04/01/16 第33回労働政策審議会雇用均等分科会            第33回労働政策審議会雇用均等分科会 1 日時:平成16年1月16日(金)19:00〜 2 場所:厚生労働省9階省議室  3 出席者   労側委員:稲垣委員、岡本委員、片岡委員、佐藤(孝)委員、吉宮委員   使側委員:川本委員、吉川委員、前田委員   公益委員:若菜会長、今田委員、奥山委員、佐藤(博)委員、横溝委員 ○分科会長  ただいまから、労働政策審議会雇用均等分科会を開催いたします。本日は、樋口委 員、渡邊委員、山崎委員からご欠席との連絡をいただいています。それでは早速、議題 に入ります。本日は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関 する法律等の一部を改正する法律案要綱について」です。これにつきましては本日、厚 生労働大臣から労働政策審議会長宛に諮問が行われました。これを受けまして、当分科 会において審議を行うこととしたいと思います。まず、事務局のほうから説明をお願い します。 ○事務局  それでは、ご説明させていただきます。資料1が、厚生労働大臣からの諮問文です。 「育児・介護休業法等の一部を改正する法律案要綱(案)」です。育児・介護休業法等 の一部を改正する法律案ということで、育児・介護休業法の改正、雇用保険法の改正、 船員保険法の改正という3本の法律の改正からなっています。会長からお話がありまし たように、この育児・介護休業法等の一部を改正する法律案につきまして、厚生労働大 臣から労働政策審議会長宛に意見を求めています。当雇用均等分科会におきましては、 このうち第1の育児・介護休業法の一部を改正する法律の部分について、ご意見をいた だきたいと思います。それでは、内容につきましてご説明させていただきます。  第1の育児・介護休業法の一部を改正する部分は、昨年12月25日にまとめていただき ました当分科会の建議内容のうち、法的な整備が必要な部分につきまして、法律案要綱 の形にしたものです。以下、具体的な内容について項目ごとに読み上げまして、補足的 な説明を加えさせていただきたいと思います。  「1、総則の改正。(1)目的。子の看護休暇に関する制度を設けることをこの法律 の目的に加えるものとすること」。これは、後ほど出てきますように、建議を受けまし て、子の看護休暇制度を労働者の権利としてこの法律の中に位置づけています。その関 係で、目的規定の中にも「子の看護休暇に関する制度を設けること」という一文を加え るというものです。  「(2)定義。この法律において、育児休業とは、労働者(日々雇用される者を除 く。2から5までにおいて同じ)が、この法律の定めるところにより、その子を養育す るためにする休業をいうものとすること」。現行法におきまして、定義の部分において 育児休業の定義をしていますが、昨年来ご議論いただいていますように、現行の育児休 業の規定においては、日々雇用者と期間雇用者が労働者の定義で除外されています。建 議にありますように、期間雇用者について一定の要件で育児休業、介護休業の対象にす るということから、この定義の労働者について、「日々雇用される者を除く」という形 に改正をするものです。  また、これも建議に基づきまして、1歳6カ月まで一定の要件に該当する場合につい て育児休業ができるという形になります。したがって、現行の法律においては、定義に おいて「1歳に満たない子を養育するためにする休業」という形で育児休業を定義して いましたけれども、この「1歳に満たない」という部分が削除されているものです。  続きまして、2の「育児休業の改正」です。定義のところで言いましたように、期間 雇用者のうち一定の要件に該当する方が育児休業の取得ができる形になりますので、そ れに関する規定、さらに、一定の要件に該当する場合について1歳6カ月まで育児休業 ができることになりますので、それに関する規定がこの育児休業の改正の部分に新たに 盛り込まれることになります。したがいまして、新たな育児休業の部分は、「(1)1 歳に満たない子についての育児休業の申出」という部分と、「(2)1歳から1歳6カ 月に達するまでの子についての育児休業の申出等」という2種類ができるということに なります。  まず(1)の「1歳に満たない子についての育児休業の申出」です。「1歳に満たな い子についてする育児休業について、期間を定めて雇用される者にあっては、次のいず れにも該当するものに限り、育児休業の申出をすることができるものとすること。イ、 同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者。ロ、その養育する子が1 歳に達する日(以下「1歳到達日」という)を超えて引き続き雇用されることが見込ま れる者(当該子の1歳到達日から1年を経過する日までの間に、その労働契約の期間が 満了し、かつ当該労働契約の更新がないことが明らかである者を除く。)」ということ ですけれども、先ほど言いましたとおり、一定の要件に該当する期間雇用者について育 児休業ができることになりますので、その規定が加えられています。具体的な要件が、 2頁冒頭のイとロです。これは、建議でまとまった内容をそのまま書いています。括弧 内につきましては、建議では「雇用関係が終了することが明らかである者」という書き 方をしていましたけれども、それをより具体的に「労働契約の期間が満了し、かつ当該 労働契約の更新がない者」という言い方にしています。内容としては同じです。  (2)「1歳から1歳6カ月に達するまでの子についての育児休業の申出等」。 「イ、労働者は、その養育する1歳から1歳6カ月に達するまでの子について、次のい ずれにも該当する場合に限り、その事業主に申し出ることにより、育児休業することが できるものとすること。ただし、期間を定めて雇用される者であってその配偶者が当該 子の1歳到達日において育児休業しているものにあっては、(1)イ及びロのいずれに も該当するものに限り、当該申出をすることができるものとすること。(イ)当該申出 に係る子について、当該労働者又はその配偶者が、当該子の1歳到達日において育児休 業をしている場合。(ロ)当該子の1歳到達日後の期間について休業することが雇用の 継続のために特に必要と認められる厚生労働省令で定める場合に該当する場合。ロ、イ の申出は、1歳到達日の翌日を育児休業開始予定日としてしなければならないものとす ること。ハ、事業主はイの申出に係る育児休業開始予定日が当該申出の翌日から起算し て2週間を経過する日(以下「2週間経過日」という。)前の日であるときは、当該育 児休業開始予定日とされた日から当該2週間経過日までの間のいずれかの日を当該育児 休業開始予定日として指定することができるものとすること。」この部分におきまし て、1歳6カ月までの育児休業の要件を記載しています。但し書きのところは後ほど説 明するとしまして、まず(イ)から説明します。  1歳から1歳6カ月までの休業について基本的に想定されますのは、1歳まで育児休 業を取っていらっしゃる方が、例えば1歳時点で保育所に入れないということで、引き 続き育児休業を継続すると場合です。したがって、原則としては、1歳時点において当 該労働者が育児休業をしていることとなります。ただ、例えば妻が1歳時点まで育児休 業をしていて、1歳時点から保育所に入れないという事態になったときに、夫が代わっ てバトンタッチをして育児休業を取るというケースも想定されます。その2つのケース についてこの1歳6カ月までの休業を認めるということで、(イ)で「当該労働者また はその配偶者が子の1歳到達日において育児休業をしている場合」と要件を記載してい ます。  (ロ)は、建議でご議論いただきました、保育所に入れない等々の特別の事情の場合 です。法律上は、ここにありますように「1歳到達日後の期間について休業することが 雇用の継続のために特に必要と認められる厚生労働省令で定める場合に該当する場合」 ということで、具体的には、厚生労働省令におきまして、保育所に入所希望であるが入 れない場合、配偶者の負傷あるいは疾病の場合というものを定めるということを考えて います。  続きまして、ロです。基本的には1歳6カ月までの育児休業につきましては、1歳時 点で育児休業を取っていた方がそのまま育児休業を続ける、あるいは配偶者の方にバト ンタッチをするということになりますので、ロにありますように、この育児休業につい てはブランクをあけるということは基本的には想定されません。1歳到達日の翌日を育 児休業の開始予定日としなければならないということです。  ハは、現行の1歳までの育児休業については、1カ月前までに申出をしていただかな い場合については事業主は一定の範囲内でその休業の開始日を指定できるという規定に なっています。今回のこの1歳から1歳6カ月の育児休業の場合ですが、保育所に入所 希望であるが入れない場合を想定しますと、1カ月前ですとまだ保育所に入れるかどう かわからない状態が続いているということが想定されます。そういった観点で、現行の 育児休業の部分については1カ月前であると開始予定日が変更できることになります が、1歳6カ月までについては2週間としたいということです。なお、現行の介護休業 についても同じ規定がありますが、介護休業については2週間になっています。  (2)の但し書きの部分、「ただし、期間を定めて雇用される者であって、その配偶 者が当該子の1歳到達日において育児休業をしているものにあっては、(1)イ及びロ のいずれにも該当する者に限り、当該申出をすることができる」というところについて は、昨年の議論の中で、(1)イ及びロ、つまり期間雇用者の要件の部分について、ど の時点で判断をするのかというご議論の中で、基本的にいちばん最初の申出の時点で判 断をして、そのあとは判断はしないと考えている、と申し上げたと思います。したがっ て、期間雇用者の方が1歳前から育児休業を取っている場合、そして1歳時点でまた新 たに1歳6カ月までの育児休業を取る場合、これは新たな育児休業の申出になるわけで すけれども、その時点で(1)イ及びロの要件については、1歳前から取っている場合 にはその時点では要件は判断はしません。ただし、バトンタッチをして取るケースがあ ります。例えば1歳までは夫のほうが取っていて、1歳の時点で期間労働者である妻に バトンタッチをするというケースが考えられます。この場合については、1歳時点で初 めて期間雇用者である妻が育児休業を取ることになりますので、その場合については、 この時点で期間雇用者の要件を判断するというのがこの但し書きですので、ここにあり ますように「その配偶者が、当該子の1歳到達日において育児休業している場合」とい うことになります。  続きまして、(3)「期間を定めて雇用される者がする育児休業についての特例」で す。「期間を定めて雇用される者であって、その締結する労働契約の期間の末日を育児 休業終了予定日とする育児休業をしているものが、当該労働契約の更新に伴い、引き続 き育児休業をしようとする場合についての特例を設けるものとすること」。これも昨年 の議論の中で出てきましたけれども、期間雇用者の育児休業の申出は、その方が1歳ま で育児休業を取るつもりでいても、基本的には現在締結している労働契約の末日までし かできないということになります。したがって、1歳まで育児休業を取る場合につい て、現行の労働契約の末日を跨いで育児休業を取ることになりますので、最初の育児休 業の申出については現在締結している労働契約の末日まで申し出る、そして契約が更新 されるのと合わせて、1歳時点が次の契約の中に含まれているようなときには2回目で 1歳まで申し出るというように、再度の申出をしていただくことになります。  現行の期間の定めのない労働者の育児休業については、特別の事情がない場合は再度 の申出ができないことになります。期間雇用者の方は、契約の更新に基づいて再度申出 をしていただかなければなりませんので、特段の事情がなくても再度の申出ができると いう特例を設けなければなりません。また、これは先ほどの但し書きと同じ考え方です が、期間雇用者の適用の要件については最初の申出の時点で判断をします。期間雇用者 の場合には2回目、3回目の申出がありますけれども、その時点では(1)イ、ロの要 件は判断をしないということになりますので、その旨も法律上特例を記載することにな ります。この部分が(3)の「期間を定めて雇用される者がする育児休業についての特 例」です。  続きまして、3の「介護休業の改正」です。「(1)労働者は、その事業主に申し出 ることにより、93日から当該申出に係る対象家族についての次に掲げる日数を合算した 日数を差し引いた日数の期間を限度として、対象家族1人につき要介護状態ごとに1回 の介護休業をすることができるものとすること。イ、介護休業をした日数。ロ、勤務時 間の短縮その他の措置であって厚生労働省令で定めるものが講じられた日数」。これも 建議にありましたように、介護休業について、通算3カ月の範囲で要介護状態ごとに取 れるというものを法律上定めるものです。ただし、これも昨年ご質問をいただいたと思 いますが、2回目、3回目の介護休業の取得ができるということになりますがが、現行 の規定では、介護休業の開始予定日から3カ月間ということで暦で期間を指定していま したが、今後は2回目、3回目が取得できますので、日割りで計算をしなければならな いことになり、93日という日数になります。現行の規定は介護休業の開始予定日の翌日 から起算して3カ月間最長で取れることになっていますので、これを日数に直しますと 最長93日になります。  「(2)期間を定めて雇用される者にあっては、次のいずれにも該当するものに限 り、介護休業の申出をすることができるものとすること。イ、当該事業主に引き続き雇 用された期間が1年以上である者。ロ、介護休業開始予定日から起算して93日を経過す る日(以下「93日経過日」という)を超えて引き続き雇用されることが見込まれる者 (93日経過日から1年を経過するまでの間に、その労働契約の期間が満了し、かつ、当 該労働契約の更新がないことが明らかである者を除く。)」ここは、先ほどの育児休業 と同じく、期間雇用者についての要件です。これも建議にありますように、基本的に育 児休業の考え方と全く同じですけれども、ロのところが、育児休業では「1歳に達する 日」となっていた部分について、「介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日 」となっています。  「(3)期間を定めて雇用される者がする介護休業についての特例。2の(3)と同 様の特例を設けるものとすること。」これは先ほど育児休業のところで言いましたのと 同じように、介護休業についても期間雇用者の方について、やはり休業の申出は締結し ている契約期間の末日までになりますので、同じ特例を置くということになります。  「4、子の看護休暇の新設。(1)子の看護休暇の申出。イ、小学校就学の始期に達 するまでの子を養育する労働者は、その事業主に申し出ることにより、1の年度におい て5労働日を限度として、負傷し、又は疾病にかかったその子の世話を行うための休暇 (以下「子の看護休暇」という。)を取得することができるものとすること。ロ、イの 申出は、厚生労働省令で定めるところにより、子の看護休暇を取得する日を明らかにし て、しなければならないものとすること。ハ、イの年度は、事業主が別段の定めをする 場合を除き、4月1日に始まり、翌年3月31日に終わるものとすること。」子の看護休 暇を新設するものですが、建議にありますとおり、育児休業、介護休業と同じく、労働 者が申出をして取得できる権利として位置づけているものです。具体的な内容はイのと ころですが、建議にありましたように、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する 労働者について、年間5労働日という形になっています。ロについては手続を定めるこ とになっています。厚生労働省令で定めるところですけれども、具体的には、本人ある いはお子さんの氏名、いつ休暇を取るのか等々について事業主に申し出ることというよ うな手続を定めることになろうと考えています。ハについては、年度で5労働日ですの で、原則4月1日からの1年度、ただし、この年度の数え方については事業主が別段の 定めができるという規定です。  「(2)子の看護休暇の申出があった場合における事業主の義務等。事業主は、次に 掲げる労働者のうち労使協定で子の看護休暇を取得することができないものとして定め られた労働者に該当する労働者が申し出た場合を除き、子の看護休暇の申出を拒むこと ができないものとすること。イ、当該事業主に引き続き雇用された期間が6月に満たな い労働者。ロ、イのほか、子の看護休暇を取得することができないこととすることにつ いて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの。」この (2)の規定も、基本的には育児休業、介護休業の規定と同じ形になっています。原則 として、日雇い労働者を除く期間雇用者も含めて、すべての労働者の方が対象になりま す。一定の方につきまして労使協定で除外ができるという形です。労使協定で除外がで きる労働者の範囲として、まずイが「引き続き雇用された期間が6月に満たない労働者 」。これについては、育児休業、介護休業ではここが1年間になっています。子の看護 休暇については、5労働日ということで長期の休業ではありませんので、ここは年次有 給休暇と同じく6カ月ということを要件にしています。  ロは、そのほか子の看護休暇を取得することができないことについての合理的な理由 があるということで、厚生労働省令で定めるとしていますが、具体的には、育児休業と 同じく、1週間の所定労働日数が著しく少ない方、1週間の所定労働日数が1日あるい は2日の方をここで定めるという予定で考えています。なお、育児休業については、こ の規定のところで、例えば妻が専業主婦である場合について労使協定で除外ができると いう形になっていますけれども、子の看護休暇につきましては、これも昨年来ご議論い ただいていますように、それぞれにさまざまな家庭の状況等がありますけれども、一律 に最低の基準として5日間ということで位置づけたいということですので、妻が専業主 婦であるような場合についても、育児休業とは異なりまして、これを労使協定で除外で きるというような形の規定は設けていません。  「(3)不利益取扱いの禁止。事業主は、労働者が子の看護休暇の申出をし、又は子 の看護休暇を取得したことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱 をしてはならないものとすること。」不利益取扱の禁止の規定ですが、育児休業、介護 休業と同じ規定を置く予定です。  「5、勤務時間の短縮等の措置等の改正。1歳から1歳6カ月に達するまでの子につ いて育児休業をすることができるものとすること及び要介護状態ごとに1回、通算して 93日まで介護休業をすることができるものとすることに伴う所要の規定の整備を行うも のとすること。」これは、現行法23条の「勤務時間短縮等の措置」の部分です。ここに つきましては、具体的な内容については変更はありませんが、育児休業については、1 歳6カ月までの休業ができるようになったこと、介業休業については、要介護状態ごと にできるようになったこと、あるいは通算して93日になったことに連動して規定の整備 を行うものです。  6として「その他。所要の規定の整備を行うものとすること。」以上が、育児・介護 休業法の改正にかかる部分です。ここまでが当分科会においてご議論いただく部分で す。  以下、簡単に雇用保険法の一部改正関係についても触れさせていただきます。これに ついては参考資料2として、昨年、職業安定分科会雇用保険部会でご議論いただきまし た報告書を添付させていただいています。後ほどご覧いただきたいと思いますが、この 雇用保険部会の報告を受けまして、雇用保険法の改正関係について雇用保険法の規定の 整備をするものです。まず育児休業給付の改正ということで、1歳6カ月まで育児休業 ができるということと連動しまして、給付についても、厚生労働省令で定める場合につ いて1歳6カ月まで育児休業給付が支給できるというものです。この厚生労働省令で定 める場合については、育児・介護休業法で定める省令と同じ内容にするという方向で考 えています。  介護休業給付の部分も、要介護状態ごとに介護休業ができるようになる、あるいは3 カ月が93日になるということで、それに連動する形で介護休業給付の規定も改正すると いう内容です。  8頁の第3の船員保険法の改正関係ですが、船員の育児休業給付、介護休業給付につ いては船員保険法で規定されています。したがいまして、いま申し上げた雇用保険法の 改正と同じ内容を船員保険法についても改正するという内容です。  第4は施行期日ですが、1にありますように平成17年4月1日から施行したいと考え ています。その他、法律の施行に関して必要な経過措置等々を定めるということにして います。法律案要綱の内容については以上です。 ○分科会長  ただいまの事務局の説明につきまして、ご質問あるいはご意見がありましたら、お願 いします。 ○労側委員  経過措置等の「関係法律の規定の整備」について、わかる範囲で説明していただけれ ばと思います。 ○事務局  関係法律の規定の整備というのは、具体的には健康保険法の改正の関係です。育児休 業の期間については社会保険料が免除されています。法律で1歳6カ月まで育児休業が できることになりますけれども、年金の保険料については育児休業法を引いていまし て、そのまま規定の改正をせずに1歳6カ月まで社会保険料の免除ができることになっ ていますが、健康保険法の規定は、育児休業法を引いているのですけれども、法律上 「1歳まで」と書いてあります。したがって、私どものほうと連動して社会保険料の免 除をしていただくためには、その「1歳まで」というところを変えなければなりませ ん。その規定の改正を健康保険法改正で行うという内容です。 ○労側委員  1頁の「目的」に新たに子の看護休暇に関する制度が入るということですね。いまま での「育児休業、介護休業等」という名称の「等」というのは短時間勤務等の措置が入 っているのだと理解していたのですが、子の看護休暇制度が入るとなりますと、育児休 業、介護休業という名称も変わるのではないかと思うのです。私は、職業家庭両立支援 法的なものにしたらどうかという意見を前から述べているのですが、その辺は法案審査 の中でどうなったのでしょうか。 ○事務局  この辺りの題名が変わるかどうかというのは純粋な法律的な議論ですけれども、ご指 摘がありましたとおり、子の看護休暇制度は、育児休業、介護休業と同じように、労働 者が申し出れば取得できるという、形成権という非常に強い権利として位置づけるもの です。ただ、この法律全体の位置づけから見ますと、この法律としてはやはり育児休 業、介護休業という長期の休業制度を労働者の権利として取得させるということが法律 の中心である。そういう観点からして、権利としては同等の権利で、子の看護休暇が新 たに制定されることをもって目的規定については新たに加わりますけれども、法律の題 名の改正までは要さないものであるとご理解いただければと思います。 ○片岡委員  有期契約労働者への休業の適用に関して、報告書の中では、不利益取扱いに関し休業 申出取得を理由として雇止めを行うことは不利益取扱いであるということに触れている わけですが、いま示された法案の中では、そのことは見えないような気がするのです が。 ○事務局  この法律の10条の部分ですが、「事業主は労働者が育児休業申出をし、または育児休 業したことを理由として当該労働者について解雇その他不利益な取扱いをしてはならな い」ということになっています。この「労働者」ですが、冒頭に総則の定義のところで 言いましたとおり、いままではここからは「日々雇用される者および期間雇用者」とい うのは除かれていたわけです。定義から期間雇用者を除くという部分がなくなりました ので、当然この10条の「労働者」に、育児休業が取れる方については期間雇用者も入る ことになりました。したがって、この育児休業の取れる期間雇用者の方が育児休業を取 ろうとして不利益な取扱いをされた場合については、それは禁止されることになりま す。つまり、労働者の定義が変わりましたので、この第10条の規定を変える必要はない ということです。 ○労側委員  そういう説明を受けて理解はしますが、現実的には雇止めというのが非常に心配され るという意味で、私としては、10条そのものに例示的にそういった文言が入るほうがよ りわかりやすいと思っているのです。その関係はいかがでしょうか。 ○事務局  「解雇その他不利益な取扱い」の部分ですが、期間雇用者の方が育児休業を取るとい うことを申し出る、あるいは取ったことを理由として雇止めをされるということは不利 益取扱いだろうとは考えています。それについては、具体的には指針の中で今でも不利 益取扱いにはどういうケースが当たるのかということは明示しています。今回、この法 律案要綱について答申をいただいて、それを踏まえて法律が成立したと仮定しますと、 それを受けてまた指針の改正等々をしなければなりません。その中で、今のようなこと については具体的に記載していくことになろうかと考えています。 ○労側委員  今回の法案要綱の審議は、12月25日の報告が基になります。それに期間労働者につい て労使で意見を付けているのですが、それが法案要綱には入っていません。私どもとし ては、そこはちょっと残念である、という意見を申し上げたいと思います。 ○労側委員  この法案要綱とは特に関係ないのですが、先ほど、不利益取扱いに関しては現在も指 針で示されている、これから有期雇用に関しても指針で書かれるということでした。そ のときには、どういう場合に不利益取扱いになるかということを周知徹底させるという ことをお願いしたいと思います。特に中小、零細といったところだと、まだまだそうい う理解が足りなくて、不利益取扱いに当たるということがわからないということもあり ますし、厚生労働省の地方の均等室に相談に行っても、これは不利益取扱いになるとい う指導が、私どもの目から見ると少し弱いのではないかという気がしますので、そうい うところも徹底をお願いしたいと思います。 ○分科会長  ほかにご意見はありますでしょうか。特にご意見がなければ、今日もいくつか議論が 出ましたので、それを踏まえて、次回の分科会で結論を取りまとめたいと思います。そ れでは、本日の審議はここまでとしまして、事務局のほうから次回の予定をお願いしま す。 ○事務局  次回は、1月20日(火)の17時から、厚労省省議室でお願いしたいと思います。議題 は、本日ご諮問しました案件について取りまとめをお願いしたいということと、平成16 年度の関係予算案、育児・介護休業法以外の今回の通常国会の提出予定法案について簡 単にご説明させていただきたいと考えています。 ○分科会長  それでは、本日の分科会はこれで終了します。議事録の署名委員は、稲垣委員と川本 委員にお願いします。今日はありがとうございました。 照会先:雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課 法規係(内線:7856)