03/12/12 第5回雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会議事録        第5回 雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会議事録 1 日時 :平成15年12月12日(金) 10:00〜 2 場所 :厚生労働省職業安定局第1会議室 3 出席者:委員  (公益代表) 松本座長、廣見委員、冨田委員           (雇用主代表)奥田委員、才賀委員、下永吉委員、林委員           (労働者代表)池田委員、笹田委員、寺澤委員       事務局 新島大臣官房審議官、田窪建設・港湾対策室長、           小林室長補佐、伊藤室長補佐       オブザーバー 職業能力開発局育成支援課 森田補佐              国土交通省総合政策局建設振興課労働資材対策室 西口補佐 4 議題 :(1)建設業の雇用動向等について       (2)建設技能労働者の養成の在り方に関する研究会報告書について       (3)建設雇用再生トータルプラン(仮称)について       (4)その他 5 議事: ○松本座長  久しぶりの建設専門委員会で、皆さんも意気込んで来られているのではないかと思い ます。今日の審議もさぞかし活発なものになることを期待しています。  それではただいまから第5回建設労働専門委員会を開催したいと思います。今年2月 に開きました第4回の委員会以降、お二方の委員に異動がございました。ご紹介いたし ますので、一言ずつご挨拶をいただければと思います。  小越委員の退任に伴い、新たに委員となられた奥田委員です。 ○奥田委員  日建連の奥田でございます。5月からこちらにまいっております。こういう委員会は 不慣れなものですから、ご指導いただきながら精一杯務めたいと思いますので、よろし くお願いいたします。 ○松本座長  桜井委員の退任に伴って新たに委員になられた下永吉委員です。 ○下永吉委員  全国建設業協会の下永吉でございます。よろしくご指導をお願いいたします。 ○松本座長  それでは、次第に従って会議を進めていきたいと思います。なお、前回の専門委員会 においてご了承いただいたとおり、今回から会議、議事録、資料等は公開となりますの で、よろしくお願いいたします。  本日の議題は4つございます。(1)「建設業の雇用動向等について」、(2)「建 設技能労働者の養成の在り方に関する研究会報告書について」、(3)「建設・雇用再 生トータルプランについて」。(4)「その他」という順番です。  それでは、初めに1番目のテーマ、「建設業の雇用動向等について」の説明を事務局 からお願いします。 ○伊藤補佐  「次第」に則って説明させていただきます。その前に、お手元に資料No.1からNo.6 の資料が配付されているかと思いますので、ご確認をお願いします。資料No.1が「建 設業の雇用動向等」。資料No.2が建設技能労働者の養成の在り方に関する研究会報告 書」。資料No.3がいま申し上げた報告書の「要旨」ということです。資料No.4が「建 設雇用再生トータルプラン(仮称)」。資料No.5が「教育訓練施設の在り方に関する 研究会報告書」。資料No.6がいまの資料No.5の本体のレジュメです。以上で合計6種 類です。不足はございませんでしょうか。  まず1番目の「建設業の雇用動向等」です。これについて、お手元の資料では、カラ ー刷りのもので、全部で53枚ほどのグラフ等が入っているかと思います。これに従っ て、簡単にご説明申し上げます。  まず1つ目が、「建設業を巡る状況」はどういうふうになっているのかということで す。なおこの資料については、前回の委員会で、委員の皆様方から、建設業の現状とい うのはどういうふうになっているのだろうか、あるいはもう少し詳しい資料等はないか というようなご意見をいただいて用意させていただいたものです。  まず「建設投資と就業者数」ですが、これについてはお手元の資料No.1の1頁、2 頁にまとめさせていただいております。グラフをご覧いただければと思います。建設投 資については、ピーク時の平成2年で、我々のほうは実質のほうで押さえさせていただ いております。平成2年のピーク時に比べて、平成15年見通しについては約3分の2ま で減少するであろうということです。それはいちばん上の折れ線グラフに対応しており ます。  「許可業者数の動向」については、真ん中辺りにある折れ線グラフで、平成12年3月 末をピークとして、平成15年3月末で1割ほど減少しているところです。  「建設業の就業者数」については、下の棒グラフになります。ピーク時の平成9年に 比較して、1割ほど減少しております。なお、就業者数に占める建設業従事者の割合に ついては、平成9年が10.4%に対して平成14年が9.8%で、0.6%減少ということです。  2頁目については、「地域別の建設業就業者の変化」ということで、グラフとしては 昭和60年、平成9年、平成14年の3年についてグラフ化させていただいております。こ れについては、南関東・中国ブロックを除いて、就業者に占める建設業の割合はいずれ も増加している状態が読み取れるかと思います。就業者数の変化についても、各ブロッ クとも、平成9年との比較ではいずれも減少しておりますが、昭和60年との比較では、 ほとんどのブロックで増加している状況です。  昨今、建設業界は雇用過剰であるというような話が聞かれますが、この関係の資料が 3〜7頁までです。まず3頁に、いろいろ折れ線グラフで書いてありますが、産業別に 見た常用雇用労働者の過剰観の動きはどうかということで、平成10年以降、「過剰であ る」と考えている企業が、「不足する」と考えている企業を上回っていて、特に最近、 それまで高かった製造業を抜いて、悪いほうのトップになっているというところです。  5頁、6頁には、職業別に見た場合どうかということで、グラフを載せてあります。 これについて、平成10年以降、管理部門、事務部門、単純工については常に過剰観があ ります。専門・技術及び技能工については、過剰と不足の間を行ったり来たりしている 動きが見られ、特に11月期において、技能工は不足のほうに若干転じた動きが見られる ということです。  8頁以降で、就業者の関係を載せてあります。8頁の就業者、これは先ほど申し上げ たとおり、平成9年の685万をピークとして、漸減していて、平成14年で618万まで落ち 込んでいます。  9〜11頁にかけて、従業上の地位別に関するグラフを載せております。これから読み 取れるだろうということについては、基本的には常用雇用者が非常に減少してきている ということです。職業別には、平成10年と平成13年では建設作業者の範疇が大きく減少 していて、特に平成14年においては管理部門のほうが大きく減少しております。  16頁、17頁では、これについては雇用調整の実施状況はどうかという資料です。16頁 では、5つほどの産業の比較を載せてあります。特に建設業においては、雇用調整を実 施する割合は製造業と並んで高い状況で推移しております。  17頁では、雇用調整の方法を載せております。これは建設業に限ったものですが、こ の中では残業規制というのが最も多く、次に配置転換ということですが、特に希望退職 の募集・解雇を実施する割合で、波はありますが、割合としては高いほうではないかと 思っております。  18頁、19頁にかけて、倒産の関係の資料を載せております。最近、建設業の倒産件数 に占める割合は3割前後で推移しておりまして、19頁に、直近の月別倒産件数を載せて おりますが、このあたりでも大体3割前後ということで推移しております。  20頁には、建設業の企業規模、全産業的に見た企業規模のグラフを2つ載せておりま す。これによると、建設業の場合、5〜19人規模の企業が非常に多く、30人未満の企業 になると、全体の95%を占めておりまして、全産業の90.3%から見ると、小規模・零細 の企業が多いということが読み取れるかと思います。  21〜23頁にかけては、年齢構成のグラフを載せてあります。この中からですと、特に 建設業については、就業者数の半数以上が45歳以上です。非農林業総数が46%というこ とですので、建設業のほうでは、いわゆる中高年齢層が多いという傾向であります。  その後ろのほうのグラフを見ていただくと、若年層は減少している傾向であろうとい うことです。特に15〜24歳、35〜44歳は減少傾向にあることが読み取れるかと思いま す。これは、そういった意味では、最近の建設業の中高年齢層の増加ということが明ら かになってきているということです。  24頁には、男女比率に関するデータを載せてありますが、特に建設業における女性就 業者の比率は低く、非農林全体で40.8%、サービス業では53%が女性の就業者が占めて いますが、建設業については14.9%ということです。一時期は増加傾向が見られたので すが、最近、少し下がり気味というところまで読み取れるかと思います。  25〜28頁については、「労働移動の状況」ということで整理しております。まず、ま ず25頁のグラフからは何が読み取れるかというと、平成8年くらいまでは、入職が多か ったという状況ですが、そこから9年かけて劇的に動きが見られて、一挙に離職増加の 状況でずっと推移しています。特に昨年(平成14年)については、製造業を抜いて離職 超過の状況が特に大きくなっているというところです。26頁では、入職者数の状況は平 成8年がピークで、離職者の状況は平成9年がピークという状況です。27頁で、これは 職業別に見たもので、技能工や建設作業者については、平成9年以降離職超過の状況で 推移しております。また、管理的職業については、平成7年を除いて、離職超過の状態 にあり、事業従事者についても、平成8年以降離職超過の状況にあります。  28頁、年齢別に見た場合では、55歳以上になると、常時離職超過になります。特に昨 年においては、15〜19歳以外を除いて、すべての年齢層において離職が超過していると いった状況です。  29〜34頁まで、「産業別入職者の状況」という観点でご覧いただきます。まず29頁 は、「入職者の年齢構成」で、45歳以上が40.6%を占めている状況です。これについて は、全産業が24.1%ということですので、やはり入職者の中高年齢化が窺えるかと思い ます。  30頁は、「入職者に占める新規学卒者の割合」ということで載せてあります。全産業 と比較して、依然として低い状況にあるということです。31頁は、「新規学卒就職者の うち、建設業への就職者の割合」ということですが、平成8年をピークに減少している 状況にあります。32頁は、新規学卒者で入職してくる方の学歴はどうかということです が、建設業の場合は半数以上が高卒者になっています。これに対して全産業で見た場合 は、半数近くが大学卒ということで、学歴的にはちょっと傾向が違っています。  33頁、34頁は、「建設業への入職者の入職経路」ということでグラフを載せてありま す。やはり依然として、前にいた会社を含む縁故の割合が非常に高いということで、平 成14年で47.7%になっています。これに対して、全産業ではどうかというと、25%弱と いうことですから、いかに縁故が高いかということです。職業別に見た場合では、生産 工程・労務作業者に関しての縁故の割合が非常に高い。次いで管理的職業従事者が半数 くらい、縁故採用ということになっております。35〜39頁については、「離職者等の状 況」ということでグラフを載せてあります。35頁は、離職者の状況はどうかというと、 45歳以上の者が50.4%、60歳以上では22.2%を占めています。特に60歳以上の離職者 は、他の産業における割合よりも高い状況にあります。  36〜39頁では、最近の新規学卒者について、3年以内に離職した率はどうかというこ とです。これについては、大学を除いていずれも全産業平均を上回る、離職率が高い状 況にあります。  40〜44頁については、産業間移動の状況はどうなっているかということです。40〜41 頁については、建設業への転職者に関してで、この転職者の半数以上が、前職も建設業 に従事していた方で、昨年は70.8%の方が、引き続き建設業に転職しているということ です。  42〜43頁については、建設業離職者の方がどのような産業に転職していったかという グラフです。平成14年では、約66%の方が、転職先は建設業です。ほかの産業として は、サービス業、卸売・小売業、飲食店への転職が比較的多いということです。44頁に は、最近、建設業から転職された方で、どの産業が入ってくる方よりも多く流出してい るかということですが、これについてはサービス業、卸売・小売業、飲食店、こちらの ほうが転出超過の状況になっているということです。  45〜49頁については、「求人等の状況」に関するグラフです。45頁、46頁について は、最近の「新規常用求人数」ということでグラフを載せていて、建設業の場合は平成 8年度をピークに減少傾向にあります。充足率については、増加している状況にありま すが、他の産業に比べるとまだ低い状態にあるということです。47頁、48頁について は、新規の臨時季節求人に関しての資料で、求人の関係では、継続的に減少はしている ものの、充足率については他の産業よりも高いということが読みとれます。  50〜53頁は、学卒の関係です。50頁と52頁については、新規学卒者を対象とする求人 ということで、中卒と高卒について載せております。中卒については、平成3年3月 卒、高卒については平成4年3月卒をピークとして以降、減少を続けていて、平成15年 3月卒では、当時と比べて、中卒については約9割ほど減少、高卒については85%ほど の減少になっているということです。充足率については、こういう厳しい環境の中では ありますが、徐々に高まっている傾向にあろうかと思いますが、全産業と比べると、中 卒については幾分下回って動いています。また高卒については、かなり開きがあるかと いうところです。  以上、資料の関係について、雑駁ですが、ポイント的にお話をさせていただきまし た。 ○松本座長  「建設業界の雇用動向等」ということで、ご説明いただきました。何分、枚数の多い 資料なものですから、どこに焦点を当ててお話を伺ったらいいかわかりませんが、むし ろ委員の皆さんから、この点について聞きたいという、質問あるいは意見等がございま したら、発言をお願いします。 ○林委員  すばらしい資料をありがとうございます。よくまとめられてあります。ただ、資料と しては、次回でも結構ですが、この会議の本来の、「雇用改善計画の進み具合」の資料 を、お願いしたいと思います。雇用改善は進んでいないんじゃないかという感じが実感 としてありますので、そちらの資料をまたお願いしたいと思います。  2箇所ほど。23頁の「年齢階級別の構成比」ですが、確か、国土交通省さんの公共事 業労務調査では、多分、平均年齢はあまり上がっていないと思うのです。これは階層別 ですので、足しての平均年齢はここに出ていないと思うのですが、多分横ばい。私は以 前に、建設労働者の平均年齢が50歳くらいになるのではないかと思ったのですが、43歳 か44歳で止まっていますね。ということで、高齢化の進展が押さえられ、うまく推移し ているかなという感じをもっています。このグラフの青い三角(25〜34歳)が22.7で、 このあたりが、実感として増えているなと思っています。  もう一つは、51頁の、これからの話だと思うのですが、中卒の人を採って教育して、 自社のカラーに合わせるというのは、以前は取り組む会社がかなり見受けられました が、いまは、多分経営者の考え方は、高卒とか中卒の方を採って、2年も3年もかけて 訓練していって、その費用は回収もできないしというのであれば、もう一人前の人を雇 って即戦力を望むという方向にあるよう思われて危惧しています。  事業内訓練校をもっていた会社で経営が苦しいとか、倒産したとかということを聞き ます。有名な佐藤工務店なども、非常に一生懸命やっておられたのがおかしくなって、 私どもは非常に残念に思います。  このすばらしい資料を見せていただいて、最近の情勢でちょっとそんなことを感じま したので、意見として述べさせていただきました。 ○寺澤委員  同じ23頁で、この数字は、このグラフを追っていくと、15〜24歳というのは下に向け たトレンドで、次の年齢層にいくと、今度は上のトレンドで、その次はまた下がるトレ ンドというように、交互にトレンドが出ていますね。これは、何かあるんですか。実に きれいに。上のほうの2つは違いますが、下のほうは全部そういうトレンドなんです ね。 ○田窪室長  なかなか分類することができないですけれども、ちょうど年齢層で分けていますの で、順次その年齢が高くなっていくので、採用の多かった時期の人の層がどんどん上に 上がっていけば、そこのところは増えてくるという状況だと思うのです。  ただ、全体として、我々として心配しているのは、15〜24歳層の入職者が減ってきて いるので、いずれはこういった方々が中堅なりの役割を果たしてくるのだとは思います が、いま、35〜40歳の方が、またいずれ50とか、そういう形になってしまうので、全体 としては、やはりいちばん若い層の入職者数がちょっと減ってきてしまっているという のは、一応押さえておく必要があるのかとは思っております。 ○林委員  15〜17歳までは、実際は危険作業に就けませんので、建設業では職種によっては見習 い扱いなのです。18歳以上でないと墜落の恐れのあるといった高所作業もできませんし ね。18〜24歳というと、数的にもこの層は少ないんですね。  だから私どもは、その上の25〜30歳、これはもう一人前です。いちばん働くところで すね。ここが増えているというのは、非常に喜ばしいと思います。ずっと増えてくれれ ばいいですが、また変わるかもしれません。しかし現状は非常に評価していいのではな いかと思います。 ○才賀委員  林委員が言われた、25歳前後の建設労働者が増えているという中には、やはり従来は 宿舎に入れて管理して、直用工というような形態で進んでいたのですが、全体的に二 次、三次下請けに依存しているものが多いものですから、それと同時に、固定した労働 者を職場復帰させない。要するに、一人親方的な給料の仕払い方をしているものですか ら、非常にこの25歳、26歳の若者が大勢入ってきているというのも現実です。  それと、東京、大都市ですと、超高層等がありますので、とび工が非常に多いので、 とび工については、日給月給にしても、ある程度の給料が払えるものですから、非常に 就職率がいいということです。  その下の数字になると、いま林委員がおっしゃったように、いま専門工事業者の経営 者は非常に厳しいので、教育して持っているというようなことができないので、ほとん ど即戦力を採用して、自社で教育して仕込むというようなことは、まずやっていないわ けです。それと、全体的にいまマニュアル化されているものですから、マニュアルどお りに仕事をすればできるということで、建設業に非常に安易に入ってくる者が多いとい うことで、その辺で重篤災害事故も多いのではないかと思われます。 ○奥田委員  関連で、若い人の教育というのは、15〜24歳はどうしているのですか。 ○才賀委員  いまはしていません。 ○奥田委員  技能というのは、どこで身につけて現場へ入ってきているんですかね。 ○才賀委員  ですから、24、5歳ですと、やはり2、3年、その建設現場でウロウロしているとい うのが多いですね。 ○奥田委員  自分で技術を見様見まねで身につける。それでちょっと、とびに毛の生えたようにな ると。 ○才賀委員  高い所に上ぼれるようになって。 ○奥田委員  専門工事業者の大手の所へ行って、「とび、できますよ」と。 ○才賀委員  ちょっと高い所に上ぼれれば、「とびですよ」と言って。 ○奥田委員  怖がらず、上ぼれる人が。 ○才賀委員  移動して給料上げていくしかないんですね。だから、長期に同じ所に5年も10年も勤 めているという若い衆は、いま非常に少ないです。 ○奥田委員  組織的な教育は全然やっていなくて、個人個人が、その人の力で自ら腕に技能をつけ ているということですか。 ○才賀委員  それと同時に、個人個人が各企業に入って、ランクが上がっていきますと、逆に言う と、資格がないと我々の所も職長させられないですから、各企業でそのときどきによっ て、ピンポイントで教育するというのが、人事上あります。 ○池田委員  林委員のおっしゃる、即戦力について、非常に気にかかる点があるのです。全建総連 というのは労働組合ですが、事業主、一人親方、労働者が入っている、非常に珍らしい 組合です。その統計が本当に当たるかというと、そこは若干問題があると思いますが、 全建総連はいま70万人いて、1年間に6万3,000人くらい入ってきているのです。辞め る方が7万人いますから、マイナスになっているのですが、その6万3,000人を私ども 組織で調査しているのです。今年6月末の基本調査を基にして言うと、10代、20代、30 代の方が54%入っているのです。若い人たちがです。このとおりなのです。その代わ り、また辞める方も10代、20代、30代で、54%のうちの35%が辞めてしまうのです。そ こが1つの問題点です。  そこで、即戦力の問題で、先ほど林委員もおっしゃったように、バブル当時はゼネコ ン大手も、すべての建設業は自分たちで認定職業訓練校とか、そういう形で技能を教え ていました。それが、バブルがはじけて、670校くらいあったものが、いまはもう休校 ・廃校が圧倒的です。全建総連で調査すると、うちの組合で120校、それから全建連と いうのがあるのですが、これは中小企業の組合ですが、これが85校、合わせても200校 くらいです。それで町場の建設職人の、大工とか左官とか板金とか、そういうものをし ているわけです。ところが、林委員が言われたように、全くしていないわけではないけ れども、非常に新しい若者がそういう所へ入ってこないのです。  そうすると、林委員の問題になって、確かにいまは50代とか40代の人たちが非常に即 戦力になる技能者がいるけれども、やがて、あと10年か15年経ってしまえば、私は経営 者が言うように、林委員が言うように、即戦力になる人たちがどのくらい残っているの か、どのくらい潜在的にあるのか、私は大変そこを心配しているのです。それは我々の 後継者問題と、林委員が言われた即戦力。いまはいいけれども、あと10年、15年と経っ たときにどうなのかということで、全建総連はいま後継者問題をものすごく重要視して います。そこは、分析は正しいのですが、その後が非常に心配です。 ○林委員  全建総連さんが取り組んでおられることは非常に立派なことだと思います。また、や らなければいけないと思っています。  さっき、才賀委員も言われたように、やはり、私もこの前、直に専門工事業の経営者 から聞いたのですが、ある人を土工で雇って、1年半働いてもらっているうちに、玉掛 けを取らせたりしたのです。その後現場へ行ったら、違う会社で、とびをやってたとい うことです。  1年半、土工として働いて、自分で、とびになろうと思って、資格も取らせてもらっ ても、そこにいたら、なかなか「とびに」とは言いにくいようです。違う会社に替わる と、玉掛けもみんな持ってますので、とびで雇ってもらって、とびの仕事ができる。や はり才賀委員が言った、格好よく言えば、「オンザジョブ」ですが、本当にオンザジョ ブで、体系的に教育や訓練がやれているかどうかは、ちょっと疑問がありますが、やは りいちばん大量に養成しているのは、いま才賀委員が言われたように、オンザジョブと いうか、見習って教えて、働きながら技能を上げて、職種もグレードも上げていってい るというのが実情だと思います。 ○才賀委員  ですから、ここのところ建設業は非常に一生懸命、我々の団体もそうなのでしょうけ れども、いま外国人の養成をしていますね。ですから、あれだけのお金があるなら、逆 に言うと、いま池田委員がおっしゃるように、10年先、20年先を考えれば、日本人の若 年労働者の教育のほうを力を入れてやっていただいたほうがいいのではないかと思うの です。  というのは、いま経営基盤が非常に弱いものですから、教育まで金が回らないという ところで、非常に若い人の教育がおろそかになっている。そうすると、これから20年先 に、難しい仕事があったら、極端に言うと、中国から若い衆呼んでくるのということに なってしまう。そういうふうになってしまうのではないかと思うのです。ですから、い まこの時期、国を挙げて、逆に言うと、若年労働者の教育をしておかないと、日本の建 設業にとって非常にマイナスになるのではないかと思います。 ○松本座長  ほかに何かございますか。 ○奥田委員  ちょっと関連で、「全産業の年齢構成比」というのがありますね。その中で、私の問 題意識は、55歳以降が中高年の受け皿に建設業がなっているのかどうかという疑問があ るのです。受け皿としてどうなんだろうか、比率が増えているのか。リストラされて、 建設業に中高年が入ってきているのかどうかということは、ちょっと知りたいなと思っ たのですが、そのデータはありましたか。 ○田窪室長  年齢別の、産業別の、全産業という数字はちょっと取れていないものですから、そこ まではちょっとわからないのですが、ただ、建設業の現状から見ると、他産業と比べる と、入職される方の年齢層は高いところになっている。  ただ、それは全く別の産業から来れるかどうかというのは、また別の問題かと思いま すし、それは、産業間移動の数字を見ていただくと、やはり建設業に入ってこられる方 は、前も建設業におられた方が非常に多いという状況で、またその建設業においては、 いわば一人親方的な働き方で、企業のほうを移動されるという方もかなり多いというふ うに承知しておりますので、そういう意味の数字は、この年齢層の高いところでは出て きているのかなと思います。  ただ、他産業からどこまで来ているのかというのは、私もちょっと。 ○林委員  奥田委員の言われたことは、21頁と29頁を比較したらいいんじゃないですか。21頁と いうのは、いまの現状でしょう。この表でいくと、いま45歳以上が約50%くらいいると いうことでしょう。それで、この29頁で、建設業への入職者の45歳以上の比率が40%く らいということですから、この年層については今いる人より結局、入ってくる人の方が 少ない。50%入ってきたら比率は変わらないけれども、40%しか入ってこないというの は、我々さっきから言っていますが、比率でいえば、若い人が入ってきているという分 析でいいわけですね。 ○松本座長  若い人たちが入ってくるのが多いということですか。 ○林委員  と思います。 ○池田委員  先ほど言った私どもの調査で、若い人たちが資格を取りたいと言うのです。これが相 当多くなってきているのです。その資格は、我々町場ですから、建築士か技能工か、ど ちらかだと思うのです。いま生命保険会社がやっても、町場の大工さんになりたいとい う若い人たちが非常に多いし、そういう、資格を取りたい若い人だけではないと思いま すが、そういう職種とか、どういう資格を取りたいかというデータというのはないです か。 ○笹田委員  厚労省と国交省絡みで、また別々にありますからね。 ○池田委員  例えば、とびになりたいとかありますからね。とびの、あれは玉掛けでしょう、何で すか。 ○笹田委員  作業士免許。 ○池田委員  作業士免許ですか、そういうものを取りたいとか、一級建築士や二級建築士、電気 工。 ○才賀委員  さっき言ったように、やはり給料のギャップなのです。1つでも持ってよそへ行けば 認められる。ゼロより1つ、1つより2つというところです。ですから渡り歩く。あそ この会社へ行けば、3年行けば3つ間違いなく取れるよと言えば、そこへ行って3年間 はやります。3つ取ってしまうと、またすぐよそへ行く。非常にそういうのは難しい。  ですから、企業も金を突っ込んで一生懸命教えて、よし、この野郎、一人前にもうち ょっとだと思うと、ポッと動く。その動くときに給料を上げてやらないと、どこかへ行 ってしまうのです。それは要するに、経営者の見る目でしょうね。 ○池田委員  いまのそのシステムが、私は、強ち否定してもいけないと思うのです。ドイツの職人 などを、やはりこうやって、転々と職業訓練のような形で雇用主を替わりながら、腕を 磨いていって、それで最終的には資格を取るというふうなシステムもあります。  だから、いま才賀委員が言われたように、やはり人気のある、資格を取らせてくれ る、あるいは技能が身につく会社というのは、若い人が集まってくると思うのです。 ○才賀委員  これは昔から言われているのですが、仕事があればその会社に来ますよ。 ○池田委員  いまはないからね。 ○才賀委員  というのは、とびをやりたい人ならね、要するに低層の10メートルから20メートルの 鉄骨ばかり立てているとびが、たまたま超高層をやると、やはり魅力が超高層に行くか ら、超高層をやっているとびの親方の所にどんどん走ります。 ○池田委員  給料が全然違うんでしょう。 ○才賀委員  全然違うというほどでもないですが、少なくとも2,000円〜3,000円は違います。 ○池田委員  1日でですか。 ○才賀委員  はい。 ○池田委員  それは大きい。 ○才賀委員  ですから、これは、東京都内の業者だけでなく、いま東京が忙しいというと、関西か ら大勢とびが入ってきますから、全国的に職人は流れています。 ○松本座長  大きなプロジェクトがあると、そこへワーッと一気に来ますよね。 ○才賀委員  はい。 ○笹田委員  とび・左官は移動しますね。比較的多いですね。とり分けとびは。 ○松本座長  論議が尽きないようですが、まだ3つ4つ議題がありますので、事務局のほうで、い ま質問に出た資料等、用意できるものがありましたら、委員の方に届けるなり配付する ようにしてくださるようお願いします。  続いて、2の「建設技能労働者の養成の在り方に関する研究会報告書」、これについ て、事務局から説明をお願いします。 ○伊藤補佐  2番目の「建設技能労働者の養成の在り方に関する研究会報告」の部分です。お手元 には、2種類の資料を配付させていただいておりますが、厚いほうは後ほどご覧いただ くとして、資料No.3の報告書要旨でご説明させていただきます。  先ほど来お話に出ているように、この問題についてはいろいろな方々からお話をいた だきました。その中で、やはり、若い人たちの養成・確保は必要なのだろうということ を基に、昨年9月4日に、この本委員会の委員をお願いしています冨田委員に、座長を お願いして、この研究会を立ち上げました。  昨年9月から今年3月まででしたが、通算5回開いて、その間、我々のほうで事業主 さんのほうにアンケート調査を行ったほか、そのアンケート調査に基づいて、いろいろ なご検討をいただいて、この報告書をとりまとめたということです。  それでは、お手元にお配りしている報告書要旨に沿った形でご説明いたします。本報 告書をとりまとめるに当たって、3つのパートから組み立てております。1「建設業を 巡る現状」はどうか。2「建設技能労働者の養成を巡る現状と課題」というのはどんな ものか。最後に、3「建設技能労働者を養成定着させるための改善策」としてどんなも のが考えられるかといった3つの視点からなっております。  1番目の現状というのは、先ほどデータとか各委員のほうからお話がありましたよう に、非常に厳しい状況にあるということです。それから、この検討会の中で行った実態 調査の中でも、やはり厳しい中ではありますが、若年・中堅層を中心とした建設技能労 働者は不足しているという回答状況になっております。特に多くの企業が、そのような 状況の中で20〜45歳未満の労働者を確保したいというふうに考えていることが明らかに なっております。  そのような、非常に厳しい、あるいは足りないという状況の中で、では建設技能労働 者の養成をめぐって、どのような動きになっているのかということです。2の(1)に なりますが、技能労働者の採用等の状況はどうなっているかということです。これにつ いても、データのほかに、実態調査の結果ですが、最近というか、ここ3年ぐらいを比 較した中で、「建設技能労働者を募集していない」と回答した企業が全体の7割を超え ているという状況です。最近というか、3年前という比較ではなくて、「最近募集して いない」というのが全体の7割です。3年前(平成10年)ですが、それと比べた採用者 数はどうか。やはり減少傾向にあるという方が約4割ほど回答なさっているということ です。そういった中で、技能労働者の求人等については、減少傾向にあるということに なろうかと思います。充足率についてはどうかというと、実態調査の結果で、技能労働 者の募集を行ったけれども、そのうちの約3分の1が、必要な人数を採用できなかった という回答状況になっております。このような流れから、やはり厳しい経営環境を背景 として、技能労働者の採用意欲というものの減退が1つあるのかなということです。そ れと、相当数の企業において、必要な人材を十分に確保できていない状況にあるという ことです。  2頁目で、建設業労働者の入職のシステムが、やはり縁故採用が非常に多いというこ とで、最近の厳しい状況の中で、このようなシステム、縁故採用という動きがいつまで 機能していくのかということも片方で問題もあろうかと思います。そういう中で、新た な需給システムというものも、片方では模索していく必要があるのではないか。それ と、学校教育との連携を図って、若年労働者の確保という観点も必要ではないかという ところです。  (2)の「定着率」の状況。これについて、実態調査では、全く未経験者の方が建設 業に従事して一人前になるまでというのは、全体職種で見ると、大体5.5年ほどかかる ということになっております。それに比較して、一人前になるまでに、ですから5年経 たないうちに、そのうちの約4割くらいの労働者の方が離職しているという回答になっ ています。ただ、回答をいただいた企業の規模別というか、その割合が、非常に偏って いることも想定されるので、ここの扱いは慎重にしなければならないとは考えておりま す。そのような結構な率が離職しているということです。  これに対して、アンケート調査の結果では、企業の認識としては、労働者の職業意識 が乏しいからこういう状況になっているという回答になっている傾向ですが、いろいろ 研究会で議論された中では、ここのところに企業側の意識と労働者側の意識というの に、認識のズレがあるのではないか、そういう可能性があるのではないかというところ でした。  (3)の「教育面の実施状況」については、回答いただいた企業の中で、「何らかの 形で教育訓練を実施している」という所が半数以上の回答になっております。特にその 中で、業界団体が実施する認定職業訓練を受講させたものが多いという状況になってお ります。また今後の実施予定も同様に考えているというところです。反面、教育訓練を 受けさせたけれども、効果がない、あるいは期待していたほどではないといったもの も、足し上げると相当数を占めるという状況にあります。因みに、OJTでは4割強が、 あまり効果がなかったのではないかというところです。またOFF-JTについても、どこで 受けたかによりますが、大体2割から4割程度、そのような回答になっております。効 果が低いと考えている理由としては、やはり従業員の意識の問題が大きく捉えられてい るということと、訓練期間が短かった、あるいは内容が実務的ではなかったというよう な回答も、比較的上位を占めています。  この教育訓練を巡る動きについては、先ほど委員のほうからもいろいろ話があったよ うに、厳しい環境下の中で、教育訓練を実施するについては、削減する動きが見られま す。今後、そのような状況が続いていけば、労働者の確保に深刻な影響が及ぶことが懸 念されているところです。因みに、アンケート調査によると、教育訓練に要する経費を 減少させている、そういう傾向にあると回答した企業の約6割を超える所が、会社の経 営上やむを得ずそういう機会を削減しているという内容の回答になっております。  (4)の「能力開発と資格取得と処遇との関係」について、アンケート調査で聞いた ところ、何らかの資格を取得した技能労働者に対して、結構多くの企業が「資格手当の 付与」を中心として、何らかの形で処遇改善措置を実施しているという回答にはなって いるのですが、それが決して体系的な措置にはなっていないというような状況が窺える ところです。  特に資格手当の付与というか、処遇改善に充てている資格というと、「建築士・建築 施工管理技師等の国家資格」「技能士」「団体による資格や認定制度」といったような ところを取り上げております。そういう資格を持った場合には、先ほどの資格手当の付 与を中心として、定期昇給への反映とか、職長など、一定の職業に就くための要件とし ているというふうに回答している所もあります。  研究会の議論の中でも、資格は取っているけれども、それが的確に処遇改善につなが っていないケースも間々見受けられるというような話もありました。この辺の処遇改善 の正当な評価というか、措置につながっていないというのは、やはり定着しない要素の 1つになっているのではないかというような議論もあったかと思います。  最後の3「養成・定着に向けての改善策」、これについてはやはり業況が非常に厳し いということですので、企業については経営基盤の強化、効率化等によって雇用維持・ 確保を図っていただくということとともに、建設業の将来を担う技能労働者の養成・確 保についても、建設業の健全な発展とか、建設工事の適正な施工という観点からは、不 可欠であるということです。  そういう中で、研究会としては、長期的には建設業界全体での視点から、技能労働者 の養成・確保を推進していくための方策が必要であるというご指摘をいただいて、当面 においては、次のような視点からの取組みが重要であるということで、3点ほどご指摘 をいただいているところです。  1「建設業における雇用不安を解消するための施策の推進」、2「認定職業訓練を中 心とした効率的・効果的な教育訓練の推進」、3「体系的な処遇改善措置や建設技能労 働者のキャリアルートの明確化による定着の促進」ということです。  このような視点に立って、各建設事業主、各建設事業主団体あるいは行政が、それぞ れの立場で具体的に次のようなということで、(1)から(3)まで掲げております が、そういう措置を講じていくべきではないかということです。  建設事業主においては、先ほどの1から3に応じた形の中で、例えば新規・成長分野 への進出等も含む経営基盤の強化・経営の効率化等による雇用の安定を図るべきであろ う。それから、教育訓練についても、いままで個々の事業主において教育訓練を担って いただいているわけですが、そこらが厳しい状況ということもあり、例えば施設・設 備、講師等の共有化とか、共同訓練の実施等によって効率的な教育訓練を行う必要があ るのではないかというようなことです。  また、先ほどの前段のほうにありましたが、技能向上とか資格取得に伴う体系的な処 遇改善、あるいは労働者に歩ませるキャリアルートといったものを策定して、労働者に 提示していくということを通じて、定着の促進を図ることが必要ではないかというとこ ろです。  事業主団体については、そういう事業主の取組みを支援するという観点から対応する 必要があるのではないかということで、1つ目としては、新規・成長分野への進出等を 含む経営基盤の強化・経営の効率化等による雇用の安定を図るための必要な教育訓練等 を行う、あるいは円滑な労働移動への支援を行っていくということです。(2)として、 事業主が自ら訓練を実施する場合の講師、教材等の紹介、あるいは共同訓練を促進す る、施設・設備、講師等の他の建設事業主団体等との共有化を図ったりして、より効率 的で利用しやすい教育訓練を行うべきではないだろうか。(3)として、事業主において 体系的な処遇改善あるいはキャリアルートの方針といったものを策定するのはなかなか 難しい状況もあることから、参考となるモデルの作成や学校教育との連携等による、建 設技能労働者の確保のための取組みといったものを行うべきではないかということで す。  (3)は「行政において講ずべき措置」ということで、事業主あるいは団体等の取組 みで、いまある助成金を効率的・重点的に活用するといったことで、その取組みを支援 していくということです。1として、新規・成長分野を支援するために教育訓練の実施 に対する支援、建設業内外での円滑な労働力需給調整の促進による必要な技能労働者の 確保をはじめとした、建設業における適正な労働力需給調整の確保に向けての支援とい ったものも考えられるのではないか。2として、認定訓練等の関係については、助成金 の見直し等による効率的・効果的な支援を進めていくべきではないだろうか。訓練の内 容の不断の見直し、経済情勢や企業ニーズ等を踏まえた公共職業訓練を実施していくべ きではないか。訓練指導員の派遣あるいは使用の便宜の提供といった観点からの支援を するべきではないかです。3として、体系的な処遇改善やキャリアルートの方針の策定 等への支援について、雇用改善推進助成金の見直し等によってそういう効率的・効果的 な支援を図っていくべきであろうということもありましたし、人材育成モデルの普及促 進ということで効率的・効果的な支援を行っていくべきであろうというところです。  この助成金の関係では、事業主の皆様からすると、まだ手続きが難しいとか煩雑であ るという回答内容になっていますし、改善すべき点でも手続きの簡素化を図ってほしい ということです。これについて不正受給も相変わらずあることから、それも留意しなが ら手続きの明確化・簡素化を図るべきではないかというご指摘になっています。以上で す。 ○松本座長  ただいまの説明について、委員の皆さんからご質問あるいはご意見がありましたら、 ご発言願います。 ○林委員  教えてください。5頁の(2)の3で、「労働者に歩ませるキャリアルートの方針を 策定する」ということですが、多分いまは定期昇給的なものは一般の産業でもなくなっ てきている時代です。以前は各団体でもこういうキャリアルートで職長までの道筋や、 毎年賃金が上がってきて例えば30歳になったら30万円になるというふうに示したと思い ますが、いまはこういうものは非常に難しいと思います。ここで想定されている「キャ リアルート」は、どんなルートになるのですか。 ○伊藤補佐  いま林委員がお話されましたように、入職何年目でどういう訓練を行わせて、そのと きにはどういう給与体系になっているといったことを想定すると思います。 ○林委員  才賀委員、そういう時代ですかね。 ○才賀委員  だいぶ前に作ったモデル体系もそうでしょうし、ステップアップ仕様もそうなのでし ょうが、作ったときはよかったのですが、即、沈滞して、いまは何もやっていません ね。 ○林委員  実際は示せなくなってきているといいますかね。ここがいちばん弱いところですが、 定期昇給をやっている会社はほとんどないのでは。もちろん才賀委員が言われた、腕が 上がったとか資格を取ったということでは上がると思いますが。それは4月に上がると か、そういうことではないでしょ。キャリアルートはいまではどんな示し方をするかが よくわからないのではないですか。 ○田窪室長  先ほどご指摘のあったモデルプランを従来から作らせていただいて、我々としては、 それはいまや使えないのではないか。だから、もっと個々の企業の実態に合った形で、 いまのA社という会社においては、ある程度平均数字と比較しながら現状はどうなって いるのかを企業に見ていただいて、企業としてそこはどう改善していくべきかどうかを 含めて検討材料にしていただける部分を作っていけないかなというのはあります。一般 化することはまず無理だと思います。  個々の企業ごとにどうしていくのか。それは企業戦略に応じた形のものとして作って いただく必要があるでしょうから、業界全体のモデルの時代は終わって、個々の企業ご とにどうしていくかを描いて、確定的なものは言えないにしても、戦略部分の中でどう 描いていくのか。それによって技能労働者をどう確保して、営業活動も活発にやってい こうとする部分での、イメージ的なもので申し訳ないですが、そう考えています。 ○林委員  もし室長がおっしゃるようなイメージでしたら、「キャリア」という感じではないの ではないかと思います。 ○田窪室長  もともと「キャリアルート」という言葉自体がいいかどうかの議論も少しありました が、いずれにしても働く側にとっても何も努力しないで、技能をつけない状況のままで いいわけではないので、ある程度こうなるためにはこういう技能はつけないと駄目です よと。こういう技能がなければ、このステップアップができませんよという部分もぼん やりとはわかってはいるのでしょうが、そこを各企業ごとに、ある程度明確化をしてい けるような土台ができないかということで考えています。 ○笹田委員  研究会報告、ご苦労さまでした。私どもがいろいろとお願いをして、予算付けもして いただきながら、我々の代表も入ってまとめていただいたことに感謝を申し上げます。 ただ、この報告書で終わってしまうのではというのが結構気にかかるところで、それは この報告書に基づいて具体的に行政としてどうしていくか、あるいは業界としてどうし ていくか、これからの論議の中で接点を見つけながら、前に進めていく努力をしてほし いことを申し上げておきたいと思います。  先ほど来、林委員や才賀委員から、即、即戦力の関係で現場は動いているよという話 がありました。これは住宅でいえば、プレハブ住宅やツー・バイ・フォー住宅は即、即 戦力で、結構現場では通用すると思います。一現場に1年ぐらいいればのレベルだと思 います。土工やとび工は、現場での玉掛けだ何だ。玉掛けは高校生でも取れるわけで す。そういうことでは即、即戦力で生きる部分と、そうでない部分があるという問題意 識を持っていただかないと、ここは前へ進まない。  つまりどういうことかというと、本来は厚生労働省の管轄ですが、今度は国交省住宅 局で大工育成塾を立ち上げていますが、うちの組合員、いわば大工・工務店の3分の1 が受け入れ工務店としてそこへ応募しています。即そこが活用できるという極めて目に つきやすい、そして具体的なものですからポンと行ってしまいます。そのことは、いか に伝統技能なりを身につけて、あるいは後世に残さないといけないという問題意識があ るかの表明でもあると思います。そういう意味合いで、是非この報告書に基づく進め方 をやっていただけないか。国交省はやっているからいいという話ではなくて、国交省の あれも問題点がたくさんあります。あるいは成功するかどうかというのもありますが、 少なくともあれぐらい具体的に物事をやっていかないと、伝統工法がいま見直されてき ていますから、そういうものを残していくことも含めて後継者育成等に取り組むという 姿勢を是非今後、具体的に進めていただきたいということです。 ○下永吉委員  2年半ぐらい、建設業からの求人は対前年同月にずっとマイナスだったのが、今年の 夏前ごろから4カ月、5カ月ぐらい続けて求人が対前年同月に比べて増えてきていま す。1カ月、2カ月ではなくて数カ月継続して増えてきている。この増えてきている背 景は、どうご認識されているのかをお聞かせいただければと思います。 ○田窪室長  直接的に何が原因なのかは我々は掴みかねているのが現実で、決して公共工事が増え ているわけではありませんし、ただ、いま把握できる数字的なもの以外に、建築の成長 分野として進んでいる住宅のリフォームなどは、なかなか政府として全体を把握できな いところがあるので、そこが影響している可能性もなくはないのでしょうが、それほど 全体的に増えているかどうかはなかなか捉えづらいところがあります。いままで相当、 離職超過の状況にありましたので、そこの反動が出た可能性もあるかもわからないし、 我々としても今後の動向を見極めていかないと。これは個人的な感想になるかもわかり ませんが、今後も増え続ける状況はあまり想定されないのではないか。求人がどんどん 上向いていく現状にはないかと思います。 ○下永吉委員  非常に状況が悪いという話を1時間聞いてきまして、いまその求人の話をふと思い付 いたものですから、お尋ねしたのです。 ○池田委員  研究会の報告、本当にご苦労さまでした。2頁の建設技能労働者の定着率の状況で、 定着率は高い状況にないと、はっきりとここに示しているわけです。そして先ほど伊藤 補佐が言われたように、一人前の建設技能者になるまでは平均して5年間の期間を要す るとお書きになっています。また、その下にも分析がありますが、何を言いたいかとい うと、我々は笹田委員と同じ職場にいますので、いろいろなところで見ているわけで す。  1つはご存じだと思いますが、石川県金沢市に金沢城があります。あそこの復元工事 は我々の仲間がやったわけです。林委員にお願いしていろいろなことがありました。 ○林委員  私も、見てきました。 ○池田委員  確かにはっきり言って理論的といいますか、素晴らしい理論構成で組み立てられてい ることはわかりますが、本当の実態、建設労働者、建設技能者は、それはどういうもの かの意識革命、意識革新を持っていかなくてはいけないのではないか。  例えばあの金沢城を作ったおかげで、その親方の息子さんが自分が後継者になるとい うのも出てきています。ということは何かと言うと、徒弟時代という非常に古い時代が ありますが、その良さがあります。見習い工の人たちが入ってくる。その場合は必ず先 輩たちの腕のいい技能労働者の仕事を盗んで、盗んだものを自分できちんと学習して、 その素晴らしい先輩たちの技能を越えていく。これが連続して行われてきたから、日本 の技術・技能は非常に高い水準に上がったと思います。  そういうことを考えるならば、確かに認定職業訓練校やその他でもやってみるのもい いけれども、金銭も同時に必要ですが、もっと建設技能者のプライド、誇りという違っ た意味で学習、教育の視点に持っていかないと、ただ箱物を作って高い賃金と、いい労 働条件だけで本当にいいのか。若い人たちは、そういうのをいま持っていないです。結 局先ほど言った先輩たちの仕事を盗むことは、いまは一つもないですね。それから自分 でそれを工夫して、先輩たち以上の技能を身につけることはあり得ない。才賀委員にあ とで聞きたいのですが、そういう素晴らしい徒弟関係の中から作られてきて、日本の建 築関係もとても良くなっています。  私は飛騨高山に行ってきました。あそこは徳川家の直轄で、京都に徳川家が神社やい ろいろなものをつくるときに、お金も何もないから労働力だけをあそこに提供しまし た。京都に何百人、何千人と行っている。京都の匠の人たちは非常に技術が高い。そう いう人たちのを盗んで、また飛騨に帰ってくる。それを何遍も繰り返して、いまや飛騨 高山の職人は素晴らしい技術に到達しています。私は飛騨の街を歩いて、あっと思いま した。「これは池田君、昔のそういう中で繰り返し繰り返し京都に行って学んで、そし て飛騨高山のそういう土壌の中でつくられた建築物なんだ」と。それを聞いて、ハッと 思いました。  いまの若者はそういうものがない。私に言わせれば、認定職業訓練校がいろいろなと ころにあるけれども、もっとそういう科目、歴史、素晴らしさを加味しなければ、ただ 技術だけでは定着していかないのではないかと考えています。才賀委員あたりに、そこ ら辺の回答といいますか、是非お聞きしたいと思います。 ○才賀委員  私もそう思いますが、建設業で徒弟制度がある企業は残っています。いま徒弟制度が ありませんね。機械化されて、それだけ教えるものがないのです。逆にいうと機械化さ れないで、汗と知恵で現場が立ち上がっていくときには、徒弟制度で先輩、後輩の中で 教えられて勉強して進んでいきます。いま、それがなくなった。  例えば10トンの物をここに上げるときに、表の道路に350トンのレッカーを持ってく れば上がりますよという物の考え方。昔の人なら10トンの物を上げるのならば、どうい う段取りをして何を持ってきて何人かけてを全部書いて頭の中で段取りをしたわけで す。それを基に教えたわけでしょ。いまの連中は、「いや、あのおやじだったらこうや るけれど、俺らはこうやるよ」というのが切磋琢磨です。いまはレッカーを持ってくれ ば上がります。うちの職人もそうですが、「おやじ、あそこ駄目。トラックが入れませ んから上へ上がりません」という返事です。それでは勉強にならないです。これはどん どんマニュアル化されるだけで、技能・技術の伝承はありません。 ○池田委員  はっきりわかりました。 ○笹田委員  それはわかりますが、例えば大工に関して伝統工法に関しては、マニュアル化だけで は割り切れない。つまり難しい木をそのまま使ったりするときは、現場で墨付も含めて やったりします。それがやれないために、ろくな住宅が建っていないとなっています。 現実がそうです。なおかつ、そういう住宅がほしい、シックハウス絡みも含めて。これ からそうなっていく。そういうときに本当に墨付等ができる基本を叩き込んだ職人が育 っていかないと、日本の技術文化は去っていくわけです。だから、我々も頑張るから、 ここでなんとか厚労省も頑張っていただいて、ということでやってほしいのです。  才賀委員がおっしゃる現場がいままさに機械化されて、異職種の関係者の職種もあり ます。あるいは先ほどから言うように、住宅で言えば、ツー・バイ・フォーやプレハブ 工法は、1年も現場にいれば自分でできてしまいます。ところが伝統木造、いわゆる軸 組工法の伝統工法は1年では駄目なのです。ここには5年と書いてありますが、5年や っても、現場経験をしていないとできないはずです。そういう意味ではそういう部分は 残っていくわけですから、現実には建っているわけです。それがあれば何でも対応でき る。野丁場へ行って内装をやることも、そういう技術があればできるわけです。そこを ちゃんとできませんかということで。 ○才賀委員  我々、とびの技能検定の1級、2級の試験には、コロ引きを実技試験に出していま す。そうすると、全国の試験問題の中に、やっていないものをなぜ出して減点するのだ という話が非常に多いのです。我々は委員として、コロ引きをなぜやるかは梃子の応用 で、物がないときにこういうことをすれば、こういうものが動きますよという教育だけ の一環なのです。それを受ける人は、現実にやっていないものを試験問題に出して減点 するのはおかしいという言い方が非常に多いです。それと同時に、引き家の問題や木造 の合掌の問題や寄棟などの試験問題を出しても、80%以上の生徒がやっていない、わか らないというのが多いです。  技能検定のとびは資格を出すには1人の技能ですから、いまは建設業は特に一人作業 をやってはいけない中で、一人作業を40分から45分でやらせるものですから、出来上が らないのが非常に多いです。ですから、各技能検定の試験問題で、伝統工法は少しずつ 残して教育していく必要があるのではないか。そこが言いたい。 ○松本座長  最初に私が恐れたとおり、いろいろな話題が沸騰しまして、このまま放っておくと何 時になるかわかりませんので、前に進みたいと思います。しかし、いまここでそれぞれ 出ました意見は、この研究会の報告を実施するに当たって、実際の施策の上で参考にし ていただきたいという意見ばかりだと思います。事務局のほうでよろしくお願いしま す。  次の議題にまいります。「建設雇用再生トータルプラン」について、事務局から説明 をお願いします。 ○伊藤補佐  資料No.4の「建設雇用再生トータルプラン(仮称)」です。これは来年度予算に向 けて、現在こういう名称のもとで要求を行っている状況です。このトータルプランを創 設して進めていこうという背景については、先ほど来からいろいろとお話に出ています ように、建設業を取り巻く状況が非常に厳しいということです。なおかつ、不良債権や 建設業再生に向けた取組みといった状況、あるいは教育訓練を抑制する動きや処遇悪化 の動きがあるのではないかということで、技能労働者の不足を招くことが懸念されるこ とについては、建設業の再生にもいろいろな影響が出てくるのではないかという問題意 識のもとで対応したものです。  基本的には先ほど来からありますように、1つ目、業界内では技能労働者は非常に必 要であることをベースにしていますが、事業縮小や全体のパイが小さくなっている中 で、まだまだ労働者が一方では多いこともあります。そういった中で、業界内での需給 調整機能の強化や業界全体で必要な訓練を行っていく、体系的な処遇改善を促進してい く、さらには業界外を視野に入れて円滑な労働移動対策を打っていく必要があるのでは ないかという観点から、A4の表の中に、円滑な労働移動及び技能労働者の確保を図っ ていくことを1つの柱に上げています。  2つ目で、これは今年の2月からですが、建設業の新規・成長分野の進出の促進、建 設業外の進出の促進も視野に入れて、そういうことを通じて雇用機会の拡大・雇用の安 定の推進を図っていく必要があるのではないかという視点です。  3つ目は、そういったことと併せて、それぞれの事業主が一連的にいろいろな制度の 情報収集とか各種支援策の収集を行うことができるような窓口を設ける必要があるので はないか、あるいは、そういう専門的な知見を持った方々の相談・支援を受けることが できるようにするべきではないかの観点から、「情報提供や相談等のワンストップサー ビスの提供」というのを3つ目の柱ということで立てさせていただいています。いま申 し上げた3つの柱を総称した形で、「トータルプラン」と銘打っています。  1番の柱、「円滑な労働移動及び技能労働者の確保の推進」については、従来からの 業界内での円滑な労働移動と技能労働者の確保を推進していく仕組みが1つ。それと、 これまで全くなかったのですが、「業界外への労働移動の促進」も1つの柱として立て て進めていく必要があるのではないかということです。  業界内の移動については先ほどからありますように、縁故が非常に多い中でもう少し システマティックな取組みができないか。それを進めていくことも片方では必要ではな いかということで、「円滑な業界内移動」の1つ目の○に離職を余儀なくされる者等に 係る無料職業紹介事業を実施しようとする地域の事業主団体に対する、その取組みのた めの初期経費に対する助成を行っていこうということで、「建築業需給調整機能強化促 進助成金」、これを新たに要求するということです。  2つ目の○は、「建設業労働移動円滑化支援助成金」。いずれも仮称ですが、これを 新たに立てましょうということです。その中で2つに分かれていて、1つは従来から 「建設業労働移動支援助成金」という制度があります。これを「建設業労働移動支援定 着促進給付金」と名称を変えて、さらにその要件を緩和するなどして取り組んでいこう ということです。この助成金については、既に昨年、雇い入れてからの講習を実施する 間の期間についての要件を緩和したということです。来年度からはいろいろと事業主の 方等からのお話をお聞きする中で、やはり即戦力化という観点もありますので、いまは 要件として2週間以上の講習が必要となっていますが、これについて1週間以上の講習 ・訓練でいいよということで要件緩和をしていきたいということです。期間を緩和する 以上、いま2週間以上で20万円という助成額になっていますが、期間が短くなることに 応じて助成額自体も下げて支給しようということです。  「建設業労働移動支援能力開発給付金(仮称)の創設」です。これは下の「業界外の 労働移動の促進」ということで書かせていただいていますが、離職を余儀なくされる方 等に対して、事業主個人の方が対応することは難しいということで、地域の事業主団体 がいろいろな形で労働移動を支援する能力開発業務に取り組む場合は、その助成金を支 給しましょうということです。これはいろいろな形があろうかと思います。自ら実施し ても結構ですし、再就職支援会社や別の法人や訓練機関等に委託して実施してもかまわ ないということです。この2つの給付金を活用して、助成金という形では業界内外で対 応していこうということです。  もう一つは、「業界内の円滑な労働移動の促進」と併せて、「技能労働者の育成・確 保の促進」です。これも、「建設業人材育成総合支援事業」ということで、先ほどお話 がありましたモデルプランなどをいま推進してきていますが、それをさらに拡充して、 先ほどお話がありましたように、各企業において処遇の状況はどういう現状になってい るかを知っていただくための取組み、ソフト開発をやっていこうというのがあります。  それから研究会報告書の中にもありましたが、効率・効果的な教育訓練を実施してい く必要があるだろう、それから体系的処遇改善を実施していく必要があるだろうという こともあったことから、いまある助成制度を改善して、この2つに取り組む団体等につ いては、重点的に手厚くやろうということで、助成率もしくは助成額をアップしていこ うと考えています。  2つ目はペーパーの右横にありますが、「雇用機会の拡大・雇用の安定の推進」につ いては先ほど申しましたように、いまある制度の活用促進をさらに図っていって、雇用 機会の拡大なり安定に対応していただくということです。  ペーパーの下の「情報提供、相談等のワンストップサービスの提供」。これについて は「建設労働者雇用安定支援事業」を平成13年度から全建さんに委託して取組みを進め ていただいています。これは基本的には建設労働者の出向受入れや送出情報の提供、相 談援助等の実施を中心にお願いしていますが、これに加えて、先ほど申したように都道 府県レベルの建設事業主団体に総合相談窓口を設置して、具体的に身近な事業主等から の相談等に対応していただくということです。  それと併せて、先ほどの「円滑な労働移動」で、需給調整機能を高めるといったこと から、そういった取組みを進めようという地域の団体に対しての取組みの促進の対応を お願いするとか、研修会を開催していただくといったことでさらにサポートしていただ こうということ。都道府県ですから、ある意味では広域的な性格をお持ちですので、情 報等もかなりあるだろう、もしくは収集能力もあるだろうということで、再就職支援会 社やどういう法人があるか、教育訓練に携わる法人があるかといった情報の掘り起こし や提供も併せてお願いしようかと考えています。  また無料職業紹介等、一つひとつそれぞれ自分のところは自分のところでとやって も、なかなか機能しない部分もあろうかと思いますので、そういう取組みを推進してい くためにも関係機関による連絡会議を開催するなどのネットワークの形成等に努めてい くことをお願いしようかと考えています。こういう大きな3つの柱をうまく転がしてい きながら、再生トータルプランを進めていきたいと考えています。以上です。 ○松本座長  ありがとうございました。いまの「建設雇用再生トータルプラン」の説明について、 委員の皆さんからご質問、ご意見はありますか。特にありませんか。 ○奥田委員  制度を改正しようとしているのですが、いま何が問題でどうしようとしているのかの 簡単な概略の説明があったらと思います。いま、いろいろな制度があって改善しようと していますね。その中身は額が少ないのか、受け皿のきちっとしたものができていない のか、やろうとしていることがどういうところで支障になっているのかがよくわからな いので、簡単でいいです。現状は何が問題なのかをもう少し説明いただければと思いま す。 ○伊藤補佐  現状は先ほど各委員さんのお話の中にもありましたように、まず建設業を取り巻く状 況は非常に厳しいだろう。だから建設投資が下がってきている。今後は多分右肩上がり にはならないだろうという予想がありますので、そういった中で建設業に携わっている 人たちはかなり過剰感があるのかなという問題意識があるわけです。 ○奥田委員  それではなくて、いま説明を受けた助成金などの名称変更をしたりしていますね。い まの助成金制度はあるわけで、それを変えようとしている具体的な制度についてのこと です。 ○田窪室長  直接なお答えになるかどうかはわかりませんが、いずれにしても端的に業界の状況を いえば、過剰供給構造にある。ということは、業界再編を進めていかないといけない。 業界再編を進めるということは、基本的には業界の現在の大きさは縮小していく方向性 が出ていますので、縮小するということは外に出ていく状況が出てきますので、そうい うところにいかに支援していくのか。残っていく場合、そこにちゃんと建設産業を支え ていく技能労働者の方をいかに確保しながら、また建設業自体がいかに発展していく方 向に労働面から支援していけるかの部分で、現状の制度を検討したところ、いままでや ってきたのはどちらかというと業界内移動が多いので、端的にいえば業界外に移動して もらえばいいのではないかと。単純にはそれだけではないのですが、そういう施策が中 心になってしまっている。  業界内移動というのは必要な方が残っていただけるような機能を強化すると共に、外 に出ていかざるを得ない、離職せざるを得ない方について、いかに他産業に円滑に就職 していただくかを全体として再構築していったというのが大きい考え方になります。そ ういう考え方のもとでそれぞれの助成金を見たときに、ここがちょっと足りないかな、 ここは中しか見ていないなというところは見直しをさせていただいているというふう に、全体の話としてはご理解いただければと思います。 ○奥田委員  事業主団体に行くわけですよね。その受け皿がきちんとできているのかなという問題 意識が事業主団体としてあって、そういうものに対してきちんと機能しているのかの疑 問がありました。助成金がうまく使われていないとか不正受給であるというのは断片的 な情報で、そういう意味で、受ける事業主団体がきちんと認識してやろうとしている受 け皿の姿勢や組織など、そういうところでの問題はないのかなと。行政としてやるけれ ども、受けるほうがそういう認識で継続的に受け皿の組織や人が、きちんとできている のかなという疑問がありましたので、お聞きしました。 ○田窪室長  私が発言すべきかどうかの問題はありますが、一応このトータルプランを我々として 考えさせていただく際には、当然建設業をめぐる雇用等の現状と研究会のご意見、さら に各団体から、業界としてどういう取組みをされていこうとしているのかを含めて、我 々に対するご希望もご意見等も踏まえた形で作らせていただいたつもりです。  概ね方向性としては、団体としても取り組まれようとしている方向性に合致させてい ただいているのではないかと思います。ただ行政としても、作ったからそれで終わりと いうことではなくて、それをいかに円滑に回していくかも非常に大きい問題かと思いま して、それは予算が通った段階で池田委員ともご相談させていただきながら、うまくい くように我々として努めていきたいと思っています。 ○奥田委員  費用対効果できちんとフォローしていかないと形だけでは。本当に業界と行政が回し ていかないといけないのではないかの問題意識があって、一般論でお聞きしています。 いまが悪いという意味ではないので、そういうことが大事だなという意味で発言させて いただきました。 ○池田委員  私も、奥田委員と同じです。特に「ワンストップサービス」という新しい問題提起を しているので、これについては私は評価しています。ただし、奥田委員が言われている ように、受け皿ですよね。受け皿をどうしていくか。例えばハローワークのように、受 け皿がものすごくきちんとしている。この受け皿は、そういうところではないですよ ね。各都道府県の建設業協会と連絡・調整していくということで、「建設雇用再生総合 相談窓口(仮称)」を設置する。これは素晴らしい発想だと思いますが、これを本当に 実効をあらしめるには受け皿という問題が出てくると思います。  したがって室長にお願いしたいのですが、1つ目はハローワークとの整合性がありま す。どういう考え方か。2つ目は受け皿としてワンストップサービスをどうしていくの か。特に研修会やそういうものは、再就職ですから、40歳や50歳の人たちがそんなこと をやっても難しいと思います。それだったら実際に委託して、パン屋になりたかったら パン屋に1年間就業してこいと。それはもちろんお金のかかる問題ですが、そのパン屋 と契約して1年間働かせる、パン屋さんにどのぐらいの委託料を払うとか、そういう具 体的な話が聞けたらいいなと思いますが、どうでしょうか。 ○田窪室長  ご指名ですので私から。前半のいかに有効に動くようにしていくかについては叱咤激 励と受け止めさせていただきまして、頑張っていきたいと思います。能力開発の部分に ついては、建設業から離職される方の年齢層が一般と比べると非常に高い状況がありま して、能開局さんの前であれですが、従来のままの公共の訓練施設のみでは、なかなか 十分に対応できないのではないかという考え方があります。それは単に訓練施設に入る ことだけではなくて、当然いまおっしゃったような体験するような形も入るべきではな いか。  そういう意味では特に年齢層が高くなってくると、通常の企業での雇用に限定しない で、NPOなどの社会における多様な働き方がかなり出てきていて、建設分野でのNP Oもありますし、介護や農業に進出されている業界の動きもあります。そういう意味で は業界内に限らず、そういう部分を体験してみることを含めて、自ら起業していくこと も含めて、個々の方のニーズに合った大きい教育訓練の形で持っていければと思いま す。できる限り、現在ある社会資源等を有効に活用しながらやっていきたいと思いま す。 ○池田委員  期待しています。 ○松本座長  時間も押していますので、この問題についての議論はこの程度にします。  国土交通省の方に出席を願っています。第4の「その他」に入ります。「教育訓練施 設の在り方に関する研究会について」の説明をいただきたいと思います。よろしくお願 いします。 ○国土交通省・西口補佐  時間も限られていますが、ご説明させていただきたいと思います。今日は資料として 資料No.5と資料No.6をお配りしています。資料No.5が研究会の報告書の本文で、こち らは分厚いので後ほどお時間があるときにご覧いただければと思います。資料No.6の レジュメに基づいてご説明をさせていただきます。  「教育訓練施設の在り方に関する研究会」は、先ほどまさに池田委員等からご指摘が ありましたように、教育訓練施設が最近休校、廃校に至る事例が多々聞かれるようにな ってきた。このまま放置すれば、将来的には建設業における技能教育が非常に困難にな り、人材の確保・育成ができなくなっていくのではないかという危機感を持ちまして、 こういう研究会を設置しました。  この研究会には厚生労働省からも小林補佐にご出席いただいて、去年の9月に立ち上 げて今年の3月の年度末までに5回開催しました。研究会報告の内容は4章構成になっ ていて、最初は必要性や施設の現状、業界の現状等の分析等々が3章分ありますが、そ の中は掻い摘んでの説明になりますが、レジュメの2頁目です。  各教育訓練施設等にアンケート調査を行いまして実態等を調べましたが、受講者数の 増減は7割減少しているというお答えをいただいていて、教育訓練施設の運営上どのよ うなことが問題かのトップは、「受講者が少ないこと」、そのほかに「費用負担の問題 」「機材の老朽化等」のお答えをいただきました。一方受講者側、技能者の方々のニー ズに関しては、「強く思う」と「思う」を合わせると約7割ということで、依然として ニーズは高い。しかしながら、受け入れる施設の経営が難しくなっている状況が窺える ところです。  3頁目と4頁目は、この研究会の報告書の4章の提言に当たる部分だけ簡単に抜粋し ました。いただいた提言は4つの大きな柱に分かれていて、1つ目は「教育訓練施設の 連携等による経営効率・訓練効率の向上」で、その中でもいくつか掻い摘んで申し上げ ると、企業や業界団体のニーズをよく汲んだものにしていかないといけない。例えば 「オーダーメイド型の技能教育訓練」をやっていくことが必要ではないかというご提言 をいただいています。また「教育訓練施設同士での連携や企業、業界団体の支援」とい うことで、個々の施設ごとでは非常に規模が小さくなって運営が難しくなってきていま すので、複数の施設の連携、場合によっては統合も視野に入れての検討が必要なのでは ないかということです。  2つ目の大きな箱は、「教育訓練施設データベースの整備と訓練効果の把握」です。 施設はいろいろと頑張って運営していらっしゃいますが、なかなか情報発信をする機会 がないのではないか。教育訓練を受けたいとする職人たちのニーズはあるけれども、そ の方に情報が届いていない恐れもあるということで、資料では5頁目以降に参考で付け ていますので後ほどご覧いただければと思いますが、財団法人の建設産業教育センター に教育訓練施設のデータベースを設けて、ホームページで公開することのご提言を踏ま えて、国土交通省としてもいたしましたところです。  4頁目は、「技能者の処遇改善、資格取得と教育訓練施設の関係」です。先ほどの厚 生労働省の「養成の施設の在り方に関する報告」の中でも触れられていますが、キャリ ア形成の生涯プランを明らかにして、それに沿った教育訓練を随時行っていくことが重 要ではないか、またその資格との連携をきちんと図っていかないといけないという議論 をいただきました。  4つ目の大きな箱は、「今後の在り方に関連する事項」です。直接教育訓練施設の方 が教育訓練に関することだけではなく、周辺部分についてご議論をいただいて、「一人 親方」等個人事業主なども含めて、教育訓練を受けたい方への配慮が必要であること、 あるいはOJTやインターンシップとありますが、現在はなかなか実際の現場でこういっ たものを受け入れることができない環境になってきているので、それを代替する機能と して教育訓練施設を使っていくことも考える必要があるのではないかというご提言等を いただいています。「各種補助金・助成金等の明確化・簡素化」は、先ほどの「養成施 設の在り方の研究会」と同様な議論が行われました。  非常に時間もなく簡単ですが、詳しくは資料No.5の報告書をお時間があるときにご 参照いただければと思います。 ○松本座長  ありがとうございました。いまの国土交通省の説明について、皆さんからご意見ある いはご質問はありますか。 ○池田委員  一言です。先ほどからずっとお話をしていますが、やはりスピリット、誠心のない技 術・技能の専門家をたくさん作らないように、ひとつお願いしておきたいと思います。 ○松本座長  ほかはどうですか。 ○寺澤委員  その他で一言だけいいですか。いま心配しているのは、いろいろな産業でいろいろな 事故や災害で非常に大きなものが起こっている。建設産業の私どもの構成組織の中で も、最近非常に大きな事故が続発し始めている感じがありまして、またその現場の監督 者が事故を起こしたことを苦にして自殺するケースも出てきています。このあたりは現 場管理者がコスト面ということもあって、かなり配属がシビアになってきていることも 含めて構造的な問題がその裏にあって、そろそろそういうことの限界を越えてきている のかなと、我々の働く側としては非常に心配をしています。これはここでやる問題かど うかはわかりませんが、こういう建設業の特に労働者の労働条件における議論の場所 は、ほかは三者構成でないものですから、ここであえてそういったことを意見をさせて いただいて、また行政側の何らかの対応を是非お願いしたいと思います。よろしくお願 いします。 ○松本座長  時間がまいりましたので、本日の会議はこれにて終了します。最後に議事録の署名で すが、本日の署名委員は林委員と池田委員のお二方にお願いしたいと思います。よろし くお願いします。  それでは閉会とします。本日はありがとうございました。               照会先:職業安定局 建設・港湾対策室 建設労働係                   TEL 03-5253-1111(内線5804)