03/12/04 第29回労働政策審議会雇用均等分科会議事録            第29回労働政策審議会雇用均等分科会 1 日時:平成15年12月4日(木)13:30〜 2 場所:厚生労働省 省議室 3 出席者   労側委員:稲垣委員、岡本委員、片岡委員、吉宮委員   使側委員:川本委員、吉川委員、前田委員、山崎委員、渡邊委員   公益委員:若菜会長、今田委員、奥山委員、佐藤(博)委員、樋口委員、横溝委員 ○分科会長  ただいまから第29回労働政策審議会雇用均等分科会を開催いたします。本日は佐藤孝 司委員が欠席です。  それでは早速議事に入りたいと思います。本日の議題は「仕事と家庭の両立支援対策 」ということです。前回の分科会で「今後の取りまとめに向けた検討のためのたたき台 」について、いろいろご意見をいただきましたので、これを踏まえて事務局において公 益委員の先生方とご相談して、本日報告素案というものを用意されていますので、それ について事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局  それでは「雇用均等分科会報告(素案)」資料No.1についてご説明させていただき ます。まず全文を朗読いたします。柱書きの部分からです。  1.少子・高齢化の急速な進行等我が国の経済社会をめぐる状況が大きく変化してい る中で、男性も女性も、働く人全てが、主体的にその能力を発揮していくことが求めら れており、職業生活と家庭生活のバランスがとれた多様な働き方が選択できるようにし ていくことの重要性が高まっている。  2.こうした中で、仕事と子育ての両立支援については、平成3年の「育児休業等に 関する法律」の制定により設けられた育児休業制度を中心として、平成9年には深夜業 の制限の制度が設けられ、平成13年の制度改正では、時間外労働の制限の制度が創設さ れるとともに、育児休業終了後に、労働者が子育てに必要な時間を確保しつつ働き続け ることができるようにするため、勤務時間短縮等の措置の対象となる子の年齢の引き上 げや子の看護休暇制度の努力義務化がなされる等、その充実が進められてきたところで ある。  3.このような取組が進む中で、育児休業の取得率は、女性では64%(平成14年度女 性雇用管理基本調査)まで上昇したが、一方で、仕事を続ける希望を持ちながら、妊 娠、出産を機に退職する女性も依然として存在する。また、男性の育児休業の取得状況 や勤務時間短縮等の措置の導入状況を見ても、男女ともに育児をしながら働き続けられ るような職場環境が実現されているとは言い難いのが現状である。  4.他方、夫婦出生力の低下という新たな現象が見られるなど、我が国の少子化は一 層深刻な問題となっているが、その要因の1つとして、仕事と子育ての両立の負担感が 軽減されないことが指摘されており、政府が今年3月に取りまとめた「次世代育成支援 に関する当面の取組方針」などの次世代育成支援対策の中心的な課題の1つとしても、 仕事と子育ての両立のしやすい環境づくりが要請されている。  5.とりわけ、育児休業の取得が進む中で、保育サービスとの関係で育児休業制度を より利用しやすい仕組みとすること、職場復帰後の子どもの病気やけがの際に対応でき るようにすること等の課題が指摘されている。このうち、子の看護休暇の問題は、平成 13年の制度改正に際しても、「当面は」努力義務とすべきとの結論に至ったものである が、第156回国会においても、次世代育成支援関連法案の審議において、その請求権化を 検討することが決議されている。  6.さらに、期間を定めて雇用される者の多くが契約の更新を繰り返すことにより一 定期間継続して雇用される等雇用形態の多様化が進んでいる状況を踏まえて、期間を定 めて雇用される者の仕事と子育ての両立支援についても、そのあり方を考えることが求 められている。  7.一方、介護の問題については、平成7年に創設された介護休業制度が平成11年4 月から施行されたことに加え、平成12年4月からは、介護保険制度が施行されており、 介護をとりまく状況は大きく変わっているが、少子・高齢化が進む中で、介護をしなが ら仕事を続けるための環境整備も引き続き重要である。  8.以上のような点を総合的に考慮すると、下記の考え方に従って、仕事と家庭の両 立支援策の充実のために必要な法的整備を行うことが適当である。  あわせて、次世代育成支援対策推進法に基づく事業主行動計画の策定、実施等によ り、男性の育児休業の取得促進や、勤務時間短縮等の措置の導入促進を含め、職場にお ける取組を積極的に進める必要がある。  9.また、子育てを社会全体で支援していくことが必要であり、そのためには、仕事 と家庭の両立がしやすい職場環境の整備のみならず、改正児童福祉法及び次世代育成支 援対策推進法に基づいて地方公共団体が策定する保育計画及び行動計画に則って、低年 齢児を中心とする保育所等の受入れ児童数の増加を図るなど待機児童問題の解消に向け た施策を真摯に推進すること、病後児保育などの多様なニーズに合わせた保育サービス の充実を図ること等、政府及び地方公共団体のさらなる取組が強く求められるものであ る。  以上が柱書きです。以下、3、4頁が具体的な「記」の部分です。こちらについても 朗読させていただいた後、補足的に説明をさせていただきます。  記1.期間を定めて雇用される者についても、雇用の継続という観点から、同一の事 業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者であり、かつ、子が1歳に達する日 を超えて雇用が継続することが見込まれる者(子が1歳に達する日から1年を経過する 日までに契約が更新されないことが明らかである者を除く。)については、育児休業の 対象とすることが適当である。  同様に、介護休業についても、同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上で ある者であり、介護休業開始予定日から3か月を経過する日を超えて雇用が継続するこ とが見込まれる者(介護休業開始予定日から3か月を経過する日から1年を経過する日 までに契約が更新されないことが明らかである者を除く。)については、介護休業の対 象とすることが適当である。  なお、期間を定めて雇用される者を育児休業及び介護休業の対象とした場合、休業の 申出や取得を理由として雇い止めを行うことは不利益取扱いである。一方、休業の申出 や取得にかかわらない雇い止めについては、別途その可否が判断される。  2.育児休業の期間については、子が1歳に達するまでの間を限度としているが、国 及び地方公共団体が待機児童問題の解消に向けた取組をこれまで以上に積極的に推進す ることとあわせ、育児休業制度についても、雇用の継続を進め円滑な職場復帰を図る観 点から、その基本的枠組みを維持しつつ、子が1歳に達する時点で保育所に入れない等 特別の事情がある場合については、子が1歳に達した後6か月を限度として、育児休業 ができるようにすることが適当である。  なお、育児休業を再度取得できる事由として、配偶者が死亡したこと等により子を養 育することができなくなった場合を追加することが適当である。  3.介護休業を取得できる回数については、介護休業が、労働者の家族が要介護状態 になったときに介護に関する長期的方針を決めるまでの間、当面家族による介護がやむ を得ない期間について休業ができるようにすることにより、雇用の継続を図る制度であ るとの観点から、同一の対象家族1人につき、要介護状態ごとに1回、通算して3か月 まで休業できるようにすることが適当である。  4.子を養育する労働者が子育てをしながら働き続けるためには、労働者にとって避 けることができない子どもの病気やけがの際の対応も大きな課題であり、労働者が申し 出れば、病気やけがをした子の世話をするための子の看護休暇を取得できる法的枠組み を作ることが適当である。  その内容については、子の病気等により休むことを余儀なくされる日数、年次有給休 暇の付与日数等は労働者により様々であるが、最低基準としては、制度の普及状況等も 考慮し、対象となる子については小学校就学前までの子とし、労働者1人について、年 5日とすることが適当である。  なお、子の看護休暇時の賃金の取扱いについては、それぞれの労使間で検討されるべ きものである。  5.短時間勤務制度等労働者が就業しつつ子を養育することを容易にするための措置 については、業種、業態等の多様性を考えると、選択的に措置を講ずることを義務づけ る現行の枠組みを維持することが適当であるが、子育てをしながら働き続けるために は、現実に働く時間を短縮できる短時間勤務制度を推進することが有効であり、この考 え方を明らかにすることが適当である。  以下、「記」の内容について補足的に説明をします。記の1.期間雇用者の適用の問 題です。たたき台において「一定の要件」と示していましたが、この素案において「具 体的な要件」として提示しています。具体的には、同一の事業主に実績として1年以上 雇用されること。かつ、子が1歳に達する日を超えて雇用が継続することが見込まれる こと。さらに、これを具体的に申しますと、1歳時点において雇用契約が締結されてい る状態にあること、あるいは申出の時点から見て、1歳を超えて契約が更新される可能 性が明示されていること、という場合について、雇用が継続することが見込まれると考 えることができるのではないかと考えています。  なお、括弧書きの部分です。「子が1歳に達する日から1年を経過する日までに契約 が更新されないことが明らかである者を除く」。これも具体的には、仮に1歳時点にお いては雇用が継続されることが見込まれていても、その後、一定期間内において雇用契 約が終了されることが明らかである場合については、やはり雇用の継続という観点から いって、最低基準としてそこまで適用できるだろうかということで、この括弧書きの要 件を付けています。  介護休業についても、全く同様の考え方です。休業期間が3か月ですので、その部 分、育児休業と書きぶりが違っています。  さらに「なお」書きの部分ですが、法的に云々という問題ではなくて、当然であるこ とを明示していますが、ここにあるように、育児休業の取得あるいは申出を理由にし て、期間雇用者の方を仮に育児休業の対象とした場合、雇止めをするということです と、それは現在の不利益取扱いの考え方と同様に、これも不利益取扱いだろうと考えら れます。  一方で、先般の労働基準法改正で、雇止めについて明確な基準を示すということが法 律上示されましたが、そういった明確な基準に照らして、休業の取得以外の理由で雇止 めをする場合、例えば基準において企業業績が悪化をしたという場合について、雇止め をするということが明示されており、その理由により雇止めが行われるような場合は、 育児休業でいうところの不利益取扱いにはならないということで、確認のために記述を しているものです。  この期間雇用者の適用については、別途参考資料1で具体的に典型的な例として、適 用になる場合、あるいは適用にならない場合を例示しています。こちらで簡単に説明を します。  適用になるケースとして、例A、例B、例Cと3つのケースを示しています。また、 この基準を適用した場合に、育児休業の適用にならないケースとして、例D、例E、例 Fの3つを示しています。矢印については1つの矢印が1回の雇用契約であるとご理解 いただきたいと思います。また、矢印については、右の「凡例」のところにあるよう に、3つの種類があります。実線の矢印は現時点での契約、あるいは過去すでに勤務を した契約です。太い点線の矢印は、申出時点で更新の可能性がありと判断できる現在の 契約の次の契約という形になろうかと思います。さらに、細かな点線の矢印は、申出の 時点において契約の更新がなされないということは明らかになっていませんが、一方 で、更新されるかどうかの判断もまだできないという状態の契約であるとご理解いただ きたいと思います。  それを前提にして、例Aから例Fまでを簡単に説明させていただきます。  まず例Aです。3年契約で契約を締結した時点で更新の可能性ありということが明示 されているケースです。雇い入れられた後、先ほどの要件にあるように、育児休業取得 の申出をするためには、1年間の雇用が必要になります。この場合は1年6か月後に育 児休業を取るということで申出をするというケースです。そして、1か月後に子が生ま れ、育児休業を1歳まで1年間取るという形です。産前産後の休業はこの場合省略して います。そうすると、この場合、1歳時点においては、先ほど言いましたとおり、現在 の契約が締結されている状態ですので、1歳に達する日を超えて雇用が継続することが 見込まれるという状態にあるということです。  さらに2歳時点ですが、2歳時点においては次の契約、太い点線の矢印です。これは 先ほど申したとおり、雇入れの時点で契約更新の可能性ありということが明示されてい ます。したがって、2歳時点においても、少なくとも契約関係、雇用関係が終了するこ とは明確に示されていません。そういったような形で、例Aについては今回示した要件 によると、育児休業の適用があるということになります。  例Bです。これは、今回労働基準法の改正で認められた特別な職種で、5年契約の場 合です。この場合も1年6か月後に育児休業を申し出て、1年間育児休業を取るという ケースです。当然1歳時点では雇用関係が継続しています。さらに、2歳時点において も同じく現在の5年契約の中にあります。したがって、このケースについても、育児休 業の適用になります。  例Cです。この場合は1年契約の場合です。1年契約で契約更新の可能性があり、さ らに、特段更新回数の上限が明示されていないようなケースです。まず育児休業を取得 するためには、これも実績1年間の雇用が必要になりますので、1回契約を更新して、 2つ目の契約の時点になると育児休業の申出が可能な形になります。この場合も例A、 例Bと同じように、1年6か月後に育児休業の申出をすると仮定しています。そうする と、1年後の1歳時点は次の契約、この図では3つ目の契約にかかることになります。 これも先ほどの説明と同じような形で、次の契約ですので、2つ目の契約の締結した時 点で、更新の可能性ありということが明示されています。したがって、この1歳時点に おいては、雇用が継続することが見込まれるということで要件を満たしています。さら に、2歳時点においては、次の次の契約になります。これも先ほど申しましたとおり、 更新されるかどうかというのははっきりしませんが、少なくとも明確にこの時点で雇用 関係が終了するとは明示されていません。したがって、例Cについては育児休業の適用 があると考えるものです。  この例Cと対比する形で、次頁の例Eをご覧ください。現実の契約ではこういう形の ものも存在すると思いますが、同じ1年契約で更新の可能性はありますが、更新回数の 上限が例えば2回までということで示されているような場合です。これも例Cと同じよ うに、1年6か月後に育児休業の申出をしたと仮定します。1歳時点においては次の契 約で契約の更新の可能性ありの契約ですので、要件を満たしています。ただ、その1年 後については、この契約については更新2回までということが最初から明示されていま す。そうすると、2歳時点ではその前に雇止め、雇用関係が終了することが明確になっ ています。したがって、1年契約であってもこの場合については、育児休業については 対象にならないということです。  例Dです。こちらは3年契約で更新の可能性がない場合ですが、これも形としては先 ほどの例Eの1年契約が3つつながって1つの契約になったような形とご理解いただき たいと思います。3年契約で更新の可能性はありません、更新はしませんということが 明示されているケースです。これも1年6か月後に申出をし、かつ1年間育児休業を取 ると仮定すると、1歳時点から5か月後には雇止めになる形になります。つまり、1年 以内に雇用関係が終了することが育児休業を申し出る時点で明確になっています。これ も例Eと同じように、そういった観点から適用にはならないと考えています。  例Fです。これは6か月契約で更新の可能性ありという場合です。6か月契約ですの で、1年の雇用実績を満たすためには契約を2回更新する必要があります。3回目の契 約の途中で育児休業の申出をするというケースです。この場合については、1歳時点、 これが雇用が継続する見込みがあることという要件に照らしますと、1歳時点において は次の次の契約ということになります。したがって、更新可能性ありということです と、先ほど来申し上げているとおり、次の契約であれば更新可能性ありということで、 雇用が継続されるということが可能性として判断できるわけですが、もう1つ先の契約 になると申出時点で更新される可能性があるかどうか判断できないという形になりま す。したがって、例Fについては適用できないという形になります。ただし、こういっ た6か月契約でも、最初の時点で、これも例として存在しますが、自動更新で、基本的 には特段の事情がなければ契約を更新するということが明示されているような場合であ れば、1歳時点でも雇用が継続する見込みありということで適用になるというケースで あろうと思っています。以上、記の1の適用の考え方を参考資料1で簡単にご説明しま した。  続いて記の2の部分です。これは特別の事情がある場合について、たたき台において は一定期間子が1歳に達した後も育児休業ができるようにすることを検討すべきではな いかと示していましたが、具体的な期間として6か月ということで示しています。  記の3の介護休業の取得回数の問題です。これについても分科会でご議論いただいて いますが、素案においては現行、同一の対象家族1人につき1回取得できるという形に なっているものを、要介護状態ごとに1回。1回要介護状態になった方が元気になり、 もう1回要介護状態になったような場合についても、介護休業を取得できるような形に できないだろうか。ただ、その期間については通算して3か月の範囲内で取得できると いうような形にできないだろうかということです。  続いて記の4です。これは子の看護休暇の問題です。これについても労働者が申し出 れば、病気やけがをした子の世話をするための休暇を取得できる法的な枠組みを作るこ とができないだろうかということを、たたき台で示しておりましたが、具体的な要件と して、次のパラグラフにあるように、対象となる子を小学校就学前までの子として、労 働者1人について年5日間、これはご案内のとおり現在の努力義務に基づき、指針で、 労働者1人について年5日間ということで示していますが、現行指針で示している考え 方です。労働者1人について年5日間とすることができないかということで示していま す。これも労働者1人で5日間ですので、夫婦双方であれば年10日間休暇は取得できる というものです。  最後に短時間勤務制度の問題です。これについては現行の選択的措置義務があります が、現行の選択的措置義務においては短時間勤務制度、あるいはフレックスタイム制 度、所定外労働時間免除の制度等、幾つかの制度の中から選択的な措置として、1つ事 業主が選択をして措置をしなければならないという形になっています。ただ、そういう 中で短時間勤務制度が育児休業から職場復帰した後、しばらくの間において、労働者の ニーズも高いものがあり、それをさらに進めるような形ができないだろうかというご議 論をいただいています。考え方としては、ここでは現行の枠組みを維持した上で、その 中でも企業の実情はさまざまですが、こういった短時間勤務の措置を取り得る企業につ いては、なるべくこの短時間勤務制度を取っていただきたい。そういった考え方を指針 等で明らかに示して、この仕組みを進めていくという考え方を示しています。 ○分科会長  それでは今日出された素案について議論したいと思います。まず議論の仕方ですが、 労使それぞれからご意見をいただいて進めたいと考えています。本日はこの内容につい てできるだけ取りまとめに向けて、率直な意見交換をしたいと思っていますので、順番 として記の部分からご議論をお願いしたいと思います。それでは労側からお願いしま す。 ○労側委員  記のところについて5点にわたって書かれていますが、内容等については引き続きこ の5点については議論させていただくとしても、私どもとしてはこの間、分科会の議論 の中で、幾つか見直しにあたっての考え方を発言してきました。それらが全く載ってい ないということなので、この素案が公益側の皆さんと事務局で協議をして出したという 経過からして、なぜ私どもの意見が退けられているかということを、最初にお聞きした いと思います。  1つは育児休業と介護休業の共通の課題なのですが、休業中の所得保障は60%にとい う、現行の40%を大幅に増やしてほしいということなのですが、この点について全く 載っていません。経済的理由でなかなか育児休業が取得できないという方も結構いらっ しゃるので、そういう意味で支援を強化することは大事な点かと思います。ただ、そも そも議論として給付が雇用保険ということになっていて、現状の仕組みとしてはやむを 得ないことですが、3年前の議論でもそうなのですが、これから議論される期間労働者 の問題などを考えれば考えるほど、もう少し子育て支援全体の仕組みを考えないと、駄 目ではないかという考えもあります。とりあえず雇用保険となっていますが、その辺の 保障の強化が今回は示されていないということについての理由についてお聞きしたいと 思います。  2つ目は育児休業の点です。男性の育児休業取得を促進するための法的措置について 求めてきました。その理由としては、男性もいまの法律では権利としては取れるわけで すが、なかなか進まない。加えて昨今は減る方向にある状況の中で、政府が定めた少子 化対策プラスワン、育児支援対策の制度についても、10年間をかけて男性の取得者を10 万人に、10%ということを掲げていますが、その目標を10年間とする場合でも、何らか の法的な根拠があったほうが進めやすいということもあり、私どもは求めてきたのです が、それが全く触れられていませんので、その理由についてお聞きしたい。  3つ目は時間外労働等の免除措置についてです。時間外労働、深夜労働の免除につい て請求権として認められていますが、そもそも育児は日々の問題で、本来あるべき姿と しては時間外労働がない状態、22時から朝の5時までの労働についても、16歳以上の 方が同居していれば認められないということについて、同居家族の年齢要件について見 直すべきだということを言ってきたのですが、そのことに触れられていない。同時に、 時間外労働、深夜労働の免除措置の要件として、継続して雇用された期間が1年に満た ない労働者は請求から除かれています。その理由についても前回の議論も踏まえてお聞 きしてきたのですが、1年に満たないというのは企業への貢献が少ないからということ などが理由に挙げられているという事務局の答弁があったのですが、ちょっと納得でき ませんので、その理由についてお聞きしたい。  休日労働、変形労働についても、子育てをやっている方々については非常に困難にな る状態がありますので、労働者が請求したら免除するということも考えたらどうかとい うことで求めてきましたが、これについても全く触れられていませんので、お聞きした い。  介護休業についてですが、介護休業中の社会保険料の免除措置について、育児休業は 労使の負担を免除していますが、介護休業については全くそういう措置が講じられてい ない。その理由についてこの分科会でも申し上げてきましたが、公益の皆さんからは分 科会の議論の過程では、理屈を整理すればできるのではないかというご意見はあったの ですが、それについて触れられていないことについての理由をお聞きしたい。と同時 に、育児休業の延長について、保育サービス等の特別な事情がある場合は延長できると いうことなのですが、私どもとしてはそれなら介護も同じではないか。介護サービスを 利用できない場合については3か月という、いわば基本的枠組みを維持しながらも、延 長できるという仕組みを、介護休業についても導入すべきではないかという考えです が、これについても退けられていますので、その理由をお聞きしたい。  将来の課題でもあるのですが、ILO156号条約など、あるいは勧告等を見て、子ど もが病気の場合の休暇制度と合わせて、家族というか、配偶者等の家族についても、そ ういう制度を設けるべきだといっていますので、その点について我が国としてどのよう に考えるか、この点について全く触れていませんので、そのことをお聞きしたい。  記以下ですが、私どもの求めたことについて触れられている点についてコメントさせ ていただきます。1です。育児・介護休業は雇用継続を目的にしています。2つの要件 が付いています。勤務実績が1年以上、1年以上の雇用継続が見込まれる者ということ で2つ付いていて、括弧の中は「子が1歳に達する日から1年を経過する」ということ で、要するに2歳というものを1つの目安として、その前に契約更新がない者は認めな いということなのですが、雇用継続をどのように考えるかというのが1つの論点ではな いかと思います。そういう意味で、期間労働者は適用しないということで作られている 現状の解釈通達の中で、雇用継続はどういうものかというと、休業している期間等にお いて、労働契約関係が継続していること、2つ目に、休業の制度がなければ退職してし まうような労働者について、労働契約関係が退職により途切れることのないようにする ことを目的としている、というのが雇用継続と解釈しています。  そうすると、いま示された参考の例示を見た場合に、例えば認められない場合の例D で、記の括弧書きの2歳前にいわば契約更新がされないという理由で、多分これは適用 されないということなのですが、育児休業を1歳までとったときに5か月間の労務提供 すべき日数が残っているわけです。これを雇用継続と言わないのか言うのかという議論 だと思います。なぜ2歳までなのかという理由もお聞きしたいのですが、雇用継続をど う見るか、新たな契約がない限り雇用継続と言わないのかどうかということが1つの論 点なので、ここのところが非常に理解に苦しみます。できれば括弧などはいらなくて、 適用できない労働者についてどう考えるかというのを改めて議論すればいいわけで、わ ざわざ括弧にある、2歳までに契約更新されないことが明らかである者は除きますなど と書く必要はないのではないかと、そういう意味で私どもは考えています。  次の「なお」書きなのですが、不利益取扱いはしないということは当然ですし、「一 方」というところについて、不利益とは何ぞやということを解釈することによって、一 方というところに書いてあることが当然出てきますから、先ほどは確認のために書いた と言っていますが、法律はどういう作り方になるのか分かりませんが、一方というとこ ろは不利益の中身を理解することになれば、これが出てきますので、わざわざ書く必要 はないのではないかというのが「なお」書きのところです。  加えて、有期問題は例の9まであるようにいろいろなタイプがあります。こういう物 差しを作ったとすれば、実態で判断するところがありますので、そこは十分留意すると 同時に、有期とは何ぞやという法律の問題をきちんとしないと、なぜ有期なのか。使用 者にもお聞きしたいのですが、こんな6か月契約を何度も繰り返すという、仕事が継続 している中で有期でなければならない理由は何なのかということを、もう少しきちんと しないと根本的解決にならないのです。多分事務局の答弁は当分科会の課題ではないと おっしゃることは分かっているのですが、すればするほどこの問題については言及せざ るを得ないということです。  2の休業期間の延長です。「保育所に入れない等特別な事情がある場合については、 子が1歳に達した後6か月を限度として」ということなのですが、1つは、「保育所に 入れない等」という「等」ですが、保育所に入れない場合以外にどういうことを考えて いらっしゃるのか、お聞きしたい。  これまで以上に積極的に地方公共団体が待機児童解消に向けて取り組んでいることは 大賛成で、これは是非やっていただきたい。その上で、労働者が退職しなくても済むよ うにという意味で、延長という措置を講ずることは、保育所等の関係もありますが、用 意することは大事です。その場合に私どもは、途中で入所手続ができるという、保育に 欠けるという、法律は変わっていませんが、柔軟になっていることは感じています。と は言うものの3月末までに調整がつかないということがありますと。1歳を超えた年度 末まで何とか延長できるようにと申し上げてきたのですが、それを6か月、1年半とい うことにした理由と、6か月あれば80%程度の労働者が保育所がみつかるという理由で 6か月にしていると聞いていますが、ところがいま20%は見つからない人がいらっしゃ るわけなので、今後の子育て支援策を考える意味でも、20%もなくすという意味での措 置を講ずるべきではないかということです。  3です。要介護状態ごとに1回というのは私どもの意見を取り入れていただいたわけ ですが、しかし期間が通算3か月ということです。その3か月という現行のものの考え 方は何ですかと聞いたら、介護に関する長期的方針を決めるのが大体3か月だというこ とで3か月を設けられたというわけです。要介護状態ごとというのは、同じ介護でも病 気の種類が違ったりしますから、論理的に通算というのは合わないのではないか。です から、要介護状態ごとに3か月ということで、通算ではなくて、そういう考え方でやる べきではないか。  子どもの看護休暇については、私どもとしては請求権というのはそういう枠組みです ので賛成です。子どもの年齢について、現行の努力義務規定をそのまま法的な位置づけ を強くしたということで変えないということですが、できれば年齢も変えていただきた いし、「子どもの病気等」の「等」というのは、前書きの文章に「子どもの病気及びけ が」と書いていますが、けがでいいのかどうかです。この子ども看護休暇制度について は期間労働者は適用されるのかどうか、そのこともお聞きしたい。  有給休暇について私どもは求めてきましたが、多分その有給休暇はできませんという のが「なお」書きだと思います。どうなのでしょうか。有給でないというのなら、労使 で決める話ですから、わざわざここに労使で検討と書く必要はないのではないか。  問題は5です。たたき台のところでは、検討してほしいと出していますが、その検討 の意味がかなり積極的にたたき台は出されています。事業所における導入の高まり、労 働者のニーズ、有効であるという3つの考え方がたたき台に示されていて、この流れか らいくと当然新しい法的措置が講じられると私どもは考えていたのですが、そうではな いという理由で、先ほどの事務局の説明ですと、指針ということです。どうなのでしょ うか。子育て支援策をどう考えるかということなのですが、例えば分科会で配られたO ECDの資料でも、日本の育児休業制度はかなり柔軟的な仕組みの勤務時間を持ってい るということをおっしゃっていますし、この背景には日本の将来の労働力不足をOEC Dは指摘しているわけです。そういう意味でキャリアを積んだ労働者が辞めないように するためにやった本意がOECDの指摘ですから、そういう観点では短時間勤務制度と いうのは仕事もしながら、かつ子育てもするというので、たたき台も言っているように 非常に有効な手段なのです。加えて、男性の方も職場の風土の関係で休業は取りづらい けれども、短時間勤務制度であれば、参画しやすいとなっています。  もう1つはワークシェアリングです。政府レベルでも雇用創出という観点からワーク シェアリングを考えますと、そういう1日の時間を短くした場合に、新しい労働者を雇 い入れた場合に、国が企業を支援するということになっています。そういう中長期に考 えた我が国の政策を考えたときに、短時間勤務制度は非常に有効な手段と考えまして、 私どもとしてはいまの枠組み、当分科会にいろいろな団体から意見書が出されていて、 幾つかの意見書の中には労働者が請求したら取れると言っていますが、我々はとりあえ ずいまの仕組みの措置義務の中に短時間制度を置いてほしいということを言っているわ けです。そういう意味では他の団体の意見に比べると弱いトーンなのですが、それでも 駄目だと今日は書いています。おそらくそういうことで短時間勤務制度を企業で義務づ けて、しかし難しい業種もあるでしょうと。そこは認めているわけです。そういう意味 で、可能なところでそういう措置を講ずることによって労働者ができる限り選択できる ようにする。いまは事業主が選択していますから、労働者が選択するメニューを増やす 意味では、現行の仕組みを維持しながらも、短時間勤務制度を義務づけることを是非 やっていただきたいと求めてきましたが、これはやっていません。是非そこは再考して いただきたいと思います。 ○分科会長  ご質問もありましたが、先に使用者からこのペーパーについて、どなたか代表してご 意見をいただけますか。 ○使側委員  いまかなりいろいろとおっしゃっていますが、続けていって大丈夫ですか。 ○事務局  ご質問の部分についてお答えをまずさせていただきます。今回の素案に盛り込まれて いない、労働側の委員のご主張があった部分について、今回盛り込まれなかった理由に ついて、ご説明したいと思います。  1点目の所得保障です。現行の雇用保険制度で、育児休業給付、介護休業給付40% を、さらに増額すべきであるというご意見でしたが、雇用保険制度の枠の中で、こうい った仕組みを採っています。基本的には雇用保険制度でご議論いただくのであれば、ご 議論いただくべき問題であろうと思っています。  2点目の男性の育児休業の問題です。私どもも非常に男性の育児休業の取得促進につ いては、重要な問題であると思っています。そういう意味で、先ほど朗読した素案の柱 書きの部分についても、この男性の育児休業の取得促進の問題に触れています。ただ、 これについて、法的な仕組みとして何か促進策が考えられないかということについて は、前回の育児休業法の改正の国会での審議においても、男性の育児休業の取得促進に ついて、どういった対策を取るべきか検討せよということで、附帯決議をいただき、今 日ご出席の公益委員に座長をお願いして、この男性の育児休業の取得促進のための研究 会を開催しました。その報告書もこの分科会でお配りしています。それによっても、や はり男性の育児休業の取得促進については、まだまだ制度自体を認識されていない方が 多い、そして、男性の側でもまだ育児は女性の分担であるという意識がかなり強い、さ らに、女性と共通の問題として職場の雰囲気の問題、そういった部分を制度の周知等々 で解消していくべきであるという取りまとめをいただいています。  そういった観点からこの柱書きにもあるとおり、次世代育成支援対策推進法が17年度 から施行されますが、そういった取組の中で、労側委員から言及がありましたが、男性 の育児休業の目標値、10%は非常に高いハードルではありますが、進めていくというこ とで考えています。  時間外労働の制限あるいは深夜業の制限について、何点かご意見をいただいていま す。例えば対象者の範囲の問題あるいは変形労働時間制度の問題等々です。これもまだ 現行の深夜業制限あるいは時間外労働については、平成13年に制度改正をして、14年4 月から施行されています。これも施行状況について、すでに資料で示していますが、現 行はまだまだ規定自体を設けていただいている企業の割合もさらに伸ばしていかなけれ ばならない状態です。そういう中で、引き続き現行制度について周知を努めていく必要 があるだろうと考えています。  また、もう1点、これについて別の問題として、勤続1年未満の方について、育児休 業あるいは介護休業制度についてはご案内のとおり、労使協定で除外になっています が、時間外労働、深夜業制限については、これが法律で適用除外になっている。その理 由についてのご質問がございました。この育児・介護休業法については、育児休業、介 護休業という長期の休業を認めることにより、雇用の継続を図るというのが法律のいち ばん大きな目的になっています。そういう意味で、育児休業、介護休業については労働 者の方が申し出れば取得できる、かつ、基本的にはすべての労働者が対象になる、とい う非常に強い権利を認めています。この育児休業、介護休業を中心にして、さらに職場 復帰後について雇用の継続が図られることで時間外労働、深夜業の制限、子どもの看護 休暇、勤務時間短縮等の措置というものも構成されています。これは育児休業、介護休 業から復帰した後の時間について、通常に働くことが可能ではあるけれども、やはり一 定の配慮は必要であるという方についての措置ということで、育児休業あるいは介護休 業のような形で申し出れば、すべての方が対象になるという強い権利には規定していま せん。したがって、法律上も勤続1年未満の方も含め、一定の方については法律で適用 除外になっています。あるいは事業主の方が一定の理由がある場合については拒否権を 認めている、という仕組みになっているというものです。  4点目として、介護休業期間中の社会保険料免除の問題です。これについては何回か 前の分科会でお答えをしたと思いますが、育児休業期間中、介護休業期間中の社会保険 料の免除については、それぞれの保険制度の中でそれぞれの保険制度の必要性、政策目 的から社会保険料の免除がなされています。現状において、育児休業期間中について は、そういったそれぞれの目的の中で保険料の免除がされていますが、介護休業期間中 についても、同じようにそれぞれの制度の中でご検討いただき、免除するかしないか判 断をいただくべき問題であると考えています。  もう1点、介護休業についてもこの育児休業の記の2で示しているようなものと同じ 形で、特別な事情がある場合については延長が考えられるのではないかというご意見で す。この育児休業についてはご案内のとおり、いちばん現在想定しているのは保育所に 入れないようなケースということで、市町村に保育所の入園の申請をするという形にな ります。一方、介護休業については、介護保険の認定がされますと、点数制の中でさま ざまな介護サービスを選択できる形になっています。ですから、個別のある施設につい て、保育所の待機と同じような形で、すぐに入れないというケースは当然存在します が、これは保育所の場合と違い、全国複数の施設へ入所申込みできるような形になって います。また、施設の入所でなく、在宅サービスであれば、これは認定を受ければ、さ まざまな形でサービスが受けられる状態になっていると認識しています。そういう観点 からすると、必ずしも育児休業で想定しているような特別な事情と同じような形で、介 護の場合、特別な事情が存在するということにはならないのではないか、ということで 育児についてのみ、こういった特別な事情で、1歳を超えて休業できるような形にでき ないだろうかというものです。  介護について、子ども以外の家族の方をも対象にした休暇制度はできないだろうかと いうご意見です。これもやはり現状のニーズとしては、お子さんの育児休業から復帰し た後、しばらくの間はそのお子さんの病気の問題というのがいちばん重要な問題である と認識しています。そういう中で、今回、小学校に上がる前のお子さん、いちばんニー ズが高い部分に絞り、制度として育児休業、介護休業と同じような形で労働者が申し出 れば取得できるような仕組みにできないかということで考えているものです。  以下具体的な記の部分については、これからご議論をいただくべき部分だと思います が、何点かご質問をいただいているところについて、お答えをしておきます。まず記の 2です。「子が1歳に達する時点で保育所に入れない等」の「等」の部分ですが、これ は例えば配偶者の方が病気になったような場合、あるいはけがで入院されたような場合 が想定されると思います。これについて6か月間とした理由です。1つは労側委員が おっしゃったとおり、この分科会でデータとして示しましたが、希望どおりの月に保育 所に入所できなかった方についても、その8割近くが6か月以内程度で保育所に入所で きているという実態がマクロのデータとしてあります。これは労働側委員の主張として も同じ考え方だと認識していますが、仮にこういった形で休業期間を延長するにして も、1歳まで育児休業を取って、必要な場合について一定期間延長するという原則の下 に延長するということになると、1歳プラスアルファということになろうかと思いま す。そういった形でも6か月、バランスの問題でも6か月という問題があろうかと思い ます。  さらに、この問題は、やはり労側委員から言及がありましたとおり、私どもとして も、保育サービスについても、これまで以上にさらに充実推進していくという中で、こ ちらの育児休業制度についても、こういった形で制度の弾力化を図るといった観点を総 合的に含め、6か月間ではいかがかという考え方です。  3の介護休業の取得回数の問題です。通算3か月必要だという考え方と、通算して3 か月まで複数回休業できるという考え方は論理的に合わないのではないかというご質問 です。これも、見極めあるいは長期的方針を決めるための期間として3か月間が必要で あるという基本的な考え方は、私どもとしてもこれはそのまま維持すべきであろうと考 えています。ただ、そういった中でも、現実の問題を考えますと、現在ですと同一の家 族の方について1回、例えば1か月でも1か月半でも休業を取ってしまいますと、その 方がまた再び要介護状態になったとしても休業を取れないような形になっています。現 実の問題として、これも分科会で資料を示していますが、例えば現実に介護休業の取得 日数を見ても、2割程度の方はそもそも1か月以内の休業で復帰をしています。そうい った状況も考え、これも育児休業の問題と同じように、現状を前提にしても、さらに使 いやすい形、より弾力的に使いやすい形ができないかということで、こういった形で示 しているものです。  記の4の子の看護休暇の問題です。「病気等」の「等」は労側委員がおっしゃったと おりけがを想定しています。そして、期間雇用者がここに入るのかという問題ですが、 これも現行の努力義務の規定においても、期間雇用者については排除はしていません。 したがって、原則としては4の子の看護休暇を労働者が申し出れば、取れるような形の ものになったとしても、期間雇用者の方も対象になるであろうと想定はしています。た だ、そこは当然ながら、どういった方をこの制度の対象にするかどうか、具体的にはこ の分科会で引き続きご議論いただくべき問題であろうと考えています。 ○分科会長  それでは使用者側からこの素案についてご意見をお願いいたします。 ○使側委員  それでは意見を申し上げる前に、先に質問をしたいと思います。記の1のところで、 有期契約者への適用の問題のところですが、別添で「素案の考え方」という絵が描いて あるものが配られています。先にこの中で質問というか、確認したいと思います。  いちばん最初のペーパーに例Aから例Cまであります。これは確認なのですが、例え ば例Aは「3年契約で更新可能性ありの場合」で、申出をして1歳まで休業を取り、そ のあと2歳までとあります。例えばこの場合、点線の部分を3年契約という概念で書い てありますが、1年契約という場合もあるかもしれません。休業のところがちょうどい いところにはまっているのですが、もう少し後ろのほうにずれていた場合があって、そ の上で2歳時点を考えたときには、雇用が継続していく可能性がないとなった場合は適 用にならないと考えたらいいのでしょうか。例Bでもそういうことは起こり得ると思い ます。いつ子が誕生するかによっては適用にならないケースが生じてくると思います。 その場合はそういうことでいいのかお聞きしたいと思います。 ○事務局  まず例B、これは5年契約で雇止めになるケースです。例えば、いまご指摘があった ように、育児休業を申し出る期間がずっと後ろにずれて、育児休業を取って2歳時点と いうのが雇止めのあとになるというケースが当然あります。そういった場合について は、2枚目の例Dのような形になりますので、やはり育児休業を取れないという形にな ろうかと思います。  それから、例Aのケースで「更新の可能性あり」となっています。通常のケース、3 年契約であれば再び3年、あるいは更新の場合には1年契約ということが明示をされて いるのだろうと思います。仮のケースとして更新の可能性あり、ただ次の契約が非常に 短かったような場合、かつ、その契約については次は更新しませんというようなケー ス、つまり2歳時点では契約の更新の可能性が全くないようなケースは、非常にレアケ ースだと思いますが想定されると思います。そのようなケースについては、対象になら ないというケースも当然ながらあるだろうと思います。  極端なケースで言うと、雇入れの時点で3年契約です。契約は更新しますけれども、 更新した契約は、例えば3か月更新します、その次は更新しませんというケースが仮に 明示されているとすると、2歳時点は雇用期間がその前に終了していることがはっきり 明らかになります。レアケースだとは思いますが、そういったケースであれば対象にな らないケースが出てくるだろうと思います。 ○使側委員  それを確認したかったものですからお聞きしました。それでは、ちょっと長くなるか もしれませんが、意見を申し述べさせていただきたいと思います。まずいちばん最初、 記の1の期間契約雇用者の問題です。以前から言っていることと重複することもあろう かと思いますが申し述べたいと思います。  本来、有期雇用者に雇用継続を前提として長期の休業を適用するということはそぐわ ないということをずっと言ってまいりました。これはそもそも論として、現行なぜ適用 されていないかというと、労務提供ができないのにその期間の労働契約というのは成り 立たないでしょうということがベースにあって、それはいまの労働基準法の上限が1年 だったということに依存していると思いますが、そもそもそういうことから除外になっ ていたということだと思います。  しかし、いろいろご指摘がありますように、1つは、労働契約期間の上限が今回の労 働基準法の改正で延長になった。原則、上限3年に延びたということがあると思いま す。  もう1つは、ある程度継続雇用されている実態がある。更新が繰り返されて、ある程 度長くなっている実態がある。こういうことを踏まえて今回どうやって適用しようか、 という話であろうかと思います。検討するに当たっては、やはり一定の要件が必要にな ろうと思っています。その意味で、いま絵にあるような案を提示していただいたのだろ うと思っています。  ただ、この素案の考え方を見せていただいて、いくつか問題点があろうかと思ってい ます。まず1番目は、非常にわかりにくいなということです。これを企業の方たちが見 て、非常に適用しにくいな、実務的に難しいなということがあろうかと思います。いま 私が質問したこと1つを取っても、実務的には非常に管理しにくいなというのがまず第 1点です。  2つ目、次期契約の部分については、現契約を結ぶときに次期契約について、更新の 可能性あり・なしというのは明示する話としてしやすいのですが、次々回のところまで 更新の可能性の可否を予測するというのはなかなか難しいのが実態なのではないかと思 います。  3点目なのですが、それに伴い休業の問題もこれありで、よくわからないのに適用し てしまうのもどうなのか。実際は止めなければいけなくなるとか、いろいろな問題を考 えたときに、次々回は更新なしという動きが強く出てくることは、必ずしも働いている 方にとってメリットにはならない。デメリットになるのではないか。そのような問題も あろうかと思います。  したがって、実務上のやりやすさから考えると、素案の考え方でないやり方ができな いものかと思っています。どのように考えているかというと、1つは、やはりある程度 の期間継続雇用されていることが重要だと思いますし、もう1つは、次の契約更新の可 能性の有無ということになろうかと思います。つまり、過去実績プラス現契約、その年 数と次の契約の更新の可能性があるという組み合わせで考えたらどうなかと思います。  ちょっとわかりにくいと思いますので、具体的に申し上げます。日づけが入っていな いのですが、以前の分科会で「育児休業について」ということで、いろいろな資料をい ただいています。その中で、「有期雇用契約者の雇用の現状」ということで、実際、現 状で雇止めまでの勤続年数はどうなっているのかという調査結果があります。平均勤続 年数は4.6年となっています。実際は3年までで雇止めになっている方たちが40%、5 年未満の方、要するに5年以下ということで言うと60%ということです。一方、一部、 10年以上という方も17%ぐらいいらっしゃるという実態が見受けられるわけです。その ようなことも考えますと、具体的には、過去実績1年以上プラス現契約、合わせて4年 以上、かつ、次期更新の可能性ありという現契約を結んだ有期労働者に対して適用して いったらいいのではないだろうかと考えています。  あわせて、契約期間がすべて休業期間になってしまう形態には適用しない。つまり、 続いていくときにスポッと落ちてしまうようなものは、もともと適用のしようがないと 思っていますので、契約期間がすべて休業期間にはまってしまうような形態には適用し ない。このようなやり方があるのではないかということで、ちょっと意見として提案さ せていただきたいと思います。これがいまの記の1の部分についてです。  記の2の部分、育児休業延長の問題です。これについては私どももたびたび言ってき たように、必要に応じて現行法以上のことをやっている企業が実際にあります。本来は 労使の話し合いで対応していけばいいのではないかとも思っているところです。また、 休業期間が長いのが必ずしもいいわけではない。職場復帰を考えると、長ければいいと いう問題でもないのだろうなと思います。そういうことで、延長には原則反対というこ とを私どもは申し上げてきたわけです。  つまり、そもそもの問題点はどこにあるかと言えば、本質は保育行政の問題なのだろ うと思っています。その意味で、保育行政の改善に向けて待機児童ゼロとか、受入れ体 制をもっと柔軟化するといったことを是非促進していただくことをもっと強く打ち出し てほしいと思っています。  その意味から言うと、私どもとしては、育児休業期間の延長については時限的措置と してほしいと思っています。つまり、3年ないし5年ぐらいの時限措置で出していただ いて、その間に保育行政をより進めてもらう。待機児童ゼロになるように進めてもら う、という強いメッセージを込めていただきたいというのがまず申し上げたい意見で す。これについてのご意見をまたあとでいただければ、それはそれなりにいろいろ考え ていきたいと思いますが、まずそこがいちばん重要なメッセージとして考えているとこ ろです。  あわせて、この原案にあるのは6か月ということですが、これも先ほどから希望の時 期から保育所に入れなかった者の8割が大体6か月以内に解決するというお話がありま した。この6か月という期間がいいかどうかは別問題としても、これも1つの保育行政 を充実していくことのメッセージ性は強くあると思っています。何でもかんでも企業の 休業期間を延ばして、4月入所で解決するのだからそれでいいではないかということに なると、いつまでたっても結局長く休業しなければいけないような話に戻っていってし まうわけです。保育行政をより進めていただく観点からも、6か月以下の範囲で考える べきではないかと思っています。  それから、先ほども労働側委員の方からご意見がありましたところ、この場での話で はないと思いますが、要するに給付の問題のご指摘があったかと思います。私どもはそ もそも、「特別な事情がある場合に育児休業を延長できる」というように今回したとし ても、安易に雇用保険で雇用継続給付である育児休業給付を支給することについては反 対でございます。また、雇用保険というものが現状、財政も非常に逼迫しているという ことですので、育児休業取得に伴う経済的支援というのは、延長になった場合でも雇用 保険からは援助すべきでないと思いますし、そもそも論として、現在も雇用保険から手 当されていること自体に根本的な議論、問題があろうかと思っています。一言、そのこ とだけ付け加えておくということです。これは本来、ここの分科会の話ではないと思っ ていますので、付け加えの意見だと思っていただければと思います。  あと、ここには回数の問題が出ています。育児休業の回数の問題ということで、「配 偶者が死亡したこと等により」、そういう場合については再度取得ということはありま す。育児に専念することは企業としての仕事の管理、労務管理上からも夫婦で1回ずつ 取得できるような状態にある場合は認めることができない。しかし、素案にあるように 「配偶者が死亡したこと等により子を養育することができなくなった場合」を「特別の 事情がある場合」に加えることについては、そういう考え方ができるのではないかと 思っています。  記の3、介護休業の取得回数です。要介護状態ごとに1回休業するということで、そ の期間については3か月という枠内、範囲内というのが素案です。この素案の考え方で あれば、私どもは承諾できる範囲かなと思っています。  記の4が子の看護休暇の問題です。実はこれも再三申し上げてきたところなのです が、子どもが病気の場合はどういう状態であっても休む話である。本人も病気になれば 休むということであります。子の看護のための休暇を別に設けることについては、実は 違和感はございます。ですが、労働側の委員からも、休暇があることによってやはり休 みやすくなるというご指摘も再三あったところです。そういうことから、企業側として も、負担にならない形であればこういうことを考えてもいいのかなということで、素案 にあるように、現在指針にあるところの5日を限度に子どもの病気等の看護のための無 給の休暇を権利化していく。こういうことであれば、そういうことを認めていくことは 考えていけるかなと思っています。  記の5、短時間勤務制度です。私ども、再三、短時間勤務の部分だけを義務化すると いう話については反対だということを申し上げてきたところです。素案にあるとおり、 現行の枠組みを維持することが適当だろうと思っています。現行どおり複数のメニュー から、対応可能なものを企業側がいま選択する形にあるわけですが、それでいいのでは ないかと思っています。  その中に、「子育てをしながら働き続けるためには、現実に働く時間を短縮できる短 時間勤務制度を推進することが有効であり」云々というところがあります。ここでも申 し上げたいのは、労働者に短時間勤務のニーズがどうしてあるのかと言えば、やはり保 育行政の問題だろうと思っています。したがって、国や地方自治体が保育行政をより充 実・改善していただくためにも、重く受け止めていただくためにも、記の2でも、「国 及び地方公共団体が待機児童問題の解消に向けた取組をこれまで以上に積極的に推進す ることとあわせ」というように書いています。同じように、ここにもそのような文言を 盛り込んでいただいて、より行政の取組みを推進していただく。これがまずいちばん大 事な解決策なのだ、というメッセージを込めていただきたいということです。そのあと に、ここに書いてあるようなことが入ってくるのかなと思います。  したがって、文章的に言うと記の5の4行目、「適当であるが」とつながっています が、一度「適当である。」で切っていただく。そのあと、そもそも育児行政の改善充実 が重要なので、国、行政の取組みが重要というような指摘をしていただいて、またあわ せて、この短時間勤務制度の推進の文章にしていただきたい。  ただ、「短時間勤務制度を推進することが有効」とあるのですが、本当に有効かどう かというのは私どもとしては明確に思っておりませんので、「有用性も認められる」と か、そのような表現にしていただければと思っています。  したがって、そのあとに続いている「この考え方を明らかにすることが適当」という のもそこまで言えるのかという思いがあります。例えば周知、広報、つまりパンフレッ ト等で触れるというような意味として、何か文章にうまく記述していただければと思っ ています。とりあえず以上です。 ○分科会長  双方からご意見が出されました。それを踏まえて本日の議論を進めたいと思います。 どうぞ、ご意見をいただきたいと思います。 ○使側委員  スタンスの問題ですが、このような雇用に関した問題というのは意外といじりやすい 問題だと思います。いじるたびに、何となく企業主の負担が大きいような改正になって いくような気がしてしょうがないのです。だから、今度は雇用主の負担のないようない じり方をしていただきたいということもあります。  この時代、中小企業は地方に行くとかなり苦労しているわけです。その辺の痛みを従 業員の方々も十分理解していただいて、いま大変な不況ですのでお互いに耐えるときか と思います。  例えば看護休暇1つを取っても、すぐ枠を作るのではなく、労使で話し合って看護休 暇を取る企業も出てきているわけですから、ある程度、話し合う過程が非常に大事だと 思います。労使が協調して、特に中小企業ではやっているわけですから、あまり枠をは めてしまうと逆に、もう少しいいことを考えていたものが法律どおりでいいのかとなる 可能性もあります。その辺を十分踏まえていただいて、労使で考えながらやるような、 努力義務もできてから間もないわけですから、それを助長してからある程度の枠を決め ていく必要があるのではないか。また、すぐ法律の枠組みを作るのはどうかという考え が企業のほうにもあります。いま努力義務でやっている最中に、また何か法をかぶせる のは大変つらいということも一部の企業で言われています。そのような点も十分ご配慮 いただきたいと思います。 ○使側委員  保育行政のことについて入れていただき、ありがとうございます。素案の9番なので すが、ここのところだけと限定することもないかもしれません。先ほど使側委員から も、保育行政がいちばん重要で、いろいろなところに波及してくるというように言って くださいました。  素案の2頁、9番のところ、上から3行目の後半、「地方公共団体が策定する保育計 画及び行動計画に則って、低年齢児を中心とする保育所等の受入れ児童数の増加を図る など待機児童問題の解消に向けた施策を真摯に推進すること」という言葉からしてもう 一歩進めて、これをもっと民間に広げるという言葉も加えていただけたら、待機児童の 解消が早まるのではないかと思います。ここの点を是非、文章の中なり何なりに検討し ていただきたいと思います。是非、規制緩和を図っていただけたらと思います。 ○労側委員  前回のたたき台が出たときに欠席していましたので、詳しい議論の状況をすべて把握 しているわけではないのですが、今回、その素案を見て非常に愕然としました。たたき 台でさまざま書かれていたことの具体化がこういったことなのか、ということで非常に 驚いたことを1つ感想として申し上げておきたいと思います。  先ほど、事業主の負担が非常に大きくなるというお話がありました。基本のところだ と思うのですが、やはり仕事と家庭を両立していくということは決して事業主の側に負 担だけを押しつけるものではないと思います。これからの労働力不足の話ももちろんあ ります。長い間かかって人材を育成してきた、その方たちが家庭生活にきちんと対応し て両立を図っていくということは、長い目で見れば当然のことだと思います。経営者に とっても人材を確保し続けていく、能力を発揮してもらうという意味で大変大きなもの があると思います。その基本について、おわかりいただいているのだろうと思いますけ れども、短期的ないまの状況ということだけではなくて、是非長い目で見ていただきた いということがもう1点です。  先ほど労側委員もおっしゃっていたのですが、そもそもの有期のあり方が全くわかり にくいなと思います。つまり、法律で1年契約、または今回で言えば3年ということに なったものが実態と非常に大きくかけ離れています。そういった意味で、今回対象とな るものがわかりにくいというのは本当にそのとおりだと思います。  先ほど、使用者の方から「例えば」ということで、まず1年契約をしていました。そ の後、4年間の契約があるという話がありました。これは先ほどの説明で言えば、5年 契約、例Bというのは特別な職種だというお話があったと思います。法律上は確かにそ ういうことだと思います。もともとすべてのところで5年契約、基本的に5年契約が前 提であるということは、法律の解釈から言っても実態論はあるかもしれませんが、基本 的にはあり得ないということを申し上げたいと思います。 ○分科会長  いまおっしゃったことは正しく理解されているでしょうか。 ○使側委員  おわかりいただいた上で言われているのだと思いますが、私が先ほど申し上げたの は、例Bを案として申し上げたのではありません。おわかりですよね。過去1年以上の 実績プラス現契約、合わせたところで4年間ほしい。それプラス、次回契約の更新の可 能性ありの明示があった場合に適用したらいいのではないかということです。 ○公益委員  いまのお話は、過去実績1年以上プラス現契約で4年、かつ契約更新の可能性ありと いった場合、過去3年勤続していて、1年契約で更新可能性ありを含むということです か。 ○使側委員  はい、そういうことです。 ○公益委員  いまの点、配付された資料で言うと、例Fが現在は「対象とならない」となっていま す。例えば、例Fで過去実績がもう2年半以上ある。今回の契約で3年半以上あって、 合わせて4年になる。なおかつこのケースだと契約更新の可能性ありとなっています が、これは認めようという判断だと考えてよろしいのでしょうか。 ○使側委員  実は、先ほど私が申し上げた案を言うに当たっていちばん悩んだのがそこです。た だ、申し上げたように2回先まで、要するに特段の事情がない限り、自動更新しますと いう場合は問題ないのですが、それ以外のケースになると、2回先というのは非常に見 通しにくいというのが実際の企業の判断です。  その場合、この前のペーパーのときも問題になっていたスポッと抜けてしまう概念が やれるかどうか、適用し得るかといったときに非常に難しい。実は、この例Fの6か月 契約という概念になると難しいと思っています。したがって、先ほど4年プラス契約更 新の可能性ありのときに適用して、かつ、契約期間がすべて休業期間になってしまう場 合は適用しない、除外すると申し上げたのですが、そういう意味です。つまり、その次 のところ、契約の更新可能性が6か月で、そのときに休業の期間がまるまる次回のとこ ろにすべて埋まってしまうのであれば適用のしようがないなと考えています。 ○公益委員  水掛け論になるかもしれませんが、6か月ではなくて1年契約で、過去、既に4年更 新してきた。その結果、今回、まだ1年取っても、途中で期間があるという場合、残り の期間が存在しますというような場合はどうでしょうか。 ○使側委員  次期契約が1年間ですか。 ○公益委員  はい。いままで1年で来ましたから、おそらく1年だろうという推測のもとで。その 場合は認めるということになるわけですか。 ○使側委員  はい、そうです。つまり、素案の考え方は継続雇用の観点ということがあるので、1 歳から2歳までという、この2歳、残り1年という点を非常に強く打ち出しているわけ です。この考え方はよくわかるのですが、実務上、非常に難しい話になるのではないか と思っています。私が先ほど言った「4年プラス契約の更新の可能性あり」だと、もし かしたら場合によっては次々回の契約まで休業が続いて、出てきたら例えば2か月でも う月がなくなるという場合もあり得るかもしれません。それでもかまわないと思ってい ます。それは割切りのところの話だと思います。そのほうが企業としては非常に運用し やすいし、このような場合は駄目、こういう場合は良くなるというのは、この絵で見る とわかるのですが、実際はいつ誕生するのかによっても全部適用になったりならなかっ たりします。非常に複雑なのです。  これは非常にわかりにくいし、問題が多いのではないかと思いました。そういう面で 私が言った「年数プラス更新の可能性あり」でやったほうがはるかに適用しやすいし、 すっきりしている。 ○公益委員  もう1回、いまの点を確認します。例Cの場合、育児休業を取って、次の更新のとこ ろについては契約でわかるだろう。その次については、更新しないとは書かれていない けれども、「しない」と書いていないだけで、するかしないかはわからない。これだと わかりにくいということですね。ですから初めのほうに、いま1年ですが、ここにあと 2年あればいいわけですか。 ○使側委員  どの絵ですか。 ○公益委員  例のCです。2歳のときの1年はなくても、実績のほうに、これは1年ですが、3年 くっついていればいいわけですね。 ○使側委員  そういうことです。 ○公益委員  趣旨としてはそちらで見たいという。 ○公益委員  「更新の可能性あり」とおっしゃっている、更新の可能性ありというのは、予め更新 の可能性があることを明示されている場合だけに限るのですか。 ○使側委員  そうです。 ○公益委員  そうでないと意味がなくなりますね。 ○使側委員  だから、今回の労基法の改正に伴って、この問題については更新の有無について明示 してくださいということになっています。その場合に通達では、例として挙げてあっ て、「自動的に更新する」、「更新する場合があり得る」、「契約の更新はしない」と いう3つの形になっています。  言ってしまえば、基本的に特段の事情がない限り自動的にずっと更新するという場合 と、次回については契約の更新があり得るというものと、もう基本的に契約更新はしま せんという意思表示と、大きく分けて3つだと思います。その場合に、「あり」であれ ばいいのではないかと考えたわけです。 ○公益委員  3か月でもかまわないという。 ○労側委員  使用者側は実務的な話からアプローチしているのですが、先ほどの雇用継続とは何ぞ やという、いまの解釈通達は、有期を適用しない前提で作られていると言うのでしょう けど、やはり目的に照らして有期の場合も雇用継続は当然判断が伴うわけです。その理 解をどうすればいいか。  そうすると、括弧書きにある点、これだと結局2歳までが目安ですね。なぜ2歳なの か。雇用契約と関係するのですが、例えば、先ほども申し上げたように適用しない場合 の例Dであっても、これは2歳前に雇止めになっているから適用しない、更新もないと いうことで適用しない。就業継続という理解によっては5か月もあるのだから、就業継 続ではないか。いや、そうではなくて、新しい契約を入れないと継続と言わないと言え ばそういう理解もあるかもしれません。就業継続というのは何なのか、ということはき ちんとしないと問題だと思います。そういう意味では、例Dも適用される可能性がある と思っているわけです。  「2歳まで」を目安にする理屈も、過去実績1年というのはいろいろな法的な仕組み があります。私どもは賛同はしませんけれども、深夜業の措置も1年は駄目、労使協定 除外するのも1年以上は駄目という仕組みはあるわけです。それを良とした場合、過去 実績は1年でしょう。見込みも1歳という流れはいいでしょう。その上に2歳までを見 なければいけないという、理屈の整理がどうなのか。仮に6か月では駄目なのか。つま り、休業明けの日数と労務提供の日数が、例えば明けのあと提供すべき日数が10日しか ないという場合は、どう考えてもそのような議論はあるのです。原則としてどうするの か。就業継続であれば認めた上で、例えば10日ぐらいは理屈としては難しいから、どの ぐらいでやるかということもあってもいいのではないか。  そういう意味では括弧の中は非常に問題だということです。2つの点、雇用継続とは 何か、それから「2歳まで」を物差しにするのはなぜなのか。私は雇用継続は契約更新 というか、例えば例Fなどはまさに契約6か月で更新はしているけれども、実態として は常用者なのです。こういうタイプは駄目なのです。線引きだけではなくて、実態も大 事だろう。そういうのもあるし、ものの考え方として何か少しおかしい。 ○使側委員  いまの労側委員のご意見に付随して、私の言ったこととも付随するのですが発言しま す。つまり、この素案にある「2歳」というのは、復職後1年ぐらいなければ継続雇用 として見られない、という概念で多分まとめてお出しになってきたのだろうと思いま す。それはそれで非常にわかります。1年がいいのか、半年なのか、3年がいいのかわ かりません。わかりませんが、実際の現場の場面を考えたときにという話になったわけ です。  先ほどの認めるケースでも、誕生がいつかによってある人は認められ、ある人は認め られないという問題になってくる。仮に例Cのところ、2回先までが明確でないときは 適用してしまうという話なのですが、これで休業を取りました。ところが、実際は全然 明らかでなくなっていたのが、お休み期間中に入った右から2つ目の枠組みを更新した ときに、「次回更新はありません」となる可能性があるわけです。でも、なくなってし まった人も休業を1年取っている。それが上の枠組みなら、2歳までいない人は適用さ れないわけです。結果的には、必ずしも2歳までいた人だけにすべて適用されるわけで はない。  だから、有期雇用契約への適用の仕方というのはそもそもいろいろな意味で難しいと 思います。しかし、そうはいっても、ある程度雇用継続期間が長いというところに、い かにうまく落とし込んでいってあげようかと考えたときに、何を優先するかという話だ ろうと思っています。その際、私どもとしては誕生月で左右されたり、契約時の明示の 仕方のところで、あとで明確でなくトラブルが起きたり、わかりにくいというよりは、 実務的にトラブルが起こりにくくてわかりやすいほうがいいのではないかということで 意見を申し上げました。 ○公益委員  私のいま言いたかったことは、労側委員がおっしゃる「雇用の継続とは何だろう」と いうことについて、自分なりに思っていることだったので、ちょっと使側委員の話とは 違うのです。あくまでも現行法の仕組みは、要するに期間の定めのない契約のもとで働 いている人たちが、極端なことを言えば定年まで長期に勤め上げていく中で、育休など の権利を認めないと結局負担によって辞めざるを得ない。そういうものを防ごうという のが現行の育児・介護休業法の趣旨だろうと思います。  その場合に当てはめて考えると、雇用の継続というのはずっと勤めていくことが基本 的には法の理解としてあるわけです。ただ、そこに有期雇用の人たちをどう取り込んで いくのかがいまのいちばん大きな課題で、立法政策上の問題になっているわけです。  その点では、雇用の継続を現行法の解釈から少し変えるようなことは必要だと思いま す。そのとき、変える場合であっても、一体どれぐらいの期間があればそれを「雇用の 継続」と呼んで、有期雇用者に対しても権利拡大していくかという議論になるだろうと 思います。その点で、使側委員は過去実績も含めて、現在も入れて4年とする。更新可 能性は明示されているという形で、雇用の継続というものを考えればいいのではないか という話だろうと思います。  労側委員の場合には、そこまで雇用の継続というものの意味を持たせるべきではな い。両方のご意見、個人的には十分理解しているつもりです。そのとき、どこの範囲で 有期雇用者に権利拡大していくとき、雇用の継続をどのスタンスで見るか。そこも問題 だろうと思います。その点でいま労側と使用者側の間で、スタンスの違いというか、隔 りがあるかと思います。  雇用の継続というのはそのように、現行の仕組みの中だけで考えると、いまの有期雇 用者に持っていくときの議論は見えにくいと思います。そのような、新しい視点で考え る必要があると思っています。 ○労側委員  事務局が出された「2歳まで」という素案は、カッコ書きは「満1歳」からですか。 ○公益委員  これは事務局案は1つの考え方だと思います。休業を取ったあとでもある程度の雇用 の継続というものが前提になければ、企業としてもなかなか認めにくいと思います。 ○労側委員  契約更新が2歳前になければ駄目という言い方ですよね。 ○公益委員  そういうことですよね。取ってからも1年以上の継続雇用が見込める場合ということ です。 ○労側委員  要するに、結果として2歳を超えた契約だと思います。 ○公益委員  結果としては、2歳を超えた雇用の継続が基本的に見込める。過去1年間の勤務実績 が要件です。 ○労側委員  法律ですから、満1歳という満期まで取るという前提で設計しなくてはまずいという のはわかります。 ○公益委員  これは現行法では最低基準です。 ○労側委員  実際、その中でも、1か月休業を取るという人もあるだろうし、多様なのです。しか し、満期取った場合はどうかという議論は前提で終わっています。その場合、なぜ2歳 なのかという確たる根拠がないと思います。できるだけ、労働者にとっても取りやすい ようにするというか、企業側はノーと言うでしょうが、権利で付与するとなれば、多く の方が適用できるようにする観点も大事だと思います。  逆に、そもそも有期とは何かという議論になってしまう。使用者がこういう契約をし てくれなければいいわけです。事業があるのに契約なんて、それをやめてくれればいい わけです。それで本当に解決するのですか。そこは別にしましょう。 ○使側委員  期間の問題ですが、確かに非常に難しいと思います。誕生日というのが、前から全部 予定日で産まれるわけではないということも非常に大きなことだと思います。企業に とっては、契約の期間と誕生が1か月ぐらいずれる人というのは結構いるわけです。そ うしたときにこれがどう動くのか。  実務担当にしてみれば、こういうところは非常に頭を悩ませるところだと思います。 いまのやり方だと非常に難しいのではないかと思っています。私は使側委員の案のほう が、実務担当としてはやりやすいと思います。絶対そういうことがあるのではないかと 思いますので、その辺も配慮すべきではないかと考えます。 ○公益委員  言わずもがなの話ですが、結局、労側委員がよくおっしゃる算数ではないから、結局 両立支援というのは家族と社会と企業でどう分担し合うかだと思います。そういう観点 から落ち着きどころというか、それぞれが分担するので、今日の事務局案は1年がバラ ンスとしては大方の同意が得られるのではないかということで出てきたわけです。それ が8か月がいいのか、1年がいいのか、1年2か月がいいのか、6か月がいいのかとい うのは算数と違って非常に難しい問題で、それをどうやって企業と家族と社会という か、国、自治体で分担するかという、そのバランスの問題、それを大方が同意できるか どうかという問題だと思います。  先ほど、使側委員のおっしゃる「実績4年」というのは、例えば過去の実績と育児休 業期間を合わせて4年あれば、その後可能性は6か月や3か月でもいいということです か。 ○使側委員  その場合、多分、かぶりとして丸々埋まってしまうと思います。例えば3か月だと、 3か月継続の連続かはわからないですが、6か月契約の更新で行って、次の可能性があ りで、過去4年なら4年あったときに、どこかの時点で申出があってお休みに入ってし まったときに、次の6か月の部分というのは丸々休みの範囲に入ってしまうだろうと思 います。だから、それは適用できないのではないか。契約期間が丸々休業になっている 場合には適用しない、除外してほしいということ。 ○公益委員  少しでもあれば、更新可能性はかなり短期間でもいいのですか。 ○使側委員  多分、絵を描いて考えるとやはり1年になってしまうと思います。 ○公益委員  「更新の可能性あり」ということで予定しているわけでしょう。だから、育児休業期 間の中に契約期間が仮に1つの場面ですっぽり入っても、「更新の可能性あり」が事前 に明示されているわけですから、そのあとは続くのでしょう。 ○使側委員  いや、いまの話というのは、要するに例Cで、その手前にあと2つ矢印がくっ付いて いると思っていただければいいと思います。左側にもう2つ矢印がある。そうすると、 4年で点線の「更新の可能性あり」となります。次々回というのはないということで す。だから、ちょうどこれであれば取れますねと。例Cで左側にあと2つ矢印が付いて いたら、これはやれます。 ○公益委員  「更新の可能性あり」というのも1回では駄目なのです。 ○使側委員  要するに、2回先までの更新の可能性あり・なしというのは難しいということを申し 上げています。実務上も非常に難しいということを言っています。だから、いちばん右 端の小さな点線は考えにくい。その場合、例Cで左に2つ矢印がくっ付いた状態で、点 線の大きいほうの矢印ということになりますが、ここが例えば3か月契約の更新可能性 ありだとすると、もうすっぽり埋まってしまって、契約期間に労働提供が全くできない わけです。その場合は適用しようがないので、除外ですねという言い方をしています。  あと、公益委員が最初に言われた、そもそも、正規従業員のところになぜ適用になっ ているかというと、雇用継続がずっとある中で職場復帰できるように、育児を理由に退 職にならないようにということでした。我々も本来はそうだと思っています。実は有期 雇用契約への適用というのは原則反対だと申し上げているのはそこにあるわけです。  もし、それをスポッと落とし込んだときに、例えば自動的に更新しますという契約明 示とか、次回契約の更新が例えば3年の契約としてありますというもの以外には非常に 適用しにくくなってしまうと思います。果たして、それだけでいいのかということもあ り、今日ちょっと案を申し上げたというわけです。 ○公益委員  ちょっと確認させてください。説明の中で混乱しているみたいで、私が誤解している のかもしれません。1回1回、次の契約がまだ不確かだというのではなくて、ずっと自 動的に更新がされているようなケースを前提に提案されたと理解していたのですが、そ うではないのですか。 ○使側委員  そうではありません。 ○公益委員  そのような自動契約の場合は、もちろん3か月であろうが6か月であろうが対象にな る。それは問うまでもないということですね、それは確認していいわけですね。 ○使側委員  過去実績は要ります。過去実績プラス、先ほどの明示で言うと、「自動的に更新する 」という明示をしている場合です。 ○公益委員  その場合、3か月であろうが6か月であろうが、1年であろうが、それは全部適用に なると確認されているわけです。そうではなくて、更新に関して、更新するかしないか という取決めのあるようなケースに関してという議論ですね。 ○使側委員  1回1回の更新があるかないか、今度どうするかを言いなさい、と言っているもの が、基準法の告示です。それに基づいて考えているということです。 ○公益委員  可能性がある場合にというケースでも、それは確定ではないのだから、このように駄 目な場合がありますという議論ですよね、いまは。違うのですか。 ○労側委員  契約期間は別にして、先ほどの4.6という実態を考えると、過去実績プラス現契約で まず4年、4年以下は駄目だと。加えて更新可能性がなければ駄目ということです。 ○労側委員  更新を何度も重ねているという実態に対して、指針で、実質的に異ならない状態に なっている場合は雇用継続と見なす、ということにむしろ該当する事例ではないかと聞 こえるのですが、違いますか。 ○使側委員  違います、そこから考えてきているのではないのです。いま言われた実態の話は、更 新の実態が繰り返されているとか、本人がもう継続雇用で、正規従業員と同じように、 無期契約と同じような実態だという期待権が生じているような事態、そういうものが全 部判断されるわけです。あくまでもあそこに書かれているのは、判例が分類してみたも のの積上げの項目が書いてあって、そのことに留意してくださいということが書いてあ るだけです。  雇止め実績の問題についても、変な話、20年いる方でもその時点で雇止めをしたとき に、それは有効になる場合もある。それから、2回の更新で例えば1年しかいらっしゃ らない方でも、この1年で次の契約は更新しませんといったときに、それは無効ですと いう場合もあります。要するに有期雇用契約について、雇止めが有効か無効かの判断と いうのは別に期間だけでやっているわけではない。いろいろな要素で判断されていると いうことです。  今回、私どもが話しているのは、これをまとめるのに少なくともある程度の年限がな いと継続雇用とは見なせないではないですか。いちばん最初、私どもはずっと反対して いました。要するに有期雇用には非常に適用しにくい。ならば次の段階で、どういう場 合を本当に認めるかといったら、この自動更新の明示しかあり得ないのです。自動更新 だったら特段の事情のない限り置いておくと言っているわけです。  だけど、労働側の皆さんからも、そうは言っても実際に長い場合があるではないか。 例えば、平均は4.6年と資料にも出ましたけれども、これだけ長くなっているのに休業 を認めないのですか、おかしいですよねという意見がいっぱいありました。そういうも のも含めて考えていったときに、かつ企業実務上、トラブルが起きないし、わかりやす いということを考えたときに、4年プラス契約更新可能性ありというところが限界かな と思って申し上げています。  雇用契約の継続性という問題にかえると、確かに問題がある部分があると思います。 ただ、その容易さ、管理のしやすさからこのような言い方をさせていただいています。 理屈上はこの素案のように、1年なら1年間、そのあとにいなければいけないというほ うが雇用継続の概念を打ち出しているという意味では確かに筋は通っているのかもしれ ません。 ○公益委員  ご趣旨は十分理解しました。4年がいいかどうかは別として、そのような考え方があ るということは理解しました。ただ、果たして4年が適当であるかという、もう1つの 議論があると思います。先ほどから出てきている、4年と6か月が平均の勤続年数とい うことでした。これは入社してから、いまも勤め続けている人の平均勤続年数が4年と 6か月なのです。そこで辞めるということではありません。これは実質的に経済学でも 証明されているのですが、勤続年数の約2倍の期間、実は辞めるまでにはかかるという ことで、実際に勤め出してから辞めるまでというのは、4.6年の2倍、9.2年が平均で す。これは統計学的に証明されています。4.6年というものをいまの基準として、ある がゆえに4年ですということについてはまだ議論の余地があるのかなと思うのですが、 その点はいかがでしょうか。 ○使側委員  1つ申し上げたいと思います。実は第何回かで配られた資料を見ているのですが、こ れは有期労働契約の雇止めまでの勤続年数を調査したものです。 ○公益委員  そうだと思いますが、片方で「賃金構造統計基本調査」とか、あそこで勤続年数が出 ています。パートタイマーについての現在の勤続年数です。あれを見るとかなり違うと 思うのです。 ○使側委員  これとはまた違うということですね。 ○公益委員  常用的パートタイマーに限定するのかどうか。そういうことを考えてくると、4年が 適当であるかどうかについては議論の余地があるかなということを申し上げたいと思い ます。 ○使側委員  私どもが申し上げたのは、この資料に基づいて言っていますということです。多分実 態として、平均は4.6年なのですが、確かに現れているように大体3年まで継続、これが 6か月の更新なのか、1年契約の更新なのかはわかりませんが、3年までというのがま ず1つ多い。次が5年ぐらいまでで終わっているケースが多い、ということは間違いな いのかなと思っています。 ○公益委員  今回の延長で1年を3年というものが出てきて、3年というのが非常に重要なポイン トになってきます。4年なのか、3年なのかという議論はまだあると思います。 ○使側委員  それについては議論の余地はあろうかと思っています。逆に言えば、4年より3年の ほうがこういう理由でいいのではないかというお話があれば、いくらでも議論させてい ただきたいと思います。 ○公益委員  もう1つは書きぶりの話です。事務局、我々も含めて議論した上で、記という3頁か ら始まっている。これはあくまでも育児休業法という法律で決められた最低基準を書い ているわけです。どうも、この文章を読むと、こういった場合は育児休業の対象とする ことが適当であるとか、適当でないというように書いてあるわけです。これは最低限の 話だ、ということがわかるような文章に少し改めてほしいと思います。  育児休業の対象とすることは適当ですと。ならば、これ以外のところは適当ではない のか。それは個別の労使で議論すべき問題である。ここに出ているのはあくまで、法律 に関与することなのだということをわかるように記述してほしいと思います。これはお 願いです。 ○労側委員  今日出された素案のところなのですが、いまご議論いただいたところと、あと付け加 えて意見として申し上げたい点は、育児に関してはかなりいろいろな案が出されている のですが、全体を見ると、介護休業という視点が私から見ると弱いのではないかと思い ます。現在、介護保険ができたからいいのではないかというご意見もあるかと思いま す。これから少子高齢化で、高齢化のほうも、かなり急速な進展があるわけです。例え ば、いままでは専業主婦家庭で介護の部分があって、介護保険で大丈夫ということが あったかもしれません。これからは多分共働きが増える、また核家族化が進むというこ とがありますので、是非、そういう面で、介護休業の充実というところももう少し入れ ておいていただきたいというのが意見です。  具体的なところを申し上げると、労側委員が言われたことと重なるかもしれません が、記の2のところで「介護サービスを利用できない等特別な理由のときに延長できる ように」ということ。それから3の「介護休業の期間」ですが、通算して3か月という のはあまりにも短いのではないか。5番目の「短時間勤務」のところですが、ここは全 部子育てということで書かれています。是非、ここの部分に介護の短時間勤務制度等に ついても、現在の法律の部分をもう少し充実させるような方向で入れていただけたらと 思います。 ○労側委員  もう1回有期なのですが、ここで言う括弧の中ですが、皆さんがおっしゃるように 「2歳まで」というのはバランスだという話もある。休業は契約後1年ぐらいはあって いいのではないかという話もあります。しかし、それはものの考え方だと思いますが、 これから多様化する契約タイプ、これまで権利を持たなかったタイプが増えている中 で、権利をどう与えるか。例えば就業継続で言ったら、契約期間の休業後の就労日数が ある程度残っているものについては就業継続と見なして付与する、ということが原則と してあっていいと思います。  そういう意味では、実務的に更新があるとかないとか、次々回があるかないかなどと いう議論をしなくてすむ話なのです。この括弧の中は、議論の必要性は否定はしません が、ただ、こうやって書いてしまうと「2歳まで」となってしまう。そうすると、非常 に狭まってしまう。  仮に事務局が出された記のところを適用した場合、いまの有期契約労働者のどのぐら いが適用になるかという試算がもしあれば示していただければ。多分難しいだろうと思 います。ないものを適用するのだから、片一方でいいではないかという発想もあります が、そもそもそのような労働者に適用するのがあるべき姿ではないか。もし、有期の問 題があるなら根本のところを改めるということも、次のテーマとしてチャレンジすれば このような問題は自動的に解決すると思います。しかし、カッコの中は我々としては認 められないというか、もっと議論してほしいと思います。 ○事務局  1点だけ申し上げます。期間雇用者の提示をした要件について、補足的に説明をさせ ていただきたいと思います。先ほどの私の説明が若干不十分だったかもしれません。1 歳時点でのハードル、雇用が継続することが見込まれるという要件、その1年後、2歳 時点の考え方ですが、1歳時点については、現在の契約がその時点で継続しているこ と、あるいは先ほどからご議論いただいているとおり、次の契約がそれにかかっている こと。したがって、それは少なくとも育児休業を申し出た時点の契約を結んだ時点にお いて、更新の可能性ありということが明示されている。これはまず明確に、1歳時点を 超えて雇用が継続することができるかどうかということは判断できるものだろうと思っ ています。  さらに、その1年後、2歳時点については逆に、その時点までに雇用関係が終了する 者については除外をする。したがって、繰返しになりますが、その前の時点で「契約の 更新なし」ということが明示をされている場合については除外されるということです。 明確にご議論があったとおり、次の次の契約という部分については、契約が更新されて いくのか、されていかないのかというのは正直わからない部分があります。ただ、2歳 の時点においては明確にそこまで届かない、明らかにその前で雇用関係が終了する場合 は除こう、という考え方でございます。そういった意味で言えば、1歳時点、2歳時 点、いろいろなケースがありますので、もちろん事務的にさらに明確な基準があると思 います。基本的にはそういった形でご判断いただけるのではないかと考えています。  これは使側委員からご指摘がありましたが、当然ながら、現在の制度でも実際に申し 出た時点では出産予定日を計算していますので、何日か、あるいは1か月ぐらいずれる ケースもあります。そういった場合はどうするのか。現在も同じような事務的問題があ りますので、いずれにしてもその辺も当然事務的に整備をする必要はあるだろうと思っ ています。 ○事務局  先ほど、2頁の9の関係で使側委員から、子育て・保育サービスの充実に関連してお 話がありました。どういうようにこれから取り組んでいこうかということは、この場で も何度もご説明したように、積極的に取り組んでいこうということでした。その際、民 間の力を活用していくことについても、既にここ4、5年、規制緩和の流れを取ってい ます。株式会社による設置だけでなく、いろいろな規制緩和をやっていますが、その流 れを一層進めていくという方向性を、一昨年でしたか、「児童福祉法」の改正の流れの 中で、公設民営などを中心に進めていくという方向性も出ています。  保育の話だけではなくて、子育て支援にはいろいろなサービスがあります。NPOの 活用などの流れは、この計画の中でも含んでいるような考え方です。文言についてはま たご相談させていただければと思います。 ○使側委員  現状を私が聞く範囲内では、その枠は非常に場が大き過ぎて、思いがあってやろうと してもなかなか緩和されていない部分が非常に大きいと聞いています。是非、そこをも う少し下げていただいて、地域の方皆さんで子育てをしていくというような体制づくり を是非していただきたいというように思い、発言させていただきました。 ○事務局  ちょうどいま、各市町村は次世代法に基づいて、計画づくりのためのニーズ調査や実 態調査をやって、平成16年度には計画を作ろうというような動きです。そのような場面 に参画される機会があれば、いろいろご指摘をしていただいて、地域で、待機児童の解 消にしてもミスマッチを解消し、できるだけ使いやすい子育てサービスにしていくこと を我々も期待しているところです。 ○使側委員  いまの回答というか言われていることで、たまたま昨日、全国から商工会議所の労働 がらみの委員会があって、事務局に本件について説明に来ていただきました。あとの議 論でも、いま事務局もおっしゃっているけれども、民間のほうで例えば駅前に保育所を 作るなどということを地元に申請しても、かなり市役所がガードする、あるいは、地域 の特殊法人がガードするという問題が相当大きいらしいのです。だから、いま、民間が 参入できる機会が非常に阻まれている。  中央のほうではそういう方針はあっても、特に地方の自治体、あるいは地方の既存の もの、いわゆる特殊法人を含めた体制の中で、なかなか民間参入ができないことをどう してくれるのかということが大きな意見として出ています。是非、その辺の調整をお願 いしたい。実際、民間参入というか、保育所をやりたいのだができない。最近では、J Rも駅に保育所を作りたいということも出ているようです。どうも、その辺がお役所と 民間などのマッチングがなかなか難しいのではないか。そういうことを解消してほしい というのが、昨日、地方の会議所の方から相当強く出ていました。その辺、ひとつ調整 をしていただきたいと思います。 ○分科会長  まだまだご意見はあるかと思いますが、既に時間もオーバーしています。この素案に ついてのご議論は、本日はここまでとさせていただきたいと思います。  最後に1つ、私から委員の皆様にご提案したいことがありますので、ちょっと時間を いただきたいと思います。これまでの分科会の議論においては、一定の要件に該当する 期間労働者について、育児休業および介護休業の対象にすべきかどうか、1歳を超えて 育児休業ができることにすべきかどうか、要介護状態ごとに介護休業ができることにす るかどうか、ということが論点として議論されているわけです。次回以降も引き続き、 取りまとめに向けて、この点のご議論をいただくことになるわけです。  他方、現在のところ育児休業、介護休業の期間については、雇用保険から育児休業給 付、介護休業給付というものが支給されているわけです。今後のスケジュールのことも 頭に置いて考えると、現時点において雇用保険制度を所管する分科会のほうにおいて、 こちらの分科会の検討状況を踏まえて、いまのような点について雇用保険制度の対応を どうするかについて検討していただくことが適当ではないかと考えます。いかがでしょ うか。そういうことでよろしければ、そのようにさせていただきます。させていただく に当たっては私から労働政策審議会会長に対して、この分科会での検討状況をお伝えし て、関係の分科会においても検討していただけるようにお願いするという形になると思 います。よろしくお願いします。  本日は以上で終了いたします。署名委員は、岡本委員と前田委員にお願いしますの で、よろしくお願いいたします。 ○公益委員  終わりになってから申し訳ないのですが、記の4行目と11行目、「1年を経過する日 までに契約が更新されないことが明らか」というのは、Bの例を見ると「更新」でなく て「存続されないことが」のほうが、更新よりも幅広い概念ですから、Bも含ませると すれば、当然含まれるわけです。「更新されないことが明らか」というのは、厳密に言 うとちょっとおかしいのではないかと思います。4行目と11行目、「1年を経過する日 までに契約が更新されないこと」、「更新」ではなく「存続」の場合も入るのですね。 ○分科会長  わかりました。ご意見を伺って、次回までに文章の修正を事務局にお願いいたしま す。最後に、今後の進め方について一言申し上げます。今日、いろいろご意見をいただ きましたので、これを踏まえて事務局で、公益委員の先生方にご協力いただきながら修 正すべきは修正して、次回の分科会で引き続きご議論をお願いします。いまの公益委員 のことも含んで検討させていただく、ということでお願いしたいと思います。事務局か ら連絡事項をお願いします。 ○事務局  次回の日程ですが、また改めてご連絡させていただきたいと思います。よろしくお願 いいたします。 ○分科会長  本日は長時間、どうもありがとうございました。 照会先:雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課 法規係(内線:7856)