03/11/05 第27回労働政策審議会雇用均等分科会            第27回労働政策審議会雇用均等分科会 1 日時:平成15年11月5日(水)9:00〜 2 場所:厚生労働省 省議室 3 出席者   労側委員:稲垣委員、片岡委員、佐藤(孝)委員、吉宮委員   使側委員:川本委員、前田委員、山崎委員、渡邊委員、   公益委員:若菜会長、今田委員、佐藤(博)委員、樋口委員 ○分科会長  ただいまから、第27回労働政策審議会雇用均等分科会を開催いたします。本日は奥山 委員、岡本委員、横溝委員、吉川委員が欠席でございます。  では早速議事に入ります。最初の議題は、「事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管 理の改善等のための措置に関する指針の一部を改正する告示案要綱」についてです。こ れは厚生労働大臣からの諮問案件で、これについては本日、厚生労働大臣から労働政策 審議会長宛に諮問が行われました。これを受けて、当分科会において本日審議を行うこ とにしたいと思います。  まず最初に事務局のほうから説明をお願いいたします。 ○事務局  基準法の改正に伴って、パートタイム労働法の指針を改正するという告示案の要綱に ついての諮問です。資料1の説明に当たって、参考No.1に、この指針の改正案と現行 の対比表があります。参考2のほうが、参照の条文ということで、基準法とそれに伴う 規則、告示等がありますので、そちらのほうと併せて説明させていただきます。  まず資料1の、諮問の内容である「告示案要綱」を次頁の「別紙」のほうでご覧くだ さい。これは、基準法改正に伴って、施行日を決める政令、省令の改正、関係の大臣告 示が去る10月22日に官報に掲載されて、それに伴って所要の規定の整備を行うというも のです。  まず「労働条件の明示」というところですが、参考資料No.2の3頁に「施行規則」 があります。そこの第五条で、労働基準法の規定によって労働者に対して明示しなけれ ばならない労働条件というのがあって、今回そこに、四のところですが「退職に関する 事項(解雇の事由を含む)」という形で追加されました。ここの部分の指針について も、「短時間労働者に係る労働契約の締結に際し、基準法の定めるところによって明示 するものとされている事項のうち、退職に関する事項に解雇の事由を含むことを明示す る」というものです。  その次が、「期間の定めのある労働契約」のところです。こちらは、参考の2の1頁 で、今回の労働基準法で、第十四条「契約期間等」のところが改正されました。まず第 1項の所が契約期間の上限の変更というものですが、2項、3項が新しく追加されまし た。2項のほうで、「期間の定めがある労働契約の締結時及び労働契約の期間の満了時 において労働者と使用者との間に紛争が生ずることを未然に防止するため、使用者が講 ずべき労働契約の期間の満了に係る通知に関する事項その他必要な事項についての基準 を定めることができる」としております。この基準に関して、期間の定めのある労働契 約を締結する使用者に対し、必要な助言、指導を行うことができるという条文が追加さ れております。  この基準に関して、この参考資料の4頁にあるように、「有期労働契約の締結、更新 及び雇止めに関する基準」という形で告示されたところです。これについて、短時間労 働者のうち、有期労働契約を締結するものについて、労働基準法に基づき定められた有 期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準の定めるところにより、次に掲げる措 置を講ずるものとする」ということで、事業主が講ずべき措置の内容を改めるというも のです。  この労働基準法に基づいて定められた基準について、パート指針の体系の中で、規定 の書きぶりを整備したものを盛り込むという形にしております。  具体的には、基準法の体系の中では「使用者」としているものを、「事業主」にす る。「労働者」としているものを「短時間労働者」にする。また、文末のところで、強 行規定に関しては、パートの指針の体系では「するものとする」というようにしており ます。また努力規定については、「努めるものとする」というような形で整備したとい うものです。  内容としては、「契約締結時の明示事項等」ということで、「有期労働契約の締結に 際して、期間の満了後における契約に係る更新の有無を明示する」ということです。こ の場合に「契約を更新する場合がある旨明示したときは、契約を更新する場合又はしな い場合の判断の基準を明示する」というものです。これについて、「有期労働契約の締 結後に変更する場合については、短時間労働者に対して、速やかにその内容を明示する ものとする」というものです。  2番目の内容が、「雇止めの予告」ということです。「事業主は有期労働契約を更新 しないこととしようとする場合には、少なくともその契約期間の満了する日の30日前ま でに、その予告をする」というものです。  3番目が、「雇止めの理由の明示」で、まず最初は、「事業主は、短時間労働者が更 新しないこととする理由について証明書を請求したときは、(これは期間満了前という ことになりますが)、遅滞なくこれを交付する」というものです。その次が、期間満了 後ですが、「有期労働契約が更新されなかった場合において、その更新しなかった理由 について証明書を短時間労働者が請求したときは、事業主は遅滞なくこれを交付するも のとする」ということでございます。  4番目が、「契約期間についての配慮」ということです。「事業主は、有期労働契 約、(これは限定付きですが、1回以上更新し、かつ、雇入れの日から起算して1年を 超えて継続勤務しているケースに限るものでありますが)これを更新しようとする場合 については、契約の実態及び短時間労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長く するよう努めるものとする」ということです。こういう形で、基準法に基づき定められ た有期労働契約の締結更新、雇止めに関する基準、この内容をパート指針の中に盛り込 むというものです。  最後のところが、「退職時等の証明」ということです。これは、参考のNo.2の参照 条文のところで、2頁をご覧ください。「退職時等の証明」に関して、第二十二条で第 2項が追加になっております。第2項のほうで、「前項で解雇の予告がされた日から退 職の日までの間において、その解雇の理由について証明書を請求した場合においては、 使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない」というのが追加されております。 これをパートの指針のほうにも盛り込んで、事業主が講ずべき措置の内容に追加すると いうものです。  以上が、改正の内容ということで、この告示の適用は、基準法の施行に合わせて、平 成16年1月1日からとするということです。以上が今回改正をさせていただく告示案の 概要でございます。 ○分科会長  ただいまご説明いただいた内容について、ご質問等ございましたらどうぞ。特にご質 問、ご意見もないということでしたら、ただいまの諮問案件である「事業主が講ずべき 短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針の一部を改正する告示案要 綱」について、おおむね妥当ということとすることにして、この旨を私のほうから労働 政策審議会会長宛に報告することにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。  これについて事務局のほうから案文が用意されておりますので、配付してください。 読み上げていただきます。 ○事務局  それでは本文のみ読み上げます。 「平成15年11月5日付け厚生労働省発雇児第1105001号をもって諮問のあった標記につ いては、本分科会は、下記のとおり報告する。記 厚生労働省案は、おおむね妥当と認 める」。  以上でございます。 ○分科会長  それではこの案文どおりでよろしいでしょうか。よろしいですね。ご異議がないよう ですので、これによって報告することにいたします。  1の議題、諮問案件は終わりまして、次の議題2の「仕事と家庭の両立支援対策につ いて」に移りたいと思います。  本日は9月、10月の分科会で一通りのご意見をいただいた際のご意見で、論点ごとに 整理したもの、また前回も少し議論がありました、期間を定めて雇用される者を類型に 分けて整理したものを、事務局のほうで用意していただいておりますので、これについ てまず事務局のほうから説明をお願いいたします。 ○事務局  では私のほうから説明させていただきます。まず資料の説明に入る前に、前回、使側 委員から公務員の制度に関して、公務員の制度の見直しを行う場合について、民間企業 の調査をしておりますが、どのくらいの企業規模で調査しているのかというご質問があ りました。その内容ですが、企業規模100人以上ということで調査して、その結果を踏 まえて制度の見直しを検討しているということです。  それでは資料の説明に入らせていただきます。まず資料No.2です。これは、いま会 長からもありましたとおり、主として9月、10月にこの制度の個別の各項目ごとにご議 論いただきましたが、そのご意見を論点ごとに整理してまとめております。これについ ては、これから読み上げさせていただきたいと思います。 「雇用均等分科会における主な意見。1 育児休業について。(1)対象となる労働者 の範囲について。期間を定めて雇用される者が増加し、今後も増加すると思われるの で、これらの者についても原則育児休業の対象とすべき。契約期間の上限が原則3年に なったので、この3年の間に休業しても、雇用継続が可能。期間を定めて雇用される者 であっても、育児休業の1年よりも長い形で契約が締結される実態が生じる場合には、 雇用継続が見込まれる場合がありうる。期間を定めて雇用される者も対象とすべきであ るが、契約期間より長く休業をとることになるような場合について、検討すべき問題は ある。期間を定めて雇用される者については、その期間働いてもらうという契約を締結 しているのであり、長期の休業という考え方を持ち込むことは不適当。期間の定めのあ る雇用契約を更新した実績があることと、将来に向かって休業の権利を与えるというこ とは、直接的には無関係。契約期間中にしか休業という観念はあり得ず、休業中に契約 が終了した場合、その後の契約していない期間についてはどのように考えるのか。 (2)休業の期間について。保育サービスが十分でないという現状も踏まえ、1歳を超 えて休めるようにすべき。原則1歳までとしても、特別な理由があるときは制度的に延 長が可能となるようにすべき。雇用継続の観点からは、休業期間が長ければいいという ものではない。復帰を考えると、そんなに長く休みたくないという労働者も多く、1歳 までというのは妥当な期間。現行1歳までの休業は最低基準であり、それを維持した上 で、それ以上長い休業制度を設けるかどうかは労使自治で解決すべき問題。1歳を超え て休業ができるようにする場合には、その延長された期間についても、1歳までと同様 に、経済的支援がなされるべき。 (3)休業取得回数について。状況の変化に対応するため、あまり細切れの休業になら ないように取得期間の最低限を設けた上で、複数回取得できるようにすべき。複数回取 得に対するどのようなニーズがあるのか疑問。細切れで休業されると労務管理上非常に 困難が生じるため、取得回数については、現行どおり1回に限定すべき。現行制度にお いても、両親で交互に取得できる仕組みとなっており、これを生かすべき。  2 介護休業について。(1)休業の期間について。介護をするためには3カ月では 短く、1年とすべき。要介護状態単位で取得できるとすれば、期間は3カ月でよい。介 護休業は自ら介護するための期間ではなく、介護の長期方針を定め、働きながら介護を するための体制を整えるための準備の期間であるから、3カ月を変える必要はない。介 護保険制度ができ、介護に対する感覚も変化している。介護はいつ終わるかわからず、 自分が介護する期間全て休業することは不可能。 (2)休業取得回数について。要介護状態につき1回とすべき。複数回取得できるよう にすべき。 (3)経済的支援について。休業中の経済的支援という観点からは育児休業と介護休業 について変わるところはなく、介護休業期間中についても社会保険料を免除すべき。社 会保険料の免除をするかどうかは、社会保障の制度として免除が説明可能かどうかとい う問題。 3 子の看護休暇について。(1)義務化について。年次有給休暇を使い切ってしまう 場合もあり、請求権化すべき。年次有給休暇とは趣旨目的が異なり、年次有給休暇で対 応できるから必要ないという問題ではない。仕事と家庭の両立のためには、育児休業と 復帰してからの措置の組み合わせが必要。欠勤した場合、企業の評価の面でデメリット がある可能性が高く、権利化することが必要。欠勤を容認することが労務管理上適切で あるかは疑問。努力義務導入後1年であり、まずは普及させることが先。制度があって もなくても休まざるを得ない場合であり、権利化する必要性が理解しがたい。本人の病 気の場合も年次有給休暇の使用や欠勤で対応するのであり、バランスを失する。請求権 化することにより、かえって雇用が減少する可能性があり、むしろ、制度導入を援助す る形でいくべき。中小企業では、権利化だけしても、実態はついていかず、意味がな い。 (2)日数等について。様々な家族の形態を考慮すると、10日は最低限必要。有給とす べき。10日にするより、両親それぞれが取得できるようにすることが大事。ノーワー ク、ノーペイの原則に則るべき。 4 勤務時間短縮等の措置等について。(1)短時間勤務制度導入の義務化について。 労働者のニーズが最も高く、義務化すべき。短時間勤務と休業の組み合わせにより、育 児や介護でそれほど休業することなく仕事を続けられるもので、義務化すべき。仕事と 家庭の両立の観点からは、育児休業と復帰後の短時間勤務の組み合わせが適切。業種や 勤務体制によっては導入できない場合もあり、現行の選択可能な措置のままとすること が適当。 (2)措置の対象となる子の年齢について。小学校低学年、できれば小学校卒業まで対 象とすべき。長時間短時間勤務を続けることになると、このような措置を受けない人と のバランスの問題が生じ得るので、引き上げについては慎重であるべき。 (3)その他の措置について。短時間勤務制度を導入しても、その他の措置については 現行のまま措置義務とすべき。 5 その他。(1)男性の育児休業取得促進について。男性の育児休業取得が進むよう な制度的仕組みを検討すべき。 (2)保育サービスについて。保育行政そのものを充実すれば解決する問題である。保 育所の問題をどのように解決するのかということが非常に重要。保育所にいつでも入れ る仕組みにすることが重要。保育についても改善するという方向なくして育児休業のみ を議論するのは問題。労働者が選択できるよう、育児休業と保育所の双方の施策を講じ ていくべき。放課後学童クラブについても充実すべき。  続いて資料3です。これは、期間を定めて雇用される労働者について、育児休業・介 護休業を適用するかどうかについて、これまでも、9月、10月とご議論をいただいてま いりましたが、これについてはそれぞれご議論をいただく際にも、期間雇用者が育児休 業・介護休業を取得するパターンについては、かなりさまざまな形態が考えられます。 これを、少し交通整理をして議論したほうがいいのではないかというご示唆が公益委員 の先生からもありまして、それを受けて事務局において、期間を定めて雇用される労働 者が、育児休業する場合の典型的なパターンということで、ご議論の参考にするために 整理をしてみたペーパーでございます。以下この資料3の説明をさせていただきます。  まずこれは矢印が並んでいますが、この1つの矢印が1回の雇用契約期間であるとご 理解いただきたいと思います。また、育児休業については、満1歳まで取れるわけで す。したがって、例えば半年取るパターンとか、8カ月取るパターンというものも考え られますが、このケースでは1歳まで育児休業をとるものというように仮定しておりま す。  また、産前産後の休業というものは、この図からは省略しております。さらに、期間 雇用者の場合には契約の更新ということが考えられるわけですが、これも必ずしも同じ 契約期間で更新するとは限らないわけですが、このケースについては、契約を更新する 場合については同じ契約期間、例えば1年の雇用契約期間の方については、1年の雇用 契約期間で更新すると仮定して、図を描いております。以上の前提の下に説明させてい ただきます。  まず、例1、例2ですが、これは契約期間中に1歳までの育児休業が終了するような パターンです。典型的には、今回の労働基準法の改正で、労働契約の上限が3年までに 広がりましたが、例えば2年、あるいは3年の雇用契約期間の場合をお考えいただける とよろしいかと思います。こういう場合であれば、雇用契約を結んだ後、育児休業の申 し出をして、1年間、仮に子供が1歳まで、育児休業をとったと仮定しても、その後ま た雇用契約の期間が残っているという形です。例えば、雇用契約期間が3年であれば、 1年間勤務して、1年間育児休業をとり、また1年間勤務するというパターンが考えら れます。  例1、例2は、いずれもこういうパターンですが、ただ、例1については、次回の契 約更新の可能性がある場合、例2は、次回の契約の更新の可能性がない場合ということ で分けています。これは、先ほどの「パートの指針」の中でも説明がありましたとお り、今般の労働基準法の改正によって、参考の2の4頁にあるような「有期労働契約の 締結、更新及び雇止めに関する基準」というものが定められて、その第一条の第1項で すが、「期間の定めのある労働契約の締結に際し、労働者に対して、当該契約の期間の 満了後における当該契約に係る更新の有無を明示しなければならない」ということが定 められております。この基準によって、契約の期間の定めのある契約を締結した時点 で、更新の可能性があるかどうかというものが明示されることになります。  また、少なくとも、例えば一定の事業の完了に必要な期間を定めている雇用契約の場 合、あるいは、期間を定める雇用契約について、例えば契約の更新は2回までとか、3 回までという形で定められているケースもあります。そういった場合のように、期間を 定めた雇用契約を締結した時点で更新の可能性がない場合というものも考えられます。 例1については、少なくとも育児休業を申し出ると仮定した時点で、契約の更新の可能 性があるケース。例2については、契約の更新の可能性がないケースということで分け ております。  続いて例3以下ですが、これは仮に1歳まで育児休業を取るというように考えると、 休業中に雇用契約の期間が満了してしまうというケースです。まず、例3、例4です が、これはいちばん典型的には、雇用契約1年間のケースのようなものを想定していた だくとよろしいかと思いますが、雇用契約2年とか、あるいは3年というケースでも、 当然こういったケースは想定されます。例えば、1年のケースで申し上げますと、雇用 契約を結んでから6カ月後にお子さんが生まれたような場合、6カ月間育児休業を取り ますと、ちょうどその時点で雇用契約が終了してしまうというようなケースです。です から、この場合、仮に1年間育児休業を取ると想定すると、実線の矢印の次に、点線の 矢印がありますが、次の雇用契約を仮にそこで更新して結んだとすると、その前半につ いては育児休業の期間に重なってしまうような形になります。  続いて例4は、先ほどの例2と同じように、契約を締結した時点、あるいは育児休業 を仮に申し出たとする時点において、次回の契約更新の可能性がそもそもないというよ うなケースが想定されます。  続いて例5と例6です。これは典型的には、雇用契約期間が例えば6カ月とか3カ月 というように、短い雇用契約期間である場合を想定していただければよいと思います。 これは、例3、例4と同じように、休業中に契約期間が満了してしまいますが、仮に例 3と同じように、契約期間が満了した時点で、新しく雇用契約を更新したとしても、例 えば、3カ月の雇用契約、あるいは6カ月の雇用契約であれば、1歳まで育児休業を取 ると仮定すると、この図にあるように、全く労務提供がなされないような雇用契約とい うものが発生するという形になります。  例6については、例4と同じように、これについても更新の可能性がないというよう なケースも存在し得るというものです。  以上、極めて典型的なパターンとして6つお示ししましたが、実際は先ほど申し上げ たとおり、育児休業を取る期間も、必ずしも満1歳までとは限定されていませんし、雇 用契約についても、その契約の更新の時点で、また現在結んでいる契約の期間とは違う 契約期間で結ぶというような可能性も当然ながらありますので、さまざまなパターンが 考えられるわけですが、典型的なパターンとして、この6つの例をお示ししたもので す。説明は以上です。 ○分科会長  資料2で、従来のご意見をまとめていただいておりますが、さらにこれに加えたご意 見があればお願いしたいと思いますし、ただいまのご説明についてご質問がありました ら、併せてお願いいたします。 ○使側委員  資料No.2ということで、現在までの主な意見ということでとりまとめていただいて おりますが、1つ補足の意見を申し上げておきたいと思います。1頁のいちばん下の○ です。「1歳を超えて休業ができるようにする場合には、その延長された期間について も、1歳までと同様に、経済的支援がなされるべき」というご意見があるわけです。  私どもでは一応この休業期間の延長については、反対ということで、現行どおりとい う主張をさせていただいているわけですが、あえてこの部分についてちょっと一言意見 を申し上げておきますと、現在、雇用保険からの拠出になっているわけですが、そもそ も雇用保険から拠出するものなのかどうかという議論が本来的には必要なのではないか と思っております。昨今、雇用保険の財政は非常に厳しいと聞いております。そういう ことを考えても、失業状態にはない方へ、これ以上の給付というのは認め難いと思って おります。  また、この問題に絡んでは、育児休業は雇用継続のための制度であるということです が、こういう理解をしない、あるいは故意に育児休業給付を受けた後に退職されてしま うというパターンもあるやに聞いておりますし、ある意味では非常にもらい得で、辞め られた後はまた失業するわけで、求職活動をすれば雇用保険から失業給付が受けられ る。こんな問題も起きているのではないかと考えておりまして、こういう退職した場合 の継続給付金の取扱いそのものについても、本来考えておくべきものではないかと思っ ております。いずれにしても、ここに書いてあることについては、賛成しがたいという ことでございます。 ○労側委員  論点に沿って整理をされたという説明なので、その説明としての理解をした上でです が、あえて言えば、「その他の項目」のところだなと思いつつ、両立するにはやはり入 口の問題として、妊娠・出産を理由とするさまざまな問題事例が身近にもありますし、 おそらく個別紛争の窓口というのでしょうか、いわゆる相談事例などでも、多いという 現状が非常にあるように思っていて、やはりそのことをきちっと、仕事を継続しながら 安心して妊娠・出産を迎えるということと、両立支援でいわれる育児、介護というとこ ろが、どうしても切り離せないのではないか。  そういう点で、何度か意見を申し上げてきたことが、この中で各論につながっていく かはちょっと別ですが、書かれていないという点について、改めてその点は両立支援対 策という中では、関心をもって見るべきではないかと思っています。それを、まず整理 したことを理解した上で申し上げたいと思います。 ○労側委員  いま労側委員がおっしゃったのは、労側委員が何度も意見を述べている件だと思いま すが、昨日のある新聞の夕刊に、派遣労働者の派遣先で、妊娠・出産を理由にして解雇 された事例が紹介されていました。あるいは、公務員の臨時非常勤の方々について、契 約が23年間、ずっとそのまま、いわば法の谷間というのですか、民間の育児・介護休業 法はもちろん適用されませんし、公務員の法律も適用されないという問題等がありま す。私もこの分科会で議論している中で、あの新聞を見てちょっと考えたのですが、い ずれにしろ、少なくとも育児休業制度の入口のところ、妊娠・出産にかかわる解雇問題 等がもしあるとすれば、重大な問題であり、それが通常起こっている問題だとすれば、 このテーマはどこで議論されるのか。育児・介護休業法の世界なのか、いわば基準法は 解雇禁止はしていますが、安心して妊娠・出産ができるという職場環境をどうするかと いう意味で、どこでテーマになるのか、ちょっとお聞きしたいのですが。 ○事務局  妊娠・出産を理由とする解雇については、現在均等法の中で規定が設けられているわ けですが、それを理由とする不利益取扱いについても、確かに最近、各都道府県の雇用 均等室のほうに相談が上がってきていて、私どもも、解釈上対応できるところは、その 都度適切な対応に務めているところです。  ただこの問題についても、1つの課題だろうと考えていて、昨年秋から立ち上げてい る研究会の中の1つのテーマとして、妊娠・出産を理由とする不利益取扱いの問題につ いて、ただいま、まさに技術的な観点から検討している最中です。  したがって、現在この場で議論するところにまだ至っていないものですので、これは これで引き続き検討させていただいているというところで、ご理解を賜りたいと思いま す。 ○分科会長  全般的に、特にご意見がなければ、揃えていただいたテーマごとに、さらにご議論を 深めていただいてもよいのではないかと思いますが、いかがですか。まず、そういうこ とでいえば、1の「育児休業について」、(1)「対象となる労働者の範囲について」 は、この資料3を使って、先ほどご説明がありましたが、この辺についてさらにご意見 ございますか。全般でも結構です。 ○労側委員  いま選挙が闘われていて、各党がマニフェストを出しています。私の知る限り、自由 民主党のマニフェストには、「育児休業制度の充実」という表現ですが、具体的には書 いていらっしゃらない。厚生労働大臣の出身の政党である公明党は、育児休業制度の見 直し・充実と併せて、男性の育児休業のパパ・クォータ制みたいなものを導入する。民 主党は、新しい法律改正案を自分たちで作って、それを実現する。育児休業期間を3歳 までにして、その間、1年単位で複数回取れるという制度、有期契約労働者も1年を超 えた労働者については適用するとかいう、かなり具体的な案を出しています。  社会民主党は、育児休業制度の改正という書き方だし、共産党もそういう趣旨だと思 うのです。とりわけ厚生労働大臣の出身政党である公明党は、神崎代表も含めて、テレ ビ討論では子育て支援策、少子化対策は非常に重要だと言われ、男性育児休業取得促進 という話を入れられています。自由民主党の育児休業制度の見直しについては、ある新 聞には、「2歳まで期間延長」ということが出されていました。いま選挙に向けて各党 出されていますが、それを事務局としてどういうふうに理解されているのか。特に公明 党のパパ・クォータ制などは、どういうイメージで、どうお考えなのか。 ○分科会長  ここで選挙中のマニフェストについて評論するというのは、どうかと思います。 ○事務局  いま分科会長がおっしゃったとおりで、事実としてそれぞれの政党がそういったもの をお出しになっており、そのものは認識しておりますが、私どもとしては、いまこの場 でとにかくご議論をいただいて見直しを進めるということでございます。 ○労側委員  マニフェストは4年間に実現するということですからね。 ○分科会長  労側委員のご意見はどうなのでしょう。 ○公益委員  確認で、資料3のパターンを出していただいて非常にわかりやすい。逆に難しさもあ るということがよくわかると思うのですが、これを読むときの前提として、従来の更新 されている有期契約の指針がありますね。つまり、形式的に有期契約だけれども、実態 としては期間の定めのないものとみなされるというものは、ここから落ちていると考え ていいですか。これは基本的にはそういうものではないものを想定して、6パターンあ る。つまり、例2なども、更新可能性なしといったときに、それは、あの指針に入るよ うなものは落ちていると考えて読めばいいかということです。 ○事務局  指針に関しては、実態として期間の定めのない雇用契約とみなし得るかどうかという ところで見ていますので、直接この議論とは関連しない議論だと思っています。  逆に言うと、例えば例5のようなパターンで、実態として指針にあるように、契約が 更新、更新されてきている。かつ、契約、仕事の内容についても期間の定めのない労働 者と同じであるとか。あるいは、更新の手続というものが事実上自動更新のような形に なっているというような場合については、指針によって期間の定めのない雇用とみなし 得るというものは、適用すべしというような形になっています。これは、そういう実態 はどうかということではなくて、基本的には契約期間とか、あるいは更新の可能性があ りやなしやですとか、そういうところで整理をしてみたという資料でございます。 ○公益委員  例えば、例6でもいいですが、基本的に今回の基準法改正で、有期契約の場合、契約 更新があるかないかを明示した場合は、ない場合の理由を書くわけですね。  でも「更新せず」というように契約する場合もありますね。そういう場合は書かない わけですが、事実上更新してきたという、従来と同じようなものが出てきますね。そう したときに、この6の中に2種類あるわけです。それは、ここに両方入っていると考え るわけですか。従来型もこの例6の中に。つまり、実質的に期間の定めのないものとみ なせるものがある。例6でも、事実上、従来の指針で実質的に期間の定めのないものと みなされるものは取れるわけですよね。 ○事務局  例6でも、確かに委員がおっしゃるとおり、実線の矢印の前に点線の矢印があります が、例えば更新、更新、更新で過去ずっときている。ただ、これで最後だよというよう なケースは当然あると思うのですが、その時点で、極端な例を考えれば、これまでの更 新の実績を考えると、指針に照らして期間の定めのない契約とみなし得るのではないか というようなケースは、可能性としてはあり得るとは思います。ただ、その実態として どうかということはちょっと別の議論になるのではないかと思います。 ○公益委員  除いて議論すればいいということなのかということです。議論するということでいい んですね。 ○事務局  ええ。 ○労側委員  有期契約労働者に、育児休業を適用するという裁判の判決が出たという報道を見たの ですが、あれはどういう中身ですか。 ○事務局  詳細は、いま資料をとり寄せているところですが、いま聞き及んでいるところでは、 あれは正確に申しますと、期間を定めて雇用される労働者に適用するという形ではなく て、まさにいま我々の指針でお示ししているように、実態として期間の定めのない契約 というふうにみなし得るということで適用されるというような内容であると理解してお ります。 ○労側委員  こういうケースではないということですか。 ○事務局  そうですね。 ○公益委員  図についての質問よろしいでしょうか。資料3の例1、例2という、非常ににわかり やすいパターンになっているわけですが、ここで例1と例2というのは、更新があるか どうかの違い、それで、「更新の可能性あり」なんですね。更新ありというのは、事前 にはある意味では、どこまで拘束されるのか。例えば契約の中で、更新ありと言ってお きながら、経済状況の変化に応じて更新が実際にはできませんと。それはおそらく、こ の基準法の4頁の第一条の2項のところで、どういう場合には更新し、どういう場合に は更新しないということを明記することになっているわけですが、これはどこまで拘束 性をもってくるのかということによって、おそらく1と2というのが、事前にわかるか わからないかがあると思います。  これは、図に書けばこうなるのだろうと思うのですが、果たしてこのケースは例1に 該当するのか、例2に該当するのかというようなことを、どこで判断するのかというこ とですが、その点いかがですか。 ○事務局  これは典型的には、今回の改正労働基準法の基準によっても、契約を結ぶ時点で更新 の可能性があるかないかということですから、少なくとも、まず契約を結んだ時点で更 新の可能性がありませんというところははっきりはしているわけです。  ただ、更新の可能性がありますという部分については、これはさまざまな可能性があ ると思うのです。現状でもそうですが、特段のことがなければ、自動更新という形もあ りますし、ある程度、実際に更新の時期がきた時点で判断するというケースもあると思 いますから、そこは例えば例1でいっても、契約を結んだ時点、あるいは育児休業を申 し出た時点では、更新の可能性があるという判断であったとしても、実際契約の更新を する時点においては、例えばその企業の業績等によって、雇止めというようなケースは 当然ながら考えられるだろうと思います。 ○公益委員  その前者のほうの更新の可能性なしというふうに契約時において、そのように明記し ておきながら、実際には更新があった、あるいはあるということも想定して、ここでの 議論というのはしていかなければいけないものなのでしょうか。それとも、なしといっ たら、もう絶対ないという話なのか、そこのところも、実はアンビギュアスなところが あります。 ○事務局  そこも、可能性だけからいえば、全くないということはないと思います。例えば、例 2で更新の可能性なしで考えられるのは、例えば建設工事とか、ある一定のイベントが あって、その期間雇用しますというのがいちばん典型的な形として考えられますが、例 えば建設工事であれば、予定の工期よりも延びてしまったので、もう少しお願いしたい というようなケースは当然、ないわけではないと思います。ですから、実際に契約の更 新の時期がきたときに、やはりお願いするというようなケースはあり得るだろうとは 思っております。 ○公益委員  確認ということで、例1、例3、例5ですが、例えば例1について適用するというこ とを決めたとします。そうすると、例3が駄目ですといったときに、例1になるか例3 になるかというと、これは雇用契約期間に依存するわけですね。雇用契約が短くなれば なるほど、例1が減り、例3、例5が増えてくるわけです。ですから、その辺は結構ポ イントで、雇用契約期間がある程度合理的であるかどうかということで、例3、例5を 外すと、恣意的に有期契約の人が育児休業を取りにくくすることは可能なのです。です から、その辺が結構議論としては大事だろうと思っています。  ですから、例1と例3というのは、雇用契約期間が合理的であるという前提の上で、 例1を適用し、例3を適用しないという議論もあり得るかもしれませんが、もしかする と、短い契約期間をつくってくると、例1になるようなケースがなくなってきてしま う。そういうところは、結構難しいところかなと考えています。  ただ、期間については、雇用契約期間について議論するという枠組みがないわけで す。その辺をこの育児休業を適用するときどうするかということは、1つのテーマかな と思っています。結論ではなくて論点です。 ○労側委員  同じような考えですが、前半の点線の部分というのは、これは前提としてあるという ことで、期間を前提とすることはあるということでいいのですか。 ○事務局  実線の矢印の前の点線ですが、これも、例えばさっきちょっと言いましたとおり、こ の実線の矢印が、初めて雇い入れられたという方も当然ながらいらっしゃると思います し、あるいは何回か契約を更新されてきたという方もいらっしゃると思います。そこも ケースはさまざまだと思っています。少なくとも育児休業を取とるというふうに申し出 ると仮定した時点での契約を、実線の矢印にしているだけです。 ○労側委員  例えば例4のところで、雇用保険との関係ですが、妊娠・出産で、例えば辞めた場合 は、雇用保険の失業給付というのは、妊娠・出産中はもちろん出ないと思うのですが、 その後、例えば預ける所ができた場合には、それで求職活動をすれば、出るということ でよろしいでしょうか。 ○事務局  ちょっと正確ではありませんが、雇用保険の失業給付は、原則は離職後1年間の期間 で給付をするもので、実際に給付する日数はまた、90日とか180日とか決まっています が、ただ、一定の理由がある方については、1年間という期間を繰り延べることができ て、確か4年間まで繰り延べられたかと思います。  したがって、いま労側委員がおっしゃったように、例えば妊娠とか出産とかでお辞め になった方が、その理由が終わって再び保育所に子供を預けて仕事をされるということ であれば、一定の期間内であれば、そこから失業給付を受け取れるという制度にはなっ ております。 ○労側委員  資料3の例4と例6は、子が1歳になる前に契約期間満了ですから、この議論は難し いなと思いますし、例5については、子が誕生してから満1歳になるまでの間に、いわ ば契約が満了していて、更新している間でも休業できるという。さらにその満1歳後、 再更新があって就労する。これはどういう議論をするのか。先ほどの指針の世界でも読 みとれるし。とはいうものの、次の更新は可能性があれば、満1歳までの間の就労、休 業もあっていいのかなという感じもしないでもないですが。  あと、1から3については、1歳を超える可能性があるなしにかかわらず休業できる という図になっていて、これが議論の1つの物差しかなという感じはしています。そん な印象です。 ○事務局  補足ですが、先ほどの指針の可能性をこの絵に当てはめるとすると、形式的にはこの 矢印がいくつか連続しているような形であっても、指針のケースというのは実際上、も う期間の定めのない雇用ですから、矢印がずっとつながっているケースであるというふ うに理解していただくと、いちばんわかりやすいのかなと思います。 ○労側委員  例5の事例というのは実際にあるのですか。多いという話も聞きますが。 ○分科会長  例5ですか。どうでしょうか。 ○事務局  育児休業を取っているかどうかは別にして、これは期間雇用のところでデータをお示 ししましたが、期間雇用の場合の契約期間として、いちばん多いのは1年間で、確かこ れが半分くらい。それから6カ月が約25%だったと記憶しています。つまり、典型的な 例は6カ月というパターンですから、そういうケースは当然ながら一定の割合存在す る。6カ月くらいで更新、更新となっている形は存在し得るということにはなると思い ます。 ○労側委員  約1年未満の契約ということですね。 ○事務局  そうですね。 ○公益委員  雇用契約期間で、例3と例5、これは雇用契約期間に依存するわけですね。ですか ら、例5を外す、例えば例3が適用だとしたときに、これはもしかしたら雇用契約期間 を短くシフトさせることになりかねない。いま雇用契約ができるだけ長くと言ったわけ ですが、その辺、私は非常に難しいなと思っています。結論があるわけではないのです が。  事実上例5になるか、例3になるかというのは、本当に契約期間をどうするかだけな のです。次の契約期間を短くもできるわけですから、1年でやってきて、あるとき次の 契約期間を3カ月とすると、例3だったのが突然例5になるというようなこともあるわ けです。その辺が結構難しい。よい案はないのですが。例3と例5というのは、本当に 雇用契約期間だけで変わってきてしまうというところをどうするかだと思います。 ○使側委員  先ほどの事務局のご説明で、ちょっと私が聞き間違えているかもしれませんので。こ の矢印がずっとつながって更新されている場合は、期間の定めのない雇用と実態的に同 じになるということですが、私どもはそうは解釈していませんで、実態として、長く矢 印がつながったことイコール期間の定めのない雇用の実態としては見られないというの が判例の積み上げだろうと考えています。したがって、この雇用の継続性の問題があ り、業務の客観的内容の問題があり、契約上の地位の性格の問題もあり、それから当事 者の契約時の主観的対応の問題ですね、期待権が生じるとかですね、そういう説明の仕 方の問題もあり、それから他の更新状況等いろいろ踏まえて、結局その契約自体が期間 の定めのない雇用と実態変わらないという判断がされるのだろうと考えています。  したがって、更新実態があるだけでは、そうはならないと現実は考えています。その 上で、ここでは別に実態が無期契約かどうかという視点ではなく、あくまでも前に向か って、こういう契約をするパターンがいろいろあって、そのときに育児休業をすると、 代表的には、この6つのパターンが考えられるという観点から、まとめられたものとい うことでよろしいでしょうか。 ○事務局  私も先ほどの説明で、単に更新が続けば期間の定めのない契約になるというふうに は、たしか申し上げていなかったと思います。判例にも、指針にもありますとおり、期 間の定めのない労働者と仕事の内容が同じかどうか、あるいは契約の更新の手続がどう か、そういったところで総合的に判断をされて、期間の定めのない契約と見なし得るか どうかというところになります。  そういった前提の上で、期間の定めのない契約の続く場合については、先ほどの矢印 が続くものは、1つの矢印と見なし得るという形になるということだと思います。 ○労側委員  意見になるかと思いますが、やはり先ほど労側委員もふれましたが、新聞記事による と、有期雇用者に認めるということで、育児休業の判決が出ていますが、これもなぜこ ういうことで、裁判に持ち込まなければならなかったかというと、経営者のほうの理解 が実質的に期間の定めのないような労働契約になったとしても、最初に法律で有期雇用 に関しては除外するというのがあるから、そこでいわゆる指針の部分までは見ていない ということで、勘違いがあったと思います。  是非、今回の見直しのところでは、有期雇用でも取れるということをまず前面に出し ていただけたらと思います。それで、例6まで、どれをどうするかということがあった のですが、できれば、次回の更新の可能性があるのであれば、取れるというところは出 していただけると、いいのではないかと思います。 ○分科会長  今おっしゃったのは、例1、3、5全体と、そういう意味ですか。 ○労側委員  はい、例からいうと、例4と6はちょっと難しいのではないかと思いますが、少なく とも更新をするということで可能性がある場合でしたら、育児休業ができるというふう にしていただけるといいのではないかと思います。期間が長い場合はもちろん、だから 例2も入るのですが、更新の可能性がなくても、例えば3年とか5年であれば、もちろ んできるということになると思うのですけれども。 ○公益委員  資料3の例1、例2というのがどういうときに発生するのか。形式的にはこういう図 が描けると思うのですが、どういうような企業の考えで、1年の期間ではなく、それを 繰り返すのではなく、3年あるいは2年という長い契約期間をどういう帰結で定めてい くのかというふうに思うところがあるわけです。もし1回しか契約更新ができないとい うことが決まっているのだったら、その場合には長く3年というものを契約したほうが いいというような経営側の判断もあるかと思いますが、今回の基準法の改正の要求の中 で、なぜ1年というものを3年というふうに要求してきたのか。  それがまさに例1、例2という形のケースだろうと思います。これは1年を超えてと いうようなことを想定しているわけですから。どんな場合を想定しているのでしょう か。この例1、例2の背後にある考え方というのは、どんなものなのでしょうか。その 辺が理解できないのですね。 ○使側委員  こちら使用者側委員ではありますが、そちらのほうの議論には参加してきていないの で、直接そういう議論が行われたかは存じ上げませんが、そこでの話ではないというこ とで、たぶん企業がどうするかという、私個人の考え方で言えば、当然、長期のプロ ジェクトがあるとか、または1年更新という更新の可能性がありということでは、もし かしたら、ご本人のほうはもう、1年だけでという、更新しないでくださいという方も もちろん出てくるわけです。あるまとまった期間、企業としても、その雇用を確保して おきたいと。3年なら3年、5年なら5年。一方、働く側の方もその期間、1年とか6 カ月の更新でなくても、まとまった形で確保されていたいというニーズがあると結ばれ る、という形ではないですか。 ○公益委員  ただ、たとえ3年の契約を結んだとしても、途中で労働者側が辞めるということは、 十分にあり得るケースですね。その場合を考えると、1年ではなくて3年にすること が、それだけ企業に対する定着率を高めるということになるのかどうか。そのことを考 えてみると、本当に定着率を高めたいということであれば、やはり育休についても認め て、契約の期間中は復職する権利を与えるというような考え方が出てくるわけで、この 図の背景ですね。例1、例2が起こり得る背景にどんな場合を想定するのかということ を考えていかないと、形式的に議論しても、しょうがないのではないかという気がしま す。 ○公益委員  モチベーションという観点でいえば、定着率を高めるということと、リクルートの面 があるのだと思います。比較的、1年とか6カ月での採用よりも、2年とか3年という ような安定的な雇用期間を保証することによって、優秀な人材を安定的に確保すると か、そういうモチベーションが1年を2年とか3年に拡大させた、かなり重要な要因だ と理解しています。 ○公益委員  片方で、契約更新は可能だというふうに最初から言っているわけですね。契約時点で 「あり得ますよ」ということを言っているわけで、今度の改正の趣旨が私はよく理解で きないのですね。どういうわけで、こういうふうに基準法の改正が出てきたのかと。規 制があるよりは、ないほうがいいという程度の話なのかですね。根本的なところはどう だったのだろうか。それによって、この話も変わってくるのではないかと思います。 ○公益委員  比較的若い層であるとするならば、出産確率が高いわけです。だから、そういう意味 では、その対象者というのは例2になる可能性はあると思います。もう高齢の場合はこ の課題、出産と関係ないですが、比較的若い層だというふうに考えられると、こういう 例1、2の対象者になり得ると思います。比較的下のほうの短期のほうは上の層かもし れない。有期雇用でも対象者が違うということになりますから。いろいろデータでわか ると思うのですが、反復契約と対象者の層というものが、その層が出産確率との関係も 出てくるということで、もう少し数として実態をしっかり押さえておいたほうが議論が 空回りしないのではないかという感じがします。 ○使側委員  実態は今回労基法が改正になったわけで、今後3年契約等がどういうふうに実態とし て増えていって、どういう所の契約で増えるのかというのは、実はこれから見ていかな いとわからないところでもあるわけです。ただ、パッと例が浮かぶのは、例えばダムの ような建設現場で、有期雇用の方を雇用するとしますと、その期間が3年であったな ら、やはり3年間同じ人でやってもらったほうが仕事がよくわかるわけですので、当然 企業としては同じ方に3年間という希望は出てくるでしょう。  それが今までは1年契約が上限でしたので、1年契約を更新していくというよりは、 はるかに企業も安心だし、勤められた方も安心ということが当然あろうかと思います。 あとはほかのプロジェクトですね。1つの商品を開発するとか。これは契約社員といわ れる概念に近いのかもしれませんが、当然そういうものも発生してくると。ただ、今ま ではそういう複数年部分は認められていなかったので、結局便宜上1年を更新していく パターンでした。だから、当初から3年と考えると、やはり2回更新するというやり方 でやってきたのだろうと思います。したがって、今回の3年・5年となりましたが、こ れは企業側にとっても働く側にとっても、一応選択肢が増えたのだという捉え方をして います。 ○労側委員  公益委員の3年にした背景ということと休業期間の適用関係は、密接な関係なので議 論の1つの論拠にもなっているとおっしゃられたのですが、私どもは3年契約延長につ いて、有期の場合は理由を明示すべきだというのが基本的な原則です。とは言うものの 特に財界のほうから3年という延長は何が背景かというと、いま使側委員がおっしゃっ た事業完了ということであれば、いまの法律でもできるわけで、いいわけです。  どうも3年というのは、新規学卒にかかわらず中途採用でも、3年間まず採用してみ て、その人の能力はどうなのかということを試し期間でみたほうが企業としても安心だ ということがあるのではないか。そういう意味で、私はこのタイプはかなり増えてくる のではないかと思います。3年満期かどうかは別にしても、有期というのは更に加速す るのではないかと見ています。加えて、いま民間企業で退職金制度を見ますと、勤続3 年未満は適用しませんというのが多いですね。私の記憶違いでなければ、3年を目安に 退職金が支給されています。  そうしますと、コスト面でも、かなりそこは3年という目安でもって企業の戦力にも なるか、ならないかというのを試しに測ることもできますし、そういう意味で、私は3 年にしたことに伴う雇用形態というのは、さらに有期というのは加速されるし、したが って、有期契約労働者が増えていく中で、育児・介護休業制度の適用は、特に子の1歳 未満という物差しから見ると、これを超える者については適用するというのを原則とし て、あとは労働者自身がどう判断するかの話です。その背景がどうなるかよって適用関 係は考えたほうがいいとなると、制度は設計しておいて、あとは労働者が選択できると しておいたほうが、私は労働者の保護の観点、あるいは経営の観点からもいいのではな いかと思います。 ○分科会長  いまの「対象となる労働者の範囲」について、どうぞ続けてください。 ○公益委員  これは経営側が契約更新するかどうかというのは、経営側が合理的に決め、かつ期間 も合理的に決めてくれるのがいいと思うのですが、そのときに育児休業を取れるか取れ ないかということが、経営側が契約期間の設定をするときの要因にならないようにする ことが大事だろうと思います。それ以外の合理性があって、期間を決めてくれるのなら いいのですが、ある期間以上、あるいは以下であれば、育児休業を取れる、取れないと いうふうになることが、そのことによって、経営側が恣意的に契約期間を決めるという ふうにならないほうがいいだろうと思っています。そういう意味では、育児休業を取れ る、取れない以外の要因、例えば6カ月とか1年になることは望ましいことであって、 そのことが育児休業を取れる、取れないということを考えて、契約期間を設定するとい うにならないように考えるのが大事ではないかと思います。  ですから、例1、例3、例4について、例えばですよ、取れるというふうにすれば、 契約期間を決めるときには別に育児休業期間を取れる、取れないということは考えない で決めることになると思います。例えば、5を落とすということになると、そのことを 勘案して契約期間を決めるということが起きてくる。そのことをどう考えるか。同じこ とばかり言っているのですが。 ○公益委員  これは事務局が検討していたら教えていただきたいのですが、こういう1から6の ケースで、雇用保険からの育休期間中の給付はどのようになると考えていらっしゃるの ですか。例1というのは給付対象になるのでしょうか。もちろん、雇用保険に入ってい るわけですね。3年で、今度年収要件はないから、労働時間2分の1以上だと思います ので。 ○事務局  経済的支援の部分というのは、むしろ、そもそも適用するかどうかというご議論をい ただいているところですので、まだそこまでは。 ○公益委員  というか、それとセットとして考えていかないと、その給付期間中全く経済的支援は ありませんという話で議論を進めていくのか、そこについては保険からの給付がありま すということで考えていくのかによって、結果として給付が出てくるかどうかというこ とではなくて、それまで考慮してどういうケースの場合には認めていくとか、認めてい かないというようなことと、リンクしているだろうと私は思います。  例1というのは、もしこういうケースについて、育休を認めるということになった ら、この点を打ってある期間中は、企業が賃金をどうするかは別問題として、いまの基 準からいえば、雇用保険から給付はされるのでしょうね。 ○労側委員  30と10ですね。 ○公益委員  ただ、戻ってきてから、6か月というのが10%の給付要件ですね。6か月はいなけ ればいけないということ付になっているわけでしょう。 ○労側委員  いや、30%については取れるけど、10%については、戻ってきて、6カ月後という要 件ですね。 ○公益委員  そうです。残りがどれくらいかという話。 ○公益委員  2の場合ですね。 ○労側委員  でも、復帰しますから。30は出るでしょう。 ○公益委員  30は出るだろうね。 ○労側委員  このシロ線のところが何カ月かによって。変化しますね。6カ月未満だと10%出ませ んでしょうし。 ○公益委員  ただ、30を出す前提として、6カ月以上勤めるということが暗黙に入っているわけで しょう。 ○労側委員  30もらって辞める人もいると先ほど使側委員もおっしゃったけど。 ○労側委員  問題はいまの制度で、ここを変えるだけで、どれだけ給付されるかですね。例えば、 5のケースは、おそらくいまの制度では給付されるのかどうかですね。ただ、例1と2 というのは現行の制度でもおそらく給付されると思います。されないのですか。 ○事務局  そもそも期間を定めて雇用される労働者というのは育児休業の対象になっていません ので、基本的には育児休業を取らないということでしょうから、そういう議論になって いないということだろうと思います。 ○公益委員  有期であるかどうかということによって分けるというのは、雇用保険のほうの考え方 にそれは入っていないでしょう。 ○事務局  雇用保険としては入っていませんけれど。ですから、そういう方がいま育児休業を 取っているかどうかというところとすれば、育児休業法上は少なくとも育児休業を取れ ない形になっていますので。 ○公益委員  企業内で育児休業があった場合、その場合は雇用保険が適用されるわけですね。 ○事務局  そこまでは、どういう形なのか、私どもも詳細には把握はしてませんが。 ○公益委員  この場合、イトーヨーカ堂のケースでいえば、雇用保険は出ているわけでしょう。 ○事務局  そこはちょっと、どういう形なのかわかりませんが。 ○労側委員  いま適用されていませんからあれですが、新たな問題という意味は今の現行制度その ものは、すなおに適用した場合は適用されるのですか、どうなのですか。つまり、 30%、10%という物の考え方が例1、2の場合には、仮りに適用された場合にどういう ふうになりますか。 ○事務局  仮定の話だとすると、いまの仕組みというのは育児休業終了後、同一事業主に引き続 き6カ月間雇用された場合に残りの10%が出るという形ですから、6カ月間雇用されて いれば出るという形ではあります。 ○労側委員  30は。 ○事務局  30は、ですから、休業期間中に出るわけです。 ○労側委員  出るでしょう。10は6カ月を超えたか超えないかによって判断されると。 ○事務局  6カ月間雇用されたという実績をもって支給の要件が発生するわけです。 ○公益委員  いや、30についても解釈は両方あり得ると思います。30を出す意味というのが継続就 業ということを前提に出すわけですから、その継続就業というのをどう見なすかという ことによって、例えば3カ月しか残りはありませんよといったときに、継続就業という ものだと解釈するのかどうかというケースが。 ○事務局  おっしゃるとおり、そもそも育児休業制度も、雇用保険の育児休業給付もそうです が、雇用の継続というものを前提として権利化している、あるいは給付としていますの で、例えば、仮に育児休業終了後6カ月間以上雇用されるとしても、例2のようなケー スだろうと思いますが、明確に契約の更新の可能性がない、つまり雇用が育児休業から 復帰後6カ月とか7カ月間で終了するというようなケースについて、育児休業制度を認 めるのかどうか、あるいは給付というのを支給するのかどうか、というのは、これは1 つの大きな論点だろうと思います。 ○労側委員  それでも今の制度であっても、30%を雇用保険を給付されて、そこで辞めても「あな たは辞めたのだから返せ」という仕組みになっていませから。しかしながら、辞めたの だから30%を戻せとなっていないわけですから、有期についても6カ月を超えて10%も らえるのだけど、辞めたというような場合も、「辞めちゃったんだから、30%を返せ」 というふうになるかというと、私はならないと思いますけどね。  復帰後6カ月後がどうかという物差しの問題がありますが、これは維持する場合でい えば、その場合は適用されないということは、たぶん復帰後5カ月で辞めてしまったと いえば、「6カ月に満たないから10%は支給されませんよ」というのはあると思います が、6カ月を超えて辞めたという場合は10%は給付されるし。今の制度はですよ。そう いう理解をしているのですが。 ○公益委員  ちょっと現状がどうなっているか調べていただくほうがいいですね。 ○使側委員  質問です。例1から例6のパターンなのですが、こういう読み方でいいのかどうかの 質問です。まず実線の部分があって、休業期間が点線で入っていますが、左側からきて いる矢印で、いちばん左側に全部ある点線の部分は、要するに勤務実績がまずある方 で、そこから契約が、例1でいえば、3年か5年かわかりませんが、するときに、契約 をしましたけれど、次回更新の可能性があるという契約をした場合が例1という読み方 でいくと。  そうすると、いちばん下から2つ目ですが、例5の場合は、ある程度勤務実績があっ て、これを1年なら1年としまして、1年契約を結んだときに、次回更新の可能性があ りでなくて、これは長く続いていますので、それこそ特段の事情がない限り更新を繰り 返しますよ、というような契約明示をした場合が例5と読んだらよろしいかどうか。 ○事務局  例5ですが、これはそういった更新の可能性が続いていくということではなくて、単 純に1年間1歳まで育児休業を取ったとしますと、契約の期間としては、1つの契約期 間が、この点線の矢印がありますように、1歳の期間の中に全く含まれてしまうという ような形になりますね、ということであって、必ずしも、これはそれ以前から契約が更 新してきたので、こういうふうに続いていくということが見込まれるというものだけで はないということです。 ○分科会長  まだまだご議論があると思いますが、時間の都合もありますので、この続きは次回の 分科会で引き続きお願いしたいと思います。本日はこれで終了させていただきますが、 次回以降の予定について申し上げます。次回以降は、これまでのひととおりの議論を踏 まえまして、報告案の取りまとめに向けて議論を深めていきたいと考えています。具体 的には、次回には本日の意見と前回までの意見をまとめまして、まずたたき台を事務局 に用意してもらいます。それで、引き続きご議論をお願いしたいと考えています。本 日、ご議論いただけなかった部分については次回以降に、そのたたき台の中でご議論い ただきたいと思っています。  今日の議事録の署名委員は吉宮委員と川本委員にお願いしたいと思います。最後に事 務局から次回以降の予定について連絡があります。 ○事務局  ただいま会長からお話がありましたように、次回は今日提出しました主な意見(案) を修正したものに加えまして、取りまとめに向けた検討のためのたたき台というような ことで、公益委員の方々ともご相談をしながら、事務局として作成したものをご提出し たいと考えています。公益委員の方々にもお忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願い いたします。なお、次回は11月12日、9時から、場所は厚生労働省専用第21会議室でご ざいます。よろしくお願いいたします。 ○分科会長  それでは本日の会議はこれで終了いたします。どうも朝早くからご苦労さまでござい ました。 照会先:雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課 法規係(内線:7856)