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第6 契約書の内容

 委託者が民間事業者との間で委託契約を締結するに当たっての契約書においては、委託事業を円滑かつ適正に実施するため、次に掲げる事項を記載すべきである。

1.委託事業の趣旨

2.委託事業の内容


(1)対象地区


(2 )対象者

 名簿のとおりとし、名簿を添付する。

 委託契約で特定した対象者が対象者の選定から委託契約の締結までの間にサービスの利用を辞退した場合には、対象者を補充する。これに対し、委託契約で特定した対象者が委託契約締結後にサービスの利用を辞退し、又は中断した場合には、対象者を補充しない。

(3 )サービス

 サービスの内容(再委託の相手方その他の内容を含む。以下同じ。)については、企画提案のとおりとし、企画書を添付する。ただし、民間の事業の実態を踏まえ、職業紹介及びそれに伴う就職後の職場定着指導については、受託民間事業者は、必要があると認める場合において、対象者の同意を得たときは、企画提案に再委託の相手方として盛り込まれない有料職業紹介事業者又は無料職業紹介事業者を本事業の枠外で活用することができるものとする。

 他の委託契約の例を踏まえ、受託民間事業者は、やむを得ない事由により、サービスの内容を変更しようとするときは、あらかじめ、委託者の承認を受けなければならないものとする。

3.委託事業の開始、中止及び終了

(1 )開始

 受託民間事業者は、委託契約締結時から起算して1か月以内に、委託事業を開始しなければならないものとする。

(2 )中止

 他の委託契約の例を踏まえ、受託民間事業者は、やむを得ない事由により、委託事業を中止しようとするときは、あらかじめ、委託者の承認を受けなければならないものとする。

(3 )終了

 委託事業は、委託契約締結時から起算して1年6か月を経過した時点で、終了する。

4.遵守事項

(1 )対象者の個人情報の取扱い

 職業紹介事業者等による求職者等の個人情報の取扱いに関する職業安定法第5条の4と同様に、受託民間事業者は、対象者の個人情報を収集し、保管し、又は使用するに当たっては、委託事業の実施に必要な範囲内で対象者の個人情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用するとともに、対象者の個人情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならないものとする。

(2 )秘密の保持等

 職業紹介事業者等による秘密の保持等に関する職業安定法第51条及び第51条の2と同様に、受託民間事業者は、正当な理由なく、委託事業に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならないほか、委託事業に関して知り得た個人情報等を他人に知らせてはならないものとする。

(3 )企画書の交付

 受託民間事業者は、委託契約締結後速やかに、企画書(サービスの内容に係る部分に限る。)を対象者に交付しなければならないものとする。

(4 )記録

 受託民間事業者は、委託事業の実施状況(各対象者に係るサービスの利用、就職及び職場定着の状況を含む。以下同じ。)に関する記録を作成し、委託事業を終了し、又は中止した日の属する年度の翌年度から起算して5年間、その事業所に備え付けなければならないものとする。

(5 )会計の経理

 他の委託契約の例を踏まえ、受託民間事業者は、委託事業に係る会計を他の事業に係る会計と区分して経理しなければならないものとする。

(6 )帳簿書類

 他の委託契約の例を踏まえ、受託民間事業者は、委託事業に関して帳簿書類を作成し、委託事業を終了し、又は中止した日の属する年度の翌年度から起算して5年間、その事業所に備え付けなければならないものとする。

(注 )金銭の給付を目的とする国の権利で、時効に関し他の法律に規定がないものは、5年間これを行わないときは、時効により消滅する(会計法第30条前段)とともに、国に対する権利で、金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする(会計法第30条後段)ものとされているところ。

(7 )権利の譲渡

 他の委託契約の例を踏まえ、受託民間事業者は、委託契約に基づいて生じた権利の全部又は一部を第三者に譲渡してはならないものとする。

(8 )再委託

 受託民間事業者が委託事業の一部を他の民間事業者に再委託する場合には、受託民間事業者は、その責任において、再受託民間事業者に受託民間事業者の義務を履行させなければならないものとする。

5.委託費の支給

(1 )金額

 次に掲げる場合のそれぞれに支給される委託費の対象者1人当たりの金額を記載する。

(1)  対象者が職場定着に至った場合

(2)  対象者が就職に至ったものの職場定着に至らなかった場合

(3)  対象者がサービスを利用したものの就職に至らなかった場合

 対象者が委託契約の締結から委託事業の開始までの間にサービスの利用を辞退した場合には、対象者がサービスの利用を辞退した理由の如何を問わず、委託費を支給しないものとする。

 対象者がサービスの利用を開始してから就職に至るまでの間にサービスの利用を中断した場合には、対象者がサービスを利用したものの就職に至らなかったものとみなして委託費を支給するものとする。

 対象者が就職に至ってから職場定着に至るまでの間にサービスの利用を中断した場合にも、対象者がサービスの利用を継続した場合と同様に、対象者が職場定着に至ったかどうかに応じ、委託費を支給する。

(2 )就職及び職場定着の概念

 就職

 就職とは、委託契約締結時から起算して1年以内に、受託民間事業者又は企画提案に再委託の相手方として盛り込まれた有料職業紹介事業者の職業紹介により、対象者を雇用保険の一般被保険者(短時間労働被保険者を除く。)として雇い入れ、かつ、対象者を引き続き相当期間雇用することが確実であると認められる場合をいうものとする。

 企画提案に再委託の相手方として盛り込まれない有料職業紹介事業者又は無料職業紹介事業者の職業紹介については、本事業の枠外の問題であるため、対象者を雇い入れた事業主から手数料を徴収するかどうかを問わず、就職として評価しない。

 受託民間事業者又は企画提案に再委託の相手方として盛り込まれた有料職業紹介事業者が対象者を雇い入れた事業主から手数料を徴収した場合には、手数料と委託費との二重の利得とならないよう、就職として評価しない。

 職場定着

 職場定着とは、就職時から起算して6か月以上にわたり、雇用が継続する場合をいうものとする。

 就職時から起算して6か月を経過した時点では、雇用が継続していたものの、委託費の支給を請求した時点では、雇用が継続していなかった場合にも、職場定着として評価する。

 対象者が就職に至ったものの職場定着に至らなかった場合において、委託契約締結時から起算して1年を経過していないときは、受託民間事業者は、対象者を再度の就職及び職場定着に至らせることにより、1回の就職及び職場定着としての評価を受けることができるものとする。

 受託民間事業者は、対象者が就職に至ったものの職場定着に至らなかった場合において、委託契約締結時から起算して1年を経過していないときも、対象者に対して再度の職業紹介及びそれに伴う就職後の職場定着指導を実施しないときは、委託契約締結後速やかに、その旨を対象者に説明しなければならないものとする。

(3 )不支給事由

 次に掲げる場合には、対象者を雇い入れた事業主が受託民間事業者又は再受託民間事業者と実質的同一性を有するため、対象者がサービスを利用したものの就職に至らなかったものとみなして委託費を支給する。

(1)  対象者を雇い入れた事業主が受託民間事業者又は再受託民間事業者と同一である場合

(2)  対象者を雇い入れた事業主が受託民間事業者又は再受託民間事業者の親会社(=議決権の過半数を保有する会社)又は子会社(=議決権の過半数の保有を受ける会社)である場合

(3)  対象者を雇い入れた事業主と受託民間事業者又は再受託民間事業者との間で、次のいずれかに該当する場合
@ .代表者が同一である場合
A .取締役又はこれに準ずるものを兼務する者がいずれかの取締役会又はこれに準ずる機関の構成員の過半数を占める場合
B .一方の取締役若しくはこれに準ずるもの若しくは使用人又はこれらの者であった者が他方の取締役会又はこれに準ずる機関の構成員の過半数を占める場合

 委託者は、受託民間事業者が次のいずれかに該当すると認めるときは、委託費を支給しないことができるものとする。

(1)  法令又は委託契約に違反した場合

(2)  調査を拒否し、又は虚偽の回答をした場合

(3)  指示に従わなかった場合

(4)  偽りその他不正の行為により本事業を受託した場合

(5)  対象者又は対象者を雇い入れた事業主と通謀して就職又は職場定着を仮装する場合など、偽りその他不正の行為により委託費の支給を受けようとし、又は受けた場合

(4 )手続

 受託民間事業者は、委託契約締結時から起算して四半期を経過するごとに、各四半期における各対象者に係るサービスの利用、就職及び職場定着の状況に応じ、委託費の支給を請求することができるものとする。

 他の委託契約の例を踏まえ、受託民間事業者は、委託事業を終了し、又は中止した時点から起算して1か月以内に、委託費の支給を請求しなければならないものとする。

 受託民間事業者は、対象者及び対象者を雇い入れた事業主による各対象者に係る就職及び職場定着の状況(対象者にあっては、各対象者に係るサービスの利用の状況を含む。)に関する証明書(就職に至らない対象者にあっては、委託契約締結時から起算して四半期を経過した後に作成されたものに限る。)を請求書に添付しなければならないものとする。この場合においては、受託民間事業者は、あらかじめ、当該証明書が委託者に提出される旨を対象者及び対象者を雇い入れた事業主に説明しなければならないものとする。

 他の委託契約の例を踏まえ、委託費の支給時期については、委託費の支給の請求を受けた時点から起算して1か月以内とする。

(注 )政府契約については、対価の支払の時期は、国が給付の完了の確認又は検査を終了した後相手方から適法な支払請求を受けた日から工事代金については40日、その他の給付に対する対価については30日以内の日としなければならない(政府契約の支払遅延防止等に関する法律第6条第1項)ものとされているところ。なお、国が相手方の支払請求を受けた後、その請求の内容の全部又は一部が不当であることを発見したときは、国は、その事由を明示してその請求を拒否する旨を相手方に通知する(政府契約の支払遅延防止等に関する法律第6条第2項)ものとされているところ。

 委託費の支給の名宛人については、受託民間事業者が委託事業の一部を他の民間事業者に再委託するかどうかを問わず、受託民間事業者とする。

6.権利義務の帰属

(1 )物品

 他の委託契約の例を踏まえ、受託民間事業者は、委託事業を実施するに当たって物品を取得したときは、善良な管理者の注意をもって当該物品を管理しなければならないものとする。

 他の委託契約の例を踏まえ、受託民間事業者は、委託事業を終了し、又は中止したときは、当該物品のうち委託者が指示するものを返還しなければならないものとする。

(2 )特許権、著作権等

 他の委託契約の例を踏まえ、委託事業の実施に伴って生じた特許権、著作権その他の権利は、委託者に帰属するものとする。

 他の委託契約の例を踏まえ、受託民間事業者は、委託事業の実施が第三者の特許権、著作権その他の権利と抵触するときは、その責任において、必要な措置を講じなければならないものとする。

(3 )公表

 他の委託契約の例を踏まえ、受託民間事業者は、委託事業の実施状況を公表しようとするときは、あらかじめ、委託者の承認を受けなければならないものとする。

(4 )第三者に対する損害賠償責任

 他の委託契約の例を踏まえ、受託民間事業者は、委託事業を実施するに当たって故意又は過失により第三者に損害を加えたときは、当該損害を賠償する責任を負うものとする。

7.調査

 受託民間事業者は、委託契約締結時から起算して四半期を経過するごとに、1か月以内に、委託事業の実施状況を委託者に報告しなければならないものとする。

 受託民間事業者は、委託事業を終了し、又は中止したときは、1か月以内に、委託事業の実施状況を記載した事業報告書(収支計算書を含む。)を委託者に提出しなければならないものとする。

 委託者は、本事業を実施するために必要があると認めるときは、受託民間事業者に対し、報告を求め、又は受託民間事業者若しくは再受託民間事業者の事業所その他の施設に立ち入り、関係者に質問し、若しくは帳簿書類その他の物件を調査することができるものとする。

 委託者は、本事業を実施するために必要があると認めるときは、委託事業の実施状況を公表することができるものとする。

8.指示

 委託者は、受託民間事業者が対象者に対してサービスを適切に提供していないと認めるときその他委託事業の適正な実施を確保するために必要があると認めるときは、受託民間事業者に対し、委託事業の実施を改善するために必要な措置を講ずるよう、指示することができるものとする。

9.委託契約の解除

 委託者は、受託民間事業者が次のいずれかに該当すると認めるときは、委託契約を解除することができるものとする。この場合においては、委託契約の解除は、将来に向かって効力を生じるものとする。

(1)  法令又は委託契約に違反した場合

(2)  調査を拒否し、又は虚偽の回答をした場合

(3)  指示に従わなかった場合

(4)  偽りその他不正の行為により本事業を受託した場合

(5)  対象者又は対象者を雇い入れた事業主と通謀して就職又は職場定着を仮装する場合など、偽りその他不正の行為により委託費の支給を受けようとし、又は受けた場合

(6)  民間事業者の要件に該当しなくなった場合、破産の場合など、委託事業を適正に実施することが困難である場合

10.委託費の返還

 委託者は、受託民間事業者が次のいずれかに該当すると認めるときは、受託民間事業者に対し、委託費の全部又は一部の返還を求めることができるほか、その額につき年5%の割合で、委託費の支給の日の翌日から委託費の返還の日までの日数により計算した延滞金の納付を求めることができるものとする。

(1)  法令又は委託契約に違反した場合

(2)  調査を拒否し、又は虚偽の回答をした場合

(3)  指示に従わなかった場合

(4)  偽りその他不正の行為により本事業を受託した場合

(5)  対象者又は対象者を雇い入れた事業主と通謀して就職又は職場定着を仮装する場合など、偽りその他不正の行為により委託費の支給を受けようとし、又は受けた場合

 受託民間事業者は、委託費の過誤払があったときは、それを返還しなければならないものとする。

11.委託契約の解釈

 他の委託契約の例を踏まえ、委託契約に関して疑義が生じた事項については、その都度、委託者と受託民間事業者とが協議するものとする。

12.その他



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