03/12/05 第10回「健康食品」に係る制度のあり方に関する検討会議事録       第10回「健康食品」に係る制度のあり方に関する検討会議事録 1.日時 平成15年12月5日(金)16:00〜 2.場所 厚生労働省 共用第7会議室(5階) 3.議事  (1)「健康食品」に係る今後の制度のあり方について  (2)その他 4.出席者  (委員)  田中(平)座長、飯島委員、太田委員、大濱委員、神田委員、合田委員、鈴木委員、  田中(喜)委員、橋詰委員、羽生田委員、松本委員、南委員、渡邊委員  (事務局)  遠藤食品安全部長、吉岡医薬食品局総務課長、高井企画情報課長、中垣基準審査課長、  大江生活習慣病対策室長、尾形新開発食品保健対策室長 5.配付資料  資料1 「健康食品」に係る制度のあり方に関する検討会開催要領  資料2 「健康食品」に係る制度のあり方に関する検討会の開催状況  資料3 団体ヒアリング及び意見募集で出された主な意見について  資料4 「健康食品」に係る今後の制度のあり方についての論点整理  資料5 「健康食品」に関する現行制度の概要       強調表示(Claims)の国際比較(暫定的整理)  資料6 経済活動に係る規制の考え方についてのメモ(松本委員提出資料)  資料7 規制緩和と消費者法の課題(松本委員提出資料) 6.議事内容 ○田中座長  定刻より少し遅れましたが、ただ今より第10回「健康食品」に係る制度のあり方に関 する検討会を開催致します。  委員の皆様方におかれましては大変御多忙の中、御出席頂き誠にありがとうございま す。本日は前回に引き続き健康食品に関わる今後の制度のあり方について議事を進めた いと思いますので、どうかよろしくお願い致します。  議事に入る前に事務局より本日の委員の出欠について報告をお願い致します。 ○尾形室長  委員の御出欠の状況でございますが、本日は木村委員が都合により御欠席となってお ります。また、神田委員、羽生田委員のお2人は所用により若干遅れてお見えになると のことでございます。  それから、この場を借りまして、一言、事務局側の手続上のミスにつきましてお詫び 方々御訂正申し上げたいと思います。お配り致しました資料について、私どもの方で十 分事前に調整しておりませんでした議題項目、それから資料が配られてしまっておりま す。検討会の議事次第と書いてある紙の中にございます資料の8番「栄養機能食品の追 加について」というものでございますが、これに該当する資料の8、2枚紙の資料とあ わせて本日この場で議論しないということになっておりますので、大変恐縮ですが、こ こは落とさせて頂きたいと思っております。あわせて資料につきましても、誤解を生じ てもいけませんので、恐縮ですが後ほど回収させて頂きたいと思っております。委員の 皆様あるいは本日お見えの傍聴の皆様方には大変御迷惑をおかけ致しますが、何とぞ御 理解頂ければと思います。 ○田中座長  それでは、これより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとして、報道関係の 方は傍聴席にお移り頂くようお願い致します。                 (報道関係者退室) ○田中座長  前回、新しく8名の委員が加わられたわけですが、その際、この検討会がどうして作 られたのか、そういう趣旨、それから、各種団体等からヒアリングをしてまいりまし て、そして前回から新しく入って頂いたということであったわけですが、それまでの経 緯について、いわゆる説明不足であると、特に新しく入られた委員からかなり強い御意 見を頂戴致しました。私は座長として非常に申し訳なかったと思っております。私もそ のとおりであったのではないかなと思いますので、遅ればせながら検討会の趣旨と経緯 について説明させて頂きたいと思います。  御存じのように、前からの委員の方は先に進むということで、制度あっての名称であ る、定義であるというようなこともありましたし、一方では、健康食品のそのもの本質 論的なことを先ず議論すべきであるということで、鈴木日本栄養士会会長は錠剤、カプ セルのようなものが食品というのはいかがなものかというような御発言もありました。 ある意味では新しい委員と前からの委員の間にちょっと進捗状況と言いますか、大きな ギャップがあったように思います。そういったところで、検討会の趣旨、今までの経過 等について説明をして頂きたいと思います。よろしくお願い致します。 ○尾形室長  最初6人の委員の方々で始まった本検討会でございますが、8人の方々に後ほど加わ って頂いたわけでございます。本日、その8人の委員のうちまだ2名の方がお見えにな っていないという中で御説明申し上げるのは、若干、不親切のそしりは免れないかと思 いますが、議事進行の関係もありますので、この場で簡単に私の方からこれまでの経緯 等を御説明したいと思います。  資料の方は1、2、3、4と、この4枚を用いたいと考えております。  まず、本検討会の立ち上げに至った経緯あるいは趣旨ということでございますが、資 料1の開催要領に大まかなアウトラインは示されているかと思います。  国民の健康に対する関心の高まりといった現状が見られる。それに対応して、最近、 非常に市場としても拡大している健康食品、こういったものについて今の制度のあり方 がいいかどうかということも含めて、将来的な制度のあり方を検討する必要があるとい う認識の下に、健康局長、医薬食品局長、食品安全部長、三者の共催ということで、こ の私的懇談会を開催させて頂いているところでございます。  もともと食品衛生法、健康増進法の大改正がございまして、平成14年の春ごろから ずっとそういう議論を与党も含めてやってきたところでございますが、食品の安全の問 題、安全性の問題についてとにかく国民の生命、身体に関わるということで、最優先の 事項として取り組んでいる中で、健康食品というものについては安全性のみならず、国 民の健康づくりという観点からも、何か役割あるいは位置付けというものがあるのでは なかろうかというような問題意識が色々なところで示されてきた。与党の中でもそうい う議論がございましたし、非常にそれを議論することが必要だということになりまし て、しかし、それが安全性を担保するための法改正の中で同時に対応するのは必ずしも どうだろうかということもあり、それとは切り離してこういう新たな場を作って議論す る必要があるだろうということで、本検討会が立ち上がったということでございます。  検討課題として大きく3つの柱を立てている。健康作りにおける健康食品の役割とい ったものをどう捉えるか、肯定あるいは消極、色々な立場がおありだと思いますが、ど う位置づけるか。それから食品と医薬品というものの間にどうもこの健康食品というの は位置付けられているが、現行の制度の中で制度化されております保健機能食品という ものも含めまして、医薬品、保健機能食品、その他のいわゆる健康食品、一般食品とい ったこの体系のあり方がいいのか悪いのか、機能しているのかどうか、こういったこと も議論して頂きたい。  それから、健康食品というものがこういうマクロの位置づけの中で実際に製造され、 流通し、利用されているその実態というものが、本当に健康づくりに機能しているか、 実際のミクロの話も議論すべきであろうと。特に安全性や有用性の確保、有効性といっ てもいいかもしれませんが、有効性の確保の問題、消費者に対する適切な情報提供の問 題、ひいては利用者の期待にこたえ得る健康食品というのはどうあるべきかといったこ とを次に議論していきたいということ。これが2本目の柱でございます。  3番目にそういった議論を通じて、主体である行政、関係業界あるいは消費者、それ ぞれの果たすべき役割あるいは制度というのはどうあるべきかというのをまとめて頂き たいという、この3本の柱で御検討頂くというようなことで設置されたものでございま す。  そして、これまでの検討会の進め方あるいはメンバー構成でございますが、まずは4 月に設置されたわけでございますが、学識経験者6名のみで論点整理を行うということ で、6名の先生方に論点整理をやって頂いたわけでございます。その論点整理に至る過 程で、色々な方々からヒアリングをするということで、実のところ23の団体からヒアリ ングをさせて頂きました。その辺の時系列的な経緯は資料の2の方にお示ししてござい ます。  4月23日に第1回目をやりまして、総論的な入口の御議論を頂いた後、第2回から第 6回まで5回にわたって23の関係団体の皆様方のヒアリングを致しました。同時に、一 般個人の方々からも意見を募集させて頂いたということでございます。その23の団体の うち、幾つかの団体の代表は本日委員として御出席なさっている方も含まれているわけ でございます。  こういったヒアリング、意見募集を通じて得られた意見を基に論点整理ということ で、第7回、第8回、2回をかけまして論点整理を検討致しました。そして、でき上が ったものが資料4の論点整理で、これがまさに前回以降御議論頂いているものというこ とになるわけでございます。  それから、ちょっと話を飛ばして恐縮でございましたが、この団体ヒアリングや意見 募集で頂いた意見というものは資料の3の方で、それぞれの項目ごとに私どもの事務局 の責任ということでございますが、事務局の責任編集でまとめさせて頂いております。 これは非常に便宜的な分け方でございますが、いわゆるプロフェッショナルな資格を 持っている団体の皆様、医師会、薬剤師会、栄養士会はそれを1つの項目にし、消費者 団体も3団体ございましたがまとめさせて頂き、それから健康食品の業界団体というと ころも、ここに必ずしも業界団体という位置付けかどうか分かりませんが、公益法人で ある日本健康・栄養食品協会も含めてこちらの方で意見をまとめさせて頂いている。い ずれにも属さないその他の団体というものはその一番右側のそれ以外の団体ということ でまとめさせて頂いておりますので、できる限り同じような御意見のところがまとまる ようにしたつもりではございますが、若干のニュアンスの違い、頃合いの違いというも のはその中にあるわけでございます。  論点としましては、健康食品というものを、一般論としての健康食品についてどのよ うな評価であるか。積極、消極いろんな評価があるということでございますが、総じて 職能団体、消費者団体の皆様方からは限定的な評価になっているということ、基本的に は食生活の改善であるというような御意見があった、他方、業界団体を中心としては、 国民のニーズなどの中で、健康増進に役立っているのではなかろうかという御意見が あったということでございます。  それから、健康食品という非常に幅の広い概念を我々作ったわけでございますが、こ れの中には制度化された保健機能食品も含めております。その保健機能食品を除いた制 度化されていない部分、「いわゆる健康食品」と我々が仮に定義させて頂いたものにつ いて、特にそういう制度化されていないものについてはどう評価するかというのがBで ございまして、これについては医師会、薬剤師会を中心に、必ずしもこれは肯定的な評 価にはならない、あるいは生協連、主婦連さん等も、こういったものは必ずしも役割が あると言えないのではないかという御意見がありまして、他方、業界団体の方からは必 ずしも制度化されてないからといって、役に立たないということではないのではなかろ うかというような、健康食品が制度化されずに残されている面もあるという御意見があ ったということでございます。  1枚めくって頂きまして、では、そういういわゆる健康食品について、もし肯定的に 受け止めるとすればどういった制度化をすべきかといったことについて、これは特に業 界団体からの御意見が中心になるわけでございますが、非常に各団体からバリエーショ ンに富んだ色々な案を御提示頂いたということでございます。第3ジャンルのようなも のを設けろという御指摘とか、そもそも食品については、新たな効能評価の方法などを 用いて、広く、何と言うのでしょうか、機能性を表示できるような制度を認めるべきで はないか。届出制のようなものを中心にしたもっとより緩やかな制度を設けるべきでは ないか。色々な御意見があったところでございます。  それから、次の論点でございますが、そういった総論としての健康食品あるいは健康 食品といったものの評価を踏まえて、個々に、では消費者への情報提供はどうあるべき か、あるいはその有効性の表示を認めるとして、どのような根拠が必要か、それから、 現行の保健機能食品制度についての問題点などを御意見としてまとめたものでございま す。  情報提供のあり方というのは、必ずしも国が積極的に関与するようなことではないの ではなかろうか、あるいは安全性に関する情報提供が最優先であるといった御意見が医 師会、薬剤師会等からあったということでございます。それから、消費者団体からも同 じように、非常に消費者の立場に立った誠実な情報提供、それから、健康食品の選択に 役立つような情報が欲しいという御意見。他方、健康食品の業界団体からは、今の規制 が厳し過ぎて消費者の求める十分な情報が提供出来ていない。積極的に国が関与して有 効性の情報を提供出来るようにしろ、色々な御意見がありましたが、基本的になるべく 情報は多い方がいいという御意見が中心だったろうと思われます。  次に、有効性の表示を仮に認めるという立場に立った場合、どのような根拠が必要か ということでございますが、消費者団体からは絶対的にこれは科学的根拠が必要だと、 しかも厳しい審査によって認められるべきであるということであって、他方、業界団体 からは科学的根拠というのは必要であるとしても、今の少なくとも保健機能食品につい て求められているような、あそこまで厳しい審査方法でなくてもよいのではなかろうか というような御指摘があったというのが全体のまとめではなかろうかと思います。  それから、有用性の表示に関して、その深さの問題でございますが、薬事法との関連 が出てくる議論でございますが、疾病リスクを低減するというところまで認めるかどう かという点が国際的コーデックスなどの舞台でも色々議論されているわけでございまし て、1つの論点になっている。これについては業界団体さんは基本的にコーデックスに 即し、リスクリダクションまで認めるべきであるという御意見だったかと思います。  次に、現行の保健機能食品制度についての評価でございますが、こちらにつきまして は、特定保健栄養食品、栄養機能食品、それぞれあるわけでございますが、消費者団体 の方は現行の基準は緩和すべきでないというスタンスを取っておられ、更には、特保に ついての再評価を行うべきだとか、あるいは栄養機能食品についてダイエット食品など を中心に見られるような、ああいう誤解を与えるような表示方法は問題である。それか ら、余りいたずらに対象範囲を拡大するべきではないという御意見があったということ でございます。それから、総論的に保健機能食品については相互作用の情報提供が必要 だ、あるいは特保について医薬品と誤認されるような表示内容はよくないといった御指 摘がそれぞれ薬剤師会、医師会からもございました。それに対する業界団体の御意見で ございますが、基本的により商品に適した緩やかな審査規準というのを設けて欲しいと いうような御意見が多かったかと思います。そういう中で一部の団体からは、この制度 を換骨奪胎して新たな制度にして欲しいという御意見もございました。これはどちらか というと特定保健用食品に対する御指摘であったろうかと思われますが、栄養機能食品 につきましても、今の栄養機能食品の対象とされているのは14であって、これは非常に 限られ過ぎている。もっと広げるべきだとか、あるいは規格基準の定め方が厳し過ぎる といったような御指摘もあったところでございます。  最後のページでございますが、それを踏まえて、それぞれに果たすべき役割制度はど うあるべきかということでございますが、既に、今、お話ししてきたようなところを通 じまして、どういう方向を目指すべきかということはそれぞれのお立場ごとにおのずか ら明らかになっているという感じが致しますが、あえて付け加えて、その他、特に注意 的にここに書き込むべきことということで、幾つか書かせて頂いているのがこの5ペー ジの各項目でございます。  例えば、安全性ということに行政は主眼を置くべきだとか、あるいは被害発生の対応 の整備、それから、啓発指導といった面で管理栄養士の役割が重要だ、それから、マス コミの情報提供は問題だ。誇大広告の問題、その監視体制の問題といったような、基本 的にはもっと強化して厳しくやっていくべきだという御意見、それから、業界の中にも GMPのような自主的な取り組みを促すような方向、あるいはトレーサビリティを確保 するような方向といった御意見があったところでございます。他方、広告規制は厳し過 ぎるのでやめて欲しいという御意見もあったところでございます。  以上、非常に雑駁ではございますが、23の団体あるいは一般公募の御意見、特に、今 回委員として御参加頂いている方々の出身母体であるような団体の御意見を中心に御説 明をさせて頂いたところでございます。  このような意見が、資料4の方の論点整理に、これも必ずしも過不足なく取り込まれ ているかどうかという面はあるかと思いますが、基本的にはそれを忠実に反映して整理 させて頂いたものがこの論点整理ということになるわけでございます。  以上、若干お時間頂いて御説明させて頂きました。大変段取りが悪くて、前回御説明 すべきところを今回に及んだことをお詫び申し上げます。 ○田中座長  ありがとうございました。新しく入られた委員のうち、羽生田、神田両委員がまだお 越しになっていないので遺憾ではありますが、議事を進めたいと思います。  それでは、改めまして、前回に続き、健康食品にかかわる今後の制度のあり方につい て論点整理、資料4でありますが、に基づいて検討してまいりたいと思います。  前回は論点整理の1の3、健康食品の名称及び定義について色々意見が出たところで 終わりました。まだ途中でという感じであります。今日も引き続きこのテーマから順次 議論を行ってまいりますが、論点整理の1の4、健康食品の体系上の位置付けについて も名称及び定義の検討とあわせて検討すべき論点でありますので、そこまで含めて検討 して頂きたいと思います。  また、論点整理1の4の最後の段落に関して、松本委員に事前に資料を作成して頂い ております。それは資料6になるかと思いますが、これについては後ほど松本委員から 説明して頂き、皆さんに議論して頂きたいと思います。  では、事務局から論点整理1の3と4、資料4の2ページですが、及び関係資料につ いて説明をして頂きたいと思います。関係資料というのは資料5であります。よろしく お願いします。 ○梶野室長補佐  では、説明させて頂きます。資料4の論点整理の2ページ目を開けて頂いて、それか ら、資料5の絵を一緒に見て頂きながら説明してまいりたいと思います。  まず、論点整理の2ページ目の名称及び定義ですが、幾つか段落があります。最初の 段落は名称・定義を検討するに当たっての基本的な視点、考え方が書かれてあります。 名称・定義について検討するときには次の2つ、1つは有効性について科学的根拠があ るのかないのか、それから定義及び制度が分かり易い制度なのかどうか、そういうこと を念頭に置きながら検討して頂ければと、そういうことが書かれています。  それから、次の段落ですが、現状の話が書いてありますが、資料5を御覧頂きます と、真ん中の絵の中に保健機能食品、特定保健用食品と栄養機能食品ですが、これ以外 の健康食品について様々な名前の食品が出ています。栄養補助食品、健康補助食品、栄 養調整食品、サプリメント、色々な名前の食品が出ています。こういうような様々な名 称が乱立して、その名称がどのぐらい健康に対して有効なのかどうかが分からないとい うようなことが論点として書かれています。  次の段落ですが、そういう事情を踏まえて健康食品全般の名称・定義をどう考えたら いいのかということですが、そもそも健康食品というのは健康に対する効果を表示した 食品です。法律上の言葉を使いますと、ここでは健康の保持増進の効果と書いてありま すが、要は健康に対する効果を表示した食品。絵で見ると、今認められていない疾病リ スク低減強調表示から、特保、栄養機能食品、それからいわゆる健康食品まで含めたこ ういうような表示がされた食品の名称・定義はどうしたらいいのかということで、ここ で書いてある例としては、健康保持増進効果表示食品ということが1つの例として挙げ てありますが、長いですので、例えば簡略化すると、頭とお尻を取って健康食品という ことになりますが、健康食品という名前については、摂取すれば健康になるという印象 を消費者に安易に与えるという意見があったということにも御留意頂きたいということ が書いてあります。  次に、この絵で言うと、この健康食品全体の名称や定義を検討する上で、表示の中に は保健機能食品以外の表示が色々書いてあります。絵で言うと一番下であります。保健 機能食品の表示と比べて抽象的とも言える表示でありますが、「健康に有効」とか「体 にいい」「ダイエット」「燃焼する」「サラサラになる」「カロリーの取り過ぎが気に なる方に」といった表示がされている食品まで健康食品の新しい定義の中に含めるのか どうか。それから「美容に役立つ」「お肌が気になる方へ」といった美容的効果に関す る表示まで含めて定義していくか。そういったことについて検討して頂きたいと、そう いうことが書かれてあります。  最後の段落として、全く別の論点ですが、前回説明したときにアメリカは形でも定義 を書いております。錠剤やエキス、カプセル状の形状についてダイエタリーサプリメン トとして定義しているということがありますので、形状で定義をするのかどうか。そう いったような論点が書かれてあるというようなことで前回議論頂きました。  それで、今回(4)でございますが、2ページ目の下から5行目ですが、この論点も 結局(3)の名称定義とあわせて検討すべきという記述が幾つかありますので、ここを 読ませて頂きます。2ページ目の下から5行目ですが、「(4)『健康食品』の体系上 の位置付け(医薬品、一般食品との区別のあり方)と『いわゆる健康食品』の役割、位 置付け(その制度化の是非・方法)」。  「健康食品」の体系上の位置付けについては、現行では特定保健用食品、栄養機能食 品及び両者をあわせた保健機能食品については、健康増進法または食品衛生法の法体系 の中で位置付けられています。当検討会のヒアリング等では、身体機能への作用を強調 するものは本来医薬品であって薬事法で管理すべきとの意見が寄せられている。 一 方、食品が身体機能への作用を持つことを正面から認め、薬事法の規定から「食品」を 除くという改正を行うべきという意見があります。更に、医薬部外品の中には成分・機 能から見て、食品に移行すべきものがあるとの意見も寄せられており、こうした意見を 踏まえながら、上記の(3)の「健康食品」の名称及び定義を検討していく必要があり ます。  更に2の(2)で、後で触れることになりますが、疾病リスク低減強調表示を認める べきとの意見も寄せられており、合せて検討する必要があります。  現行では制度化されていないいわゆる健康食品の役割・位置付けについても、上記 (3)の健康食品の名称及び定義の検討と合せて検討されるべきものと考えられる。  以上、説明を終わります。 ○田中座長  それでは、ただ今の説明を踏まえまして、論点整理の1の3、健康食品の名称及び定 義について御意見・御発言がございましたら、お願いしたいと思います。どなたかござ いませんか。 ○飯島委員  今の3番の上から3行目の有効性について科学的根拠があるのかないのかというとこ ろですが、この他に安全性についても必要と思いますが如何でしょうか。 ○尾形室長  安全性が何よりも重要であるということは御指摘のとおりでございまして、私共も論 点整理に当たって、その辺は十分議論して頂く必要があるだろうと思っております。そ の部分につきましては、場所的には4ページになるわけでございますが、「(4)『健 康食品』の安全性の確保」という中で御議論頂けないかと思っております。具体的には 特にハーブなどの問題、それからGMPの問題、相互作用の問題、それから今般私ども の食衛法の改正において盛り込んだ暫定的流通禁止の問題等々、実際の運用に当たって の監視の問題も含めて議論して頂きたいと思っております。こちらの方で是非御議論頂 ければという整理をさせて頂いております。 ○田中座長  名称・定義を考えるときにはまず安全性を念頭に置いてであろうというお話であるわ けです。  他にどなたか御意見ございませんか。どうぞ。 ○渡邊委員  3のケースとして4つ目ぐらいですか、健康食品全般の名称あるいはその定義につい てというところの文章なんですが、ここでは表示について、表示している食品となって おりますが、表示と合せて広告についてもやはり消費者の実際置かれている状況という ことを考えますと、商品上に効果を有している、効果を持っているという表示をしてい るいないにかかわず、やはり不適切な広告、こういうことでそのように誤認をしてしま うということであったりとか、また、いろんなテレビ番組等での噂ということも含め て、やはり間違った認識をするということもあるのではないかと、そういう事例も多い と認識をしておりますので、ここの文章については広告等の媒体を用いて標榜及び情報 提供がされているかいないかという観点からといったそんな記述を付け加えていただけ ないかと思います。 ○田中座長  他にいかがでしょうか。ここで言うのは健康保持、増進をうたい文句にした食品を一 応健康食品としようというような意味で書いてあります。だから当然広告とかそんなも のにも書いていてもいいのではないかという御意見だと思います。もう少し丁寧に書け というようなお話と伺っております。ありがとうございました。  どうぞ、太田委員。 ○太田委員  前回もちょっとお話し申し上げたのでございますが、健康食品は、確かに健康という 言葉を使うと非常に誤解を生ずるというお話も十分理解出来るのでございますが、既に あるマーケットサイズを持っていること。及び消費者の方が十分いわゆる健康食品とは このようなものというイメージをお持ちになっていらっしゃるという現実を考えると、 あえて変えるまでのことはないと考えます。ご利用なさる方にとっては名前が何である かよりも、期待する有効性がどれだけ担保できているのか、安全性がどれだけ担保でき ているのか、それらが科学的に納得性があるのかということが大切であり、名前はむし ろ判断基準では下のレベルではないかという気が致します。  それで、先般「健康保持増進効果表示食品」という長い名前が出ましたが、その前後 を取り繋げると結局、健康食品ということになります。 大濱委員と先般の会議の後、立ち話的に思い切ってサプリメントという言葉を使っても 消費者の皆さんは理解できるのではないかとお話をいたしましたが、サプルメントも国 により内容が異なるということもあり、あえて新たな名前を作るよりは健康食品のまま で良いと考えます。 ○田中座長  これについてはいかがですか。渡邊委員あるいは松本委員。 ○渡邊委員  やはり健康食品という定義がそういう意味では一人歩きをしてしまうのではないか。 今のところはいわゆる健康食品ということであって法的に何らそういう意味では認めて いるということではないわけですから、それは先ほど言ったような広告等も含めて、 我々消費者の間にはかなり誤解があるのではないか。そうすると、そこはやはり正して おく必要があると思いますので、そういう意味では私どもも健康食品を一概に否定しな いと言っているときの健康食品というのは用語としての健康食品ということを認定して いるということではなくて、世の中で皆さんが期待をしているであろう、そういう概念 について、一定根拠のあるものもありますので、そういう意味として一般に否定するも のではないということを言っているわけであります。  したがいまして、私共としてはやはり健康食品という名称を定義していくということ になると、若干かなり慎重な議論というものが必要ではないかと思っている。出来れば 使わない方がいいのではないかということです。 ○田中座長  どうぞ。 ○松本委員  私は個人的には全ての食品は安全であるということが前提ですが、適切に摂取をすれ ば健康に寄与するものであるし、そうあるべきだと考えています。摂り方によって健康 を害する食品というのは沢山あるわけですが、要は摂取の方法であろうと。そういう意 味では、生活習慣病予防のためには野菜をもっと食べましょうとか、魚を食べましょう と言われているわけで、魚や野菜は健康食品の王様ではないかなと個人的には考えてい るぐらいなのです。  そういう中で、ここで特に議論の対象となっている特に1兆円産業と言われていると ころの健康食品というのは、これを摂取すればより健康になるとか、あるいは疾病を予 防できるという積極的なクレームを付けて売られているタイプの食品であるということ ですから、問題を適切に検討するためには、そのような積極的な表示、クレームを付け て売られているものについてどのように扱うべきかという視点がやはり一番適切ではな いかなと思います。そういう意味で、事務局が提案されておりますところの健康保持増 進効果表示食品というのは正しい表現だろうと思います。  ただ用語が長いというのは確かに問題はあるとは思いますが、前と後ろだけ繋いでし まいますと、これを食べれば健康になれる食品というイメージで、医薬品と非常に近 い、安い医薬品というような、安くもないか、そういうような感じになってしまうとこ ろがあるかと思います。 ○田中座長  他にどなたかございませんか。どうぞ、合田委員。 ○合田委員  私は健康食品というのはやはり余りにも今まで言葉として使われ過ぎていて、ネガ ティブイメージが非常に強いのではないかなと私自身は思っています。ですから、余り オフィシャライズした言葉に健康食品という言葉を使わない方がいいのではないかと 思っています。  実際に、制度的にどこまで触るかということについて議論が煮詰まっていないのです が、今のいわゆる健康食品について何らかの制度を作るという考えだと仮定した場合に は、今ある制度というのは基本的には機能という言葉を入れていますね。ですから、や はりその機能という言葉を使った今のものと齟齬がないような形で作っていく方がいい のではないかなと思っています。 ○田中座長  他にどなたかございませんか。どうぞ、大濱委員。 ○大濱委員  私も横にいらっしゃる太田委員とお話をして健康食品という言葉が非常に幅広くこの 世界では流通していまして、多くの人が健康食品と言えば少なくともああいうものだと いう認識を持っている、そういう世界が出来上がっているのは事実だと思っています。 ですから、そういった名称を変えた時に若干の混乱が起きるかなという気はするのです が、ただし、実際に健康食品の中には錠剤とか、今お話に出ましたようにカプセルのよ うな形で摂取をして、過剰摂取の可能性がある形態のものもあれば、そうではなくて ヨーグルトのようなものもあるということでありますので、1つの健康食品という名前 が余りにも多様な内容のものに対応して用いられているという、その名称の在り方で果 たしていいのかなということを一度考えてみる必要があると思います。 ○田中座長  はい、どうぞ。 ○田中委員  私自身は健康食品というものが色々な形で、その人によってかなりイメージが違うの かもしれませんが、ある程度普及してきた言葉だろうし、そんなに離れたイメージはな いだろうと思います。現在混乱しているのは健康食品がもっぱら主に薬事法の中でこう いうことはいけないとか、差し支えないとかという形で取り扱われており、健康食品を 何らかの形の法制度あるいは法体系の中身に取り入れれば、十分対応できるのではない かと思われます。やはりこれはどういう形でこれを制度化していくかにかかっていると 私は思っています。その制度化の中できちっと位置付けておれば、時間が掛かります が、その中で定着していくべき中身だろうと思いまして、今の段階で名前に余りそうこ だわるのはいかがなものかなということで、今のままでいいのではないかと私は思って いるのです。 ○田中座長  他にどなたか、御意見ございませんか。どうぞ。 ○橋詰委員  ちょっと議論が元に戻ってしまってもよろしいですか。ネーミングの問題ではなく て。よろしいですか。 ○田中座長  はい。 ○橋詰委員  それでは座長の許可が出たのでちょっと複雑になるかもしれませんが、元々ここでは サプリメントという名前で呼ばせてもらいます。サプリメントを強調するためにまず医 薬品の話から持っていきますが、これは諸外国でも薬品の対象は病人であります。そし て病気の治癒あるいは進行の防止ということに力を置いている。ではサプリメントとい うのは主として半健康半病人、健康を作る、これは今まで議論していたとおりでいわゆ る創健というのが主な目的で、それではフードというのは何かというとやはり生命の活 動とか機能ということで、健康を作るというのはサプリメントの方が強いです。  サプリメントは2つあるのです。1つはバランスサプリメント。バランスサプリメン トはどういうことかというと、これは食生活が乱れてしまって、ちゃんとした栄養素が 摂れない場合に、バランスを取ったサプリメント、従って栄養所要量の多くても3倍ぐ らいの量でよろしいということになるわけであります。  それからもう一つは、ここで言いますとヘルスクレームを強調するようなというよう な、もっと端的に言いますと、リスクリダクションを目的としたサプリメントと、この 2つに分かれているわけで、それでバランスサプリメントというのは規格基準型でもっ て十分に対応できる。それからリスクリダクションは個別審査型でないととても危なく てしようがない。  具体的に言いますと、ビタミンCは規格基準型の中に入っております。しかし、これ がコレステロールを下げる作用があるので、これを目的とした場合にはリスクリダク ションに入ります。今の所要量は1日100mgですが、リスクリダクションを目的とした 時にはこんなものでは足りません。やはり1,000mg以上摂取しなければなりません。そ して、ビタミンCがコレステロールを下げる作用機序も分かっていますし有効性も分か っています。同じビタミンCですが、この場合は規格基準の中に入れないで、リスクリ ダクションを軽減するというような目的のサプリメントに入れればいいと思います。  それから、バランスサプリメントも、それからリスクリダクションも2つのサプリメ ントは安全性というのは共通であります。安全性というのは必ず必要です。有効性ない しは作用機序の明確さ、あるいは明確でなくても推定できるもの、これはリスクリダク ションを目的としたサプリメントには大事なことであります。特保に近いと思います。 特保の場合には現在、単品なのですが、サプリメントというものは漢方薬に似ていまし て、色々なものが入って始めて効果が出てくることがあります。  それから漢方をやっている人はよくお分かりだと思いますが、効果は証によって違っ てきます。虚実、陰陽とか、色々な証によって違って、西洋医学方式で行うとネガティ ブデータが出る場合もありますが、これが証に分けてやりますとポジティブデータに変 わることもありますので、そう簡単ではありません。このようなことを踏まえてきちん とサプリメントの審査のガイドラインを規定しておく必要があります。  具体的にはどうすればいいかといいますと、安全性の実証は全てのサプリメントに必 要です。しかし、有効性というのはサプリメントの場合は簡単に出てくるわけではあり ません。そう簡単に出てくるわけではないので期間を設けて、仮免許を与えておき、や はり数年後に再審査をし、本免許を与えるという制度が必要ではないかと思います。  そして、医薬品にあるように、日本薬局法(局方)に類似したものを作り、サプリメ ントを登録させ、解説書がきちっと出ていれば、国民にも分かるし、あるいはアドバイ ザーの認定を取った人にも分かり易いのではないかと思います。このことを踏まえて、 「いわゆる健康食品」を今後どのように取り扱えば良いのかという議論が大事ではない かと私は考えます。  以上です。 ○田中座長  それでは、他にございませんか。  そうすると、時間の関係もありますので、一応(3)の方についての議論はここまで にさせて頂きます。今度はその2ページの下の1の4、健康食品の体系上の位置付けの 方に比重を置いて議論をして頂きたいと思います。どちらも3とも関係しているのです が、これはもう先ほど読んで頂きましたので、いいかと思いますが、ここの点に比重を 移して御意見ございませんでしょうか。  羽生田先生遅れて来られましたので、戻って頂いても結構ですので、どうぞ御遠慮な く意見を述べて頂きたいと思います。特にございませんか。どうぞ。 ○松本委員  先ほどの橋詰委員の御意見との関係にもなるのですが、4の対象を客観的に何が健康 食品かというところから始めるのか、それとも販売業者あるいは製造業者が健康食品だ と強調して売りたいものを議論の対象にするのかで全く変わってくるのではないかとい う気がします。すなわち、客観的に健康食品というものが決まっていて、健康増進に寄 与するあるいはリスクリダクションに寄与する食品を健康食品だということになります と、既存の食品の中にその主のものがいっぱいあるわけです。そうすると、すべてにつ いてこれはどちらなのかということをしなければならない。先ほど私が言いました野菜 というのは基本的にはいいはずです。大根や人参もすごく健康増進に寄与するはずなん ですが、業界が健康食品というブランドで売っているもの以外は健康食品ではないとい うことになると、大根や人参は健康増進に寄与しない食品であるかのような誤った印象 を与えるようなことになりかねないのではないか。  そう考えますと、客観的にこの食品はどちらかというのは、非常に困難になってくる のであって、そうしますと、売り方として健康機能を強調したいと販売業者あるいは製 造業者が考えて販売するものについて一定のルールとか制度的枠組みを考えるというの が一番いいのではないか。  従って、ある食品について健康を強調して売りたいと考える事業者もあれば、そうで ない従来の商品として醤油なら醤油として売りたい業者もあるでしょうし、この醤油は 非常にこういう点にいいのであって健康増進だという形で売りたい業者もある。そこは 事業者の販売戦略であって、健康を強調する形で販売する場合については一定のルール に従ってもらいましょうということに多分なるのではないかなと思います。 ○田中座長  この1の4の部分は有効性に関して果たして規制がどこまで必要なのかといった論点 でございます。事業者責任や消費者責任を踏まえつつ国が介入して規制する合理的根拠 は何か、そういった点についてちょうど松本先生に口火を切って頂きましたので、つい でと言っては失礼ですが、松本委員に法的な観点から資料を作成して頂きましたので、 この資料6の説明をお願いできますか。それと今の1の4と一緒にディスカッションし たいと思います。 ○松本委員  どの程度の時間で行えばよろしいでしょうか。 ○田中座長  先生、十分説明しようと思われるのなら何分ぐらい必要でしょうか。まあ1時間ある わけですね、今から。 ○松本委員  余り長くならないように致したいと思います。  簡単なメモと昔に書きました論文のプリントアウトしたものをお付けしております が、お付けした論文は95年のものでありますから、もうかなり古いものです。当時、平 岩経団連会長を座長とした規制緩和に関する政府の審議会が活発に動いておりまして、 そこが出しました報告書を基にして私の考えを書いたものであります。基本的な部分は 今でも変わっておりませんが、その後、法制度が変わったり、新たに実現した部分と か、私自身の考えが少し発展したところなどもありますから、そのとおりというわけで はございません。メモの方に即してお話を致します。  まず規制、すなわち経済活動を一定制約しようとする場合に、どのような目的によっ てその規制を行うのかという観点から分類をしようというのが平岩委員会のそもそもの 発想でありまして、経済的規制と社会的規制に大きく分けると。経済的規制というのは 需給調整の観点からの競争制限的な規制であって、参入規制、設備規制、輸入規制、価 格規制等さまざまに行われております。平岩委員会ではこのような規制はすべて廃止す べきだという立場であります。  他方、社会的規制といいますのは社会的見地からの規制でありまして、安全や健康、 環境、最近ですと高齢者・障害者のことを考えた規制ということになるかと思います。 平岩委員会では社会的規制についても必要最小限のものに限定すべきだというような考 え方を述べております。  他方、どちらの規制にも入らないが規制だと言われているものが実はございます。そ れが第3ジャンルのものでありまして、経済的規制を撤廃しようとするのは競争を促進 しようということでありますが、競争を促進するために一定の規制が必要なんだという ことであります。公正な市場を形成するための規制といってもいいかと思います。市場 の基礎を作るための規制でありまして、独占禁止法に基づく規制あるいは景品表示法に 基づく規制などがこれでありますし、あるいは商品の内容等について正確な情報を提供 することを義務付けるというディスクロージャー、開示規制というのもこのような自由 競争を促進するための規制ということになります。  なお経済的規制と社会的規制は必ずしも厳密に分けられるものではなくて、社会的規 制を名目とした経済的規制もあると言われております。これは行政規制の場合でありま すが、従来は業界振興を担当していた部局が社会的規制も一緒にやるという、両者を分 けないで1つの機構がやっているというところから、社会的規制を名目とした経済的規 制が行われがちであるためということがあるかと思います。  また、消費者保護というのは従来社会的規制であり弱者保護という意味で考えられて いたわけですが、最近ではむしろ第3ジャンルの方の公正な市場形成のための規制とい う考え方がかなり認識されるようになっております。  次にだれが規制をするのかという規制主体による分類であります。まず第1が行政規 制という行政官庁が規制をするというものです。その場合の手法といたしましては、法 律に基づくもの、それから法律に基づかない行政指導によるもの、更には税金や補助金 という金銭による誘導によって行うものなどがあります。  また、担当する官庁につきましても、いわゆる主務官庁による縦割り規制というのが 伝統的でありますが、他方で、ある業の主務官庁ではないところの、言い換えればすべ ての業に対して共通ルールを適用するということを任務とした横割りの規制機関による 規制の2つに分かれるところです。横割り規制を行う機関の代表が公正取引委員会とい うことになります。  それから、警察力を用いて行われます刑事的な形での規制というのがございます。刑 法を直接適用して行うものと、それから行政規制の実効性担保のために、行政機関が一 定の命令や指導をしたのに対して従わない場合に、どこかの段階で刑事罰を課すという 形のものもございます。  次に民間が規制の主体になる。余り従来規制とは考えられていなかったわけですが、 行政ではない民間が規制主体になるということで、規制という言葉をどう考えるかによ るんですが、民事ルールに基づいて、いわゆる裁判所を使って行うという形になりま す。例えば製造物責任法を適用して損害賠償を、欠陥製品を製造した者に支払わせると いうのは、製品安全を確保するための言わば経済的なサンクションを与えるということ でありまして、直接的な規制ではないのですが、一定の者に対して一定の行動をとるよ うに仕向けるという意味で規制と位置付けてもいいとは思います。  更に最近では独禁法に違反をしている場合に、そのような行為をやめろということを 裁判所に訴えることができる権利が被害者に与えられました。以前は公正取引委員会が この権利を独占していたわけでありますが、一部民間に移管をされたと言えます。  また、更に競争事業者が訴訟を起こしてやめさせるということも従来から、不正競争 防止法という法律によって可能でありました。現在、立法課題として検討されておりま すのが、消費者団体に一定の権限を与えて、法律の目的を実現させようという消費者団 体訴権ということであります。  以上がすべて法律を根拠にして規制をしようという発想でありますが、法律によらな いものとして自主的な規制、自主規制というのがございます。個々の事業者が自ら行う 場合もあれば、業界団体がルールを決めて行う、それに違反した場合には団体として一 定の制裁を加える、例えば除名とかという形でルールを守らせようとするものがありま す。  また、業界団体ではなくて、別個の第三者機関による場合もあります。更に最近国際 的に注目されていますのは、単なる事業者の自主規制では社会から信用されないだろう ということで、その事業者による自主規制の中に消費者とかあるいは行政機関が入って いって共同で適切なルールを考えて、それを事業者が守っていくという形の、英語でコ レギュレーションという考え方が注目されているところであります。  それから、次に時期による分類ということでありまして、事前規制と事後規制と分か れます。事前規制というのは事業者がある行為を行えるかどうかを事前にチェックをし て制約しようというものでありまして、典型例が参入規制ということになります。ある いは医薬品であれば、医薬品を販売できるかどうかの段階での規制ということでありま して、予防を確実に行うことができるという大きなメリットがありますが、他方で競争 制限に結び付きやすいというリスクもあります。  他方、事後規制の典型は行為規制でありまして、どの事業者も市場に参入しても構わ ない。商品を開発して販売しても構わないが、その場合にはこのような基準に従って販 売活動をしなければならない、製品の設計をしなければならないといったようなルール だけは明らかにしておき、その違反が後で明らかになった場合に一定の制裁を加えると いう形でありまして、これは競争を促進するという作用はありますが、事後規制の実効 性がきちんと確保されていないと不当な事業者が得をするということになります。違反 を監視するためのコストをどのようにまかなうかという問題もあります。  最近では規制緩和がここ10年、20年盛んに言われているわけでありまして、その影響 下で行政の役割がかなり変化をしてきているということがあります。といいますのは、 規制緩和、規制緩和という場合の規制というのは、専ら念頭に置かれているのが行政機 関による事前の経済的規制であったからであります。したがいまして、規制緩和という のはすべての規制をやめてしまうという意味ではなくて、ここで言うところの行政によ る事前の経済的規制を緩和して、規制のやり方を変えましょうというのが本来の意味で あります。従いまして、OECDでは規制緩和という言い方はしないで規制改革という 言い方をしております。規制のやり方を変えるのだということであります。  では、具体的にどう変わってきているかということですが、1つはっきりしているの が業界を振興させる振興行政と安全規制等の規制行政を分離していこうという傾向であ りまして、医薬品につきましては、旧厚生省時代に薬害を反省いたしまして、現在では 局を分離いたしておりますし、食品行政につきましても、従来農水省と厚労省というこ とで大まかな分け方はされていたところがありますが、一次産品いわゆる農場段階での 振興行政と安全のための規制行政が農水省の内部で分かれていなかったというところが 反省されまして、今年度の機構改革でここも分離を致しました。  また、以前はしいたげられておりました公正取引委員会が最近ではかなり尊重されて きているということで、横断的規制の方向がかなり強くなってきております。また、事 前規制をなるべく少なくして、事後規制へ変えていこうという動きも強くなっていると ころです。しかし、安全性の問題につきましては、なお事前規制が必要であるというこ と、特に食品問題につきましては、ここが強調されているところで、食品安全委員会の 創設というのが実現をしております。これはリスクアナリシスに基づくリスクマネージ メントとしての規制であって、リスクアナリシスが強調されているというところがあり ます。  ただ、事前規制のやり方につきましても、全てを政府が直接安全性をチェックすると いうやり方だけではなくて、基準認証制度を緩和をして、政府認証から民間の第三者機 関による認証に変えていく。あるいは安全性の問題がより小さな製品については事業者 による自分で自ら基準を守っているかどうかをチェックをして、それで適合していれば 自ら自己適合宣言を行って、商品を出荷してもいいというような形に緩和をされてきて いるところであります。  ただ、このような自己適合宣言でいいのだということになると、ルーズな事業者が得 をするではないかという危惧が出てまいりますが、このような基準認証制度の緩和と セットで事後チェック機能の強化ということが言われているところであります。ここで も色々な項目が考えられますが、例えば食品におきましてはトレーサビリティというの が現在非常に強調されているところでありますし、問題が起こった場合のリコール制度 を強化しようということも言われております。  食品の安全につきましては、従来厚労省、農水省それぞれ様々な施策を取っているわ けですが、行政のマンパワーには限界があります。そこで、行政以外のチェック機能あ るいはモニタリングと言い換えてもいいわけですが、それをもっと活用しようというこ とで、例えば何か問題が見つかった場合に消費者に行政機関に申し出をする権限を与え る法整備が様々な法律で進んでおりますし、また企業内部の従業員として法令違反を見 つけた場合に、そのことを監督官庁やマスコミ等に通報したことを理由にして不利益を 課されることはないという、公益通報者保護を法律で行うという法案づくりが現在、内 閣府で行われているところであります。  また、事業者団体にもこのような機能を持たせるものとしては公正取引協議会が典型 的なところで、表示に関しまして公正取引協議会の役員が色々監視して指導するという ような仕組みがあります。  また、万一違反があった場合に対する制裁を強化することによって違法行為を抑止し ようという方向も、法律が改正されるたびに実現をしておりまして、罰金額が従来せい ぜい数十万円とか百万円ぐらいだったのが、最近は1億円というのが結構出ておりま す。また事業者名の公表につきましても、従来はよほどのことがないと名前が出なかっ たわけですが、非常に早い段階から違法行為を行った事業者の名前を行政機関が公表す るという制度が進められているところです。  次に、事業者の経済的な活動を規制するということと消費者利益との関係でありま す。消費者の利益あるいは権利と言い換えてもいいですが、それを分けますと次のよう な4つぐらいになるのではないかなと考えております。  (1)1つは、安全や健康や衛生や環境といった問題であります。  (2)2つ目が、選択の自由といいましょうか、品質のよいもの、価格の条件のよいも のを選択する利益であります。  (3)3つ目が、2つ目とも関連は致しますが、少し違ったものとして、公正な取引条 件あるいは公正な取引環境で取引の決断ができるという利益ないし権利。  (4)4つ目が、問題が起こった場合に適切に苦情処理をしてもらえる、あるいは被害 の救済をしてもらえる利益ないし権利であります。  4つ目はやや事後的な問題でありますから置いておくといたしまして、では消費者問 題は何故起こるのかというのを1、2、3との関係で見ていきますと、1つは事業者と 消費者が持っている情報の量や質に大きな格差があるというところから、主としてBの 選択を誤らせる、適切な選択ができないという問題が起こってまいります。  また交渉力に格差があるという点から、公正な取引条件、取引環境において取引がで きない。言わば不当な条件が押し付けられるとか、プレッシャーのある状況下で契約を 押し付けられるといった問題があります。  それから3つ目、安全、健康、衛生、環境といったところでは、消費者というのは結 局個人である、生身の人間であるということから来る一旦被害を受けた場合の回復が非 常に困難であるという点であります。安全や健康というのは一旦損なわれるとそう簡単 には回復できない。ここが経済的な被害の場合と大きく異なるところであります。  表示の規制、特に食品の表示につきまして食品衛生法やJAS法、その他幾つかの法 律があって、その関係が非常にわかりにくいということが言われておりますが、食品衛 生法は主としてAの問題を考えております。JAS法の方は主としてBを考えているとい うことで、一応切り分けがなされているところであります。ただ、遺伝子組替え食品の 場合などはよくわからないような位置付けになっているところもあります。  そして、選択の自由、食品表示でいけばJAS法の問題とか、あるいは公正な取引条 件の問題は、結局自由で公正な競争が実現するということによって達成されるものであ りまして、この意味では消費者保護のための消費者政策と自由で公正な競争を実現する ための競争政策というのは同じものであるということが言えます。ここから消費者のた めの規制というのは社会的規制ではなくて、競争を実現するための規制だという結論が 出てまいります。すなわち正確な商品情報が消費者に適切に提供されるということは競 争を促進し、翻って消費者の利益になるということであります。ただAで挙げました安 全健康等の利益というのは、必ずしも競争の利益には還元できない独自なものが含まれ ております。  そこで、消費者利益確保のための規制の在り方ということでありますが、取引にかか わる利益、BやCの問題は基本的に自由で公正な競争を促進するための規制でありまし て、これは事前のルール設定と事後的なチェックでかなりの部分が実現可能なものだと いうことが言えます。例えば表示につきまして、表示の事項を義務付けることによって 選択がよりやり易いようにする。これは言わば競争促進的な規制ということになりま す。他方、実際よりも優良・優位な表示、あるいは誇大表示を禁止するということも競 争を促進するということになります。  ただ、この種の規制につきましては、行政がすべて事後的な規制を行う必要はないわ けでありまして、民間あるいは消費者団体、競争事業者が行うということも十分可能で あって、そのような形の制度設計もなされてよいと思います。ただ、高齢者に金銭的な 被害が生じるとか、あるいは非常に高額な金融商品被害のように、金銭的な被害であっ ても一度受けると回復が非常に困難になるタイプのものについては、なお事前規制が必 要なものもあるかとは思います。他方、安全に関わる利益につきましては、事前規制が 基本的に必要だということになります。  そこで、最後に健康食品の問題でありますが、安全の面と取引の面と両方あると思い ます。安全の面につきましては、食品衛生法が食品として一般的なルールを決めている わけでありまして、これは当然満たしているということが前提になると思いますが、更 に特殊な形状・形態で販売されるものについては、伝統的な意味での食品と医薬品との 中間的なものとして、一般の食品以上の安全面での規制が必要だろうと考えます。とい うのも、形態が変わって従来とは違って圧縮されたり濃縮されたりという形で摂取する ことからくる新たな危険性の面については十分事前のチェックが必要であるということ です。  次に取引面の方ですが、効能効果についての虚偽表示や誇大表示は当然取り締まられ るべきである。これは恐らく事後的な取り締まりでも可能だと思います。ただし、その 製品自体の中には危険なものは入っていないかもしれないが、健康食品であるというク レームがなされることによる独自の健康被害というのが生ずる可能性があるのではない か。この商品だけを摂っていれば、あとはでたらめな食生活をしていても健康を維持で きると思わせられることによる被害でありまして、ここについてはむしろ安全の面に近 い規制が必要ではないか。そういう意味で事後規制ではなくて一定の事前規制が必要な 側面もあるのではないかと思われます。  それから、正確な情報がきちんと開示提供されるということは消費者にとってもプラ スだし、競争を促進するということでもプラスになると思いますから、ここはきちんと 積極的な手当てがされるべきであろうと思います。  その場合に、販売業者や製造業者には出したくない情報が実はかなりあるのだと思う のです。売りたいための情報は積極的に出しますが、そうでない情報はなるべく出さな いという場合が多いので、そこを出したくない情報も出させるという表示の義務付け と、それから都合のよいところだけを一面的に強調した誇大不正確な表示はさせないと いう方の規制強化がセットとして行われることによって、情報提供が促進され市場が活 発になるのではないかと思います。  以上です。 ○田中座長  ありがとうございました。多分、法学部の学生にはこの経済活動に関わる規制の考え 方を何時間もかけて講義されるのでしょうが、それを短時間にまとめて頂きましてあり がとうございました。事務局はこの新開発食品の規制当局そのものでありますので、事 務局からも若干追加説明をお願いしたいと思います。 ○尾形室長  松本先生、本当にありがとうございました。規制改革ということが大変かまびすしく 言われている中で、健康食品の安全性・有効性というものにどうアプローチすべきか、 その哲学というか理念について短時間で貴重な御示唆を頂きありがとうございます。ち なみにこういった御指摘頂いた点について我が食品安全部としてどういった規制を現在 行っているかということを補足的に御説明したいと思います。  まず安全性について新開発食品としてのプラスアルファの規制が必要だろうという御 指摘がありましたが、この辺は先般食品衛生法大改正の中で新しく条文を1個設けまし て、濃縮されたようなものについては、今までの食経験のないような量で成分を摂取す る可能性があるということで、その潜在的危険性に着眼した特別の事前規制を加えたと ころでございます。具体的には健康被害との因果関係が必ずしも確定していなくても予 防的観点から一時的に販売を禁止できるようにしたということでございます。8月29日 に施行され、即日、アマメシバという植物でございますが、これをまさに適用第1号に したことで皆さんも御認識頂けるのではないかと思います。  そういった非常に大胆といいますか、かなりドラスティックな規制を今般加えたわけ でございますが、更に規制が必要かどうかということにつきましては、今後の検討会の 議論の中でも大きな論点の1つとしてまさに御検討頂きたいということでございます。  次に取引の面でございますが、これはどちらかと言いますと、我々の言葉で言う有効 性の問題ではないかと思います。例えばクレームを付けたことによる色々な損失、金銭 的な損失といった問題がまずあるわけでございますが、これは消費者にとっての不利益 というのはよく分かるのですが、必ずしも厚生労働省の守備範囲ではない部分がござい ます。公正取引委員会あるいは経済産業省の所管しております景表法や特定商取引法に よって規制されている部分でございます。  なお、景表法につきましては、今般11月に健康食品を対象としたまた規制の強化がな されまして、表示の裏付けとなるような合理的な根拠、クレームの科学的根拠を示す資 料が提出されなければ不当表示とみなすという大変これもまたドラスティックな内容の 規制が強化されたところでございます。これは他省庁の所管部分でございますが、そう いうことが既になされております。  それから、先生が強く御指摘になられた金銭的損失のみならず健康被害につながる恐 れもあるかもしれないという部分でございますが、これは我が方も従来より意識してい たところでございまして、食品衛生法と併せて先に健康増進法を改正いたしまして、新 たに誇大広告の規制という条文を盛り込んだところでございます。実際に表示している ような効果がないにもかかわらずその虚偽の表示あるいは誇大な表示を信じて長期に摂 取したために適切な治療の機会を失って結果的に回復不能な健康被害を生じてしまうと いうような場面を想定してこういった規制を設けたところでございますが、これも8月 29日から運用を開始し、既に色々な行政指導を、自治体あるいは本省一丸となってやっ ているところでございます。  既にこういった規制、特にこの誇大広告の問題は表現の自由でありますとか営業の自 由といった憲法上の論点を含む部分でございまして、業者さんのみならずマスコミ関係 からも色々な御指摘、御批判、御意見を頂いたわけでございまして、非常に運用に当た って配慮を求められているところでございますが、こういった規制を加えた上で更にま た何か規制が必要であるのかどうか、こういったことをまた消費者の立場からこの場で 御意見いただければ大変ありがたいと思っております。 ○田中座長  それでは資料4の論点整理の1の4、健康食品の体系上の位置付け及び今の松本委員 及び事務局からの説明をも踏まえて、御質問・御意見等がございましたら御発言をお願 いしたいと思います。どなたかございませんか。太田委員どうぞ。 ○太田委員  先生どうもありがとうございました。非常によく御説明頂きまして大変勉強になりま した。先生がおっしゃるとおりでございまして、きちんとした情報を付けることが大切 です。当然ながら虚偽・誇大は廃絶しなければいけないことではございます。現在、正 しい情報を消費者にお伝えする上で一番の障害になっているのが、現行の薬事法の制約 です。正しい情報であっても、食品であるという理由で、その商品や含まれている成分 の働きについて表示することができません。例えばと例をお示しようかと思いました が、ちょっと生々しいものでございますから、車に例えてみたいと思います。車を買い たい消費者はテレビの広告やカタログを見たり、展示場に行かれ実際に乗ってみる、あ るいは今ですからネットで確認をしたり、友達の話を聞くなどしながら、その車は一体 幾らするのか、デザインはどうか、あるいはファミリーカーなのかスポーツカーなの か、最高速度はどのぐらいか、あるいは燃費はどのくらいか、これらのベーシックな情 報をベースに決められるわけです。  これはデジカメの場合でも他の商品の場合でもほとんど全部そういう情報を自分なり に判断をしているはずです。現実にいい悪いということはちょっと置きまし、健康食品 の場合を考えると少なくとも車のスペックに当たるような表示ができません。例えばこ の商品は本来血圧の高い、あるいは高めの方にお勧めすべきものである。 効果が上が るためには、このような飲み方をして欲しい。この成分はこういう働きをすることが 判っている。これらについて書くことができない現実があります。正しい情報であって も、その情報を付けるということが出来ない現実が実は一番の問題だと思っています。  エビデンスについてもこれから色々討議しなければいけないと思いますが、一言でエ ビデンスと言っても非常に難しい言葉だと思います。カタカナ言葉の例に漏れず、一人 一人がとらえるエビデンスの内容が異なっていることや、科学に裏付けされた資料が必 要であることは当然ですが、科学的とは何を指すのかなど共通の認識を持つだけでも」 大変なことだと思っています。 まずは、現状では正しい表示をして、正しい情報を付けて、かつ先生がおっしゃったよ うに企業として、あるいは業者として出したくないような情報につきましても、ディス クローズしていく。その中で消費者の方がお選び頂けるようになるというのが一番大切 であると思います。この検討会の基本的な目的ではないのかなと思っております。  それで、今の先生のお話の中で伺っておりましたが、どうすれば今の法体系の中でこ のようなことが出来るか、あるいは法体系を変えなければいけないのかという辺りも今 度のこの検討会の非常に大事な議論の場なのではないかなと考えております。  それと松本先生にちょっと1つ教えて頂きたいのですが、3ページの上から5行目の ところの仕様規定から性能規定というのは、もうちょっと教えて頂けるとありがたいの ですが。 ○松本委員  これは食品だと余り言わないかと思いますが、典型的には建築基準法などの分野で、 従来ですと安全面等からこういうスペックでなければならないと、つまり形から分厚さ からサイズから全部決めていた、これが仕様規定ですが、こういう効果を実現出来る、 こういう性能を実現できるものでなければならないという形に規制の仕方が変わってき まして、そうしますと、ある性能を実現するための製品は何種類もあっても構わないわ けですから、そうすると競争が実現するという発想で、この種の形に大分変わってきて おります。 ○太田委員  ありがとうございました。 ○田中座長  他にどなたか。神田委員、どうぞ。 ○神田委員  先ほど尾形室長が答えて下さったこととの関連ですが、色々健康増進法とか法律を改 正してきたということで、強化されたということで、分かりましたが、一つ気になった ことは虚偽・誇大表示のことで、これは公正取引委員の景表法の管轄であるというお話 がありまして、ただこの健康食品を考えるときに虚偽・誇大表示というのは非常に大き な問題があると思っているわけですが、その厚生労働省と景表法の関係の公取ですか、 おそらく日常的な協力共同関係というのでしょうか、この誇大表示にまつわる、これは 重要なことだと思っていますので、どんな共同協力関係があるのか、あるいは全くない のか。  実は表示共同会議というのをやっておりますが、そこは厚労省と農水省が一緒に共同 して、共同はその2つは共同していまして、食品衛生法とJAS法のすり合わせをして いるのですが、私たちから見ると、やはり誇大広告だとかそういった表示ですね、そう いったことがセットになって欲しいなと常々思っているものですから、特にここでは もっと必要性があるのではないかと思いますので、お聞きしたいと思います。 ○尾形室長  それでは事務局から御質問にお応えしたいと思いますが、まず私の説明で誤解を生じ た部分があるかなと思いますので、訂正させて頂きます。誇大広告・誇大表示の問題は 景表法でも、その経済的観点から規制されております。金銭的損失の観点から規制され ておる。他方、健康という観点から厚労省所管の健康増進法によっても規制されている という意味で2重の規制がかかっているということでございます。この点については実 は業界やマスコミの方々から二重規制であるという厳しい御指摘を頂いている部分でも ありまして、やはり事柄の重要性に対応してあえてこういう厳しい規制をさせて頂いて いるという部分でございます。  もう一つの公取との日常的な共同関係ありやなしやということでございますが、これ まで、つまり公正取引委員会の方で景表法を改正するまでにつきましては、公取もまさ にそれが理由で今回法改正したわけだと思いますが、やはりツールが十分整っていなか ったのであまり機動的に対応できていなかったということがあるようでございまして、 必ずしも本当に毎日という意味での共同関係があったかどうか、そこはやや疑問があり ます。ただ勿論こういう事案があるということであれば、情報提供のようなことはして いたところでございます。  それから景表法が改正された今後ということでございますが、今後の問題につきまし ては、既に公正取引委員会と厚生労働省それぞれ法案を出したわけでございますので、 法令協議の段階、各省間の法令協議というのが必要になってくるわけですが、法令協議 の段階からお互いにこれは運用上必ず色々協調するといいますか、連絡を取り合う必要 性があるだろうということで事務レベルではありますが、お互いに今後どうこれを運用 していくかということを話し合う場は設けているところでございますが、公取の方がま だ施行されたばかりというところでございますので、具体的に今、個々の事案でどうだ ということについてはまだお答えできないところがございます。 ○田中座長  他にどなたかございませんか。では、鈴木委員から。 ○鈴木委員  松本先生に伺わせて頂きたいのですが、今の先生に規制の枠組みが色々あることを承 りまして、ここで健康食品という名称をどうするかということは別として、いわゆる保 健機能食品といわゆる健康食品というものと、この規制の枠組みがそれぞれ違う場所に 位置する。あるいは、あるものは一緒であるものは違うという形でものごとは整理でき るものでしょうか。 ○松本委員  現状ですと、いわゆる健康食品というのは食品の一部ですから、特別の規制はなくて 一般的な安全規制、一般的な不当表示規制がなされているというだけの話になります。 そこで、いわゆるの部分について何か制度化するのかどうかという話が次のステップで ありまして、もしするんだとすれば、どのようなものをその中に入れるのか。先ほど私 が言いましたように客観的に分類するのか、それともそのように主張するものについて だけその中に入れた上で一定の要件を課すのかということでありまして、私は恐らく客 観的分類は不可能だと考えますから、健康に貢献するという趣旨で売りたい商品につい て一定の制度に入るか入らないかという議論をすればいいのではないかと思います。  その場合に、ではその種の食品について一般食品と違う何かのルールを考えるとすれば どうなるのかということで、先ほど言いましたように、成分等が濃縮されているような 場合については、医薬品ほど厳しくないにしても、安全性等の一定の基準をクリアして いるとかいう事前の安全チェックが必要ではないか。  それから販売する際の健康強調表示について、正しい正確なデータに基づいた適切な 表示であればむしろ促進されるべきなのでしょうが、現状ではそうでない表示が随分多 いということから考えますと、健康強調表示をする場合について、今だと結局事後的に 問題があれば、公正取引委員会が何か動くとか、厚生労働省が動くということですが、 事前の規制といいましょうか、この種の強調表示をする場合については、その旨の実証 データを事前に出さないとだめだという形のより厳しい規制も考えられます。その代わ り、従来の一般食品の中のよく分からない括弧付き健康食品ではなくて、きちんと事前 の要件をクリアーして認められた健康強調表示であるということになるのではないか と。欧州が随分事前規制的な仕組みを取っているようなのですが、ひょっとするとそう いうような発想があるのかなという予想をしております。 ○田中座長  大濱委員、どうぞ。 ○大濱委員  やはり私も同じ問題に関連したことなのですが、松本先生のお話で大分色々なところ が整理されて分かってきたような気が致します。特に流通禁止措置というところの問題 に関連して言えば、これは今、尾形室長からもお話がありましたが、特殊な抽出方法、 特殊な製造方法によるものに対しては、多分この検討会の1回目か2回目に厚生労働省 の方から御説明があった特殊な剤形を取るという考え方が加えられていたと思うので す。  そういうものというのはやはり他の食品はもちろん、いわゆる健康食品という「いわ ゆる付き」の中でも特別な位置付けに置かれているのではないか。その置かれた位置付 けに対して、やはり安全域の問題とか、それから場合によっては摂取方法、服用方法、 いわば医薬品的に言えば用法・用量に関する問題についてもしっかりした考え方を出し ておかなければいけないと思います。  そういったものと、いわゆる普通の食品の形態を取っているものの区別を明確にした 考え方を持ちながら検討を進めていかなければいけないという気が致します。特に流通 禁止措置の場合には、因果関係の確証がなくても流通禁止の措置を取るということに なっておりますが、これはやはり科学的な根拠の問題と本質的な部分で大きく繋がって いる問題でして、いつまでも確証のないままでいいかどうかということも含めて考えて いかなければいけないのですが、このような特殊な剤形を取って特殊な製造方法を取る ものについては、そのエビデンスという問題を非常に明確に考えていかざるを得ないと 思っています。そういう意味ではこのタイプのものについて、やはりそれなりの制度と いうものを考えていかないわけにはいけないのではないかという気が致します。 ○田中座長  では、太田委員。 ○太田委員  同じような話になりますが、4ページのプラスαの安全規制です。先ほど室長からお 話がございましたように、本年度の法改正で一般的なものにつきまして、今の例えば濃 縮をしたものはこれでカバーできると私は思っております。大濱委員がおっしゃったよ うに、例えば飲み方に対してこれ以上は飲まないようにというような表示は今の目安量 というような表示だけではなくて、具体的な表示が必要と考えます。  それと法律で予防的に流通を止められる、禁止できることは業界にとっては非常に大 きな問題でございますが、安全第一という立場から考えますと、これに対してはやはり やむを得ないというか、これしか策がないと思います。ただ、現在の例えばPL保険法 のようなことでカバーできないかと思っております。今回の議論とは別ではございます が、例えば業界自身での自主規制のような形で、一定のレベル以上の安全データがある 原料を使っている場合に限り、保険加入権があるようなことも含め検討していかなけれ ばならないとではないかと感じております。 ○田中座長  今、お2人のことについて松本委員、何かございましたら、特にございませんか。 ○松本委員  特にございません。 ○田中座長  どうぞ、飯島委員。 ○飯島委員  3ページの11行目ですが。 ○田中座長  論点整理の方ですね。 ○飯島委員  はい。論点整理の方です。11行目ですが、新たな制度に当たってはと書いてあります が、私はヒアリングのときに資料3のところで述べさせて頂いたんですが、現行の制度 をうまく、規制部分を含めて利用すればよいのではないかなと思いますが、その辺、こ の新たな制度に当たってというところをどのようにお考えになっておりますでしょう か。 ○尾形室長  これは事務局がお答えしますか。 ○飯島委員  はい。 ○尾形室長  大変失礼しました。新たな制度化と書いてありますので、何か現行の制度は必ず変え るんだという前提に立っているとお受け取りになったのかもしれません。必ずしもそう いうことまで我が方で決め打ち的に申し上げていることではありませんが、現行の制度 のままでいいというのも一つの御意見だと思いますが、それを見直すべきだという御意 見もあり、そういうわけでこの検討会を始めた面もありますので、やはり見直しという ことを議論はせざるを得ないと。議論をするに当たって、こういう観点が議論のポイン トになるんであろうということを、この3行で書かして頂いたわけでございまして、そ もそも現行制度のままでもよいというのも1つの御意見だろうと思っていますので、そ れを全く排除するという趣旨ではございません。 ○田中座長  他にございませんか。 ○羽生田委員  よろしいですか。 ○田中座長  はい、どうぞ。 ○羽生田委員  遅れて申し訳ありません。ある新聞に私が何か非常に否定的な意見であると書かれた のですが、私は特別にいわゆる健康食品等について全く否定的に言っているわけではな くて、今お話にも出てきた健康被害というものが起きてはいけないという前提でものご とを考えなければいけない。今、問題になっているのは、この検討会ができたのも、い わゆる表示というところから消費者がどのように理解して、どのように食品等を利用し ているかということが一番の問題で、その辺からこういう検討会ができてきたのだろう と私は理解しております。  今、アマメシバの話が出ましたが、疑いがある段階で販売停止という措置が取られる ようになったというのは一つの進歩でありますが、それ以前にこういうことが起きない ためにどうしたらいいかということがもっと大事なことですから、アマメシバのような いわゆる濃縮された食品によって健康被害が起きたのだろうということで販売停止とい う措置が取られたわけですが、本来起きないためにどうしたらいいかというところをも う少し検討しなければいけない。そのためには消費者がどのように理解するかという点 で非常に表示が大事である。ですから、私は一番最初のときにも申し上げたように、あ る意味含まれている成分表示だけでもいいのではないかという極端なことを申し上げま したが、それだけにしても取り過ぎれば必ず健康被害が起きるとかあるわけですから、 その辺の起きないようにするためということをやはり起きてからだけではなくて十分に 検討して頂きたいということを申し上げているわけでございます。  以上です。 ○田中座長  他にございませんか。どうぞ。 ○合田委員  今日のディスカッションは沢山意見が出てきましたが、やはり2つポイントがありま して、やはり特殊な形態を取るものですね、剤形とかカプセルとかのものについてどう するべきかというのが必ず1つあります。もう一つは形態ではなくて、濃縮しているも のについてどう考えるべきか。そういうものがやはり普通の食品とは違うのだろうとい う認識、言い換えればこれらは通常の食品衛生法でレギュレーションされるものとは違 うのではないかという認識は多分委員が共通に持ち合わせているのではないかと私は思 います。ですから、ある段階でそういうものについて絞ってディスカッション出来たら いいのではないかと思います。 ○田中座長  方向としてそうですが、歴史的に、これは前回も私は言ったのですが、通常の形態を した食品も特定保健用食品として現実には認められているのですね。ですから、そこが なかなかディスカッションが難しいところで、今、先生がおっしゃったものだけという わけにもいかないわけですね。時代の流れとしてはそういう方向があるわけですが、例 えば麺類とかジュース類とか、それから、いわゆる乳酸菌製剤等々があるわけですの で、それを放っておいて言うわけにもいかないわけですね。それらは特保ですので。 ○合田委員  特保は特保の制度として今一定のルールで動いているわけですね。私が理解している のは、この会議では特保以外の、保健機能食品以外のものについてどうであろうかとい うことは多分かなり議論されているところなのではないかと思うんです。そういう意味 で、そういうものについての今2つの形態についてどうあるべきかということを議論す べきではないかと思います。 ○田中座長  色々御意見も出ているようでございますが、時間も迫ってまいりましたので、健康食 品の体系上の位置付けの議論は一応ここまでとさせて頂きます。  次回は論点整理の2の1、消費者への適切な情報提供の在り方から議論することとい たしたいと思います。  最後に事務局より報告事項があるということですので、説明をお願い致します。 ○梶野室長補佐  前回御意見を頂きました海外出張の件ですが、まず日時ですが、来年の1月25日の日 曜日から2月1日日曜日の8日間。  次に訪問先ですが、この8日間で行ける範囲ということになりますので、アメリカ と、それからEUのあるベルギー、それとオランダの行政機関を訪問する。  3番目にメンバーですが、田中座長、それから羽生田委員、神田委員、大濱委員、そ れと事務局ということでさせて頂きます。  調査内容につきましては前回意見を頂きましたが、健康食品に関する法制度や、制度 の運用実態、トラブル、それから健康食品の流通実態、新たな見直しの動向があればそ ういったことも調査させて頂きたいと考えています。  それから、最後に冒頭ありましたように資料8の回収がありますので、傍聴者の方に は非常に申し訳ございませんが、帰られる際には資料を交換させて頂きます。どうも申 し訳ございません。 ○田中座長  それでは、本日の検討会はこれで終了とします。なお、次回の日程ですが、12月中に もう一度開催することについて事務局で一生懸命努力して頂いたのですが、年末のこの 押し迫っている時期に皆さんお忙しいということで都合がつきませんでした。従いまし て、年明けで御都合のいい日を調整させて頂いた上で改めて事務局から連絡させて頂く ことにしたいと考えます。  本日はこれを持ちまして閉会と致します。どうもありがとうございました。                                   ――了―― 照会先:医薬食品局食品安全部 基準審査課新開発食品保健対策室     (内線:4270、2459)