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海外調査報告書領


平成16年2月26日
「健康食品」の制度のあり方に関する検討会



アメリカの制度(1)(FDAより)
※ FDA・・・ 米国食品医薬品庁。食品行政や薬務行政を所管。健康食品関係は、FDAの食品安全・栄養センター(CFSAN)が担当。

【法律上の定義】
 ○  飲食に供するものについて法律上定義されているものは、(1)医薬品(Drug)、(2)食品(Food)、(3)ダイエタリーサプリメント(Dietary Supplement)の3つである。「健康食品(Health Food)」や「機能性食品(Functional Food)」といった用語の定義はない。

【2種類の表示制度】
 ○  強調表示(Claim)については、「健康強調表示(Health Claim)」と「構造/機能強調表示(Structure/Function Claim)」の2つがある。

【健康強調表示(Health Claim)】
 ○  健康強調表示とは、特定の物質(substance)と特定の疾病(disease)の2つの要素の関係を示す表示。
例: 「野菜及び果物が含まれ、がんの予防に役立つ」 →特定の物質が無いため健康強調表示ではない。
「カルシウムを摂取すると強い骨になる」→特定の疾病が無いため健康強調表示ではない。
「カルシウムが骨粗鬆症を防ぐ」→特定の物質及び特定の疾病の両方を含み、健康強調表示である。
 ○  健康強調表示は、FDAの許可を必要とし、専門家の間に十分な科学的な合意(Significant Scientific Agreement=SSA)が必要である。許可体制はFDA内の科学者5人及び事務方5人の計10人。

【構造/機能強調表示(Structure/Function Claim)】
 ○  構造/機能強調表示は、FDAの許可を必要としない(届出は必要)。製造者は真実で誤解の無い証拠(substantiation)を持つことが義務づけられているが、FDAにはそれを確かめる権限が無い。



アメリカの制度(2)(FDAより)

【限定的健康強調表示(Qualified Health Claim)】
 ○  当初、FDAは、ダイエタリーサプリメントについてもSSAに合致しない健康強調表示は認めない方針であったが、そのような規制は憲法上の表現の自由を侵すとしたピアソン訴訟判決を踏まえ、SSAに合致しない健康強調表示であっても限定的な表示を付けることにより健康強調表示を認めることとした。

【限定的健康強調表示についての暫定的制度(interim system)】
 ○  現在、FDAは、この限定的健康強調表示に対する規則を作るまでの暫定的な制度案を示している。健康強調表示を科学的根拠の程度によりAからDまでのレベルに分類している。
科学的根拠
のランク
適切な条件文
A=SSA ・・・。(限定的な表示は不要)
B ・・・。表示を裏付ける科学根拠は有るが、その根拠は決定的ではない。
C ・・・を示唆するいくつかの科学的根拠はあるが、FDAは、この根拠が限定的であり決定的ではないと決定した。
D かなり限定的で予備的な研究において・・・を示唆している。FDAはこの表示を支持する科学的根拠はほとんど無いと結論づけた。
 ○  この案について外部の意見を聴いているところであり、今春末には規制案を出す予定。規制案についてさらにパブコメを行って確定し、施行はその1年後の予定。



アメリカの制度(3)(FDAより)

【表示監視】
 ○  表示監視については、年1回監視計画を立てるが、安全性についての監視が最優先される。人員不足により、ダイエタリーサプリメント専門の監視員はいない。
 ○  しかし、最近、公正取引委員会(Federal Trade Commission:FTC)と協力し、不正表示に対する監視を強化している。

【広告と表示の関係(FTCとの連携)】
 ○  食品及びダイエタリーサプリメントの製品に示されている表示の監視はFDAが所管しているが、TV、新聞、インターネット等の広告の監視はFTCが所管。このため、FDAはFTCと連携して、広告等の監視を進めている。
  食品 ダイエタリー
サプリメント
医薬品
広告
(Advertising )
公正取引委員会(FTC) FDA
表示
(Labeling)
FDA

【安全性に関する情報】
 ○  副作用情報のホットラインは役に立っていないことから中断された。代わりに、医薬品の有害事象データ(Medwatch Program)を使ってフォローアップしているが、フルに機能しているとは言えず、改善が求められている。



アメリカの制度(4)(GAOより)
※ GAO・・・ 会計検査院。議会の依頼により、政策評価、調査、政府支出の会計検査を行う。議会に調査結果を提出し、各行政機関の施策の改善等を求める。

【「ダイエタリーサプリメントと“機能性食品”の安全性の監視について改善要求」】
 ○  議会に対して、(1)法律上定義の無い機能性食品についても、ダイエタリーサプリメントと同様の規制を適用すること、(2)健康強調表示と構造・機能強調表示の区分を再検討することなどを勧告。
 ○  FDAに対しては、ダイエタリーサプリメント及び機能性食品の安全性を保証し、正確な情報提供を確保するため、(1)安全性に関する企業に対する規則の制定、(2)構造・機能強調表示の科学的根拠に対する規制強化等を勧告。

【「高齢者用健康食品 “抗老化”目的のダイエタリーサプリメントの健康被害・経済被害の可能性」】
 ○  抗老化や代替医療を趣旨とする健康食品による高齢者への健康被害の危険性を示唆。

【「減量目的のダイエタリーサプリメント 連邦政府の監視は安全性より流通に重点が置かれている」】
 ○  減量目的のダイエタリーサプリメントの安全性の監視は自主的な健康被害事例報告に頼っており不十分。安全性及び有効性について科学的根拠のある正確な情報が消費者に対して必要である。

【「ダイエタリーサプリメント“Metabolife356”のユーザーからの健康関連の電話の検証」】
 ○  深刻な健康被害に関連してきたエフェドラ含有製品について、ユーザーから企業に寄せられた電話を検証したもの。

【「エフェドラ含有ダイエタリーサプリメント 健康上のリスクとFDAによる監視」】
 ○  FDAがエフェドラについて行った過去の作業の評価を行った。FDAが被害事例のパターンを調査し、エフェドラ関連の文献を一致させれば、3年前に因果関係が明確化されていた。



アメリカにおける健康食品の流通実態(1)

ダイエタリーサプリメントの販売額 95年98億ドル(1.1兆円)→99年推定147億ドル(1.6兆円)
機能性食品の販売額 95年113億ドル(1.2兆円) →99年推定162億ドル(1.8兆円)
→2010年推定490億ドル(5.3兆円)
  (アメリカ会計検査院報告書より)
アメリカにおける健康食品の流通実態(1)の画像



アメリカにおける健康食品の流通実態(2)

通常の食品:小麦ふすまの画像
通常の食品: 小麦ふすま
表示: Diets rich in whole grain foods and other plant foods (and) low in total fat,saturated fat and cholesterol,may reduce the risk of heart disease and some cancers.
穀物類とその他の植物食品が豊富で、総脂質、飽和脂肪酸、コレステロールが低い食事は心臓病及びガンのリスクを低減するかもしれない。(注:2003年12月9日にFDAが許可した健康強調表示)
ダイエタリーサプリメント(液体)の画像
ダイエタリーサプリメント(液体): エキナセア(E.angustifolia root, E.purpurea whole plant)
表示: Promotes A Healthy Immune System.
This statement has not been evaluated by the Food and Drug Administration.This product is not intended to diagnose,treat,cure or prevent any disease.
健康的な免疫機能を促進する。
この記述はFDAに評価されていない。この製品は疾病の診断、治療、治癒、予防を意図していない。 (構造・機能強調表示)
ダイエタリーサプリメント(錠剤)の画像
ダイエタリーサプリメント(錠剤): ガラナ、緑茶、Eleuthero、Citrus aurantium、Dandelion、Ginger、Passion Flower、Kelp、Pullulan、ギムネマ
表示: Increases Metabolism and Calorie Burning Energy.Lose Weight,Feel Great!
・・・ is the natural supplement that boosts energy ,increases metabolism,and helps to fight cravings.
To promote fat-burning and steady energy levels this improved formula now contains Green Tea extract,Citrus Aurantium,and Chromium.Its effective combination of natural ingredients will help you to lose weight and feel great-without ephedra or mahuang.
These statements have not been evaluated by the Food and Drug Administration.This product is not intended to diagnose,treat,cure or prevent any disease.
代謝とカロリー燃焼エネルギーを増加させる。
体重減少、とてもいい気分!
・・・はエネルギーを高め代謝を増加させ渇望と戦う事を助ける自然のダイエタリーサプリメントである。脂肪燃焼を促進しエネル ギーレベルを安定させるために、この改良された粉ミルクは、緑茶抽出物、ネロリ及びクロムを含んでいる。その自然原材料の効果的な組み合わせは体重を減少させ、いい気分にさせる。−エフェドラ無しに。
この記述はFDAに評価されていない。この製品は疾病の診断、治療、治癒、予防を意図していない。(構造・機能強調表示)



EUの制度(1)(欧州委員会より)
※ European Commission・・・ 欧州委員会。EUの執行機関。加盟国の合意に基づき欧州議会の承認を受けた委員で構成。24の総局があり、政策、法案を提案、EU諸規則の適用を監督、理事会決定等を執行する。健康食品の担当は保健・消費者保護総局が担当。

【「食品の栄養強調表示及び健康強調表示に関する欧州議会及び欧州理事会規則案」(2003/7/16 欧州委員会提案)についての論点】
 ○  当初、健康強調表示は規制案の対象として考えていなかったが、業界の要望と違法な実態に鑑み、対象に加えた。
 ○  現在、規則案は、欧州議会では第1読会に入っており、理事会では専門家会合が8回開かれ、 かなり議論が煮詰まってきている状況。
 ○  その中で、消費者と業界が対立している争点は、第4条(栄養プロファイルの原則、特定の食品及びアルコールについて表示の禁止)及び第11条(暗示的な表現の禁止)の2つに絞られてきている。
 4条については、食品のプラス面だけでなく、マイナスの要素も合わせて正しく情報提供すべきと考えている。例えば、子供向けのシリアルに砂糖が多く入っていながら健康強調表示を行うのはバランスを欠き不適切と考えているが、業界は科学的根拠があれば健康強調表示は認められるべきと反対している。
 11条については、心理的な機能は影響する要素が多々あり、また、痩身については既に禁止されている国があり、医師の助言については単にロゴを使うなと言っているのみであるが、この規定は今後修正となる公算が大きい。


「食品の栄養強調表示及び健康強調表示に関する欧州議会及び欧州理事会規則案」 (2003/7/16欧州委員会提案)

《第4条》
 1. この規則の採択から18ヶ月以内に、欧州委員会は、第23条(2)で定める手続きに従って、食品あるいは特定の食品分類に栄養・健康強調表示をつけるために顧慮しなければならない特定の栄養プロファイルを規定する。栄養プロファイルは、特に、食品中の以下の栄養素の量として規定する。
(a)  脂肪・飽和脂肪酸・トランス型脂肪酸
(b)  糖質
(c)  塩・ナトリウム
 栄養プロファイルは、食習慣や栄養、それらと健康との関係、特に慢性疾患に栄養学的・生理学的効果を有する栄養素・その他の物質の役割に関する科学的知識に基づいたものでなければならない。栄養プロファイルの設定において、欧州委員会は食品安全機関の助言を求め、関係各方面、特に食品事業の経営者および消費者団体との協議を行う。関連の科学的進歩を考慮するための免除や更新は、第23条(2)に定めた手続きに従って採択する。
 2. 本条第1項の免除規定として、脂肪・飽和脂肪酸・トランス型脂肪酸・糖質・塩(ナトリウム)の量の低減を謳う栄養強調表示は、この規則に定める条件に準拠していれば、使用を許される。
 3. アルコールを体積で1.2%以上含む飲料は、
(a) 健康強調表示をしてはならない。
(b) アルコールあるいはカロリーの低減をうたう以外の栄養強調表示をしてはならない。
 4. 本条第3項で定めた以外の食品あるいは食品分類で、栄養・健康強調表示が制限・禁止されるべきものは、第23条(2)に定めた手続に従って、科学的実証に照らして決定することができる。
《第11条》
 1. 以下のような暗示的な強調表示は許されない。
(a) 全般的な健康及び生活改善に関する、栄養素又は食品の一般的な不特定の有益性をうたった強調表示
(b) 心理的・行動的な機能をうたった強調表示
(c) 指令96/8/ECの規定を損なうことなく、痩せる・体重管理をうたう表示、摂取により減少する体重量やその割合をうたう表示、空腹感の低減及び満腹感の増進をうたう表示、食事からのカロリー摂取量を減らすことをうたう表示
(d) 医師その他の医療従事者、専門家団体の助言について言及する表示、慈善事業に言及する表示、その食品を摂取しないと健康に影響が出る可能性を示唆する表示
 2. (略)



EUの制度(2)(欧州委員会より)

 ○  疾病リスク低減強調表示を認めることを提案しており、議会及び理事会もその方向。よく知られたカルシウムと骨粗鬆症の関係のような表示は、迅速に許可される見込みである。
 ○  今後のスケジュールとしては、欧州議会の選挙準備やEU拡大に伴う新加盟国の参加等もあり、 この案がどのような内容でいつ成立し、いつ発効するのか予測できない。

【科学的根拠をどの程度まで求めるか】
 ○  許可に必要な科学的根拠のレベルをどう設定するかについてはEFSA(欧州食品安全委員会)の役割であり、保健・消費者保護総局(DGSanco)としては関知しない。また、評価のメンバー・手続も規制が成立していない段階では何も決まっていない。
 ○  第12条のポジティブリストにおける「一般に認められた科学的データに基づき平均的消費者に十分理解される、・・・栄養素あるいはその他の物質の役割を表示した健康強調表示」については、加盟国が作成することとなるが、この「一般に認められた」とは、“栄養学の教科書レベルで認められた”、との意味である。
 ○  アメリカの限定的強調表示のような有効性のレベルに基づく段階的な表示制度を作成する予定はない。(担当官の見解では、ディスクレーマー(付随する否定的表示)は一種の免責条項であり、そのような言葉を付すことは強調表示自体の意味を無くすのではないか、とのこと。)

【EUの「フードサプリメントに関する理事会指令(2002/46)」について】
 ○  現行のビタミン、ミネラル関係の表については変更の予定はない。現在作成されていないビタミン、ミネラル以外の成分については、1年半ぐらいでリストを作成する予定。

【健康被害に関する情報について】
 ○  データは持っていない。



EUの制度(3)(beucより)
※ beuc・・・ 欧州消費者同盟(英語名European Consumer’s Organization)。EU加盟国ほか25カ国における35の国内消費者団体からなり、消費者の利益に資するよう、EUの政策に影響を与えることを任務とする。消費者への啓蒙活動などは行っていない。

【健康強調表示の現行制度の評価】
 ○  現行の制度は不十分であり、市場には曖昧で意味の無い不適切な強調表示が多い。beucの目指すことは、強調表示に焦点を当てたルールを作ることにより、(1)健康強調表示や栄養強調表示を制限し、(2)当該強調表示の価値を高めることである。

【欧州委員会の栄養強調表示・健康強調表示に関する規則案(2003/7/16)の評価】
 ○  欧州委員会の案は、beucの意見に極めて近い内容となっており歓迎している。この案は、(1)どのような表示でも誤解を与えてはいけない、(2)科学的根拠があっても、バランスのとれた食生活の観点からは健康強調表示を行うことが不適切な食品があるというアプローチに立っており、特に、第4条(栄養プロファイルの原則、特定の食品及びアルコールについて表示の禁止)及び第11条(暗示的な表現の禁止)は、大変評価している。
 ○  しかし、これらの規定については、(1)科学的根拠があるにもかかわらず表示が禁止されるのは不適当、(2)第4条手続(各国政府と欧州委員会のメンバーのみで決定)が欧州議会をバイパスしている、といった厳しい批判がある。
表示が不適切な食品の例: 子供向けシリアルに、健康強調表示がなされている一方で、このシリアルには砂糖が多く入っており、子供が朝食べるのにふさわしくない。全体としてバランスを欠いている。



EUの制度(4)(beucより)

【科学的根拠をどの程度まで求めるか】
 ○  現段階で言及することは難しいが、挙証責任は製造者、販売者に求めるべきである。なお、個人的には、権威ある文献でないとダメとまでは言えないであろう。(peer reviewの考え方)
 ただ、いかに科学的根拠があっても、「正しい」ことは表示の十分条件ではない。(不利な表示も含めて全て表示すること。(栄養プロファイルの原則))
 また、アルコールのような過剰摂取が懸念される場合もダメである。

【EUの「フードサプリメントに関する理事会指令(2002/46)」の評価】
 ○  情報が少なすぎるため、現段階で言及することは難しい。

【健康被害に関する情報について】
 ○  情報は持っていない。

【その他】
 ○  今回の規制案は、業界にとっても長い目で見てメリットがあると思う。
 ○  消費者の自己責任の考え方は否定しないが、「情報によって行動は影響される」という点を強調したい。強調表示は、特に、今、非常に不適切な状況にあるので、もう一度、その価値を高めることが必要と考える。なお、消費者の行動原理を一番よく分かっているのは、我々よりも、むしろ、業界のマーケティング部門である。



オランダの制度(1)(健康福祉スポーツ省より)
※ Ministry of Health, Welfare and Sports・・・ 健康福祉スポーツ省。健康食品行政は、栄養健康保護部(Department of Nutrition and Health Protection)が担当。

【食品と医薬品の定義】
 ○  機能性食品(functional food)という言葉があるが、全ての食品は、何らかの栄養学的価値あるいは機能を持っている。したがって、製品は健康に対する効果によって特徴づけられるわけではなく、効果に関する表示がなされているという事実によって特徴づけられるものである。
 ○  医薬品との区分が最重要であるが難しい。食品全般の健康強調表示が規制される予定。医薬品的効能効果の表示は食品には認められない。
 ○  フードサプリメントの定義はEUの「フードサプリメントに関する理事会指令(2002/46)」に基づく。

【表示規制の法的根拠】
 ○  法的根拠は、EUの「食品のラベル表示・外観・広告に関する指令(2000/13)」第2条に置いている。消費者を誤解させる表示及び疾病を治癒させる旨等の表示の禁止。同規定は明確なようで、各国間の解釈の差を生んており、見直しの予定と聞いている。

【自主規制 (1)オランダ広告準則(Dutch advertising code)】
 ○  オランダ広告委員会(Dutch advertisement committee)が、法令違反等の観点から健康強調表示がされている食品及び健康関連製品(health products)の広告を監視。特徴として低予算。どの団体もこのシステムを利用できる。
例) ‘Vat geen kou vla’(風邪にかからないカスタード)・・・医薬品に該当すると判断。



オランダの制度(2)(健康福祉スポーツ省より)

【自主規制(2) 健康食品強調表示規制委員会(KAG)の健康食品強調表示ガイドライン(KAGコード)】
 ○  表示及び広告を事前審査。1000種類の具体的な表示例のリストについて、医薬品的表示でないかどうか、健康強調表示として認められるかどうかを判断。
例: “for a good blood pressure”(良い血圧のために)→許可される
“good for the blood pressure”(血圧に良い)→許可されない

【自主規制(3) 健康強調表示の科学的証明に関する実施準則】
 ○  オランダニュートリションセンター(Voedingscentrum)は1998年に事業者の申請及び負担に基づき、個々の製品ごとに、その表示の科学的根拠を審査する準則を創設。同センターの外部に専門家のパネルを設け、大学、研究機関から常時4人を置いて、審査(所要3ヶ月が標準)。
 ○  これまで5製品が申請。4製品(コレステロールを低下させる植物ステロールを含むスプレッド・ヨーグルトや大腸の生物学的機能を活性化させるイヌリンを含むパン等)が認められ、1製品(内容非公開)が科学的根拠が不十分として却下された。

【自主規制の長所】
 ○  一種の訴訟前プロセスとして機能(訴訟回避)。事業者負担。健康強調表示の科学的証明に関する実施準則は、科学的根拠を厳格に審査。KAGコードは事前承認制であり、加盟団体の会員はこれに従う。

【自主規制の短所】
 ○  健康強調表示の科学的証明に関する実施準則は、まだあまり知られていないため、わざわざ許可を取るだけのメリット(reward)が無い。KAGコードは、表示の科学的根拠よりも言葉選びに重点が置かれてしまっている。(消費者はかえって混乱。)



オランダの制度(3)(健康福祉スポーツ省より)

【制度改正の予定】
 ○  担当大臣から「機能性食品」についての議会あてレター(2002)において、曖昧な科学的根拠の無い表示が多いことなど受け入れ難い状況であり、各種自主規制を統合して法制化すべきこと、健康会議(Health Council)の助言を求めるべきことなどを提言。健康会議は、報告書の中で、(1)明確で証明された疾病リスク低減強調表示だけが価値があること、(2)「豊富な・・・」、「低・・・」等の栄養強調表示は健康強調表示を暗示させるので、より明確化すべきことを指摘(2003)。
 ○  EUのイニシアティブを待つ一方、新しい規則策定のためのワーキンググループを設置。

【欧州委員会の規則案について】
 ○  以下の点から、基本的に評価。(1)科学的根拠があり評価された健康強調表示を支持、(2)EUの強調表示許可リストを支持、(3)疾病リスク低減強調表示を支持、(4)EFSAの中心的役割を支持(しかし、食薬区分等の適切な表現選びや強調表示の分かりやすさのチェックについてはEUレベルでの規制に馴染まないのではないか)、(5)「栄養プロファイル(nutrient profile)」を支持する。
 ○  第11条の規定については、(1)心理的・行動的機能の強調表示の全面禁止は必要ない、(2)体重抑制に関する強調表示の全面禁止は必要ない、(3)確立された団体からの栄養学的助言に言及する余地は残すべきである、(4)空想的な表示の禁止は支持する。
 (注)なお、上記のオランダ政府のコメントとは別途、企業側からも「EUで統一規制を作成する方向は、各国ごとに許可を取る手間を省き、歓迎できる」とのコメントあり。

【今後の自主規制】
 ○  EU規則案が成立し実施されれば、栄養素機能強調表示の用語の適否の判断に限られるであろう。



EU及びベルギーにおける健康食品の流通実態(1)

ブリュッセル市内の健康食品専門店の画像



ベルギーにおける健康食品の流通実態(2)

カプセル:樺抽出物、solidage verge d‘or、ジャワティーの画像
カプセル: 樺抽出物、solidage verge d‘or、ジャワティー
表示:
(1) Stimule le fonctionnement des reins
(2) Favorise la purifications des reins et des voies urinaires.
(3) Le corps est constitue en grande partie de liquide.IL est donc tres important pour notre sante de maintenir l'hydratation du corps. Les reins font en sorte que notre corps soit purifie des dechets par voie naturelle. Ces dechets sont evacues par la vessie et les voies urinaires.
(4) ・・・ favorise la purification naturelle du corps en stimulant le fonctionnement des reins.・・・ contient des substances actives uniques,qui se copletent et se renforcent. ・・・ protege une vessie fragile et les voies urinaires contre les intrus indesirables.
(5) En cas de grossesse ou de maladies renales,il convient de consulter un medecin.
(1) 腎臓の機能を高めます。
(2) 腎臓と泌尿器の浄化作用を促進します。
(3) 人体は主に水分から成っています。したがって、健康のためには、身体をアルカリに保つことがとても大事です。腎臓は身体が老廃物から自然に浄化されるように機能していま す。この老廃物は膀胱と尿道によって排出されます
(4) ・・・は腎臓の機能を高めることで、身体の自然浄化力をサポートします。・・・ は、相乗効果を発揮する独特の機能性素材を含んでいます。・・・は繊細な膀胱や泌尿器を有害物質から守ります。妊娠中や実際に疾病にかかった際には、医師の診察を受けることを勧めます。
カプセル:ニンニク、ヤドリギ、セイヨウサンザシ、ビタミンEの画像
カプセル: ニンニク、ヤドリギ、セイヨウサンザシ、ビタミンE
表示:
(1) Bon pour la circulation de sang
(2) Complement alimentaire a base de plantes et nutriments
(3) Notre mode de vie moderne exige la bonne condition de tout notre organisme. AIL+Gui+Aubepine+VitamineE favorise la circulation du sang et est bon pour la tension et le niveau de choesterol.La combinaison de l'Ail avec le Gui, l'Aubepine et la Vitamine E active le mecanisme d'auto-defense et renforce la vitalite.
(1) 血液の循環を改善します。
(2) 植物と栄養素から成る補助食品。
(3) 私たちの現代的な生活様式は、全ての身体組織が良好なコンディションにあることが要求されます。ニンニク+ヤドリギ+セイヨウサンザシ+ビタミンEは血液の循環を改善し、血圧やコレステロールが気になる方に適しています。ニンニクとヤドリギのコンビネーションで、セイヨウサンザシとビタミンEは自然治癒力を高め、生命力を高めます。


ベルギーにおける健康食品の流通実態(3)

口内噴射スプレー:プロポリス抽出物の画像
口内噴射スプレー: プロポリス抽出物
表示:
(1) REFROIDISSEMENTS
(2) Renforce les defenses naturelles
(1) クーリング
(2) 自然な免疫力を高める
粉末:サイリウム、イヌリン、ラクトバチルス・アシドフィルス菌の画像
粉末: サイリウム、イヌリン、ラクトバチルス・アシドフィルス菌
表示: Colon Clean assure une defecation reguliere et une flore intestinale saine.Colon Clean contient trois substances   actives qui favorisent le bon fonctionnement intestnal:
les fibres de psyllium brutes stimulent le fonctionnement intestinal,
la croissance du Lactobacillus acidophilus assure l'equilibre de la flore intestinale,
l'inuline favorise la croissance du Lactobacillus acidophilus et d'autres bonnes bacteries.
コロンクリーンは、毎日のお通じや、健康的な腸内環境をお約束します。コロンクリーンは良好な腸の活動をサポートする3つの機能性素材を含んでいます。
天然のサイリウムから得られた食物繊維が腸の働きを刺激します。
ラクトバチルス・アシドフィルス菌の発育が、腸内環境をおだやかにします。
イヌリンがラクトバチルス・アシドフィルス菌やその他の善玉菌の発育をサポートします。



参考(再提出)
強調表示(Claims)の国際比較(暫定的整理)

「強調表示(Claim)」とは、コーデックスの包装食品表示一般規格及び強調表示に関する一般ガイドラインによると、食品が、その起源、栄養的特性、性質、生産、加工処理、組成あるいはその他あらゆる品質に関して特別な特徴を持つことを述べたり、示唆あるいは暗示する全ての表示を指す。

コーデックス(案)

Proposed Draft Guidelines for Use of Health and Nutrition Claims(健康・栄養強調表示の使用に関するガイドライン案)(現在step6)
日本

健康増進法
食品衛生法


栄養表示基準及び栄養機能食品は生鮮食品(鶏卵 を除く)には適用されない。
アメリカ

The Federal Food, Drug, and Cosmetic Act
(連邦食品・医薬品・化粧品法1983)
一部改正; The Nutrition Labeling and Education Act
(栄養表示教育法1990)
Dietary Supplement Health and Education Act
(栄養補助食品健康教育法1994)
Food and Drug Administration Moderization
(FDA近代化法1997)
EU(案)

「食品に表示される栄養強調表示及び健康強調表示に関する規則案」(2003.7)※欧州議会と閣僚理事会の承認を経た上で、2005年までには施行の予定

形状による規制の区別はない。
Conventional foods Dietary supplements
Health Claims
(健康強調表示)

食品あるいはその成分と健康の関わりを述べ、示唆し、暗示するすべての表現のことであり、次のものが含まれる。
Nutrient Function Claims
(栄養素機能強調表示)
健康の保持増進の効果等の表示 Food with health claims(2001)
(保健機能食品)
Food with nutrient function claims(2001)
(栄養機能食品)
規格基準型自己認証制
Structure/ Function Claims
規制無し(但し、non-nutritive effectsには認められていないほか、ハーブ等の添加成分はGRAS基準又は添加物として承認される必要がある。)
Structure/Function Claims(1994)
事後届出制
(+disclaimers等)
Health Claims
認可制
describing a generally accepted role of a nutrient or other substance
ポジティブリスト制
(認可制の特例)
Other Function Claims
(栄養素以外のその他の機能強調表示)
Food for specified health uses(1991)
(特定保健用食品)
個別大臣許可制
 
“Health Food”
(いわゆる健康食品)
Reduction of Disease Risk Claims
(疾病リスク低減強調表示)
認められていない。 Health Claims(1990)

FDA承認制
Reduction of Disease Risk Claims
認可制(+disclaimers)
Nutrition Claims
(栄養強調表示)
Nutrient Content Claims
(栄養素成分)
Nutrition Labeling
(栄養表示1996)
(絶対表示) Nutrient Content Claims
(1990)
※1975〜任意制度
  Nutrition Claims  
Nutrient Relative Claims
(栄養素比較強調表示)
(相対表示) Nutrient Relative Claims Comparative Nutrition Claims


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