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2.在宅支援体制の充実

在宅生活への復帰又は継続を可能にする条件

 在宅の要介護者が入院又は入所に至るきっかけとしては、本人の急病・けが、心身機能の低下といった事情が多い。
 在宅介護を継続できる条件として、家族・介護者の協力、サービスの増加・充実といった課題が指摘されている。また、サービス提供のあり方としては、24時間対応、医療との連携が確保されていること等が課題として指摘されている。

 「在宅高齢者の介護サービス利用状況の変化に関する調査研究」(医療経済研究機構・平成12年度〜14年度)

 (1) 入院・入所に至った者の在宅復帰を可能とするために必要な条件として、担当ケアマネジャーは、家族・介護者の協力やサービスの増加・充実、サービス提供のあり方としては24時間対応・医療的ケア等を挙げている。

1 「在宅高齢者の介護サービス利用状況の変化に関する調査研究」(医療経済研究機構・平成12年度〜14年度)の図

 (2) また、在宅での介護を継続できた事例との比較分析を通し、在宅生活維持の条件として、以下の点を指摘している。
 (1)十分な量の介護サービスを利用
 (2)24時間体制に近い安心できるサービス体制づくり
 (3)短期入所の活用
 (4)在宅医療・医療機関との連携
 (5)その他
本人の在宅生活への意欲
介護者の介護意欲や協力姿勢
介護サービスや近隣からの援助等を受けやすい居住環境・立地環境
 (3) 在宅生活を維持した事例
 (1)訪問介護と通所介護の組み合わせ利用により在宅生活を維持した事例
66歳、女性、要介護度4
週3回の訪問介護と週2回の通所介護を利用
 訪問介護 複合型1.5時間を月4回利用
 身体介護2時間を月12回利用
 通所介護 6時間を月8回利用
本人が施設入所を拒否しており、家族介護力の不足を補うよう、介護保険サービスの量を増やし、平日はほぼ毎日何らかのサービスを利用している状態をつくり出していること、そのとき、訪問系サービスだけでなく通所系サービスを組み合わせて利用していることが特徴。

 (2)医療系の訪問・通所サービスの組み合わせ利用により在宅生活を維持した事例
76歳、男性、要介護度4
妻も要介護4であり、子どもも時々顔を見せる程度であるため、家族の介護力は少ない。
訪問看護 1回1時間、月4回利用
訪問リハビリ 1回0.4時間、月4回利用
通所リハビリ 1回7時間、月11回利用
サービス利用面では、訪問看護、訪問リハビリ、デイケアと訪問型サービスと、通所型サービスの組み合わせであるが、医療系のサービスに重点を置いていることが特徴。

 在宅要介護高齢者の介護状況実態調査報告
(長寿社会開発センター・平成15年3月)

 ○ 訪問介護の利用者及びホームヘルパーに対し、在宅生活継続のための課題について調査したところ、必要なサービスを必要なときに受けられる体制、医療ニーズへの対応、家族の負担の軽減といった事項が挙げられた。
 
必要なサービスを必要なときに受けられる体制
 
利用者の考え ホームヘルパーの考え
訪問介護、訪問看護、医師の往診等が24時間体制で、土日休日を含め、必要時に(緊急対応を含め)利用できる体制整備
起床時の援助、食事時の援助、夜間のケア等に定期的に入るなど訪問介護の拡充
デイサービス、リハビリ、ショートステイ等の利用を組み入れること
必要な場合に入所が可能であること
リハビリの実施

 
医療ニーズへの対応
 
利用者の考え ホームヘルパーの考え
吸引、経管栄養等も含め、ある程度の医療的行為への対応
医療機関との連携
痴呆専門病院の受診(家族とともに)、適切な投薬

 
家族の負担の軽減
 
利用者の考え ホームヘルパーの考え
介護者の介護負担、疲労、ストレスの解消
家族の留守、外出時、家族の病気等、家族介護力低下時の不安解消
痴呆の介護負担の軽減
デイサービス、ショートステイ等の利用による介護負担の軽減(介護者の休息確保)
家族介護者の健康維持


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