03/12/17 第31回労働政策審議会雇用均等分科会議事録            第31回労働政策審議会雇用均等分科会 1 日時:平成15年12月17日(水)16:00〜 2 場所:女性と仕事の未来館第1セミナー室 3 出席者   労側委員:稲垣委員、岡本委員、片岡委員、佐藤(孝)委員、吉宮委員   使側委員:川本委員、吉川委員、前田委員、渡邊委員   公益委員:若菜会長、今田委員、佐藤(博)委員、樋口委員 ○分科会長  ただいまから雇用均等分科会を開催いたします。本日は奥山委員、横溝委員、山崎委 員がご欠席でございます。それでは、議事に入ります。前回の分科会でご議論いただき ました雇用均等分科会報告案について、皆様のご意見を踏まえまして事務局で修正でき る部分は修正したものを資料として用意いただいておりますので、最初にその修正点に ついて説明をお願いいたします。 ○事務局  それでは、前回提出いたしました報告案からの修正点についてご説明させていただき ます。資料12頁の9の部分です。前回、保育の問題について、保育サービスの質の問 題、あるいは延長保育、早朝保育についても言及すべきであるというご意見をいただき ましたので、それについてこの部分に挿入をしております。  なお、早朝保育については、延長保育の中に含まれていますので、文言としては「延 長保育」という言葉のみ挿入しております。具体的には、2頁の下から4行目の部分で すが「保育サービスの質を確保しつつ、延長保育や病後児保育などの多様なニーズに合 わせた保育サービス」という形で加えているものです。前回からの修正点は以上でござ います。 ○分科会長  それでは、議論を始めたいと思います。これまで、2回、この報告案についてご議論 をいただいてまいりました。今日は、これまでの議論を踏まえて、記の全体についてご 議論いただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。論点ごとにご意見を 承りたいと思います。最初に、期間雇用者についてですが、前回の分科会では使側委員 のご説明に対して、ほかの委員の方々からご意見あるいはご質問が出されまして、使側 委員から、再検討してみたい、というお話がありましたので、使側委員からご発言があ りましたらお願いいたします。 ○使側委員  前回、私から出させていただいた案文について、図を提出していろいろご説明させて いただきました。ただ、休業が取得可能となる時期が契約年数によって非常にばらけて いるとか、さまざまな問題があります。実は、いろいろな角度から考えてみたのです が、この有期雇用契約の年数もさまざまあるものですから、スッキリした形がつくれま せんでした。したがいまして、もう一度根本的にいろいろ考えさせていただいて、この 記の1に考え方が示されていますが、過去実績、休業期間、復帰後の雇用継続期間の3 つの組み合わせからなる案文になっているわけですが、この考え方を良しとしたいと思 っております。  ただ、私どもが出した案文では4年プラス更新可能性という考え方を出してきたわけ ですが、その前提となっているのが長期継続雇用がある場合に長期休業が適用になる、 という考え方を持っておりますので、その意味から、私ども、4年プラスその後の更新 可能性という、ある程度の年数の枠組みにこだわりがあります。この案文1の所にある 中では「同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であるものであり」とあり ますが、この1年を2年にしていただければありがたいと思っております。以上、前回 の宿題並びに今回の意見です。 ○分科会長  それでは、期間雇用者についての1からご意見をお願いします。 ○労側委員  1について前回も申し上げているのですが、この法律の目的である「就業継続を図る 」ということをどのように考えるか、ということが今なお明らかではないということだ と思います。私どもは「同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上」というの は、は今の法律の仕組みの適用要件に「1年以上」というのがありますから、これは過 去実績というか、いろいろな言い方があるのでしょうが、これを良しとする。  そういう観点から、これを2年ということだと私どもは同意しかねるというか、2年 というのはどういう根拠で出されているのか。それを2年とした場合に、労使協定で除 外できるのも、今は1年になっていますけれども、それが2年になっていくのか。そう いうことにも連動しかねない考え方になっていきますので、ここは、私どもは1年はオ ーケーなのですが、2年は反対です。  加えて「子が1歳に達する日を超えて雇用が継続することが見込まれるもの」と。そ の見込まれるものは誰が判断していくのかということについて、前回は、今回の労働基 準法の改正に伴う告示が一つの判断要素になっていまして、契約更新にあたっては使用 者が次回更新の有無を明示するということになるので、その契約更新の有無が一つの根 拠になって、労働者が申し出た時点でそれを基にして確認して、申立てでもう一度確認 をして、そこで見込まれるというものに判断をするということだったと思います。この 場合、申し出た時点で、休業を申し出るのならば契約更新時に次回更新は約束したけれ どもなしにする、と。それは、多分、不利益取扱いに入るから問題はない、と事務局は 言うのだと思うのですが、そこは契約更新時で見る問題なのであって、そこの判断で使 用者側はきちんとすべきだということです。  加えて、法律上の性格からすると、労働基準法は罰則がついているけれども、告示そ のものはそれが及ばないのだと思うのです。だから、更新の有無を明示しない使用者の 場合、そういう契約の場合、どのように判断をするのか。私どもとしては、契約更新の 有無を明示していない場合については全部契約更新ありと判断をして対応すべきだとい うことで、この「子が1歳に達する日を超えて雇用が継続することが見込まれるもの」 というのはそういう点で不明確というか、いま言った観点で問題を整理してほしい。  加えて、括弧の中の「子が1歳に達した日から1年を経過する日まで雇用関係が終了 することが申出時に明らかである者」というのは、前回の議論まででは、公益の皆さん からは、1歳に達した日から1年経過する日までというのは今度特別に延長する1歳6 カ月があるからではないか、というご意見、もう一つは、仮に休業明けに1カ月しかな くてもいいというふうにしても、これは一つの政策判断だと。そういう2つの考え方が 示されたのですが、括弧の中の所は、2歳までにするという根拠が今なお不明確である し、事務局が示された例のDの所も、この例だと5カ月、休業後残っているので、これ も休業継続と言うのではないかということで判断の素材にして、そういう意味からもこ の括弧はなくてもいいではないかと思っています。この休業後の何カ月から就業継続と 言うかというのは、ただ、運用の中で、判断をすればいい話であって、法律上、ここに 書くことはないのではないかという意味で私どもは考えています。就業継続は何をもっ て就業継続を図るというふうになるのか、少ししつこいようですけれども、その整理が まだこの場でできていないのではないかと思います。  使側委員の、2年に修正してほしい、ということなのですが、前回出された事務局案 のままでオーケーということは、使側委員のお考えでは更新ありというのが全部要件に なっていましたが、それもなしということですか。 ○使側委員  ということが、この事務局の案で矢印が出ていますが、要するに、これは、休業から 復帰して、子が1歳になる日から1年を経過する日までということで、絵の上では2歳 になっています。だから、ある場合には「更新の可能性があり」の枠に入りますし、あ る場合は「雇い止め」でも入っていることもあるということです。要するに、この考え 方は、子が1歳の後の継続雇用がなければならないと。事務局案の1年という考え方、 要するに2歳ということですけれども、これについては私どもとしては理解をしたとい うことです。  もともと、休業をとった後の継続雇用を前提とした休業制度だということなのです が、実は、実務上その更新の可能性有無が、例のCでは先の先なので非常に難しいなと いうことで意見を申し上げてきたのですが、先般、公益委員からも、継続雇用が後ろに ないとまずいのではないか、というお話がありました。分科会長からは、前の適用可能 となる時期がばらつくと。これも、いろいろなパターンを考えたのですが、きれいにそ ろわないということです。そういう中で、この事務局の案の考え方を理解した上で、そ うは言っても、この枠組みだと3年プラスその後という約4年ぐらいの枠組みなのです が、私が言っていたのは4年プラス更新の可能性ありですから、約5年ぐらいの枠組み は必要かと思っております。ただ、後ろにそれを付けると、先の先の契約とか、わから なくなってまいります。したがいまして、過去実績の1年を2年という形にしていただ けないだろうか、というのが私どもの意見です。 ○分科会長  この期間雇用者について、ほかにご意見がありますか。 ○公益委員  労側委員から質問が出た、契約更新の可能性について触れていない場合の扱いはどの ようにするのですか。 ○事務局  前回もお答えしたかもしれませんが、これはさまざまなケースが考えられると思いま すので、そういったケースについて具体的な運用をどうするのか、ということを指針あ るいは通達でお示しする必要があるだろうと思います。ただ、基本的な考え方として は、育児休業を申し出た時点で判断をするということです。いちばん典型的なケース は、先ほど労側委員からご指摘がありましたように、契約を締結した時点で更新の有無 が明示されていれば、申出の時点でも事情変更がなければ、それがそのまま要件として 生きてくる、という形になるだろうと思います。  ただ、一方で、場合によっては申出の時点で、契約の締結の時点で、更新の可能性の 有無が明示されていないケースが当然あるだろうと思います。そういう場合について は、当然、申出の時点で更新の可能性があるかないかということを事業主の方に確認し ていただいて明示をしていただく、ということになるだろうと思います。  また、そもそも、自動更新のような形で最初に雇い入れをした時点から、双方特段の 理由がなければ自動的に更新をしていくことがわかっている場合もあると思います。ま た、更新の契約をした時点では、次の更新の可能性があります、ということで明示をし ていたけれども、申出の時点において、例えば企業業績の悪化等によってできないケー スも一方であると思います。  そういうさまざまな状況がありますので、それを含めて、申出の時点で的確に判断で きるような形で、具体的な指針等々で示していきたいと考えております。なお、いずれ にしても、これは繰り返しになりますが、労側委員からご指摘がありましたように「育 児休業をとります」と申し出たので「それでは雇い止めだ」ということであれば、当 然、これは不利益取扱いに該当するのだろうと考えております。 ○労側委員  例えば、派遣労働の労働相談の事例などを見ると、法律上あってはならない、派遣労 働者が妊娠、出産をしたことで、派遣先から派遣元へ「この労働者を替えてくれないか 」と言って解雇された例もあって、トラブルが起きて我々が相談、対応しているので す。今の我々の検討は、妊娠、出産の産前産後休暇は考慮しないでやっています。そう いうことからすると、女性の場合は産前産後休業をとってから育児休業の申出をするこ とになると思うのですが、申出時点で更新有無が契約に明示されていなかった場合に、 私は更新されるのですか、というのは労働者が確認をすることになるのですか。申出時 点で、使用者側、事業主側が「今度の改正でこうなったから」ということで、この前提 で言うのですか。どうなのですか。 ○事務局  いずれにしても、そこは、本来は、例えば契約を更新した時点あるいはそれ以前に、 更新の可能性があるか、自動的に更新しますよ、ということが決まっているのが理想的 な姿です。一方で、育児休業の申出がなければこの問題に白黒をつける必要性はないわ けですから、かつ、育児休業をとるかとらないかは労働者の選択になりますから、育児 休業をとらずに産前産後休業をとって再び働くことも当然ながら考えられます。ですか ら、そういうケースであるならば、育児休業を申出していただかないと、逆に、使用者 の側からは更新の可能性があるかなしかという判断をする行為に出ないケースになるの だろうと思います。そこは、本来であれば、理想的には最初にやっておいていただく。 そういうことは、いろいろな形で制度のPRはしなければいけないと思いますが、可能 性の問題としては、労働者の側が育児休業をとると申し出た時点において使用者の側で 判断をする、という形が出てくるだろうということです。 ○公益委員  確認ですが、更新の可能性があるということで過ぎてきて、申出る。今の枠組みで は、その時点で何もなければ次に更新されるけれども、事業の側の諸事情があった場合 には、次の更新は駄目ですよ、と言える状況なわけですよね。そのときに、諸事情で駄 目ですよ、ということについて労働基準法の枠組みはあるのですが、この育児休業法で も枠組みをはっきりさせておかないと、更新可のケースですら、新たに育児休業をとる かとらないかのときにそういう不明確な状況が起こり得るのではないでしょうか。  だから、更新については確認をする、というルールを労使の間できちっとつくってい くことも非常に重要なのですが、ない場合ももちろんですが、ある場合でももう少し明 確な基準なりをつくっておかないと、労側委員がおっしゃったみたいに、更新が可かど うかは客観的な状況で使用者側が判断することになるわけですよね。その辺は、事務局 としてはどうですか。 ○事務局  ご指摘のような問題は、現状でも、期間の定めのない雇用者の不利益取扱いの問題で も現実の問題として雇用均等室にいろいろとご相談が寄せられています。育児休業をと ると申し出たことによって解雇をされたと。それも、例えば、会社の業績不振によるも のなのか、その方が育児休業をとると申し出たことによるものなのか、というトラブル はあります。それと同じような形で、雇止めをするということで、期間雇用者の方に育 児休業を適用する場合について同じような問題が発生することは確かだろうと思いま す。  ですから、その場合も、例えば雇用均等室にご相談が寄せられたということであるな らば、そういった客観的な状況をお聞きして、それが育児休業を申し出たことによるも のなのか、あるいは、会社の業績不振で、例えばそれ以外の期間雇用者の方も含めて、 皆さん雇止めになったものであるのか。そういうところは判断をしなければならないと 思います。  また、その前提として、今回の労働基準法の改正に伴う指針でも、雇止めの基準を明 確にしておくように、ということも盛り込まれています。ですから、そういったものが 基準として明示されていれば、少なくとも、こういう場合については雇止めがありま す、というところは明示されますので、そういう部分も含めて、期間雇用者の方の労務 管理について明確にしていただければと考えております。 ○労側委員  締結時に契約更新がないというときはないということがはっきりしているけれども、 なし以外はあると見なすべきでは。ところが、そういう場合でも、会社の業績が悪化し たことに伴って、期間労働者だけではなくて他の労働者も影響を受けますよ、という場 合はそういう理由で正当性を持つかもしれませんが、私は、基本的には、なし以外は、 申出時点であると対応すべきだと思います。告示がどれだけ遵守されるかというのは、 守ってほしいですけれども、必ずしも全部が守られるということにはならないので、法 律上に書かざるを得ないのか、書いた上での運用でとなるのか。その申し出で時点にお ける判断というか、見込まれるものについての判断を、例えばここに書いてある「締結 時に契約更新の有無の明示がないものについては更新があるものとして判断をする」と か。 ○事務局  そこは、法律の条文の話をすれば、ここに書いてあるような形で「1歳に達する日を 超えて雇用が継続することが見込まれる」ということになるのだろうと思いますが、そ れの解釈をどう考えるのかということになると思います。ただ、そこは、1歳に達する 日を超えて雇用が継続すると見込まれるということは、少なくとも、事前に更新の可能 性がわかっておられることも確かですし、そこは、そうではないものはすべて○という ことではなくて、申出の時点があるわけですから、そこでご判断いただけるものはご判 断いただくという考え方ではないかと思っております。そこは、当然、いろいろとご意 見のあるところだと思いますが。 ○公益委員  今のお話ですが、記の1の括弧の中で、子が1歳に達する日から1年を経過する日ま でに雇用関係が終了することが申出時点において明らかであるものと。だから、ここで 明らかにしなければ、これは全部オーケーということですよね。明らかにするかどうか は雇用主側の責任である、というように判断してよろしいわけですか。そこで明らかに されなければ自動的にそれは発生する、そういう考え方だ、という解釈でよろしいです か。 ○事務局  ですから、逆に、括弧内については、公益委員からご指摘がありましたように、申出 の時点で、1歳から1年を経過した時点において雇用関係が終了することが、例えば参 考資料の例にあったとおり、3年契約で更新の可能性はありません、とか、1年契約で 更新は2回までです、と最初から明示されているケースは申出の時点ではっきりしてい ますので、そういった場合については除外をするということです。 ○公益委員  それ以外はオーケーと。背反事象で考えるとそういうことですね。 ○事務局  はい。 ○労側委員  括弧の中の、1歳に達した日から1年を経過する日までと、その1年を政策判断と おっしゃっているのですけれども。 ○公益委員  労側委員の議論は、1年が問題なのか、こういう記述の仕方では非常に不明確でトラ ブルが起こることを心配しているのか。どちらなのですか。 ○労側委員  1年です。1歳を超えて1年というのは何でなのですか、と聞いているわけです。過 去実績は1年、休業期間は1年、そういうものがあって、そのバランスを考えたら1年 になるでしょうということです。前回は、公益委員から、6カ月間延長することもある のだから1歳か1年かというのは一緒ではないかということも言われたし、公益委員か らは、就業継続の観点をどう考えるかによっての政策判断だという話がありました。  私どもは、事務局のDの例も認めていいではないかと。これは3年契約の場合なので すが、法律ですから、マキシマム休業をとる前提で法律をつくらなければまずいという ことなのですが、それでも、ここに5カ月があるわけですから。ただし、1歳後にあと 3日しかないとか、あと20日しかないとか、この線引があるでしょうという話もさせて もらったのですが、就業継続だから、1つの契約が終わったらもう一つの契約まで担保 されなければ就業継続と言わないのだ、というふうな考え方に立つのか立たないのか。 就業継続とは何かということのコンセンサスが得られていない、それぞれ違うのではな いか。  例えば、有期契約労働者は休業を満期までとるのは少ないと思うのです。仕事と調整 しながら、働き続けたいということもあるでしょうから、1カ月とる方もいらっしゃる し2カ月とる方もいらっしゃる。この場合は5カ月ありますけれども、7カ月残るかも しれない。そういう意味で、例えば、休業後1カ月あるものについては適用するとか、 そういうものもあっていいのではないか。  そういう意味では、この括弧の中は、2歳になるまでに雇止めされるかされないかが ポイントだよ、というのは就業継続を図ることにはならないのではないですかという提 起をしているのです。どうなのでしょうか。法律は1歳だけれども、実際は女性の場合 であっても1歳までとることはそんなに多くないと思うのです。2カ月とか3カ月と か、そういう形でとる方も多いと思うのです。そこは、見通しは私では判断できません けれども、そういうものに対応できるような制度にすべきではないかと思っているので す。 ○労側委員  1についての意見は、労側委員がお話している内容と全く同じですので、重ねてとい うことになりますが、この話をいろいろ展開していくと、有期契約労働者は雇用の安定 という考え方に立ったときに現実は非常に不安定な状況におかれている、その全体をき ちっと議論していく。そのことを抜きには、ここだけということにはならないというよ うに感じます。ただ、ここでは、有期契約労働者が今後増えていくこと、あるいは労基 法の改正などもあって、適用という判断に立って議論をしているので、この1について は、もう少し要件を考える必要があると思います。  有期契約で働く人は、できれば長く働きたいが、経営者の裁量で続けられる場合もあ る、続けられない場合もある、という不安を抱えながら、そうされないように、とにか く仕事を精一杯やろうという、そういう状況で働いている方が多いです。中には、これ はあってはならないと思いますが、契約更新のときに、そういうタイミングで労働条件 を変えられることに甘んじざるを得ない。それでも続けられることが重要な場合には、 労働条件が下がる契約更新をする実態もあると聞いています。  そういうことを考えると、私としては、休業を認めることでさらに不安を重ねるよう な要件は全く納得がいかない。そういう点では、前回の意見と同じで、私は、同一事業 主に引き続き雇用された期間が1年以上というのは、一つの過去実績としてやむを得な いとしても、1年以上あるもので雇用が継続されることが見込まれる、というものを適 用対象にする。その雇用が継続されることが見込まれるというのは、先ほどから労側委 員がおっしゃっているように、更新がないことが明らかではない以上見込まれるものと 考えて適用とする。これがいちばんわかりやすいと思いますし、実態に即したやり方だ と思います。ですから、括弧の内容については、とりわけ、これを付ける必要はない。 外していただきたいと思います。 ○労側委員  同じ考え方なのですが、若干、矛盾があると思うのは、1年6カ月取得した場合には 6カ月間経過すればいいし、1年間とった人は1年間、6カ月間とった人は1年6カ月 の経過がなければ駄目だということですね。そうすると、取得の期間によって、長くと ったほうが経過は短いということになるのではないかと思うのです。 ○事務局  これは、考え方としては申出の時点からの期間で判断しているので、取った期間に よって有利不利が出てくるものではないと考えております。 ○労側委員  でも、1歳に達する日から1年ですよね。そうなると違うのではないですか。 ○事務局  ですから、何カ月取ろうとも、申出での時点でお子さんが生まれる時がはっきりして いますので。いずれにしても、申出の時点で判断をしなければなりませんから、仮にそ の方が何カ月休業をとろうとも、そこで有利不利になることはないと思っております。 ○労側委員  でも、1歳6カ月の場合には違いますよね。 ○事務局  1歳6カ月ならば6カ月プラスアルファで休業を取ると仮定したらということです が、その部分については、基本的には、1歳時点になった時点で特別な事情で認められ るかどうかという判断ですので、この場で同一に論ずることはできないと思います。い ずれにしても、申出の時点でどうかという判断ですので、プラスアルファで6カ月を仮 にこういうような形で取るかどうかについてはその時点ではまだわかりませんので、申 出の時点では判断の対象には入ってきません。 ○労側委員  この文章と違うということですね。 ○事務局  これは、何度もご説明申し上げていますとおり、申出での時点での、1歳時点あるい はその1年後の時点においてどうか、という判断です。その時点においては、今回こう いう形でお認めいただければということですが、1歳時点で特別な事情がある場合につ いて延長できるかどうかということはその時にはまだ全くわかりませんので、それは全 く対象外となります。  もう1点、データ的なことだけ申し上げたいと思うのですが、実際は取る期間は短い のではないかというご意見もありましたけれども、これは期間の定めがない労働者で女 性の方だけですけれども、分科会で資料を提出しておりますとおり、いちばんとる人が 多い期間は、10カ月から11カ月で、4割です。6カ月から10カ月の方が約3割弱です。 この休業期間は調査の度ごとに延びています。その10カ月というのも、産後の8週間休 業をとれば、フルに1歳まで取れば、10カ月になりますので、かなりの方が1歳あるい は1歳近くまで休業を取っているという実態になっていると思います。  ですから、これも度々申し上げているとおり、この育児休業は、1歳まで取れること を前提に、実際上はともかくとして、権利をつくっておりますので、そういった意味で も、要件としては、実際に何カ月取るかは別にして1歳時点あるいはその1年後という 形で考えたいということでお示しをしているものです。 ○分科会長  それでは、この1の期間雇用者について特段なければ、次の論点に移りたいと思いま す。2の6カ月延長の問題について、ご意見がありましたらどうぞ。 ○労側委員  私ども、前から年度末になると言っていますけれども。 ○分科会長  それはそれで伺っておりますから、それ以外になければ3にまいります。3の要介護 状態ごとに1回という、この点について。 ○労側委員  通算3カ月というのは、事務局も公益の皆さんもそうでしょうけれども、長期の介護 方針を決めることで3カ月が期間として定められている、とおっしゃっているわけで す。そうすると、その要介護状態というのは、ある要介護状態で1回しか取れないもの を要介護状態ごとに取れるようにしましょうというときに、それぞれの要介護状態のと きに介護方針を決めるわけでしょう。それが3カ月必要だと言ってきたのに、通算3カ 月だというのは論理矛盾ではないですかと。私どもは、要介護状態1回ごとに3カ月と すべきではないかと言ってきたのですが、事業主側の負担等も考えてという判断もあっ たと聞いていますが、その通算を持ってきた意味が理屈の世界でどのように整理したら いいのかわからないですね。負担を軽減したいということだけだと。論理的にはわかっ ているけれども、矛盾をするけれども、ということで理解していいのですか。 ○事務局  論理的に矛盾をすると申し上げたことはないと思います。基本的に、3カ月必要であ るということは考え方として変更するものではない、というようには申し上げておりま すが、実態として、これも既に申し上げていると思いますが、実際に今の介護休業の取 得状況、利用状況を見ても、1カ月未満の方がほぼ2割いらっしゃいます。また、統計 的には、1カ月半、2カ月という方も相当数いらっしゃると思います。  ところが、今の仕組みは、たとえ1週間でも2週間でも、同一の対象家族に1回取得 してしまうと、2回目、3回目が取れなくなります。そういう意味では、やや融通のき かない制度だと思います。そういう中で、3カ月という原則はもちろん変えませんけれ ども、育児休業で、例えば特別な事情がある場合について少し延長できるのと同じよう な考え方で、もう少し弾力的な仕組みにできないだろうかと。  これは、いまご指摘がありましたとおり、事業主の負担という問題も一方で考えつ つ、3カ月の枠の中でもう少し使いやすい制度としてできないだろうか、3カ月の範囲 内で再度要介護状態になった場合に使うことができないだろうか、という考え方で、こ ういったことでどうだろうか、とお示しをしたものでございます。 ○労側委員  確かに、使いやすくはなるだろうと思うのですが、いまお話しになったように、もう 少しの改善だな、とつくづく思います。今の認定の期間とか、さまざまなことを考えま すと、通算3カ月であれば2回まではもしかしたら適用できるという程度だと思うので す。もちろん、これは最低条件ということだと理解していますが、いかんせん、今はど ちらかというと育児のほうがいろいろと取り沙汰されていますけれども、もともと、介 護休業の見直しが時期的な課題としてもあって、介護の対象者の方は非常に多い。企業 の中でも、対象の方たちは、年齢層も含めて男女問わずたくさんいらっしゃると思うの ですが、3カ月はあまりにも短すぎる、ということを強く申し上げておきたいと思いま す。 ○労側委員  それから、保育の場合、特別な事情の場合ということで6カ月なのですが、私も、介 護については介護保険がかなり充実してきているという意味では理解をしていますが、 最低基準であれ、そういう例外的な取扱いがあってもいいのではないか。当然、同じ仕 組みで、介護サービスが受けられない場合については事情があれば延長できる、という ものは仕組みとして設けてもらいたいと言ったのですが、それも無理だと。 ○事務局  これも、介護保険のシステムとして保育の場合とシステムが違いまして、介護保険に ついては、介護サービスはさまざまな形で例えば施設の入所についても同時に多数の施 設に申込みができる。あるいは、施設に入れない場合であっても、在宅というサービス があれば特に待機ということではなく受けられる現状にあることもご説明申し上げまし た。  また、現実の問題として、最低基準としてどういうニーズがあるのだろうかと。これ も、育児休業であれば、育児休業給付の受給者数でみても10万人の方が利用されていま す。介護休業については、介護のニーズが非常にあるといっても年間で5,000人未満の 方の利用です。私どもとしては、いまご提示しているような形で、もう少し使いやすい 仕組みとして現行の介護休業の利用者を増やしていくことが必要であろうと考えていま す。そういう中で、またいろいろなニーズが出てきた場合については、当然、引き続き 制度の見直しを考えていくべきものであろうと考えております。 ○労側委員  ここは、要介護状態ごとに、と認めることを具体的にし、かつ、その1回ごとも3カ 月と認めていく。そういう内容にしてほしいと思います。もちろん、介護休業ができ て、その後、介護保険の仕組みができましたし、介護というのは働く人にとってもさま ざまに深刻な問題がある。連合も、そういう実態調査なども出されていて、できるなら ばきちんとした体制で安心して働きながら、ということがいちばん望ましいと思ってい ます。  ただ、一方で、育児休業を認めて、その後、介護休業というように法律が両方の休業 を認めてきたそのものは、労働者が選択をする中では休業もできる、ということを権利 として認めてきた。そういう延長で考えれば、労働者がこの介護を理由に休業する期間 として、要介護状態ごとに通算3カ月というのは、先ほど労側委員もおっしゃいました し、公益委員からも2回ぐらいおっしゃったわけですが、それは、今の仕組み以上にす ごく制約をつけることになりかねないと。かえって、見極める時期を逃してしまう状況 に追い込むことにもなろうと思います。ですから、休業の権利として認める。それが要 介護状態ごとであるならば、最低限、現行の枠組みである3カ月を1回の期間の単位に すべきだと思います。そこは、ぜひそうしていただきたいし、そうすべきだと思いま す。 ○公益委員  今のご発言で、現行よりも制約が厳しくなるというのは理解しかねるところなのです が、回数が増えた分だけ、取りやすくなることはあっても、取りにくくなるというのは どういう場合を想定しているのか想像できない。もう1点は、今までは1回だったから 3カ月ということできたのだろうと思いますが、今度、何回かに分けてということに なったときに、これは日割というか、日数でいくということなのでしょうか。そうする と、90日という考え方で、休日を含まないウイークデーという考え方でいいのですか。 今までの3カ月は月でいっていましたから、土・日曜も含んで何日から何日までという ことだったと思うのですが、今度の場合は運用上の話としてそこのところがポイントに なってくるのかなと。それはどう処理するのか。 ○事務局  ご指摘のとおりでして、今までは1回だから3カ月と言えばよかったわけですが、2 回目、3回目がありますので日割の問題が出てまいります。したがって、これは、純粋 に、法律の条文をどう書くかということなのですが、何日という形で、1回目に何日分 取ったので2回目は何日という形になるだろうと思います。ただ、そこが単純に90日な のかどうかというところについて言えば、今までの形が不利にならないような形でやら なければいけないと思います。ですから、単純に90日ということだと何日か損するよ ね、ということになると思いますので、その辺りは十分に検討しなければならないと思 っています。 ○労側委員  もちろん、今の休業の枠組みで連続して3カ月までということ自体も非常に制約があ る仕組みだと思っています。その上で、今回、要介護状態ごとに認めていくという前提 に立ったとき、仮に、初めに何カ月かかって2度目に何カ月かかるかというのは、先の ことを見通して使うということにはできにくいだろうと思うのです。そういう意味で、 通算3カ月が決まっていることは、初めにその状態になったときに対処する期間が2カ 月だと次は1カ月しかないという期間限定になる。そうすると、先ほどの日単位なのか 月単位なのかということで言えば、その先にまたあったときに全然使えなくなることを あらかじめ組み込んだ形になるのではないか。そういう意味では、それ自体がすごく制 約的だと思う。 ○公益委員  おっしゃることはわかりますが、今までは1回取ってしまったらもう取れなかったわ けです。その部分は、私は、逆に今との比較で申し上げているわけで、全く自由になる ということではなくて、今よりも制約が厳しくなることはないのではないかと思ってい るのです。 ○労側委員  私は、この仕組みではそう感じるので、いま説明した内容で申し上げましたけれど も。 ○使側委員  そんな制約があるなどというより、こういう3カ月という制度は始まって3年しか経 っていないわけでしょう。さらに、介護保険の制度そのものを本当に理解しているので すか。自分たちが要介護状態になって、家族が長期方針を決めるまでにいろいろな用意 が必要という前提の休暇としては、例えばケアマネージャーを使うこともできますし、 私は実際にそういう施設を経営していますが、そんなに制約があるようなことは絶対に ないです。それは、労働者という立場で権利を守ることを言うけれども、介護保険制度 を利用している方で極端な例ばかりではないですか。これでこういうように何回も取れ ることになれば、制約は相当緩やかになってきます。  もっと、ケアマネージャーがどういうことができるのか。先ほどこちらで説明したよ うに、施設だけではなくて、訪問介護とか、いろいろなメニューがたくさんあるので す。だから、そんなに家族がやらなくても十分に介護できます。そういう経験ではなく て、理論だけでお話をしているような感じがします。先ほどの例だと、介護休業を利用 している人は非常に少ないではないですか。 ○労側委員  私は、介護保険の現状を完全に把握しているわけではありませんので、むしろ、ばら つきがある状況を聞くことはあってもその体制を事細かに把握をして申し上げているわ けではないので、別に、そう否定的に言っているわけではないです。 ○使側委員  制約は一層緩やかになるのではないですか。3カ月で何回も取れるのだから。 ○労側委員  いいえ、これは通算3カ月となっていますから。 ○使側委員  もちろんそうです。3カ月を基準にしてね。この介護休業の目的は、長期的な方針を 決めるまでのいろいろな段取りのための手間のためで、介護そのものは介護保険でいろ いろできるわけですから。家族としてはこれで十分だと思いますよ。 ○公益委員  介護に関していろいろご意見を伺いましたけれども、実際のニーズをしっかり押さえ る必要があると思うのです。実は、この介護のニーズは必ずしも現実ではつかめていな いところがあるわけです。 ○使側委員  理論だけで話している。 ○公益委員  データでも、母集団がどうなのか、ただ取得をした人数からしか窺い知れないのです が、そのデータで見る限り、育児休業などに比べて、休業がそれほど使われていないと いう現状もあるわけです。実際にもっとニーズがあるのか、制度が使いにくいから使わ れないのか。実際にそういう介護休業のニーズがそれほど大きいわけではないのか。そ の辺りは、これからもきちっと押さえていかなければいけないです。  でも、現状で考えた場合に、もっと使いやすい介護休業の制度にしたほうがいいので はないかというのは大方のコンセンサスだと思うのです。それでこの案が出てきたと思 います。そういうときに、その中でいちばん使いやすいというのは、何回も言っている ように、今の制度の改革案として、もっといろいろな面で改革するところがあるかもし れないですけれども、複数回を取得することで案として合理性を持っているのだろうと 思う。  そのときに、育児休業は労働者の権利ですけれども、働いている人自身のキャリアと いうか仕事というか、それは働く人の法律をつくるという観点からは重要だということ があるので、この制度の制度設計においては、介護を100%やりたいという必要性と働 いている本人の仕事のバランスというところを考えなければいけない。  そういうことから言うと、折角、介護保険という、仕事をしながら介護をする制度が できたのですから、それを前提に置いた上で、休業をどう設計したらいいか。その次元 になって考えた場合には、現状では「複数回」というのがいちばん合理的な案として考 えられるのではないか。これを「要介護ごとに3カ月」といったら、人によっては何カ 月も取ることにもなりかねないわけです。  「何カ月かしたら戻ってまた3カ月」ということだって最大限あり得る制度設計は、 最低限の労働条件の基準を決める意味からもまずいです。働いている人にとって、そう いう制度設計が本当のニーズとしてあるのか。そういう観点からも、この事務局の案が 現状においては合理的だと私は判断します。 ○労側委員  介護休業のところですけれども、いろいろな状況があって、例えば今はまだ非常に利 用者が少ないとか、そういうことを言われているのですが、これからだと思うのです。 私たち団塊の世代がこれから親の介護をやらなければならない時代に入ってくる。確か に、私どもで調査をすると、育児休業に比べれば、介護休業を利用している人は全体的 にいえば少ないのですが、これから増えるということ。  それと、介護の場合ですと、特別な事情がいろいろあって、一概に、介護保険ができ たからうまくいくだろう、というようには言えなくて、そのサービスが利用できるかど うかというのは地域によっても格差がある。地域の風土によってもあるという、実際に 介護サービスをやっている人からもそういう話を聞きます。あと、それぞれの介護を受 ける人の状態も、認定の度合がいくつかの段階であると思うのですが、要介護で、その 程度が高くて、病院や施設に優先的に入れる人もいますが、ちょうどさかいめのところ で入れない。何カ月も待たなければならない、という状況もあると聞いております。  実際、例えば痴呆症というか、その状態はいろいろあると思うのです。火は使えない けれども、あとは自分のことが大体できるとか、そういう状態のときに放っておけるか と。もちろん、介護サービスは来てくれるのですが、それは週に何回かという形にな る。そういうときに、全く公的な所にお願いして「大丈夫」とは言えないので、特別な 事情がある場合は育児の場合と同じように延長できる制度を取り入れていただきたいと 思います。 ○分科会長  今の点も含めて、ほかにご意見ありますか。 ○使側委員  今までの国の政策の中で、介護に対しては相当の費用をかけてきていらっしゃいまし て、多分、子育てに関する費用の3倍ぐらいかけてきていると思います。実際問題とし て、それで本当に助かっている、という声をたくさん聞きます。使側委員がおっしゃっ たように、今はいろいろな形で介護にかかわってくださいますので、私は、利用者が少 ないのはそれだけ介護に対して幅広い対応をしてきた結果だと思っております。  それと、会社、労使、目的は同じ方向を向いているわけですから、ある意味で枝葉末 節なことであまりガタガタ言うことに対してはあまり賛成できませんし、私は、妥当な 線として、通算して3カ月ということは、今まで1回であったものを分けて取れるとい うことは、大分緩和されていることだと思いますので、これを支持したいと考えます。 ○公益委員  介護休業について、もちろん、何回も取れて期間が長ければいいというのは、それは そうかもしれないということで、そのほうがカバー率が高くなると思うのですが、これ までの育児と同じように、労働者自身が努力をすることと、企業が従業員の介護をサポ ートすることと、社会的にどうするかということ。この分担だと思うのです。確かに、 介護保険で相当よくなったわけですが、個別にいろいろあるのは事実だと思いますけれ ども、だからといってそれを全部企業に「介護休業期間を延ばせ」と言うのはいかがな ものか。私は、全体のバランスからすると今回の提案が合理的かな、と思っています。  それで、これは具体的な調査データの名前は忘れてしまったのですが、今までは取る 人が少ないからということがあったのですが、最初は有休で取っているのです。有休が なくなると介護休業なのです。有休で取っているのは、一つは、今までは1回しか取れ ないということもあって、有休でやることもあったわけです。ですから、複数回取れる ことになると、有休を最初に使ってということではなくて介護休業を取る。逆に言え ば、有休である程度カバーできているから介護休業は取らないでやれている場合があっ たわけですから、そういう意味では、複数回ということによって使い勝手もよくなり、 かつ利用者が増えてくるのではないか。それを踏まえた上で、この3カ月を次に考え る。まずは、現行の1人1回ということの中で、そのために取れない人たちが最初は有 休で取っていたという、そういうところを改善していくのは非常に大きな一歩かなと思 っています。 ○公益委員  今回、育児休業法及びこの介護休業について議論をしている過程で、それぞれ法律の 目的がどこにあったのか忘れられてきているのかな、という感じがするのです。介護休 業については、介護ができることが目的ではなくて、ここに書いてあるとおりに「介護 に関する長期的方針を決めるまで」となっているわけです。ですから、介護をしながら 働くことが望ましいのですが、法律の趣旨を考えて、その上での議論をしていかないと 法律の解釈が少し違った方向になってしまうということを感じます。そうではなくて、 介護をするための休業が欲しいのだということであれば、根本から議論をし直さなけれ ばならないことになってくるのではないかと思います。 ○労側委員  だから、方針が決まって短期間で終わればいいのですが、そうではない場合も現実に はある。就業継続ということで言うと、ケースが少ないと言われたのですが、少ないの であれば、そういうことも認めるような特例はつくっていただいてもいいのではないか と思うのです。 ○公益委員  ここは、あくまでも、法律で最低限の保障ということなのです。ですから、もちろ ん、そういうケースがあれば、労使で話し合ってプラスする分には何ら問題はないわけ です。 ○労側委員  もちろんそうですけれども、例えば子育ての対象となる年齢と、介護をしなければな らない年齢は、多少ずれる場合もあると思うのです。40歳代とか50歳代で、介護のため に3カ月使いはたして辞めざるを得ないとなった場合、今の現状で言うと、再就職は非 常に厳しいと思うのです。そういうところも考えていただければということで、強くお 願いしたいと思います。 ○分科会長  一応のご意見は出たと思いますので、次の4に移りたいと思います。看護休暇につい て、いかがですか。特段なければ5に移りますが、また後で出していただいても結構で す。5の短時間勤務制度について、ご意見どうぞ。 ○労側委員  5の仕組みは変えないということなので、その前に指針等で事業主の皆さんへ奨励し ていきましょう、というのですが、短時間勤務制度の奨励は子を養育することだけで介 護休業制度は適用しないと。介護もありますよね。介護休業制度の中にも、勤務時間を 短縮する措置があって、短時間勤務制度というものがありますよね。それはそのままに して、ここは育児だけ奨励します、というように読んでいいのですか。 ○事務局  文字どおり、ここの部分は育児のみです。介護については、たたき台の時点でも「介 護はどうですか」とコメントしていたと思いますが、介護についても同様に考えるの か。ですから、ここの考え方としては、介護については、育児とは違って現行のさまざ まな措置を選べる形のほうがメリットがあるのではなかろうか、というご意見ではなか ろうかということで、介護についてはここでは触れていないということです。しかし、 それは、また別のご意見があればいただきたいと思います。 ○労側委員  それは、先ほど公益委員がおっしゃったように、介護休業は労働者自ら介護するため のものではないので、方針をつくるサポートだからと。とはいうものの、介護休業制度 の中に勤務時間短縮制度があるのですよ。それはどういう位置づけでしょうか。勤務時 間短縮制度、介護休業制度は、休業をとって方針をつくるためだけではなくて、フレキ シブルな勤務制度をつくりましょう、ということでつくったと思うのです。  法律はきちんと義務づけて言っているのだけれども、この文章を見て、介護を外すの はなぜなのか理解できない。加えて、指針でしょう。先ほど労側委員もおっしゃったよ うに、いろいろな場合があるわけだから、そういう変化に対応できるようにすることが 当然あっていいと思うのだけれども、率直な疑問です。  もう一つ、腑に落ちないのは、たたき台の時点で、勤務時間短縮制度の中で事業主の 皆さんはこの制度をかなり採用しています、労働者のニーズも多いです、これからの多 様な働き方ということを考えるとこの制度は有効なので検討をしてください、となって いるわけだから、多様な働き方という意味では、短時間勤務制度は本当に有効だと思っ ているのです。この育児、介護のみならず、ワークシェアという意味でも、これからの 社会のあり様というものを基盤づけるところもある。そういう政策誘導的なことを考え たときに、この制度をもう少し積極的に位置付けてやっていくことがあっていいわけ で、単なる指針のレベルで扱う話ではないと思います。  事業主の皆さんは、たくさんの労働者を抱えていて多様なメニューをやっていちいち 管理が難しい、と言うけれども、どの制度を設けるかというのは事業主が選択するわけ です。労働者が選択するわけではないので、せめて、短時間勤務制度を設けて、それを 利用しない労働者はいるかもしれないけれども、利用できるチャンスだけは与えてくだ さいと。日本経団連さんも、ダイバーシティとおっしゃっていて、かなりフレキシブル な、多様な働き方をこれから積極的にやっていきましょうと言っているわけです。この 制度を積極的に位置付けてやることは労使の合意でいけると思うのですが、無理ですか ね。法律上義務付けるのではなくて労使でやれと言うのでしょうけれども、枠組みをつ くることについて、今後の見通しを考えたときに、労働政策上もっと積極的にあってい いのではないかと。 ○使側委員  私どもの意見はこれまで再三言ってきておりますので、今日改めて申し上げるつもり もないし、それを言い始めると先ほどの所に戻って全部言わなければいけない。それは あえて申し上げるつもりはありません。今まで申し上げてきたとおりです。  ちょっと意見を申し上げますと、この文章は「適当であるが」云々というつながり方 をしていますが、文章としてわかりにくいかなと思っております。文章的な表現の話で す。文章としては「適当である」「ただし」とか「なお」で続けたほうがいいのかな と。このが」表現は非常にわかりにくいというか、誤解を招いたりする場合もありま す。 ○分科会長  この点について、ほかにご意見がありますか。 ○労側委員  介護が抜けているのはどういうことですか。 ○事務局  先ほども説明したと思いますが、繰り返しになるかもしれませんが、育児についてな るべく短時間勤務制度を取っていただきたいというのは、育児休業から復帰したしばら くの時期については、一方で、最近は保育の面でも延長保育もかなり普及してまいりま したけれども、労働者の権利として育児休業を位置付けている1歳までほどではないに しろ、育児休業から復帰したしばらくの時期については育児はかなり大変な時期であ る。そういう中で、できれば、今、選択的措置義務でさまざまな仕組みを選択できるよ うな形になっていますけれども、そういう意味からすると、取れるところはこの短時間 勤務制度を取っていただくのがいちばんいいのではないかという考え方です。  一方、介護についてはさまざまな状態が考えられると思います。現状でも、例えば選 択的措置義務のメニューも育児と介護は一緒ではありません。むしろ、ここはご議論い ただくべきところであったわけですが、そういう観点からすれば、育児と同じような形 で短時間勤務制度を考えるべきであるということには必ずしもならないのかな、という ことで、この5については育児についてのみ記しているということです。 ○労側委員  以前、10月7日に出していただいた資料の中で、日本労働研究機構がされた調査で 「企業が行う介護支援制度で利用しているものしたいもの」という所を見ると、1日当 たりの勤務時間の短縮を利用している所が13.2%あると。ほかの項目から比べるとこれ がいちばん高い割合になっています。  そういうところから見ても、勤務時間の短縮は、ほかの制度と比べて実際に利用して いる人も多いし、また、そういう制度があればこれから利用したいという人と合わせる と54.8%になっていますので、ぜひ、この短時間勤務制度も、介護の部分でも何らかの 形で「有効である」「適当である」という形で入れていただけたらと思います。 ○労側委員  事務局がおっしゃった、育児と介護は違う、というのは所定外労働なしが入っていな いということですか。 ○事務局  そうです。 ○労側委員  あれは議論経過がありまして、制度が違うからという意味でやったのではなくて「所 定外労働なしは当たり前じゃないの」ということなどもあって介護が入っていないと理 解しているのですが。 ○事務局  そこは、現実の問題としてメニューとして違うと申し上げただけです。それから、労 側委員からご指摘があった資料ですが、これを見ますと、例えば費用補助のようなもの も含めて、育児よりも介護のほうが、こういうものを使いたい、というバリエーション がかなりたくさんあるのかなと思っています。ですから、そういう中で考えると、必ず しも育児と同じく介護も短時間だということにはならないのかなと。そこは、むしろ、 ご議論いただくべきところだと思います。これまでもそのように申し上げてきたつもり です。 ○分科会長  ほかにご意見ありますか。それでは、最後に、全体についてご意見をどうぞ。 ○労側委員  3つ申し上げたいのです。1つは、12月4日のこの分科会で、雇用保険の給付のあり 方について雇用保険部会に検討を要請すると。それはそれで結構なのですが、今後の経 済的支援のあり方について、子育て支援は国全体のかなり大きな政策課題になっている わけで、育児休業が発足したころは雇用保険から給付金が出された経緯があるものの、 今後これでいいのでしょうかと。そういうことを考えたときに、雇用保険は失業防止あ るいは失業中の生活をどうするかというのがポイントなのですが、今回の改正はこれに 伴う給付については雇用保険というようになっていますが、もう少し抜本的な見直しと いう観点から、当分科会でも、使用者側の方がおっしゃった面もあるかと思いますが、 この経済的支援のあり方について検討をすべきではないか。  2つ目に、OECDのレポートの中に、日本の制度が整いつつあるという認識の中 で、しかしなかなか利用しにくい環境がいろいろあるという指摘があります。私ども、 制度を充実させてほしいという要求のほかに、もう少し利用しやすいというか、職場環 境とか、行政サイドも労使もそれぞれ取り組んでいますけれども、さらに一層、その辺 のところの取組みを強化する。一方で、次世代育成支援対策推進法で目標をつくって、 認定基準もつくって、ということで労使の取組みをいろいろ応援することになっていま す。そういう動きの中で、当分科会でも、利用しやすいというか、制度利用についての さらなる充実があってもいいのかと。  3つ目は、ここはお聞きしなければならないのですが、私は新聞報道を見る限りなの ですが、使側委員から盛んに保育問題が言われています。私も同然で、保育政策の充実 は当然なのですが、強化してほしいのですが、地方分権ということで、保育にかかる補 助金を打ち切るとか何とか出ていますよね。  その動きは各都道府県単位で実際に起きていまして、保育料の負担ということで出て いる議会もあるようです。だから、目指すことと実際に起きていることが随分違うな、 という感じがするのです。先ほども、民間活力の促進と保育の質とか、いろいろと書い てありますが、本当に大丈夫なのかと。いま起きている報道は予算編成だと思うけれど も、そこがちょっと心配なのですが、どういう状況なのか。 ○事務局  おっしゃられていることは、この1、2週間、新聞等で報じられた三位一体改革の関 連でのことではないかと思いますので、少しご説明申し上げます。これは、若干わかり にくいのですが、政府全体で補助金を1兆円削減するということで、単に、国の補助金 を減らすということではなしに、その分の財源を地方に移し替えて、地方の自治体がそ の分を負担するようにするという前提での議論です。そういう中で、今回、厚生労働省 で何を対象にするかということで、生活保護にするというような議論をしたわけです。 しかし、それには反発が強いということで、結局、最終的には公立の保育所の補助金 を、これは地方からの要望もあったということでそういうことにしたわけです。公立の 市町村立の保育所の国の補助金です。国費はいま2分の1を負担しているのですが、そ れを廃止する。  いかにも補助金を減らしているのではないか、とおっしゃったのはそのことだと思い ますが、国の負担の2分の1に相当する部分は地方に財源を移し替えて、自治体が自ら の財源として市町村が負担をすることにしたわけです。国が減らした補助金がそのまま 保育行政の中から減るということではないわけでありまして、市町村の保育所の運営に 支障が生ずるとか、全体の財源、経費が減らされるわけではないということです。  なかなか理解しにくいのだと思いますが、前にも申し上げましたが、市町村が運営し ている保育所は、国が2分の1を負担して、市町村が4分の1を負担して、都道府県が 4分の1を負担するという仕組みで運営費を負担しているのです。今度は、一般財源化 というのは国が負担していた2分の1は全部廃止する。都道府県の負担もなくなるわけ です。一般財源化というのは、もともとの自治体に財源を全部寄せる。ですから、いま 議論をしているのは「タバコ税ではなくて所得税のほうを移す」と言っていますが、そ ういう税源を移して、市町村は困らないようにした上で、今までの運営費用は市町村が すべて負担するように形を変えるということです。  国の予算から見れば、今までの公立の保育所の補助金の国の負担分は減らされること は事実ですが、それがそのまま保育全体の費用に対する公費を減らすということではな いので、ご心配はないのです。我々も、その点の心配はしておりません。先ほど言っ た、税源をきちんと移し替える、財源の移し替えがきちんとできるか、というのが問題 でありまして、それが前提であるということであります。 ○労側委員  わからない。目的を持った補助金ではなくて、その総額は税で地方に与えて、それを どう使うかは地方の自由だと。受けた自治体は、形を変えた税金が入るのですが、それ を保育に使おうが、自主的にやってくださいということですよね。逆に言うと、受けと る自治体は、結果、ある議会では、それを見越して保護者の負担に転化しようという動 きがあるみたいです。結果そうなるのではないですか、という質問をしたのです。 ○事務局  保育料一般を上げるということですか。 ○労側委員  ええ。それで自分たちが自前でやるという。そこの効果が、利用者負担に転化する可 能性、いま言った動きがあるような感じもするし、加速するのではないかと。結果、子 育て支援を盛んに言っているけれども、ますます、負担を求められていくことになりま せんか、逆行することになりませんか、と聞いたのです。 ○事務局  全くないということではないのですが、これは要因が非常に複雑で、片や、同じ市町 村で私立の保育所は依然として国庫補助付きで今までどおりの運営をするわけです。そ の私立も公立も、保育料は同じ市町村ですから同じ保育料を取っているのです。一般財 源化されたこの公立の保育所の運営を楽にするために保育料を上げようとすると、私立 も一緒に上げなければいけないわけです。  市町村としてそういうことがいいかどうか、というのはその市町村全体で判断してい ただくことなのですが、むしろ、いまは逆で。逆というのは、前もお話しましたが、保 育所にかかる運営費のおおむね半分を保育料で負担していただく、半分を国や自治体が 公費で負担している構造になっているのですが、多くの自治体では、国がそういう方針 を示しているのですが、半分を負担していただく保護者からの保育料を、自治体が自ら 上乗せ補助といいますか、財政力の豊かな市町村は自分で持ち出して保育料を減らして いる所がいろいろあるのです。  そうやって保育料を安くしてきたものを元に戻そうとか、そういう動きは、今回の一 般財源化の議論ということではなしに、自治体の財政が厳しくなっていますから、それ はあり得る話です。今回の一般財源化をしたことを機会にその動きが強まるかどうかと いうのはわかりませんが、東京都などは、保育に限らず、福祉行政に随分と上乗せの補 助をして、人件費や社会福祉施設の運営にかなり手厚い補助をしてきたのです。しか し、さすがの都もだんだん財政が厳しくなって、そういうところに手を入れて少し減ら したりしています。  おっしゃったようなことが、保育の分野でも保育料を少し上げるという動きが、今回 の動きと直接関連した動きかどうかは把握していませんが、そういう動きがあることは 多分あり得る話だと思います。ただ、市町村として保育にどこまで力を入れるかという のは、それこそ、地方自治ということで住民に判断をしていただく、ということが大義 名分で三位一体などとやっているのですから、そういうことがいいのかどうかをそこで 議論していただくしかないのだと思います。  我々は、少なくとも、今やっていることが後退するようなことが今回の一般財源化で 行われていくことには考えておりません。その財源は、今まで負担している公費は、き ちっと保障することが前提になっての今回の議論であるということをご理解いただきた いと思います。 ○分科会長  ほかに、全体としてご意見があれば。 ○使側委員  記の前の所のNo.9の所ですが、前回の文章よりも「保育サービスの質を確保しつつ」 と入れていただいて「延長保育」も入りましたし、わかりやすくなったと思います。さ らに、こうしてわかりやすくなったところでもう一つと思う所があります。それは、初 めのころにここの場で随分議論された話で、この文章の下から5行目ぐらいの所に「保 育所等の受入れ児童数の増加を図るなど、待機児童問題の解消に向けた施策を」と書い てありますが、確かに、受入れ児童数も増やしてもらいたいけれども、お母さんが働き に出たいときにいつでも受け入れてくれるような、そういう体制をつくってほしいとい う話がここで再三されたのだと思います。  それで、特別の事情のある延長も、いま現在はやむを得ないだろうけれども、将来的 には入りたいときに入れてくれるようにしてもらって、ああいう例がないようにしてほ しいのだと、使用者側の意図ではそういうことを話したと思います。この例だと、いま は保育所が足りないことが強調されることで、入る時期についてのことがないという感 じがいたしますので、その辺りも書き込んでいただいたほうが、この場の話の中身がは っきりと出るのではないかと思います。  もう一つ、確認なのですが、延長保育は朝とか夕方とか、そういうところだと思いま すが、土・日曜に働いている人たちも大変多くて、また、増えてきているのではないか と思います。そういうことも延長保育の中に入るのでしょうか。入らないのであれば 「多様な」という所には入れていただいたほうがわかりやすいのではないかと思うので す。 ○事務局  後段の点ですが、冒頭申し上げましたとおり、早朝保育は延長保育の中に入ります。 休日保育については延長保育そのものの定義には入りません。ただ、当然ながら、休日 保育も含めて「多様なニーズ」という中には当然入っていると考えております。  前段のご指摘の、いつでも受入れ可能であるようにと。まさに、ここに書いてありま す保育所等の受入れ児童数の増加も、単純に、保育所の数を増やせばいいとか定員を増 やせばいいというものではなくて、いつでも入れるような形で、保育のニーズを踏まえ た形で定員を増やしていく、というつもりで書いております。基本的には、使側委員の ご指摘のようなことを含めたつもりで書いています。その辺り、文章表現はそういった ことも入れられないかどうか検討をさせていただきたいと思います。 ○労側委員  先ほど、公益委員から、法律の目的に関して私が勘違いをしているようなご意見をい ただいたように思ったのです。そして、使側委員からも、私が、介護状態ごとに3カ月 ということに関して、要介護状態ごとにすることの位置付けが重く、それに枝葉部分と いうように言われたのは、一つの意見としてそうとらえていらっしゃるから、それは意 見として伺います。公益委員のことに関して、期間の3カ月をめぐって介護方針という 説明は十分受けてきたので、私は、率直に申し上げれば、この育児休業法に介護休業を 加える1995年の前段階の議論からずっと考えてきているのですが、いまの目的は、実態 として、休めるならば休みたいというよりも、休むことなく仕事ができるなら続けなが らと考えている人が圧倒的に職場に多い。そして、比較的勤続年数が長い、あるいは要 職に就いている方が、該当するので残念ながら辞めていった先輩も見てきましたから、 いま介護保険をめぐる社会体制が整備されることは非常に歓迎していますし、それが地 方自治体においても同じような状況になってほしいと思っているのです。  その上で、私がそこにすごくこだわっているのは、この法律が規定している目的の中 には、休業制度を設ける、あるいは勤務時間の短縮を図る措置を定めて、介護を行う労 働者、子を養育する労働者を支援する。あるいは、家族の介護を行う労働者の雇用の継 続あるいは再就職支援を図り両立に寄与する。こういうことが目的に書かれているの で、このことから、私は、先ほどの期間は労働者の休業の権利としてこれでは短い、と いうように組み立てて意見を言っているので、法律の目的から自分はずれていないと 思っているのです。 ○公益委員  3カ月といった議論を今までずっとやってきたわけです。今回、それについて議論を しているわけです。通算3カ月にするのか、個別1回につき3カ月にするのか。 ○労側委員  はい。 ○公益委員  今までの議論で3カ月といったのは、おっしゃったように、ここに書いてある「長期 的方針を決めるまでの間」ということで3カ月になってきたわけで、1回ずつについて 3カ月にするとか、もっと欲しいということになってくれば、これとは少し違った目的 になってくるだろうということです。 ○労側委員  そちらの目的と違ったという意味ですか。 ○公益委員  はい。 ○労側委員  わかりました。私は、法律の目的はこうで、その関係から労働者の権利としてとらえ た場合はおかしくないと思うということです。 ○公益委員  その両立というのは育児についてもそうですし、継続雇用を可能にする、容易にする ということなども、育児と介護と両方あるわけで、それについては趣旨は同じだと思い ます。 ○労側委員  議論の蒸し返しになるのですが、事務局の説明は、3カ月にした理由は長期方針を決 めるためということだと。1回きりしか取れませんから、ある要介護状態に1回取って 3カ月。ということは、今回の要介護ごとというのはいいのですが、今までの説明から すると、その度ごとに3カ月ぐらいかかるのではないですか、という言い方で私は受け とったわけです。ある要介護状態の方針を立てるのに3カ月必要だからと、皆さんに説 明したことが論理矛盾ではないですかと。それを指摘しているわけです。 ○公益委員  それは何度もお話しているように、この介護休業制度ができたときの3カ月はどうし て決めたかというと、第一に、そのときは介護保険の仕組みがなかったのです。その上 で、その3カ月といまの3カ月は違う。当初できたときの3カ月の意味と、介護保険が できた後の3カ月の意味は違うのではないかという議論をずっとしてきたと思うので す。当初の3カ月と今の3カ月は違うと思います。 ○労側委員  介護保険がないときの介護休業制度の3カ月と介護保険ができた後の介護休業制度の 3カ月は違う。 ○公益委員  そう思います。 ○労側委員  それは初めて聞きました。 ○公益委員  いや、最初のほうで何度も話しました。議事録を見てください。 ○労側委員  そうですか。 ○公益委員  ええ、何度も話しました。 ○労側委員  当初は1年と主張していました。介護保険がないときの。 ○公益委員  私はそれは知りませんが、多分、議論があったのだろうと思います。 ○労側委員  労使のバランスで3カ月というように落ち着いた話で、看取り休暇というのもあった わけです。最期を看取るということで、家族を自分が看るということですから方針では ないのです。看取り休暇という観点もあったのです。それがどこかへ行ってしまったわ けです。そういう議論は、私は、必ずしも長期方針を決めるというのは賛同していませ んよ。看取り休暇も一方であったではないかと言いたいのですが、それはあえて言いま せんけれども。 ○公益委員  ただ、そのときのお話のように、介護の場合は、いつまで休業を取れば看取れるかわ からないわけです。それで、これは、基本的には企業が空けて待っているというルール ですよね。2年、3年を空けて待っている仕組みをつくるということではないのではな いか。 ○労側委員  ですから、その1年というのは、介護保険ができた後の考え方からすると、私どもは 社会サービスの充実が基準ですから、家族介護はいろいろな問題を抱えているわけで、 それを社会的化するということが考えられたのです。だから、私も、1年がいいとは言 っていません。そういう意味ではいいのですが、皆さんへの説明の仕方が、法律的に3 カ月と言ったから、通算3カ月というのは論理矛盾ではないかと言っただけです。 ○使側委員  かつては、労側委員がおっしゃっていた中間管理職の方が介護でお辞めにならざるを 得ないことがあったと聞いておりますし、実際にも、そういうことを身近な方で体験し ました。今は介護のシステムが非常に整ってきましたので、最近はゼロとは言いません けれども非常に少なくなっているように思うのです。  それで、実際に法律として、多分、大手さんの代表でしょうから、皆さんそんなに現 実的な厳しさはご存じないかと存じますが、要は、決めたものをどこまで実行するかと いうときに、中小企業は非常に厳しい現実があるわけです。決めました、では実行でき ない所はどうなるか、という問題がありますから、その辺のところも、決めたら小企業 も実行できるというレベルに合わせていただきたいと思います。  大手さんは、結果的にほどのお話のように休んでしまってもいいかもしれませんが、 小企業はとてももちません。それだけの余裕の人員がおりませんので、実際に決めたら 実行できるところに最低限持っていっていただきたいと切実に感じますので、お願いい たします。 ○労側委員  大手と言われたのですが、私が所属している組織は中小が圧倒的に多い所です。そう いう面でいくと、使側委員が言われたことは、逆の立場から言うと、確かに、大手は介 護休業制度1年という所が多いです。来年の春の私どもの方針としても、介護休業制度 1年を要求しましょう、ということでやっているのです。中小は、要求をしても「非常 に厳しい」という回答が戻ってくるのです。そういうときに、法律で最低基準を少しで も上げていただければ、中小で働く労働者もそういう制度が利用できるということで、 同じことの表と裏かもしれないのですが、そういう視点もぜひ考えていただけたらと思 います。 ○分科会長  いろいろご議論いただきまして予定の時間にもなってまいりましたので、特段ご意見 がなければ本日はこれで終了したいと思います。次回につきましては、本日のご議論を 踏まえまして、報告案についてさらに修正をする必要があればそこを修正して、個別に 調整の必要があれば調整をさせていただいた上でとりまとめを行えればと考えておりま す。事務局から何かご連絡があればお願いします。 ○事務局  次回の日程ですが、また後日ご連絡をさせていただきたいと思います。 ○分科会長  それでは、本日の分科会はこれで終了させていただきます。署名委員は佐藤孝司委員 と渡邊委員にお願いいたします。よろしくお願いします。どうも、お忙しいところ、あ りがとうございました。 照会先:雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課 法規係(内線:7856)