戻る

「生活の継続性」を維持するサービス

 環境の変化に適応することがことさら難しい痴呆性高齢者に配慮し、生活の継続性が尊重されるよう、日常の生活圏域を基本とした介護サービスの体系整備を進める必要がある。

 コミュニケーションが困難で、環境の影響を受けやすい痴呆性高齢者のケアにおいては、環境を重視しながら、徹底して本人主体のアプローチを追及することが求められる。このことは、本来、痴呆性高齢者のみならず、すべての高齢者のケアに通じるものである。痴呆性高齢者グループホームが近年実践してきている、「小規模な居住空間、なじみの人間関係、家庭的な雰囲気の中で、住み慣れた地域での生活を継続しながら、一人一人の生活のあり方を支援していく」という方法論は、グループホーム以外でも展開されるべきである。

(1)痴呆性高齢者グループホームの事例
<こもれびの家(宮城県名取市)>
<こもれびの家(宮城県名取市)>の図
 ○ 痴呆性高齢者グループホーム数の推移
 平成12年度から、介護保険法に基づく居宅サービスとして位置づけられたことを契機として急速に増加。
H10.3.31H11.3.31H12.3.31H13.3.31H14.3.31H15.3.31H15.11.30
411032669031,6782,8324,039
 平成9年度から平成11年度は、国庫補助対象事業所数、平成12年度から平成14年度は、WAMNET登録事業所数

 ○ 質の確保のため、管理者等の研修、サービスの自己評価・外部評価、情報公開の義務づけ。


(2)地域密着型小規模サービス拠点の事例

<せんだんの杜なかつやま(宮城県桃生町)>
 



一般単独型デイサービス(定員10名)
一時的な宿泊サービス(2〜3名利用可能(自主事業))
痴呆性高齢者グループホーム(定員9名(1ユニット))
<せんだんの杜なかつやま(宮城県桃生町)>の図


(3)地域の関係者のネットワークによる支援の事例

山形県鶴岡市(痴呆性高齢者見守りサービス)
事業実施の背景
 鶴岡市では、地域的に共働き世帯が大半を占め、子ども夫婦と同居していても高齢者が日中独居となるケースが多い。そのため、痴呆性高齢者が在宅での暮らしを継続していくためには、独居中の見守り的な介護が必要とされるが、それを介護保険サービスの訪問介護(身体介護)でまかなおうとすると、容易に給付限度額を超過してしまうという問題があった。
 こうした点を踏まえ、市では痴呆性高齢者に対する見守りを在宅サービスに位置づけるべく検討を進めた結果、平成14年度に国が「痴呆性高齢者家族やすらぎ支援事業」を制度化したのを契機に、同年から「痴呆性高齢者見守りサービス」として事業を開始した。

事業実施主体
 鶴岡市には、介護保険制度施行以前から行政との連携のもとに、住民参加型ホームヘルプサービスを実施してきた5つの団体があった。いずれの団体も介護サービス提供事業者と住民ボランティアの中間的な性格でありながら、会員の大半が介護関係の専門職資格を有しており、サービスの提供水準は介護保険指定事業者と遜色のないものとなっている。
 この点を踏まえ、市では見守りサービスをそれら5団体に委託して実施している。

鶴岡市痴呆性高齢者見守りサービス事業イメージ図

鶴岡市痴呆性高齢者見守りサービス事業イメージ図


トップへ
戻る