04/02/12 独立行政法人評価委員会労働部会第8回議事録         独立行政法人評価委員会 労働部会(第8回)議事録                           平成16年2月12日(木)                           14:00〜17:00                           厚生労働省省議室 出席者:井原部会長、川端委員、篠原委員、竹内委員、寺山委員、古郡委員、     保原委員、村山委員、横倉委員 1. 開会 ○井原部会長  それでは定刻となりましたので、ただ今から第8回独立行政法人評価委員会労働部会 を開催させていただきます。委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただ きまして、誠にありがとうございます。  今回は、今野委員、松田委員、本寺委員が欠席でございます。  それでは、はじめに事務局より本日の議事について簡単に御説明願います。 ○川尻政策評価官  それでは本日でございますが、2つの法人について御審議いただくという予定にして おります。まず最初に、3月に設立予定でございます雇用・能力開発機構、これにつき ましては前回御説明しませんでした予算、資金計画、収支計画、業務方法書及び長期借 入金に関する計画、こういうものも出揃いましたので、それを御説明して御審議いただ こうと思っております。  その御審議を1時間程度と考えておりますが、その後、事務局の入替等がございます ので、2つ目の審議に入る前に小休憩をいただきたいと思っております。その後、4月 に設立予定でございます労働者健康福祉機構、この中期目標等につきましての第1回目 の御審議をいただきたいと、このように考えております。  それからお手元の資料1−14でございますが、委員名簿を改めて配布させていただき ました。これは本寺委員が本日御欠席でございますが、本寺委員の所属に御変更があり ましたので、改めて配布をさせていただいているということでございます。私のほうか らは以上でございます。 2. 審議(第1部) ○井原部会長  それでは最初に雇用・能力開発機構につきまして、前回審議を行った際の委員からの 御指摘事項、それに関する回答、それから前回説明がございませんでした予算、資金計 画、収支計画、これについてまず説明をお願いしたいと思います。 ○妹尾総務課長  職業能力開発局の総務課長の妹尾でございます。それでは御説明を申し上げたいと思 います。前回の委員会のときに御質疑がありました宿題が3点ほどございます。これを 御説明し、続いて前回御提出できなかった予算計画等について御説明をしていきたいと いうように思っております。  まず、お手元の資料の中期目標・中期計画の対比表を御覧いただきたいと思います。 資料5−8でございます。5−8の対比表の2頁を御覧いただきたいと思います。2頁 の真ん中ほどにアンダーラインが引いてございますが、助成金、融資等の業務に係る手 続にかかります日数でございます。平均処理期間を見まして、前回は全体として平均処 理期間を10%以上短縮すると、こういうことでお出ししておりました。それに対しまし て委員のほうから、単純に10%以上短縮するということのみならず、助成金等の処理期 間が特に長いことが問題になるわけであろうから、その状況なり背景を踏まえた見直し が必要ではないかという御指摘をいただいたところでございます。  私どもとしましても精査しまして、御指摘は御尤もでございますので、御覧いただい ておりますように中期目標・中期計画としましては、平均処理期間が特に長い助成金等 について重点的に平均処理期間を短縮すると、長いものについて重点的に見直していく ということを表明させていただいております。それをもって平均処理期間全体としては1 0%以上短縮するということにさせていただければと思っております。  その関係で資料5−14がございます。助成金の支給、融資等の処理期間状況について という資料を用意しております。この「1」にございますように、現在、機構では全部 で30種類の助成金、融資等の処理を行っております。これに係る平均処理期間が28日で ございます。そして、この30種類につきまして、処理期間の長短の観点から分析しまし たところ、その真ん中ほどの表にございますように、28日以内、平均処理期間以下のも のが14種類ございます。それから29日〜60日未満のものが6種類、60日以上のものが10 種類でございます。そして、この表の下に「※」で書いてございますように、これらの 助成金に対して寄せられております改善要望を見ましても、やはり60日以上のところに 非常に改善要望が多いということでございます。前回、各委員から御指摘いただいた観 点がまさに顕在化しておるというようなものでございます。  それで、この処理期間が長くなっています主な理由としまして3つほど「3」のとこ ろで掲げてございます。当然と言えば当然でございますが、各申請書類の内容、記載事 項及び添付の書類につきまして補正が必要である、あるいは確認に時間を要するという ことでございます。あるいは、添付書類等の種類が多く、それらのそれぞれの突合など に時間が必要である。あるいは、審査において疑義が生じた場合の実地調査に時間が必 要だと、このような状況がございます。  それで助成金なり融資の支給でございますので、適正な処理を図るという観点が一番 重要なのは当然でございますが、その適正な処理を前提とした上で、やはり添付書類の 数なり、申請書類の記入の方法についてもう少し申請者の方の便宜を図る余地があるよ うでございます。そういう点を改善することで60日以上かかっているようなものについ て、特に短くしていく余地があるというように思われます。そこを改善していきたい と、このように考えております。宿題の1点目の御説明は以上です。  あと宿題につきまして2点ほど担当から御説明しまして、また再度私のほうから予算 等について御説明したいと思います。 ○伊岐企画課長  恐縮でございますが、引き続きまして、もしよろしければ宿題を一括して御説明をお 聞き取りいただけますでしょうか。勤労者生活部企画課長でございます。  私ども財形融資を所管しておりますが、お手元の資料5−8の中期目標案・中期計画 案対比表でまいりますと14頁、財務内容の改善に関する事項の1番目の財形融資業務に つきまして、「累積欠損の解消に向けて当該計画を着実に実行する云々」の下りがござ います。この関係で累積欠損に関しましてその発生した原因等々、前回御質問があった ところでございます。その際には簡単な口答の御説明しかしておりませんので、今般お 手元に資料を用意して御説明させていただきたく思います。  資料5−15をお開きいただきたいと思います。先生方、御案内のとおり財形融資制度 は勤労者の皆様が営々と努力していただいております財形貯蓄、その残高を活用しまし て勤労者の方々が財産形成のために、住宅建設等にお使いいただくための還元融資制度 でございます。この融資制度につきましてはお陰さまでこの5−15の資料1、2枚目を 捲っていただきますと、この数年特に御利用が進んでいるところでございまして、平成 14年の貸付決定件数は6,858件、貸付決定額約1,454億円にのぼっているところでござい ます。  そういう堅調な御利用をいただいているところでございますが、実は構造的にこの融 資制度の下で累積欠損が発生する状況にこれまであったということでございます。この 原因につきまして、戻りまして5−15の(2)のところを御覧いただきたいと思いま す。累積欠損金が生じた理由及びその推移というところで簡単に御説明を書かせていた だいているところでございますが、実を申しますと平成10年までは財形融資業務につき まして、調達金利と皆様に御利用いただきます貸付金利につきまして一定の乖離が発生 するような仕組みとなっていたところでございます。調達につきましては金融機関に御 協力いただきまして、利付債券を買っていただく仕組みでしたが、これを10年固定の利 率にしておったところでございます。一方で勤労者の方々がお借りになる時点での貸付 金利というのは変動金利ということにいたしておったところでございます。この不整合 のために急速な金利低下局面では逆ざやが発生してきてしまったということでございま して、このあたりが累積欠損の原因になってきたところでございます。  このことを解消するために、またさまざまな御利用のしやすさを図るために、平成11 年度に調達金利と貸付金利の関係を改めて、調達につきましても5年固定利付債券、そ れから貸付金利にしましても5年固定という形で、調達と貸付についての構造を同じく する制度改善をいたしたところでございます。さらに加えまして、実はその前の段階で は繰上償還であるとかさまざまな変動に対応し、危険分散のための上乗せ金利を設定し ていなかったところでございますが、平成11年度にはそのようなことも設定することと し、その結果を活用しながら累積欠損金の解消にも努めようということで改正をしたと ころでございます。平成14年度末の累積欠損額は413億円でございますが、実は今申し 上げましたような改正の効果もありまして、その伸びが鈍化しております。  資料の2を御覧いただきたいと思いますが、当期欠損金は平成12年度をピークに減っ てきておりますので、その当期欠損金が減ってきたことの効果としまして、累積欠損金 の伸びは徐々にではございますが減ってきているところでございます。こういう減少傾 向をさらに進めて累積欠損をゼロにしたいと考えているところでございますが、今後の 予定としましては、先ほどの中期目標・中期計画のところにもございますように、別途 収支改善のための、累積欠損の改善のための計画をつくろうということになっておりま して、それが資料3でございますが、財形勘定収支改善計画表(損益計算書ベース)と いうものでございます。  今申し上げましたように、若干のスプレッドも付けて、それから逆ざやが生じないよ うにというような設定方法に改めた関係で、見ていただきますように平成15年度までで 当期損金の発生は終る予定ができそうでございます。逆に平成16年度からは今申し上げ ましたようなことから、支払利息と貸付金利息の乖離が利益金という形で出てまいりま すので、これが徐々に累積損金を減らしていくという効果があるところでございます。 因みに、この収支改善計画表の前提となっている諸条件につきましては、その後ろの頁 に簡単でございますが書かせていただいておりますが、やはりいかにしてもまず貸付を 一定規模以上御利用いただきませんと、せっかくこういう設定金利にして累積欠損を解 消しようとしても、順調に解消が進んでいかないわけでございますので、ぜひ独立行政 法人になった場合にも一生懸命に御利用いただけるような努力をしていただく必要があ りますということが一つ。それから、やはり繰上償還などさまざまなリスクヘッジとい うことがございますので、これはやはり今申し上げましたスプレッドみたいなものを常 に実施して利率を設定していくということが必要になってくるかと思います。  この関係でだいたい平成22年度ぐらいには私どもが予定した前提の下では累積欠損が 解消する予定でございますが、今申し上げましたような外界の環境、御利用の進み方、 それからもう一つ、やはり市中金利なり民間の金融機関のさまざまな仕組みとの関係も ございます。私どもの見込みとしてはこういうことで順調に累積欠損解消をしていきた いと考えているところでございますので、どうぞよろしくお願いします。 ○岡崎総務課長  引き続きまして3つ目でございます。職業安定局の総務課長の岡崎でございます。よ ろしくお願いします。資料5−16でございますが、雇用促進融資の債権回収について御 説明したいと思います。  それで雇用促進融資につきましては、そこにありますように、中小企業等におきまし て社宅でありますとか、あるいは体育施設、訓練施設、そういうものをつくる際の融資 ということで、35年の長期低利融資をしているものでございますが、平成14年度に撤退 いたしておりますので、新しい独立行政法人におきましてはこの債権管理回収というこ とのみが業務になるということでございます。  それで現在の貸付状況等でございますが、2にございますように、貸付金残高は290 億円を見込んでおります。それで、これらにつきましては現在は若干精査中ではありま すが、そこにありますように、破産更生債権等に分類されるものが約2割、63億円程 度。それから貸倒懸念債権が約9%、25億円ということでございまして、一般債権が200 億円ぐらいということでございます。そういうような状況でございます。  一方、これらの原資でございますが、これは財投からの借入で賄ってきております。 それで財投の借入残高は(2)にありますように、375億円でございます。貸付より多くな っているのは、財投が25年の長期借入をやってきているということで、期間が来るまで 返せないこと。一方で、この低金利の下で事業主の方に貸しておるほうは繰上償還され ているので、そういう意味で資金が余っているとこういう状況になっているということ でございます。  それで今後の見込み等につきましては3にございますが、既に財投借入が多いという ことから約100億円の現預金がございます。それからそれと共に、それだけでは財投を 返して、かつ破産更正債権の貸倒れ等に充当するには必ずしも十分ではないということ がございますので、現在の雇用・能力開発機構の剰余金の中から財形勘定へ貸し付けて おります100億円、これを併せまして独法移行時に190億円あまりの資金をこの財投への 償還と債権回収への引当というような形で積み立てると、こういうようなことにしたい と考えております。この190億円の積み立てによりまして、財投への償還を含めまして 全体として最終的に問題がないような形で債権管理ができるというように考えておりま す。 ○妹尾総務課長  それでは説明ばかりで恐縮でございますが、最後に私のほうから中期計画期間中の予 算等について再度御説明を申し上げたいと存じます。  対比表になっております資料の次に、資料5−9と5−10に中期目標、中期計画の案 をお付けしております。当然、対比表になっているものと中身は同様でございますが、 この資料5−10の中期計画の資料の束の最後の4頁分を御覧いただきたいと存じます。 全体の通し番号を付けてなくて恐縮でございますが、この4頁分、別紙1−1というの が中期計画期間中の予算、それから次の頁に別紙2として収支計画、別紙3として資金 計画をお付けしております。中期計画期間中の予算を示すもの、その予算を元にして資 金計画等を示すものでございます。  それで別紙1−1、予算をまず御覧いただきたいと存じます。予算総括表でございま す。御覧いただきますと分りますように、上に収入を挙げてございます。下半分は支出 でございます。勘定区分として横の欄のほうを見ていただきますと、一般勘定と財形勘 定、宿舎等勘定、炭鉱援護勘定、こういうように4つに勘定区分をしております。一般 勘定は、機構の中心的な業務でございます雇用開発に関する業務及び職業能力開発に関 する業務に関するものでございます。財形勘定は文字通り財形の部分、それから宿舎等 勘定は雇用促進住宅、勤労者福祉施設に関係する勘定でございます。炭鉱援護勘定は、 炭鉱離職者等の援護業務に関するものでございます。それで、宿舎等勘定のうち勤労者 福祉施設につきましては、譲渡業務が17年度末で終了でございます。それから、炭鉱援 護勘定につきましても、炭鉱離職者に関する特別法の廃止に伴いまして16年度末で廃止 の予定でございます。収入の縦の欄を御覧いただきたいと存じます。  運営費交付金、これは一般管理費等に関しまして交付される交付金でございますが、 効率化による削減を反映した上で計上させていただいております。次に施設整備費補助 金でございます。これは能力開発施設等の整備に関する予算でございますが、能力開発 施設の老朽化等が予想されることから計画的な修繕・補修を行うということで見込額を 計上させていただいております。そして、補助金でございます。これは雇用失業情勢等 に対応するための事業に関する補助金でございます。事業量自体は将来の雇用情勢の変 動に応じ上下することが予想されるわけでございますが、予算としましては基本的に16 年度と同額で載せさせていただいております。ただし、各種の助成金などがこの中には 含まれておりますが、助成金等について見直しを行うことにしているものにつきまして は、改廃等につきましては反映をさせていただいた予算額になっております。そして、 補給金でございます。これは勤労者財産形成の利子補給金でございますが、16年度と同 額で計上させていただいております。そして、業務収入でございます。これも見込額と して中期計画期間中の見込額を計上させていただいております。この内訳でございます が、職業訓練の事業収入、これは在職者訓練等に係る受講者からいただく受講料等でご ざいます。この他に雇用促進融資の回収金などを含んで計上させていただいておりま す。そして、受託収入を次に挙げております。機構は国などからの委託事業がございま す。これにつきましても基本的に16年度と同額を計上させていただいております。その 他の収入として、79億円ほど計上しております。中心になりますのが雑収入などの見込 額を計上させていただいているものでございます。  以上が収入でございます。全部で合計欄にあるような金額になっているところでござ います。  支出の欄を引き続いて御説明していきたいと存じます。一般管理費で人件費と物件費 をあげております。このうち人件費は役職員の給与、退職手当、法定負担金などを計上 させていただいております。前回も御議論いただきましたように、計画期間中に600人 の人員削減するというようにしております。これが600人の削減を盛り込んだ人件費と して計上させていただいております。そして、物件費でございます。これについても人 件費と合わせて計画期間中に15%の経費削減を行うということにしておりますので、そ れを盛り込んだ形での計上となっております。そして、業務経費でございます。業務経 費としましては、御覧いただいておりますように5種類のものをあげております。この うち運営費交付金等に充当する経費につきましては、同じく15%以上を削減するとい うことで計上させていただいております。雇用促進住宅等関係業務経費がございます。 これにつきましては雇用促進住宅の譲渡を推進していく中での計画修繕がどうしても必 要だということで、その計画修繕に関する経費は計上させていただいております。その 次の項目でございますが、施設整備費でございます。先ほど収入のところでも申し上げ ましたように、能力開発施設の老朽化を踏まえた計画的な修繕を行うという前提で計上 させていただいております。受託業務費は基本的に16年度と同額で計上させていただい ております。以上、主な支出項目でございます。これに基づく中期計画期間中の支出と いうことで計の欄に計上させていただいております。  なお、欄外に、一番下のほうですが、人件費の見積という欄がございます。ここでい います人件費につきましては、上の総括表の中の人件費の額に加えまして、常勤嘱託の 方を、これはアドバイザーなどでございますが、そういうアドバイザーの方の人件費も 含めて、全体としての人件費の姿が分るような形で人件費の見積を注記させていただい ております。期間中総額2,155億円ほどでございます。  次の頁に別紙1−2として、運営費交付金算定ルールを付けてございます。若干数式 が並んでおりますが、これは一定のルールで運営費交付金の額を算定するということ で、今回の見直しを担当しております中央省庁等改革推進本部事務局の示した考え方を 参考にしまして、一定のルールの下で交付金を算定したということを示すものでござい ます。運営費交付金を15%減らしていくという大前提でございますので、それに必要な 15%に到達するための必要な削減のさせ方をしているところでございます。一定のルー ルに基づいて交付金を算定したということを御理解いただければと思います。  それから別紙2と別紙3、収支計画、資金計画でございます。基本的に予算計画に計 上させていただいております金額、各費用の交付金額を基に算定、計上させていただい ておりますので、個々の項目の説明は省略させていただきたいと思います。収支計画は 中期計画期間中の損益を明らかにしたものです。それから資金計画は文字通り計画期間 中の現金、資金の出入りを明らかにしたものでございます。説明は以上でございます。 ○井原部会長  ありがとうございました。それでは以上の説明についてなにか御質問をお願いしま す。 ○篠原委員  助成金の支給、融資等の処理期間の状況について御質問しますが、処理期間が長くな っている理由がいくつか書いてあるんですが、受付けてから実際に処理するまでの時間 と実際の処理の時間とがあると思うんですが、ここに書いてあるのは処理期間としても 60日かかるのか、それともマンパワーがある時不足し、そのために滞留期間が長い部分 も含まれるのか、その辺はどうでしょうか。 ○妹尾総務課長  ここで60日なり何なりを示してありますのは、受付から支給決定するまでの時間でご ざいます。全体的に見てマンパワーの関係で滞留というのはあまりないようですが。 ○落合総務部長  今、総務課長から説明いただきましたが、全体としてはマンパワーの関係というのは ありません。また私どもとしましては、マンパワーの関係がある場合には、忙しい部門 に応援を出して処理してきましたし、今後もそのように実施していきたいと考えていま す。 ○篠原委員  そうするとこの60日というのは、業務処理上はそのぐらい必要なんだということです か。 ○落合総務部長  そのとおりでございます。 ○篠原委員  次に、勤労者財産形成促進業務に係わる累積欠損金について御質問させていただきた いのですが、法人側で累積欠損を消すために努力して、我々評価委員が評価ができる部 分というのはあるんでしょうか。比較的制度がきちんとなっているので、型通りにしか 処理できないのか、ある部分独法の方である種の努力というか、やはりよくやったとい う評価をしなくてはいけないのか、すべきというような要因は存在していますか。 ○伊岐企画課長  先ほど御説明しました5−15の資料3というのが、まさに機構のほうで私どもと相談 しながら収支改善をどういうようにしていこうかと考えた表でございます。それで今の 御質問の趣旨は、いわゆるスプレッドを付けて返せるようにしたという仕組みでもう終 ってしまっているのではないかと。それ以外の努力はどうなんだということであろうか と思いますが、当然、事務費的なものの無駄なことを点検するということはあろうかと 思いますが、多くは、やはり今のスプレッドをうまく活用して早く累積欠損を解消して いくこと。したがいまして、要は財形融資をたくさん御利用いただければスプレッドの 効果が非常に大きく出てくるわけでございます。したがって、収支改善計画書の後ろの ほうにあります前提条件、すなわち過去5年平均の1,340億円の貸付額で計算しており ますが、融資額が増えればこれよりも早く解消に進むということにもなろうかと思いま す。そういう意味では中期目標・中期計画で一生懸命いろいろ広報することとしており ますので、そういう努力が最終的にはこの部分を早める効果につながるかと思っており ます。 ○横倉委員  今の件に関連して、こういうスプレッドの変更というのはそう頻繁にはできないと思 いますが、そういうことはこの期間はほとんど金利のことですからまた変動があると思 いますが、そういうのが随時見直せるような性格のものなのか、それともこの期間中は もう動かせないのか、そのへんはいかがでしょうか。 ○伊岐企画課長  後ほど長期借入の関係でも説明が少し出てくるかと思いますが、私どものお貸し出し する金利の設定は年に4回変えております。これは基本的には調達金利に見合って常に リバイスしておりますが、ただ一方でスプレッドにつきましては固定しております。例 えば金利が上がったからスプレッドを下げるとか、下がったからスプレッドを上げると いうようなことはしておりません。と申しますのは、やはりこれは調達に応じてくださ る金融機関の皆様、それから当然ですがこれは国の事業として国民の皆様のお金をお預 りして還元融資するわけでございますので、当然財務当局から信頼を得られるような金 利設定にしなければならないわけでございます。したがいまして、中期目標にもこの利 率の決定には関係機関と十分に調整を諮るというようなことになっておりますので、で きれば今まで通りの仕組みをしながら無理なくスプレッドを運用していきたいと、こう 考えております。 ○横倉委員  金利そのものは上下するわけですね。 ○伊岐企画課長  はい、そうです。 ○川端委員  この金利ですが、これは例えば銀行なんかの金利とどれぐらいの差があるのかという ことと、それから金融機関との関係でどういう位置付けにしているのか。 ○伊岐企画課長  実はスプレッドの意味も多目的な意味がございますが、実を言いますと調達にはかな り低い金利で5年ものの利付国債にほぼ見合った形で金融機関が応じてくださっている ところでございますが、そのままの形でお貸ししますとこれは逆にせっかく調達に応じ てくださっている民間金融機関の融資を圧迫してしまうということになります。したが いまして、適切な市中金利、特に民間等の状況も勘案しながら、それと比べて過度に有 利な形にはならないような金利設定ということも十分意識してやっております。したが って、今スプレッドが0.69という実際の調達の金利に上乗せで0.69を足しているという ことでございますので、そういうことをしながら民間の金融機関の、特に最近はかなり 民間の住宅ローンも競争が激しくなってまいりまして相当下がっております。私どもの ローンの仕組みよりもっと有利なものもチラホラ出てきているようでございますが、逆 に我々が民間の金融機関よりも不利な設定では、これは勤労者財産形成業務として認証 する意味もございません。一方で、あまり有利になり過ぎると民間の融資を圧迫する と。そのへんのいろいろなバランスを我々なりに考えて、先ほど申し上げました関係機 関とは調整を図りながら行くということであるかと思います。 ○川端委員  銀行ではそれほど大きな差はないので、銀行で借りるか、こちらで借りるかという場 合に、勤労者で例えば銀行では借りられないけど、こちらでは借りれるというそういう のはあるんですか。 ○伊岐企画課長  こちらは財形貯蓄をしていただいていれば、必ず借りられる制度となっております。 ですから、そこがやはり私どもが法律をつくってわざわざ勤労者のための融資制度を設 けているというところです。 ○井原部会長  ちょっと一つ教えてください。スプレッドを乗っけたわけですね。それで貸出金利が 上がったということだろうと思いますが、一般においてデータをみると融資決定額とい うのはどんどん最近は増えていますね。相対的に金利が上がっているが増えているとい うのはなにか事情があったんですか。 ○伊岐企画課長  先ほど申し上げましたように、前は10年もの利付国債に見合うような形で調達をして おりましたが、金利は変動金利を取っておりました。それで、今回まず5年固定にした ということ。それで逆に調達に応じてくださる金融機関の皆様には5年もの利付国債に 見合う調達金利で応じていただくようにしたわけですが、相対的に調達金利は下がった わけでございます。ですから、金融機関の皆様の大変な御協力の下にこの金利ができて いるということでございます。 ○井原部会長  そうすると貸付条件は悪くなっていないということですか。 ○伊岐企画課長  そうです。 ○井原部会長  分りました。それともう一つ教えてください。この個人向けの場合は期間のミスマッ チからいろいろ累積欠損が発生したのは分るんですが、もう一つの雇用促進融資のほう で財投借入のほうは固定金利ではないんですか。 ○岡崎総務課長  借入時点と、それから貸出時点の差がついてきますので、要するに高金利のときに貸 したものが皆繰上償還されていますので、現実的な貸付金利が下がっているというのは あります。 ○井原部会長  では、こっちでは損失が発生していないということですね。雇用促進融資のほうは。 ○岡崎総務課長  ですから繰上償還されてしまっていますので、本来貸したときに入ってくるべき想定 した金利の分が入ってこなくなっていますから、その分は補助金で対応しております。 ○井原部会長  分りました。他に。 ○篠原委員  雇用促進融資の債権回収のことについてちょっとお聞きしたいんですが、この説明だ と独法になっても資金的には十分破産更生債権等を回収できなくても大丈夫になってい るということですから、いわゆる破産更生債権の取立て、これを読み上げればいいのか な。このへんの数値的な目標というのは何かありますか。 ○岡崎総務課長  おっしゃるように、既に貸出も終っているから新規貸出の審査とかそういうのはもう まったくありませんので、あとは破産更正債権等なり貸倒懸念債権なりをどうやってで きるだけ迅速に回収するかというのが独法として努力する基本だと、このように思って います。  それで、数値的な目標というよりは、とにかく独法発足時にこれまでの特殊法人時代 の剰余金を含めて190億円積むので、これを絶対に超えることがないように最終的な償 還をしていただくということをお願いしたいと、このように思っております。 ○篠原委員  中期計画の予算について質問したいんですが、まず予算のところでは収入より支出の ほうが90億ぐらい多くなっています。注3の収入不足については積立金から充当すると いうことで考えているんですか。 ○岡崎総務課長  今のはおそらく雇用促進融資の部分でも発生していると思いますが、これについては 財投の償還の時期が順次来ますので、その分を積立金等を活用しながら返したり、それ から貸倒れ処理をする際にも積立金を充当するということで、それでそういう額になっ ています。 ○落合総務部長  もうちょっと申し上げますと、要は雇用促進融資とか財形融資等において資金の回収 と償還の時期にズレがございますので、そういう理由で積立金から充当しているという ことでございます。 ○篠原委員  細かいことで申し訳ないんですが、宿舎等勘定で一般管理費が発生していますが、こ こは運営費交付金が交付されていない。そうすると、これは補助金か業務収入で本来は みろということですか。 ○岡崎総務課長  その分は福祉施設では17年度末までに全部処理することになっているんですが、この 部分については補助金も含めての対応ということでございます。これは4年度で出てい ますが、最初の2年度だけであります。それで、施設の整理がさらに進めばこの額はも う少し減らせるのではないかというように考えております。 ○井原部会長  他によろしゅうございますか。それでは引き続きまして業務方法書案について御説明 お願いしたいと思います。 ○妹尾総務課長  それでは御説明申し上げます。資料5−11を御覧いただきたいと思います。業務方法 書の案をお示ししております。  まず目次を御覧いただきますと分りますように、全体を5つの章に分けております。 それで中心になりますのは第2章の業務の方法のところでございます。各業務の実行に ついて規定をしたものでございます。ざっと章に沿って御説明をしてまいりますが、第 1章総則、目的でございます。他の法人とも同様でございますが、通則法、あるいはそ の他の省令の規定に従いまして運営を行うことを言明したものでございます。第2条が 業務の執行、第3条が業務運営の基本方針でございます。基本方針のところでは当然で ございますが、中期目標、それに応じる中期計画、それと関係法令に沿った効率的な運 営を実施すると。それをもって法律の目的を達成するということを規定しております。  第2章が業務の方法でございます。第4条から各業務について規定をしております。 第4条、ここの条文の御説明は省略させていただきますが、第4条から第15条までが能 力開発を中心とした、あるいは雇用管理に関する部分の業務に関する規定でございま す。第16条から第22条までが財形業務に関する規定ということでございます。いずれも 各条文の頭を御覧いただきますと分るように、個別法上定められております業務に関し まして業務の実施を決めておるものでございます。  それから飛びまして10頁以下が第3章になっております。第23条、第24条が業務委託 の基準に関するものでございます。業務委託を効率的に実施するためのその基準を定め たもの、それから委託の際の契約の内容について定めたものとなっておるところでござ います。  11頁からが第4章になっております。競争入札その他契約に関する基本的事項でござ います。第25条が契約の方式でございます。一般競争入札、指名競争入札、随意契約等 の契約に関する規定を置いたものが25条でございます。第26条が落札の方式でございま す。第27条は会計規程への委任規定となっております。  第5章、28条がその他の機構の業務の執行に関して必要な事項ということでございま す。  12頁以下が附則規定でございます。12頁の第1条にありますように、施行期日、3月 1日からの施行を定めますと共に、第2条、従来の業務方法書の廃止を決めたものでご ざいます。それから暫定的な附則業務として整理された業務につきまして、その暫定業 務の範囲等を業務法上規定させていただいております。これが附則の主な点でございま す。  以上、ざっとでございますが、業務方法書について御説明申し上げました。 ○井原部会長  それでは以上の説明でなにか御質問はございますか。よろしゅうございますか。  それではこれで雇用・能力開発機構の中期目標案及び中期計画案及び業務方法書案、 これにつきまして本部会としてこの内容を了承するということにいたしたいと思います が、よろしゅうございますか。                 (全員異議なし) ○井原部会長  ただし、今後は政府部内において調整等がございますので、それぞれの内容について 変更が生じる場合がございます。その場合の取扱いにつきましては私に御一任いただく ということにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。                 (全員異議なし) ○井原部会長  では、そのようにさせていただきます。  次に長期借入金について御審議いただきたいと思いますので、この説明をお願いしま す。 ○川尻政策評価官  それでは具体的な説明に入る前に、部会の進め方でもございますので、私から資料1 −15という条文ですが、その資料も御覧いただきながらお聞き取りいただきたいと思い ます。  それで、独立行政法人でございますが、原則としましては長期借入金、あるいはその 法人としての債券発行というものはできないという形になっておりますが、個別法に特 に定めがあります場合にはこれができるというのが通則法の仕組みでございます。そし て、今御審議いただいております雇用・能力開発機構につきましては、その法律の第15 条によりまして、要するに厚生労働大臣の認可を受けて長期借入金をし、あるいは債券 を発行することができるという規定がございますが、その大臣認可に当たりましては予 めこの評価委員会の意見を聞かなければならない、こういう形になっております。  したがいまして、本来申し上げますれば長期の借入金をする、あるいは債券を発行す る都度、先ほども若干お話がありましたが、だいたい四半期ごとにこの手の資金調達を いたしますが、その度に予め部会を開催していただいて、意見をお聞かせいただくとい うようなことになるわけでございますが、そうするとこれだけで部会を開くのかという ことにもなるわけでございます。  それで以下は書いてございませんが、今後の審議の進め方ということでございます が、既に医療福祉部会のほうでもこのような例をやっているんですが、次のような取扱 いでいかがかと思っております。と申しますのは、前年度末、あるいはその年度の当初 におきまして、その年度の長期借入金、あるいは債券発行につきまして、どういう総額 でやるのかとか、あるいはどういう条件でやるのかというような計画を御説明をさせて いただいて、そして御意見を伺うと。それで、そういう形で御意見を伺いまして御了承 が得られましたら、その計画の範囲内でその総額なり条件が予め御了承いただきました 計画の範囲内であるということが分りましたら、それを部会長に御確認いただくという ような形で、この労働部会として御了承いただいたと、このような取扱いにできないか というようなことでございます。そのような計画をこれから御説明しようということで ございます。  それから、当たり前のことでございますが、その次に部会の開催がありましたら、そ のときにこういう形で債券発行、あるいは長期借入金をしましたという御報告を、紙で 提出するだけになるかもしれませんが、やらせていただこうと思っております。  それから、もう一つ念のためということでございますが、その計画から外れてしまう ようなことがある場合、総額がそれよりもオーバーしてしまうというような場合には、 それは部会の御了承から外れることでございますので、改めて部会に諮らせていただく というようなことを考えております。進め方につきましては以上でございます。 ○井原部会長  ということで総額の御承認をいただいて、その範囲内なら部会長の了解で済ますとい うことにさせていただきたいと思います。よろしゅうございますか。                 (全員異議なし) ○井原部会長  それでは長期借入金の審議については今後は説明のあったような手続で進めるという ことで考えたいと思います。ありがとうございました。それでは本部会としましてはそ のように考えまして、平成15年度及び16年度の雇用・能力開発機構の長期借入金の借入 計画と償還計画について御説明願いたいと思います。これをこの部会で承認するという ことでございます。ではお願いします。 ○村上勤労者財産形成部長  機構の勤労者財産形成部長でございます。それでは長期借入金等計画及び償還計画等 につきまして御説明をさせていただきます。  まず資料5−12を御覧いただきますと、機構の長期借入金等計画案というものをお示 ししております。これは私どもが行います勤労者財産形成持家転貸資金等の融資資金に 必要な資金について長期借入金をし、または雇用・能力開発債券の発行を行うものでご ざいます。  具体的には計画額の欄を御覧いただきますと、15事業年度におきましては雇用・能力 開発債券につきまして472億円、長期借入金につきましては489億円、併せまして961億円 を調達するものでございます。また、16事業年度におきましては、雇用・能力開発債券 が1,998億7,600万円、長期借入金としまして1,542億7,800万円、合計合わせまして 3,541億5,400万円を調達予定するというものでございます。  この金額の積算について若干御説明をさせていただきますと、15事業年度につきまし てはこの16年3月期に必要とする資金でございまして、見込としましてかなり確度の高 い金額というものを計上させていただいております。ここで積算しましたのは、資金支 出として貸付金、あるいは債券の償還金、借入金の償還金、合計合わせまして資金支出 として1,109億円が見込まれているところでございます。これに対しまして、回収金や 前期からの繰越金等で支出に充当できるものが149億円と見込んでおりますので、差し 引き961億円の資金調達が必要になるところでございます。  16事業年度につきましては、先ほど中期計画期間中の資金計画等の際に見込みました 16事業年度の計数、具体的には貸付、あるいはその債券償還金、借入金償還金の合計額 が4,304億円というものに対しまして、支出に充当できる回収金等の金額、これが762億 円ございますので、差し引き3,542億円につきまして資金の調達を行うということを考 えているものでございます。  次に、これらの借入ないし発行条件についてでございますが、次の表を御覧いただき ますと、債券と借入金とに分けて書いてございますが、償還期限としまして債券につき ましては5年の満期一括償還という償還方法になっております。それで長期借入金は1 年で償還するということになっておりますので、長期借入金のほうは1年ごとにサイク ルが来てしまいますので、見かけ上、長期借入金の数字はかなり大きなものが表示され るということになっております。  次に、発行日と借入日につきましてですが、平成15事業年度につきましては3月29日 に具体的に債券発行日というように定めさせていただいております。借入のほうは3月 23日を借入日とさせていただいております。それから先ほど評価官の方から御説明があ りましたように、平成16事業年度のほうは、年4回。具体的には6月、9月、12月、3 月というような発行を予定しておりまして、これらのそれぞれ資金の入金日を機構の最 終営業日の前日、ないしは3月におきましては前々日の債券発行日というように定めさ せていただきたいと思います。借入日につきましては4回、6月、9月、12月、3月の それぞれ23日を借入日とさせていただいております。  借入利率等についてでございますが、債券発行につきましては同一月に発行されます 5年利付の国債とクーポンレートは同一利率というようにさせていただきまして、債券 発行価格は国債の価格よりも25銭安ということで、当方のほうが応募者利回りとしては 国債よりも高い利回りを確保するという格好で利率を決めさせていただいております。 借入のほうにつきましては、借入日の属する月の1日に発表される短期プライムレート と同一ということで、ちなみに1月1日現在では1.475%ということになっております。  続きまして、5−13の償還計画案を併せて御説明させていただきますと、機構になり ます直前の16年2月末の償還未済額としましては、雇用・能力開発債券が6,918億円の 残高になっております。借入金につきましては1,312億円の借入金ということで、合計 8,230億円が2月末の未済額ということで、残高というように御理解いただければと思 います。  それで16年3月の借入見込が(B)の欄に書いてありますように、先ほど御説明しま した債券発行が472億円、長期借入金が489億円ということで、合計961億円を調達。併 せて、今度は3月に償還が起こりますのが、この債券156億円は10年前に発行した10年 債券の償還が満期一括として計上されるということでございます。長期借入金は450億 円が償還額となります。併せて606億円の償還が発生するということでございます。し たがいまして、2月末の未済額の(A)に借入の(B)を加えまして、償還する(C) を差し引きますと、3月末、15事業年度末の残高としましては債券につきまして7,234 億円、長期借入金が1,351億円、併せまして8,585億円が15事業年度末の金額になるとい うことでございます。  それ以降の16事業年度についてはどうなるかと言いますと、15事業年度末の未済額の 金額に16年度の借入見込、1,998億7,600万円と借入金が1,542億7,800万円を併せて 3,541億5,400万円を加えて、16事業年度に償還の来る1,143億円の債券発行と長期借入 金の1,351億円、合わせまして2,494億円を差し引きましたのが借入金について1,542億 7,800万円、合わせて9,632億5,400万円になるところでございます。なお、参考までに 17年度以降の償還額をそれぞれ次の表に記載させていただいているところでございま す。  次に、では具体的な長期借入金の償還計画がどうなっているかというのは、この表に 書いてございますが、右側に年度で、14年度に長期借入金の借入月、年度を記載しまし て、縦にそれぞれの償還の年度を記載しているところでございます。先ほども申し上げ ましたように、長期借入金については1年で償還しておりますので、金額的な表示がか なり大きな数字が表示されているところでございます。  続きまして3頁のところでございますが、債券発行の償還額について記載しておりま して、債券発行としましては5年度から15年度までに発行したものが年度として右横の 欄に書いてございます。縦の欄が償還額として書いてございます。5年度から10年度ま でに発行しました債券は10年債券でございますので、10年債券が終るのは20年度という ことになろうかと思います。11年度からは5年債券ということで、やはり15年度から5 年後の満期一括償還ということで表示させていただいております。  それらの条件等がどうなっているかということにつきましては、次の頁に長期借入金 の償還方法及び償還期限ということで書かせていただいてございます。それぞれ借入金 については1年の満期一括ということで表示させていただいているところでございま す。それから債券につきましても、5年からの償還期限がいつ来るかとか、元利支払日 がいつかとか、利率がどうなっているかということと、償還方法としては満期一括償還 ということで記載させていただいております。なお、それぞれ15年度の一番最後のとこ ろはまだ国債の発行条件等は決まっておりませんので、利率のところはそれぞれ空欄と いう格好で表示をさせていただいております。  より詳しい条件等、償還期限等が次の表に記載させていただいているところでござい ます。私のほうからの説明は以上とさせていただきます。 ○井原部会長  はい、それで当部会で承認するのは15年度と16年度の両方ということになりますか。 ○川尻政策評価官  ちょっとイレギュラーなのかもしれませんが、15年度と言いましても1か月分なもの ですから、できれば16年度も併せてという長期借入金なり債券発行の計画ということに しております。それから、償還計画につきましても今御説明したようなことで、都合3 つのものが合わさったような御審議内容ということになると思います。 ○井原部会長  ということですが、なにか御質問ございますか。 ○篠原委員  この融資に必要な資金ということで、債券と長期借入金の混合で借りることになって いますが、この割合というか、これはリスクヘッジとかいろいろ考えられますが、なに かあるんですか。 ○村上勤労者財産形成部長  新規の貸付金に見合う財源としまして、概ね8:2という格好で債券を8、借入金を 2という割合で概ねそういう基準で行っております。 ○井原部会長  他に、その比率は金利の予測を反映されると考えていいんですか。 ○伊岐企画課長  というより、繰上償還であるとかさまざまな固定した期間、同じように借りてくださ るケースばかりではございませんので、そういうことに対応するためのリスクヘッジと いう意味も込めまして長期借入金と債券発行の両方を組み合わせて仕組んでいます。 ○井原部会長  よろしいでしょうか。それでは雇用・能力開発機構の平成15年度、16年度の長期借入 及び債券発行に関する計画及び償還計画を本部会として了承したいと考えております が、よろしゅうございますか。                 (全員異議なし) ○井原部会長  それでは、そういうことで了承とさせていただきます。どうもありがとうございま す。それでは雇用・能力開発機構に関する点はこれで終了させていただきまして、ここ で休憩に入りたいと思います。                   (休憩) 3. 審議(第2部) ○井原部会長  それではまた再開させていただきます。まず労働者健康福祉機構の中期目標案、中期 計画案の審議に移ります。  審議の順序としましては、これまで審議してきた法人と同様に、法人の概要について まず説明をいただきます。それから業務運営の効率化に関する事項、国民に対して提供 するサービスその他の業務の質の向上に関する事項、それから財務内容の改善に関する 事項、その3つに分けまして中期目標等を説明していただきまして、それで審議を行っ ていきたいというように考えております。  それではまず、労働者健康福祉機構の概要についての説明からお願いします。 ○杉浦労災管理課長  労働基準局の労災管理課長でございます。それでは私のほうから資料に沿いまして独 立行政法人労働者健康福祉機構の概要につきまして御説明をします。資料6−1を御覧 いただきたいと思います。  ただ今申し上げましたように、法人の名称としましては「独立行政法人労働者健康福 祉機構」というものでございます。現在、労働福祉事業団という特殊法人でございます が、これをこの4月から独立行政法人化する形になります。  法人の目的としましては、大きく分けて3つございます。一つは、療養施設、健康診 断施設及び労働者の健康に関する業務を行う者に対して研修、情報の提供、相談その他 の援助を行うための施設の設置及び運営を行うということ。主に労災病院を中心としま した療養施設などにおきます労働者の業務上の疾病に関する療養の向上というようなこ とが一つの大きな目的でございます。  それから、2つ目が労働者の健康の保持増進に関する措置の適切かつ有効な実施とい うことで、企業におきます産業医等を中心とします産業保健活動に対する支援活動とい うのが2つ目の大きな業務の柱でございます。  それから3つ目が、未払賃金の立替払事業というのをやっております。これは企業が 倒産した場合に賃金等が支払われないときに、一定の限度に限って立替払いをするとい う制度でございます。こういう柱を中心としまして労働者の福祉の増進に寄与するとい うことを目的としております。  職員の身分は、非国家公務員でございまして、役員の名称・数はそこにございますよ うに、理事長、理事4名、監事2名ということで、現在の労働福祉事業団と同数でござ います。  それから業務としましては、ただ今申し上げましたような形で、療養施設、労災病院 等の設置・運営。それから健康診断施設の設置・運営。それから労働者の健康に関する 業務を行う者に対して研修、情報の提供、相談その他の援助を行うための施設、これは 都道府県ごとに産業保健推進センターという施設をつくっておりますが、その設置・運 営。それから未払賃金の立替払事業の実施というのが主な業務でございます。  それから、その下に暫定業務と書いてございますが、これは一昨年の特殊法人等整理 合理化計画によりまして指摘を受けましたもので、いくつかの施設等を移譲、または廃 止するということでございます。ここにありますように、まず第1点は療養施設の一 部、休養施設、労災保険会館の移譲または廃止ということでございます。それから、労 働安全衛生融資という融資制度、これは既に新規貸付を廃止しておりますが、既に貸し 付けた分の債権の管理・回収という業務が暫定的な業務として残っております。  それから、特殊法人の業務のうち廃止する業務でございますが、今申し上げました労 働安全衛生融資の他に、年金担保貸付という制度がございました。労災の年金を受けて おられる方の受給権を担保に小口の生活資金を融資する制度でございますが、これは同 種の貸付が国民年金等の年金を担保にする貸付制度をやっております独立行政法人福祉 医療機構のほうに移管をします。それから、休養施設及び労災保険会館を廃止するとい うことでございます。  法人設立の予定時期は、4月1日でございます。  なお、資料6−4をちょっと御覧いただきたいと思いますが、後でもまた触れさせて いただきますが、ここに特殊法人等整理合理化計画において指摘された事項を左側に載 せておりまして、それに対する措置状況、あるいは措置予定ということで右のほうに現 在までの措置状況を書いてございます。特にただ今申し上げましたように、3つ目の休 養施設、あるいは労災保険会館業務等の廃止状況ですとか、それから労働安全衛生融資 等の廃止、それからその他指摘を受けているものについての状況を載せておりますの で、御参考までに御覧いただきたいと思います。  それから、資料6−2に色刷りの一枚紙が入れてございます。後ほどまた御審議いた だきます中期目標・中期計画につきましての概要をまとめたものでございますが、今申 し上げました業務の柱としての3つのものをそこに赤、青、黄色で色分けをしておりま す。そういう形での業務の3本柱ということで今後運営をしていきたいということでご ざいます。詳細については後ほど順次御説明します。以上でございます。 ○井原部会長  それでは具体的な目標・計画のほうに移ります。まず業務運営の効率化に関する事 項、これの説明をお願いします。 ○杉浦労災管理課長  それでは引き続きまして資料6−3を御覧いただきたいと思います。左側に中期目標 案、右側に中期計画案を載せてございます。1頁目は前文と一番下に目標期間を書いて ございますが、16年4月から21年3月までの5年間としております。  捲っていただきまして2頁の業務運営の効率化の観点でございます。事業の業務運営 を最大限効率的に行うためにそこに書いてある方法、内容で進めていきたいと考えてお ります。1点目は、機構の組織・運営体制の見直しということで、適宜弾力的に見直し を行うことで効果的な実施を行っていきたいと思っていますが、そこの主な内容としま しては(1)にありますのは、本部と各施設との連携と申しますか、本部からの指導、 あるいは支援というようなマネジメント機能を強化していきたいということでございま す。特に右の計画にありますが、労災病院につきましては病院ごとの財務分析、情報提 供等を推進していきたいということでございます。(2)に、役職員、あるいは法人の 実績、成績等に鑑みました人事・給与制度を速やかに導入するということを書いてござ います。  それから2番目が、運営費交付金を充当して行う事業の効率化でございます。効率化 の目標としましては、他の独立行政法人と同程度の数値目標を設定してございますが、 15年度に比べまして中期目標期間の最終年度において、一般管理費については15%程 度、事業費については5%程度の節減をするということにいたしております。これを実 現するための方策としましては、施設の一部廃止を含めて、右のほうの計画のほうにい くつか書いてございますが、一般管理費につきましては人件費の抑制、あるいは施設管 理費の節減等を図ってまいります。それから事業費につきましては、物品調達コストの 縮減、在庫管理の徹底、それから業務委託契約、あるいは保守契約の見直しというよう なことにより進めてまいりたいと考えております。  なお、医療リハビリテーションセンター、これは岡山県に1箇所ございます。それか ら、総合せき損センター、これは福岡県に1箇所ございますが、この2つの施設につき ましてはまた別の基準と申しますか、書き方をさせていただいております。これにつき ましては両施設は労災病院ではないんですが、医療機関としての機能を持っておりまし て、最低の配置人員が定められたりしておりますので、人員の削減にも一定の限界がご ざいますし、また診療による自前収入と支出が連動するというような面もございますの で、上の運営費交付金と一律の基準で削減するということがなかなか馴染まないと考え ておりまして、目標としましては右のほうの計画の一番最後の行にございますが、中期 目標期間の最終年度において15年度に比べて5ポイントの低下ということを数値目標と して設定しております。  3番目が労災病院の再編による効率化でございます。それで労災病院につきましては 特殊法人等整理合理化計画、先ほどもお話し申し上げましたが、この計画によりまして 労災病院としての政策的役割をより効果的かつ効率的に果たしていくということで、整 理合理化につきまして再編を進めていくということにしております。また、診療報酬を 中心とした自前収入による経営の健全性ということを確保していく必要があるというこ とで、大きな課題として位置付けておるものでございます。ただ、これにつきましては 今年度中に厚生労働省として具体的な再編計画を策定をするということにしております が、基本方針としましてはそこに書いてございますが、現在ある37病院を30病院に再編 しようというように考えております。これにつきましては勤労者医療に関する全国的な ネットワークを構築するという考えの下に、現に有する診療・研究機能ですとか、経営 の収支状況、あるいは地域の配置状況などを総合的に評価しながら進めていきたいと思 っております。  なお、この労災病院の再編に係るものにつきましては、参考資料として6−6を付け てございます。説明の詳細は省かせていただきますが、昨年の8月に厚生労働省で再編 に関する基本方針を策定しております。これの1枚目の2番のところにいろいろ書いて ございますが、具体的な数的なものとしましては一番最後のところに、現在の37病院を 2割程度削減し、15年度中に具体的な再編計画を策定すると。再編対象外の病院は廃止 し、民間又は地方に移管するというように定めておりますので、これに沿った形で計画 を策定して、来年度以降現実的に今度の機構のほうでその再編を実施していただくとい うことになります。37病院を30病院にするということで、内訳はその括弧書きにありま すように、5病院を廃止し、4病院を2つの病院に統合するということで、19年度まで に順次実施していきたいというように思っております。  それから最後に4番目でございますが、休養施設及び労災保険会館の運営業務の廃止 でございます。これにつきましても先ほど触れましたが、特殊法人等整理合理化計画に 基づきまして現在残っております休養施設、それから労災保険会館につきましては17年 度末までにすべて廃止する予定でございます。  以上が業務運営の効率化に関する事項でございます。よろしくお願いします。 ○井原部会長  それでは今の御説明に関して何か御質問等をお願いします。 ○村山委員  私はつい先だってまでは医療の現場におりましたので、今のお話を聞いていろいろな 医療のこれから行くべき道筋を辿っておられるなと、その努力は大変評価する次第であ ります。今、日本では病院の棲み分け、診療機関の棲み分けというのが進んでおりまし て、言ってみればそれぞれの病院がどういう看板を出して国民の健康福祉に寄与するか ということが大きなテーマになっておりますので、労災というテーマでそのキーワード でもってきっと言っているんだろうなという推測はついたわけでございますが、いくつ か好い機会でございますので、ちょっと御意見あるいはコメントを申し上げて御意見を いただきたいんでありますが。  労災病院を37つくって、それでいわゆる労災疾患というものが以前とは現在ではずい ぶん違っている。それが故にここに確か12ほどテーマを絞られたわけですね。この12の テーマを見ますと、例えば北海道の労災病院はこういうテーマでおやりなさいとたぶん 割り振るんだろうと思いますが、非常に特殊な疾患と、あるいは現代に共通の、例えば これを拝見しますと、終わりのほうの3つ、過労死の問題とか、あるいはメンタルヘル スの問題、あるいは働く女性等々、この辺りは多くの病院がこれはもう背負っていかな ければいけない。だけど、上のほうの振動障害、化学物質等々は全部の労災病院が果た して背負っていかなければいけないのかという気がします。それで、たぶんこの労災病 院の問題はそういう特殊な機能と、それから今病院の一般機能というか、住民サービ ス、そういうものをどのぐらいのパーセントで分けていくのか。つまり、この労災の特 殊な今まで持ってきた機能を、例えば1割程度で、9割は住民の方のサービスに行くん だと。そう考えてみますと、37を30に絞るときのどういうクライテリアでお決めになる のか、これはなかなか厄介だろうなと思いますので、そこは具体的に書いてありますの で十分に検討して、それぞれ手を挙げていただくのか。  同様に、それぞれに研究機能を持たせる、これはよく分るんですが、今、日本中にこ の種のことに関する研究機能というのはいくらでもあるわけですね。例えば国立のリハ センターもありますし、あるいは労働科学研究所、これは私立ですがありますね。そう いうものとどうやって棲み分けしていくのか。つまり、従来ある機能を37を30にして、 いくつかに集約したと。つまり、右から左に持っていっただけではこれは困るので、も うちょっと北海道ではこう、あるいは関東の何々病院ではこういうものをやりますと。 それで例えばメンタルヘルスは今は全国的な問題ですから、それぞれの病院に機能をも ってくださいというような形にするとか、もうちょっとここは具体的に詰められたほう がいいのかなと思います。  同様に、人件費がなかなか病院の経営は御承知のように大変で、私もよく知っており ますが、人件費は自前でおやりになりなさいというような形でおっしゃいましたが、で は研究機能は自前なのか、人件費に関して。研究員というのを置くのが果たして効率的 なものかどうか。診療要員はこれはペイしますのでよろしいんですが、研究要員という 人件費はどうなるのか。そうすると、診療と研究の両方をだいたい臨床の人たちは、特 に医師の場合には兼務しているわけですから、その場合のいろいろな割り振りがこれは なかなか大変かなというように思います。次々に申し上げて思いつくことで恐縮でござ いますが。  それから、2つ目の柱で健康診断施設の運営業務というのがありましたね。それが労 災病院という機能に果たして合うかどうか。健康診断施設というのは多くのところでや っているわけですが、敢えてまたこの労災病院でスリム化すると言いながら、ここが果 たしてどのぐらいのパーセントでそれを足していくのか。労災なら労災機能の労災疾患 及び一般疾患の住民サービスとはっきり分けたほうがいいかもしれない。健康診断とい うのは普通の会社等々でも全部やっているわけですから、敢えて病院がそういう機能を 持つ必要があるのかどうかという疑問もあります。そういうところをちょっと思いつき ました。また気がついたら申し上げたいと思います。 ○杉浦労災管理課長  この後御説明をさせていただく業務の関係の部分にも相当入ってまいりますので、後 ほど説明する部分と若干重複してしまうかもしれませんが。  ただ今、村山委員のお話の中にありましたように、労災病院において今後重点的に研 究・開発等を行っていこうという12分野と申しますのは、この資料で申しますと6−3 の9頁の次に書いております12の疾病でございます。後ほど説明しようと思っておりま したが、この部分につきまして分野を指定しまして労災病院、あるいは労働者健康福祉 機構として労災の医療について重点的にやっていこうというように考えております。  それで、この再編の関係で申し上げますと、この37の病院を30にしまして、それを全 国的にネットワークを組んでいこうという考えでございますが、この12の分野の疾病に つきましてそれぞれ一つずつ中核病院の指定をしようと考えております。例えばA病院 については一番上の四肢の問題というようなことで、B病院についてはせき髄損傷とい うような形で、12の病院をテーマごとに中核的な病院として位置付け、その他の病院に ついてはもちろん一番中核となるわけではないんですが、それぞれの中核病院で研究・ 開発された部分を受けまして、それを具体的な臨床・診療に結び付けていこうというネ ットワークをこれから組んでいこうということでございまして、具体的にどこの病院に どれをやるかというのは正式には今後機構になった際に実際の全国のネットワークとい うものを計画を立てていこうというように考えておるところでございます。  ですから、おっしゃるように非常に特殊なと申しますか、従来型の労災のものもあれ ば、全国一律にあまねく問題になっているような疾病もございますので、そのへんにつ いてはこれまでの地域性等も含めました実績も勘案しながら、あるいは体制の問題もあ りますでしょうし、そういうことを総合的に勘案しながら定めていきたいというように 考えております。  それから2つ目に、研究機能というか、研究の内容が他の病院でも似たようなことが あるのではないかという話でございまして、確かにそれは一つ一つの疾病の特徴から捉 えれば全国の他の病院、あるいは政策的な研究機関でもやっている部分があろうかと思 いますが、私どものこの労災病院、あるいは労働者健康福祉機構でやっていきます勤労 者医療という考え方の下に、労働者の災害あるいは職業性の疾病の観点を十分に踏まえ た治療なり、あるいはリハビリテーションも含めた社会復帰、職場復帰ということも視 野に入れた研究・開発ということで取り組んでいきたいと思っておりますので、そのへ んはやはり他の病院と同じようなことだけをやるというのではなくて、特色のある形で の研究テーマを選び、あるいは実際に研究・開発もしていきたいと思っております。  なお、先ほど御覧いただきました12分野の別紙の次の紙に、同じような12分野につき まして今後の予定でございますが、それぞれ中期目標期間中に研究を考えておりますテ ーマをそこに参考として載せさせていただいているところでございます。  それから、人件費の問題の御指摘がございました。それで、この点につきましても先 ほどちょっと触れさせていただいたんですが、労働者健康福祉機構としては独立行政法 人として一定の運営費交付金を国から交付して運営をしていくわけでございますが、た だこの労災病院につきましては他の公的病院も今後はそうなるだろうと思いますが、基 本的に病院業務の運営につきましてはまったく自前収入でやっていくと。診療報酬を収 入源としまして、施設・設備の設置・購入等も含めまして、そういうことを全部自前で やっていくということをこの独立行政法人としては行っていく予定にしております。で すから、病院の運営に関します例えば医療スタッフ等の人件費につきましては、これは 労災病院の中で、その自前収入の中で賄っていくということになりますし、それから一 方で研究開発といったような事柄、これは同じく労災病院と密接に関連しますが、これ は機構として、あるいは国が政策目標として実施していく部分でございますので、その へんに係る人件費も含めた諸費用については国からの運営費交付金の中でやっていただ くということでの切り分けを考えております。  ですから、実際のところは研究と申しましても、実際の臨床をやっておる医師の方々 とも十分に連携をとりながらやっていくことになると思いますが、あくまでも予算上の 切り分けとしましてはそういう研究・開発等については、運営費交付金として国費から 流す。それから病院の日常の診療行為等の運営については、自前収入でやるという考え 方の整理でございます。  それから、健康診断施設の関係がございました。これはまた後ほど出てくる部分でご ざいまして、ちょっと先走って御説明させていただきますが、現在1箇所、横浜の労災 病院のところに付設させていただいておりますが、海外勤務健康管理センターというの がございます。これは単なる一般的な普通の健康診断という位置付けではなく、海外へ 派遣する労働者、あるいは派遣企業の安全衛生担当者に対する講習というようなことを やるために設置しておるものでございまして、労災保険制度の中で特別加入というよう な制度もございますが、日本から海外へ出て行く、現地のほうで働く労働者のために事 前に健康診断を受けていただくというような観点で設置しておるところでございまし て、これは労災病院内の施設という位置付けではございませんで、あくまでも機構が政 策的にやる部分ということでございますので、そこも先ほどの話と似てまいりますが、 労災病院そのものの業務という位置付けではございません。ですから、ここはそんな に、他の病院で一般的にやっている人間ドックとかそういうものとはまた別の問題でご ざいまして、海外へ派遣される労働者のための事前の健康診断業務を行うというものと して設置されているものと御理解いただきたいと思います。後ほどまた関連する部分に ついては御説明させていただきます。 ○村山委員  よく分りました。後半のほうは。私が申し上げたかった12分野の云々というのは、今 この労災病院でなくてもこういう研究をやっているところはいくらもあるので、ここで 改めてここだけで完結するようなことではなくて、国の組織として、例えば産業医大で もあるわけですね。研究室もあるし。だから、そことの、例えばこのテーマについては こことこことが提携をしながら勤労者の災害を予防して見直していくんだという、その 横がないんですよ。ここだけで見せられると、なんだ労災病院にそれぞれまた一つずつ 仕事を与えているのかという印象があるから、もっと他の組織との関連をお考えくださ いと、こういう意味でございます。 ○杉浦労災管理課長  そのへんについてはもちろんこの紙だけで十分に書き込んでないと思いますが、当然 のことながら別に日本全体のことを労災病院でやろうというおこがましい気持ちがある わけではございませんので、そのへんについては関係の機関、病院等とも十分に、研究 などについて協力すべきところは協力して連携をとってやっていかなければいけないと 思います。  それで、なお参考でございますが、後ほどまた御説明しますが、3頁をちょっと御覧 いただきたいと思いますが、3頁の右下のほうに今後労災病院でやっていきます研究開 発等のことを数値目標をいくつか載せておりますが、例えば下から4〜5行目のところ の「B」のところで、中期目標期間中に医学会においてこれらの研究・開発テーマに関 し発表を行っていく、というようなことも一つの目標の中に取り込んでおります。別に 発表するだけを目的にしてはいけないと思いますが、こういうことも含めて関係の学会 とか、あるいは厚生労働省関係の医療機関、あるいは研究機関とも十分に連携を取りつ つやっていきたいと思います。まだ正直申しまして、委員がおっしゃいましたように、 今後どうしていくかという具体の計画を詰めているわけではございませんので、それは 今後できるだけ早くやってまいりたいと思います。 ○古郡委員  2頁目の右側の欄でございますが、(2)のところですが、「外部機関等を活用して 情報を収集し」という「情報」というのはどういうものなのか。それから、「新たな人 事・給与制度を速やかに導入する」とありますが、目標のほうにも書いてありますが、 こちらは計画ですからどういう新たな人事・給与制度というのはどういう制度なのか、 もう少し具体的に説明をしていただきたいと思います。 ○杉浦労災管理課長  この人事・給与制度につきましては、これまでは特殊法人という位置付けでございま したので、正直申しまして基本的にすべて公務員並びと申しますか、給与体系にしまし ても、それから給与の決め方にしましても、人事院勧告に準拠するとか、そういうこと で公務員に倣った形での給与体系、人事制度ができておったわけでございますが、やは りこれから独立行政法人として効率的かつ効果的にその業務をやっていくという中で、 職員の給与費についても単なる年功序列ですとか、定められたこれまでの給与表の中で の運用という形だけではなくて、その目標にも書いてあるように、勤務成績等を加味し た形で、例えば業績給のようなものを導入するということで新たな給与体系をつくって いきたいと思っております。  それで、情報を収集するというのは、今考えておりますのはコンサルタント機関みた いなところに現在、あるいは今後の民間の給与体系、あるいは今後の公務員制度も変わ っていくでしょうが、そういうさまざまな人事・給与制度の状況をお聞きするという か、そういうところの機関を活用しながらできるだけ速やかに業績に応じた、全部が業 績給というわけにはもちろん行かないと思いますが、そこはどのぐらいの幅でどういう 形で取り入れていくかということも含めながら検討していきたいと思っております。ま た、病院を持っていますので、医療職それぞれ専門職ごとに給与体系も異なってくるわ けでございますので、そういう専門性も加味しながら決めていきたいというのが内容で ございます。 ○村山委員  もう一つ。「健康日本21」という大きなコンセプトが現在日本で、これからの10年間 の数値目標まで決めてやっているんですが、その「健康日本21」という言葉が一言も出 てこないんですね。それは話が違うと言えば違うんですが、せっかく国でそれだけのコ ンセプトを出しているなら、例えば勤労者の健康のためには「健康日本21」の精神に則 ってそれも云々というのがどこかに一言あってもいいんじゃないかなという気がしま す。 ○杉浦労災管理課長  すみません、あまり正直申し上げて、そこまで十分考えてなかったのが事実でござい ます。ちょっとよくそのへんも見ながら検討させていただきたいと思います。 ○竹内委員  今後の労災病院というのは、他の一般病院でもある意味では勤労者医療と言った場合 に、勤労者であったり、その家族を対象にしているというのは、他の病院は皆同じです ね。そういう点では今後、労災病院を特化して、何のために、労災病院というのはどこ が他の病院と違うのかというのが大変問われると思うんです。それで、そのときにこう いう課題とか問題に対して研究・開発に力を入れていくというのはよく分るし、そうい う方向で一つの特徴を出していくというのは分るんですが、一方では収益というか、診 療報酬で病院をやっていかなければいけない。一方では研究・開発をやっていくという 視点で、両方ともやっていくという場合に、どちらかと言うと結局診療報酬なども厳し いわけですから。であれば、結局は一般診療とかそっちのほうへ人やエネルギーが収益 のあるほうへ流れいく可能性があって、実際に特化するところはあまり収益性がない部 門が多いわけですね。その場合、それをどうやって保障していくか、発展させていくか というようなお考えがあれば聞かせてください。 ○杉浦労災管理課長  この点についても後ほどの業務のところの説明と重複してくるかもしれませんが、お っしゃいますように労災病院でも医療法上は病院としてどんな患者さんでも受けなけれ ばならないということになっていますので、そこは一般の総合病院としての機能という のはあります。もちろんそれから地域的に必要であるというか、地域医療に貢献すると いうような位置付けの部分というのもあると思いますが。ただ、それだけではおっしゃ いますように他の普通の総合病院とまったく変わらないということになってしまいます ので、そこは資料で申しますと4頁の(4)のところに、一般的な診療の関係からの項目 として、一般診療を基盤とした労災疾病に関する高度・専門的医療の提供ということ で、他の医療機関では対応が困難な高度・専門的医療を提供すると共に、その質の向上 を目指すというようなことを目標にしまして、その具体的な計画につきましては4頁の 下から次の頁にかけましての右のほうに、各病院のほうで専門医からなる検討委員会と いうようなものを設置して、各分野ごとに臨床評価指標というのを策定しながら、それ を評価しながらやっていこうというように考えております。  ですから、もちろん病院経営的にはおっしゃるように、一般の総合病院的なものとし ての経営努力も図っていかなければなりませんが、ただその中でも特に労災疾病に係る ようなものを常に念頭に置きながら、そういうことの臨床・治療の効果をどれだけ良く するかということも併せてやっていかなければならないと思っております。ただ、言う は非常に簡単なんですが、実際のところは非常に難しい面があることは重々承知してお りまして、そこをなんとか工夫しながらやっていくことが必要だろうと思っています。 ただ、繰り返しになりますが、病院の一般的な経営部門についてはあくまでも自前で診 療報酬を収入源としてやっていくことになりますし、それから研究、臨床研究といった ようなことにつきましては、これは単にそれを自前の労災病院の運営の中でやっていく というのは不可能ですから、その部分については運営費交付金という形で国費を投入さ せていただくというような棲み分けにしているということでございます。 ○井原部会長  議論が次の内容に入っておりますので、次の内容を説明していただいてから前のとこ ろも含めて御審議願います。  それでは国民に提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項、これをお願 いします。 ○杉浦労災管理課長  それでは引き続きまして、3頁から、第3の国民に対して提供するサービスその他の 業務の質の向上に関する事項について御説明をします。  まず1番目は、これは全体の業務に係るものでございますが、業績評価を実施してそ の結果や内容を積極的に公表して透明性を図るということでございます。具体的には、 右の計画のほうにございますが、これも外部の有識者を含めた業績評価委員会というの を機構の中に設置して、事前・事後の評価を行ってホームページでそれを公表していこ うと。あるいは当然ですが、翌年度の事業運営計画に反映させていくということを考え ております。  それから各業務ごとのものでございますが、まず第1が療養施設の運営業務でござい ます。(1)勤労者医療の中核的役割の推進ということでございます。それで、労災病 院の役割でございますが、労災患者の診療を行う専門病院、それからいろいろ設置当時 からの歴史的経緯がありますが、それに止まらず勤労者医療という労災疾病に係わる予 防から、リハビリテーション、職場復帰に係る一貫的な医療を、我々は「勤労者医療」 という言い方をしておりますが、そういう勤労者医療に係る部分の中核的役割をこの労 災病院が果たしていく必要があるだろうと考えております。  そこで、その勤労者医療の対象疾病分野について労働政策上の観点から、重点的に取 り組む分野として先ほど御覧いただきました12分野を具体的に提示しております。考え 方としましては、産業活動に伴う依然として多くの労働者災害が発生しておる疾病です とか、あるいは産業構造、職場環境の変化に伴う新たな健康問題として発生したような ものを指定しておるわけでございます。それからまた、労災病院が現に有する知見など によりまして、今後ともその指導的な役割を果たし得る分野ということで、12の分野を 指定しております。  それで、そういうものを進めていくに当たりまして、各病院の臨床研究機能、それか ら予防活動機能、地域支援機能を集約化して各病院のネットワークを活用して組織的、 体系的に取り組んでいこうということでございます。それで、(1)のところで書いてお ります研究開発としての目標でございますが、モデル医療情報等のデータベースへのア クセス件数、これを10万件と、これは右のほうの計画のイの@のところに書いてござい ますが、10万件以上ですとか、それから指導医育成の教育研修の実施、それから関連医 学会において30件以上の学会発表といったようなことを目標としております。それから 研究評価委員会におきます事前・事後評価、これも先ほどちょっと申し上げましたが、 そういうようなことの内容としましてこの労災疾病に係わります研究・開発、それの普 及といったようなことを取り組んでまいりたいというのが(1)の項目でございます。  それから(2)が、勤労者に対する過労死予防等に関する相談・指導でございます。勤 労者の健康確保という観点から過労死の予防、それからメンタルヘルスの関係、それか ら勤労女性に対する生活指導といったような事柄に対する目標を、そこにございますよ うなそれぞれの数値で、これは現状の実績に概ね5%程度を加えたような数字として設 定させていただいておりますが、こういう特有の分野における相談・指導ということを やってまいりたいと思っております。  それから(3)が、勤労者医療の地域支援の推進でございます。地域の労災指定医療機 関というのが労災病院の周辺というか、地域地域にございます。この一般の病院、診療 所等でございますが、その労災指定医療機関との連携、それからこれらの機関の医師、 産業医に対するモデル医療などの普及を通じての支援ということをやってまいります。 ここに書いてある目標としましては、右のほうにありますが、(3)のアですが、患者紹 介率を40%以上にする。これは現在、参考の1で書いてありますが、「※1」ですが、 30.3%を40%まで引き上げようということにしておりますし、2番目が症例検討会や講 習会を設定するということによりまして、延べ3万2千人以上に対して講習を実施す る。それから高度医療機器を用いた受託検査、こういうものを延べ6万人以上実施する というようなことで、これも現状実績について約5%程度の増を見込んだ数字として設 定してございます。  それから(4)が、一般診療を基盤とした労災疾病に関する高度・専門的医療の提供で ございます。12分野ごとに臨床評価指標というものを策定しまして、医療の質に関する 自己評価を行うと共に、医師臨床研修への積極的な取り組みなどによりまして優秀な人 材を確保することなどによる医療の質の向上を図っていきたいと考えております。それ で目標としましては、右のほうの計画のほうにありますが、今申し上げました4頁の一 番下から5頁にかけまして、臨床評価指標の策定とその評価、それから症例研究会での 評価及びそのフィードバック、それから労災看護学校、あるいは労災リハビリテーショ ン工学センターというのがございますが、そういうところにおきます業務の質の向上と いうようなことを目標にしておりますし、それから中ほどのEのところに、救急救命士 の病院研修受入等による連携の強化ということで、延べ30万人以上の救急搬送者の受入 といったようなことも目標として書いてございます。  それから病院としての満足度、あるいは安全性といったような観点から、イのところ に書いてございますが、満足度調査をすべての病院で70%というようなことを目標とし て掲げておりますし、それから安全面でも医療安全チェックシートの見直しですとか、 医療安全に関する研修、それから安全の推進週間といったようなことをやりながら、医 療安全に関する意識・知識の向上といったようなことを図ってまいりたいというのがイ のところでございます。  それから(5)が、行政機関への貢献でございます。これは国が設置しております労災 関係あるいは災害防止等の検討会、委員会がいくつかございますが、そういうものにつ いても随時参加していただくということと、それから現実に労災の認定を労働基準監督 署からの要請を受けまして意見書を出したりしております。労災病院の各医師にお願い しているところでございますが、そういうことの行政機関への貢献というようなことを 目標の中にも書き込んでおります。  それから次が(2)としまして、医療リハビリテーションセンター及び総合せき損セ ンターの運営でございます。それで先ほど申し上げました施設それぞれ1箇所ずつ置い てございますが、医療リハビリテーションセンターにつきましては四肢とかせき椎の障 害、あるいは頭部外傷による中枢神経のマヒ障害といったような方々、それから総合せ き損センターはその名のとおりせき髄損傷の方々を中心に、治療から社会復帰、職場復 帰までの一貫した治療、あるいはケアを行うというようなことでの専門施設でございま す。それで、その目標としましては、6頁の上のほうになりますが、医学的に職場、あ るいは自宅復帰可能である退院患者の割合を80%以上というようにしております。現在 がそれぞれ70数%でございますので、若干目標を高めに設定させておるということでご ざいます。  6頁の3番目が、健康診断施設の運営業務でございます。先ほど申し上げましたよう に、海外派遣労働者の健康管理の向上を図るための施設として、海外勤務健康管理セン ターというのを置いております。それで、ここにおきましてそういう労働者に対する健 康診断ですとか、企業の安全衛生担当者に対する講習会といったようなことを行いまし て、延べ6万5千人以上の利用者を確保したいと思っております。併せまして、海外派 遣労働者の健康増進とかメンタルヘルス等に関する調査研究を実施していきたいと思っ ております。  それから、(2)のところにありますが、海外に今既に派遣されて海外で働いておら れる日本人の労働者の健康管理の観点から、海外巡回健康相談というのを実施しており ます。これにつきましても満足度評価によりまして評価を得ながら改善を図ってまいり たいということでございます。  4番目が、産業保健関係者に対して研修又は相談、情報の提供、その他の援助を行う ための施設の運営業務というものでございます。各都道府県に一つずつ産業保健推進セ ンターというのを設置しております。それで、ここでは労働者の健康確保のために事業 主が講ずべき措置を中心に、産業医とか産業保健師のような方々、あるいは事業所の労 働衛生管理者などの方々に対する支援を行っております。目標としましては、それらの 方々に対する研修を延べ1万回以上、それから相談を4万8千件以上ということで設定 しております。  なお、ホームページでのアクセス件数も112万件以上というようなことで、右側のほ うに書かせていただいておるところでございます。その他、満足度評価についても80% 以上でございます。  それから、(2)ですが、今申し上げましたように、産業保健に関する情報の提供と いうことでホームページのアクセス件数について目標を書いてございますし、それから 都道府県の産業保健推進センターとは別に、郡市の医師会と連携しまして地域産業保健 センターというのを設けておりますが、そういうところのコーディネーターに対する研 修といったことも併せて実施してまいります。  それから5番目が助成金制度でございます。これは現在、2つの助成金制度の事務処 理をこの事業団でやっております。一つは、小規模事業場産業保健活動支援促進助成金 で、50人未満の中小企業におきましては産業医を独自でなかなか選任しにくいというこ とで、共同で事業場が産業医を選任するということを支援するための助成金制度がこの 前のほうの助成金でございます。それから2つ目の自発的健康診断受診支援助成金と申 しますのは、一定程度深夜業、夜中に働く労働者の方々が健康上自発的に健診を受けて 健康管理を自らしていただくということを助成するための助成金制度でございます。こ の2つの助成金制度につきまして業績評価を実施しまして、それを業務に反映させると いうことでの透明性の確保ということと併せまして、国民に対する周知活動を行ってま いります。それから、数値目標としましては、審査の申請から支給までの期間を45日と 25日に、それぞれ短縮を図ってまいりたいというように考えておるところでございま す。  それから6番目が、未払賃金の立替払業務でございます。これは先ほど申し上げまし たように、倒産した企業におきます労働者の未払賃金を一定限度で立て替える制度でご ざいます。それで、これにつきましても事務処理の日数を現在43.7日程度掛かっており ますので、それを30日以内ということでの目標を設定して短縮化を図ってまいりたいと 思っております。その他、各事務についての方法につきましては、計画のほうにより詳 細に書いてございます。  8頁にまいりまして、同じく立替払金を倒産した企業が破産した場合の残りの財産で すとか、あるいは再建型の企業ですとそれを後の債権管理の中で求償してまいります が、そういう場合の確実な回収を図っていくということを目標として掲げてございま す。  それから7番目がリハビリテーション施設の運営業務でございます。これは労災リハ ビリテーション作業所というのを全国に8箇所設けております。これは外傷性のせき髄 障害ですとか、両下肢に重度の障害を受けた方々に対して、一定の作業に従事していた だきながら社会復帰、職場復帰を目指すというための施設でございます。その目的に照 らしましてできるだけ早期に社会復帰を図ることが求められておりますが、なかなかこ ういう経済情勢でもございまして就職状況も非常に厳しいものがございます。ただ、そ ういう中で現状より大目の数字としまして、社会復帰率25%以上ということでの目標に させていただいております。  それから業務の最後でございますが、納骨堂の運営業務というのがございます。これ は東京の八王子のほうに産業殉職者の方々に対する慰霊の施設を設けております。年に 一回合同の慰霊式をやっておりますが、そこでの満足度評価を目標として定めさせてい ただいておるところでございます。  ちょっと長くなりましたが、業務の向上については以上でございます。 ○井原部会長  それでは、また御意見をお願いします。 ○寺山委員  3点ほどございます。産業保健関係の人材育成についてですが、あそこに九州リハビ リテーション大学校をはじめ、そういう裾野の人材育成が非常によくやっていただいた ということで高く評価して、実績も上がってきたんだろうと思いますが、ここではそう いうことはもう一応終って、むしろ卒後の実際に働いている人の質の向上ということに シフトして、例えば看護学校なども専門看護師とかそういうものの育成にシフトしてき たという理解だと思いますが、それだけでいいんでしょうかという部分はやっぱり残り ます。  それで、確かにあちこちに看護学校がたくさんできましたし、大学レベルのリハビリ テーション関連職の人材育成の機関もいっぱい増えてきて、学生さんもいっぱい来るよ うになりましたが、教育の現場で見ていますと産業保健とか勤労者医療に理解がある人 材育成を卒前教育のところから十分にやっているかというと、そういうこともないとい うことの現状で今、過渡期だと思うんですね。そうすると、せめてここには書いてない けど、医師、看護、それからリハビリテーション看護、その他の卒前教育の部分を労災 病院を中心にした、ケアセンターもそうですが、機関で卒前教育の部分で少し、つまり 一番足りない部分ですね、卒前教育で足りない臨床実習というか、現場の中で若い人た ち、将来の人材、勤労者医療に目を向ける人材の芽を出しておくという意味で、そうい う貢献も必要なんではないかということで、どう考えておられるか、この中にどのよう に取り込まれているかという、質問と意見の両方です。  それから2番目ですが、12のテーマがございましたが、これは質問なんですが、12番 目の職業復帰のためのリハビリテーションということですが、私はリハビリテーション が専門なんですが、あらゆる疾患障害は今は早期発見、早期治療からリハビリテーショ ンまでということで必要だと思いますが、ここの12番目の職場復帰のためのリハビリテ ーションのプログラムというのは、1番目の四肢切断、骨折は入る、せき損もデューテ ィであるわけですが、例えば3番、4番、5番、6番、7番、8番、9番、それからメ ンタルヘルスまであらゆるところの障害というか、ここの研究・開発テーマの中にこの 職場復帰プログラムのための体系的なリハビリテーション医療の研究・開発というのが 入っているんでしょうか。  それから3番目ですが、ここではある意味では安心しているんですが、他のところで はとにかく早く集中的に高度医療は早期に解決して、次のステップへ行くことが早く集 約的にというようなことが言われるんですが、ここの労災病院関係ではそこはあまりそ ういうことは言われないんですが、このへんのところはどうなんでしょうか。以上、3 つお願いします。 ○杉浦労災管理課長  まず第1点の人材育成の関係でございます。これにつきましては私どもの労災看護学 校等におきましては当然のことながら、そういう産業保健の観点も含めましたカリキュ ラムも入れまして、その育成の中でやっていっているわけでございますが、現在お話が ありましたように一般の、民間の看護学校についてそこまでということは、確かに十分 にできているかどうかはちょっと私どもも確認できていないところでございます。それ で、私どもの中期目標として載せておる部分の中では、先ほど御説明した中では6頁の 4番の都道府県の産業保健推進センターにおきます現実に今そういう業務についておら れる方に対する研修、あるいは相談というのを幅広くやっていきたいということでござ いますが、なかなか今の看護学校、あるいは教育施設の中での事前教育の中でその部分 をどこまでできるかということになりますと、文部科学省との関係も出てまいりますの で、ちょっとそこはどこまでできるか検討はしてみたいと思いますが、直ぐに私どもの 範囲でなかなかできない部分もあるのかなという気もします。  それからリハビリテーションのことについては、おっしゃいましたように他の疾病に ついても当然のことながら伴ってくるわけでございまして、その部分が、他の病気の部 分はリハビリテーションは抜けているということはまずないわけでございますが、おそ らく、私も専門ではないんですが、そういう疾病に特化した部分について必然的に伴っ てくるリハビリテーションについては、たぶん上のほうの疾病で含まれて研究の分野に 入ってくるんだろうと思いますが、それ以外の全般的なものを見渡したリハビリテーシ ョンということで一つ12番目に敢えて載せているんだろうと思われますが。そういうこ とでございます。  それから3番目の、早くという話は、これは確かに今回の私どもの計画の中には具体 的なものとしてはもちろん書いてございません。ただ、現実の問題としましては、これ はまた診療報酬との関係にもなってくるんですが、そういうことでできるだけ収入を確 保していくという観点からみると、入院期間を短くするほうが診療報酬上有利だという ことも実際のところあるわけでございますが、ただそうは言っても直ぐに追い出すよう なことになってもいけませんから、そこは一方で先ほどの話と重複するかもしれません が、経営の観点からの非常に厳しい見方がある中で、できるだけ労災を中心とした患者 さん方に手厚い治療を受けていただくような努力はもちろんしていかなければいけない と思っております。まだ正直、実際にここの計画の中には明示して、もちろん書いてあ るわけではございませんが、経営の観点からはそういう面は当然求められてくるだろう と思います。以上です。 ○寺山委員  ありがとうございます。それで、1番目については検討していただくということで了 解ですが、職業リハの12番目のところはそうすると具体的にはこれを担当するのは医療 リハビリテーションセンターとせき損センターと理解してよろしいんでしょうか。 ○小鹿総務部長  労働福祉事業団で総務部長をしております小鹿と申します。今の御指摘でございます が、基本的には医療リハビリテーションセンター、そして総合せき損センターとは別 に、現在あります労災病院の37病院、統廃合後は30病院になるわけでございますが、そ の30病院の中から一つリハビリテーションについての中核病院というのを選んでいきた いと考えております。 ○寺山委員  分りました。 ○村山委員  ちょっと危惧することがやっぱりあるんですね。経営を改善しなさいと、これはもち ろんいいんです。経営を改善し、紹介率を上げなさいとなりますと、当然他の病院と競 合するんです。患者さんの取り合いが始まるんですね。つまり、そうすると一般病院並 みの競争をさせるということになるのが労災病院としていいのかと。当然、今申し上げ ました2つのことで現在各病院が大変な苦労をしていて、そこにまた労災病院が割り込 むわけですね。患者さんもたくさん来なさいと取り合いを始めるわけですね。それで、 どうも棲み分けと言いながら、つまり一般病院の競争をエンカレッジしているようなと ころもちょっとあって。  ですから、正直言いますと、特化した機能を、リハビリテーションとかいろいろな話 が、そういう特化した病院はそこはもう大いに今後この独立行政法人としてやっていく のはいいんですが、一般病院的にもう民営化してしまって、一般の人に任せて、それで 労災に関係するところだけをこの法人ではやっていくというのが本筋ではないかなとい う気がするんですね。今後御検討いただきたいと思います。 ○杉浦労災管理課長  御趣旨は非常によく分るんですが、一方で病院として看板をあげた以上は総合病院と してやっていかなければいけないということになりますし、それからまた逆の一方で、 収入源も考えていかなければいけないと。それから、もちろん労災を第一義的なものと して視野においてやっていくということはまさに使命であるわけですが、特に地域なん かに行きますとやはり地域医療の一つの核として公的病院として、これは良いかどうか は別にしても、現実にそういう役割になってしまっているところも相当数あるわけでご ざいます。  それで、これはだから残さなければいけないということではもちろんないんですが、 そのへんの地域の医療計画等々も見ながら考えていかなければいけない問題ではあろう かと思います。ただ、まったく民間ベースで収益が上げられるようになれば、これはま さに民営化すればいい話であって、独立行政法人という制度の一番根本的なものになっ てしまうのかもしれませんが、一方でそういう労災に対する治療という政策目的を持ち つつ診療行為を行っていくという両面を、この独法化の中でいかに効果的にやっていく かというのが当面この発足に当たっての課せられた課題ではないかなと思っております ので。もちろんそういうことでの民間からの弊害といったようなことが出てまいれば、 そこは当然考えていかなければいけない問題ではないかなと思っております。 ○篠原委員  12の重点分野については補助金が出るという話ですが、県や市の病院では、特殊医療 と高度医療等は採算が合わないので、赤字補填をしていますが、この労災病院の一般医 療では、そういう区分できるものでしょうか。  また、あるところで「労災病院廃止」と新聞に出たら地元でも反対運動があったと聞 いているんですが、当然採算性からみれば廃止しなければいけないということがあると 思いますが。 ○杉浦労災管理課長  先ほどの繰り返しになるかもしれませんが、いわゆる診療を行う病院の部分について は国からの交付金とか補助金はもう原則出さないということなんですね。ですから、こ の12分野に関しましても、それの治療行為の部分は基本的にこれは自前の診療報酬でや ってもらおうと。それで、その診療ではなく研究・開発とか、その普及といったような ことを、それを今後の治療に生かしていくという部分については国から交付金を流そう という趣旨で、今回棲み分けをしておりますので、特別の分野の治療についてお金を出 すということではないものですから、そこは委員のおっしゃったようなところとはちょ っと違うのかなというように思っております。  それから、廃止の話も今出ましたが、そこは再編で今考えておりますのは、私どもは 労災病院としての機能は廃止せざるを得ないと、その7つの部分については思っており ますが、今後その地域地域で、ここはやっぱり一般の地域医療の機関として是非とも存 続してもらいたいということであるならば、そこに対していろいろな条件があると思い ますが、移譲することはやぶさかではないというか、そういう方向でできるだけもって いきたいと思っておりまして、別に労災病院を病院としてもさらに無くしていくという ことばかりを考えているわけではございません。 ○篠原委員  それと、ここにいろいろな委員会を立ち上げたり、いわゆる普及活動とかやります ね。これは運営費交付金の中でやるんですか。それとも、それぞれの病院での費用でや るんですか。新たに色々な負荷が掛かってくると思いますが。 ○杉浦労災管理課長  それぞれいろいろな評価委員会とか検討会をつくるというように書いてありますが、 これも基本的には全部一言で言えるかどうか確認しないといけませんが、この目標を実 施するために設置されるこういう評価委員会等については、原則運営費交付金の対象に なると思います。病院が独自にそういうものを委員会を開くというようなことになれ ば、それは病院の中の運営の形態でございますので、そこについての国の援助というの はないと思いますが、こういう政策目的でやるいろいろな委員会や検討会についてはそ れは運営費交付金の対象になると考えていただいていいと思います。 ○篠原委員  業務運営の効率化に関して、運営費交付金に対する事業の効率化と、労災病院の再編 による効率化というのがありますが、残った30の病院の効率化とか何らかの目標の設定 があればと思いますが、その辺はどうでしょうか。 ○杉浦労災管理課長  後ほど出てまいりますが、ただ今申し上げました基本的な考え方の中で、病院の運営 の部分につきましては繰り返しになって恐縮ですが、自前でやっていく。つまり、診療 報酬で得た中で人件費も施設・設備の費用も全部賄っていこうということで考えている わけでございます。そうしますと、そこに必要な例えば人員で申し上げますと、人員が どのぐらい要るのかということになりますと、これは収入との見合いで考えていかなけ ればいけないということになってまいります。それで、病院の場合には一方では医療法 等で置かなければいけない基準というのがありまして、一つの科に対して医師が何人、 看護師が何人とかそういうようなものがありますので、そういう基準もクリアし、なお かつ収益をできるだけ上げる人員体制がどういうものがあるかということは、基本的に 自前の運営の中で各病院、あるいはその機構が独自に考えていっていただくことになる だろうと思っております。  それで、後ほど御説明しますが、財務内容の改善というところで今後、今までは出資 金ということで国から施設に対しては直接金を流しておったわけですが、そういうもの がなくなるものですから、その分の減価償却が欠損として上がってまいりますが、その へんを今後できるだけ早く解消していかなければいけない。そこの中で当然自分で努力 して人件費も抑えてやっていかなければいけないということになるわけです。敢えてこ こで、例えば今までの定員管理のように定員削減を何人やるべしとか、そういうことは やらなくても当然のことながらそこは、これから診療報酬もまた上がったり下がったり するかもしれませんが、そういう収入等の見合いの中で努力をしていく部分だろうと思 って、敢えてそこの部分についての目標は書いてないわけでございます。ですから、後 ろに出てまいります今後5年間の中期目標期間の中で「収支相償を目指す」というよう な書き方をしておりますが、いわゆる赤字体質を脱却するような努力をするためには当 然、給与費とか施設等についても見直しを自主的に図りながらやっていかなければいけ ないことになると思いますので、そこについては敢えていちいちここに目標を書く必要 はないと思っておるわけです。ただ、病院そのものの数というのは、これは閣議決定で も定められておりますし、全体のスリム化ということから病院の数を減らすというよう なことで国として定める部分がございますので、病院の再編といったようなことについ てはここに書かせていただいておりますが、その中の運営の問題についてはあくまでも 自前でやる部分でございますので、そこは当然経営の体質が悪ければ自分のところで赤 字が出てしまって、それが5年後に評価を受けるということになってまいりますので、 その部分については自主的な努力に任せればいいんじゃないかというように考えている ところでございます。 ○井原部会長  また話が財務内容の改善に入ってまいりましたので、これは説明を受けてからまた質 問を続けたいと思います。お願いします。 ○杉浦労災管理課長  それでは引き続きまして財務内容の改善の関係について御説明をします。資料は8頁 の中ほどからでございます。  ここでは特に労災病院の経営改善について目標設定しておるところでございます。そ れで、繰り返しになって恐縮でございますが、これまでも労災病院については運営費に ついて診療報酬によって賄ってきたところでございますが、収支として見た場合には全 体として黒字を維持してきてはいたんですが、一方施設・設備については国が出資して 措置をしてきたということでございます。ですから、今回独立行政法人になるに当たっ て出資金制度というのが廃止されますので、病院の施設・設備に係る減価償却も含めた 収益ベースでの経営収支というのを考えていくことでございます。  そういう意味で、第4のところの(1)にございますが、独立行政法人移行後の労災 病院については、勤労者医療の中核的役割を的確に果たしていくため、中期目標期間中 において計画的に経営改善を図り経営基盤を確立し、収支相償を目指すということで目 標を設定したところでございます。  もとより民間病院と比べた場合に多額の減価償却費の負担というのが避けられないわ けでございまして、非常に大きな困難を伴うと考えられますが、具体的な方法論としま しては右の計画のところに書いてございますが、新入院患者の増を図ること等により診 療収入を確保しつつ、人件費の適正化、物品調達コストの縮減、効率的な設備投資等に よる経費の縮減ということを行いまして、その新しい病院の経営スタイルを確立してい く考えでございます。もちろん国としましても、その前の段のところに書いてあります ように、各年度ごとにしっかり計画をつくらせまして、その計画を具体的に実際に行っ ているかを見ながらやっていくつもりでございます。そういうことで財務内容、一番大 きな部分でございますが、これも労災病院についてはそういう目標をつくっておりま す。  それから(2)が労働安全衛生融資でございますが、これは先ほど申し上げましたよ うに、既に新規貸付は一昨年からしておりません。ですから、残った債権管理を適切に 行っていくということを目標に掲げております。なお、詳細な予算収支計画、資金計画 については申し訳ありませんが、今回はまだ準備ができておりませんので、また次回に 御説明をさせていただきたいと思います。  それから次の頁でございますが、第5は先ほどの重要な財産を譲渡し担保に供しよう とするときの計画ということで、労災病院の民営化、あるいは休養施設、労災保険会館 の譲渡に伴う事柄を載せております。  それから第6の剰余金の使途でございますが、これも他の法人と並びで一般的に書い てございますが、労災病院については施設・設備の整備、それからその他の業務につい ては労働者の健康の保持増進に関する業務の充実ということになっております。  それから、最後にその他の事項ということで、特に人員に係る計画でございます。こ れは労災病院のほうは先ほど申し上げましたとおりですが、いわゆる運営費交付金の関 係の業務を行う職員としましては、独法移行時に800人おります。これを5年間で80人 減らしまして、720人にしたいと考えております。  これにつきましてはお配りした資料6−5の2頁目をお開きいただきたいと思います が、人員削減計画の内訳というのがございます。それで、今申し上げましたように、ち ょうど真ん中のところが16年4月の独法移行時のそれぞれの施設ごとの定員でございま す。それで、一番下に書いてございますように、施設数78箇所、職員数800名でござい ますが、それを平成20年度の中期目標期間の終了時には、それぞれの施設で「▲」が書 いてある人数分だけ削減をしまして、720名までもっていこうというように考えており ます。それから、施設の数も4箇所ほど減らそうということで考えておるところでござ います。これが人員等に関する計画の部分でございます。  それから戻っていただきまして、一番最後の9頁の一番下のところでございますが、 施設・設備に関する計画というのがございます。先ほど申し上げましたように、基本的 に病院の運営は今後自前収入でやるということでございますが、ただ例外的に現在建設 中の病院がいくつかございます。それで、これは工事を途中で止めるというわけにもい きませんので、この部分につきましてはその病院の工事が完成するまでの間、ただし本 中期目標期間中に限る、ということで注1に書いてございますが、引き続き施設整備補 助金として国からの補助をしたいというように考えておるところでございます。  以上でございます。よろしくお願いします。 ○井原部会長  ちょっとすみません、基礎情報としまして減価償却負担分を合わせると、現在はどれ だけの赤字があるのかという話。それから、労災病院は受け入れている労災患者の割合 というのは全体でどのぐらいなのかというのを教えてください。 ○杉浦労災管理課長  14年度までの数字で約240億の欠損ということでございます。9割以上は減価償却で ございます。それから、労災病院に入っておられる患者さんのうち、労災患者の割合は 大雑把に言って5%ぐらいでございます。 ○横倉委員  まったく素人なので、今お話を伺ってまだ釈然としないんですが、地域病院としての 役割、ないしは総合病院としての役割というのがこの労災で担わなければいけないとい うのは誰が決定するんですか。病院をつくるということ自身がもうその事実をつくって いるわけですか、事実の追認になるんですか。これから先、さらに続けるということは 誰が止めたり、やろうと決めるんですか。 ○杉浦労災管理課長  労災病院に限らず、要は病院として看板を掲げて病院の業務を始めるという場合に は、医療法という法律に沿わなければいけないんですが、そうしますと結局一定規模以 上になると病院ということになるんですが、基本的に来られる患者さんは拒否するとい うことができないことになっていまして、そうするとそこには一定のそれぞれの科にお ける医療スタッフも置かなければいけないということになってくるわけです。ですか ら、うちは労災患者しか受け付けませんから、一般の風邪の方はダメですというわけに はいかないというのが、これは医療法上の制度でございますので、そこは病院として看 板を掲げる以上はそういう制約があるわけでございます。  それから、医療計画というのを、これもまた病院の管理の関係なんですが、各都道府 県ごとに、あるいは医療圏というのが、二次医療圏とか三次医療圏というのがありまし て、それぞれの地域ごとに一定の病床数を確保するというような計画を各都道府県ごと につくっておるわけでございます。ですから、ある県のこの地域については何千床とか 何百床というものは確保しなければいけないという基準がございまして、それで既にあ る労災病院も含めた公的病院、あるいは民間病院、そういうのも合わせて現在どのぐら いの病床数がその地域にはあるかと。それが過剰になっているか、足りない状況になっ ているかというのはそこで判断されるわけなんですが、そういう医療計画の中に当然の ことながら組み込まれてきてしまうことになっております。ですから、誰が決めたかと いうことになると、そういう法律の病院としてやる以上はそういう制約を受けてくると いうことでございますので、要は治療行為を行う以上は病院としてやらざるを得ないも のですから、必然的にそこの部分の制約は当然掛かってくるということになってしまう わけです。 ○横倉委員  そうしますと、逆に言えば病院という一つのシステムの上に立って労災という特別研 究を上に乗っけたんだという性格になるということですね。だから、労災という研究だ けの研究センターをつくるというのとはちょっと、それをうまく病院の体系に乗せた と。その運営をやろうと。その病院のほうは自前でやりなさいと。こういう形ですか。 ○杉浦労災管理課長  ただ、非常にラフに言えばそういうことになるかもしれませんが、ただそうは言って も現実にその治療を受け入れる場合には、5%という数字が多いか少ないかは別にしま して、これまで担ってきた労災病院の役割としてはやはり労災患者を中心に受け入れて その治療を行うという使命でやってきておりますので、病院部分はまったく労災とは関 係ないということにはならないと思います。現在でも他の民間、あるいは普通の公的病 院に比べて労災患者の受入割合は高いのは事実でございますので、そういう治療をやる 部分についてももちろん労災を念頭に置いた形でやってまいりますし、それから研究機 関とのタイアップということも当然のことながらやっていくことになると思いますの で、きれいにサッと分けるというわけではないと思いますが、ただ病院の運営としてや る以上は経営のことも当然考えなければいけないということになるし、どんな患者さん も受け入れなければいけないという一つの制約がございますので、そのへんも加味しな がらやっていくということになるということでございます。 ○横倉委員  そうすると、今回はまだ経営計画とかそれが出ていませんから分りませんが、通常の 病院としての運営というのは償却も含めてやるという計画で今後は行くということです ね。それと累積欠損に関してはしかるべき何かの措置があると。 ○杉浦労災管理課長  そうですね。 ○竹内委員  勤労者に対する医療サービスという点で、そういう医療機関や医療施設が少ないとき には大変重要な役割を果たしてきたと思いますが、今は労災病院として特化した機能を 強化するということが大変大事な課題になってきたときに、独立採算制というか、自前 の一般診療の部分で本当はエネルギーの大部分を使われてしまっている、今後も使われ るというのは何かちょっといいのかなという気がするんですが、そのへんの整理を将来 どのようにお考えになっているのか。一般の民間や他の病院で同じような診療をやって いるわけですね。大部分は。その負担がものすごく大きくて、現実問題としては目標を 掲げて政策的な問題とか特化したものというのはなんかエネルギーを割けないというこ とが引きずっていく可能性があるんですが、そのへんをどういうように整理されていく のかなと。 ○杉浦労災管理課長  今回の中期目標が5年というタームで考えておりまして、5年後の姿を見据えてこう いう形で目標として掲げております。ですから、それから先をどうするかというのは今 考えておるわけではないんですが、そこはもっとさらに5年後の状況の変化を見なが ら、もしかしたらまた方向を変える必要が出てくるかもしれませんが。ただ、現在は一 方で労災患者が減少傾向にあるという部分がございますが、かと言ってゼロになるとい うことはあり得ないわけですから、そこはやはり国策として一定のものを投入しつつ治 療に役立てるという部分は政策としてやらなければいけない部分は絶対にあると思うん です。そこが30でいいのか、もっと少なくてもいいのかというのは、これはまた今後の 災害発生状況とか患者の状況ということになってこようかと思いますが、ただ病院を統 廃合するにしても一つ一つそれぞれ大きな問題を抱えておって一朝一夕でできる話でも ないわけですから、そこはまた中期的、あるいはもっと長期的に見なければいけない部 分があるかもしれませんが、我々の基本的な考え方としてはやはりそこの労災病院に置 かれている役割、あるいは今度できる労働者健康福祉機構の中でやるべき労災疾病に関 する研究・開発というものを一つのあるべき姿として、現段階におけるあるべき姿とし て目標をつくって、それについて今30病院という体制の中で最大限効果を発揮していき たいということで形をつくってみたわけでございますので、そこが今後また状況の変化 によってどうなるかはまた状況の推移を見ながらやっていくことになろうかと思いま す。ただ、それはもっと少なくしたらいいじゃないかという声もあるかもしれません し、かと言って逆にそれでは足りないとか、あるいはもっと国からの補助ないし支援を すべきではないかという意見もあるので、そこらへんは両方見ながらやらなければいけ ないと思いますが、そういうことでお答えに十分なっていないかもしれませんが、一方 でそういう要請も踏まえつつ、国としてやるべき労災補償対策をどうしたらいいかとい うことを見据えながらこういう運営を考えていきたいというように思っております。 ○小鹿総務部長  今の労災管理課長からお話があった点を少し私ども現場を預かっているサイドから補 足的に御説明をさせていただきたいと思います。  診療報酬が非常に厳しく改定等がなされる中、私ども労災病院も一般の民間病院と同 様に非常に厳しい経営状況に直面するわけでございまして、今後非常に不透明なものも あるわけでございますが、しかしながら独立行政法人として自分の足で立つといったこ とがまず大きな目的として課せられておりますので、経営基盤を強化していく。ただ、 独立行政法人、すなわち政策的な医療もやっていくことも併せて課せられておりまし て、ここにつきましては厚生労働省のほうから労災疾病等の研究・開発に係る運営費交 付金等をいただいておりまして、これを最大限有効に活用させていただいて労災疾病に 係るモデル医療でありますとか予防医療等を研究・開発して、これを地域の民間の医療 機関等にも普及させる。それによって地域において勤労者医療、労災疾病の治療なり予 防という観点から労災病院の地域における位置付けというものを高めていきたい。それ によって高まれば、いわゆる一般診療部分においても良い効果が出てくる。それを期待 しまして一般診療の経営基盤を強化して、併せて勤労者医療、労災疾病についてもやっ ていく。それによって地域の評判を高めることによって、また一般診療部門においても 良い影響をもっていく、そういう好循環をこの5年間でつくっていきたいというように 考えております。  ただ、口ではそのように申し上げておりますが、なかなか医療の現場は難しいところ でございますが、今般の中期目標なり中期計画が確定しましたら、その方向に沿って厚 生労働省の御指示も得ながら進めていきたいと考えております。 ○篠原委員  いろいろな情報提供や研修を行っていますが、現在、他のところで自己収入を増やす ということで有料化しているところがあるんですが、ここではそういう有料化できるも のはあるんですか。 ○杉浦労災管理課長  基本的に一般的な相談みたいなものとか講習会のようなものは無料でやっておりま す。健康診断みたいなものはたぶん実費を取っているはずですが。他のものについて は、これは政策目的でやっている部分でございますので、基本的に無料でございます。 ○篠原委員  あと、他の独立行政法人も同じですが、いろいろな数値目標を設定していますが、独 立行政法人に求められている経済性、効率性、有効性があり、我々は有効性はなかなか 難しいなと感じています。講習後にアンケートをお願いしていると思いますが、不満と か改善点を書いてもらって、それをより有効にするような仕組みというのはあるのでし ょうか。 ○杉浦労災管理課長  これは当然のことながら、そこらへんは単に良かったか、悪かったかだけではなく て、不満な点についてはそこを次の機会、あるいは事業に反映させていくということ で、あまり具体的なものとしては書いてないんですが、ただ中期計画、右側のほうに書 いてある部分につきましては、満足度調査について例えば4頁の(2)のウのところに、 「利用者の満足度調査を毎年度実施し、結果を指導・相談内容に反映させることによ り、その質の向上を図る」とか。そういうことで、その都度満足度調査を実施するとこ ろには、それをまた改善に反映させるというような記述はしておりますし、おそらくこ れはアンケート調査の中で不満とか注文があればそれを当然中で検討しまして、次の機 会に反映させるような努力はしていくことになります。 4. 閉会 ○井原部会長  あとはよろしゅうございますか。それでは予定しておりました審議は以上でございま すので、本日の会議はこれで終了とさせていただきます。長時間にわたりましてありが とうございました。                                     −了− 照会先  政策統括官付政策評価官室 独立行政法人評価係  代)03−5253−1111(内線7790)