04/02/06 薬事・食品衛生審議会生物由来技術部会 平成16年2月6日議事録 薬事・食品衛生審議会 生物由来技術部会 議事録 1.日時及び場所   平成16年2月6日(金) 10:00〜   KKRホテル東京朱鷺の間 2.出席委員(10名)五十音順   入 村 達 郎、 甲 斐 知恵子、○堺   春 美、 澤 田 純 一、   島 田   隆、 土 屋 利 江、 西 島 正 弘、◎早 川 堯 夫、   星   北 斗、 山 口 照 英   (注) ◎部会長  ○部会長代理   他 参考人1名   欠席委員(4名)五十音順   小 澤 敬 也、 珠 玖   洋、 清 水 慶 彦、 山 口 成 夫 3.行政機関出席者   鶴 田 康 則(大臣官房審議官)、   岸 田 修 一(審査管理課長)、   北 條 泰 輔(医療機器審査管理室長)、   豊 島   聰(医薬品医療機器審査センター長)  他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 それでは定刻となりましたので、薬事・食品衛生審議会生物由来技術 部会を開催させていただきたいと思います。本日は御出席予定の先生10名全員いらっし ゃっておりまして、当部会委員数14名のうち10名でございますので、定足数に達して おります。  本日はカルタヘナ関係で議題2に「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の 多様性の確保に関する事項について」がございますが、その関係で国立感染症研究所の 神田先生に参考人として御出席いただいております。先生にはお忙しいところありがと うございます。  それから本日の議題は審議事項が二つ、報告事項が一つでございます。それでは早川 部会長、以降よろしくお願いいたします。 ○早川部会長 先生方、本日はお忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうご ざいます。それではまず資料の確認をいたしたいと思いますので、事務局の方からお願 いいたします。 ○事務局 それでは机の上に御用意いたしました本日の議事次第に資料番号が付されて おりますので、そちらに従って確認させていただきたいと思います。本日の資料といた しましては、事前にお送りしたものと本日机の上に置かせていただいたものと二つござ います。  事前送付資料といたしましては、議題1のACC-01の品質・安全性の確認に関するもの でございますが、資料1-1、1-2と二つございます。それから議題2の遺伝子組換え生物 等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律の資料でございますが、これ が資料2-1〜資料2-6まで六つございます。次に報告事項の議題1に関するものでござ いますが、資料3の「『組換えDNA技術応用医薬品等の製造のための指針』に係る確 認について(概要)」でございます。あと事前送付資料として、参考資料1〜4をお送り させていただいております。  また当日配付資料としては、お手元に「薬事・食品衛生審議会生物由来技術部会配付 資料一覧」というA4の一枚紙をお配りさせていただいておりますが、その中の網掛け の部分でございます。まず議事次第、座席表、部会委員名簿、それから資料番号はござ いませんが、「コメントつづり」という資料がございます。資料2-3は事前にお送りさ せていただいたものの差し替えでございます。資料2-7の「バイオテクノロジー応用医 薬品等の規制について」、資料4の「生物由来原料基準の一部を改正する件 新旧対照表」、 参考資料5の「薬事分科会における確認事項」でございます。御用意させていただいた 資料は以上でございますが、もしお手元に足りない資料がございましたら、事務局の方 までお知らせいただければと思います。 ○早川部会長 資料の方、よろしゅうございますでしょうか。それでは本日の審議に入 りたいと思います。本日は審議事項といたしまして、「細胞・組織を利用した医療用具 の品質及び安全性の確認について」と、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生 物の多様性の確保に関する事項について」の2件がございます。それから報告事項とい たしまして、「組換えDNA技術応用医薬品の製造のための指針への適合の確認につい て」という議題が1件ございます。まず審議事項の議題1について、事務局より御説明 いただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○事務局 それでは事務局から説明させていただきます。議題1のACC-01の品質及び安 全性の確認でございますが、まず確認申請の制度の概要はいつもどおり参考資料として 配付させていただいております。いつも申し上げておりますけれども、確認申請はあく までも治験に入る前の品質・安全性の確認を行うことを目的としたものでございまして、 この部会の審議の結果が直ちに医薬品の製造あるいは輸入の承認に結び付くものではご ざいません。  このACC-01、自家培養軟骨は株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J- TEC)から申請されましたもので、患者自身の関節から採取した軟骨細胞をコラーゲン に包埋して約4週間培養した自家培養軟骨用組織でございます。このものについては、 昨年4月25日に当部会で確認申請について御審議いただきまして、幾つかの点について 更に明らかにすべきであるとされております。それらの点に対して申請者の方に回答を 求めまして、細胞・組織利用医薬品等検討小委員会で御検討いただいております。資料 1-2の17〜19ページにかけて青字になっていると思いますけれども、この部分にその結 果がまとめられておりますので、それに沿って御説明したいと思います。  まず(1)、最終製品に残存するウシ血清の安全性について、越智教授の臨床試験、類 似する他の品目とACC-01とを比較し、ウシ血清に起因するアレルギー等の観点から安全 性について説明するよう求めたところ、申請者から以下の回答が提出されました。越智 教授の臨床試験では患者由来の自己血清を用いて培養しておりまして、ウシ血清を用い た培養軟骨を患者に移植した実績は現在のところないということでございます。また、 その他の国内外の臨床研究論文や報告等においても、ウシ血清を用いた三次元培養軟骨 を臨床使用した例はないということでございます。ACC-01の適用対象としては高齢者が 多いと考えられることから、申請者は79歳の男性由来の軟骨細胞と市販の50歳代のヒ ト血清3例を用いて培養を試みましたが、いずれも出荷規格を満たす最終製品は得られ なかったということでございます。この結果から、高齢者の自己血清を用いて培養した 場合に、ACC-01の作製ができない可能性が高いと考えられるとしております。したがっ て、ウシ血清を用いることは不可欠であるが、残存するウシ血清量を減少させることは アレルギーのリスクを回避するためにも重要であると考え、ウシ血清を用いて培養した 後□□□□□□□□□□を行うこととしております。この□□□□を追加することによ りまして、残存するウシ血清量は□□□%に低減することを確認したということでござ います。さらに治験においては事前に問診を行いまして、牛肉、牛乳アレルギーの既往 のある者、アナフィラキシーの経歴を持つ者を除外すること、それから移植前□□□□ □□□□□、□□□□□に体外診断薬による牛肉アレルギー検査を行うこと、移植後は アレルギー反応が起きる可能性を注意喚起するとともに、万一アレルギー反応が起きた 場合の対応を明確にしておくことということで、最終製品に残存するウシ血清に対する 安全性は確保されているのではないかと見ております。また、アレルギーの危険性につ いては、同意説明文書において十分説明することとするという回答を得ました。  次に(2)、非臨床試験に関してウサギを用いた理由、及びウサギ軟骨の自家移植を行 わない理由について説明を求めましたところ、以下の回答を得ております。まずウサギ を選択した理由としては、ウサギを用いた軟骨欠損修復に関する報告が数多く存在し、 評価系として最も確立された実験モデルである。ウサギは系統、飼育環境の管理等の面 で個体差が少ない動物である。ヤギ、ウシ、ヒツジ等の大型動物は個体差がある場合が 多く、長期間の均一な飼育環境で管理することが困難なため、本試験には適していない と考えられることから、ウサギを選択したという回答を得ました。  また、ウサギ軟骨の自家移植を行わない理由としましては、ウサギにおいて軟骨細胞 採取、軟骨移植の外科的処置によるダメージが全身状態に大きく影響することから、均 一な評価系にするために外科的処置の反復を極力避ける必要があるということ。それか ら、ウサギ軟骨細胞を用いたACC-01を作製するために必要な軟骨組織量は、ヒトの場合 に必要な組織量と同じ程度(0.1〜0.3g)でございますが、ウサギ軟骨組織はヒトよりも 少ないことから、組織採取部位と移植のための軟骨欠損部位の両方を確保することが困 難だということで、ウサギ軟骨による同種移植を行ったということでございます。ただ し、同種移植による免疫反応の影響をできる限り低減するため、ウサギはクローズドコ ロニーである日本白色種を採用したとの回答を得ました。  (3)、エンドトキシン試験について培養上清を用いて行うことの妥当性について、ア テロコラーゲンがエンドトキシンを吸着する可能性などを含めて説明するよう求めたと ころ、指摘のとおり吸着が認められたことから、並行して製造した品質検査用ACC-01を 用いてエンドトキシンを測定することとするとの回答を得ました。  (4)、J-TEC社が研究用に受け入れた軟骨組織に関して、医療機関において患者へ のインフォームド・コンセントが十分であったか説明を求めましたところ、申請者から は医療機関における倫理委員会で承認されたことを示す通知書とともに、患者説明文書 が提出されております。  (5)、J-TEC社と越智教授との関係について経緯を含めて説明を求めたところ、J -TEC社と島根医科大学の越智教授が結んだ共同研究契約の概要、及び科学技術振興事 業団の委託開発事業の概要に関する回答を得ております。  (6)、患者説明文書を適切なものに改めるよう求めたところ、患者説明文書に患者の 権利、対象疾患に関する他の治療方法、ウシ血清に対するアレルギー検査の実施、最終 製品に残存する物質がアレルギー反応の原因になる可能性があることに関する内容を追 加し、分かりやすく、また具体的な説明に改めたとの回答を得ております。  そのほか、本品に使用するウシ由来原材料に関して、平成15年にカナダ及び米国でB SEが発生したことに伴い、アテロコラーゲン及びウシ胎児血清はウシの原産国をオー ストラリア又はニュージーランドに限定することといたしまして、BSEに対する安全 性を確保することとされております。  以上の生物由来製品技術部会からの指摘事項に対する回答も踏まえまして、小委員会 の方では、申請された治験医療用具、ACC-01の品質及び安全性は治験を実施するに当た り確保されていると判断され、本部会に上程することとされております。事務局からの 説明は以上でございます。 ○早川部会長 ありがとうございました。それでは事前にコメントを頂いているようで すので、「コメントつづり」という資料について事務局の方から御説明をお願いします。 ○事務局 本日御欠席の清水委員からコメントを頂いておりますので、この「コメント つづり」に沿いまして御説明させていただきます。まずコメントの「1)ウシ血清の件」 という部分でございますが、「・世界的にウシ血清は禁止の傾向にある。ヒト血清を用 いても軟骨増殖因子を加えれば高齢者でも十分増殖可能である」、「・無血清培養の方 が培養成績が優れているという報告すら出てきている」ということでございます。  それから「2)ウサギの実験の件」については、「・ウサギはげっ歯類であり、創傷治 癒モデルとしては信用できない。ヒトと全く異なる。さらに、ウサギは系統により全く 異なる創傷治癒形成をとる」、「・ビーグル犬の実験が信頼できる」、「・下肢関節軟 骨の治癒モデルでは体重の除圧によりすべての生物で異なる結果が出る。日本で既に臨 床応用している施設があるが、ヒトでも除圧装置の装用で全く異なる結果となっている」 ということございます。  そして「結論」として、「取りあえず性急に治験を開始してよいと考えるが、上記の ような新知見が次々と続出していることから、十分改善研究を続けて完成させてほしい」 ということでございます。また、この紙には書かれておりませんけれども、若年者と高 齢の方とでは同じ軟骨欠損でもかなり差があるので、その点を踏まえて試験は慎重に実 施してほしいということも先生はおっしゃっておりました。  まず1)の血清に関してですが、私どもの方で更に清水委員といろいろお話しさせてい ただきましたところ、京大の開先生が研究されているコンドロモジュリン-1というサイ トカインを添加すれば、ヒト血清でもうまく増殖するのではないかということでした。 このコンドロモジュリン-1に関して開先生に確認しましたところ、このものはまだ生理 活性因子としての機能解析・安全性が十分解明されているとは言えず、まだ基礎の段階 であるということ。それから、立体構造が複雑で生成、製造がかなり難しく、量を確保 するのも難しいということで、まだなかなか使用しにくい状況にあるようでございます。 また、無血清培地での培養については、京大の中畑先生が発表されているものでござい まして、造血幹細胞で行われていて細胞の種類が違うのですが、こちらもまだまだ基礎 の段階にあるもののようでございます。申請者としては、これら無血清培地や増殖因子 について引き続き研究・開発を行っていく、という回答を得ておりまして、この点につ いては清水委員にも御了解いただいております。  それから2)のウサギの実験でございますが、申請者からは欠損の程度やウサギの成熟 度など、ウサギで問題となるような点はできるだけ回避するよう注意しておりまして、 評価モデルとしては問題ないと考えるけれども、ビーグル犬も実績がある動物であって 遺伝的背景もコントロールされて信頼性が高いモデル動物であると考えられること。ま た、イヌを使えば治癒過程の精査ができるという点からも、これから治験に入っても製 造承認時までにイヌでの試験についても検討したいという回答を得ております。清水先 生としては、いずれの点についても進歩が非常に早い分野でございますので、申請者に は最新の情報をフォローアップして製品の開発に反映させるよう、よく言っておいてほ しいということでございました。以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいた します。 ○早川部会長 ありがとうございます。今報告書と清水先生のコメントについての御説 明がございました。先ほどの御説明は資料1-2を中心にしていただいたわけですが、実 際の原資料は資料1-1で、前回のこちらからのコメントに対する詳しい答えは資料1-1 に述べられておりますので、併せていろいろと御議論いただければと思います。よろし くお願いいたします。 ○土屋委員 動物モデルについてよろしいでしょうか。以前私も大型動物というふうに 指摘したのですが、ウサギについては今国際的にもASTMがティッシュ エンジニアド インプランツのいろいろな評価を行っているところですが、そこでもウサギは細胞の生 物活性が高くてステムセルが多く、治癒が非常に早いということで、材料間の比較等に はいいけれども、必ずしもヒトの治癒モデルとしてはふさわしいものではないのではな いかということで、大型の動物がいいと、いろいろな動物が並んでいます。ところが、 日本の場合にはヤギなどでチャレンジされた方がおられるのですが、大型動物に慣れて いないのでなかなかうまく扱えない、個体差があるということで、実際にビーグル犬や ブタでやっている臨床の先生もおられますし、日本でいろいろな材料でも評価されてお り、信頼できるビーグル犬等を含めた動物モデルでやっていただきたいと私も思います。 以上です。 ○早川部会長 ありがとうございました。清水先生もこれは並行しながらそちらの基礎 的なデータの積み上げもやってほしいとおっしゃっていますので、同じような御意見だ と思います。ほかにどなたかございますでしょうか。先生、どうぞ。 ○西島委員 清水先生のコメントの一番目の血清のことですけれども、高齢者で市販の ヒト血清3例を使った場合には、50歳以上ではうまくいかないということですが、これ については研究としてはうまくいく条件があったのかどうか。つまり、若いヒトの血清 を使えば高齢者でもうまくいくのか。そういうことから、高齢者では血清に問題がある のか、あるいは軟骨細胞そのものに問題があるのかという二つの可能性があると思うの ですが、その点の検討等も必要であると思いますけれども、いかがでしょうか。 ○早川部会長 事務局の方、何かございますか。 ○事務局 実験では高齢者の軟骨細胞を使用しまして、それに50歳の方のヒト血清で実 験をやっております。実際に軟骨を適用された方よりかなり若めの方ですが、それでう まくいかなかったと。一方で、ウシ血清を使ってうまくいったという結果になっており ます。それ以外にも80歳の女性の実験もやっておりまして、その場合もより若い20代 の血清を使っておりませんが、50代程度の方のものを使ってうまくいっていないと。一 方でウシ血清でうまくいっているという結果が出ております。以上です。 ○西島委員 若い人の血清を使ったらどうなるのですか。 ○事務局 20代でやっておりませんので、そこはまだ明確に分かりません。ウシでしか やっておりません。 ○西島委員 ということは、ファクターとしては血清にあると。若い人の血清にはあっ て、高齢者になると何か不足してくる可能性があるという理解でよろしいでしょうか。 ○事務局 はい。その可能性はあるということだと思います。 ○土屋委員 一つはやはり細胞自身の年齢差が大きいと思います。それからもう一つは 血清の差ですが、現在臨床研究をされている先生から、ほかの細胞系でもやはり自己血 清で高齢だとデータがかなりばらつくというお話をお伺いしております。ですから清水 委員が書かれておりますように、そこに例えば何らかの市販されている因子のようなも ので少しでも増殖が可能であれば、多分将来的にそういう方向も改善研究の中に取り入 れていかれると思っております。 ○早川部会長 西島委員、よろしゅうございますか。ありがとうございます。ほかにど なたかございますでしょうか。どうぞ。 ○星委員 この追加試験のデザインの問題をちょっと聞きたいのですが、「このことか ら、高齢者の自己血清を用いて培養した場合、ACC-01の作製ができない可能性が高い」 というのですけれども、ここでは自己血清はやっていないわけで、他人の市販の血清で すね。これは一般論として教えていただきたいのですが、自己血清と他人の血清に何か 違いがある可能性があるのでしょうか。もしあるならば、自己血清、それから市販の血 清という比較において、単純に見ればやはり自己血清で結果を得ておく必要があったの ではないかと私は思うのですが、むしろこれは一般論としてどうなのか教えてもらえれ ば有り難いと思います。 ○早川部会長 いかがですか。つまり先生がおっしゃっているのは、これは高齢者の自 己血清の場合にうまくいかなかったというところから話が始まっている可能性もありま すけれども、そういうことかということでございますね。 ○星委員 そういうことです。 ○事務局 分かっている範囲だけで申し訳ありませんが、J-TECの方からは高齢者で やることにプラス血液が最大□□□ccぐらい要るということなので、どうしても倫理的 にもらえなかったという結果を頂いております。ただ一つ言えることは、私は自己血清 と他人の血清でどういう影響があるのか明確に申し上げることはできませんが、少なく とも分かることは、70代、80代の方の軟骨をより若い方の血清、若いといっても50代 ですけれども、その血清で培養してうまくいかなかったということだけであります。 ○早川部会長 もっとストレートに言えば、J-TECはウシ血清を選んだわけですが、 最初の動機として、高齢者の自己血清同士で1例でも2例でもやったときにとにかくう まくいかなかったと。そこからやはりウシ血清でやればうまくいったと、それでウシ血 清でいくのがいいだろうという選択をされたのかどうかということも含めてお伺いされ ているとは思うのですが、そこら辺は何か聞いておりますでしょうか。 ○事務局 高齢者の方の軟骨を採って自己血清でやったという実験は今のところありま せん。越智先生の件についても、より若い方でしか自己血清ではやっていないというこ とであります。 ○星委員 ここでその議論をする必要はないのかもしれませんが、一般論として研究を されている先生がいらっしゃって、例えば45歳、50歳で自己血清でやってうまくいっ たと。これを商業ベースに乗せようと思ったときに、実はその対象患者というのは45歳、 50歳では非常に限られている可能性があると。そして製品として売られるときには、80 歳の人たちにも適用できない限りこれは元が取れないということになりますと、では元 が取れるような製品を造るためにはどのような方式がいいのかという結論から道にたど って得られたのがウシ血清だというように私は感じるわけです。当然業者からすれば、 今適応症の非常に狭い範囲においての研究をして、そしてそれを広げていこうと思った ときにもう一回試験をしなければいけないことになると、これは大変な二度手間になっ て費用も時間も掛かる、そして元が取れない可能性もあるということも一方で理解しま すし、決して医学の発展のために必要な研究にブレーキを掛けることだけが私たちの仕 事ではないと思います。しかし、高齢者に適応症があり、そして高齢者にやるためには 高齢者の血清は抜けませんと、ヒトの血清でやってみても育ちませんと、だからウシの 血清でやるとうまくいきますという論法に、私はどこか釈然としないものを感じること は申し上げておきたいと思います。ウシの血清が免疫反応を起こすというのは、ある確 率で起こることであります。いかにその残存量を減らしたところで、その可能性がある と。その場合に論理構成として本当にいいのかなという話を、私は是非とも皆様にはお 考えいただきたいということが一つ。  それからその話に関連してもう一点。そもそもどういう症例の人たちに適用するのか ということに関して、果たして適切なのか。私はこれをずっと読ませていただいたので すが、ほかに代替法がないものを適応症とすると書いてありますけれども、明確な判断 基準が示されていないことと、それから要は越智教授の研究でなされた範囲を相当程度 逸脱しているものも対象にしていると思うのです。ですから、そういう意味で臨床応用 に関して飛躍がないかと。そのときにそれを裏付けるものとして得るべきである動物実 験が果たして適切だったのかと。ウサギの週数、あるいはウサギを選んだということ、 ビーグル犬の話もございましたが、どういう年齢のどんな動物モデルを使うのかという ことは、多分越智教授の研究をこの治験にエキスパンドするために、この場合のノーレ ッジですね、補助的な知見の集積を得るために行われたものだと私は理解するのです。 そのときにウサギは元気で戻ってしまう、活性が高いというお話があるとなると、今ま で得られていたものの範囲を超えて老人を対象にやるという先ほどの論理が本当かなと いう気がするのです。多分これはここで議論する話ではないとは思うのですが、しかし これをここで認めると治験が始まるわけでしょうし、治験届を受けるかどうかという議 論をするのでしょうが、そこに対するチェック機構はこの先外からは働きませんので、 その辺りをちょっと分かるように教えてもらえないと嫌だなということ。それから専門 の先生方から見て、一般論としてそういうこともあり得るのだと、これまでもやってき たのだということであるなら、そう言っていただけると安心できるのですが、よろしく お願いします。 ○早川部会長 今幾つか御指摘があったとは思うのですが、まず事務局の方から何かご ざいますか。先生の論点は、一つは高齢者における自己血清で培養するという選択肢も あるのではないかと。あるいは今エビデンスがないようですけれども、もう少し言えば 将来的にはそれをはっきりさせておく必要があるのではないかと。今このまま行ってし まうと、高齢者に対してはヒト血清ではうまくないのだという結論が出ることになるの で、これは分かりませんが、もしかするとそうではない道も残されているでしょうと。 ですから、そういうことに関しても検討は必要ではないかと。これは先ほど清水委員か ら今は資料としてはなかなかアベイラブルではないけれども、こういうファクターを入 れればヒトの血清でもできるかもしれないとか、それから人工無血清培地でも培養でき るかもしれないとか、今実用化ではないにしても将来的には検討の余地もあるでしょう というコメントもありまして、それと同時に高齢者の中でのヒト自己血清による治療も あり得るという、こうでないという結論にはならないのではないかという御指摘ですよ ね。  それからあとはこれを適用するときの判断基準というのでしょうか、それに対して更 に明確にできれば後々に役に立つという御趣旨だとは思うのです。また、基礎研究的な 積み上げの話もしていただきましたが…。どうぞ、土屋委員。 ○土屋委員 先ほどウシ血清だけに絞らないで、患者さんがあらかじめインフォームド ・コンセントで、自己血清にしますか、あるいはウシ胎児血清にしますかという選択を する余地はないのでしょうか。自己血清だけとしますと、多分これはもうすべてオジャ ンになります。あとはいわゆる臨床に近い動物モデルというものが今実際に大学でも開 発段階でございまして、やはりそういうものを確立してとなるとなかなか先に進みませ んので、そういうものをこの審議会の中で意見を出してプロモートする、同時に育てる ようにしていかないとなかなか製品化は進みません。大学の先生ですら、これからビー グル犬で関節鏡を使いながらヒト臨床使用擬似動物モデルを作成し、関節軟骨修復の評 価法を開発する状況でございます。 ○早川部会長 事務局の方、何かありますか。 ○事務局 一点目の件ですが、先ほど清水先生の方からも高齢者と若い方とで差がある のではないかと、それは今後治験の中でもきちんと調べてほしいという御指摘も頂いて おりますし、先ほどの土屋先生の御意見もそういうことかと思います。一応私どもとし ては、今後引き続き治験の中でも調査を進めるということを言ってまいりたいと思いま す。できればJ-TECの方には、何らかの形で計画を頂いた上でお話を進めていきたい と思っております。その中でそういったことを入れていきたいと思っております。 ○星委員 余り時間をとってもしようがないので。別にこれはするなという話ではない のですが、私が気になるのはストーリーの部分なのです。というのは、45歳自己血でや りましたと。そして製品化を考えたときには対象疾患が広がる、あるいは広がらなけれ ば十分な症例が得られない、どちらかよく分かりませんが、とにかく対象とする症例の 範囲、特に年齢の範囲を広げたいと。その際に問題になったのが、結局年齢が上がると、 軟骨が原因か血清が原因か分かりませんが、育たないことがあったと。そして少なくと もその件について言うと、自己血は採れなかったけれども、他人の少し若めの血液を使 ったらうまくいかなかった、しかしウシを使ったらうまくいったというストーリーです ね。45歳の人が自己血清でうまくいったのに、80歳の人が他人の血清でやってうまくい かなかったという辺りが何となく分かりませんが、ウシを使わなければいけないという 理由のエンドースになったかのごとく評価されて、しようがない、ウシでやることにし ようと、よく洗えば免疫反応が少しは減るしというわけですよね。しかし、それがスト ーリーの根幹、つまりスタートの時点のストーリー、すなわち対象を広げたい、あるい は広げざるを得ないということの説明の力の入れ方と、それからどうしてもウシ血清を 使わなければいけないという説明の力の入れ方に随分ギャップがあるなと。  つまり高齢者について言えば、自己血が取りにくい、あるいは自己血清では育たない ということがあるのであれば、症例の幅を狭めて研究での知見を積み上げていくという 選択肢も私はあると思うのです。ただ、もちろんこれは製品化ですから、先ほど言った ように元が取れなければいけないでしょうし、その際に追加で対象の疾患、あるいは年 齢の領域を広げるというのは大変なことかもしれないけれども、どちらの順番が先かと いうと、対象を広げてウシでなければ育たないという人にまでこの軟骨を植えることが 先なのか。あるいはそうでなくて、既に得られた自己血清という選択肢を基本に据えな がら、それで駄目な症例に対してウシ血清を選択として考えていくのかという点は、私 はその理由をきちんと明確にしておく必要があるだろうと思うのでありまして、そこを 議論していただければ有り難いと思います。 ○早川部会長 今先生のおっしゃったことは、つまりこの結論だと実用化に持っていく にはウシ血清でないと駄目だという論法になっているが、それは必ずしもそうではない のではないかと。この会では、ウシ血清ではないと駄目だということに対して必ずしも 同意はしないと。場合によってはウシ血清を使わざるを得ないということに関しては、 実用化も考えれば余地はあるでしょうと。しかし、それでないと駄目だという結論には 同意し難いと。したがって、先ほどの繰り返しになりますけれども、より安全なほかの 可能性をこれからも追求してくださいと、ここで結論が出たわけではありませんと。こ の会がウシ血清に両手を挙げて賛成したわけではないという御趣旨と承ってよろしゅう ございますか。ほかに…、先生どうぞ。 ○島田委員 ウシ血清の問題は私も前回から、そして今でも問題にしているのですが、 ただ毎日実験でウシ胎児血清を使っている経験からするとちょっと違った感じ方があっ て、やはりこれはウシ胎児血清でないと駄目だろうと思うのです。ですから、これは胎 児血清でないと駄目なのです。もちろん使っている細胞は違いますが、やはりこれはウ シの大人の血清などでは細胞の増え方が全く違うのです。もちろんそれはこれから研究 をしていかなければいけないのですが、やはりクオリティーコントロールがある程度で きるというところが重要だと思うのです。そうすると、今これからこういう生物材料を 広めていこうというときに、やはり今の段階ではどうしてもウシの胎児血清を使わざる を得ないだろうと思うのです。  将来的には自己血清ではなくて無血清培養がきちんとできるようになれば、私はそれ が一番理想的だと思うのです。自己血清を使うということは、一つはコントロールが全 然できないわけです。ですから、これはヒト血清でやれといっても数例ではばらつきが 多過ぎて全然データにならないと思うのです。やはりそれは科学的にもなかなか難しい し、もう一つは倫理的な問題というか、これはどのくらい採るかというと、先ほど□□ □ccは血液を採らなければいけないという話でしたが、やはり出す方とすると高齢の人 にそれを全量するというのはなかなか難しいのではないかという気がするのです。私も 将来的にはやはりウシ血清でなくて、無血清培地が一番理想的だと思いますけれども、 実際今無血清培地はたくさんあるのです。会社の宣伝ではウシ血清と同じだと言うので すが、全然そういうふうになっていなくて、実際には使いものにならないのが現状なの です。ですから、それはある程度の膨らみはやむを得ないのではないかと。  ただ、この議論は大変重要なので、ただ単にここでよくコメントが出ました、あるい はここでディスカッションされたということではなくて、やはりきちんと後に残るよう に…。例えばこの申請会社にきちんとこの部会の今後の方向性として、今はやむを得な いけれども、自己血清を使う可能性と無血清培地の研究を今後進めていって、できるだ け早くそういうことに切り替えるようにということは意見として出すべきだと思いま す。 ○早川部会長 今島田委員にうまくおまとめいただいたような気もいたしますが。先生、 どうぞ。 ○入村委員 私も今の島田先生の御意見にほとんど全面的に賛成なのですが、もう一つ の大事なポイントは、ウシの血清を使うかヒトの血清を使うかというのは基本的には製 造方法の問題で、実際に投与されるものの中には残るのですが、実際に投与されるもの の主な部分というのはウシのコラーゲンでございます。そういう意味で、実際に投与さ れるものの方にもウシがあるときに、製造方法の中にウシが出てくることが問題である というのは、姿勢として少し考えてしまうところはございます。そこはいかがでしょう か。 ○早川部会長 投与されるもののコラーゲンというのは…。 ○入村委員 ウシのコラーゲンです。 ○早川部会長 これはウシのコラーゲンのゲルに、ということですかね。 ○土屋委員 要するにアテロコラーゲンのスカフォールドということですか。実際にこ のアテロコラーゲンの抗原性試験では一応ネガティブとされていまして、医療用具の場 合にはウシが創傷被覆材にもかなり使われております。 ○入村委員 ですから、今はそういう状況下で製造方法の途中にウシのものを使うこと を非常に問題にする姿勢なわけです。それはどういう経緯でそうなったのかは私はちょ っと理解が…。 ○早川部会長 これは整理しますと、アテロコラーゲンを使うこと自体は、医療用具と 言っていいのか医療機器と言っていいのか分かりませんが、そこは安全性等の面から材 料としてはクリアされているという理解でよろしいですね。今の議論は製造途中でウシ を使うことを問題にしているのではなくて、最終的に残るウシ血清由来のアルブミンが 人体に対してアレルギー等を起こさないかということに関して大きな議論をしていると いうことでございます。それで最初は残り過ぎではないかと、業者としてはそれを極力 低減させ、かついろいろな臨床的な検査もしながらインフォームド・コンセントもする と、そういう対応で実用化に持っていきたいということで、ウシそのものの材料を使う からうんぬんという、必ずしも一義的にする話ではないとは思っております。 ○土屋委員 材料の話が出ましたので、補足的に。いわゆる軟骨の再生にはこれまで細 胞治療が行われていまして、それですと材料なしで済むのですが、そうしますと中に入 れてどこに行ったか分からないということで、固定されていないことが問題になって、 治癒効果があるかどうか今世界で議論になっています。そうしますと、そこにこういう 三次元スカフォールドをつくる何らかの支持材が要るわけです。今はポリマーとかアテ ロコラーゲンが使われています。コラーゲンはやはり生体本来の細胞のいい基質でござ いまして、やはり軟骨分化には非常にいい材料であります。ポリマーもいろいろ生分解 性材料に使われておりますが、必ずしもコラーゲンより優れているとは言えませんので、 細胞の増殖・分化についてはやはりこのアテロコラーゲンはよい基質であると今は言わ れています。 ○早川部会長 よろしゅうございますか。ほかにどなたかございますでしょうか。星委 員、どうぞ。 ○星委員 別の件ですが、インフォームド・コンセントを取っていますかという質問を させていただいて、資料1-2の16ページの表3に示されている7例の症例が、島根医大 で治験審査委員会を通って集められた物であると考えてよろしいですか。 ○事務局 この症例は平成12年以降に島根医大の倫理審査委員会にかかりまして、そこ での承認を得て集められたものでございます。 ○星委員 これは本人に返すのではなく、培養を目的に手術のときに残ったものを使わ せてくださいということですね。 ○事務局 そうでございます。 ○星委員 それでちょっと一つお願いなのですが、インフォームド・コンセントの内容 について随分見直しをしていただいて大変分かりやすくなったのですが、最後のところ に流用の可能性と保存の件がなお書で書いてあって、どこがどこまで何にかかるのか日 本語として非常に分かりにくいのです。保存するということは患者さんのためになりま すので、むしろ先に書くべきです。つまり後での感染症の検索、その他必要性のある限 度において保存させていただきますと。これは場合によってはあなたのためになり得る 話ですと。それとこれから安全性を確保していくために、余ったものを少し使わせてく ださいという話は少し遠慮目に言う話でありまして、ただしそのときに使われた材料が どこに由来するのか、あるいはそういうことが表に出ていくこと、又は何だか知らない けれども、研究所内で取引されて売り買いされることがないようにきちんと管理します ということを分けて書いていただくと。そうしないと、この最後に余ったものは必要な もの以外処分しますと言うと、では最初に使わせてくださいと言ったものはどうなるの だという話になると私は思うので、明確に書き分けることを指導していただけるとうれ しいと思います。 ○早川部会長 分かりました。今のインフォームド・コンセントは、資料1-1の26〜37 ページにかけてずっと新旧書かれていることだと思いますが、最後の37ページの辺りに 今先生がおっしゃったことが二つごっちゃになって書かれているということでしょう か。 ○星委員 そういうことです。ですから、保存させていただくならこういう理由で必要 最小限を保存させていただきますという話と、安全性を向上させるための研究の素材、 そして使わせていただくことがありますと。ただし、取引をしたり、売り買いをしたり、 勝手に出ていったり、名前が出たりすることはありませんというふうに書き分けていた だきますと、非常に明確になるのではないかという指摘でございます。 ○早川部会長 これは一応「それ以外の目的には使用しませんし」うんぬんとは書いて ありますが、そこは後でもし先生にお知恵を拝借できれば拝借して、その書きぶりを御 検討いただければと思います。事務局の方よろしいですか。 ○事務局 そこは事務局の方できちんと直したいと思います。 ○早川部会長 どうぞ。 ○土屋委員 先ほどのウシ血清というのは、こちらの資料1-1では「ウシ胎児血清」と なっておりますので、実際に現在はウシ胎児血清を使っています。  私も軟骨細胞を培養したことがあるので分かるのですが、ウシ胎児血清でも必ずしも すべてがいいわけではなくて、あらかじめロットチェックを必ずしております。その意 味では将来的なコメントとしまして、血清というのは本来生体由来ですのでいろいろ変 動しやすいわけで、無血清培養の方向に向かって鋭意努力することというコメントをや はり付けていただきたいと思います。以上です。 ○早川部会長 ありがとうございました。先生、どうぞ。 ○星委員 もうこれ以上は申し上げませんが、最初の入口のところでどんな症例を選び ますかというときの判断基準をもう少し明確にしてもらった方が、後で振り返ったとき にこの研究としてはいいだろうと私は思うのです。昔我々が治験をやるときに、いい薬 がありますよと言われてやった治験がありますので、いい治療がありますよというので はなくて、やはりその判断基準が明示されていること、そしてその判断基準がある程度 御本人にも示されていることが私は必要なことだろうと思うのです。少なくとも私が見 た範囲においては、明確な症例としてこの治験の対象とする症例を決める判断基準が示 されていないように思うのですが、もし誤っていたら訂正してください。 ○早川部会長 ありがとうございました。ほかによろしゅうございますか。それでは幾 つか御議論があったとは思いますが、現時点ではベストとは言わないけれども、実用化 を推進していく上では現在のウシ血清をベースにしたということを根本的に否定するわ けではないので、一応この確認申請に関してはよしとすると。しかしながら、将来への 提言として先ほど来血清の改良等々をこれからどのように考えていけばいいのかという こともございますし、また並行して動物実験をしっかり積み重ねてくださいということ もございます。それから将来ではなくて今少ししっかりしておいていただきたいという ことで、この症例に対する判断基準、どういう症例に使うのかということの判断基準を 少し明確にしてくださいということ。それからインフォームド・コンセントについての 書きぶりを少し修正してくださいと。こういう御意見があったと思いますが、大体そう いうまとめでよろしゅうございますでしょうか。もし御了解いただけるということでご ざいましたら、幾つかの宿題事項等々は残りますけれども、取りあえず本品目は指針に 適合したということを御了承いただいたとして、薬事分科会の方に報告させていただく ことにさせていただきます。よろしゅうございますでしょうか。島田委員、どうぞ。 ○島田委員 その件については特に問題はないと私は思うのですけれども、実は厚生労 働省の方にちょっとお聞きしたいのですが、これは次に治験審査になるわけですね。こ れをどのように考えているかちょっとお聞きしたいのですが、実は今現場は大変混乱し ていまして、例えば遺伝子治療で今度初めて治験の遺伝子治療が出てきたわけです。そ うすると、審査をどういう形でするかというのが各大学でばらばらになってしまってい るのです。例えばこれも新しく出てくるわけですよね。そうすると、うちの大学もそう ですが、今あるいわゆるIRBでは審査し切れないということになってしまうわけです。  ですから、そういうことが今後いろいろ出てくるのですが、その辺のところをどこか でもう少しきちんと話し合ってくれないと…。遺伝子治療の場合でちょっと問題だった のは、せっかく厚生科学の方でいわゆる審査委員会をこういうことで作りなさいとやっ たのに、ルールの上からこれは治験だからその審査は必要ないですというふうになって しまうわけです。それで今大変混乱していて、実際には各大学ばらばらで、審査委員会 を作っているところもありますが、我々のところはそうではなくて、IRBの中に小委 員会のようなものを作ることにしたのです。その辺のところをもう少し考えておかない と、この生物材料についてもちょっと問題だと思います。 ○早川部会長 今島田先生のおっしゃったのは、遺伝子治療の臨床研究は厚生科学課が 一括して国のレベルできちんと審査をしていると。そこが臨床研究ではなくて治験とい う名が付いた途端に遺伝子治療薬の品質・安全性…、つまり物の品質・安全性というも のはここで取り扱うことは明確になっているのですが、臨床の部分の倫理的なことも含 めて、その可否についてどこがどうやって取り扱うのか。一部の誤解としては、それは 治験の場合にルールはないので、それぞれてんでんばらばらにやってもいいのだと、そ このところの網の掛け方が片手落ちではないのでしょうかと、それとも何か行政的に薬 事法的な意味でそこの部分をカバーするシステムはあるのでしょうかと、そういう意味 ですね。そこの部分に関しては、実際の研究者が治験であれば厚生労働省に特に申請し なくてもいいという意識もあるということが一つですね。それで学内でやろうとしても …。 ○島田委員 GCPのあれからすると、この委員会を通ってしまうともういいのだとい うことで、それでメーカーの方はいいのだと言ってくるわけです。 ○早川部会長 ですから、臨床の部分について慎重審議しなくても大学のIRBでやれ ばいいという…、大学のIRBは当然GCP上はあるけれども、専門家はいないので、 適正な審査や判断はできるのかという御指摘なのです。どうぞ。 ○事務局 今の点でございますが、IRBは各医療機関では臨床研究のものとそうでは ないものと組織的には別になっているケースが多いと聞いております。ただ、IRBは 固定メンバーというわけではございませんで、必要な人を審議のたびに呼んでいただく ことは可能だと思います。もちろん、厚生科学課の方で要求しているような事項がお分 かりいただける方に遺伝子治療薬の審議の議論に参加していただくということで、同じ レベルのものを確保していただくことが可能ではないかと思います。 ○島田委員 ですから、メーカーに対してもそうですし、各大学に対しても一応そうい う考え方をもっと提示しておくべきなので、実際にはまだ混乱しています。 ○医療機器審査管理官 今回確認申請になったものでございますけれども、再生医療の 領域であるとか、いわゆる先端技術を使った開発が進んでいるということで、特に再生 医療の関係はこれからどんどん出てくると思っております。私どもも正式には来年度か らになりますけれども、この再生医療の技術を使って造られるものの安全性評価といい ますか、治験前の段階での安全性評価のようなことについて、ガイドラインのようなも のを具体的に作成していきたいと思っております。これまでも既に早川先生等におまと めいただいたものはあるのですが、例えば培養骨の場合であるとか、培養皮膚の場合で あるとか、そういうより具体的なチェックポイントたるガイドラインと言いましょうか、 そういうものの作成を進めていきたいと考えております。既に再生医療関係の学会の先 生方と御相談しておりまして、メンバーも今検討させていただいておりますけれども、 そういうものを立ち上げて、恐らくこういうものの治験に入る前、あるいは治験中、又 はその開発後に当たっての必要な安全性評価の基準のようなものを作っていきたいとい うのが一つでございます。  それから先ほどこの場でこの品目の議論が終わってしまったらそれで終わりかという お話がございました。今年4月に新しく医薬品医療機器総合機構という独立行政法人が できますが、その中ではいわゆる生物系の医薬品や医療機器の審査体制の強化も考えて おりますし、さらにはこの医療用具についてもいわゆる治験相談、開発相談というもの も進めていく予定でございます。こういう先端技術を活用されたものについては、企業 だけに任せているというよりも、やはりいろいろな点で検討を進めることが必要なとこ ろも数多くございますので、そういう独立行政法人と連携をしながら開発を進めていく よう、常に指導していきたいと考えております。  今回のこの培養骨についても、いろいろと大変貴重な御指摘を頂いたと思っておりま して、そういう場を通じてこれらの点を解決するようにJ-TECの方を指導していきた いと考えているところでございます。 ○早川部会長 入村委員、どうぞ。 ○入村委員 多分島田先生の質問にきちんと答えていないような気がするのです。島田 先生、P53の遺伝子治療のときは治験申請と臨床研究としての申請が厚生科学課へ同時 に出ているのです。多分従来はあれが唯一の例かと思うのです。私はあのとき厚生科学 審議会に座っていたのですが、あのときのあちらの立場は安全性の確認はこちらの薬事 審議会の方でやってくださいと、向こうは臨床研究として正しいかどうかの判断をする と。その際に、こちらでした安全性の確認は専門性ということでこちらにお任せします ということだったと思うのです。多分今後もそういう構造なのかなとは思うのですが、 ただ遺伝子治療といっても最近は例えばRNAとか要するに境界領域で、本当に遺伝子 治療なのかどうかよく分からないものが今後たくさん出てくる可能性があります。そう いうときに、だれが判断できるかということに関してきちんとしておいてくださいとい うことが先生の御指摘かと思います。 ○島田委員 そうですね。確かにP53はどちらかといえば両方という考え方だったので すが、その次にプラスミドのものが出てきていて、これは完全にここだけで、いわゆる 臨床研究としての位置付けがないのです。そうすると、学内的には治験審査委員会で判 断すべきということになってしまっているのです。しかし実際には、権威上の審査委員 会ではなかなかやりきれないということが起こっていて、更にこの新しい領域も出てく るわけですから、やはり治験の在り方そのものが…、これは日本の昔からの問題ですけ れども、そういうことにもう少しきちんと対応できるような組織などを確立しておかな いと、もちろん固定したメンバーなどではこれから絶対にできるわけないのです。もち ろん安全性のチェックについてそういう新しい機構を作るのはそれはそれでいいと思う のですけれども、学内審査というのは最終的には一番重要なわけですから、その方法を どこかの段階でもう少しきちんと話し合っておくべきだろうと。 ○早川部会長 もう少し言えば、治験という臨床試験、臨床研究という臨床試験の問題 は今枠組みがあるわけですね。治験という名の…、つまりメーカーがものを提供して、 その品質・安全性に関してはここでやるという枠組みはもうはっきりしているのですが、 ではその治験の臨床部分の臨床的、科学的妥当性に関して、いろいろなケースがあると 思いますが、そこに対する枠組み、もっと言えばもしそういうものが出てきたときにこ こが専門家も加えてやるのか、それとはまた別の仕掛けを作るのかということも含まれ ますね。ですから、ちょっとそこら辺の…。 ○事務局 今御指摘のあった現場での混乱ということに関しましては、私も今ここでは 即答はできませんけれども、厚生科学課にも確認しまして、今日次の議題でカルタヘナ の議論をやっていただくことになっていますけれども、その運用通知を出すことになっ ておりますので、その混乱についてどういうふうにしていただければいいのかというこ と…。例えばIRBとかGCPの扱いについて、厚生科学課と協議をした上でQ&Aな どで明確にしていきたいと。それから新しい仕組みが本当に必要なのかどうかというと ころも厚生科学課の方と協議をいたしまして、本当にそういうものが必要なのかどうか、 あるいは今の枠組みでできないのかどうか、そういうところは確認したいと思います。 それから個別の確認申請がまた引き続きございますので、何か懸念があればそういう中 でもその都度個別に指導していくということも併せてやらせていただきたいと思いま す。 ○早川部会長 星委員、どうぞ。 ○星委員 私が申し上げたことの多くの部分は、多分本来ここで議論すべきことでない と私も認識しています。しかし、つまりここで物の安全性はいいですよ、あるいは製造 工程その他についての科学的な安全性についてもある程度いいでしょうと。それがすな わち臨床に応用していいですよということを意味しないのです。ですからこの後行われ ることは、これが治験として正しいデザインで行われるのかということが、今度治験の 審査というプロセスを経ることで、それが受理される時点においていわば審査に当たる 人間にとってはそれは科学性、あるいは妥当性があるという評価を得たことになるので す。その上で治験に参加する施設内に設置されるIRBの中で、そうは言っているけれ ども、我々の医療機関としてこれを受け入れることが可能なのかどうかという議論をす ると。  この三つ目のところもいま一つ不安ではありますけれども、結局二段目のところは、 治験届を受理するという観点と、それから科学的、倫理的な妥当性が担保されているこ とが認められることと必ずしも同義でない可能性、あるいはそれを審査する能力を持ち 合わせていない可能性がある。それをどうするのかという議論だと私は理解をしていま す。したがいまして、症例の範囲をどうするのか、どのようにお考えですかというお話 は、今の仕組みで言えば多分治験審査の中で行われることなのですね。しかし、では治 験審査を行うこととこの物の安全性の議論と関係しないかというと決してそんなことは なくて、先ほど言ったように45歳未満であるならば自己血清でやりましょうという選択 肢があるわけです。しかし、治験のデザインとして70歳、80歳でやりたいということ が先にデザインされていて、その範囲でいわゆる安全性についてはどうですかと聞かれ ていると。そうなるとこの安全性は、70歳、80歳に適用すると言うならウシ胎児でやら なければしようがないねという結論を出さざるを得ない。しかし、そもそもの入口の議 論とすれば、70歳、80歳で本当にやるのですかという議論があるべきで、その審査を我 々は任されていないと。ではどこがするのだという議論で、行ったり来たりしているわ けです。  ですから、これは厚生労働省がどこかで腹を決めて、我々が治験審査の中でやると、 新しい機構に全部やらせると、責任は全部そこにあると言い切るのか。又は、そういう わけにはいかない、どこかでそういうもののオーソライズをしてもらう。そうなると、 安全性の検討と治験としての妥当性の検討というのは分けて行えない可能性があるし、 行ったり来たりする可能性ももちろんあるわけです。そういう不安定な要素を持ってい る中での我々の究極の選択として、先ほど部会長がおまとめになったようなコメントを 付けての、まあしようがないのではないかという了承だったと私は考えています。その 辺りは今の島田先生の御発言に端を発するわけですが、そもそもこの議論の中で不完全 燃焼だった部分はきちんと明示していただいて、どうするのかということは厚生労働省 の内部での話ですし、物理的には違うのかもしれませんが、機構の話も実質的にはそう いうことですから、お考えいただきたいということは一応コメントとしてといいますか、 強い要望事項として付記させていただいていいだろうと私は思います。 ○早川部会長 ということでございますので、御検討のほどよろしくお願いいたします。 ほかに関連してございますでしょうか。  それでは次の議題、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保 に関する事項について」の審議を行いたいと思います。この件については、平成15年4 月に「医薬品等における遺伝子組換え生物等の使用等の規制に関する検討小委員会」と いうものを当部会の下に設置することが了承されております。本日はこの検討小委員会 の座長である国立感染症研究所の吉倉先生が海外出張中ということでありまして、同じ く検討小委員会の委員でおられる感染研の神田先生にお越しいただいております。神田 先生、何かありましたらどうぞよろしくお願いいたします。それでは事務局より御説明 お願いいたします。 ── 審議官退席 ── ○事務局 それでは事務局から説明させていただきます。今部会長からも少しお話がご ざいましたけれども、昨年4月25日に当部会で遺伝子組換え生物等の使用等の規制によ る生物の多様性の確保に関する法律、私どもはこれを「カルタヘナ法」と呼んでおりま すが、いわゆるこのカルタへナ法の検討が政府部内で進んでおり、厚生労働省としても、 遺伝子組換え医薬品等を所管する立場からカルタヘナの問題にどう対応すべきかについ て、この部会の下に「医薬品等における遺伝子組換え生物等の使用等の規制に関する検 討小委員会」、いわゆる「カルタヘナ検討小委員会」を設置して、御検討いただくこと を御了承いただいたところでございます。  資料2-1に法律の概要を示しておりますが、1ページの中ほどに「遺伝子組換え生物 等の使用等に係る措置」という項目がございまして、このカルタヘナ法では遺伝子組換 え生物等の使用形態に応じて開放系で使用する「第一種使用等」と、環境中への拡散防 止措置を採りつつ使用する「第二種使用等」とに分けまして、それぞれ関係する大臣の 承認、又は確認を受けなければならないこととされております。検討小委員会では、こ の第一種使用等における人を含めた環境への影響評価の考え方とか、第二種使用等にお ける拡散防止措置の基準等の技術的な事項について御検討いただきまして、その結果を 基に資料2-2にお示ししたような構成で、法律の下に関係の政省令、告示を他の省と協 力し策定してきております。  資料2-2を御覧いただきますと、法律の下に政令が2本ございまして、その下に省令 として(4)の「法施行規則(6省共同)」と(5)の「産業使用等に係る第二種使用等に当たっ て執るべき拡散防止措置等を定める省令」が定められております。またその下の(6)でご ざいますが、研究開発等に係る第二種使用等については別に文部科学省と環境省が合同 で省令を定めております。さらにその下に告示といたしまして、(7)の施策の実施に関す る事項や使用者が配慮すべき事項等を定めた基本的事項、それから(8)の第一種使用等に よる生物多様性影響評価実施要領、(9)の主務大臣が定めるGILSP遺伝子組換え微生物の 告示が定められております。法律や政省令、告示の条文は本日参考資料3として配付さ せていただいております。  資料2-2に戻っていただきまして、2ページに第一種使用等の承認や変更の流れをお 示ししております。左肩の方、1の右のところに「(申請書類)」とございまして、その 2)の網掛けのところに、第一種使用等の承認申請をする場合には生物多様性影響評価を 行って、その結果を評価書にまとめて提出しなければならないこととされております。 また、「2.主務大臣による審査」の右の「(承認手続)」のところですが、承認手続に際 しては学識経験者からの意見聴取を行い、基本的事項に照らしてチェックすることとさ れております。こういうプロセスを経て、生物の多様性に影響が生じないことが確認さ れれば、第一種使用規程が主務大臣によって承認され、公表されることになるわけです。  3ページは生物多様性影響評価の手順を図示したものでございまして、まず左下のオ レンジ色の枠の部分ですが、第一種使用とされるものは別表第一に示されたような情報 を収集することになります。そしてこれらの情報を基に、真ん中の下にあります別表第 二の評価の項目のように、対象となる遺伝子組換え生物がここに書かれた微生物であれ ば、他の微生物を減少させる性質、病原性、有害物質の産生性、核酸を水平伝達する性 質、その他の性質、こういう性質ごとに右の別表第三の評価の手順の一から四に沿って 評価を行いまして、それらを総合して最後に影響の有無を判断するという手順でござい ます。  次に資料2-3を御覧いただきたいと思います。これは遺伝子組換え生物等の第二種使 用等のうち、産業上の使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令の概要を 示した資料です。要するに、閉鎖系で遺伝子組換え生物を用いるときの拡散防止措置を 定める省令についての資料でございます。この省令は今年の1月29日に財務省、厚生労 働省、農林水産省、経済産業省、環境省の5省共同で公布し、同じ日に文部科学省、環 境省2省共同で別途研究開発に係る第二種使用等の拡散防止措置の省令も公布されてお ります。1ページにございますように、生産工程中における使用、保管、運搬の三つに 分けて採るべき拡散防止措置が規定されております。このうち生産工程中における使用 については、GILSPとカテゴリー1遺伝子組換え微生物について、それぞれ執るべき拡 散防止措置が定められております。また、(1)と(2)の網掛け部分にございますように、GILSP 及びカテゴリー1遺伝子組換え微生物の範囲は各大臣が告示で規定することとされてお りまして、GILSP遺伝子組換え微生物については、その範囲を先に経済産業省が告示で 示しておりまして、厚生労働省も近く告示する予定でございます。この告示で規定され るGILSP遺伝子組換え微生物に該当するものは、この省令で規定された拡散防止措置を 執る限り、個別の主務大臣の確認をとる必要はないということになります。  次に資料2-3の2ページを御覧いただきたいのですが、ここには厚生労働省が定める GILSP遺伝子組換え微生物の告示案の概略が示されております。今申し上げましたよう に、本告示案のリストに該当する遺伝子組換え微生物を医薬品等の製造に用いる場合に は、拡散防止措置を執る限りは厚生労働大臣の確認をとる必要はありません。このリス トはカルタヘナ検討小委員会で御審議、御了解いただきました作成方針に基づいて、検 討小委員会の吉倉先生と今日いらっしゃっている神田先生に御相談して作成したもので ございます。  「1.リストの構成」でございますが、三つの部分から構成されております。まず左側 の別表第一、宿主・ベクターのリストでございますが、ここでは別表第一の(一)〜(九) までございますように、九つの宿主ごとにベクターを規定していきます。ベクターには、 記載されたベクターの一部を改変して得た誘導体リストも含まれます。ただし、改変に よって水平伝播のおそれを生じさせるものは除くということでございます。次に真ん中 の別表第二でございますが、これは挿入DNAのリストでございまして、別表第一の宿 主ごとに使用可能な挿入DNAを規定すると。ただし、当該挿入DNAは別表第二の由 来生物欄に記載されている生物に由来するDNA、別表第二に記載された挿入DNAの 一部を改変して得たDNAであって、当該DNAから産生される物質の機能上の基本的 性質に著しい変化が認められないもの、それから今の一番目と二番目に申し上げたもの と同一の配列を有する合成のDNAに限るということでございます。右側の別表第三は 選択マーカー遺伝子のリストでございます。  それから次のページに移っていただきまして、「2.リスト取扱い上の注意」でござい ますけれども、「(1)科学的知見の充実等によって別表に掲げる宿主、ベクター、挿入 DNA及び選択マーカー遺伝子を組み合わせて構成された遺伝子組換え微生物につい て、環境及び人への健康の安全性を損なうおそれなどが認められた場合は、これらの宿 主等は当該別表に含まれないものとする」。つまりこの場合は法律第13条に基づき、主 務大臣の個別の確認が必要になってきます。それから(2)は、経済産業大臣が定める GILSP遺伝子組換え微生物の告示は既に出ていると申し上げましたけれども、この告示 の中に収載されているが、厚生労働省のリストには収載されてない遺伝子組換え微生物 を医薬品の製造を目的として使用する場合には、別途厚生労働大臣の確認が必要になる ということでございます。4ページ以降はこの厚生労働省の告示案を参考として付けて おります。  次に資料2-4を御覧いただきたいと思います。これはカルタヘナ法施行に当たっての 製造指針の取扱いについての考え方を整理したものでございます。まず組換えDNA技 術応用医薬品等の製造のための指針、これは昭和61年に薬務局長通知が出ておりますけ れども、この薬務局長通知、組換えDNAの製造指針は今回のカルタヘナ法の施行を機 に廃止する予定でございます。そしてカルタヘナ法に基づき、遺伝子組換え生物等の第 二種使用等における拡散防止措置を定める省令についての運用通知ということで改めて 定めたいと。その運用通知として、「遺伝子組換え微生物の使用等による医薬品等の製 造における拡散防止措置等に関する通知」という名前で発出したいと考えております。  現行の組換えDNAの製造指針では、遺伝子組換え微生物だけではなく、遺伝子組換 え動物培養細胞も対象としておりましたけれども、新しくできる運用通知の対象はカル タヘナ法の対象と同様となりますので、この遺伝子組換え微生物のみが対象となってき ます。現行の製造指針と運用通知の相違点でございますが、現行製造指針では目的に医 薬品の品質の確保が掲げられておりまして、「生物学的性状の試験検査」ということで 規定されておりましたけれども、医薬品の品質に関してはICHガイドライン等が別途 出ておりますので、運用通知では品質関連については特に規定はしないこととなります。 また、現行製造指針に規定されている製造安全委員会の設置や従業員の教育・訓練など の組織、及び運営上の遵守事項については、カルタヘナ法に基づく基本的事項の中でも その必要性について触れられておりますので、これは運用通知の方でも残すことといた しました。運用通知では、遺伝子組換え動物培養細胞は対象とならないと申し上げまし たけれども、現行の製造指針が廃止されることから、現行製造指針で規定されておりま した遺伝子組換え動物培養細胞についての内容を、今後どのように取り扱うことになる かここで簡単に申し上げますと、まず拡散防止措置はそもそもカルタヘナ法で動物培養 細胞は対象になっておりませんので、生物多様性の観点からは必要ないだろうと。それ から品質は、遺伝子組換え微生物と同様にICHガイドラインにより別途通知されてい ることから、そちらを準用するということで必要ないと。また、組織及び運営上の遵守 事項については、製造上の安全性という観点からこの規定は動物培養細胞についても引 き続き必要だと考えられますので、これは別途運用通知で規定されている組織及び運用 上の遵守事項を、遺伝子組換え動物培養細胞を用いた医薬品等の製造に当たっても準用 する旨を通知の中のどこかに記載したいと考えております。資料2-4の2ページはこの 運用通知と廃止をする現行の製造指針との対応を示したものでございまして、3ページ 以降はその運用通知の案文でございます。  次は資料2-5でございますが、これは医薬品等の分野における遺伝子組換え生物等の 開放系、及び閉鎖系での使用に係ってくる規制を図にしたものでございます。まず一枚 目は開放系での使用に係る規制ですが、対象となるのは遺伝子治療用医薬品やまだヒト 用では実例がありませんけれども、組換え生ワクチンといったものでございます。この 図の横軸が医薬品の開発段階を表しておりまして、縦軸は上がカルタヘナ法に係る規制、 下が薬事法関係の規制を表しているものでございます。まず上のカルタヘナ法の部分を 御覧いただきますと、左の黄色い部分が研究開発段階、具体的には医薬品の非臨床開発 までの範囲でございますが、この研究開発段階では文部科学省の第二種使用等の確認の 対象になります。そしてそこから右の方に移っていただいて、少し茶色い部分が実用化 段階での製造でございまして、具体的には治験薬の製造から厚生労働省の第二種使用等 の確認を受けることになります。さらに丸で囲まれたところがありますが、この上のピ ンクの部分はカルタヘナ法の観点から開放系で使用するための第一種の承認、それから 下の水色の部分は薬事法の観点から品質・安全性の確認を受けなければならないという ことでございます。そして治験届が提出され、薬事法の30日調査が行われ治験が開始さ れて、承認申請、それで承認という段階を経ていくことになります。薬事法分野の品質 ・安全性の確保に関する指針としては、1ページの一番下にございますように、遺伝子 治療用医薬品に対するものと、それからまだ現在作成中でございますけれども、組換え 生ワクチンに関する指針とがございます。  2ページは今度は閉鎖系での使用の規制です。対象は例えば組換え大腸菌等の遺伝子 組換え体を用いて医薬品を製造するようなケースでございまして、こちらも左の黄色の 部分が研究開発段階ということで、文部科学省の確認の対象になると。実用化段階から 厚生労働省の第二種の確認の義務がかかってくると。それから下の薬事法の組換えDN Aの製造指針は、カルタヘナ法の施行を機に廃止するということでございます。  次にカルタヘナの審議の体制について御説明したいと思います。まずカルタヘナ法で は第一種使用等の申請があった場合には、主務大臣は学識経験者の意見を聴かなければ ならないということが定められておりまして、私どもとしては組換え医薬品等の分野で カルタへナの第一種の申請がございましたら、その審議は本部会にお願いをしたいと考 えております。参考資料5を御覧いただきたいと思いますが、この資料は昨年12月11 日の薬事分科会で改正された薬事分科会における確認事項のうち、生物由来技術に関す る部分の抜粋でございます。ここで下線を引いてございますけれども、カルタヘナ法の 制定を受けまして、GILSPの拡散防止措置の確認を調査会又は小委員会レベルで処理し ていただくと。それから、カルタヘナ法の第一種の承認とGILSP以外の拡散防止措置に ついては、この部会で御審議いただくと。また、遺伝子治療用医薬品や遺伝子組換え生 ワクチン等で全く新規の技術に基づく医薬品が出てきたとき、その基準適合性について は分科会まで御審議いただくという整理でございます。  そこで資料2-6に移っていただきまして、これはカルタヘナ法に基づく審査体制を説 明したものでございます。左から組換え医薬品の種類ごとに審査体制を示しておりまし て、色の違いはそれぞれのものの所管の違いに対応しております。まず1の第一種使用 等の方は、左から臨床研究用の遺伝子治療用のベクター等は厚生科学審議会の方で見て いただくと。それからその右ですが、治験薬としての遺伝子治療用医薬品やヒト用遺伝 子組換え生ワクチンであればこの部会で見ていただき、所管は厚生労働省ということに なります。それから一番右端ですが、例えば動物用の遺伝子組換え生ワクチンも審議は 本部会でお願いすることになりますけれども、この所管は農林水産省になります。それ から厚生労働省が所管します治験薬たる遺伝子治療用医薬品あるいは遺伝子組換え生ワ クチンは、部会の前には、黄色いところに「遺伝子治療用医薬品調査会」、「組換えD NA技術応用医薬品調査会」と書いてございますけれども、今年の4月から新たに審査 を担当する新独立行政法人が設置されることに伴い、これらのものもほかの医薬品同様、 独法の専門協議に移行させていただきたいと考えております。一方、この新独法はヒト 用の医薬品しか審査をしませんので、右端の動物用医薬品については審査できないとい うことから、名前は仮称ですが、これについては引き続きこの部会の下に動物用組換え 医薬品に特化した調査会を設置して御審議いただく予定でございます。  それから先ほども申し上げましたけれども、第一種使用等の申請があった場合にはカ ルタヘナ法の第4条で、主務大臣は第一種使用規定について学識経験者の意見を聴かな ければならないこととされております。また、カルタヘナ法の施行規則の第9条及び第 10条では、主務大臣は法第4条の規定に基づき学識経験者の意見を聴く場合は、その学 識経験者を選んでその名簿を作って公表しなければならないということが規定されてお ります。私どもはカルタヘナ法の組換え医薬品等に係る事項については、本部会の先生 方、あるいは従前調査会に入っていただいた先生方、それからカルタヘナ検討小委員会 に加わっていただいていた先生方に御意見をお聴きすることにさせていただきたいと思 っております。したがって、カルタヘナ法の規定に基づき先生方のお名前がこの学識経 験者の名簿に載って、ウェブサイト上に公表されますことをここで御内諾いただけない だろうかと考えております。また、カルタヘナ法における組換え医薬品の主務大臣は厚 生労働大臣だけではございませんで、環境大臣もかかわってまいります。ここで御了解 いただければ環境省の方に伝えまして、別途環境省からも先生方に個別に依頼の文書が 送られることになろうかと思います。そのことも併せて、ここで御了承いただければと 思っております。大変複雑な話で申し訳ございません。それで御意見をお聴きをするの はこの部会の場になります。ですので、環境省への返答はここでの部会の審議結果を私 どもの方で取りまとめまして、部会長のお名前で事務的に環境省の方へ返すことになり ますので、先生方の方から環境省に個別にお答えいただく必要はございません。  それから資料2-6に戻りまして、2ページがカルタヘナ法関係のスケジュールの図で ございまして、現在平成16年2月でございますけれども、まず1月29日に先ほど申し 上げました拡散防止措置省令が公布されております。また、2月12日には手数料の政令 が公布される予定でございます。真ん中の辺りに楕円で囲まれた水色の部分があるかと 思いますけれども、その後2月19日にこのカルタヘナ法が施行される予定でございます ので、この施行に向けて必要な運用通知の発出、あるいはこの図の右下に白い矢印の部 分があると思いますが、新規の承認・確認申請が上がってきた場合の審査、あるいは従 来のガイドラインで確認済みのものをもう一度カルタヘナの観点から見直しをするとい う再審査等を行う予定でございます。  それから最後に、本日配付しました資料の中に資料2-7が入っているかと思いますが、 医薬品・医療用具に係る規制が非常に複雑になってまいりましたので、カルタヘナ法の 施行を機にどのように変わるかという全体像を医薬品等の種類ごとに整理してみたもの でございます。カルタヘナ法施行以前は、薬事法の下で品質・安全性、構造設備の観点 から規制がかかっていたのが、カルタヘナ法の施行以後は薬事法に加えて、真ん中と右 端に白い部分があると思いますが、細胞・組織利用医薬品、医療用具や遺伝子組換え動 物細胞を用いる場合を除きまして、ピンク色で示した部分にカルタヘナ法の規制が新た にかかってくることを示したものでございます。  事務局からの説明が非常に長くなって恐縮ですが、以上でございます。遺伝子組換え 生物等を利用した医薬品等に対しては、今説明したような方向で今後規制を行うことに なるということを本日ここで御了解いただければと考えております。よろしくお願いい たします。 ○早川部会長 どうもありがとうございました。それでは神田先生、何か御追加はござ いますでしょうか。 ○神田専門委員 特にないのですが、このカルタヘナ法というのはどこが一番変わった かというと、組換えDNA技術を応用して造られた組換え生物という考え方で、その組 換え生物が環境に影響を与えて生物の多様性を損なうリスクを防ぐという観点の法律で すから、今までの組換え体のリスクという考え方が大きく変わります。その結果として、 今事務局から再三指摘されましたが、動物の培養細胞は環境内で個体形成がないことか ら、この規制から全部外れているのです。恐らくこのことが現場で一番混乱を招くだろ うと思います。外れる部分は幾つかの法律でカバーしようとしていて、それが現場でう まく理解されれば大した混乱もなく移行すると考えています。 ○早川部会長 ありがとうございました。それでは先生方から御質問あるいは御意見等 ございましたら、よろしくお願いいたします。 ○甲斐委員 資料2-5の2ページですが、薬事法の法律がなくなるという…。1ページ の方は、カルタヘナ法があってもこれまでどおり薬事法と両方一緒にやるということで すね。2ページの薬事法の製造のための指針に基づく確認申請の廃止というのは、どこ が廃止されて、その部分はどこで確認されるのでしょうか。 ○事務局 現行の製造指針に定められております事項としましては、まず組換え体を使 って製造する際の構造設備関係の話、それから出来上がった医薬品の品質関係の部分、 それと製造上の組織、運営上の体制という大きくその三点からこの製造指針は成ってお りました。今度それぞれがどこに移るかということについてですが、まず遺伝子組換え 微生物で考えますと、そちらについてはカルタヘナ法がかかってまいります。その製造 指針に掲げられている三点のうちの一点目の構造設備関係については、カルタヘナ法で すべて網が掛かってまいります。したがって、治験薬の製造を開始する前にそこはきち んとカルタヘナ法に基づく確認申請がされて、各大臣が確認するということで担保され ます。  二点目の品質関係については、ICHガイドラインが幾つか出されておりますので、 そちらの方を遵守していただきたいということになります。実際には、組換え技術を応 用した医薬品については治験届がかかってまいりますので、治験前には治験調査の中で 確認されますし、また当然薬事法に基づく承認が最終段階にありますので、その中で審 査が行われていくことになります。  それから三点目の組織や運営上の注意については、カルタヘナ法に基づく運用通知の 方に詳しく事項を掲げておりますので、そちらの事項を遵守するということでお願いし たいと思います。全体には薬事法の中で今申し上げた治験関係のところの調査、それか ら承認審査、それに絡んで当然GMP審査、あとGCPの中にまた治験薬のGMPも入 ってまいりますので、そういったもの全体でカバーできると考えております。  それから動物培養細胞については、冒頭御説明させていただきましたけれども、カル タヘナがかかってきません。製造指針のその三点がどう変わるかというのは、先ほど御 説明いたしましたとおり、構造設備についてはカルタヘナ法の観点から不要であり、G MPがかかってくると、品質はICHガイドライン、組織や運営の体制については別途 通知の方を守っていただくといった仕組みになるかと思います。 ○早川部会長 よろしいですか。実は今までのいろいろなガイドライン、例えば組換え 医薬品ですと環境影響の部分も品質・安全性の部分も薬事法的な部分も、それらすべて 一応ワンセットであったと。カルタヘナ法が出てきたので、そのワンセットであった部 分を分解して、カルタヘナ法にかかわる部分はそれはそれとして取り扱うと。そうでな い部分は別途取り扱うと。ですから、非常に大ざっぱに言えば、今までやってきたこと をどこか抜かすということはなくて、依然として全部カバーするのですが、ただその前 に今まで全部カバーしていた指針は廃止してしまわないとという話で、新たに分解した 部分のそれぞれのフラグメントは残るという理解でよろしいですか。したがって、今ま でやっていたことが何か抜けてしまうことはないということですね。ちょっとものごと にその取扱いの違うところがいろいろ出てきておりますので、先ほど御説明のあった組 換え動物細胞などはカルタヘナ法ではかからないというところで、今までの全体として 扱っていた部分と切り離した部分もありますので、ちょっと複雑な話にはなっていると 思います。入村委員、どうぞ。 ○入村委員 そうしますと、これは組換え動物、クローン動物は対象になっているとい うことですか。 ○早川部会長 それはいかがですか。 ○事務局 組換え動物は対象になります。 ○早川部会長 人間は対象ではないということですか。 ○事務局 組換え体を体内に持っているヒトは例から除外されておりますので、ヒトは 別です。しかし、トランスジェニックアニマルのようなものが出てくれば、それは対象 になるということでございます。 ○早川部会長 よろしいですか。 ○入村委員 今瀬戸内海の方の某社が、非常に具体的に変わった方法で造っていますよ ね。ああいうものは対象になるのですか。 ○早川部会長 インターフェロンですか。 ○入村委員 はい。 ○早川部会長 どういうインターフェロンでしょうか。 ○入村委員 モルモットにヒトの細胞を植えて…。 ○早川部会長 それについてはどうですか。 ○事務局 そのモルモット自体の遺伝子が組み換わっているということでしょうか。 ○入村委員 あれはどうでしたか。 ○早川部会長 あれはヒトから採った細胞を植えてハムスターで増殖させているだけだ ということですから、組換えはやっていませんので、そういう意味ではカルタヘナの方 からは外れると。ただ、もちろん品質・安全性等々は別の話としては担保されないとい けないという理解だと思います。ほかにございますでしょうか。星委員、何か…。 ○星委員 今の話は、動物の細胞組織の中に人間の細胞を入れて生やすわけですね。そ こで何かをつくらせるという話ですか。 ○早川部会長 要するに普通は医薬品を造るときに、動物細胞が何か有用な物質を生産 するとすれば、先ほどのウシ血清ではないですが、タンクかシャーレか分かりませんけ れども、何かで培養してやると。しかし、今の話は、その培養手段として動物の個体に 不死化した細胞を移植する形で行うと…、もともとはヒトのリンパ球から採った細胞だ と思うのですが、それがインターフェロンを産生するということで、その細胞を増やし てやれば当然インターフェロンの産生も増えますから、動物にその細胞を植えて動物が 培養器になるわけです。動物の中でどんどん腫瘍細胞が増える…、それでその腫瘍細胞 を取ってきて、そこから医薬品を造ると。そういうことが十何年前から許可されて市販 されている医薬品で例としてある、そのときにはもちろん品質・安全性の観点ではウイ ルス等の問題はクリアしていると。また、ヒトの臨床はいわゆる当時の薬事審議会でク リアして一応有用性が認められたということで、今実際に市販されている医薬品の話を されたのだと思うのです。 ○入村委員 そうです。 ○星委員 分かりました。 ○早川部会長 ほかにございますでしょうか。先ほどの中身の問題もありますけれども、 この部会の先生方のお許しを頂けるならば、例えばお名前を公表するとか幾つかのこと がございましたけれども、それについてはいかがでしょうか。よろしゅうございますか。 特に御異論はないようですので、それではそれについては…。2月19日にカルタヘナ法 が施行されるということでありますけれども、遺伝子組換え医薬品等の規制については 本日御審議いただいた方向で、あるいは御説明いただいた方向で進めさせていただくこ とにしたいと思います。本件は薬事分科会に報告ということで進めさせていただきたい と思います。神田先生、どうもありがとうございました。 ── 神田専門委員退席 ── ○早川部会長 それでは続きまして報告事項が一つございます。議題1の「組換えDN A技術応用医薬品の製造のための指針への適合の確認について」、これは阪大微生物病 研究会からの組換え沈降熱帯熱マラリアワクチンでございますが、これについて事務局 から御説明お願いいたします。 ○事務局 御説明させていただきます。資料3を御覧いただけますでしょうか。今回御 報告させていただきますのは、財団法人阪大微生物病研究会からの組換え体を用いた組 換え沈降熱帯熱マラリアワクチンの製造計画の確認でございます。製造計画の概要は資 料3の2ページ、「(4)組換えDNA製造指針に係る確認を受けた製造計画一覧」の中 に書かれておりまして、組換え体の詳細は1ページの(3)にまとめられております。  本品はSE36蛋白質というワクチン抗原として使えるような蛋白質を産生する組換え 体を用いまして、組換え沈降熱帯熱マラリアワクチンを製造しようとするものでござい ます。宿主について非病原性、ベクターは非伝達性プラスミドpBR322に由来し、T7フ ァージプロモーター、目的遺伝子、T7ターミネーター、ColE1複製開始点、アンピシ リン耐性遺伝子を有し、宿主依存性はグラム陰性菌の大腸菌等、狭い範囲に限定されて いるものでございます。それから既知の有害塩基配列は含まれておりません。挿入DN Aは純化されまして、機能、大きさ、構造とも明らかで、これも有害な塩基配列は含ま れないということでございます。組換え体の安全度はGILSPでございまして、ヒトに対 して感染性を持つカテゴリー2以上の分類に属するものではないということでございま す。既に組換えDNA技術応用医薬品調査会で組換えDNA製造指針に適合しているこ とが確認されており、本日部会に御報告させていただくものでございます。以上です。 ○早川部会長 ありがとうございました。本件について何か御質問等ございますでしょ うか。よろしゅうございますか。それではこの報告については御了解いただいたことに させていただきたいと思います。続きまして、その他の事項として事務局から何かござ いますでしょうか。 ○事務局 一点ございます。本日配付させていただきました資料4を御覧いただきたい と思います。生物由来原料基準の一部を改正する件でございます。本件については、先 般9月に開催されたこちらの部会において御審議、御了解いただいたことになりますが、 一部文言の整備を行いたいということで御報告させていただくものでございます。  生物由来原料基準といいますのは、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療用具の製造 に用いられるあらゆるヒト、動物に由来する原料を対象としておりまして、その原材料 の適格性の要件を定めたものでございます。昨年9月に開催されたこちらの部会におい てこの原料基準の改正について御審議いただいた中で、化粧品の原料について反すう動 物由来原料の規定は現行は化粧品基準の方に入っていたのですが、生物由来原料基準が できたということで、それをこちらの方に移すという改正について御審議いただき、御 了解いただいたところでございます。その後この改正案についてパブリックコメントを 募集しましたところ、医薬品に比べて化粧品に関する規制が甘くなっているのではない かという御指摘を受けました。そういう誤解があるような表現であったということで、 その部分の表現を訂正させていただくものでございます。  資料4の三段表の一番左側が現行の記載でございまして、真ん中が9月の部会で御了 解いただいた改正案です。下線部についてですが、「化粧品については、(3)に適合し ない原材料であっても、厚生労働省医薬食品局長が使用を認めるものとして定めるもの を使用することができる」ということでしたけれども、正確性を期するということで、 一番右にありますように、「化粧品については、(3)に適合しない原材料をやむを得ず 使用する場合は、厚生労働省医薬食品局長が定めた必要な条件に適合するもののみを使 用することができる」という表現に改めさせていただきたいと思います。この告示につ いては、WTO通報の手続を経た後、今年度中をめどに可能な限り早く告示させていた だきたいという予定でおります。以上です。 ○早川部会長 ありがとうございました。それでは本件について、何か御質問等ござい ますでしょうか。 ○星委員 ちょっとつまらないことですみませんが、この原産国のリストは順次入れ替 えられているのですか。今こうなっていますが、アメリカ合衆国を外すとかという話は …、これは時期的にずれていますね。どうでしょうか。 ○事務局 今のところアメリカ合衆国のものは使えることになっておりますけれども、 本件について実はこの後23日にまたこちらの部会を開催させていただく予定になって おりまして、原産国の件についてはそのときに御審議いただくということで…。 ○星委員 ではまだ使えることになっているのですか。 ○事務局 ただ、発生したと同時にすぐ通知の方で対応しておりまして、実際上はそう いったものはもう使われないように関係業者の方には指導させていただいております。 ○星委員 ちょっと関係のない話なので手短に。この手の国のリストの話は告示ですね。 今回アメリカ合衆国で発生していると、そうしたらもちろん食料品としての輸入が止ま る、あるいは原料としての使用が止まるというふうに説明にあったように、今は通知で 対応されるということですね。しかしこの先のことを考えたときに、こういう列挙方式 で、そして何かあった途端にまたこの部会を開いて告示を変えましょう、どうしましょ うという議論をしなければならないスピードにしておいてそもそもいいものかどうか、 そういう議論が多分あるのだろうと私は思いますので、今日ここで議論していただく必 要はありませんが、そのことは申し上げておきたいと思います。 ○早川部会長 ありがとうございました。そこは適切な御検討をお願いしたいというこ とでございます。ほかに何かございますでしょうか。それではございませんようですの で、本日の議事はこれで終わりにしたいと思います。 ○事務局 今ちょっとお話に出ましたが、今度2月23日に同じこのKKR東京でこの部 会をお願いしたいと思っております。時間は1時30分から3時の予定でございますの で、よろしくお願いいたします。 ○早川部会長 どうぞよろしくお願いいたします。それでは本日はいろいろとどうもあ りがとうございました。 ( 了 )   連絡先: 医薬食品局 審査管理課 専門官 齊藤(内線2743) - 4 -