(1 |
)ホームレスの就業の機会の確保について
ホームレスの就業による自立を図るためには、ホームレス自らの意思による自立を基本として、ホームレスの個々の就業ニーズや職業能力に応じた対策を講じて、就業の機会の確保を図り、安定した雇用の場の確保に努めることが重要である。
このため、就業による自立の意思があるホームレスに対して、国及び地方公共団体は、ホームレスの自立の支援等を行っている民間団体との連携を図り、求人の確保や職業相談の実施、職業能力開発の支援等を行うとともに、地域の実情に応じた施策を講じていくことが必要である。
ア |
ホームレスの雇用の促進を図るためには、ホームレスに関する問題について事業主等の理解を深める必要があり、事業主等に対する啓発活動を行う。 |
イ |
ホームレスの就業の機会を確保するためには、ホームレスの個々の就業ニーズや職業能力に応じた求人開拓や求人情報の収集等が重要であることから、ホームレスの就職に結びつく可能性の高い職種の求人開拓やインターネット等を活用した求人情報等の収集に努め、また、民間団体とも連携を図り、それらの情報提供に努める。 |
ウ |
ホームレスの就業ニーズを的確にとらえることができるように、自立支援センター等において、きめ細かな職業相談等を実施する。
また、ホームレスの就職後の就業の安定を図るために、民間団体との連携を図り、必要に応じ、職場定着指導等の援助を行う。 |
エ |
ホームレスの早期再就職の実現や雇用機会の創出を図るために、事業所での一定期間の試行雇用事業の実施により、ホームレスの新たな職場への円滑な適応の促進を図る。 |
オ |
ホームレスの就業の可能性を高めるためには、求人側のニーズやホームレスの就業ニーズ等に応じた職業能力の開発及び向上を図ることが重要であり、技能の習得や資格の取得等を目的とした技能講習や職業訓練の実施により、ホームレスの職業能力の開発及び向上を図る。 |
カ |
常用雇用による自立が直ちには困難なホームレスに対して、清掃業務や雑誌回収等の都市雑業的な職種の開拓や情報収集・情報提供等を行う。 |
キ |
ホームレスの就業による自立を支援するに当たっては、民間団体を活用することも重要であることから、ホームレスに対する求人情報等の提供や技能講習等の実施に当たっては、民間団体の活用を図る。 |
|
(2 |
)安定した居住の場所の確保について
ホームレス対策は、ホームレスが自らの意思で自立して生活できるように支援することが基本であり、ホームレス自立支援事業等を通じて就労の機会が確保される等により、地域社会の中で自立した日常生活を営むことが可能となったホームレスに対して、住居への入居の支援等により、安定した居住の場所を確保することが必要である。
このためには、国、地方公共団体等が連携した上で、地域の実情を踏まえつつ、公営住宅及び民間賃貸住宅を通じた施策の展開を図ることが重要である。
ア |
中高年の単身者が多いホームレスの実態にかんがみ、ホームレス自立支援事業等を通じて就労の機会が確保されるなど、自立した日常生活を営むことが可能と認められるホームレスに対しては、地域の住宅事情、住宅のストックの状況等を踏まえつつ、公営住宅の事業主体である地方公共団体において、単身入居や優先入居の制度の活用等に配慮する。 |
イ |
民間賃貸住宅にかかわる団体に対し、以下の事項を要請する。
(ア |
) 自立した日常生活を営むことが可能と認められるホームレスが、地域における低廉な家賃の民間賃貸住宅に関する情報を得られるよう、これらの情報の提供について、自立支援センターその他福祉部局との連携を図ること。 |
(イ |
) ホームレスの大半が家族・親族との連絡が途絶えている実情にかんがみ、民間賃貸住宅への入居に際して必要となる保証人が確保されない場合において、民間の保証会社等に関する情報の提供について、自立支援センターその他福祉部局との連携を図ること。 |
(ウ |
) 研修等の場において、法の趣旨等を周知すること。 |
|
|
(3 |
)保健及び医療の確保について
ホームレスに対する保健及び医療の確保については、ホームレス個々のニーズに応じた健康相談、保健指導等による健康対策や結核検診等の医療対策を推進していくとともに、ホームレスの衛生状況を改善していく必要がある。このため、都道府県と市町村が連携し、ホームレスの健康状態の把握や清潔の保持に努めるとともに疾病の予防、検査、治療等が包括的にできる保健、医療及び福祉の連携・協力体制を強化することが重要である。
また、ホームレスについては、年齢を問わず結核を発病しやすい者として疫学的に明らかになっていることから、結核のり患率の高い地域等特に対策を必要とする地域において、保健所、医療機関、福祉事務所等と密接な連携を図り、効果的な結核対策を行うことが必要である。
ア |
ホームレスの健康対策の推進を図るため、保健所等において窓口や巡回による健康相談、保健指導等を行うなど、個々のニーズに応じた保健サービスが提供できる相談及び指導体制を整備し、必要な人材を確保する。 |
イ |
保健所等は、健康に不安を抱えるホームレスの疾病の発見に努めるため、健康相談等を積極的に実施し、医療の必要があると思われるホームレスが、適切な医療を受けられるよう福祉事務所等と密接な連携を図りながら医療機関への受診につなげる。さらに、これらの者について継続的な相談及び支援を実施する。 |
ウ |
結核にり患しているホームレスについては、服薬や医療の中断等の不完全な治療による結核再発や薬剤耐性化を防ぐために、訪問等による服薬対面指導等を実施する。 |
エ |
ホームレスに対する医療の確保を図るため、医師法(昭和23年法律第201号)第19条第1項又は歯科医師法(昭和23年法律第202号)第19条第1項に規定する医師又は歯科医師の診療に応ずる義務について改めて周知に努め、また、無料低額診療事業(社会福祉法(昭和26年法律第45号)第2条第3項第9号に規定する無料低額診療事業をいう。以下同じ。)を行う施設の積極的な活用を図るとともに、病気等により急迫した状態にある者及び要保護者が医療機関に緊急搬送された場合については生活保護の適用を行う。 |
オ |
保健所等は、ホームレスに対し保健医療サービスの充実が図られるよう、福祉事務所、民間団体、地域住民等と連携・協力し、ホームレスが自ら健康づくりを行えるよう支援する。 |
|
(4 |
)生活に関する相談及び指導に関する事項について
ホームレスに対する生活相談や生活指導を効果的に進めるためには、ホームレスの個々のニーズに応じた対策が必要であり、こうしたニーズに的確にこたえられるよう、関係機関の相互連携を強化した総合的な相談体制の確立が必要である。
ア |
福祉事務所を中心として、関係機関や救護施設等社会福祉施設が相互に連携して総合的な相談及び指導体制を確立する。
その際、それぞれの相談機能に応じて必要な人材を確保するとともに、研修等により職員の資質向上を図る。 |
イ |
ホームレスは、野宿生活等により健康状態が悪化しているケースが多く、身体面はもちろん、精神面においても対応が必要な場合がある。これらのことから、健康相談だけでなく、特にホームレスに対する心のケアについても精神保健福祉センターや保健所等の協力を得て、相談事業の中に含めて行う。 |
ウ |
各地方公共団体は、社会福祉協議会、社会福祉士会、NPO、ボランティア団体等の民間団体を始め、民生委員及び児童委員、地域住民等との連携・協力による積極的な街頭相談を実施し、具体的な相談内容に応じて福祉事務所や公共職業安定所等の関係機関への相談につなげる。
特に、炊き出し等ホームレスが集まるような機会をとらえ、積極的に街頭相談を行う。 |
エ |
相談を受けた機関は、生活相談を受けるだけでなく、相談結果により自立支援センターへの入所指導、シェルターの利用案内、その他福祉施策の活用に関する助言、多重債務問題等専門的な知識が必要な事例に対する専門の相談機関の紹介等、具体的な指導を行うとともに、関係機関に対し連絡を行う。 |
|
(5 |
)ホームレス自立支援事業及びホームレスの個々の事情に対応した自立を総合的に支援する事業について
ア |
自立支援事業について
ホームレスに対し、宿所及び食事の提供、健康診断、生活に関する相談及び指導等を行い、自立の意欲を喚起させるとともに、職業相談等を行うことにより、ホームレスの就労による自立を支援する自立支援事業を実施する。
(ア |
) 自立支援事業は、自立支援センターの利用者に対し、宿所及び食事の提供等日常生活上必要なサービスを提供するとともに、定期的な健康診断を行う等必要な医療等の確保を行う。 |
(イ |
) 自立支援事業においては、ホームレスの個々の状況に応じた自立支援プログラムの策定等を行い、また、公共職業安定所との密接な連携の下で職業相談等を行う等積極的な就労支援を行う。 |
(ウ |
) 社会生活に必要な生活習慣を身につけるための指導援助を行うとともに、住民登録、職業あっせん、求人開拓等の就労支援、住宅保証人の確保、住宅情報の提供その他自立阻害要因を取り除くための指導援助を行う。 |
(エ |
) 自立支援事業により就労した者の就労後のアフターケアに十分配慮するとともに、利用期間中に就労できなかった者に対する処遇の確保にも努める。 |
(オ |
) 自立支援事業の実施主体については、市に限ることなく、都道府県も対象とすることを検討し、また、事業運営については、社会福祉法人等への委託を行う等民間団体の活用を図る。 |
(カ |
) 自立支援としての効果や入所者への処遇の確保に十分配慮しつつ、地方公共団体が取り組みやすいような事業の見直しを検討する。 |
(キ |
) 自立支援センター等の設置に当たっては、地域住民の理解を得ることが必要であり、そのために地域住民との調整に十分配慮する。 |
|
イ |
個々の事情に対応した自立を総合的に支援する事業について
ホームレスは大別すると、就労する意欲はあるが仕事が無く失業状態にある者、医療や福祉等の援助が必要な者、一般社会生活から逃避している者という三つのタイプがあるが、これらに社会生活への不適応、借金等による生活破たん、アルコール依存症等個人的要因も付加されて複雑な問題を抱えているケースも多い。これらの者に対する対策を講ずるに当たっては、ホームレスの実態を十分に把握し、ホームレスのタイプに応じた適切な施策を実施する必要がある。
(ア |
) 就労する意欲はあるが仕事が無く失業状態にある者については、まずは、就業の機会の確保が必要であり、職業相談、求人開拓等の既存施策を進めるなど、各種の就業対策を実施する。
また、常用雇用による自立が直ちには困難なホームレスに対して、清掃業務や雑誌回収等の都市雑業的な職種の開拓や情報収集・情報提供等を行う。
さらに、自立支援センター入所者に対しては、職業相談等により就労による自立を図ることや、また、自立支援センターに入所していない者に対しては、総合的な相談事業の実施等により、雇用関連施策と福祉関連施策等の有機的な連携を図りながら、きめ細かな自立支援を実施する。 |
(イ |
) 医療や福祉等の援助が必要な者については、保健所における巡回検診や福祉事務所における各種相談事業等を積極的に行うとともに、無料低額診療事業を行う施設の積極的な活用等対応の強化を図る。このうち、疾病、高齢等により自立能力に乏しい者に対しては、医療機関や社会福祉施設への入所等既存の施策の中での対応を図る。 |
(ウ |
) 一般社会生活から逃避している者に対しては、相談活動を通し社会との接点を確保するなど、社会生活に復帰させるように努める。 |
(エ |
) 女性のホームレスに対しては、性差を配慮したきめ細かな自立支援を行うとともに、必要に応じて、婦人相談所や婦人保護施設等の関係施設とも十分連携する。 |
(オ |
) これら以外にも、ホームレスは様々な個人的要因が複合的に絡み合って複雑な問題を抱えているため、個々のケースごとに関係機関との密接な連携の下、柔軟に対応する。 |
|
|
(6 |
)ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者が多数存在する地域を中心として行われるこれらの者に対する生活上の支援について
ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者としては、一般的には現に失業状態や不安定な就労関係にあり、かつ、定まった住居を喪失し不安定な居住環境にある者等が想定される。
これらの者に対しては、就業の機会の確保を図ることが必要であるとともに、シェルター等による居住の場所の確保等、野宿生活にならないような施策を実施することが必要である。
ア |
ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者が多数存在する地域において、それらの者がホームレスとならないよう、国及び地方公共団体は相互の連携を図り、職業相談等の充実強化を図る。 |
イ |
ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある日雇労働者の就業の可能性を高めるために、技能講習により技術革新に対応した新たな技能や複合的な技能を付与し、また再就職の実現や雇用機会の創出を図るため、事業所での一定期間の試行雇用事業を実施する。 |
ウ |
現下の厳しい経済情勢の下、仕事の減少による収入減等により、簡易宿泊所での生活が困難な者が野宿生活になることもあるため、シェルター等による居住の場所の確保を図る。 |
エ |
また、ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある日雇労働者に対しても、ホームレスと同様、関係機関と関係団体が連携しながら、積極的な街頭相談を実施し、具体的な相談内容に応じて福祉事務所や公共職業安定所等の関係機関への相談につなげ、野宿生活に至ることのないように配慮する。 |
|
(7 |
)ホームレスに対し緊急に行うべき援助に関する事項及び生活保護法による保護の実施に関する事項について
ア |
ホームレスに対し緊急に行うべき援助について
ホームレスの中には、長期の野宿生活により、栄養状態や健康状態が悪化している場合があり、こうした者に対しては医療機関への入院等の対応を緊急に講ずることが必要となってくる。
(ア |
) 病気等により急迫した状態にある者及び要保護者が医療機関に緊急搬送された場合については、医療機関等との連絡体制を整えるなど連携を図ることにより、早急に実態を把握した上で、生活保護による適切な保護に努める。
福祉事務所は、治療後、再び野宿生活に戻ることのないよう、関係機関と連携して、自立を総合的に支援する。 |
(イ |
) 居所が緊急に必要なホームレスに対しては、シェルターの整備を行うとともに、適切な処遇を確保することに留意しつつ無料低額宿泊事業(社会福祉法第2条第3項第8号に規定する無料低額宿泊事業をいう。以下同じ。)を行う施設を活用し、これらの施設への入居を図ることとする。 |
(ウ |
) 福祉事務所や保健所等における各種相談事業を通じて、緊急的な援助を必要としているホームレスの早期発見に努めるとともに、発見した場合には、関係機関等に速やかに連絡するなど、早急かつ適切な対応を講ずる。 |
|
イ |
生活保護法による保護の実施に関する事項について
ホームレスに対する生活保護の適用については、一般の者と同様であり、単にホームレスであることをもって当然に保護の対象となるものではなく、また、居住の場所がないことや稼働能力があることのみをもって保護の要件に欠けるということはない。こうした点を踏まえ、資産、稼働能力や他の諸施策等あらゆるものを活用してもなお最低限度の生活が維持できない者について、最低限度の生活を保障するとともに、自立に向けて必要な保護を実施する。
この際、福祉事務所等保護の実施機関においては、以下の点に留意しホームレスの状況に応じた保護を実施する。
(ア |
) ホームレスの抱える問題・状況(精神的・身体的状況、日常生活管理能力、金銭管理能力、稼働能力等)を十分に把握した上で、自立に向けての指導援助の必要性を考慮し、適切な保護を実施する。 |
(イ |
) 就労の意欲と能力はあるが失業状態にあり、各種就労対策を実施しても就労が困難であると判断される者については、当該地域に自立支援センターがある場合には、自立支援センターへの入所を検討する。
自立支援センターにおいて、結果的に就労による自立に結びつかず退所した者については、改めて保護の要否を判断し、必要な保護を行う。 |
(ウ |
) ホームレスの状況(日常生活管理能力、金銭管理能力等)からみて、直ちに居宅生活を送ることが困難な者については、保護施設や無料低額宿泊事業を行う施設等において保護を行う。この場合、関係機関と連携を図り、居宅生活へ円滑に移行するための支援体制を十分に確保し、就業の機会の確保、療養指導、金銭管理等の必要な支援を行う。 |
(エ |
) 居宅生活を送ることが可能であると認められる者については、当該者の状況に応じ必要な保護を行う。この場合、関係機関と連携して、再びホームレスとなることを防止し居宅生活を継続するための支援や、居宅における自立した日常生活の実現に向けて就業の機会の確保等の必要な支援を行う。 |
|
|
(8 |
)ホームレスの人権の擁護に関する事項について
基本的人権の尊重は、日本国憲法の柱であり、民主主義社会の基本でもある。ホームレスの人権の擁護については、ホームレス及び近隣住民の双方の人権に配慮しつつ、以下の取組により推進することが必要である。
ア |
ホームレスに対する偏見や差別意識を解消し、人権尊重思想の普及高揚を図るための啓発広報活動を実施する。 |
イ |
人権相談等を通じて、ホームレスに関し、通行人からの暴力、近隣住民等からの嫌がらせ等の事案を認知した場合には、関係機関と連携・協力して当該事案に即した適切な解決を図る。 |
ウ |
自立支援センターやシェルター等のホームレスが入居する施設において、入居者の人権の尊重と尊厳の確保に十分配慮するよう努める。 |
|
(9 |
)地域における生活環境の改善に関する事項について
都市公園その他の公共の用に供する施設を管理する者は、当該施設をホームレスが起居の場所とすることによりその適正な利用が妨げられているときは、当該施設の適正な利用を確保するために、福祉部局等と連絡調整し、ホームレスの自立の支援等に関する施策との連携を図りつつ、以下の措置を講ずることにより、地域における生活環境の改善を図ることが重要である。
ア |
施設内の巡視、物件の撤去指導等を適宜行う。 |
イ |
アのほか、必要と認める場合には、法令の規定に基づき、監督処分等の措置をとる。 |
|
(10 |
)地域における安全の確保等に関する事項について
地域における安全の確保及びホームレスの被害防止を図るためには、警察が国、地方公共団体等の関係機関との緊密な連携の下に、ホームレスの人権に配慮し、かつ、地域社会の理解と協力を得つつ、地域安全活動、指導・取締り等を実施していくことが重要である。
ア |
パトロール活動を強化する等により、地域住民等の不安感の除去とホームレス自身に対する事件・事故の防止活動を推進する。 |
イ |
地域住民等に不安や危害を与える事案、ホームレス同士による暴行事件等については、速やかに指導・取締り等の措置を講ずるとともに警戒活動を強化して再発防止に努める。 |
ウ |
緊急に保護を必要と認められる者については、警察官職務執行法(昭和23年法律第136号)等に基づき、一時的に保護し、その都度、関係機関に引き継ぐ等、適切な保護活動を推進する。 |
|
(11 |
)ホームレスの自立の支援等を行う民間団体との連携に関する事項について
ホームレスの自立を支援する上で、ホームレスの生活実態を把握しており、ホームレスに最も身近な地域の社会福祉協議会、社会福祉士会、NPO、ボランティア団体、民生委員及び児童委員等との連携・協力が不可欠である。特にNPO、ボランティア団体は、ホームレスに対する生活支援活動等を通じ、ホームレスとの面識もあり、個々の事情に対応したきめ細かな支援活動において重要な役割を果たすことが期待される。
ア |
地方公共団体は、ホームレスと身近に接することの多い、社会福祉協議会、社会福祉士会、NPO、ボランティア団体、民生委員及び児童委員等との定期的な情報交換や意見交換を行う。
また、行政、民間団体、地域住民等で構成する協議会を設け、ホームレスに関する各種の問題点等について議論し、具体的な対策を図る。 |
イ |
地方公共団体は、民間団体等に対して、実施計画や各種の施策や取組について情報提供を行うほか、各団体間の調整、団体からの各種の要望に対する行政担当者や専門家による協議を行うなど各種の支援を行う。 |
ウ |
また、ホームレスに対し、地方公共団体が行う各種の施策について、これらの民間団体に運営委託を行うなど、その能力の積極的な活用を図る。 |
|
(12 |
)その他、ホームレスの自立の支援等に関する基本的な事項について
近年の福祉行政をめぐる様々な課題の背景として、核家族化の定着や地域住民の相互のつながりの希薄化が指摘されている。ホームレス問題についても、失業等に直面した場合に、こうした家族の扶養機能や地域の支援機能等の低下の中で、家族や地域のセーフティネットが十分に機能しなくなっているという背景があり、問題をホームレスに特化したものとして考えるだけでなく、社会全体の問題としてとらえる必要がある。
こうしたホームレス問題の解決を図るためには、ホームレスの自立を直接支援する施策を実施するとともに、新たなホームレスを生まない地域社会づくりを実現するため、地域福祉の推進を図ることが重要である。
ア |
地域福祉の総合的かつ計画的な推進を図るため、住民の主体的な参加による都道府県地域福祉支援計画や市町村地域福祉計画の策定を促進する。 |
イ |
NPOや地域住民等によるボランティアの幅広い参加により、地域福祉を住民全体で支え合う「共助」の社会の構築を目指し、NPO等が活動しやすい環境づくりを支援する。 |
ウ |
民生委員及び児童委員活動の円滑な遂行及び充実を図るとともに、研修等の推進を通じて、委員の資質の向上を図る。 |
エ |
痴呆性高齢者、知的障害者、精神障害者等のうち、判断能力が不十分なものに対して、福祉サービスの利用支援や日常的金銭管理等の援助を行う地域福祉権利擁護事業の利用の推進を図る。 |
|