戻る

「平成16年度の献血の推進に関する計画(事務局案)」に関する意見の募集結果及び各意見に対する考え方について


1.経緯

  「平成16年度の献血の推進に関する計画(事務局案)」について、以下の要領で、広く一般から御意見を募集した。

 (1)期間:平成15年12月24日〜平成16年1月14日
 (2)告知方法:厚生労働省ホームページ
 (3)御意見送付方法:電子メール、FAX又は郵送
 (4)受付数:  6件(いずれも個人。)
 (5)意見数: 18件


2 意見に対する考え方

 提出された意見及び意見に対する事務局の考え方は、以下のとおり。

第1節の「平成16年度に献血により確保すべき血液の目標量」(3件)

(意見1)
 「平成16年度献血推進計画」は細かい配慮の行き届いた計画案であり、全体として高く評価されるものと考えます。
 さて、私は以前より要望して参りました点は、第一節の「献血により確保すべき血液の目標量」の内容に全血として供給すべき血液の目標量を記入して戴きたい事です。
 日赤は独占企業ですから使用者の要請に応じて血液を供給する義務があるはずです。ところが、採血した全血は大部分を遠沈分離してしまうため、全血が入手できません。さらに全血、FFP、濃赤は価格が同一ですから、患者様は2倍の費用の負担と2倍の感染の危険を背負わされております。以上の実態から日赤を指導する意味も含めて、全血として供給すべき血液量の記述をお願い致します。
<考え方>
  献血血液の確保目標量は、各都道府県ごとに各製剤ごとの当該年度の需要予測をし、需要の変動に対応できるよう加味して算出したものであり、平成16年度については、全血製剤の製造見込みを0.3万リットルとしています。
 「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」(昭和31年法律第160号。以下「法」という。)第10条第2項第1項においては、本計画には「献血により確保すべき血液の目標量」を規定することとされていることから、全血製剤の供給目標量を規定することは差し控えたいと考えますが、御指摘を踏まえ、当該目標量の算出根拠となった各製剤ごとの需要予測量を追記いたします。
 さらに、血液事業部会においては、全血製剤の供給に関する日本赤十字社の見解について意見を求めることとしています。

(意見2)
 献血血液の使用量を制限し、採血量を最低限に抑える。
 献血は、厳選して採血し、血液及び血液製剤の使用にあたっては、適正な使用方法、適正な使用量を守らせて、献血量及び血液・血液製剤の使用量を最低限におさえる。
<考え方>
  御指摘の血液製剤の適正使用の推進は、法第3条第3項に、「基本理念」として規定されています。
 また、旧厚生省は、平成元年及び平成11年に、血液製剤の適正使用及び輸血療法の実施に関する指針を策定し、各都道府県に周知しており、輸血用血液製剤及びアルブミン製剤の使用量は、いずれも減少傾向にあります。
 さらに血液製剤の適正使用を進めるための取組を、現在、薬事・食品衛生審議会血液事業部会適正使用調査会において検討しています。

(意見3)
 献血血液の使用量を制限し、採血量を最低限に抑える。
 小さな自治体ほど献血量割り当て確保のため、一番効率がよいと考えられる高校生への集団献血を強制して来ている。献血量割り当て確保については、高校生を対象とせず、成人を対象にした方法で割り当て献血量を確保するよう自治体に対し指導する。
<考え方>
  統計データをもとに検討したところ、各都道府県の人口と、献血者に占める高校生の割合とは無相関であったことから、御指摘のような、「小さな自治体ほど・・・高校生への集団献血を強制」するという事態は、全国的に見て生じていないと考えられます。
 また、御指摘の「高校生への集団献血を強制」との趣旨が必ずしも明らかではありませんが、献血とは「自発的な無償供血」ですから、他人により強制されるものではありません。
 学校等を含むいかなる場所で献血が行われるとしても、生徒は自発的意思に基づき、供血を行うこともでき、拒むこともできます。無論、生徒がいかなる判断を下そうとも、その判断によって何らかの不利益を被ることがあってはなりません。


第2節の「前節の目標量を確保するために必要な措置に関する事項」

(1)献血に関する普及啓発活動の実施

 (2) 献血運動推進全国大会の開催等(1件)
(意見4)
 「表彰」という形で献血回数や、献血量を競わせたり、ボランティアの名の基に「臓器のひとつ」の血液を半強制的に提供させたり、臓器移植でもある献血という医療行為を学校内で、「授業中に実施」されていることが多い。授業を放棄させて実施するこれらの行為は現場の教師としては許しがたい。
<考え方>
  献血運動の推進に関し積極的に協力し、模範となる実績を示した団体又は個人に対し表彰を行っているのは、献血が個人の自発的意思に基づき、自分の血液を無償で患者のために提供する行為であるためであり、そのような活動に積極的に協力した個人又は団体に対し、表彰等の形で感謝の意を表すことに問題はないと考えます。
 御指摘の「献血回数や、献血量を競わせたり」や、「血液を半強制的に提供させる」の趣旨が明らかではありませんが、例えば、生徒の自発的意思ではなく、専ら他人の意思によって、生徒が献血回数や献血量を競うように駆り立てているという状況があるとしたら、それは献血の趣旨に沿ったものとはいえません。
 なお、学校等を含むいかなる場所で献血が行われるとしても、生徒は自発的意思に基づき、供血を行うこともでき、拒むこともできます。無論、生徒がいかなる判断を下そうとも、その判断によって何らかの不利益を被ることがあってはなりません。

 (5) 若年層の献血への理解を深めるための普及啓発(4件)
(意見5、意見6)
 高校生は、成長発達の途上にありながら、現在の高校生の生活習慣の変化、食生活のかたよりによる体調の崩れや、貧血が男子生徒にまで増加するという健康状況である。こうした状況の基にある高校生に対しては、献血を大切な体を使って教えるのではなく、いつでも、どこででも献血に協力できる体を作る大切さを優先して教えていかなければならない。
 集団献血の廃止を求める。
 高校生に対する集団献血は、強制になりかねないので廃止を求める。
<考え方>
  献血とは「自発的な無償供血」ですから、他人により強制されるものであってはなりません。
 御指摘の「献血を大切な体を使って教える」の趣旨が明らかではありませんが、学校等を含むいかなる場所で献血が行われるとしても、生徒は自発的意思に基づき、供血を行うこともでき、拒むこともできます。無論、生徒がいかなる判断を下そうとも、その判断によって何らかの不利益を被ることがあってはなりません。

(意見7)
 「ボランティア活動である献血について」とあるが、血液は臓器であり、献血は臓器移植にも匹敵する行為であることから、単なるボランティア活動(奉仕活動や体験学習と同レベルで)としてとらえることはできない。もっと次元の高い尊いもので、特別なことである。血液事業を支える献血はそのためにも、安全性の確保に努め、一人一人の善意が生かされる体制を望みます。
<考え方>
  御指摘のとおり、献血は、個人の自発的意思に基づき、自分の血液を無償で患者のために提供する行為であり、そのような活動に積極的に協力した個人又は団体に対しては、第2節の(1)の(2)に示したとおり、表彰等の形で感謝の意を表すこととしています。
 また、御指摘の献血者等の保護については、法第1条に、「目的」として規定されており、同法の規定に基づき、「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律施行規則」(昭和31年厚生省令第22号。以下「省令」という。)において献血者等を保護するための基準が定められています。

(意見8)
 私たちは人々の生命と健康を守る上で重要な意義をもつ献血を、学校教育、 社会教育、家庭教育の中で正しく教えていくことが、大切と考えています。
 若年層に対して献血への理解を深めるための啓発資料の作成は重要と受けとめています。しかし、現在、全国的に見て高校だけでなく中学校・小学校へ献血のパンフレットが配布されている地域では、献血された血液が、血液製剤の原材料に使用されることより輸血で使われることが大きく取り上げられている内容で、献血=輸血のイメージと捉えている子どもたちも多くいます。そのためにも、きちんとした情報の提供が行われることが必要だと思います。啓発資料については、内容と同時に、わかりやすく見やすいものをお願いします。文字数が多いものやページ数が多い資料は、子どもたちは敬遠します。是非検討ください。
 また、手軽に自分の健康が血液検査でわかるということで、献血を進めている状況があります。それを逆手にとり子どもたちの中には、「自分がHIVに感染しているかどうか、献血すると教えてくれるのではないか」と間違った認識を持っている子どももいて、エイズ検査に利用している傾向もあります。血液検査の本来の目的(使用する患者への感染症予防)をしっかり知らせ、献血への理解を深めることが重要と考えます。
 厚生労働省や日赤は高校内での集団献血を啓発啓蒙の一手段として体験学習と捉えられていますが、多くの学校では学校行事として「授業中に実施」されています。血液は臓器のひとつであり、献血は臓器移植でもある医療行為だと考えます。「誰でもできるボランティア」という考えのもとに、学校内で集団で行うことにより半強制的に行われることに対して、現場の教師たちは、強い危機感をもっています。献血する人が献血の意義を十分に理解し、安全に協力できるような啓発活動を進めてください。
<考え方>
  血液製剤には、輸血に用いられるものと、血漿分画製剤とがあり、御指摘の「献血された血液が、血液製剤の原材料に使用されることより輸血で使われることが大きく取り上げられている」との趣旨が必ずしも明らかではありませんが、厚生労働省が作成している啓発資料「献血HOP STEP JUMP」(平成15年版)では、13ページで血液製剤の種類を解説する項を設けています。日本赤十字社の作成している啓発資料「愛のかたち献血」(2003年2月4日版)でも、21ページと22ページで血液製剤の種類について述べております。
 また、厚生労働省は、「献血HOP STEP JUMP」(平成16年版)の作成にあたり、生徒用に内容を絞り込み、分量を抑えたものと、教員用に解説を多く盛り込んだものをそれぞれ作成することとしています。
 次に、感染症の検査を目的とした献血を受け入れないことについては、厚生労働省は、既に様々な機会を捉えて広報に努めているところであり、「献血HOP STEP JUMP」(平成15年版)においても、16ページ、18ページと19ページにおいて血液検査の趣旨を解説する項を設けています。日本赤十字社の「愛のかたち献血」(2003年2月4日版)の27ページにも同様の解説が設けられています。
 このような啓発資料を活用し、献血に関して正しい知識を生徒に普及させることが重要と考えます。
 また、学校における献血の実施につきましては、日本赤十字社は平成3年の社内通達により、教員や生徒の父母を含め、関係者の理解と協力を得て実施するよう、各血液センターに指示していると承知しております。
 なお、厚生労働省は、献血を「自発的な無償供血」とする通知を、平成15年5月に各都道府県に発出しています。また、学校等を含むいかなる場所で献血が行われるとしても、生徒は自発的意思に基づき、供血を行うこともでき、拒むこともできます。無論、生徒がいかなる判断を下そうとも、その判断によって何らかの不利益を被ることがあってはなりません。


(2)献血の推進に際し、配慮すべき事項

 (1) 献血者が安心して献血できる環境の整備(3件)
(意見9)
 学校現場では、採血後のふらつきによる転倒での負傷や、内出血による腫張、疼痛、手指の麻痺等を日赤に報告しているが、学校における事故は皆無とされている。こうしたことには不信感を持つ。
<考え方>
  採血は医療行為であるため、その際に生じた事故に備え、日本赤十字社の血液センターは医師賠償責任保険に加入しており、採血に係る医療事故の発生を申し出た献血者に対し、必要な対応を行っていると聞いております。
 なお、御指摘の「日赤に報告しているが、学校における事故は皆無とされている」の点につきましては、事実関係を日本赤十字社に確認いたします。

(意見10)
 献血者の健康被害の部分について、平成15年度の実施状況では、「採血に伴 い献血者に生じた献血被害の実態に関する情報が不足していることから、16年度は関係者を集めた意見交換会を開催することを検討している。」と記載されていますが、きちんと実態を調査して欲しいと思います。学校内の献血では「採血時の気分不良や貧血」「採血部位の疼痛、腫れ、内出血」「採血腕の指先のしびれ」「前腕部のしびれ」など、これらの中には腫れや痛み、内出血が時間が経っても治らず受診した事例や上腕神経仮性麻痺(採血時に注射針が神経にさわったため)の診断を受け治療した事例もあります。初めての献血で、献血した後の状態が悪く(痛さやつらさ)「もう二度と献血したくない」と話している子どもの声も聞いています。高校生の献血を体験的学習として考えているなら、採血者の技術の向上と安全とゆとりを持って献血できる体制作りを求めます。また、授業中に行われることの多い集団献血では、貧血が献血後の授業中、部活動中、補習中、下校時、帰宅して起こる場合もあり、その時に倒れたはずみで頭部打撲・顔面挫傷・歯牙欠損等のケガをしてしまうこともあります。保健室には、献血した翌日にも吐き気や気分不良、頭痛など体調不良を訴えて多くの生徒がやってくる実態もあり、高校生の人権と健康保障の立場から、高校生の集団献血については廃止してほしい。
<考え方>
  御意見は、採血に伴い献血者に生じた健康被害の救済の在り方に関する検討の参考とさせていただきます。
 なお、採血は医療行為であるため、その際に生じた事故に備え、日本赤十字社の血液センターは医師賠償責任保険に加入しており、採血に係る医療事故の発生を申し出た献血者に対し、必要な対応を行っていると聞いております。
 また、学校等を含むいかなる場所で献血が行われるとしても、生徒は自発的意思に基づき、供血を行うこともでき、拒むこともできます。無論、生徒がいかなる判断を下そうとも、その判断によって何らかの不利益を被ることがあってはなりません。

(意見11)
 安全な採血バックの開発と対策について
 成分献血において、採血バックに接続する塩化ビニール製チューブを血液が往復することにより、フタル酸エステルが献血者の体内に注入・蓄積されている危険性があるとのことです。すでに同種の塩化ビニール製チューブ使用の人工透析患者には、フタル酸エステル注入の事実が調査・報告されているとのこと。善意の献血者や頻回献血者が、知らないうちに静注されている現状を早急に調査・測定し、安全な採血バッグの開発・使用に一日も早く切り替えてください。献血すればするほど注入され、蓄積されたり、知らされもせず採血されてしまっているのは、人命尊重・健康保障からも絶対あってはならないことです。
<考え方>
  ポリ塩化ビニル製の医療用具から溶出する可塑剤(DEHP(フタル酸ジ−2−エチルヘキシル))については、厚生労働省は、平成14年10月に、当該医療用具を製造又は輸入している業者に対し、ポリ塩化ビニル製の医療用具(可塑剤が溶出した場合、患者が曝露される可能性があるもの)に係る添付文書への表示の在り方及びDEHPを溶出しない代替製品の開発等を指示しました。現在、各社において、これらの取組が進められているところと聞いております。

 (7) 採血基準の在り方の検討(3件)
(意見12)
 現行の採血基準の見直しを求める。
 現在の高校生の身長の平均値から見て、採血可能な体重の基準値は、拒食症のため治療中にありながらも採血可能となる。このような状況のため街頭での採血に応じている拒食症の高校生も居る。
 貧血状態や、貧血予備軍として指導中の生徒が、血液の比重のみで判断されて採血されるため、健康体とは言いがたい生徒も採血に応じている。
<考え方>
  採血を行う際には、医師が、個人面接により、所定の問診を行うこととされています。問診票には、最後に食事を行った時刻、体調が良好か否かを申告する欄があり、御指摘のような拒食症や、貧血状態により体調不良である生徒におかれては、その旨を問診票に記入し、又は医師に申し出た場合は採血されることはありません。
 なお、採血の可否は、御指摘の「血液の比重のみで判断」されるのではなく、省令別表第二の規定により、血液の比重、年齢、体重、血圧、血色素量、採血間隔等を勘案して判断されるものであります。

(意見13)
年齢200ml献血も18歳〜
体重男女とも50kg以上 又は男性50kg以上・女性45kg以上
最高血圧100mmhg以上
血液比重等
 男性女性
血液比重1.055以上1.052以上
血色素量14.0g/dl以上12.0g/dl以上

 現行の基準は女性の標準値であって、男性は血液比重1.055以下の貧血者でも採血されてしまっています。献血者の健康はおろか採血された血液も良質のものとはならない。献血者からの健康安全面からも、早急に改善されるべきことです。

 採血できない場合として、「月経中は不可」を明記してください。以前は明記あり。
<考え方>
  御意見は、採血基準の在り方を検討する際の参考とさせていただきます。
 なお、採血を行う際には、医師が、個人面接により、所定の問診を行うこととされています。問診票には、体調が良好か否かを申告する欄があり、御指摘の貧血状態等により体調不良である生徒におかれては、その旨を問診票に記入し、又は医師に申し出た場合は採血されることはありません。

(意見14)
 採血基準については、是非見直しを強く希望します。
 スキャモンの臓器別発育曲線をみても、高校生のからだは成長発達途上にあり、形態や機能の発達・発育には大きな個人差、性差があり、同じ高校生でも著しく違います。
 しかも、体格は大きくなっていても生活習慣の変化や食生活の偏り、ストレスによる体調の崩れから思春期貧血の増加など健康状況はかならずしもよくありません。また、急激な発育・発達や性のめざめなどに対する戸惑いや動揺などによって心身のバランスをくずし、自律神経失調症、過喚起症候群、思春期痩せ症がみられ、このような状況からも、「16歳からの献血年齢基準」には健康の面から明らかに問題があります。
 また、年齢以外でも、献血車では採血する前に貧血検査はなく、血液の比重のみでの検査のため、血液比重が1.052以上であれば採血できることになっています。全教養護教員部で97年3月に実施した「高校生の集団献血」アンケートでは、「健康診断の貧血検査の結果、貧血と判定された生徒も要注意と判定された生徒も、学校での献血で採血されてしまった。」との声もあがっています。血液比重のみの検査では、思春期貧血や貧血予備軍の生徒も採血されてしまう危険性を抱えています。他にも体重が男性45kg、女性40kgとされていますが、身長とのバランスを見ないということは、問題があるのではないでしょうか。諸外国と比べても、一番軽い基準で、諸外国では50kg以上とされています。また、この採血基準は1965年(昭和31年)のものであり、現代の実態にあった基準とはいえません。
 私たちは、16歳からの献血を廃止し、18歳からに引き上げることを求めてきました。現行の採血基準で引き続き行うのであれば、医学的、科学的な根拠を是非示していただきたいと思います。
<考え方>
  御意見は、採血基準の在り方を検討する際の参考とさせていただきます。
 なお、採血を行う際には、医師が、個人面接により、所定の問診を行うこととされています。問診票には、体調が良好か否かを申告する欄があり、御指摘の貧血状態により体調不良である生徒におかれては、その旨を問診票に記入し、又は医師に申し出た場合は採血されることはありません。
 また、採血の可否は、御指摘の「血液の比重のみでの検査」で判断されるのではなく、省令別表第二の規定により、血液の比重、年齢、体重、血圧、血色素量、採血間隔等を勘案して判断されるものであります。
 御指摘の「献血車では採血する前に貧血検査はなく、血液の比重のみの検査」との趣旨が必ずしも明らかではありませんが、「採血の業務の管理及び構造設備に関する基準」(平成15年厚生労働省令第118号)において、移動採血車は採血所の構造設備の一部であることから、採血所と同様に「健康診断を実施するのに必要な設備を有しているとともに、そのために必要な器具を備えていること」との規定が適用されます。したがって、移動採血車において、健康診断に関する検査を省略することはできません。
 また、「一番軽い基準で、諸外国では50kg以上」とのことですが、「血液事業関係資料集平成7年度版」((財)血液製剤調査機構)によると、フランスでは、450ml全血採血について、男女ともに45kg以上を基準としています。また、1994年の「WHO生物学的標準化専門委員会第43報告書」附属文書2においては、「50kg未満の供血者は、その他の条件を満たしていれば、450ml未満の血液を供血することができる。」とされています。


 (8) 検査目的の献血を防止するための対策の検討(4件)
(意見15)
 献血者に対し、血液製剤の安全性を向上させるために、理解を求め、協力を得なければならない場合がある。例えば、血液製剤の安全性を確保し、若しくは遡及調査等に必要な場合、献血者に検査等の協力をお願いするということを盛り込むべきではないか。
<考え方>
  御意見を踏まえ、当該段落を、身分証の提示等、様々な選択肢を視野に入れて、献血の段階から血液製剤の安全性を向上させるための対策を幅広く検討する趣旨の書きぶりに改めました。

(意見16)
 集団献血の廃止を求める。
 一般社会人の献血については、現在のような集団献血の形態での問診票の記入ではなく、医師の個人面接による問診を重視した丁寧な聞き取りをして、血液による感染症被害の防止を図る。
<考え方>
  採血を行う際には、所定の問診を行うこととされています。問診票には、感染症の感染又はその既往歴を申告する欄があり、献血希望者は、これに記入した後、医師の個人面接による問診を受け、採血の可否を判断されることになります。
 このように、御指摘の事項は既に実施されておりますが、その形態を見直し、実効性を高める方策を検討することとしています。

(意見17)
 集団献血の廃止を求める。
 現在のように、HIV等の感染の有無を献血者に報告する形をとるのであれば、なおさら医師による個人面接を重視し、感染症の有無を検査目的として献血を実施しようとする人に対しては、そのための検査の方法や、指導、感染している場合の指導まで実施しなければならない。
<考え方>
  日本赤十字社は、HIVについては、感染の有無を献血者に報告しておりません。
 日本赤十字社は、梅毒、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)について、希望する献血者に対し、感染があった場合にのみ報告を行っています。
 また、ヒト成人T細胞白血病ウイルス(HTLV−1)については、平成11年度から、旧厚生省の指導の下、HTLV−1抗体検査陽性献血者に対する結果通知及び相談事業を実施しており、検査結果の通知を希望し、かつ、抗体陽性が判明した献血者に対し、以後の健康管理及び将来に対する精神的負担の軽減のための相談指導事業を、医療機関をはじめとして赤十字血液センター、保健所、精神保健福祉センター等で実施しています。
 なお、厚生労働省は、HIVについては、検査を目的とした献血は行わないことと、検査には保健所等を活用することを様々な機会を捉えて広報に努めているところです。
 これらの対策を行ってもなお、感染症の検査を目的とした献血によるとみられる感染事例が起きていることから、当該段落を、身分証の提示等、様々な選択肢を視野に入れて、献血の段階から血液製剤の安全性を向上させるための対策を幅広く検討する趣旨の書きぶりに改めました。
 また、検査体制の整備については、昭和63年度からHIV感染者等保健福祉相談事業により、全国の医療機関等を中心として、HIV検査を通じた感染者の発見及びカウンセリングを行う体制を整備しているところです。平成16年度には、東京都に加え、新たに数か所において、休日の検査・相談事業を実施することとしています。

(意見18)
 当町役場においても職員の意識として感染症検査を目的とした献血が多く、これらの人たちの考え方は実際の献血者たちの献血に対する意識を、反映するものとして捕らえるべきであろう。
 特に地方都市において、外国人その他の売春行為を目的とした風俗営業は後を絶たない。
 また先進諸国には見られない10代から30代までのSTD増加は、日本の性教育の問題とそれを買春する大人たちによって惹き起こされてる。
 これはとりもなおさず、日本の検診体制の貧困さゆえに献血時に無償で検診ができるということのメリットの反面が、性感染症を確認する手段として潜在化し危険な血液製剤を生み出すこととなっている。
 これは日赤だけで請け負うべき検査ではない。各自治体市町村が住民の健康管理と感染症の蔓延防止、そして早期治療につなげていくことこそ、真の意味での健康管理であるとかんがえている。
 ただ市町村の場合、町の規模にもよるがすべてが顔見知りで、献血者のプライバシーの保護がむずかしい。公務員や医療職のモラルの問題になるのですが・・・・
<考え方>
  検査体制の整備については、昭和63年度からHIV感染者等保健福祉相談事業により、全国の医療機関等を中心として、HIV検査を通じた感染者の発見及びカウンセリングを行う体制を整備しているところです。平成16年度には、東京都に加え、新たに数か所において、休日の検査・相談事業を実施することとしています。


トップへ
戻る