようになったとき、五阿弥委員が言われるように、講習を受けていないというこ とでヘジテイトされる、参加することをヘジテイトするといった空気を、この委員会の 提言の中に絶対入れてはいけないということなのです。 ○島崎座長  そのようなことを言っているつもりは全然ありません。 ○竹下委員  CPRが必ず必要だとかといった意見になってくると、入ってくる可能性があるので す。私は先ほどの三井委員の意見には少し反対なのですが、いまBLSの講習が十分に 行き渡っていないということは認識しています。 ○島崎座長  BLSも含めて2時間くらいの講習ならばいいということでしたね。 ○竹下委員  BLSというかCPRです。 ○島崎座長  基本的なものですね。 ○竹下委員  そうです。それ以上のことは必要ないということです。 ○島崎座長  2時間がいいのか4時間がいいのかわかりませんが、私もそのようなイメージです。 ○竹下委員  できるだけ短いほうがいいというのが私の意見です。 ○島崎座長  AEDだけ20分で学んだらいいという話はないだろうと私は思っていますが、委員も そのようなお考えですよね。 ○竹下委員  そうです。 ○島崎座長  せっかくやるのだから、ついでにもう1時間か2時間勉強してください、AEDだけ で助からない人がより助かる可能性があるのだからという話になります。その勉強をし たら勉強時間が延びるから、ヘジテイトするから、それはあまり表に出さずに、AED だけでやってくださいというのは、実際やる人はそのような形があるかもしれません が、少なくとも講習という形になると、そのようなものも引っくるめて勉強してもらっ てもいいのではないか、私自身は至極当たり前のことを言っているつもりです。 ○竹下委員  先ほど2時間と言ったのですが、まだ時間について十分に考察しているわけではあり ません。先ほど述べたように、教育の内容に何が必要かということを十分考えて、それ にどのくらいの時間が必要であるかということを算出していかなければならないと思い ます。私はできるだけ多様なプログラムをつくって、それを示し、講習を受けにきた人 の許容範囲に応じて、時間も必要だと思われるのであればお願いしますという形で提供 していったほうがいいと思っています。本当に基本的な姿勢としては、できるだけ多く の人に、全然知らない人がやるよりはビデオを20分でも見たほうがいいと思うので、そ のような立場を貫いてはどうかというのが私の意見です。 ○島崎委員  意見としてよくわかりました。 ○丸山委員  救急の先生からいまも発言が出たのですが、AED問題を検討する機会に、基本的 な、あるいは一般的な救急医療についての市民の意識をレベルアップしようということ を考えられているかと思うのです。そちらが重視されると、AEDの普及、それによる 救命自体に、ひょっとしたらブレーキがかかるのではないかということが気掛りです。 ○島崎座長  私は、むしろ逆にAEDをうまく利用してと考えています。 ○丸山委員  逆に作用するのではないかと思います。 ○丸川委員  わかりました。私の意見は、例えば除細動、通電して意識が戻らなかったら、それを した人は次にどうするのか、そこを立ち去るのか、それともじっと見ているのか。当 然、次に助けるためのことをするわけですから、それは何かということを勉強するのが AEDプラスアルファのBLSなのです。電気通電だけして、ああ駄目だと言って見て いるわけではないわけで、その次は何をするかを勉強してくださいと言っているので す。 ○丸山委員  そのときの説明を。 ○丸川委員  当然、心臓マッサージがあるわけだし、もし心臓マッサージにプラスアルファで何か ができるのであれば、人工呼吸をしましょう。人工呼吸が嫌な人はポケットマスクを持 っていましょうといったことは理解したいことであると思うのです。それがうまく繋が っていないのは何かと言うと、先ほどの教育のところで、講習を受けた人がするのか、 しないのかという理論的な裏付けがうまくいっていないからだと思うのです。講習を受 けることが資格を得るという形でどうも捉えられていることに問題があるのではないか と思います。講習を受けることは、いかにスムーズに、迅速に、しかも医学的に正しい 方向でするかということを勉強することが講習であって、資格を与えるとか取るという ことでない、そのような考え方でいけば、2つの矛盾が融合するかと思います。 ○島崎座長  資格の話は別にして、いま丸川委員が言われた、駄目なときにプラスアルファをどう するのかということを同時に勉強してもらう、しかし、それがあまり表に出し過ぎると 時間が延々とかかるので、ヘジテイトしてしないのではないかというのが丸山委員、五 阿弥委員の意見だと思います。 ○野見山委員  講習を全部することには、時間のことは別としても、誰も反対はしていないのです。 ただ、実施ということでの要望されるミニマム・リクワイアメントは、意識がないこと と呼吸をしていないことを確認してAEDをする、ここまででミニマム・リクワイアメ ントとしていただきたい。心臓マッサージができる人はそれもやるし、人工呼吸する人 はそれもやる、それらをなるべくやったほうが結果は良いという話ではないかと思いま す。 ○島崎座長  ここは肝心なところなので、大体のコンセンサスを得ておきたいのですが、採決して も構わないでしょうか。大体皆さんのお話はわかりましたが、AEDだけと、AEDプ ラスBLS、CPRを同時に数時間ぐらいで教えるというのとでは、皆さんはどちらに ご賛同いただけますか。 ○羽生田委員  どのような講習が必要なのか、中身の話ですから、それは改めて議題としてやってい かないと、いますぐに決められる話ではないと思います。 ○島崎座長  そうですか。 ○竹下委員  私もそう思います。事務局でまとめていただき、文章化したほうがいいと思います。 ○羽生田委員  いまの話を少しまとめた上で。 ○島崎座長  何時間かということはまた別にしてということですね。 ○羽生田委員  どのような形の講習かということも、別に1つでなくてもいいわけです。 ○島崎座長  AEDだけというのと、AEDプラスミニマムなBLSというのとで採決してよろし いですか。 ○竹下委員  どのような表現にするかということで、例えば義務のニュアンスが出てくるようなも のであったら、BLSがあったほうがいいかもしれないと思っていても、賛成できない ということになると思います。 ○島崎座長  義務というより教える中身として。 ○竹下委員  事務局のほうで文章化していただき、それを見てからもう1回検討したほうがいいと 思います。 ○五阿弥委員  先ほどから私が言っているのは、これがいらないというのではなく、私も講習を受け たほうがいいとは思うのです。これは古橋委員が以前から言われていることですが、国 民に積極的にこれに参加してもらいたいわけです。そして、これが必要悪ではなく、必 要善であるという認識を持ってもらいたいのです。ですから、1つひとつの言葉に対し て、私はどうしても敏感にならざるを得ないのです。メディカルコントロールという言 葉に対してもそうだし、義務付けのような意識を持たれるのは困るだろうと思うので す。こうした講習がなくてもいいなどとは全く思っていないし、もちろんあったほうが いいのですが、国民に対して、1つこうした制度を言う場合、どうやって参加してもら うかということについて、もう少し基本的な認識を一致させたほうがいいのではないか ということがあったのでいろいろ言っているわけです。 ○島崎座長  意見は同じで、基本的には変わっていないと思いますから、いまの話でいいのではあ りませんか。 ○古橋委員  2つに1つ、どちらにするかということではなく、これから国民に、全く無知識では なくて、学ぶということの中身を考えれば、おのずと座長が言われているような中身、 命を救うということが学習の中に入ってくる、BLS的なものも入ってくるので、どち らにするかということではなくてもいいのではないかと思います。この検討会のメイン の課題はAEDをどう普及させて、国民に参加してもらうようにするかということで す。私もメディカルコントロールという言葉は「コントロール」ですから、もし、医師 の規制、指示などといったイメージがあるならば、言葉としては持ってこないほうがい いという気がしますし、ドクターの中でも、このメディカルコントロールという仕組み がAEDの普及を遅らせたと評価している方もあるのかもしれません。どちらの方法と いうことではなく、むしろ学習内容の案を事務局でつくっていただく、先ほどのこれを 置く場所等についても総体的にこの検討会が出して、あとはどのような所に置くのがい いかという辺りも事務局に具体例を整理していただければいいのではないかと思ってお ります。 ○島崎座長  座長の不手際で時間が30分延びたのですが、基本的に皆さんが考えているところは、 そう大きくは違っていない、ただ表現方法が少しずつ違うという気がいたします。今日 のディスカッションを含めて、次回にそれをまとめて出していただき、文言としての結 論を出そうと思います。以上で終了いたしますが、事務局から何かあればお願いいたし ます。 ○佐藤課長補佐  委員の方々へは次回開催の日程を郵送させていただきますので、記載していただきF AX等で返送願えればと思っております。 ○島崎座長  都合は後日ということでお願いいたします。以上で終了いたします。どうもご苦労様 でした。                   ┌───────────────────┐                   │<連絡先>              │                   │  厚生労働省医政局指導課      │                   │   Tel 03-5253-1111        │                   │    宮本(ex2554)、中田(ex2559)│                   │   Fax 03-3503-8562        │                   └───────────────────┘