04/02/16 薬事・食品衛生審議会毒物劇物部会議事録(H16.2.16開催)           薬事・食品衛生審議会 毒物劇物部会 議事録 1.日時及び場所   平成16年2月16日(月) 14:00〜   厚生労働省専用第21会議室 2.出席委員(9名)五十音順   赤堀 文昭、 井上  達、◎井村 伸正、 金原  勲、  ○櫻井 治彦、 白濱 龍興、 鈴木 和夫、 百   弘、   森田 昌敏   (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(3名)五十音順   出川 雅邦、 松本 和子、 吉岡 敏治 3.行政機関出席者   鶴田 康則(大臣官房審議官)、 中尾 禎男(化学物質安全対策室長)、   秋本 若男 他 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○化学物質安全対策室長  ただいまから平成15年度第2回薬事・食品衛生審議会薬事分科会、毒物劇物部会を開 催いたします。それでは開催に先立ちまして、鶴田大臣官房審議官よりごあいさつ申し 上げます。 ○審議官  大臣官房審議官の鶴田でございます。今日は毒物劇物部会の委員の皆様におかれまし ては、お忙しい中本年度第2回の会合に御出席いただきまして、どうもありがとうござ います。本日の当部会は昨年9月以来の開催でございますが、今後の化学物質行政の最 大の課題となっておりましたのがGHS、すなわち化学品の分類及び表示に関する世界 調和システムでございます。昨年7月に国連勧告として採択されまして、各国は2008年 までに施行することが求められております。当省の関係では、特に毒物劇物に関する分 類と表示をGHSという国際基準に合致させるために、今後所要の改正を行いたいと考 えております。部会の各委員におかれましては、部会での審議のほか、分類と表示の見 直しに際して御助言と御支援を頂きたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上 げたいと思います。  また、現下の問題といたしましては、国際テロ、有事法制の整備と関連いたしまし て、毒物劇物等の毒性の強い化学物質や生物剤の管理等より厳重に取り扱う動きがござ います。特に有事法制整備の一環といたしまして、今国会に上程予定の国民保護法案で は緊急時の対応策等が具体的に盛り込まれる予定となっております。  本日の部会では、毒物劇物取締法に基づく運搬基準2案件につきまして御審議をお願 いしたいと思っております。各委員の忌憚のない御意見、御議論を賜りますようよろし くお願い申し上げます。簡単でございますが、これをもってあいさつとさせていただき ます。 ○化学物質安全対策室長  それでは井村部会長、本日の議事進行をよろしくお願いいたします。 ○井村部会長  かしこまりました。審議に入らせていただきますけれども、議事に入る前にいつもの とおり事務局の方から本日の委員の出席状況と資料の説明など、御報告をお願いいたし ます。 ○事務局  それでは事務局より、本日の委員の先生方の御出席状況について御説明申し上げさせ ていただきます。本部会委員の定数が12名でございますが、現在8名の御出席を頂いて おりまして、開催に必要な定足数であります過半数を満たしており、本部会が成立いた しておりますことを御報告いたします。なお、本日は出川委員、松本委員、吉岡委員が 所用のため御欠席との御連絡を頂いております。また、櫻井委員は若干遅れられている ようでございます。  続きまして、本日の部会の公開につきまして御報告申し上げます。本日の議題につき ましては、公開することにより委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著 しい支障を及ぼすおそれ、又は個人の秘密、企業の知的財産等が開示され、特定の者に 不当な利益又は不利益をもたらすおそれがあると認められないことから、開催は公開と させていただき、配付資料についても公開とさせていただいております。  続きまして、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。まず一枚紙でござい ますが、「薬事・食品衛生審議会毒物劇物部会議事次第」でございます。続きまして、 本日の部会の座席表、これもまた一枚紙でございます。その次に部会の委員名簿でござ います。「毒物及び劇物取締法に基づく運転要員確保の基準の改正について」、資料1 でございます。それから資料2-1といたしまして、「毒物及び劇物取締法に基づくタン クビークル(タンクローリー)に係る運搬基準の改正について」でございます。それから 横一枚紙になりますけれども、資料2-2の「無機シアン化合物の運搬容器に関する国際 規則(IMDG Code)との比較」でございます。同じく横一枚紙でございますが、資料2-3、 「弗化水素の運搬容器に関する国際規則(IMDG Code)との比較」でございます。参考1 といたしまして、「規制改革推進3か年計画(改定)(一部抜粋)」でございます。参考 2、「関係条文運転要員に係る規定」と記載している二枚紙でございます。それから参 考3でございますけれども、官報の写しでございます。日付が平成15年12月17日のもの でございます。それから資料とは別でございますが、本部会に先立ちまして行われた、 「取扱技術基準等調査会 議事要旨」、一枚紙でございます。以上資料の過不足等ござ いましたら、おっしゃっていただければと思います。 ○井村部会長  よろしゅうございますか。お手元にそろっておりますでしょうか。それでは審議を始 めさせていただきます。まず審議事項の議題1でございますが、「毒物及び劇物取締法 に基づく運転要員確保の基準の改正について」でございます。それでは最初にこの議題 につきまして、事務局の方から御説明お願いいたします。 ○事務局  それでは資料1に基づきまして、御説明をさせていただきたいと思います。資料1、 「毒物及び劇物取締法に基づく運転要員確保の基準の改正について」でございます。審 議をお願いしたい事項につきましては、「1.審議事項」に記載してある毒物又は劇物 の長距離にわたる運搬時における運転要員確保の基準に関しまして、ILO基準や当該 基準を基に規定される厚生労働省告示ほかの関係法令の規定等と整合性の確保を図り、 運転距離に基づく基準から運転時間に基づく基準に改めることについて検討をお願いし たいと考えております。本件につきましては、本年1月23日付け、厚生労働大臣より諮 問書が薬事・食品衛生審議会会長にあてて出されてございます。  続きまして、現行の規制並びに国内の他法令の規制状況について御説明申し上げさせ ていただきます。参考2を御覧いただけますでしょうか。「関係条文」とございますけ れども、毒物及び劇物取締法施行令、それから毒物及び劇物取締法施行規則が記載して いるものでございます。現行の規制につきまして、毒物及び劇物取締法、「毒劇法」と 言わせていただきますけれども、毒劇法においては毒劇法施行令第四十条の五第二項で 定めます毒物又は劇物、これは施行令の別表第二に掲げる毒物又は劇物ということで、 黄燐ほか23種類ほどが指定されております。この毒物又は劇物を車両を使用して1回に つき5,000kg以上運搬する場合の運転者の確保について、運転する距離に応じて基準を 定めてございます。  その基準につきましては、下の施行規則を御覧いただければと思います。第十三条の 三でございますが、第四十条の五第二項第一号の規定に基づきまして、交替して運転す る者又は助手を同乗させなければならない場合といたしまして、次式のDの値が1を超 えるときということで規定させていただいております。このD、d1とd2というもの がございますが、具体的にはd1というものがいわゆる高速自動車国道における運搬距 離でございます。d2でございますが、これがいわゆる高速自動車国道以外、いわゆる 一般の普通の自動車道の運搬距離でございます。このd1とd2に数字を入れまして、 この式が1を超える場合については運転者は一人ではなくて、運転者のほかに交替して 運転をする者、若しくは助手を同乗させなければならないという規定になってございま す。  なお、資料1の説明の中に間違いがございまして、大変恐縮でございますが、「2. 現行の規制及び国内・海外の規制状況」の(1)の(2)でございます。「最長で340km(高 速道路使用時。)には」と書いてございますが、これは最長で340kmを超えて運搬する場 合にはの間違いでございます。大変恐縮でございます。この最長で340kmを超えて運搬 する場合には、いわゆる運転者のほかに交替して運転をする者、若しくは助手を同乗さ せるという規定がございます。  本規定につきましては、昭和47年に毒劇法施行令の一部を改正した際に追加した条文 でございまして、いわゆる長距離運転者の疲労に起因する事故防止の観点、並びに事故 発生時の適切な応急処置、それから緊急通報等の必要性の観点を考慮いたしまして、消 防法、高圧ガス保安法と共に導入されたものでございます。この距離に基づく基準とし たことにつきましては、いわゆる一種の割り切りでございまして、特段渋滞等に関する 状況であるとかそういったものが考慮されているということではございません。  一方、自動車運転者のいわゆる労働時間に関する基準といたしまして、ILO条約 (153号)に準拠した厚生労働省告示、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準 」が定められてございます。この基準の中身につきましては、下の*以下に記載してご ざいますが、いわゆる運転時間について2日を平均して1日当たり9時間を超えないと することというのが一つ。それから連続運転時間が4時間を超えないものとすることと いう二つの基準がございます。連続運転時間の中の括弧というのが若干分かりづらいか と思いますが、1回が連続10分以上で、かつ合計が30分以上の運転の中断をすることな く連続して運転する時間を言うということでございます。極端な例を申し上げますと、 5分間の休憩を何度とってもこれは休憩には当たらないと。10分以上の休憩、かつそれ らを足し合わせたときに30分を超えるということがいわゆる休憩、中断に当たるという ものでございます。  また、国内の関係法令である消防法における運転要員の確保基準につきまして、実は 昨年12月でございますが、「危険物の規制に関する政令」、並びに「危険物の規制に関 する規則」の改正というものを行っております。この改正につきましては、国際整合性 を図る観点から、従来の距離による規制に代えて時間による規制に変更したところでご ざいます。  改正の中身につきましては、参考3、官報の写しを御覧いただけますでしょうか。参 考3、平成15年12月17日付け官報の写しでございますが、下から二段目左側に黒枠で囲 っている危険物の規制に関する政令の一部を改正する政令につきまして、若干特出しを しております。黒枠の左側「第三十条の二第二号中」というところでございます。この 中身でございますけれども、現行のいわゆる危険物の規制に関する政令の中で「長距離 にわたる移送をする」というものを、「当該移送が総務省令で定める長時間にわたるお それがある移送である」に改めるという改正を行っております。  この改正の中身、また距離からいわゆる時間の規制に変えたのでございますが、では その時間の基準は一体どうなっているのかということでございます。1枚おめくりいた だきまして、今度は同じ日付でございますが、「省令」というものがございます。こち らでいわゆる危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令ということで、細かい規 定を定めております。やはり上段の左側になりますけれども、第四十七条の二というこ とで、長時間にわたるおそれがある移送は、移送の経路、交通事情、自然条件その他の 条件から判断して次のいずれかに該当すると認められる場合ということです。第一号で は、連続運転時間が4時間を超える移送であるということと、第二号では運転時間が一 の運転要員による運転時間が1日当たり9時間を超える移送ということでございます。 この時間を超える場合には、いわゆる運転者のほかに交替して運転する者を同乗させな ければならないという消防法の基準改正となっております。  それでは資料1にお戻りいただきまして、その他海外の規制状況についてですが、い わゆる距離に基づく運転要員の確保に関する規制というものは現在ございませんで、労 働者の労働時間としての基準、それから規制というものが海外においてもなされている という状況でございます。  それでは「3.改正案」になりますが、事務局の改正案を御説明させていただければ と思います。我が国における毒物劇物運搬に係る運転要員の確保方策につきましては、 従来より過労運転防止の観点、それから事故発生時の対処の観点というものがございま したが、これらを考慮するとともに、国際基準並びに国内の関係法令の整合性を図るた め、以下によることといたしたいということで、改正案の概要を載せさせていただいて おります。  簡単に御説明申し上げますと、施行令第四十条の第二項で定める毒物又は劇物を車両 を使用して1回につき5,000kg以上運搬する場合、こちらについて長時間にわたる運搬 となる場合に車両1台について運転者のほか必要な員数の交替する運転者を同乗させる ということとしたいと考えております。また長時間の基準でございますが、長時間にわ たる運搬の基準については、運搬の経路、交通事情、自然条件その他の条件から判断し て、連続運転時間が4時間を超える場合、若しくは運転時間が1日当たり9時間を超え る場合とすることとしたいと思っております。これは先ほどの自動車運転者の労働時間 等の改善のための基準より若干厳しい基準となっておりまして、先ほど運転時間は1日 当たり9時間を超えないと。ただし、これは2日を平均するという基準となっていると ころでございますが、毒物及び劇物の運送に関する基準ということです。それから先ほ ど御説明申し上げた消防法による基準、こういったものとの整合性も図る観点から、こ れを2日平均ではなくて1日当たりきちんと規制をかけるということで、1日当たり9 時間を超える場合は2人以上運転要員を確保しなければならないということとしたいと 考えております。  なお、先般行われた取扱技術基準等調査会の審議の内容でございますが、本件につい ては基準範囲以内であっても疲労状態に応じて適宜休憩、交替させるなど適正な運搬を 行うよう事業者等に対し指導すべきとする意見や、国際基準及び消防法等の国内の関係 法令との整合性を図るべきとする意見が出されました。最終的な審議の結果につきまし て、現行の運転距離に基づく基準を運転時間に基づく基準とすることについては、問題 ないと判断されているところでございます。以上でございます。御審議をよろしくお願 いいたします。 ○井村部会長  ありがとうございました。詳細な御説明がございました。いわゆるタンクローリーの 運転要員の確保につきまして、1月23日に厚生労働大臣から諮問がございましたので、 これに対して答申をする必要がございます。それに関する審議をここでしていただくと いうわけでございます。  今の事務局の説明にもありましたように、要するに現行の距離による基準を時間に代 えたいということでございまして、それについては取扱技術基準等調査会というのがご ざいまして、そこで十分御審議いただいております。国内のほかの基準あるいは法律、 国際基準等を取り入れると、ほとんど距離で規制しているというのはないという状態に なっているそうでございまして、それをそういうものに合わせて時間で規制をしたいと いうわけでございます。調査会の座長を務めておられます金原先生、何か付け加えてい ただくことはございませんでしょうか。 ○金原委員  ただいま事務局から御説明いただいたとおりでございますが、議事要旨も御紹介いた だいたわけですけれども、結論的にはこのとおりです。距離を時間にするという流れ は、保安要綱とかほかの法律との整合性や国際的な整合性から言うと、その流れ自体は もう問題がないのではないかという判断に立ちました。  ただしの意見が幾つかございましたけれども、過労運転防止という観点がこれには直 接的には入っておりませんので、それはちょっと別の仕組みになるのかもしれません が、事業者の指導等を別途監督強化といいますか、そういう方向もまた別に検討すべき ではないかという意見も出されました。ですから、改正案そのものは表現としてはこう いう時間に関する規制に改めていただくことについては、特段方向として問題がないの ではないかというのが結論でございます。 ○井村部会長  ありがとうございました。そういう調査会の御意見だそうでございます。それでは先 生方、御意見、御質問等ございましたらどうぞお願いいたします。皆さん、運転を自分 でなさるわけでございますけれども、4時間運転するのがつらいなどという話もあった そうでございますが、いかがでございましょうか。10分以上、トータルで30分を超える 休憩時間をとらなければならないということに実際にはなるようでございますが、いか がでございましょう。特にございませんでしょうか。4時間運転しても大丈夫ですか。 よろしゅうございますか。ありがとうございます。それでは事務局からの御提案のよう に進めさせていただければと思います。どうぞ。 ○赤堀委員  関連して。調査会で出されました御意見は至極ごもっともな御意見だと思うのです が、これはどういう形で反映されるのでしょうか。事務局の方でお答えいただければ …。 ○井村部会長  どうぞ、お願いいたします。 ○事務局  現行のいわゆる距離による基準につきましても、今後改正される時間に関する基準に つきましても、実際には運送の計画を立てる事業者の方に、もちろんこの基準があるか らこの基準内であれば、例えば3時間半運転してもよいと読むということではもちろん なくて、実際の毒物劇物の運送に関しては十分以上注意していただくというものがまず 基本としてあろうかと考えております。こういった事業者等に対する指導というのは、 我々としては現行も十分行っていると考えておりますけれども、今後より一層この基準 改正等の情報提供も踏まえて、適切に運用していただくように指導していきたいと考え てございます。 ○井村部会長  それでよろしゅうございますか。諮問がありましたので、その諮問に対する答申の内 容をここで考えなければいけないという、ただそれだけでございましたが、規則を作る わけではないのでそれでよろしゅうございますか。どうぞ。 ○櫻井部会長代理 これで結構だと思います。多分その前の調査会で御議論があったこ とと思いますが、例えば毎日9時間で週5日働いたとすると45時間になりますね。週5 日の時間外、通常の40時間を超える勤務になりますが、月に20時間になりますかね。計 算はそうなりますか、それくらいならば実態として特別問題はないかと思いますが、月 の時間外勤務、45時間以上あるいは80時間以上、それぞれそういった区切りを設けてい ろいろと労働基準行政の方で産業医の面接を求めるとかいろいろなことをやっているの で、そこら辺との今後の整合性をとっていただきたいと思います。 ○井村部会長  事務局の方、よろしゅうございますか。その点当然御考慮いただくだろうと思うので ございますが、そういうことでよろしゅうございますか。それでは御意見も大体終わっ たかなと思うのですが、御質問が特になければ、この部会といたしましては答申の内容 として運転距離による基準を見直して、国内法あるいは国際的な基準に対する整合性を 考慮しながら、運転時間に基づく基準に改めていくことについては問題ないという答申 をさせていただくということでよろしいでしょうか。  それからとにかく非常に危険な毒劇物を運送しているということでありますので、先 ほど事務局から説明ありましたように、連続運転時間4時間以内、それから一般の運送 業の場合の基準では2日間平均で1日9時間ということだったのですが、これは1日9 時間を超えないというふうに運用させていただくという内容で答申をしたいと思います が、それでよろしゅうございますか。どうぞ。 ○井上委員  私の職責に関係する質問ではないのですが、私大変長距離運転をよくやるものですか ら。この距離に応じて休憩をとるということだと、計画などを立てやすいと思うので す。実際に時間でもってやるとなると、行政指導をやる場合にどのくらい…、高速道で 勝手に途中の路肩で休むことはできませんから。そうすると、休み方などの行政指導と いうのは、かなり細かい配慮が必要になってくるのだろうと思うのです。そういうこと などを、もちろん御専門の行政指導の担当の方がおやりになるのだろうと思いますが、 是非その辺のところをきめ細かくお進めいただきたいと思います。以上です。 ○井村部会長  そうですね。実際に運転していると、どこで休むかというのは…。そういうことでご ざいますので、よろしく御指導ください。ありがとうございました。それではそのよう な答申をさせていただくことにいたします。  もしよろしければその次に移らせていただきまして、次は報告事項でございます。報 告事項の議題は一つしかございませんが、「毒物及び劇物取締法に基づくタンクビーク ル(タンクローリー)に係る運搬基準の改正について」ということでございます。これに つきまして、まず事務局の方から説明をお願いいたします。 ○事務局  それでは事務局より報告事項でございますが、「毒物及び劇物取締法に基づくタンク ビークル(タンクローリー)に係る運搬基準の改正について」ということで御説明させて いただければと思います。  いわゆる毒物又は劇物の運搬容器といたしまして、国際的な基準と申しましょうか、 国際海事機関(IMO)が定めたた海上危険物輸送規定(IMDG Code)に適合する、いわゆ るタンクビークル(タンクローリー)を国内で運送することができる、受け入れることに ついて検討するということでございます。これにつきましては、昨年の当部会において も、実はほぼ同様の件を御審議いただいた経緯がございます。その際はいわゆるポータ ブルタンク、これは「タンクコンテナ」と呼ばれているものでございまして、いわゆる 車が付いていないタンク部分と申しましょうか、船で実際にタンクに外枠の付いたタン クコンテナというものを輸送してきておりまして、それを港で降ろして車両付のトレー ラー等に載せて運ぶというものでございます。このいわゆるポータブルタンクについて の運搬基準の改正というものを昨年当部会で御審議いただいてございます。  それとほぼ同じ内容になろうかと思うのですが、このいわゆるIMDG Codeの中ではい わゆるタンクコンテナのタンク、タンクローリーのタンクについては実は基準が全く同 じでございます。前回御審議いただいた際に、このIMDG Codeに基づくポータブルタン ク、タンクコンテナであれば国内で受け入れても構わないのではないかということで御 審議いただいているところでございます。  それでは若干現行の規制について、簡単に御説明申し上げさせていただきたいと思い ます。現行の規制につきましては、また参考2を御覧いただけますでしょうか。参考2 を1枚おめくりいただきまして、「運搬容器に係る規定」というものがございます。毒 物及び劇物取締法におきまして、今度は施行令第四十条の二で定める毒物又は劇物、こ の場合につきましては、無機シアン化合物たる毒物、これは液体状のものに限るという ものでございます。それからもう一つでございますが、弗化水素、若しくはこれを含有 する製剤、この2種類でございます。この毒物又は劇物を運搬する場合の容器について は基準を設けてございまして、第四十条の二の第二項の第一号、例えば容器の内容積に つきましては1万L以下であるということ、それから第五号でございますが、内容積が 2,000L以上の容器にあってはその内部に防波板を設けるということが規定されてござ います。これは容器の内容積が2,000L以上の場合につきましては、内部の液体、これ は運転をしている際に右へ振れる、左へ振れるとその内部の液体が動揺いたしまして、 車両が傾くと。万が一の場合には、転倒などが起こり得るということから、この中にい わゆる防波板というものを設けて、この車両の転倒を防止するという措置を採っている わけでございます。これは容器の内部にいわゆる防波板を設けるということとされてお ります。  それからこの国内の関係法令につきましては、先ほども御説明申し上げましたいわゆ る消防法、こちらもほぼ同様の基準を持っております。タンクローリーの基準につきま して、先ほど御説明申し上げた危険物の規制に関する政令、並びに危険物の規制に関す る規則、この改正を12月に行っておりまして、国際的な整合性を図る観点から、IMDG Codeに準拠したいわゆるタンクローリーに関する特例を定めております。中身につきま しては、また参考3を御覧いただければと思います。官報の写しでございますが、先ほ どは危険物の規制に関する政令の一部を改正する政令でございまして、今度は四角囲い の右半分になりますけれども、国際海事機関が採択した危険物の運送に関する規程に定 める基準に適合する移動タンク貯蔵所については、総務省令で特例を定めることができ るとされております。これは消防法の中では、実は先ほどのタンクコンテナ、それから タンクローリーというのは「移動タンク貯蔵所」という名前で定義されているものでご ざいます。詳細につきましては、また一枚おめくりいただきまして、今度は省令事項に なっておりますが、四角囲いのやはり右半分になります。国際海事機関が採択した危険 物の運送に関する規程に定める基準に適合する移動タンク貯蔵所の基準の特例というこ とで、このIMDG Codeに適合するものについては特例を定めまして、日本国内における 基準と同等というようなことで所要の改正を行っているところでございます。  それでは資料2-1にお戻りいただければと思いますが、このIMDG Codeについて若干補 足説明させていただきますと、IMDG Codeにおきましては、実際にこの防波板の規定と いうものがないわけではございませんで、防波板については実はその内部、液体の充て ん率によって定めるべきであるという基準となってございます。実際には20%、それか ら80%、この二つの基準がございますけれども、80%以上内部の液体を積んでいる場 合、いわゆるタンクローリーの中で100%に近い状態で充てんされておりますと、内部 の液体の動揺が余り起こらないということ。それから20%未満の場合についても、やは りこれは内部液体の動揺で慣性等で右へ振られる、左へ振られるというのがほとんど起 こり得ないというようなことでございます。逆に言いますと、20%〜80%の中で液体を 運ぶ場合には、防波板を設置しなさいという基準になってございます。  国内のいわゆる毒劇法に基づく基準と、それからIMDG Codeの基準の比較表につきま しては、資料2-2、それから資料2-3に対比表の形で載せてございます。例えば資料2-2 でございますが、無機シアン化合物の運搬容器に関しまして、左側がいわゆる毒劇法の 規制、それから右側がIMDG Codeによる国際規則ということになってございます。これ は昨年、いわゆるタンクコンテナの基準の特例を定める際に御審議いただいたものと同 じものでございますけれども、先ほど御説明した例えば内容積であれば、国内は1万L 以下にするというのが、IMDG Codeでは基本的には制限がないということ。防波板につ いては、国内2,000L以上の容器の内部に設置するということが国際規則上は20〜80% 未満の場合であって、かつ7,500L以内ごとに設けるという基準となっているというこ とを対比表で記載させていただいているところでございます。  また資料2-1にお戻りいただければと思いますけれども、事務局として今回のいわゆ るタンクローリーの件につきまして、基準の改正案ということでお示しさせていただい ているものを御説明申し上げますが、我が国における毒劇物の運搬に関しては、従来よ り所要の技術的基準等を定め規制を行ってきたところでございます。IMDG Codeに適合 した容器により毒劇物の運搬が行われる場合にあっては、厚生労働省令で定める基準と 同等の安全性を担保することが可能であると考えられることから、国内また国内の関係 法令との整合性を図る観点から、特例措置を設けることといたしたいということです。 内容については昨年御審議いただいたものと同様でございますが、IMDG Codeに適合す るタンクローリー(タンクビークル)によって、毒物又は劇物の運搬が行われる場合にあ っては、先般の基準と同様、ポータブルタンク(タンクコンテナ)における特例措置と同 様の特例措置を設けることといたしたいということでございます。  それから先般行われました取扱技術基準等調査会におきまして、本件について御審議 いただいております。内容につきましては、国際海事機関IMOが採択した国際海上危 険物輸送規定(IMDG Code)に適合するタンクコンテナ、タンクビークル(タンクローリー) について日本国内で受け入れることについて問題ないと判断されたということでござい ます。  すみません、議事要旨の中に「タンクコンテナ」と書いてございますが、これは「タ ンクビークル(タンクローリー)」の誤りでございます。大変失礼いたしました。以上で す。 ○井村部会長  (2)の一番下ですか。 ○事務局  そうです。 ○井村部会長  そこは「タンクローリー」と直していただきたいと思います。以上でございましょう か。どうもありがとうございました。それではこれも取扱技術基準等調査会が先月の13 日に行われたそうでございますが、何か特に金原先生の方から付け加えていただくこと はございますか。 ○金原委員  こちらの方は全く問題ないという感じですけれども、特段の問題がないという判断に すぐになってしまい特別な議論はなかったのですが、事務局の御説明にありましたよう に既にタンクコンテナで認められていることをまたタンクローリーにということですの で、それは全く問題がないのではないかというのが結論でございました。 ○井村部会長  ありがとうございました。先ほど事務局の方からは一緒にやってしまえばよかったと いうお話がございましたが、確かにそのとおりでございまして、たしか前の年の12月に この部会でタンクコンテナ、防波板についてはIMDG Codeに合わせるということで御判 断を頂いております。それと全く同じことをタンクローリーについても適用するという ことにつきましては、いかがでございましょうか。何か御意見、御質問ございましたら どうぞ。よろしゅうございますか。それではこの前と全く同じ話でございますので、問 題がないというふうに判断させていただいてよろしいでしょうか。ではそのようにさせ ていただきます。  これで審議事項、報告事項一つずつ議題は終了したのでございますけれども、ほかに 事務局の方から御提案、あるいはこれからの予定について何かございますか。 ○事務局  それでは本日御審議いただいた内容について事務局の方で適宜まとめさせていただき まして、委員の先生方に御確認いただきました上で、来月22日に開催予定となっており ます薬事分科会におきまして、本部会の御審議の結果を事務局より御説明させていただ ければと思います。 ○井村部会長  はい。ではそのようにさせていただきます。ほかに何か事務局の方でございますか。 ○事務局  はい、次回の開催予定についてですが、現在未定でございまして、審議事項等が固ま り次第、また別途開催場所等について御連絡させていただく予定でございますので、そ の節はまたよろしくお願い申し上げます。 ○井村部会長  はい、ありがとうございました。それでは本日の審議はこれで終わりとさせていただ きます。お忙しいところどうもありがとうございました。                                    ( 了 ) 連絡先:医薬食品局審査管理化学物質安全対策室 室長補佐 近藤(内線2910)