04/03/10 平成16年3月10日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用 医薬品部会議事録    薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会 農薬・動物用医薬品部会 議事録 ○日時:平成16年3月10日(水) 14:00〜15:41 ○場所:ホテルフロラシオン青山 ○出席者   委員   豊田委員(部会長)、井上(松)委員、岡田委員、小沢委員、下田委員、        米谷委員、山添委員   関係省庁 農林水産省消費・安全局衛生管理課魚類安全室 江口課長補佐   事務局  遠藤食品安全部長、中垣基準審査課長、宮川課長補佐、鶴身専門官  他 ○議題  (1) 食品中の残留農薬等に係る基準の設定について      ・アスタキサンチン(飼料添加物)      ・カンタキサンチン(飼料添加物)  (2) その他 ○事務局  それでは、ただいまから薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部 会を開催させていただきます。本日は、お忙しい中お集まりいただきありがとうござい ます。どうぞよろしくお願いいたします。  開会に当たりまして、遠藤食品安全部長からごあいさつを申し上げます。 ○遠藤食品安全部長  薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会の開催に当たりまし て、一言ごあいさつを申し上げます。  委員の先生方におかれましては、日ごろ食品衛生行政の推進につきまして種々御指導 を賜り、厚く御礼を申し上げます。  当部会では、食品中に残留する農薬等の基準値の設定について御審議をいただいてお りまして、昨年の8月以来、5回目の開催でございます。本日は、初めて飼料添加物に ついて御審議をいただくこととしております。サケ、マス等の色調強化に用いられるア スタキサンチン及びカンタキサンチンでございまして、カンタキサンチンにつきまして は鶏肉、鶏卵の色調強化にも使用をされております。いずれも食品安全委員会の専門調 査会での審議が終わり、パブリックコメントも終了をしておりますが、最終的な安全委 員会からの食品健康影響評価結果の通知についてはまだ受領していない状況にございま す。  また、その他というところで動物用医薬品でございます鳥インフルエンザの不活化ワ クチンにつきまして、農林水産省から意見の聴取がございましたので御説明をさせてい ただきたいと考えております。  なお、農薬等のポジティブリスト制度に係る暫定基準につきまして、現在パブリック コメントをいただいているところでございますけれども、その結果につきまして事務局 で整理をしておりますので、当部会に4月にも御報告し、御審議をお願いしたいと思っ ているところでございます。  簡単ではございますけれども、開会に当たりましてごあいさつを申し上げます。どう ぞよろしくお願い申し上げます。 ○事務局  本日は、青木委員、井上達委員、大野委員、加藤委員、中澤委員及び吉池委員から欠 席の御連絡をいただいております。動物用医薬品部会の委員13名中7名の御出席をいた だいておりますので、本日の部会が成立しておりますことを御報告申し上げます。  それでは、豊田部会長に審議の進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいた します。 ○豊田部会長  どうもお集まりいただきましてありがとうございました。それでは、議事の方に入ら せていただきたいと思います。  初めに、事務局の方から本日の議題と配布の資料の確認をお願いします。 ○事務局  お手元にお配りしてございます資料でございますが、議事次第のホチキス止めの次に 座席表がございまして、その後それぞれホチキス止めにされたものが4つあろうかと思 います。右肩に資料1、資料2−1、資料3−1、参考資料1という4種類があろうか と思います。以上でございます。 ○豊田部会長  ありがとうございます。配布資料の不足等はございますでしょうか。特にございませ んでしょうか。  それでは、審議に入りたいと思います。本日は議題1のところにございますように、 新たに飼料添加物2品目について審議を行うこととなっております。  最初に、資料1のアスタキサンチンにつきまして、資料に基づき事務局から御説明を お願いいたします。この飼料添加物の基準案の作成に当たりましては関係委員に既に資 料等について御検討をお願いしているところでございます。よろしくお願いします。 ○事務局  資料1−1に基づきまして御説明をさせていただきたいと思います。  本年8月25日付で農林水産大臣から「飼料添加物の基準・規格の改正に係る意見の聴 取」というものをいただいております。飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法 律、飼料安全法と略して呼んでおりますが、第3条1項の規定に基づく基準・規格の改 正について、公衆衛生の見地から意見を求められているところであります。物質といた しましてはアスタキサンチン、カンタキサンチンの2品目になります。  参考資料の方に参照条文を添付しておりますので、御確認をいただければと思います が、飼料安全法の3条が農林水産大臣が飼料もしくは飼料添加物の成分について規格を 定めることができるとされておりまして、59条に基づいて規格及び基準の設定の際には 厚生労働大臣に対して公衆衛生の見地から意見を聴かなければならないというふうな連 携規定が昨年制定されたところでございます。これに基づいて、意見の聴取があったと いうものでございます。  資料1に戻っていただきまして2ページです。現在、食品安全委員会で取りまとめら れております評価結果の案でございます。先ほども御説明がありましたように、パブリ ックコメントを求めておりましたが、コメント自体は終了しておりまして、最終的な評 価結果を待つ段階になっております。簡単に御紹介をさせていただきますが、飼料安全 法の改正というものを農林水産省で検討されている。  2の(1)の「対象家畜等の拡大」の真ん中辺りになりますが、現在水産動物につい てはブリ、マダイ、ギンザケ、コイ、ウナギ、ニジマス及びアユの7魚種が指定をされ ている。しかしながら、近年の養殖技術の確立等々によりまして、食用に供する目的で 養殖されている水産動物、これらすべてを包括的に規制をする予定でいらっしゃるとい うことでございます。これに基づいて、今回意見の聴取があったということでございま す。  3ページはそれぞれの毒性試験等の概要ですが、「構造及び性状」はごらんのとおり のものとなっております。  (3)は起源または発見の経緯等でございますが、アスタキサンチンは自然界に広く 存在するカルチノイドの一種である。2パラ目ですが、アスタキサンチンはエビ、タ イ、マス等の海産動物、緑藻、微生物等に含まれている。  (4)は我が国における食品添加物としての許可状況等ですが、我が国においてはア スタキサンチンを主成分とするエビ色素、オキアミ色素等について食品衛生法に基づく 既存添加物として使用が認められている。使用基準は設定がされていません。  4番で「安全性に関する試験成績の概要」ですが、ラットを用いた短期反復投与毒性 試験においてLD50は2,000mg/kg体重以上であった。  それから、「13週間短期反復投与毒性試験」、ラットを用いたものによりますと次の ページになりますが、便及び脂肪組織で一部着色が認められた以外、臓器の重量、組織 学的所見に異常は認められていない。  (3)の「3か月間短期反復投与毒性試験」、イヌを用いた試験ですが、アスタキサン チンに由来する脂肪組織の色化が認められた以外、異常は認められていない。  それから(2)で「催奇形性試験」、ラットを用いた試験、(2)のウサギを用いた試 験も同様ですが、母動物、胎児とも異常は認められていないということでございます。  (3)は5ページ目にかかって「変異原性試験」がございますが、いずれも変異原性 は認められていないということでございます。  (4)の「対象魚種を用いた飼養試験」ですが、マダイ、ニジマスを用いた試験にお いて、特に対象魚種に異常は認められていないということでございます。  (5)の長期毒性試験、繁殖試験、催腫瘍性試験についてですが、このものの豊富な 使用経験、短期毒性試験、催奇形性試験等々の試験の結果、それから既知の知見等から 悪影響が疑われないと判断され、長期毒性試験等の実施が省略されている。安全委員会 における専門調査会においては、アスタキサンチンの食品健康影響評価についてはこれ らの毒性試験をもって評価が可能であると判断し、追加の試験の実施を求めていないと されています。  (6)のアスタキサンチンの摂取量と網膜内におけるアスタキサンチンの結晶の発達 及び沈着ですが、2行目の最後の方から、アスタキサンチンは網膜内に沈着しにくいと いうふうに判断がされております。  これらの結果から5番で「食品健康影響評価について」ですが、6ページにまいりま して1)飼料添加物アスタキサンチンの安全性試験の成績に問題を認めなかったこと、 2)アスタキサンチンは自然界に広く存在し、食品として通常に摂取していること、 3)アスタキサンチンは食品添加物及び飼料添加物として使用実績があることから、一 日摂取許容量、ADIを設定しないこととしたとされております。  以上が、安全委員会での評価結果の案となっております。  7ページにまいりまして、部会報告書の案です。事前に御担当の先生に確認をいただ いているものでございますが、案を作成しておりますので御説明をさせていただきま す。  品名はアスタキサンチン、色調強化に用いられるものである。  それから5番の「適用方法及び用量」ですが、先ほど御説明しましたとおり現在の基 準であるマダイ、ギンザケ等の使用基準をその表の中にありますように魚類飼料1トン 当たり100g、甲殻類飼料1トン当たり200gに変更をするものでございます。  6番の「残留試験結果」ですが、マダイにおける残留試験の結果がございますので紹 介させていただいております。  次のページに表にしてございますが、いずれのアスタキサンチンの添加量においても 投与期間が長くなるにつれ、マダイの表皮等においてアスタキサンチンの量の増加が見 られているということでございます。  7番の「ADIの評価」は、先ほど安全委員会の結果の報告の案のとおりにさせてい ただいております。  8番は「諸外国における使用状況」です。EUにおいて養殖サケ、マスもしくは米国 においてサケ科魚類の色調強化にも使用されている。食品添加物としてエビ色素等が我 が国において、アスタキサンチンそのものが米国において使用されており、いずれも使 用基準等は設定はされていない。  9番は「残留基準値(案)」でございますが、食品安全委員会における健康影響評価 結果案を踏まえてADIは設定しないということですので、残留基準値については特段 必要はないのではないか。設定しないこととする。  なお、食品衛生法第11条第3項に規定する「人の健康を損なうおそれのないことが明 らかであるものとして厚生労働大臣が定める物質」として取り扱うこととするとさせて いただいております。よろしくお願いします。 ○豊田部会長  御説明ありがとうございました。それでは、ただいまの報告案につきまして御討議、 御質問、追加、いろいろなことがございましたらよろしくお願いしたいと思います。 ○小沢委員  取扱いの点でお教え願いたいんですが、食品安全委員会でパブリックコメントの受付 けは終了している。それで、最終的にパブリックコメントへの考え方の表明だとか、そ ういった手続きが終えられていないときにここの部会で取り扱うということの扱い方 で、例えば去年の食品安全委員会ができる前ですと、安全性評価と残留基準なり何なり は全部部会で終えてパブリックコメントを求めて、パブリックコメントに対する見解も 添えて分科会で議論をするという手続きだったわけですが、その辺の取扱いの違いみた いな考え方があるのかどうか、伺いたいと思います。 ○豊田部会長  事務局の方からよろしくお願いいたします。 ○中垣基準審査課長  昨年の7月に食品安全委員会が発足し、食品衛生分科会の方にもこの部会をつくらせ ていただいたときに御説明し、御了解をいただいていると考えておりますけれども、食 品安全委員会の専門調査会の一応の結論が出た、すなわち、パブコメに入った段階でこ の部会で審議を始めていただく。  と申しますのも、食品安全委員会もパブリックコメントをやりますし、この部会でも パブリックコメント並びにWTO通報をやらなければならない。  したがいまして、食品安全委員会の手続きはすべて終了した後にこの部会を動かす。 これが本意と申しますか、本来の姿ではあると思いますが、そうなりますとかなりの時 間が必要となってまいりますので、昨年御了解いただきましたのは食品安全委員会の専 門調査会が結論を出してパブリックコメントに入った段階で、この審議会はそのパブリ ックコメントに入ったものが採択されるということを前提にして審議を始めていただ く。  したがいまして、食品安全委員会側がパブリックコメントによって審議結果を変える というのは十分想定されるわけでございます。そういう事態になった際には、こちらの 手続きが進んでいようと、一回それを止めて、再度この部会で御審議をお願いするとい う形で進めさせていただこうと考えておりますし、一応の御了解を得ているものだと考 えております。 ○豊田部会長  確かに手続きのフローチャートを見ていますと中にパブコメがありますし、今の状況 は安全委員会の方でパブリックコメント中にこちらの方で検討を加えているということ でございます。  ほかにアスタキサンチンにつきまして何かございますか。 ○小沢委員  では、中身のところで伺います。用途のところに色調強化とあるんですが、イギリス というか、EU、それからアメリカの言葉の使い方を見ていると、カラーアディティブ というか、着色料という言葉を使っているものがあると思うんですが、これは飼料なの でその辺の区別はよくわからないんですが、色調強化という場合と用途名で着色料とい うときと区別があるのかないのかが1つの質問です。  それから、適用方法及び用量のところで、今はマダイ、ギンザケ及びニジマスに基準 があるわけですが、魚類としたときにその対象の魚が拡大される。魚類ですから使って いいことにはなるんでしょうが、どんな魚種に対して拡大する可能性があるのか伺いた いと思います。 ○豊田部会長  わかりました。2つの御質問がございます。最初の方の色調強化と着色料との名称の 関係について何か事務局の方でございますか。 ○事務局  色調強化については、もちろん食品添加物で着色料などにも使われておりますのでそ ういった名称などもあると思うんですが、一般的に飼料添加物等で用いられている名称 をここに引用したものでございます。特に深い意味があって引用しているものではござ いません。  それから、今後の対象の魚種ですが、使用される魚種が拡大される予定があるのか、 使用されるものが拡大される予定があるのかという点につきましては、こちらでは十分 その辺について把握はしておりませんが、現在のところ使用実績があるもの、使用され ている魚種について規制の範囲が変わるという点で今回の改正になったと理解をしてお ります。 ○中垣基準審査課長  農林水産省の方から出席していただいておりますので、説明を受けたいと思います。 ○豊田部会長  わかりました。お願いいたします。 ○農林水産省 農林水産省消費安全局魚類安全室の江口でございます。  今の2番目の御質問の件でございますけれども、今ほど御説明がありましたように現 在使用実績があります。例えば、現在使われていますブリとかヒラマサとか、色がはっ きりするようなものがこれに該当しまして、魚の体表が少しきれいにはっきり出ている ようなものに使うということになります。  それで、現在飼料安全法の対象になっていない魚の方で使用実績のあるものにつきま して、現在の飼料安全法は個別の種類で魚種として指定しておりますので、現在使用実 績のあるほかの魚について対象とするということでございます。 ○小沢委員  切り口が違う話になるんですが、本当に消費者の立場から発言すると、こういう動物 性のものについて、例えばベータカロチンか何かで卵に着色しているとか、卵に色を付 けているということは結構知っていて、同じ割ったときでも使わない卵の黄身と、使っ た卵のだいだい色のかげんというものが相当違うということは結構知られていると思う んです。  ただ、例えば今までのマダイ、ギンザケ、ニジマスなど、魚類について養殖したとき に飼料にそういう色調強化のものを入れていて、多分サケの色がきれいなサーモンピン クになるだろうとか、そういうことなんだろうと思うんですが、そういうことは表示も ありませんし、ほとんど知られていないんじゃないかと思うんです。  そうだとすると、例えば食品添加物の場合ですと生鮮魚介類に色を付けることは禁じ られている。なぜ禁じられているかというと、要するに鮮度をごまかすとか、品質をご まかすというか、よく見せるために使われることがあるから生鮮魚介類には着色料を使 ってはいけないという法律があるわけですね。  一方で、飼料からだから法律は別かもしれませんが、飼料を通じて例えばこういった 魚類、エビもカニもそうでしょうが、色が濃くておいしそうに見えるというのは目的か らするとどこが目的なのか。やはりおいしそうに見せるとか、購買をそそらせるという か、そういうことが目的なのかと思うんですが、その辺の考え方の整理というのはつい ているのでしょうか。それとも、ついていないのでしょうか。それとも、今後の課題な のか。その辺を伺いたいと思います。  一般的には、何で色を付けなければいけないのか、天然自然で入っているんだったら それでいいじゃないかというすごく率直な考え方があると思うんです。別に消費者は、 色を付けたうんとピンクのきれいなサケが食べたいと言っているわけではない。その辺 の交通整理がどうもできていないような気がするんですが。 ○豊田部会長  わかりました。課長、よろしくお願いします。 ○中垣基準審査課長  誠に本質的な意見だろうと思っております。  ただ、違いがあると考えますのは、食品添加物ですといろいろな着色料がございます が、それこそ真っ赤でも真っ黄色にもできるというようなものというのと、こういった 養殖における飼料添加物を通じた、ここでは色調強化という言葉を使っていますし、先 生から御指摘があったようなカラーアディティブという言葉を使っているところもある んだろうと思いますが、おのずと差があるということではなかろうかと考える次第でご ざいます。  したがいまして、欧米を見てみてもこういうものに表示を義務付けている例というの はちょっと見当たらないのではないかと思うわけでして、恐らくは食品添加物での偽装 というのか、着色を通じた消費者への健康影響ということと、こういった飼料添加物を 通じた変化というものにおのずと差があるということが前提にあるのかなと考えている わけでございますけれども、もう少し深く考えてみたいと思っております。 ○小沢委員  米国の場合は、表示を義務付けているようです。FDAの資料を調べましたら、飼料 には当然そういう色調強化のためのアスタキサンチン、カンタキサンチンを使っている ということを表示しなさいということと、サケ類のものについては表示をしなさいと。 なかなか検査しにくいんだと思うので実態は知りませんが、表示はしなさいということ を米国は言っている。  それで、EUの場合は少なくとも議論のまな板には載っていて、イギリスの食品安全 庁のホームページを見ましても、消費者向けに例えばカンタキサンチンのQ&Aが非常 に丁寧に書かれているんですね。それで、表示のことはどうなっているんですかという クエスチョンに対して、今は表示はしていないけれども、EUを含めてこれから検討を する必要があると思っているし、イギリスのものもそういう作業を進めていくというよ うな回答をしているんですね。  ですから、今日の議題に表示というのはそのままストレートには絡まない議題かと思 いますが、リスクマネジメントという立場から言えば、アンケートを取ってみればわか ると思うんですが、消費者が今まで多分知らないことに対してそういう表示の在り方と いうことも考えていかなくちゃいけない。特にカンタキサンチンの方で関係が出てくる と思うんですが、例えば魚卵などに有効に色素が働くとしたら、イクラなどは発色剤を 使っていないということがむしろメリットとして売られることが最近増えているわけで すね。  そうすると、確かにそれは使わないかもしれないけれども、色素によってきれいなイ クラをつくり出すことは多分できるんだと思うんです。そういった使われ方も含めて、 表示のことも合わせて議論していかなくてはいけない大きな課題ではないかと私は理解 しております。 ○中垣基準審査課長  御意見を承ってまた考えてみたいと思いますけれども、この表示の問題というのは小 沢委員には申し上げるまでもないことですが、いわゆる食品衛生的な立場から出ている ものと、JAS法に象徴されるような消費者への情報提供というところから出ているも のとあるわけでございまして、先生の御指摘の点というのは今イクラ、スジコを例に挙 げられたかと思うんですけれども、発色剤を使っていない、あるいはその代わりにこう いった色調強化の飼料添加物を使っていたら、やはり消費者に対するだましだとは申し ませんが、情報提供がゆがんでいるのではないかというようなことだろうと思います。  そういう意味から申し上げますと、消費者への情報提供という観点ではなかろうかと 思いますが、もう少し深く考えて、また必要があれば御相談したいと思っております。 ○豊田部会長  ただいま表示の部分も含めて議論がございましたけれども、できましたら行政の方で も将来的なところを御検討いただいて、表示の方に入るのかどうか。多分、今の話は表 示部会の方に入ってしまうと思うんですけれども、また将来に向かって御検討をお願い したいと思います。それでよろしいでしょうか。  では、山添委員お願いします。 ○山添委員  食品安全委員会からの評価の結果の案については、この中身についてはもう受け取っ てしまったわけですね。それを我々がどうのこうのと言うことはないのかもしれないん ですけれども、気になるのは安全性に関する項目のところの(2)の13週の短期反復投与 試験ですね。この試験を見ますと、対照群及びすべての投与群において脱毛が見られた というデータがあるわけです。その説明として、飼料の25%を添加した顆粒が占めたか らということで説明をされているわけです。  ところが、実際には25%のカロリーを減らしただけで本当に脱毛が起きるかというと はなはだ疑問のところがあるんです。ところが、ここで議論をしたわけではないので、 1つはその辺をどう扱えばいいのかなということなんですが、その点はどういうふうに 考えたらいいでしょうか。 ○豊田部会長  この安全委員会の報告に対しては以前も少しお話が出たかと思いますけれども、その 後どういうふうにされたか。一応前のお話では、何か伝えておくというような話ではな かったかと聞いておりますけれども、どうでしょうか。 ○事務局  以前もそうであったように、当部会で専門の先生からの御意見ということでお伝えさ せていただきたいと思います。 ○山添委員  それから、(6)に「アスタキサンチンの摂取量と網膜内におけるこのものの結晶の 発達」と書いてありますね。これも日本語としてこういう言葉がいいのか。実際の言葉 は「このものの消失」なり「析出」がむしろ表現として内容的には正しいと思うんで す。  それから、そこの最後の行で、アスタキサンチンは網膜内に沈着しにくいことが示唆 されるというのは、その上の文章から判断しますと、カンタキサンチンに比べて析出し にくいということは認められるわけですね。ところが、最後の言葉だけが出てきます と、沈着しにくいという言葉だけがそれで一人歩きしてしまうので、そこのところの表 現をどうするのか。例えば「相対的に」とかという言葉を入れていただければ一般の方 からもクレームが出ないのではないかと思います。 ○豊田部会長  ただいま補足的な御説明がございましたので、事務局の方でよろしくお伝え願いたい と、多分こういうことになると思います。ほかにございませんでしょうか。  では、米谷委員お願いします。 ○米谷委員  先ほどの小沢委員の質問に関連するんですけれども、8ページの8の「諸外国におけ る使用状況」のところで、我が国においては食品添加物は既存添加物として認められて いる。アスタキサンチンを主成分とするエビ色素等が認められているということで、い ずれも使用基準は設定されていないということですけれども、その各品目については設 定されていないんですが、先ほど小沢委員もおっしゃったように一般的な項目といいま すか、基準として生鮮食料品に着色してはいけないということがありますので、それも 括弧付きでも加えておいたらいいんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょう か。外からサケ、マス等にエビ色素等で切り身に塗ると当然、着色料で違反ですけれど も、中からというか、飼育するときに入ってくるものではいいという判断になっている かと思います。  ですから、括弧付きで一般的に入れるかどうかですが、今までの報告書では余りそう いう当然のものは入れていなかったような気もしますけれども、いかがでしょうか。 ○豊田部会長  例えば米谷委員の方から先ほどの御質問に関連して、要するにわかりやすくするとい う話が出ていたと思うんですけれども、それでそういうものを加えるのはどうかという 一つの提案がございましたが、どうでしょうか。 ○事務局  使用基準のところを正確に確認をいたしまして、御指摘を踏まえ追加するなりさせて いただきたいと思っております。 ○豊田部会長  ありがとうございます。確かに法律的にちゃんと決まっているようなことはここに別 に書いても何ら差し支えないと思いますので、またその追加のところについては事務局 の方で御検討いただくということにさせていただきたいと思います。  では、井上委員お願いします。 ○井上(松)委員  食品添加物に加えたアスタキサンチンあるいはカンタキサンチンというのは合成品で すか。仮に天然由来だとするとエビやカニなどに含まれているわけです。そうしたとき にこれが化学合成品か天然の物かによって化学構造が違うのかどうか。それからもう一 つ、これがなぜ問題になるのか私にはわかりません。日本の中で例えばエビとかカニを どのくらい食べたらどのくらい影響が出るかというデータがあるかどうかということで す。 ○豊田部会長  2つ御質問がございましたけれども、まず最初に合成と天然の違いというものはわか りますでしょうか。 ○中垣基準審査課長  まず最初の御質問は、国内で認められているのはエビ色素等となっておりますけれど も、いずれもいわゆる天然添加物でございます。一方、アメリカはアスタキサンチンそ のものが添加物として認められておりますが、これは恐らく合成品ではなかろうかと推 測いたします。  2番目の、カニ、エビで食べてどうだったか、危なかったというデータがあるのかと いうことでございます。もちろん生で食べてどうのこうのというようなものはあると思 いますけれども、アスタキサンチンそのものに何か由来するような話というのは少なく とも私は承知しておりません。また、動物試験の結果も踏まえて安全委員会としては現 在のところ専門調査会レベルではございますが、ADIを設定する必要がないと言って いるのもそういうことの範囲ではなかろうかと考えているところでございます。 ○豊田部会長  ありがとうございました。 ○中垣基準審査課長  農林水産省に確認いたしましたところ、この飼料添加物のアスタキサンチンは合成品 ということでございますし、そういう点から申し上げますとアメリカで認められている 食品添加物というのも合成品ではなかろうかと考えている次第でございます。 ○豊田部会長  ほかに何かございますか。特にございませんでしょうか。一応諸外国においても特に 使用基準等が設けられていないようなことでございますけれども、特に御意見がないよ うでしたら若干修正を付けるということにいたしまして、本報告案をもちまして当部会 の報告とさせていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。               (「異議なし」と声あり) ○豊田部会長  特に異議がないということで、ありがとうございます。それでは、本報告案を一部修 正付きで当部会の報告書としたいと思います。事務局から今後の手続きについて御説明 をお願いいたします。 ○事務局  修正に関しましては、部会長一任ということにさせていただければと考えておりま す。また、基準値を設定しないということで御了承いただいたと考えておりますので、 食品安全委員会からの正式な通知を受けました上で安全委員会の結論に修正がなけれ ば、最終的に農林水産省への回答であるとか、食品衛生分科会への報告をさせていただ きたいと考えております。 ○豊田部会長  ありがとうございます。ただいまのことでよろしいでしょうか。それでは、そのよう にさせていただきたいと思います。  それでは、2番目の資料2のカンタキサンチンにつきまして、資料に基づき事務局か ら御説明をお願いいたします。この報告書の作成に当たりましても、関係委員に既に御 検討いただいているところでございます。よろしくお願いします。 ○事務局  それでは、資料2に基づきまして御説明をさせていただきます。  先ほどと同様、カンタキサンチンについて農林水産大臣から意見を求められているも のでございます。  2ページ目の経緯につきましては、アスタキサンチンと同様ですので省略をさせてい ただきます。  3ページ目をごらんください。アスタキサンチンと同様に(3)の「起源」ですが、 同様に自然界に存在するカロテノイドの一種である。食用キノコ等から発見され、フラ ミンゴ等の赤い色の羽の部分やサケ、マスの体内からも検出されているというものでご ざいます。  4番は「安全性に関する試験成績の概要」です。ラットを用いたC14標識カンタキサ ンチンで吸収、分布等を見ておりますが、1日の放射性物質の排泄は46から89%、7日 後には98%以上が排泄されている。  4ページ目にまいりまして、カニクイザルを用いた吸収、分布等でございますが、同 じようにC14カンタキサンチンを用いた試験において主な排泄経路が糞便であり、投与 量の84から89%、尿から1.6から3.6%が排泄された。また、1.6から4.6%が組織中に保 持をされているというものでございます。  (2)の毒性試験ですが、急性毒性試験としてマウスを用いた試験においてLD50は 経口投与で2,500mgより高値、腹腔内投与において1,000mgより高値とされております。  ラットを用いた試験においては、LD50は500mgより高値、腹腔内投与で1,000mgより 高値というふうにされています。  (2)の「短期毒性試験」ですが、イヌを用いた試験において5ページ目にまいりま して、15週間連続投与において投与に起因する変化は認められていない。  (3)は「長期毒性試験」ですが、ラットを用いた試験において投与による悪影響は 認められていない。また、検体投与群のラットにおいて、体脂肪において着色が認めら れている。  (2)で同様にラットを用いた試験です。2パラ目辺りになりますが、25mg投与群以上 の投与群において体重増加の減少が認められている。  それから、ページの最後の方になりますが、75及び250mg投与群のすべてのラットで 肝細胞肥大が認められている。25、75、250mgの投与群において肝細胞の空胞化の発生 頻度の増加が認められているというものでございます。  6ページへまいりまして2パラ目ですが、同じ条件で雌でも実験が行われています が、雄よりも低用量で影響が認められているということで、25mg以上の投与群において 広範囲の肝細胞の空胞化が認められ、無毒性量は5mg/kg体重である。  (3)サルを用いた試験において、投与期間を通じて投与と関連した影響は認められて いないということでございます。  7ページへまいりまして4)の「世代繁殖試験」ですが、ラットを用いた試験におい て投与による影響が認められていない。  5)の「変異原性試験」ですが、いずれも変異原性は認められていない。  6)眼毒性ですが、vitroにおいて鶏の肺の網膜神経を再凝集細胞培養したときに認 められるカンタキサンチンの結晶の形成を見ておりますが、最後のところですが、高濃 度のカンタキサンチンの存在下で培養されたため、赤または茶色の複屈折を示す生成物 が観察されているとされています。  8ページは、カンタキサンチンを加えて培養したところ、細胞の生存率及び分化には 影響がなかった。  (2)はブロイラーのひなを用いた12週間連続投与において、網膜等において赤茶色を 帯びた結晶状の構造が存在したとされています。  (4)フェレットですが、投与群と対照群で差が認められていない。  (5)サルを用いた試験ですが、40か月連続投与試験において網膜状の結晶を誘発する 疾病素因と考えられるものが認められている。  (6)ヒトとサルにおけるカンタキサンチンの集積を比較しておりますが、9ページ目 でヒトの網膜中のカンタキサンチンの濃度についてはサルの網膜中に感染された濃度の 100倍以上であったとされています。  7)ヒトにおける所見ですが、ヒトに対するカンタキサンチンの使用と網膜上の結晶 の蓄積に関して確認がされておりますが、用量と強い相関関係が認められており、1人 当たり1日30mg、合計3,000mg以下の摂取量であれば網膜中にカンタキサンチンの結晶 が蓄積しないことが示されている。  (2)網膜電図におけるb波の振幅の変化ですが、2パラ目のところで5週間15mgのカ ンタキサンチンを与えても変化は認められていない。更に5週間60mg/day投与したとこ ろ、b波の振幅に減少が認められ、更に5週間90mg投与した場合はb波の振幅のより明 確な減少が確認されている。最後のところになりますが、本試験における無毒性量は15 mg、すなわち0.25mg/kg体重/dayであったとされております。  10ページで肝毒性、ポルフィリン症を治療する目的で投与された方々の治験から肝毒 性の兆候は認められていないという報告があるということでございます。  11ページに、各試験における無毒性量がまとめられております。  5番の食品健康影響評価ですが、これらの結果からADIを算出しております。対象 物質としてはカンタキサンチン、ヒトにおける網膜電図におけるb波の振幅検査におけ るNOEL 0.25mg/kg体重/dayから安全係数10を考慮しましてADI0.025mg/kg/dayとされ ております。  13ページへまいりまして、これらの安全委員会の評価結果の案を受けまして、残留基 準の設定等について検討をしております。1番、2番は先ほどの御説明と同様でござい ます。 5番のところで使用基準の改正ですが、現行の基準である鶏、ギンザケ及びニ ジマスに対して飼料1トン当たり80g以下とされているものについて、この表にござい ますように産卵鶏飼料1トン当たり8g、産卵鶏以外の鶏、飼料1トン当たり25g、サケ 科魚類、それから甲殻類について飼料1トン当たり80gというふうな基準に改正をする ということを検討していらっしゃるということです。  「対象動物における分布、代謝」で、「(1)魚類、甲殻類」ですが、カンタキサン チンは魚類においてβ,β−カロテン−4,4’−ジオールに変換され、更にβ,β− カロテンに代謝がされる。放射線標識をしたカンタキサンチンを用いた単回投与試験に おいて、放射活性は24時間後にピークが認められますが、個体による差なども認められ る。また、投与後24時間、72時間における各組織ごとの放射活性は、胃では8.2%、3.9 %、幽門垂では31.3%、3.2%、腸ではこのような数字になっております。甲殻類につ いても魚類と同様に代謝されるものというふうに推定がされております。  (2)の「鶏」ですが、鶏体内において4’−ヒドロキシエチネノンからイソゼアキ サチン、4−オクソレチノール、これらに代謝される。放射線標識カンタキサンチンを 用いた反復投与試験において卵巣中に68から69%、肝臓中に5.2%、筋肉中に3.2%、こ れらの放射活性が確認をされております。また、投与したカンタキサンチンの40%未満 が卵黄中で確認されたという報告もございます。  別の試験で、肝臓中に確認された代謝物は40%が未変化体で、30%が鶏における主要 な代謝物である4−オクソレチノールであったという報告がございます。  7番として「残留試験結果」です。「(1)ニジマスにおける残留試験」ですが、カ ンタキサンチンを40、120、400、1,200飼料中に添加した場合の試験がございます。試 験結果がその表1に取りまとめられております。これらの結果から、残留濃度は卵巣が 最も高く、次いで皮、筋肉の順であったというものでございます。  15ページに、筋肉と卵巣中のものをグラフにまとめております。  (2)で「サケ科魚類における残留報告例」といたしまして、残留値の報告がされて いるものについて表2に取りまとめております。飼料中の添加濃度、投与期間によって いろいろでございますが、最も高いもので16ページの注のところに書いておりますが、 最高値の13.7ppmは飼料中の添加濃度43ppmで61週間投与したものという結果になってお ります。 (3)は「クルマエビにおける残留試験」です。カンタキサンチンを150、 500、1,500添加した飼料をクルマエビに与えて、総カロテノイド、カンタキサンチン、 アスタシンの濃度を測定しております。いずれも飼料中の添加濃度が高いほどエビ体内 の総カロテノイド濃度が高くなり、投与期間の経過に伴って総カロテノイドの上昇が認 められていますが、8週間以降においてはほぼ平衡に達しているというような状況で す。カンタキサンチンにおいてはほとんどの場合が検出されていない。検出限界以下で あるというようなことでございます。  (4)で「鶏における残留試験」で(1)ですが、低カロテノイド飼料を投与をして4 週間飼育した鶏にカンタキサンチンを添加した飼料を与えて筋肉、皮、脂肪の濃度を測 定しております。表4がその結果でございます。  また、参考としてEUにおける鶏肉中の残留量の推定も掲載しております。EUにお いては、既に報告されている文献において鶏肉等の残留の濃度が投与濃度の10%未満で あるという報告、それから飼料中の濃度と皮中の濃度との回帰係数が0.1であるという 報告、これらに基づきまして鶏肉中の残留量を表5のとおり試算をしております。  (2)は「鶏肝臓」です。余りデータはございませんが、カンタキサンチンを8ppm投与 した飼料において肝臓中のカンタキサンチンの濃度を測定したところ、高いもので4.77 ppmであった。  (3)は「鶏卵」ですが、同じように低カロテノイド飼料を与えて卵黄の色調を減退さ せた産卵鶏にカンタキサンチンを投与して卵黄中のカンタキサンチン濃度を測定してお ります。表6はその結果でございます。  18ページに、同様に「EUにおける残留濃度の推定」を掲載させていただいておりま す。  (5)は「自然界に存在するカンタキサンチンの含有量」です。自然界に存在するカ ンタキサンチンの含有量すべてについて明らかにするというのはなかなか難しいところ でございますが、キノコ、サケ、マス等について含有されているという報告がありま す。また、サケ科魚類のうち大西洋サケには含有しているという報告はありませんが、 太平洋サケには微量含有しているというような報告もあります。既に報告されている天 然のサケについて、カンタキサンチンの含有量について表8に取りまとめております。  また、これとは別に国内で市販されているサケ科の魚類、約10検体ですが、それと卵 黄中の濃度を測定しておりますが、検出限界0.5ppmでいずれも検出せずというような結 果をいただいております。  (6)で「まとめ」といたしまして、これらの残留試験等に基づいて適用方法及び用 量の上限に相当する残留試験の結果を整理して掲載しております。サケ科魚類の場合、 最も残留量が高かったのが43ppm添加で61週の13.7、イクラ、スジコにおいては図2の グラフから算出をしております。  19ページにまいりまして、それぞれの組織同様に最も残留値が高かったものを掲載さ せていただいております。  8番の「許容1日摂取量(ADI)の評価」ですが、先ほどの安全委員会の評価結果 案にございますようにカンタキサンチンを対象にADI0.025mg/kg体重/dayとなってお ります。  9番は「諸外国における使用状況」ですが、EUにおいて養殖サケ、マス、産卵鶏以 外の鶏及び産卵鶏について使用がされている。米国においては同様に産卵鶏以外の鶏及 びサケ科魚類について使用されています。いずれも残留基準値は設定されていません。  10番で「残留基準値(案)」でございますが、規制の対象といたしましてはカンタキ サンチンそのものを対象として、基準値案といたしましてこの表に掲載されている案と させていただいております。  (3)で「ADI比」でございますが、各食品において残留試験における最も高い残 留量まで本剤が残留したと仮定した場合の国民栄養調査結果に基づき試算されるED I、推定1日摂取量のADIに対する比を掲載させていただいております。国民平均で 32.9、小児で73.2%という結果になっております。具体的な計算の例といたしまして、 国民平均の場合の例をその下に掲載をさせていただいております。以上です。よろしく お願いいたします。 ○豊田部会長  ありがとうございました。ただいまのカンタキサンチンについての御説明、あるいは 報告書案ということにつきまして何か御質問、御討論等がございますでしょうか。  では、小沢委員お願いします。 ○小沢委員  残留基準値の案のところの甲殻類で設定せずとする。ここは※印が付いていますが、 この理由というのはどう考えたらよろしいんでしょうか。それが1点目です。  それから、サケにしても甲殻類にしても、先ほどのアスタキサンチンも使ってよろし い、カンタキサンチンも使ってよろしい。現実問題として両方一遍に使うということが あるのかどうか。もしあるとしたら、それを併用する場合に何らかの考え方の整理とい うものをしなくていいものなのかどうかを伺いたいと思います。 ○豊田部会長  2点ございましたけれども、お願いします。 ○中垣基準審査課長  まず1点目についてお答え申し上げます。19ページの下の10の(2)の基準値案のと ころでございますが、※印で設定せずとなっていて一律基準値が適用されるというふう に書いてあるわけでございます。  ところが、ちょっと検討不足で申し訳ないんですが、18ページの上から10行目程度の (5)で「自然界に存在するカンタキサンチン含有量」の2行目で、甲殻類にもあると いうふうに書いてあるわけでございます。この甲殻類にどれくらい含まれるのかという ことをもう少し検討しないと、直ちに一律基準値を仮に適用すると一律基準値の値にも よりますけれども、自然界にある甲殻類がすべて違反になってしまうということすら考 えられるわけでございます。  一方では、暫定基準に伴いましてこの部会で議論していただきました通則の中に、自 然界にあるものはその程度まで当然のことながら残留が認められるということで整理を いただいておるわけでございます。自然界には恐らくいろいろなものがあるでしょう し、物を挙げて具体的な数字で決めることができないので、自然界にあるものはその程 度までは残留基準の対象外とするというような規定の一般則の案を既につくっていただ いて部会で審議していただいてパブリックコメントを公表しておるというような状況で ございます。  したがいまして、ここで一律基準を適用すると言い切るのはちょっと問題でございま すで、まず19ページの※印の「ポジティブリスト制の施行時においては」というところ を削らせていただきます。それが変更と変更の理由なんですけれども、基準を設定しな い理由というのはまさしくそこにあって、一般にも含まれておるということになります と、一般に含まれている量で規制をするか、それとも一律基準で規制をするか。いずれ にしてもポジティブリストの世の中ですからそこで規制がかかりますので、そういう意 味で特段の数値としての基準値というのは要らないんだろうというふうに解釈している ところでございます。  また、アスタキサンチンとカンタキサンチンの実際の併用の問題については農林水産 省の方からお願いします。 ○農林水産省 アスタキサンチンとカンタキサンチンについては併用というのはあり得 ると思います。ただ、魚の色を天然に近付けることでございますので、この基準値のそ れぞれを足して使うというようなことは実態上はあり得ないと思っております。 ○豊田部会長  そういうことで、一部19ページの方は修正がございましたけれども、ほかにございま すか。  カンタキサンチンの説明が資料2−3にございますけれども、ここでちょっと教えて ほしいことがあります。14ページの「(2)鶏」の最後のところに主要な代謝物4−オ クソレチノールとか書いてございますけれども、これはビタミンA効力というのはある んでしょうか、ないんでしょうか。私は今あれっと思ったんですけれども、詳しくない もので。 ○事務局  前駆体であることには間違いないんですが、同様の効力を有するかどうかについては すみませんが、知見を有しておりません。申し訳ございません。 ○豊田部会長  わかりました。また後で教えていただければと思います。  それから、16ページの「クルマエビにおける残留試験」ということで3行目のところ に「エビ体内の総カロテノイド」と書いてございますけれども、この体内というのは筋 肉部ということを意味しているのでしょうか。ちょっとわかりにくかったのですけれど も。 ○事務局  この試験自体は、エビ全体を粉砕をして試験をしているということです。 ○豊田部会長  では、これは全体ということですね。殻付きということですね。殻付きというふうに した方がよろしいですね。  それから、先ほど最後のところでお話がありましたが、甲殻類に設定せずと書いてご ざいますね。これは天然のものに入っているということなんですけれども、そういった データというのは私はありそうな気はしたんですが、本当にないものなんでしょうか。 またその点は、農林水産省でも何でも結構ですので、もしありましたら教えていただけ ればと思います。要するに、先ほど課長の方でお話になられたバックグラウンドレベル という辺りのお話だと思いますけれども。 ○事務局  幾つかこちらの方でも検索をしてみたんですが、一部えさとなるミジンコのような類 のものに含まれているというものはありましたが、そのほか引き続き検索をしてみたい と思います。 ○豊田部会長  そうすると、余りないと出てこないということになるんでしょうか。 ○中垣基準審査課長  我々の検索の仕方が悪いのかどうかでございますけれども、引き続き努力をさせてい ただきたいと思います。 ○豊田部会長  わかりました。ありがとうございます。  では、米谷委員お願いします。 ○米谷委員  20ページの試算なんですけれども、これはヒトのデータから取ったADIということ で、それをベースにしてEDI試算を小児にしたところ73.2%ということでかなり高い ということと、このときの元になった小児の卵黄の摂取量、これは12.5gですが卵黄1 つは20gくらいですから、詳しいことは忘れましたけれども、たくさん食べる小児では かなりとるというふうなことで、若干気になったということで発言させていただきま す。 ○中垣基準審査課長  感覚的に申し上げて、米谷委員のおっしゃるとおりだろうと思います。 ただ、御注 意願いたいのは、このADI試算というのは実験中の最大を認める食品全部にわたって 毎日一生涯とるということを前提にしているわけで、むしろそういう試算でもこれだけ しかいかないというふうな評価が一般にはされているんだろうと考えておりますし、前 にまとめていただいた農薬を中心とした暴露評価の方法の中でもそのような了解になっ ていたかと思います。また、特に米谷委員と申しますか、国立医薬品食品衛生研究所を 中心に毎年行っていただいている農薬とか添加物とかのマーケットバスケット調査の結 果を見てみますと、こういうEDIあるいはTMDIといった試算値とマーケットバス ケットの結果というのは大きく異なって、実際の摂取量というのは非常に少ないという ようなことが明らかとなってきておるかと思います。  そういうことを考えてみると従来からの考え方、前に食品衛生調査会から意見具申を いただいた考え方で事務局としてはよろしいのではないかと考えておるところでござい ますが、先生方の御意見を賜れれば幸いでございます。 ○豊田部会長  ただいまの点につきまして、何かほかにもございますでしょうか。  特にございませんようでしたら、そもそも課長が御説明になりましたようなEDIの 試算ということはある程度のそういったリスクも組み込んだ数値になっているというこ とでございます。  ほかにございませんでしょうか。一応ここに書いてございますような基準値案という ものが20ページのところに設定しない、20、10、10、25というふうに書いてございま す。特にございませんでしょうか。意見が特にないようでございましたら、本報告案を もちまして当部会の報告ということにさせていただきたいと思いますが、よろしいで しょうか。               (「異議なし」と声あり) ○豊田部会長  異議なしということで、ありがとうございます。それでは、本報告案をもちまして当 部会の報告書としたいと思いますが、一部だけ先ほどの点は御修正をするということで ございます。  では、事務局から今後の手続きについて御説明をお願いいたします。 ○事務局  こちらの方につきましても、最終的な安全委員会からの評価結果の通知をいただきま して、最終的な部会報告書とさせていただき、WTO通報、パブリックコメント等の手 続きを求めて、所要の手続きを図りたいと考えております。  また、仮に安全委員会の報告に変更があった場合につきましては、部会長と御相談を させていただきまして再度部会にかけるか、文章で委員の了解を求めるかについて御相 談をさせていただきたいと思っております。 ○豊田部会長  今のことはカンタキサンチンについてのことでございますので、アスタキサンチンと 同様な処理ということでよろしゅうございますね。  それでは、2番目の「その他」ということで事務局から何かございますでしょうか。 ○事務局  資料3に基づきまして御説明をさせていただきたいと思います。  3月1日付で農林水産大臣から、動物用医薬品である鳥インフルエンザ不活化ワクチ ンについて意見の聴取をいただいております。本日午前中に、食品安全委員会におきま して動物用医薬品専門調査会が開催され、この件につきまして御審議がされたところで ございます。その資料をもちまして簡単に御説明させていただきたいと考えておりま す。  2ページ目をごらんください。「意見聴取要請の経緯」となっておりますが、御存じ のとおり、国内で79年ぶりに高病原性鳥インフルエンザの発生が確認されたということ もございまして、今後万が一、発生が拡大した場合に備えて、農林水産省において本ワ クチンについて備蓄がされている。これらについて万が一、使用せざるを得ない場合に おいて、当然しかるべき管理の下で使用されるということなんですが、食品への安全性 であるとか、残留性の問題から見て、問題がないかどうかという点について意見を求め られているというものでございます。  3ページで、「鳥インフルエンザ不活化ワクチンを接種した鳥類に由来する食品の食 品健康影響評価について(案)」となっております。  1の「はじめに」については、先ほど御説明しましたような経緯でございます。  2は「インフルエンザウイルスについて」ということで、1つ目の丸の「一般的性質 について」でございます。インフルエンザウイルスについてはオルトミクソウイルス科 に属するウイルスである。ヒトの場合、ABCの型が知られていますが、ほとんどの脊 椎動物でA型のみが知られている。特に鳥類においては15種のH、9種のN、すべての 亜型が検出されている。また、インフルエンザウイルスについてはpH6以下で不安定と なり、pH3以下では失活する。また、加熱によっても失活するとされており、60度30分 の加熱によって失活するとされている。  4ページにまいりまして、「鳥インフルエンザについて」ということでございます が、鳥インフルエンザについてはA型のインフルエンザウイルスの感染によって起こる 伝染性の疾病である。H5、H7の亜型については、このウイルスの感染を受けた鶏が 高率に死亡するような特に強い病原性を示すものがあり、これらについて高病原性鳥イ ンフルエンザ、HPAIというふうに呼ばれているというものでございます。  2つ目の丸で「インフルエンザウイルスの宿主特異性について」ですが、高病原性ウ イルス、HPAIは鶏間では感染性が強く、適切に処理されない場合、短期間に蔓延 し、多大な被害を与える。しかし、ヒトがこのウイルスに感染したという事例は非常に 限定がされており、鶏の感染数と比較して著しく少ない。このことは、インフルエンザ ウイルスの感染には宿主特異性、いわゆる種の壁があると考えられている。宿主特異性 を決定する要因等について、吸着の特異性等について以下に記載がされております。  5ページで3番ですが、「鳥インフルエンザ不活化ワクチンについて」ということ で、現在我が国で発生が認められているのはH5N1亜型でございますが、農林水産省 で備蓄を行っている鳥インフルエンザ不活化ワクチンはH5N2亜型というものでござ います。  今回、意見の聴取のあったものとして1つ目の丸でありますが、ノビリスインフルエ ンザH5というものでございます。このワクチンは鳥インフルエンザウイルスA型H5 N2亜型の培養ウイルスをホルムアルデヒドで不活化したものを主剤としてグリシンを 含む水相、それからアジュバントを含む油相を所定の乳化剤、ソルビタンモノオレエー トであるとかポリソルベートで乳化した油中水滴型のエマルジョンタイプのワクチンで ある。推奨ワクチンのプログラムとしては、8から10日齢の鶏の首の後ろの部分です ね。ここの皮下に所定の用量を注射をする。また、産卵鶏、種鶏は6から10週後に再注 射をするということが推奨のプログラムとされております。  また、アジュバントとしましては軽質流動パラフィンが使用されております。この軽 質流動パラフィンについては一般的に使用されているアジュバントでございまして、過 去に食品安全委員会においても評価がされており、当部会でも御照会をさせていただい た牛用のワクチン等にも使用されている。  それから「また」のところですが、本生物学的製剤に保存料は添加されていないが、 種ウイルスの液中に残留物としてゲンタマイシン、あるいはその不活化の残留物として ホルムアルデヒドを使用しており、これらが一部存在する可能性がある。  それから、ゲンタマイシンについては先ほども申し上げましたとおり、種ウイルス液 に微量に含まれるのみであって、最大限見積もってもJECFAまたは当方で過去に設 定をしたADI、動物用医薬品の残留として設定をしたADIですが、これらに比較し ても数千分の1になるでしょうというふうに推定がされております。  また、ホルムアルデヒドについてはWHOが示しているTDIと比較しても、少なく とも1,000分の1以下になる。また、乳化剤に使用しているソルビタンモノオレエート、 それからポリソルベートについては、国際的にヒト用の医薬品であるとか、食品添加物 であるとか、そういったもので使用実績があり、JECFAでもADI設定がされてい る。これらのワクチンが動物に接種されるということを考えると、これらは実質的に無 視できるレベルであるというふうに考えられております。  6ページで、このインフルエンザ不活化ワクチンの安全性に関する知見ですが、直接 ヒトに対する検討は実施されておりません。また、幾つかの型でヒトの感染に関する事 例がWHOで報告されておりますが、先にもありましたとおり鳥インフルエンザウイル スのヒトに対する感染能力は非常に低い。これら感染の報告は、ウイルスに罹患した家 きん等に濃厚に接触した場合であると考えられている。また、本ワクチンは不活化され ており、鶏やヒトに対する感染力を有しているものではないとされております。  また、鶏に対する安全性試験が実施されておりまして、(1)で当ワクチンを単回投与 をして常用量及び3倍用量を単回投与した場合に、ワクチンの注射後の28日間で臨床症 状及び局所及び全身性の反応は認められていない。また、非注射同居対照群についても 臨床症状は認められていない。  また(2)といたしまして6ロット、ロットごとの安全性の確認はされておりますが、 特に問題となる知見は見つかっていない。  また、(3)ですが、国内において動物用医薬品検査所において確認の試験がされてお ります。これらについても、特に問題を有する結果は得られていないというものでござ います。  7ページにいきまして「ワクチン接種鶏に対する攻撃試験」でございますが、(1)で 接種した鶏及び接種しなかった鶏について確認がされております。一部資料の修正がご ざいましたが、(1)の2パラ目、3パラ目で1,000ドーズ投与群、または2,000ドーズ投 与群とありますが、1,000ドーズ、2,000ドーズというのは商品の用量のことでございま して、1,000ドーズの製品を常用量投与した場合ということでございますので、1,000倍 の用量を投与したということではございません。ワクチン接種群の死亡率は攻撃日の早 い順に20、13、20%、おとり鶏の死亡率、それからワクチン非接種対照群の死亡率等が 確認をされております。  また、(2)で「他のH5N2不活化ワクチンを用いた試験」、それから(3)でH7型の ワクチンを用いた試験がされております。これらの試験において、ワクチンを接種した 鳥については発症はしないけれども感染の確認がされるというようなことが言えるので はないかということでございます。  それから下の方ですが、「アジュバントの消長確認について」です。アジュバントの 消失の確認については、本剤については情報はございません。しかしながら、国内で同 様の組成のワクチンが既に承認されており、出荷前36週間は注射しないことというふう な休薬期間が設定をされている。これらのことから、本剤についても本剤のアジュバン トの消長についても同程度になるのではないかと推測されております。  8ページで「食品健康影響評価について」ですが、上記のようにノビリスインフルエ ンザH5の主剤は鳥インフルエンザウイルスH5N2亜型をホルムアルデヒドで不活化 させたものである。このため、主剤は感染力を有するウイルスを含んではいない。ま た、製剤に使用されているアジュバント等の添加剤については、いずれも国内もしくは 国外において医薬品や食品添加物としての使用実績があり、国際的な毒性評価も存在し ている。ワクチンの摂取量を考慮すると、同様の組成を持つ既承認のワクチンと同様の 管理が行われれば、含有成分の摂取による健康影響は実質的に無視できるものと考えら れる。  これらのことから、ノビリスインフルエンザH5については、適切に使用される限り において食品を通じてヒトの健康に影響を与える可能性は実質的に無視できるというふ うに考えられております。ただし、以下の点については留意をすべきだろうということ が付記されております。  1つ目ですが、ノビリスインフルエンザH5については休薬期間が設定されていない ということから、局所に残留したアジュバントが摂取されることのないよう、適切な処 理がとられる必要がある。この点については、先ほどのアジュバントの消長の確認のと ころにございました36週間の休薬期間を設けるべきだというふうに変更をするというよ うなお話でございます。  2つ目ですが、ワクチンの接種は感染そのものを防ぐことができないほか、ワクチン によって鳥インフルエンザに抵抗力を獲得した鳥は臨床症状を示さず、ウイルスを保有 する可能性があることから早期摘発が困難になるという家畜防疫上、または公衆衛生上 の問題がある。したがって、鳥インフルエンザの防疫措置は早期摘発及び淘汰を行うこ とが基本であり、ワクチンの使用については早期摘発及び淘汰により根絶を図ることが 困難になった場合に限定するなど、その場合においても国の家畜衛生当局の指導の下に モニタリングの実施など、十分な管理措置を講じた上で行うべきであるとされておりま す。  通常であれば、当部会において食品安全委員会の評価結果案が示された段階で御審議 をいただくわけでございますが、本日午前中に審議がされましたので、御紹介をさせて いただくとともに総括的な議論をいただければと考えております。よろしくお願いしま す。 ○豊田部会長  ただいま鳥インフルエンザ不活化ワクチンについて御説明をいただきましたけれど も、急にこういうテーマについて食品安全委員会の方から検討が進んでいるということ で、こちらの部会の方にも御照会があり、これをどう取り扱いましょうかという話にな っているんだと思いますけれども、何か御質問等ございますでしょうか。 ○山添委員  休薬期間がすごく長いですね。単純に考えると8か月くらいですか。そうすると、事 実上考えるとこれを食肉として使うということがワクチンを打ったものが実際に考えら れるのかどうかということが1つで、もしあるとすればそれを含めて考えなければいけ ないんですけれども、事実上はそれを生かしておくというか、種の保存のためだけに使 う場合とかなり違うと思うんです。そこら辺はいかがなんでしょうか。 ○豊田部会長  非常に休薬期間が長いということの御質問がありましたけれども、何かありますか。 ○中垣基準審査課長  先生の御指摘のとおり、36週間というのは非常に長いと私自身も考えておるわけでご ざいますが、そもそも食品安全委員会が審議をしておる、あるいは農林水産省が私ども に協議をしてきておる、この前提にございますのは、このワクチンを打った鶏が肉とし て出荷される、あるいはそこから卵を産卵する。その肉あるいは卵について、食品とし ての観点から何か規制をする必要がありやなしやというのが農林水産省が我々に聞いて おる趣旨であり、また食品安全委員会に評価をお願いしている趣旨でございますから、 通常のブロイラーというのは60日程度だと私どもの担当はささやいておりますが、それ から比べるとやたらに長いなとは思いますけれども、そういった実態というものを考え た上で聞いてきていることなんだろう。  それに対して、仮に食品安全委員会が休薬期間を36週置くべしと、これがどれぐらい の強さがあるのか。また、その結果を受けて農林水産省がどうするのかというハードル が2つあるわけでございますけれども、実態として食品として出回るものがないのであ れば我々に協議してくる必要がない。例えば、動物薬であっても体外検査薬というもの を我々は聞いておりませんからそういうことなんだろうと考えております。 ○豊田部会長  そのほかにございますか。あとは、ここの8ページにノビリスインフルエンザH5と 書いてございます、この中身のことで形式的な話になりますが、主剤はと書いてござい ますけれども、主剤という意味はH5N2に対してということなのでしょうか。ほかの ものは入っていないということでよろしいでしょうか。  それがちょっとわからなくなったのは、7ページの「(1)ワクチン接種鶏に対する攻 撃試験」ということで、(1)でノビリスインフルエンザH5を用いた。それから、(2)に 他のH5N2不活化ワクチンを用いた、それからその下のところにノビリスインフルエ ンザH7を用いたと、ここの区別が素人にはわかりにくかったので、中身のことを知り たかったんです。 ○中垣基準審査課長  ノビリスというのは商品名で、そういう意味では先ほどのノビリスとH5N2亜型の その他のというのはよそのメーカーのものということでございます。 ○豊田部会長  わかりました。ありがとうございます。ほかに何かございますでしょうか。  これにつきましては先ほどの実質的な休薬期間の問題もあって、さて実質上どうなる のかということは私にもよくわからないんですけれども、追々何か情報が入ってくるん だと思いますが、それでよろしいでしょうか。 ○事務局  先ほど1点言い忘れたんですか、鶏卵については休薬期間を指示しないというような 結論であったということでございます。 ○豊田部会長  そうすると、鶏卵については鶏には2回接種するんでしたね。それで、その2回目の ところに一定の期間を設けるとか書いてございましたね。そういう理解でよろしいんで しょうか。 ○井上(松)委員  今日の午前中に私も別の委員会に出席していましたが、ノビリスが卵の中に入るか入 らないかということで随分議論になりました。ただ、そのときにいろいろな物質で、卵 に移行するというデータは今のところないということでした。従って卵自体はワクチン を打ったとしても多分問題にならないだろうということです。 ○豊田部会長  わかりました。ありがとうございました。ほかに何かございますか。  特に意見がないようでしたら、今後の本件の予定につきまして事務局よりお願いいた します。 ○中垣基準審査課長  この鳥インフルエンザのワクチンにつきましては、我が国でも既に感染が確認されて いるところでございますし、今後のことを考えますと、万一のことを考えて急きょ対応 をとらなければならないということも考えられるわけでございます。 したがいまし て、本日の議論を総括してみますと、その卵の問題あるいは食肉の問題も含めまして、 ほかの不活化ワクチンと同様に食品安全委員会における評価が終了すれば、特段のリス ク管理措置というのは食品衛生側からは必要がないということでよろしいのかなと考え ている次第でございますけれども、今後食品安全委員会の審議をまた先生方には報告さ せていただきますが、部会を開催をして決を採るか、それとも文書でやりとりをさせて いただくかという点については部会長に判断をお願いしたいと考えている次第でござい ます。 ○豊田部会長  ただいま、本件の取扱いにつきまして課長の方からお話がありました。そうすると、 急いでいるということで多分安全委員会の方では早急にまた何かディスカッションがさ れるということですね。 ○中垣基準審査課長  今、聞いておりますのは、明日食品安全委員会の本委員会が定例で開催されて、そこ に専門調査会の本日の御議論というものが報告をされるということまでは聞いておると ころでございます。  その後どういうふうになるのかというのは、食品安全委員会側も事態の推移を見なが ら恐らく考えていく必要があるんだろうと思いますけれども、正直申し上げて食品安全 委員会側は結論を出した。一方では、厚生労働省が農林水産省に返答をしないというこ とになってしまいますと、政府部内にそごが生じるわけでございます。もちろん我々と しては、食品衛生側からやらなければいけない点というのは当然のことながら農林水産 省に求めなければならないわけでございますけれども、本日御議論いただいた感じでま とめさせていただくと、今日の食品安全委員会専門調査会の取りまとめから言うと、特 段のリスク管理措置というものは必要がないということが大体の御結論ではないかと考 えるわけでございまして、それでよろしいのか。また、仮にそうだとすると、今後この 専門調査会の意見が大きく変われば、先生方に場合によってはお集まり願わないといか ぬと思いますけれども、大きく変わらないようであれば先ほど申し上げましたように部 会長の御判断で、文書で先生方にOKをとるのか、それとも、再度お集まり願うのかと いう形にさせていただきたいと思っているわけでございます。 ○豊田部会長  私といたしましては、委員を集めるのは、特に4月の初めというのは非常に大変であ るというような事情もございますので、もしよろしかったらお任せいただければ大変あ りかだいと思いますが、よろしゅうございますか。               (「異議なし」と声あり) ○豊田部会長  ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきたいと思います。  ほかに事務局から連絡事項等はございますでしょうか。 ○事務局  参考資料1と書いてございますホチキス止めの資料の4ページから後に、前回2月2 日にこの部会で御議論いただきました動物用医薬品のイミダクロプリド、それからもう 少しめくっていただきますと10ページに牛用の不活化ワクチン、マンヘミア・ヘモリチ カのワクチンの件、それから14ページにブリ用のイリドウイルス感染症ほかの不活化ワ クチンの部会報告をまとめさせていただきまして取りまとめたものが付けてございま す。これは御報告ということで御紹介をしたいと思います。  それから参考資料3でございますが、安全委員会への意見聴取の状況、それから意見 聴取の終わったものの状況が一覧としてまとめてございますので、これも御参考に見て いただければと思います。  あとは連絡事項でございますが、次回の部会は既に各先生方に御連絡をしているかと 思いますが、4月13日火曜日の予定で調整をさせていただいております。部長のあいさ つの中にもございましたが、ポジティブリストでコメントをいただいてきたものについ て御審議をいただこうかと思っております。以上でございます。 ○豊田部会長  ありがとうございます。  それでは、以上をもちまして本日の部会を終了いたします。どうも皆様、御参加いた だきましてありがとうございました。                                       了 照会先:医薬食品局食品安全部基準審査課 (03−5253−1111 内線2488,2489)