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うつ対応マニュアル
− 保健医療従事者のために −



平成16年1月


厚生労働省地域におけるうつ対策検討会



マニュアルの使用にあたって

 本マニュアルは、うつ病を予防し、早期発見・早期治療を可能にし、そしてうつ病にかかっている人を長く支えることができる地域の環境をつくり、住民の心の健康の向上をはかることを目的として、保健医療従事者がどのように対応したらよいかを示したたものです。
 本マニュアルは次のような構成になっています。


1. うつ対策における保健医療従事者の役割
 医療機関だけでなく保健医療従事者がうつ対策に取り組む必要性とその意義について説明しました。


2. 予防の観点からうつ対策を考えてみましょう
 地域のうつ対策を予防の観点からまとめてみました。つまり、健康増進と疾病の予防を目的とした一次予防、早期発見、早期治療によって、病気の進行や障害への移行を予防する二次予防、病気によって残った障害を最小限にし、その制約のもとで充実した生き方ができるように支援する三次予防です。
 一次予防では、うつに関する知識の普及、啓発などを中心とした予防活動についてまとめました。
 二次予防では、地域で積極的に活用できる具体的なスクリーニング方法と介入アプローチについて解説しました。

  スクリーニングの実際とその後のフォロー

 三次予防では、相談、訪問活動を通じた個別ケア、うつ病にかかっている人、家族や自殺未遂をした人の家族への支援について、次項に説明しました。


3. 本人をサポートするネットワーク作りに向けて
 地域のうつ対策ではうつ病にかかっている人を支えるための家族や医療機関とのネットワーク作りが重要です。ここでは、そうしたネットワーク作りのポイントをまとめました。
 本人とのかかわり
 家族とのかかわり
 医療機関とのかかわり
 その他の関係者との連携


4. 活動全般に対する注意
 個人のプライバシーや倫理的な問題、他領域との連携など、地域のうつ対策活動をするときの注意点をまとめました。


― コラム・活動事例・資料 編 −

コラム
 電話相談における精神障害者への基本的な対応、グリーフ・ワーク(悲嘆作業)、セカンドオピニオン(主治医以外の専門家の意見)についてまとめました。

活動事例
 各地で行われているユニークなうつ対策の活動事例を保健医療従事者の視点で取り上げました。

資料
 マニュアルを補完するための解説をまとめて掲載しました。
1: うつ病について
2: 二次スクリーニングの際の面接のポイント
3: 対象別にみたうつ対策
4: 本人支援のための具体的アプローチ
5: >スクリーニングの実践例
6: うつ対策の評価例
7: 自殺未遂者への対応(青森県名川町の例)
8: 我が国の1985年以降5年間以上継続された高齢者自殺予防活動の実績

 本マニュアルで重要視しているのは、キュアとケアという考え方です。
 うつ病は個人を強く苦しめるのはもちろんのこと、社会にも大きな影響を及ぼす疾患です。こうした苦しみを早く解決するためには早期発見、早期治療が重要なことは言うまでもありません。これがキュアという考え方です。
 しかし、簡単に治らない場合や再発を繰り返す場合も少なくありません。そうした場合には、長期にわたってその人をケアすることが必要になります。
 このようにうつ病の人を支援していくためには地域医療従事者の方々の援助が何にも増して重要になります。このマニュアルがそうした活動の一助になることを願っております。

:本マニュアルでは抑うつ症状を示している状態全体に対して「うつ」という用語を、そのなかで抑うつ症状が中心になって本人が強い苦痛を感じていたり、日常生活にはっきりとした支障が生じていたりしている状態に対して、医学的治療の対象になるという意味で、「うつ病」という用語を使用しています。また、「抑うつ状態」、「抑うつ症状」などは「うつ状態」、「うつ症状」と呼ばれることもありますが、本マニュアルでは混乱を避けるために前者に統一しました。うつ病についての詳細は、資料1:うつ病について及び資料3:対象別にみたうつ対策を参照してください。


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