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資料1

障害者(児)福祉施策の現状と課題

平成15年11月26日
全国市長会・社会文教部

 標記について、本会に設置されている社会文教委員会所属の18市長(地域バランス、人口規模別を考慮して抜粋)に照会したところ、各市福祉担当課長等から様々な回答が寄せられたが、このうち主要な意見と考えられるものを次のとおり整理した。


1.支援費制度に係る国庫補助金について
・利用者に対し必要なサービスメニューとサービス量を提供するためには、市町村に対する国の財政支援措置が不可欠である。
・将来的には、障害者福祉に係る財源を地方に移譲するべきである。[中核市]
・支援費制度への移行に伴い、サービス利用者が急増しているが、当該財源の2分の1相当額については、確実に確保されたい。
・従来の措置制度においては、行政が支給総量をコントロールすることができたが、支援費制度では、数量規制の仕組みがない。そのような状況のもとで、国庫補助を全国単純平均で制限する仕組みにより、果たして適切に対応できるのか。


2.サービス基盤の整備について
・居宅・施設両サービスともに基盤整備が立ち遅れており、現時点では、利用者から見て選択肢が少ない。
・受入れ体制が十分に整っていないため、利用者がサービスを選択するというよりは、利用者が事業所側に選択されるという形になっているのが現状である。
・知的障害者のグループホーム事業所については、未だに国との協議が必要とされているため、事業の開始が遅れている事業者が多くある。
・各自治体の体力によって、サービス水準に格差があるので、その解消に努める必要がある。
・介護保険や少子化対策と同様に、障害者に対しても、より手厚い措置が必要である。また、3障害の中で、精神に係る事業が他の2障害と比べて劣る傾向にあるが、同じ水準で事業を推進する必要がある。[政令市]
・サービス提供事業所の職員や市の相談業務担当者等の人材育成が重要である。


3.サービス利用に係る仕組みの整備等について
・支援費制度では、障害者ケアマネジメントが制度化されていないため、実質的に市町村がケアマネの中心的機関にならざるを得ない。専門性を要する分野であることから、障害者ケアマネジメントを制度化するとともに、その運営費用を確保する必要がある。
・支援費制度の導入により、在宅サービスに関する支給量が増加しており、市が決定する支給量を如何に管理するかが課題となっている。一定のルールのもとに支給量を管理し、支給決定における透明性と公平性を図る必要がある。
・支給決定の方針は各自治体により異なるため、利用者に不公平感を与えるおそれがある。自治体間の均衡を図り、支給決定における公平性を利用者に明らかにするため、支給決定についての「ガイドライン」を国において策定されたい。
・利用者負担金は、利用者の応能による負担を求めるものであるが、多くの利用者が低額又は無料であり、利用者負担に上限があるとは言え、負担の不均衡が生じている。また、施設支援費と居宅支援費の間にも、大きな不均衡が生じているのが現状である。[中核市]
・障害者の企業等への就労は少なく、厳しい経済情勢とも相俟って、状況は深刻さを増している。障害者の特性に合わせたきめ細かな支援と、身近な地域における総合的な就労・生活支援体制の整備が必要である。[政令市]
・住民と協働した地域福祉ネットワークの構築、地域における新しいサービスのシステムづくりが必要である。また、民間と行政の役割分担のあり方についても見直していく必要がある。
・重度の知的障害者でもグループホームでの生活が可能となるなど、在宅サービスをコーディネートできる「地域生活支援センター」を設置することが重要であり、広域的視点から、都道府県にリーダーシップを発揮してもらう必要がある。[5万人未満都市]
・支援費制度における居宅生活支援の移動介護において,公共交通機関の発達していない地域では、車による移動が不可欠であるので、これを支援費制度の中に取り入れる必要がある。
・身体、知的、精神の各サービス体系のはざまに置かれてしまう人や、高機能自閉症、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥・多動性障害)など従来の障害者福祉制度の中では支援の対象になりにくい人への支援策について検討する必要がある。[政令市]
・障害者及び介護者の高齢化に伴い、高齢者施策との連携や「親なき後」の問題など、後見的支援に対する取組みが必要である。[政令市]
・児童デイサービスについては、中学生・高校生も対象とする必要がある。
・看護学級・養護学校に通学している児童について、一部、放課後児童健全育成事業の中で受け入れを行っているが、健常児童と合同であるため、設備・スタッフの対応等が十分でなく、保護者の気持ちに応えられない。
・保健、医療、福祉、就労、教育など個々の施策が縦割りとなっており、総合的支援が難しい。[政令市]
・「障害」や「障害のある人」に対する市民の理解を深めるための啓発事業を更に推進する必要がある。


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