審議会議事録  厚生労働省ホームページ

平成15年度第2回伝達性海綿状脳症対策調査会に関する検討結果について

 平成16年1月13日に行われました伝達性海綿状脳症対策調査会において検討された結果、別紙のとおり、とりまとめられました。


照会先
厚生労働省医薬食品局安全対策課
03-5253-1111(内2756,2748)


医薬品等におけるBSE対策(「脊柱骨」の除去)について

薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会
伝達性海綿状脳症対策調査会

1 前提

   平成15年11月14日に食品分野におけるBSE対策として、「脊柱骨」を特定部位とし、BSE発生国産のウシから除去する規制が示され(OIE(世界獣疫事務局)基準の改正に伴う措置)たため、食品の措置に合わせ、「脊柱骨」を「使用してはならない部位」とし、すみやかに施行する方針。


2 医薬品等における影響

 (1)ウシの骨全体の30%が脊柱骨(脊柱以外の骨は危険部位ではない。)。現在の処理技術では他の骨と分離は容易ではなく、脊柱除去は進んでいない。
 (2)脊柱骨除去に関連し、ウシの骨に由来する原材料を使用する又は骨が混入する可能性がある医薬品等原料の範囲は、次のとおり。
(1)ゼラチン: カプセル剤(※)、医薬品成分製造用培養培地(55製剤)、医療機器コーティング剤(1製品)、漢方成分(20製剤)
(2)脂肪酸・グリセリン・脂肪酸誘導体: 錠剤賦型剤等(殆どの錠剤)
 ※医薬用カプセルの使用量は年間150億個。国民一人平均100個。
 ※カプセルの75%が牛骨由来ゼラチン(25%は皮由来)。骨の生産は100%外国に依存。

(3)牛脂: 軟膏等基材等(医薬品10製剤、部外品7製剤)
(4)精製牛骨粉: カルシウム製剤(医薬品10製剤)
(5)骨セラミックス: 骨形成材料(医療用具1製品)
(6)ウシ骨髄脂(医薬部外品 1製剤)
(3)は、肉脂肪組織より製するもののみ日本薬局方等の基準で規定され、また、(4)(5)(6)は、脚骨由来が明確に確認されているため、脊柱骨規制の対象外。


3 医薬品等規制の基本的考え方と考慮すべき点

 (1)OIE基準及び食品分野のBSE規制においては、危険部位の規制は「発生国」が対象。
 (2)一方、我が国の医薬品分野のBSE規制では、「使用してはならない部位」の規制は、「すべての国」が対象。
 医薬品等の原料の原産国は世界的な広がりがあり、特定の貿易相手国以外の国を原産国とする原料でも製品に使用されている。BSE発生国が増えたとしても、その保健衛生上のリスクを最小とすることを目的とした予防的規制。


4 医薬品等規制の具体的対応−経過措置等

 (1)原則によれば、医薬品等の規制では、「使用してはならない部位」規制は、すべての国において適用するべきであるが、供給停止等の医療上のデメリットを回避するため、以下の状況を考慮する必要がある。

外国規制との整合性
 (1)我が国の医薬品等の部位規制の対象国が外国規制より広範囲。
豪州、ニュージーランド等GBR−1国(EU委員会の評価で最低リスク国)の骨原材料に、脊柱骨除去を求めている国はない。
GBR−2国等(EU委員会の評価の低リスク国)でも脊柱骨除去には各国の温度差。

製造
 (2)ゼラチンカプセルの骨原料は100%外国産に依存。(年間150億個)
 (3)豪州、ニュージーランド産の骨原材料がゼラチンカプセル全体の30%
 (4)新規の骨の採取からカプセル製剤の製造まで1年の期間を要する。

安全性
 (5)ゼラチンは製造工程中の酸・アルカリ処理によるプリオン不活化の理論的安全性(必ずしも実証的ではない)が評価。(EUの医薬品規制当局の考え方)
 (6)量的には、カプセル1個は60mg、年間100個でも、6g程度の摂取量。

 (2)速やかに骨原料から、脊柱骨除去を行わせる規制とするが、以下のケースについては、脊柱骨除去についての経過措置等を適用したい。

(1)豪州、ニュージーランド等のGBR−1(EU委員会の評価で最低リスク)産骨原材料について、牛骨由来ゼラチンの脊柱骨除去を当分の間猶予する施行経過措置とする。(欧米ではGBR-1の脊柱骨の使用を禁止していない。)

(2)GBR−2国等(※)を原産国とする牛骨由来ゼラチンは、脊柱骨除去の施行経過措置を1年6ヶ月とする。
GBR−2国(ブラジル、インドの低リスク国)及びその他国で感染牛等関係ない等の証明原料を使用している場合を含む。

(3)脂肪酸・グリセリン・脂肪酸誘導体は、超高温(250℃)又は高アルカリ(12M NaOH)処理がなされており、適用から除外。(ただし、念のため、斃死牛由来原材料の除去、脊柱骨混入リスク削減等の指導を行う。)
工業用牛脂原油から超高温(250℃)又は高アルカリ(12M NaOH)処理がなされており、OIEは原料の国・部位にかかわらず安全との評価。
一方、EU医薬品規制では、工業用原料牛脂は骨等の混入リスクが完全には否定されないため、斃死牛の除去、GBR-IIIを原産国とする場合SRMの除去をすべきという考え方の案を示している。


5 その他

 (1)医薬品等用のゼラチンについては、骨由来と皮由来を区別せずに規制してきた。
 (2)今回骨に対する規制を新たに設けることに伴い、今後のゼラチンの需給の切迫等にも対応し、リスクの観点からOIE、EU、米国においても規制されていない皮由来原材料(ゼラチン・コラーゲン)について、BSE規制の原産国規制の対象から除外したい。

 ※皮をゼラチン・コラーゲンとして使用する場合も酸・アルカリ処理が実施される。食品分野でも皮は規制対象としていない。


トップへ
審議会議事録  厚生労働省ホームページ