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デンマークにおける高齢者住宅政策について

デンマークでは、人口1〜2万人を目安に「福祉地区」を設け、福祉地区ごとに在宅高齢者を支援するサービスを整備。
1988年以降、重度の要介護高齢者の入居施設である「プライエム」の新規建設を禁止。2005年までにプライエム廃止の目標。
 4万9千戸(1987年) → 3万1千戸(1999年) に減少。
プライエムに代わり、高齢者住宅を整備。
 3千4百戸(1987年) → 3万2千戸(1999年) に増加。
1995年頃より、「早めの引っ越し」が唱えられるようになる。
1996年以降、高齢者住宅の一形態として、要介護度の高い高齢者向けに、「プライエボーリ」(介護職員付き住宅)が普及。

 ○デンマークでは、人口1〜2万人を目安に「福祉地区」を整備し、福祉地区ごとに「高齢者総合センター」(プライエム(入所)、デイセンター(通所)、在宅介護ステーション(訪問)を統合したもの)を設置して在宅ケアを実施している。各福祉地区ごとに高齢者を支援するサービス提供が完結する仕組みとなっている。

 ○プライエム
(1) 自宅での生活ができなくなった高齢者のための入居施設。
(2) 24時間の介護を提供。

 ○政策転換
(1) 考え方
 「住宅のタイプが高齢者が受ける介護その他のサービスを決めるべきではない。個人のニーズが介護を決めるべき。
 介護は高齢者に応じたものであるべきで、高齢者の住居に応じたものであるべきではない。」(社会省)
(2) 「社会生活支援法」において、1988年以降プライエムの新築を禁止
(3) 高齢者住宅の整備。介護は在宅サービスを利用。

 ○「早めの引っ越し」
(1) 不適切な住宅に住むことによって起こる虚弱化を防止しながら、自立して生活することを支援してくれる住宅、社会的交流を促進するような住宅に移ることによって、最期まで生き生きと健康に暮らすことを目的として唱えられるようになったスローガン。
(2) 高齢者住宅は早めの引っ越しの基盤。
(3) 実際は、55歳〜70歳の者の間で、早めの引っ越しが行われている。

 ○プライエボーリ
(1) 高齢者住宅の一形態(介護職員付き高齢者住宅)
(2) 「高齢者及び障害者住宅法」において、高齢者住宅の建築基準が示されている。
 〔構造面でのバリアフリー〕
  ・1戸当たり平均面積が67m2以下(共用部分を含む)
  ・各戸に風呂・トイレ・台所・上下水道を設置
  ・車いす使用者を含む高齢者や障害者に対応した構造
 〔社会面でのバリアフリー〕
  ・歩行障害がある者でも住宅へのアクセスが可能であること
  ・2階以上の建物にはエレベーターを設置
  ・24時間以内に援助が呼べること
(3) プライエボーリの介護職員が、地域の高齢者の介護も行う「統合ケア」を実施している事例もある。


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