03/12/17 薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会議事録       薬事・食品衛生審議会        食品衛生分科会          議事録   厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課    薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会          議事次第  日時 平成15年12月17日(水) 15:00〜16:26  場所 中央合同庁舎第5号館17F     厚生労働省専用18、19、20会議室 1.開会 2.食品安全部長あいさつ 3.議題 (1)伝達性海綿状脳症に関するせき柱を含む食品等の安全性確保対策について 4.報告事項 (1)牛海綿状脳症の検査に係る専門家会議の結果について (2)食品衛生法等の一部改正に伴う関係政省令等の整備について (3)食品衛生分科会における確認事項 5.閉会 ○事務局  ただいまから薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会を開催させていただきます。  本日は、御多忙のところ御参集いただきまして、厚く御礼を申し上げます。  本日は、垣添委員、熊谷委員、品川邦汎委員、清水委員、正田委員、羽生田委員、柳 川委員から御欠席の御連絡をちょうだいしてございます。分科会の総員が22名でござい ますので、15名の御出席をちょうだいしておりますので、本日の分科会は成立しており ますことを御報告申し上げます。  それでは、開催に当たりまして、食品安全部長からごあいさつを申し上げます。 ○遠藤部長  食品安全部長の遠藤でございます。  委員の先生方におかれましては、それぞれのお立場から食品安全行政の推進に御協力 いただいておりますことを、この席をお借りいたしまして、心から御礼を申し上げます。  本日は、伝達性海綿状脳症に関するせき柱を含む食品等の安全性確保対策について、 御審議をいただく予定としております。BSEの発生を踏まえて、いわゆる全頭検査あ るいは特定部位の除去などの対策を実施しているところでございますけれども、これに 加えまして、伝達性海綿状脳症に関します食品等の安全確保に万全を期するために、せ き柱の除去等に関する措置の必要性について、御検討いただくというものでございます。  なお、この議題につきましては、本年4月にこの審議会に諮問をさせていただきまし て、食品衛生分科会の下に伝達性海綿状脳症対策部会を設けまして審議をいただいてき たところでございますが、7月1日付で食品安全委員会が発足したことに伴いまして、 一旦、諮問を取り下げさせていただき、食品安全委員会の方に食品健康影響評価につい て意見を求めたところでございまして、食品安全委員会の方から9月11日に、その結果 がこちらの方へ通知をされたということで、それを受けまして再度当分科会に諮問をさ せていただいたという経緯がございます。  本日は、このほか9頭目のBSEに関します牛海綿状脳症の検査に係る専門家会議の 結果について、それから、食品衛生法等の改正に伴います政省令の制定につきまして、 御報告をさせていただくということにしております。どうぞ、本日の分科会におきまし ても、先生方の貴重な御意見を賜りますようお願いを申し上げまして、開会に当たりま してのごあいさつに代えさせていただきます。 ○事務局  それでは、以後の進行につきましては、吉倉分科会長にお願いをいたします。 ○吉倉分科会長  それでは、資料の確認からお願いします。 ○事務局  それでは、先生方のお手元に配らせていただいてございます資料について、御確認を させていただきます。  資料1−1が、諮問書の写しでございます。  資料1−2「伝達性海綿状脳症に関する牛せき柱を含む食品等の安全性確保対策につ いて」。  資料1−3「食品安全基本法第11条第1項第1号の食品健康影響評価を行うことが明 らかに必要でないときについて」。  それから、参考資料といたしまして2つございます。参考資料1が、牛せき柱断面図 でございます。  参考資料2が「牛せき柱規制に関する要請」ということでございます。  それから、報告資料が3点ございまして、1つ目が、牛海綿状脳症の検査に係る専門 家会議の結果について。  報告資料2が「食品衛生法等の一部改正に伴う関係政省令の整備について」。この報 告資料2の後ろの方に、補足の追加資料といたしまして「食品衛生法等の一部を改正す る法律の概要」ということで2枚紙を追加させていただいてございます。  報告資料3といたしまして「食品衛生分科会における確認事項」ということで、1枚 資料をつけさせていただいてございます。  以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○吉倉分科会長  それでは、議事に入りたいと思いますが、議事項目はそこに書いてあるとおりなので、 早速、一番最初の伝達性海綿状脳症に関するせき柱を含む食品等の安全性確保対策につ いて議論したいと思います。よろしくお願いします。  それでは、事務局から説明をお願いします。 ○中垣課長  基準審査課長の中垣でございます。  それでは、資料1−1、資料1−2、資料1−3に基づきまして、御説明申し上げま す。  まず、資料1−1でございますが、これが11月12日付で大臣から薬事・食品衛生審議 会の会長へあてた諮問書でございまして、伝達性海綿状脳症に関するせき柱を含む食品 等安全性確保対策について、審議会の意見を求めますという趣旨の文書でございます。  次に、資料1−2について御説明申し上げます。12月5日付で、この分科会の下にご ざいます伝達性海綿状脳症対策部会の部会長の品川先生の名前で、分科会長あてに報告 された報告書の写しでございます。この資料1−2が、伝達性海綿状脳症対策部会にお ける審議結果を取りまとめたものでございます。  1枚めくっていただきますと、まず、経緯でございますけれども、我が国における伝 達性海綿状脳症に関する食品等の安全確保対策につきましては、平成13年10月に食用と して処理されるすべての牛を対象とした、いわゆる全頭検査を開始するとともに、特定 部位の除去・焼却というような対策を講じてきたところでございます。  一方、国際獣疫事務局、OIEと略されておりますけれども、このOIEが国際動物 衛生規約という国際的な基準になります規約を昨年9月に公表、総会自体は昨年5月に 行っておりますが、昨年9月に規約の改正を公表し、その中で、食用とすべきでない牛 の部位として、従来の部位に比べて新たに頭蓋とせき柱を追加したところでございます。  頭蓋につきましては、我が国は既に頭部として処理いたしておりましたので、そうい う意味から申し上げますと影響はないのでございますが、このせき柱について議論が必 要となってきたところでございまして、せき柱自体、食肉で申し上げますと、いわゆる Tボーンステーキみたいなものがあるわけですが、一般的に申し上げますと、せき柱を 含むような食肉が消費者に販売されるようなことというのはないような状況にあるわけ でございますが、念には念を入れて伝達性海綿状脳症の対策として、この部会の中で御 議論いただいたところでございます。  IIが、その審議の概要でございまして、1が、牛せき柱のリスク評価でございます。 部長のあいさつにもございましたとおり、本年7月からリスク評価というのは食品安全 委員会で行っていただくことになったわけでございますが、昨年4月から活動を開始し ましたこの伝達性海綿状脳症部会におきましては、先に我が国としてのリスク評価を実 施していただいたところでございまして、この1番の牛せき柱のリスク評価というのは 別添1に掲げておりますが、6月26日付の報告という形になっております。  この報告の概要が1ページにございますので、1ページの概要で御説明に代えさせて いただきたいと思います。  (1)で、背根神経節の感染性としてまとめておりますけれども、英国の中央獣医研究所 における研究結果などから見ると、背根神経節の感染価はせき髄と同程度であるという ような評価結果でございます。  (2)が、先ほど御説明しましたように、全頭検査あるいは特定部位の除去という既に講 じておる措置によって、リスクがどのくらい低減しておるかというのを検討していただ いた結果でございます。我が国がスクリーニング検査に採用しているELISA法というのは、 プリオンの量が検出感度以下であれば陰性と判定される。すなわち、検出感度という宿 命を検査である限り持っておるわけでございまして、検出感度にM.i.c、すなわちマウス に接種したときに、その感染を半数の動物に起こす量として定義されておるわけでござ いますが、一定の検出感度以下の感染性を持った牛というのは陰性に判定されるという 問題を持っておるわけでございます。  また、BSE発症牛の組織ごとの感染性というのが、例えば、脳が64.1%、せき髄が 25.6%等々と推定されておるところでございまして、そういう意味から申し上げますと、 現在、我が国で特定部位として除去されておる感染性を見てみますと、一番最後の行で ございますが、95.64%の感染性が除去されておるということになります。すなわち全頭 検査によってリスクを大幅に低減して、残った検出感度以下のものについて、更に、そ この95.64%が除去されておるという状況にあるという報告でございます。  2ページに入らせていただきます。そういう状況の中で、残ったリスクの大半という のが、この背根神経節と言われるところにあるということが評価されておるわけでござ いまして、その背根神経節のリスク自体は、せき髄と同程度である。  (3)人へのリスク、食品を通じて、人にどれくらいのリスクがあるかということでござ いますけれども、プリオン病は種を超えて伝達すると評価されておりますが、「種の壁 」と表現される種と種との間の壁というのが、この場合にも存在するであろう。例えば、 BSEを牛からマウスに伝達するというのは、牛から牛に比べて500倍の量の感染が必要 であるというようなことから、牛から人の場合も当然、種の壁というのが存在するであ ろうというような評価結果でございます。  2番目が、食品安全委員会におけるリスク評価の結果でございまして、これは別添2 にあるわけでございますが、概要をここに書かせていただいております。7月1日付で 食品安全委員会にリスク評価をお願いいたしました。その結果、本年9月11日に食品安 全委員会から結果の通知をいただいております。枠囲みの部分でございますが、先ほど 申し上げました薬事・食品衛生審議会の部会において取りまとめられた背根神経節のリ スクについては、せき髄と同程度であると考えられるという評価結果は、食品安全委員 会として妥当と考える。また、この評価結果に基づき、背根神経節を含むせき柱につい て、特定危険部位に相当する対応を講じることが適当。科学的知見の収集に努めるとと もに、その知見に応じてリスク評価について適宜見直しを行っていくという3点から成 っておるわけでございます。すなわち、先に御紹介いたしました、6月にいただいた部 会のリスク評価の結果というのは、安全委員会においても妥当と評価されたということ でございます。  そこで、大きな3番でございますが、それでは、どのようなリスク管理をするかとい うことで、(1)でございますけれども、食品安全委員会にリスク評価をお願いしている間 にあっても、部会の中でまとめていただいたリスク評価の結果を踏まえて、その管理の 方法について御議論を願ったところでございまして、本年8月に試案1のとおり管理方 法を取りまとめていただいております。  また、一定の条件、すなわちと畜場において背根神経節の除去が十分行えることが確 認できれば、試案2という方法も検討するということにさせていただいて、パブリック ・コメントを2か月にわたり実施するとともに、牛のせき柱が食品にどれくらい利用さ れているのかという実態調査を行ったところでございます。  試案1でございますが、基本となる試案1のアでございますけれども、最終的に消費 販売される食肉については、牛のせき柱が含まれてはならないというものでございます。  3ページのイでございます。今度は、そのせき柱をつくる原材料として製造する食品 についての規制でございまして、牛のせき柱を食品等の製造に使用してはならない。す なわち、原材料として使用してはならない。ただし書きで、牛脂、すなわちいわゆる骨 油についてあるいはゼラチンについて述べておるところでございます。  一方、(2)が一定の条件のもと、すなわちと畜場において背根神経節の除去が十分行え ることを確認できればという条件のもとで出された試案でございますけれども、背根神 経節を特定部位に指定し、と畜場においてその除去及び焼却を義務付けようとするもの でございます。  (2)が、その試案に対して寄せられた意見で、これも別添3にまとめておりますが、膨 大でございますので省略させていただきますが、意見の募集について63件、延べ136件の 意見が寄せられたところでございます。  (3)が、実態調査の結果でございます。実態調査の結果も別添させていただいておりま すが、概要をこの3ページの中ほどのところで御紹介申し上げますと、と畜場で背割り がされて2つに分けられた状態で、いわゆる食肉処理場に行くんですけれども、その状 態を「枝肉」と呼んでおりますが、枝肉から牛のせき柱を除去している施設として回答 があったのは286施設。その処理量は、1日約49トンでございました。  また、せき柱を用いて食品等を製造している施設、すなわちせき柱を原材料として、 いろいろなエキスとか骨油などをつくっている施設でございますが、国産のせき柱を用 いている施設として挙がりましたのが、エキスが7施設、骨油が4施設でございました。 この施設について、7と4というのは重複がございますので、計8施設なんですけれど も、その計8施設について調査をいたしましたところ、そのうちの3施設は調査の時点 で既に国産のせき柱を用いた食品の製造というのを中止しておるという回答でございま した。  なお、ゼラチン等については、国産せき柱を使用しているという報告はいただいてお りません。  (4)が、試案2を検討するために、こういった意見の募集あるいは実態調査と並行して やらせていただいた、と畜場において背根神経節を除去できるかどうかという検討の結 果でございます。と畜場の協力を得、更に、厚生労働科学研究として確認を行ったとこ ろでございますが、その中間報告を別添いたしておりますけれども、10月後半の時点で 除去率は67.8%、標準偏差9.8%という成績でございまして、頚椎から胸椎、すなわち上 の部分はせき髄のところにございます硬膜から背根神経節までの距離が短い、更には孔 が大きいということからとれやすいけれども、4ページにございますが、下に行けば下 に行くほど、すなわち胸椎から仙骨に掛けては、長さが長くなり孔が小さくなくるので とれにくいというのが、その結果でございます。  もう一つは、硬膜除去の際に背根の途中で破裂と申しますか、例えば、半分しかとれ ないとか、3分の1しかとれないというようなことが見られておるわけでございます。 現時点も継続してこれをやっておりますけれども、現時点においても大体7割プラスマ イナス10%という除去率でございます。  このようないただいたコメントあるいは実態調査の結果を基に、(5)でございますが、 11月14日に部会を開きまして審議していただいたところでございます。  まず、(1)管理方法の試案として2つの試案を出したわけでございますが、と畜場にお ける背根神経節の除去については、現段階においてその除去率等から、その採用は適当 ではないというような御議論をいただいたところでございまして、試案1に基づく基準 を設定するということにさせていただいております。  (2)でございますが、個別食品についてアでございます。食肉については、いわゆるT ボーン等を除いて、せき柱がついたまま消費者に販売されることは一般にない。また、 せき柱を除去するときには一部注意、すなわち機械的に切ってしまうというようなとき には一部注意が必要であるけれども、通常の場合には、食肉に背根神経節が残る可能性 はまずないといような審議結果でございます。  イでございますが、骨からとる骨油についてでございます。管理方法の試案1におい て、食用牛脂であって不溶性不純物が0.15%以下のものを除くと書いてあったわけでご ざいまして、これが現在のOIEの基準でございますが、この不溶性不純物が0.15%と いう根拠は必ずしも科学的に明確ではない。更には、OIEでもこの基準を廃止すると いう方向で見直しがされておるというようなことから、この規定というのは設けずに、 骨油についてもせき柱を使ってはならないというような規定にするのが妥当ではないか という御議論でございます。  ウでございますが、ゼラチンでございます。ゼラチンについては、せき柱の使用禁止 に加えて、成分規格の設定を行うということにしておったわけでございますが、せき柱 の使用禁止に加えた規制をする根拠というのも明確ではないということから、せき柱の 使用禁止でよかろうという御結論でございます。  エでございますが、エキスでございます。エキスについては実態調査の結果、100度、 2〜4時間以上の加熱などさまざまな処理がなされておるところでございますが、この ような処理において異常プリオンが不活化されているというような明確な根拠がないと いうことから、エキスについてもせき柱を使うのをやめようというのが部会の御結論で ございます。すなわち、イの牛骨油、ウのゼラチン、エのエキスといったせき柱を原材 料として使用してつくられる食品、この原材料にせき柱を使うのをやめようというのが 部会の結論でございます。  (3)でございます。施行までの間をどうするかという問題でございまして、施行までに 例えば今日の分科会でございますとか、あるいは食品安全委員会とのやりとりでござい ますとか、一定の手続が必要となってまいりますので、部会の時点で通知を出して、今 回の基準の対象となるようなものについては、製造等を自粛するということを指導した ところでございます。  また、4ページの末尾でございますが、今回の規制について、科学技術の進展に応じ て見直しをすべきだというのが、一緒にいただいた御結論でございます。  5ページでございます。IIIが最終的な部会としての規格基準の案でございます。食品 衛生法第7条及び第10条に基づく規格基準として、次の3点を規定することを部会とし て取りまとめていただいたところでございます。  (1)でございますが、BSE発生国の牛肉であって、消費者に販売されるものについて は、せき柱を除去しなければならないということでございます。せき柱の中で、横突起 でございますとかあるいは尾椎というところに神経節がないという科学的な知見がござ いまして、OIEと同じ形で、その部分というのは対象から除外されております。  (2)が原材料としての使用でございますが、BSE発生国の牛のせき柱を原材料として 使用して、食品、食品添加物などを製造、加工、調理してはならない。すなわち、原材 料としてせき柱を使ってエキスでございますとか骨油、ゼラチンというものをつくって はならないということです。  (3)が、BSE発生国の牛肉からせき柱を除去する場合、背根神経節による汚染を防ぐ ように処理しなければならない。これが具体的には、機械的に除骨をする場合の注意で ございまして、具体化は通知でするという形になっております。  この3点が御結論でございまして、IVでございますけれども、11月14日における部会 の審議を踏まえまして、通知別添6を発出させていただいているところでございます。 38ページの別添6をごらんいただきますと、今も御説明しました経緯でございますとか、 部会での審議の状況をまとめております。  39ページの1番に、審議結果といたしまして、先ほど御説明申し上げました規格基準 の案が載っておるわけでございます。  更に(2)といたしまして、これも御説明申し上げましたけれども、規制の実施に向けて は所要の手続が進められるけれども、規制の実施の前であっても対象となるような食品 については自粛をすることが望ましい。  (3)で、今後の技術の進展に応じて見直していく。  40ページに、BSE発生国の11月13日時点の発生国の一覧が載っておるわけでござい ます。  41ページから、いろいろな関係者、勿論消費者も含めて御理解をお願いするために、 Q&A方式でできるだけわかりやすく背景でございますとか、基礎となったデータの説 明をしておるところでございます。  これが部会からの報告書でございます。  次に、資料1−3でございます。大臣から食品安全委員会に部会の日、11月14日に再 度照会をしたところでございます。非常に法的な問題でございますので、わかりにくい かと思うんですけれども、本文でございますが、伝達性海綿状脳症に関する牛のせき柱 を含む食品等の安全性確保について、食品安全基本法第24条第3項に基づいて、安全委 員会に意見を求め、安全委員会から9月11日付で評価結果を通知していただいた。この 第3項と申しますのは、大臣は必要がある場合には、安全委員会に意見を求めることが できるという「できる規定」でございます。実は、先ほど申し上げました食品衛生法第 7条の基準あるいは第10条の基準をつくるときには、第24条第1項の規定がございまし て、必ず大臣は委員会の意見を聞かなければならないという規定が義務規定としてある わけでございます。したがって、第3項に基づいて意見を聞いたために、この第1項の 義務規定をどうするかという問題について、この文章というのは照会しておるところで ございまして、第2パラグラフでございますが、今般これを受け、食品衛生法第7条第 1項及び第10条第1項に基づく規格基準を設定することとした。この部会の審議結果が、 次のページに案として載せられておるところでございます。  第3パラグラフでございますが、ついては、本規格基準は上記の安全委員会の評価結 果に基づき設定されるものであることから、第24条第1項は規格基準を決めるときに必 ず食品安全委員会に聞かなければならないという規定でございますが、ここにただし書 きがございまして、食品健康影響評価を行うことが明らかに必要でないときは聞かなく てもよろしいというただし書きがございますので、前に9月に1回聞いたので、その結 果に基づき、規格基準を定めるときには再度聞かなくてよろしいですねという照会をし たところでございます。  そこで、ページは振ってございませんが、一番最後のページでございますが、11月21 日付で、もう前に1回聞いていただいたので、再度聞く必要はございませんという答え が安全委員会から大臣あてに出てきておるところでございます。これで一応、法的な手 続というのはすべて終わりまして、この分科会において最終的な御審議をお願いしたい と考えておるところでございます。  ただ1点、部会における審議の途上で、我々把握するのが遅れたところでございます が、OIEの規約をよくよく読んでまいりますと、先ほど御説明しました骨油を加水分 解したグリセリンでございますとか脂肪酸等の取扱いについて、OIEの規約において は、いわゆるせき柱規制の対象外になっておるということが新たにわかったところでご ざいます。  どういうことかと申し上げますと、骨油はグリセリン脂肪酸エステルでございますの で、そのグリセリン脂肪酸エステルを非常な高温、例えば200℃とか250℃で50気圧とか、 そういう非常に高温・高圧で分解すると、グリセリンと脂肪酸に分かれます。このグリ セリンと脂肪酸については、いわゆるタロー・デリバティブ、骨油からの誘導体として OIEでは規制の外にされておるということでございまして、この点について油脂を加 水分解したときのプリオンの挙動に関するデータも入りましたので、そのデータも基に どうするのかという検討が必要ではないかと考えたところでございます。  現在、このグリセリンあるいは脂肪酸あるいはこれらのエステル等の取扱いについて、 先ほど御説明申し上げました、品川先生を部会長とする伝達性海綿状脳症対策部会の先 生方に意見を聞いておるところでございます。まだすべての先生方に接触を終わったと ころではございませんが、今いただいている御意見では、グリセリン等についてはOI Eと同様、規制の対象外にして差し支えないのではないかという御意見を賜っておると ころでございまして、今週末までに部会の先生方から最終的な御意見を賜るという手続 にさせていただいているところでございます。  したがいまして、今回のせき柱の規制の基本に触れるようなところではないかとは思 いますけれども、このグリセリン等の取扱いについて、部会の先生方の了承が得られれ ば、本日というわけにはまいりませんので、また分科会の先生方には改めて集まってい ただくというのもいかがかと思いますので、分科会の先生方に答申案を含め、背景デー タを含め文書で送付いたしまして、改めて御検討いただく。その上で、最終的な答申を 分科会長のところでまとめていただくというような手続にさせていだたければと考えて いるところでございます。  以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○吉倉分科会長  わかりました。この手続の話は非常にややこしいですね。特に、資料1−3の話は、 聞いているうちに頭がかゆくなってきましたが、それはそれとして、今日審議しなけれ ばいけないのは、結局は資料1−2の5ページ目、基準規格案のところですね。それか ら、それとの関係でもう一つ聞いておかなければいけないのは、38ページの別添6で、 食品安全部長の名前で安全確保について文書が出ているわけですが、これは要するに部 会で、この部会は何部会でしたっけ。 ○中垣課長  伝達性海綿状脳症対策部会でございます。 ○吉倉分科会長  その長い名前の部会ですね。この部会で審議結果がこうなりましたよと報告したもの ですね、知らせたというだけですね。 ○中垣課長  そのとおりでございます。 ○吉倉分科会長  それで、いざ答申することになると、今度は何でしたっけ。 ○中垣課長  答申を踏まえて、大臣の御決定をいただいて、規格基準を改正する、いわゆる規制が 始まるという形になろうかと思います。 ○吉倉分科会長  だから、今のところは部会の報告止まりであると。それで、答申が出ると、規格基準 がつくられるというわけですね。だから、38ページは、一応そういう報告が出ているか ら気をつけなさいよという単なる情報、今から決めていくという状況だと思います。  それから、もう一つは、食品安全委員会との関係なんですが、これは2ページに書い てあるので、手続的には移行期が入っているのでややこしいんですが、結局、食品安全 委員会の四角の中の文章は、伝達性海綿状脳症対策部会にリスク評価の結果が行って、 部会で審議したということですね。それが今ここに上がってきたという整理。  それから、もう一つ、グリセリンの話がありましたが、これはややこしいんですが、 グリセリンそのものは牛の中でそういう格好でいるわけではない。グリセリンとファテ ィアシッドに油が分かれるわけで、そういうものではないと。だから、牛の中にグリセ リンそのものはないというわけではないですが、要するに油脂の格好であって、それを 高温・高圧で分解してそのグリセリンを使うという話です。  そうすると、グリセリンに混じるとすれば、グリセリンの生成過程でプリオンが入っ てくるかということをOIEがやったという話ですか、さっきのは。 ○中垣課長  高温・高圧で処理する前に、羊のスクレイピーのプリオンを添加して、そのプリオン 量の変化を調べたレポートでございます。端的に申し上げますと、10の7乗でございま すから、1,000万分の1に減少するというようなレポートでございまして、グリセリンと か脂肪酸とか高温・高圧で分解された上、更には蒸留で精製されてまいりますので、そ ういう点から言っても、紛れ込む可能性というのは非常に限られているだろうと考えて おります。 ○吉倉分科会長  今の件について、食品安全委員会との関係なんですが、食品安全委員会ではこのグリ セリンの話はどうしたんでしょうか。 ○中垣課長  食品安全委員会との関係で申し上げますと、リスク評価としては背根神経節のリスク というのが、せき髄と同程度であるということで尽きておりまして、すなわちリスク評 価、農薬でございますとか、添加物でございますとか、ADIなりTDIという許容量、 耐容量を決めるところで終わるわけでございます。それに基づいて何を規制するのか、 何を規制しないのかというのは、リスク管理措置として整理されておりますので、この 点については、基本的にこの審議会で決めていただくということが必要になるだろうと 思います。 ○吉倉分科会長  だから、グリセリンについては、この審議会で判断する権限があるということですね。 食品安全委員会では特にグリセリンについて評価したわけではない、それでよろしいで すか。  それから、もう一つ、さっきの中垣さんの説明でちょっとわかりにくかったのは、試 案1と試案2というのがあって、試案1はわかったんですが、試案2というのは簡単に 言うと、背根神経節を全部とってしまえば使えるではないかという意見に対するもので すね。ちょっと説明してください。 ○中垣課長  試案2というのは、と畜場で背根神経節をとれるのではないかということから検討し ていただいたところでございます。いわゆる背割りをされた状態で、参考資料1をごら んいただきたいと思いますが、問題のせき柱、いわゆる背骨があるわけで、その2ペー ジ目に断面の模式図が載っておるわけでございます。これ全体がいわゆる背骨と言われ て、せき柱と呼ばれている部分でございまして、真ん中の白抜きにされている部分がせ き髄でございます。それで、背割りされる段階で上から下に切られます。それで、この せき髄をとるわけでございますが、そうすると黒いところに硬膜がございまして、この 硬膜を引っ張っていくと背根神経節が一部とれてくるというような報告がございました ので、それをうまく引っ張って、あるいはいろいろなナイフを使うとか、あるいは吸引 機を使うというようないろいろな方法を試していただいたところでございます。すなわ ち、と畜場でと畜される段階で背根神経節をとることができるのであれば、従来の特定 部位と同じように、と畜場の中で今回の対応もとれるという大きな利点がございまして、 そういう点から、と畜場の御協力を得て、研究費をつけて研究してきたところでござい ますが、現在の段階でも7割ちょっとぐらいの除去率でございますし、なかなかとるの は難しい。世界的に見てみましても、と畜場で背根神経節をとるという例というのは、 我々も承知しておりません。そういう意味では、我が国独自の技術開発なのでございま すが、と畜場で処理ができるというメリットがあります関係上、そういうことをやって みたということでございます。 ○吉倉分科会長  簡単に言うと、試案2はうまくいきませんなということですね。  それでは、どなたか先生方、何でもコメントをいただきたいと思います。  この会場は4時半に終えなければいけないと、1分たりとも遅れてはいけないと言っ ておられるので、効率よくよろしくお願いします。  余り意見がないようですが、今のグリセリンの話は部会で審議中なんですか。そこの ところがよくわからなかったんですけれども。 ○中垣課長  グリセリンについて、文書で部会の先生方にバックグラウンドの文献もつけた上で、 OIEの規約でございますとか、そういう資料をつけた上で意見を求めておるところで ございます。 ○吉倉分科会長  簡単に言うと、5ページの3項目の中で、一種除外規定みたいになるわけですね。 ○中垣課長  5ページのIIIに規格基準の案がございますが、部会の御了解、この分科会の御了解が 得られれば、(2)が牛のせき柱を原材料として使用して食品等の製造、加工、調理しては ならないという規定でございますから、ここにただし書きができて、高温・高圧で加水 分解あるいはけん化あるいはエステル交換という形になると思いますけれども、OIE の規定はそうなっておりまして、例えば、グリセリンとか脂肪酸とか脂肪酸エステルと か、そこから出てくる誘導体になるのだろうと思いますけれども、それを除くというよ うな規定になるだろうと思います。 ○吉倉分科会長  品川先生、これについて何か部会の方からございますか。 ○品川(森)委員  部会全体で審議しているわけではないんですが、安全性という面から見れば、まず問 題ないであろうと。ただ、私はいまだに、この2のところへただし書きでその後つけれ ば、それでみんな理解できるかどうかということが、私自身の日本語の理解力が余り高 くないせいか、どうもはっきりしないので、それだけなんです。 ○吉倉分科会長  もしも、先生がはっきりする文章だとすると、どうなりますか。 ○品川(森)委員  非常に難しいですよ。これは私の感じなんですが、この(2)というのは原材料として使 用してはならないという形で言っているわけですよね。その後、それからとってきた油 脂、この油脂を更に加水分解して蒸留するというような装置、加水分解が非常に高温で すし、蒸留するというような装置ですので問題ないわけなんです。しかし、最初のとこ ろでだめと言っておいた後で、それでとってきたものについてはいいということになる と、どうもうまい日本語が浮かんでこないということですね。ですから、中身がどうこ うではなくて、日本語の表現をうまく何かしていただきたいということをお願いしたい と思っているわけです。 ○吉倉分科会長  今、品川先生がおっしゃったのは、私も非常に引っ掛かっているところでして、中垣 さん、その辺のところは何かうまい知恵はありますか。 ○中垣課長  これは誠に申し訳ないんですが、規格基準として、いわゆる法令の一部として告示を することとなります。したがいまして、法令のチェックを受けていく必要がございます。 一方では、内容をわかりやすく説明するということもまた必要となってまいるわけでご ざいます。そういう点から申し上げますと、仮に今、御説明申し上げましたような、骨 油を含めて油脂を加水分解して得られたような、OIEで申し上げますと、高温・高圧 下で加水分解、けん化、エステル交換したものという定義でございますが、そういうも のを除くというのが整理できれば、1つには、法令上の言葉を用意させていただく。そ れと、もう一つには、Q&A的なものでわかりやすく説明をするという2つの点を追っ てやらせていただこうと思っております。 ○吉倉分科会長  その辺、後で読んで法律的にコンフリクトが出ると困るとは思います。私も品川先生 と同じ心配をしておりますが、そういうものを記録にとどめておいていただいて、後で 問題がないようにお願いしたいと思います。  ほかにございますか。もしもなければ、今そういうような状況で部会での審議といい ますか、そういう意見を一応取りまとめていただいているということで、もし、ここで 今のグリセリンを含めて基本のところで御異議がなければ、先ほど中垣さんが言われた ように、文書で委員の先生方に確認していただいて、最終的な答申案にしたいと思いま すが、よろしいですか。             (「異議なし」と声あり) ○吉倉分科会長  それでは、次にいきましょう。  それでは、その他というのはなくていいんですか。 ○中垣課長  申し訳ございません、その他で報告を2つやらせていただきたいと思います。 ○吉倉分科会長  では、審議のその他はないですね。では、報告に行ってください。 ○中垣課長  報告の1番、2番と書いてありますけれども、申し訳ございませんが、先に1点報告 と申しますか、御相談をさせていただきたいと思っております。報告資料3という資料 をごらんいただきたいと思います。この報告資料3というのは、平成13年1月に、この 食品衛生分科会で確認していただいた資料の抜粋でございます。すなわち、ここで言っ ておりますのは、1番で審議会に諮問を行ったものについて部会、分科会での審議、報 告の扱いは原則として別添の表に示す例による。すなわち、部会と分科会とあるわけで ございますが、分科会でそのすべてを議論していただくというのは、量的にもなかなか 難しい点があるのではなかろうかという観点から、あるいはその内容の軽重に応じて取 り扱いを決めていただいたところでございます。  今、問題となっておりますのは、タール色素という食品添加物の色素の指定ではござ いませんで、新しく認めるとか認めないとか、あるいは使用基準、どの食品に認めると か認めないという問題ではなくて、検査方法を改正しようということで、部会で御審議 をいただいているところでございます。  このタール色素の試験方法、検査方法の改正について、この分科会に諮る必要がある どうかというのが御相談の点でございます。そのために、平成13年1月のこの確認事項 を持ってきたところでございまして、部会での議論をもって審議会としての議論を終え たことにするのか、それとも分科会で議論をするのかという点でございます。  添加物の関係では、1番と2番と2つに分かれておりまして、添加物の指定、指定と いうのは新しく認めるということでございます。2番でございますが「添加物の指定及 び規格又は基準の設定に関する事項のうち、規格又は使用基準の一部の改正で軽微な事 項に関するもの」と書いてあるわけでございます。今申し上げている検査方法というの は規格に当たります。規格の改正に当たるわけでございまして、これが軽微に当たるか どうかというところが事務局でも判断に迷っておりまして、正直申し上げまして、ほか に分科会で御相談、審議していただく事項があるのであれば、分科会でやっていただく わけでございますが、来年1月に御相談しようと思っておりますけれども、タール色素 の検査方法についてのみ分科会を開催させていただいて議論していただく必要があるの かどうかという点についての御相談でございまして、ここで言う2番目、すなわち部会 で審議をしていただいて、部会の審議をもって審議会として議論にしていただいて、分 科会は「△」の報告という形で対応させていただくということで、このタール色素の検 査方法について、そういう扱いでよろしいかということを御相談させていただきたいと 考えておるところでございます。よろしくお願いいたします。 ○吉倉分科会長  これは、その関係の部会の先生はどなたかいらっしゃいますか。 ○中垣課長  添加物部会になりますので、そういう意味では長尾先生なんですが。 ○吉倉分科会長  それでは、長尾さん、よかったら我々はタールの添加色素の定量なんてよく知らない から、先生の意見をちょっと言ってもらうといいと思うんですが。 ○長尾(美)委員  私は、この検査法を改良するという点については、議論はしたことないんです。 ○中垣課長  部会長が交代になっておりますので、そういう意味から申し上げますと、前の部会長 の井村先生がおられたときの案件でございまして、その後、パブリック・コメントとか 終わって、若干の変更を考えて、今、検討しておるところでございますが、その取り扱 いでございますが、そういう意味では、長尾美奈子先生が部会長になられて初めての案 件になるのだろうと思います。 ○吉倉分科会長  今の件は、検査法に関係して添加物以外にほかにもありますか。農薬の残留とかいろ いろ測定法に関係するのは今後ありますね。そもそも測定法というのは、だんだんよく なったり、悪くなることはないけれども、そういうものをこういうところで審議して、 1つは、この分科会のキャパシティにもよるんですが、ちょっと御意見があればお願い したいと思います。断固審議したいという話であれば……長尾先生、どうぞ。 ○長尾(拓)委員  専門家が国際ルールも含めてあるいは国際ルールに近いような形で、しっかり審議し ているはずです。非常に技術的な問題なので、ここへ出されても専門的には実質的でな い気はしますけれども。 ○吉倉分科会長  実質的な審議というのは、かなり能力を超えますね。長尾先生辺りだとよくわかるか もしれないけれども。その辺、こういう技術的な問題については、ひょっとしてこうい う分科会で直接議論しなければいけない場合もなくはないかと思います。非常にコント ラバーシャルな場合はあるかもしれないんですが、できれば、こういう技術的なものは 余り……。集まるのもそれなりに金が掛かると言うと何ですけれども、その辺いかがで すか。 ○丸井委員  技術的な問題まで、ここで審議するという必要は私もないと思いますし、これで言え ば1か2、軽微な事項かどうかというのは、部会長と分科会長が相談なりお決めいただ いて、そして、特に技術的で軽微なものについては報告事項としていただいていいので はないかと思いますが。 ○吉倉分科会長  そうすると、これは部会ではもう議論は始まっているんですか、それとも今からです か。 ○中垣課長  部会では1度議論をしていただいて、その後WTO通報、パブリック・コメントが終 わった段階でございまして、検査方法の改正ということになりますので、そういう意味 で申し上げますと、長尾部会長にはここで言うようなことになるわけでございますが、 いずれにしても部会をもう一度開いていただいて、部会での議論というのは必要だと考 えているところでございます。 ○吉倉分科会長  そうすると、部会を開いていただいて、その中で分科会での更なる議論が必要かどう かという判断も含めて、部会に一応お任せすると。それで、あと報告をいただくという ところでいかがでしょうか。  和田先生、どうぞ。 ○和田委員  先生じゃないんですけれども。 ○吉倉分科会長  いやいや、医療は誰でも先生と言う癖があるので。 ○和田委員  この一部改正で軽微な事項ということの判断は、確かに難しいと思うんです。私ども 消費者はそういう科学的なことは分かりませんけれども、例えば、事務局にお尋ねした いんですが、12月9日付の新聞で見たと思うんですが、カドミウムの基準値が今度日本 のものを大幅に増やしたいと。CODEXにそれを通知したいということでございましたが、 こういうことはどういうふうになるんですか。 ○中垣課長  今、御指摘のありましたカドミウムの関係について事情を御説明したいと思います。  カドミウムの関係というのは、国際基準を巡る対応というのと、国内基準を巡る対応 の2つに分けられます。まず、国内基準を巡る対応につきましては、昨年来、食品規格 部会と、当時ございました毒性部会と合同で、あるいは毒性部会単独で、数次にわたっ て御議論を積み重ねてきていただいたところでございます。更に、本年7月の安全委員 会の発足に伴いまして、リスク評価を食品安全委員会にお願いしているところでござい ます。したがいまして、国内基準につきましては、リスク評価の食品安全委員会からの 回答を待って、食品規格部会で御検討していただいた上、これは重大な事項に当たると 考えておりますので、考えるまでもなくこの分科会で最終的な御審議をいただくことに なると考えております。  一方、国際基準への対応というのは、そういう意味から申し上げますと、ある面で国 内基準とそごを来たすところがございます。どこがそごを来たすかと申し上げますと、 国際基準を議論する上でのリスク評価というのは、JECFA、FAO/WHOの合同添加物専門家 会議というところでやられたリスク評価結果をベースに考えざるを得ないということで ございます。そういう点で異なりますし、更に、国際基準というのは言うまでもなく、 我が国単独でどうのこうのというようなものではないところでございます。そういう観 点から、食品規格部会を開催させていただいて、国際基準への対応というのを協議させ ていただいて、基本的にはいろいろなデータを出していただいたわけでございますけれ ども、修正案と申しますか、我が国の実態を踏まえまして、例えば、米だと0.4ppm、小 麦だと0.3ppmというような基準の修正案においても、国民の健康確保が図れるというよ うなデータがございましたので、そういう点で申し上げますと、国際基準への対応とい うのは食品規格部会に御相談させていただいたところでございます。  一方、これを国内基準としてカドミウムについて設定していくという際には、食品規 格部会の御議論を経て、この分科会において当然のことながら慎重な審議をお願いした いと考えてございます。 ○吉倉分科会長  カドミウムの話は期待して。  大体今のようなことで、先ほどのタール色素の定量法については部会で検討いただい て、この分科会で報告にするか、よほどのことがあればまた審議になるかと思いますが、 基本的には部会で結論をいただいて、こちらに報告ということにしたいと思います。  では、次をお願いします。次は牛の専門家会議の結果ですか。お願いします。 ○南課長  監視安全課長でございます。報告資料1に基づきまして、御説明いたします。  本件につきましては、11月4日に、品川委員が座長をしていらっしゃるBSEの検査 に係る専門家会議におきまして、BSEであるという診断を受けたものでございます。 これによりまして、我が国においてはBSE発症事例は、と畜場における検査によって 発見されたものが8頭目、全体では9頭目ということになったわけでございます。  この牛は、10月29日に広島県福山市のと畜場でと殺されたものでございます。この際 の臨床症状は特になかったというか、健康な牛と余り変わらなかったということでござ いました。この牛は、ホルスタインの雄でございまして、月齢が21か月齢であったと。 飼養地が広島県福山市、生産地は兵庫県であったということでございます。  BSEのスクリーニング検査を実施したのは、福山市の食肉衛生検査所。確認検査が、 国立感染症研究所で行われたわけでございます。  めくっていただきまして、これは陽性になったウエスタンブロット法という検査の画 像でございます。1から12まで上に番号が振ってございますが、この2と3、9と10が BSEのプリオンのパターンでございます。8もBSEのものでございますが、2と3、 9と10のパターンは鎖を切ったものでございまして、プリオンたんぱくが下に沈殿し たものということでございます。  2と3、9と10と比べていただきたいのが4と5と6でございます。4、5、6は今 回の牛のものでございます。比較しますと、同じパターンが読み取れるということでご ざいます。  また、7は今回の牛の検体で、やはり鎖を切ったものでございまして、隣の8と比較 をしていただきますと、プリオンたんぱくの沈殿した位置が同じであるということを見 ることができます。  もう1枚めくっていただきますと、これは、これまでに我が国でBSEと診断された 牛についての検査結果の表でございます。今回のものは9頭目でございますので一番下 でございます。  右の確認検査の結果を見ていただきますと、このものにつきましては、ウエスタンブ ロット法については陽性であったと。それから、免疫組織化学検査、病理組織学検査、 この検査においてはマイナスであったということでございます。  めくっていただきまして、これは一昨年の10月18日、この日からと畜場において牛の BSEの線の全頭検査が開始されたわけでございますが、それ以来の検査結果の集計で ございまして、右下を見ていただきますと、12月9日までに260万頭を超す牛が検査され たと。と畜場において陽性になったものが113頭。そのうち8頭が確認検査でBSEと診 断されたということでございます。  このケースについてのその後の研究状況でございますが、残された検体を使いまして、 いろいろな条件を変えたウエスタンブロット法、それから、免疫組織化学検査が実施さ れております。そのほかプリオンたんぱく遺伝子解析も実施されております。また、伝 達性などの生物的性状を確認するための実験動物への摂取実験も行われております。更 には、イギリスの獣医衛生研究所に対し、検体の提供も行っております。これらの研究 結果につきましては、まとまった時点でまた、専門家の意見を聞く検討会を設けたいと 思っておりますし、これらの研究結果につきましては、学会の発表、また、学術雑誌等 への投稿をしていただくということになっております。 以上でございます。 ○吉倉分科会長  何か御質問はございますか。  これは、肉骨粉を食べさせなくなったのはいつでしたか。この牛は食べているんです か。 ○南課長  それは、ちょっと私の方ではわかりませんが、肉骨粉の使用が禁止になったのは一昨 年の11月からだと聞いております。 ○吉倉分科会長  品川先生、何かコメントありますか。 ○品川(森)委員  この牛が生まれたのは、その後と理解しているんですが、そのこと以前に、日本で肉 骨粉をはっきり食べたということがわかった牛は、BSEが発生したもので1頭もない ということも事実です。 ○吉倉分科会長  そういう状況ですね。検査したのは我々の研究所なんですが。いろいろ実験をやって いるとだんだんわかってくるかもしれないですね。  一応、報告ですか。何かお聞きになりたいことがあれば。 ○和田委員  関連して、今ちょっと書類を見つけ出せないんですが、今日の資料1−2の中の御意 見及び回答の横の方をずっと見ているときに、今からBSEの牛が発生するとしてとい う項目がありましたね。九州に何頭、何とかが何頭と書いてあったと思うんですが、そ ういうことってあらかじめわかるんですか。回答の中にあったと思うんですが、今はち ょっと見つけ出せないんですが。 ○吉倉分科会長  事務局、これは記憶にないですか。 ○和田委員  何ページかちょっとわからないんですけれども、ありましたよね。 ○中垣課長  資料1−2の27ページの79番に対する回答でございます。ここに書いておりますよう に、本年9月30日の農水省の第18回牛海綿状脳症に関する技術検討会・第7回のBSE 疫学検討チーム合同検討会の報告ということで、その結果を引用させていただいたとこ ろでございます。 ○和田委員  これです。こういうものというのは、あらかじめわかっているんですか。 ○吉倉分科会長  多分御質問は、この数の根拠は何だというという御質問だと思うんですよ。品川先生、 わかりますか。 ○品川(森)委員  これは、疫学検討チームの方がいろいろ情報を集めて、こういう形になってきたとい うことしか言いようがない、私はわかりません。 ○吉倉分科会長  何かわかったら、後ででもいいから教えてください。このチームに聞かないとよくわ からないと思いますね。 ○南課長  調査しまして、また報告いたします。 ○和田委員  それで結構なんですが、ただ、こういうふうに回答されたということは、やはり確か なことがあるんだなと私は思います。これを読んだときにすごくショックだったので、 あらかじめわかるんだったら何か手が打てないのかなと思いましたので、以上、よろし くお願いします。 ○吉倉分科会長  わかりました。一応、監視安全課の方でどういうことなのか調べて、手を打てるよう な状況なのか、それもこの数字の出方によると思うんですけれどもね。  それでは、最後の報告事項は、食品衛生法等の一部改正に伴う関係省令等の整備につ いてお願いします。 ○南課長  報告資料2というものと、それから、資料番号はついておりませんが、今日配付しま した2枚つづりのものでございまして「食品衛生法等の一部を改正する法律の概要」と いうもので御説明をさせていただきたいと思います。  御案内のとおり、5月に食品衛生法が改正されました。その規定すべてが一度に施行 されたわけではございませんで、一部は8月29日に施行されております。また、来年2 月27日にも施行が決まっておりまして、更にはもっと先の施行もございます。そういう ことで、今回報告いたしますのは、8月29日に施行された法律に関連する政省令が整備 されておりますので、どういったものがあるかというのを御紹介いたします。また、来 年2月27日に施行される分についての政省令を御紹介するということでございます。  まず、既に施行された分でございますが、2枚つづりのペーパーの1枚目をごらんい ただくとおわかりになると思いますが、食品衛生法の改正につきましては、法律の目的 及び国、自治体、それから、食品事業者等の責務にかかわる規定がございまして、この 中では法の目的規定の見直し、また、国及び地方公共団体並びに食品等事業者の責務の 明確化が規定されております。  また、規格・基準関係では、安全性に問題のある既存添加物の使用禁止、特殊な方法 により摂取する食品等の暫定的な流通禁止措置。  監視・検査体制関係では、命令検査の対象食品等の政令指定の廃止、主に輸入食品が これに該当するわけでございますが、そのほか、監視指導指針、それから、この指針に 基づいて行われます輸入食品の監視指導計画の策定、または、国内におきましては都道 府県等食品衛生監視指導計画の策定。  それから、食中毒等飲食に起因する事項への対応の強化の関係では、大規模・広域な 食中毒の発生の場合、厚生労働大臣が都道府県知事等に対し調査の要請ができるように なった。それから、食中毒発生時の保健所長による調査・報告、それから、罰則の強化 等の規定でございます。  更には、と畜場法、食鳥検査法等につきましても、食品衛生法と同様に目的規定の見 直しや責務規定。  それから、と畜場等におきましては、衛生管理責任者の設置、衛生管理責任者等の責 務についての規定。また、と畜検査につきましても、自治体のみならず国としても、こ の検査に関与するというような規定ができたわけでございまして、これは既に施行され ております。この関係の整備、政令、省令、告示というものは、お手元に配付してござ います食品衛生法等の一部改正に伴う関係政省令等の整備ということでございます。  ここにその概要が出ておりますが、法律との関係では、1枚目の食品衛生法の改正内 容のうちの2の(1)、それから、3の(2)、4の(2)、それから、と畜場法関係では2の(1 )と(2)、この規定に関しての政省令がここに出ております。内容につきましては割愛さ せていただきたいと思います。  それから、来年2月27日に施行されることになっております事項でございますが、2 ページでございます。食品衛生法関係では監視・検査体制の整備に関する規定としまし て、指定検査機関制度、これが登録検査機関制度に移るということでございます。それ から、民間の検査機関を利用した、この登録検査機関を活用した国が行うモニタリング 検査等に係る試験事務の実施も可能になるということでございます。  それから、営業者による食品の安全性確保への取り組みの推進の関係では、総合衛生 管理製造過程、いわゆるHACCP承認が更新制度を導入するということで、承認を受けても 3年経ったら、もう一度更新のための審査を受けなければならないということでござい ます。それから、食品衛生管理者の養成施設や資格認定講習会の登録制度の見直しとい った規定。  それから、と畜場法、食鳥検査法関係では、と畜検査におきます対象疾病につきまし て、農林水産省の家畜伝染病予防法との整合性をとるために、大幅にそういった法律か らの疾病名を取り入れた形にしてございます。  それから、食鳥処理衛生管理者の養成施設、資格認定講習会の登録制度への見直しと いった規定が、来年2月27日から施行される分でございまして、これに伴う政令・省令 等も今準備してございまして、今後パブリック・コメントということで意見を募集する ことにしております。内容については詳細になりますので、割愛させていただきます。 以上でございます。 ○吉倉分科会長  一応、報告ですが、よろしいですか。これは、どんどんまだ改正が進むんですか。も うこれで終わりなんですか。 ○南課長  今後、来年4月1日付のものと、それから、ポジティブリスト制への移行ということ で、再来年、もう1年先の5月までに施行するということになっております。 ○吉倉分科会長  そうすると、要するに、来年5月までこのリストはどんどん大きくなるという話です ね。わかりました。  あとは何かありますか。 ○丸井委員  1〜2分御説明いただきたいんですが、本日の議題のBSEの11月14日に実際にQ& A等々全部マスコミにも流されたと思うんですが、実際にマーケットには非常にエキス を使ったものなどは多いと思うんです。それから、ほぼ1か月経って、余り多分社会的 に大きい混乱はないように思うんですが、何か一月の間に起きたとか、あるいは起きな かったというようなことで、実際に流れたのは一月前ですので、そこの経過を1〜2分 御説明いただけますでしょうか。 ○吉倉分科会長  先生の質問がよくわからないんだけれども、1〜2か月前何が起こって、今はどうな っているんですか。 ○丸井委員  11月14日に部会の報告があって、マスコミにはQ&Aが既に流れているわけですね。 本日のここでの審議の前に情報が社会的には流れているので、その1か月の間に混乱す るようなことがあったか、なかったかという、そのことだけをちょっとお話しいただけ ればと。 ○吉倉分科会長  要するに、さっきの部会報告を各自治体にやった後、何かあったかという話ですか。 どうですか。 ○中垣課長  我々としては、Q&Aを公表して説明をしたつもりなんですが、規制あるいは部会で の決定の内容を説明してくれというような要望というのが多々ございました。また、一 方では、先ほども実態調査でちょっと御説明申し上げましたけれども、エキス等につい ても国産からほかのものへ切り替えるというような切替えが進んでおったというのも事 実だろうと考えております。  更に、本日も一部陳情書を提出させていただいておるかと思うんですが、例えば、参 考資料2に出させていただいておりますけれども、そういうような業界から万全の措置 を講じる準備期間を設ける、負担とならないような措置を講じるというような要望を多 々承っているところでございます。 ○吉倉分科会長  よろしいですか。 ○丸井委員  結構です。 ○村上委員  せき柱の公表についてですけれども、リスクコミュニケーションという目から見ると、 今回は記者発表と同時にQ&Aも出ていて、これはとても手際がよかったと思っており ます。ただし、一消費者の立場から見ますと、今までも安全と思っていた、ところがま だ規制する必要があったのかという、そこがかなり気になるので、やはりこういう今ま でのやり方で事実上リスクは非常に小さいけれども念には念、万全を期すための措置で あるといったことを最初に打ち出して、それから詳しい説明に入れば、かなり安心をさ せたかと思います。でも、非常に早くから丁寧なQ&Aが出ていたのはよかったと思い ました。 ○吉倉分科会長  ほかに何かありますか。あと5分ぐらいですけれども。  それでは、大体これで終わりですが、この前私は農薬で抗生物質を使っているという のを調べてくださいと言って調べていただいて、農薬年鑑にかなり使われていますね。 いわゆる農薬として。  それでは、これで終わりにしたいと思います。どうも今日はありがとうございました。                                       了 照会先 医薬食品局食品安全部企画情報課 03−5253−1111(2449)