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資料2

「障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会」(第12回)ヒアリング

2003年11月26日
全国町村会
広島県 安芸たかた広域連合

 高田郡の状況
(1)位置・地形
 高田郡は、広島県の中北部に位置し、6町(吉田町、八千代町、美土里町、高宮町、甲田町、向原町)で構成し面積は538.17平方キロメートル、で急峻な山は見られないものの、その面積の8割が山林で占め、小起伏の丘陵の谷あいや小盆地に集落が点在している。

(2)人口世帯数等
 平成12年、高田郡の人口は34,439人、対平成7年比では3.9%の減を示し、人口減少・過疎化が進行している。
 町別人口は、吉田町が最も多く11,632人、甲田町は5,793人、他の町は5,000人未満である。
 年齢三区分別人口割合は、平成12年で高田郡全体では(0〜14歳13.1%、15〜64歳56.1%、65歳以上30.8%)で高齢化率は広島県平均が18.5%でありこれを12.3ポイント上回り、高齢化が進行している。
 平成12年、高田郡の世帯数は11,952世帯、1世帯当り人員は2.88人と核家族化が進行している。
 産業別人口割合は第1次産業19.8%、第2次産業31.1%、第3次産業49.0%で広島県平均に比べると第1次産業の割合が高い状況にある。

 高田郡の福祉施策の現状
(1)障害者手帳の状況
身体障害者手帳所持者(平成15年4月1日現在)  単位:人
1級 2級 3級 4級 5級 6級 合計
442 297 435 404 251 210 2,039
年齢の割合は、65歳以上が70%を超えており高齢化が進んでいる。
障害程度は重度(1,2級)が35%、中度(3,4級)が40%、軽度(5,6級)が25%となっている

療育手帳所持者(平成15年4月1日現在)  単位:人
18歳未満 18歳以上 合計
AA BB 小計 AA BB 小計
12 24 27 101 77 28 233 257
18歳未満の児童の割合が約9%である

精神障害者保健福祉手帳所持者(平成15年4月1日現在)  単位:人
1級 2級 3級 合計
92 29 129
保健福祉手帳所持者の内約70%が在宅である

(2)高田郡における障害者福祉施策の取り組み
ア安芸たかた広域連合の設立
平成12年1月1日設立
イ高田郡障害者プランの策定(平成12年度〜平成21年度)
高田郡障害者プラン実施計画書の策定(平成12年度〜平成15年度)

障害者福祉計画を広域的に策定することができ、より具体的な障害者福祉計画を策定

安芸たかた広域連合で実施する事務(資料1
ハード事業
障害者デイサービスセンターの整備
知的障害者更生施設整備
精神障害者地域生活支援センターの整備

ソフト事業
市町村障害者生活支援事業の実施
支援費制度の実施
精神障害者保健福祉の実施
障害者社会参加促進事業の実施
心身障害者就労促進事業及び精神障害者就労促進事業の実施

その他の福祉事業は各町で実施する

ウ高田郡障害者プラン推進協議会の設置(資料2
障害者プランに基づく計画の推進に関し、必要な意見を述べる

(3)支援費制度実施状況
ア 高田郡内の居宅支援事業所
  身体障害者居宅支援事業所 知的障害居宅支援事業所 児童居宅支援事業所
居宅介護 5事業所 5事業所 3事業所
デイサービス 1施設 相互利用で実施  
短期入所 2施設 4施設 2施設
地域生活援助   1施設  

 支給量決定
 居宅生活支援費を支給するための具体的なものや判断基準が示されない中、支給決定にあたって、適切な支給決定や利用者の意向が反映された支給量が確保できさらに、サービス内容がアセスメントできる体制が必要である。
 そのため、障害者生活支援センターのコーディネーターを訪問調査から支給量決定のプロセスに位置づけ、ケアマネジメントの手法を活用した相談支援ができる体制を確保する。

支給量決定の図

ウ 支援費支給決定の状況
  居宅介護(4月〜8月までの5ヶ月間の数値)
  支給決定者
(延べ人数)
支給決定時間
(延べ時間)
実利用者人数
(延べ人数)
実利用時間
(延べ時間)
一人当り支給決定量
(時間/月)
一人当り利用量
(時間/月)
最大 最小 平均 最大 最小 平均
身体障害者 身体介護 13 1,305 6 996 217 10 79 206.5 13.5 166
家事援助 17 180 11 54.5 10 10 10 10 2 5
移動介護(身体介護伴う) 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
移動介護(身体介護伴わない) 1 20 0 0 20 0 20 0 0 0
日常生活支援 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
知的障害者 身体介護 27 1,070 10 576.5 150 10 31.8 115.5 4 57.6
家事援助 26 410 13 181.5 30 5 16.9 23 1.5 14
移動介護(身体介護伴う) 3 60 1 1 20 20 20 1 1 1
移動介護(身体介護伴わない) 16 320 5 35.5 20 20 20 11 3.5 7.1
日常生活支援 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
児童 身体介護 15 225 5 9 30 5 15 3 1 1.8
家事援助 5 50 2 11 10 10 10 9 2 5.5
移動介護(身体介護伴う) 5 50 2 5 10 10 10 2.5 2.5 2.5
移動介護(身体介護伴わない) 5 125 0 0 25 25 25 0 0 0
日常生活支援 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

身体障害者の身体介護の延べ支給決定時間と実利用時間の割合は76.3%で最大支給決定時間と最大利用量時間の割合は95.2%である。家事援助の延べ支給決定時間と実利用時間の割合は53.9%で最大支給決定時間と最大利用量時間の割合は100%である。
知的障害者の身体介護の延べ支給決定時間と実利用時間の割合は76.3%で最大支給決定時間と最大利用量時間の割合は77%である。家事援助の延べ支給決定時間と実利用時間の割合は44.3%で最大支給決定時間と最大利用量時間の割合は76.7%である。
児童についてはサービス利用が少ない。
それぞれの移動介護について、利用決定と実利用に大きな開きがある。

 デイサービス(4月〜8月までの5ヶ月間の数値)
  支給決定者
(延べ人数)
支給決定日数
(延べ日数)
利用者
(延べ人数)
利用回数
(延べ回数)
一人当り支給決定量
(日/月)
一人当り利用量
(日/月)
4時間
未満
4時間
以上
最大 最小 平均 最大 最小 平均
身体障害者 区分1 36 317 36 22 167 15 3 9 13 1 5
区分2 50 500 42 3 291 15 5 10 15 1 9
区分3 97 605 76 20 272 10 5 7 10 1 4
入浴サービス   727  
給食サービス 836
送迎サービス 1,456
知的障害者 区分1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
区分2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
区分3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
入浴サービス   0  
給食サービス 0
送迎サービス 0
児童 10人以下 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
20人以下 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
21人以上 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
送迎サービス   0  

身体障害者の決定回数と利用回数を比べるとその利用率は54%である。区分1の利用率は60%、区分2の利用率は59%、区分3の利用率は48%となっている。
延べ利用人数は、区分1は100%、区分2は84%、区分3は78%となっている。
知的障害者のデイサービスは、身体障害者デイサービスを利用しての相互利用で実施している。
児童のデイサービスは管内及び近隣に実施施設がなく、支給できない。

  短期入所(4月〜8月までの5ヶ月間の数値)
  支給決定者
(延べ人数)
支給
決定日数
利用者
(延べ人数)
利用日(回)数 一人当り支給決定量
(日/月)
宿泊 4時間
未満
8時間
未満
8時間
以上
最大 最小 平均
身体障害者 区分1 12 97 0 0   20 7 10
区分2 5 35 0 0 7 7 7
区分3 0 0 0 0 0 0 0
遷延性意識障害者等加算のみ 0 0 0 0 0 0 0
知的障害者 区分1 29 218 10 0 0 57 0 10 7 7.4
区分2 25 175 4 8 0 0 0 7 7 7
区分3 8 56 4 7 0 2 0 7 7 7
重症心身障害者加算のみ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
児童 区分1 20 210 12 0 4 63 0 12 10 10
区分2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
区分3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
遷延性意識障害者等加算のみ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
重症心身障害者加算のみ 5 60 3 4 0 0 0 12 12 12
身体障害者については利用がなされていない。
知的障害者並びに児童については、8時間未満の利用が最も多い。児童の利用は7月8月が多い。

(4)市町村障害者生活支援事業の取り組み
 市町村障害者生活支援事業は、高田郡において専門的な相談支援を充実し障害者福祉を推進するため平成14年度から導入し、社会福祉法人に委託して実施

相談件数4月〜10月(6ヶ月分)
性別 相談延件数 来所 電話 訪問 その他
278 55 99 104 20
234 40 73 117 4
512 95 172 221 24

相談内容4月〜10月(6ヶ月分)
  在宅福祉サービスの利用援助 社会資源活用援助 社会生活力向上支援 ピア・カウンセリング 専門機関の紹介
身体障害者 41 75 2 3 2 12 18 8 8 0
知的障害者 57 44 14 6 43 39 0 0 19 0
精神障害者 31 1 0 0 5 0 0 0 3 0
重複障害者 26 31 1 0 4 15 0 0 4 0
その他 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
155 151 17 9 54 66 18 8 34 0

相談内容
介護に関する相談
児童(低年齢児)の長期休暇等のときの支援がほしい
家族が介護できなくなった、生活の支援をしてほしい
男性のホームヘルパーをお願いしたい
高齢の両親が介護している。他人が家庭に入ることが困難
本人の生活向上に向けて
他人とのかかわりが困難、支援をお願いしたい
通院や通学の援助
財産管理の援助
就労について
学校卒業後の進路が決まらない
一般就労したが、仕事量や人間関係で就労困難となった
会社が倒産、仕事量や人間関係で就労困難となったこれからの就労について
今後の生活を考え資格取得の援助がほしい
外国から労働にきているが、障害により就労ができない福祉就労ができないか

 高田郡における地域生活支援に対する課題
(1) 居宅支援の課題
サービス確保に関すること
ホームヘルパーの確保や事業所の確保が困難で、支給決定に見合うサービス給付を行うことができない
男性ホームヘルパーの確保ができない
近隣の移動介護は提供できるが、遠隔地への移動介護の提供が困難
児童(低年齢児)の短期入所が困難(近隣に児童の施設がない)
制度に関すること
ホームヘルプサービスの家事援助の単価が介護保険事業と比べて単価差がある。事業所確保のためにも報酬単価の見直しが必要。また、中山間地で移動距離が長く移動時間にコストがかかり移動時間についても考慮が必要
ホームヘルプサービスの提供時間に対する国庫補助基準が示されているが 、具体的な基準と、それに対応する補助基準を明確にする必要がある。また、基準については障害の状況について十分に考慮する必要がある
デイサービスに医療職員の配置規定明記されていない、医療行為が必要な利用者の利用が制限される。職員の配置と報酬単価の改定が必要。
希望のサービス内容について支援費制度の対象とすべきか判断が困難なことが多い。ある程度明確な基準が必要
サービス従事者の資質向上のための研修が必要

(2) 生活支援事業からの課題
障害者からのニーズの掘り起こしが困難
相談することをためらうことが多く、ニーズが表面化しない
閉鎖的で、支援に入ることができない
何度も訪問し人間関係を作ることが必要
福祉制度の周知が浸透していない
ホームヘルプサービスは高齢者のためのサービスと思っていた
就労の問題

(3) 財政上の課題
利用増加に伴う財源の確保(サービス給付制限)

 地域生活支援を推進していくための今後の方向について

(1) 中山間地域等における基本的サービスの充実のために広域的な連携を
 高田郡のような中山間地では、サービス確保が困難です。少ない社会資源を有効に活用するためには、近隣の自治体の連携による調整がより有効に社会資源の活用が図られると思われます。

(2) 小規模通所授産施設等の通所施設を地域の生活支援の拠点に
 障害者基本計画に「障害者が身近なところで施設を利用できるよう小規模通所授産施設等の通所施設や分場整備・・・」また「障害者施設は、各種在宅サービスを提供する在宅支援の拠点として地域の重要な資源として位置づけ、その活用を図る。」とあります。最も身近な小規模授産施設を地域生活支援の拠点と位置づけ在宅支援を推進するため職員配置基準の適正化を図るべきです。

(3) 相談支援体制確立のため障害者生活支援事業を支援費制度に位置付けを
 支援費制度の居宅支援サービスやその他のサービス等を適切に利用できるようケアマネジメントの手法は欠かすことができないものであります。それぞれの障害について専門的に、適切にケアマネジメントできる従事者を明確に位置づけ、相談体制の確立をすることが必要です。この相談支援を推進するためには障害者生活支援事業が最も適当と思われます。現在一般財源化されていますが、支援費制度に位置づけ、費用保障の仕組みを設けることが必要です。

(4) 財源の確保
 支援費制度の充実に向け、財源の確保は必至です。各自治体においてはサービス確保と財源の確保に鋭意努力しているところであります。財源が確保できない場合はおのずとしてサービス給付制限につながることは避けられません。国においては確実に1/2を市町村に保障し、財源不足を市町村に転化しないようお願いしたい。

(5) 相互利用制度について
 支援費制度は障害別の法律に基づいて制度がつくられています。障害種別の違う制度を利用するとき相互利用制度となり複雑です。障害種別の違うサービス利用について支援費制度の中で対応できるようすることが必要です。

(6) グループホームについて
 施設等へ入所されておられる方で地域社会で生活できるが、一人暮らしは困難と言う方はたくさんおられます。地域での生活を支える柱としてグループホームの整備が必要です。施設から地域生活移行の推進のため住宅取得あるいは改造等も含めて、助成の拡充が必要です。


資料1

安芸たかた広域連合規約抜粋 広域連合の処理する事務

第4条 広域連合は、次に掲げる事務を処理する。
(1) 関係町の徴収依頼に基づく町税等の滞納整理に関する事務
(2) 固定資産評価審査委員会に関する事務
(3) 介護保険法(平成9年法律第123号)及び介護保険法施行法(平成9年法律第 124号)に基づく次の事務に関すること。
被保険者の資格管理に関すること。
要介護認定及び要支援認定に関すること。
保険給付に関すること。
介護保険料の賦課及び徴収に関すること。
介護保険事業計画に関すること。
保健福祉事業に関すること。
介護保険制度の施行に関すること。
(4) 低所得者に対する介護保険サービスに係る利用者負担額軽減事業に関する事務
(5) 老人保護措置に関する事務
(6) 高田郡障害者プランの策定及びその推進に関する事務
(7) 身体障害者・知的障害者・障害児居宅生活支援費、施設訓練等支援費支給に関する事務
(8) 更生訓練費等給付事業に関する事務
(9) 市町村障害者生活支援事業に関する事務
(10) 障害者授産施設等相互利用に関する事務
(11) 身体障害者・知的障害者・障害児居宅介護、施設入所等の措置に関する事務
(12) 市町村障害者社会参加促進事業に関する事務
(13) 精神障害者居宅生活支援事業に関する事務
(14) 精神障害者社会復帰相談指導事業に関する事務
(15) 心身障害者就労促進事業及び精神障害者就労促進事業に関する事務
(16) 休日夜間急患センター運営事業、病院群輪番制病院運営事業及び在宅当番・救急医療情報提供実施事業に関する事務
(17) 高田地区遠隔医療推進試行的事業に関する事務
(18) 関係町の一体的な産業振興に関する計画の策定及びその推進に関する事務
(19) 関係町の一体的な地域情報化の推進に関する事務
(20) 次に掲げる事項についての調査研究及び連絡調整に関する事務
広域的な幹線交通網整備に関すること。
広域葬斎場の整備に関すること。
公共施設の広域的相互利用に関すること。
その他関係町の一体的な整備で第11条に規定する広域連合長が必要と認める事項に関すること。


資料2

高田郡障害者プラン推進協議会設置要綱

(設置)
1条 高田郡障害者プラン(以下「プラン」という。)に基づく計画の推進に関し、障害者団体等の意見を反映させるため、高田郡障害者プラン推進協議会(以下「協議会」という。)を置く。
(任務)
2条 協議会は、プランに基づく計画の推進に関し、安芸たかた広域連合長(以下「連合長」という。)の要請に応じて、必要な意見を述べることを任務とする。
(構成)
3条 協議会は、15名以内の委員で構成する。
 委員は、次に掲げるもののうちから連合長が委嘱する。
 障害者団体の代表
 障害者福祉に関する事業に従事する者
 学識経験を有する者
 委員の任期は3年とし、補欠の委員の任期は前任者の残任期間とする。
 委員が委嘱されたときの要件を欠くに至ったときは,その委員は退任するものとする。
 委員は、再任することができる。
(会長及び副会長)
4条 協議会に、委員の互選により会長及び副会長各1名を置く。
 会長は、協議会を代表し、会務を総理する。
 副会長は、会長を補佐し、会長に事故あるときは、その職務を代理する。
(会議)
5条 会議は、会長が招集し、議長となる。。
 会議は、委員の過半数が出席しなければ開くことができない。
(庶務)
6条 協議会の庶務は、安芸たかた広域連合介護福祉課において行う。
(その他)
7条 この要綱に定めるもののほか、協議会の運営に必要な事項は、連合長が別に定める。

附則

 この要綱は、平成12年 8月29日から施行する。
 第3条第1項の規定により、委員が委嘱された後に最初に招集すべき協議会は、第5条第1項の規定にかかわらず、連合長が招集する。
 この要綱の制定により最初に委嘱された委員の任期は、第3条第3項の規定にかかわらず、平成15年3月31日までとする。


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