03/10/29 第2回 医業経営の非営利性等に関する検討会議事録           第2回 医業経営の非営利性等に関する検討会 日時    平成15年10月29日(水)16時00分から18時00分 場所    虎ノ門パストラル 出席委員  石井孝宜、大道 學、川原邦彦、品川芳宣、田中 滋、豊田 堯、       西澤寛俊、松原由美、真野俊樹、山崎 學                              (五十音順、敬称略) 議事内容 ○田中座長  ただいまから、「第2回医業経営の非営利性等に関する検討会」を開催します。委員 の皆様方におかれましては、ご多忙中のところを当検討会にご出席いただき、まことに ありがとうございます。本日は西島委員がご欠席との連絡があるそうです。また、石井 委員から都合により遅れるとの連絡がありました。  なお、前回、ご欠席の2名の委員が今日ご出席ですのでご紹介申し上げます。まず、 医業経営コンサルタント協会副会長の川原委員です。 ○川原委員  川原です、よろしくお願いいたします。 ○田中座長  全日本病院協会副会長、西澤委員です。 ○西澤委員  西澤でございます、よろしくお願いいたします。 ○田中座長  両委員の方々、よろしくお願い申し上げます。  議事に入ります。本日はご案内にもありましたとおり、「出資額限度法人の制度化に 向けた具体的検討」という点です。早速、次回の中間報告取りまとめに向けて議論を深 めたいと存じます。まず、事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○田中指導課課長補佐  資料の確認をいたします。まず、1枚目は「議事次第」です。次に委員名簿、座席表 でございます。次に「第2回医業経営の非営利制度に関する検討会資料」という、1枚 の紙に資料1から6まで目次のような形のものがございます。  資料1は「医療法人の持分に係る裁判例」という2分冊での資料になっています。資 料2は「医療法人数」の1枚紙です。資料3は「出資額限度法人に係る課税関係」の1 枚紙です。資料4は「各種医療法人の位置付け(概念の整理)」という1枚紙です。資 料5は「特別医療法人と特定医療法人の公益性要件の比較」という1枚紙です。資料6 は「『出資額限度法人』の在り方について(論点整理メモ)」という、5枚の紙でござ います。以上です。 ○田中座長  よろしいですか。それでは議論に入ります。まず、事務局から資料の説明をお願い し、その上で委員の皆様のご発言やご意見をお願いいたします。よろしくお願いいたし ます。 ○田中指導課課長補佐  資料についてご説明いたします。まず、まとめて資料1から資料5までを説明させて いただきたいと思います。資料1を簡単にご説明いたします。「医療法人の持分に係る 裁判例」ということであります。第1回の検討委員会で、裁判例の概要を資料として添 付させていただいたところです。その詳細な内容がわかるようなものを、というご要望 がありましたので提出させていただいたものです。  すべてについて説明しているとそれだけで時間が終わってしまいますので、簡単にご 説明いたします。まず1分冊目、「平成10年裁判例」、最高裁判決が平成10年11月24日 に出た事案です。「事件の概要」ですが、退社した社員の持分払戻請求に対し、「退会 した会員は払込済出資額に応じて払戻しを請求することができる」との定款の規定につ いて、医療法人が脱退社員の払込済出資額そのものと限定的に解釈し、払戻の価額につ いて争われたものです。  「判決の内容」ですが、第一審では脱退社員の主張が認められ、払戻の価額は約5億 5,000万円とされました。第二審では、同社員が医療法人の設立後11年を経過して出資 し社員となっていることから、同社員の出資時における資産総額に対する同社員の出資 額の比率で、退社時の医療法人の資産の払戻しを受けるものとし、払戻の価格は588万 円とされ、最高裁において確定したものです。  これだけだとなかなかわかりません。もう少しかみ砕いて説明すると、争点は2つあ ります。1つは被告、医療法人側が定款に書かれた「出資額に応じて」という表現につ いて、医療法人側は、自ずから「出資額限度」という意味で定款に書かれているという 主張をしています。  そういうことですので、医療法人としてはもともと出資した額を返還するのではない かという主張をしていたのですが、さすがに「出資額に応じて」を「出資額限度」と当 然に読み換えることはできないだろうということで、まず第一審で退けられました。次 に出資比率については、原告の方は昭和45年に出資をしたわけですが、昭和34年にこの 医療法人が設立されています。そのとき、456万円分の50万円ということで、10%の持 分があったとして、昭和63年には総資産額として50億円ありましたので、5億円返し てもらうのが妥当ではないか。50億円の10%、5億円を返せという訴えが地裁では認め られました。  高裁になり、やはり被告の医療法人が主張する「出資額に応じて」という表現は、出 資額限度という意味を表すのだという主張は、それはさすがに無理だろうということで 高裁でも退けられました。ただし、その出資比率については昭和34年の医療法人総額 456万円と比較して、10%というのはおかしいだろう、昭和45年、原告が出資した時点 の額と比較すべきではないか。昭和45年の時点で、どの程度全体での出資があったかと いうと4億3,126万円でした。この4億3,126万円と比較して、昭和45年時点の出資総額 に占める原告の出資は50万円、約0.1%となっています。出資者が脱退時の資産総額の 算定方法もいろいろ議論はあったのですが、この場では約50億円とさせていただきます が、50億円に0.1%を掛けた588万円が妥当ではないか、というのが高裁の判決でした。  出資比率をどの時点で見るか。法人設立当初と見ると10%となるものが、出資者が出 資した時点で見ると0.1%と約100分の1になっています。医療法人が主張していた「出 資額に応じて」というのは、当然、出資額限度という意味を表すということは地裁や高 裁ではともに退けられたわけです。ただ、出資額の比率の捉え方については地裁と高裁 で捉え方が変わっていて、高裁で出資した時点の比率で案分するとの見解が示され、最 高裁において確定したというものです。  続いて「平成15年度裁判例」です。平成15年6月27日、高裁の決定に対する上告不受 理という形で判決が確定したものです。  「事件の概要」ですが、医療法人が出資額限度方式に定款を変更した後に死亡した社 員の持分払戻請求権を相続した妻が、定款変更の無効を主張し、出資額に応じた払戻し を求めて争われたものです。「判決内容」ですが、一審において出資額限度方式への定 款変更は有効になされていたとされ、二審でも原審を支持し、払戻請求の価額について 出資額を限度とし、最高裁において上告不受理の決定がなされ、確定したものです。  これもこれだけだと若干わかりにくいかと思いますので、少しかみ砕いて説明いたし ます。まず、この法人はそもそも、設立から大体平成8年ぐらいに至るまで、出資額に 応じて払戻しを請求することができるという定款になっていたところです。平成8年の 6月になって定款変更をし、「出資額を限度として」というように変更しています。  この判例の焦点となっているのは、出資額限度方式がどうであるとか、出資額の捉え 方をどうするかというより、どちらかというと、定款変更が正式になされたかどうかと いう手続き論であります。  この法人は、平成8年の6月12日に持ち回り決済を経て、定款変更をして、平成8年 6月20日に東京都から定款変更の認可を受けています。相続については、平成8年6月 27日に死亡して請求権が発生しました。この定款変更について、持ち回り決済によるも のは無効であり、定款は出資額に応じた払戻請求権があるとして、原告が定款無効とし て37億円の請求をしたところ、被告は「定款変更は有効である」として、払い戻す金額 は出資額の1,000万円程度、1,087万円ではないかということで争ったものです。これは 被告の医療法人の言い分が認められ、出資額1,087万円の払戻し請求権のみ認められ、 最高裁において確定したという事案です。  とりあえず、資料1の説明は以上としたいと思います。  資料2は医療法人数です。これも前回、第1回の検討委員会において委員から、財団 と社団でそれぞれ特定医療法人、特別医療法人の数がわからないのではないか、非特 定、非特別の医療法人であって、社団の持分無という医療法人がいくつあるのか、どう いう内訳なのかというご指摘があって用意いたしました。  表の見方ですが、若干わかりにくいところもあると思いますので、併せてご説明いた します。まず、左側に「財団A」とあります。これは法人の種類でして、財団A、社団 B=a+b、総数A+Bとあります。法人の種類として財団と社団があって、社団の内 数として社団持分有、社団持分無とあります。財団と社団を併せたA+Bが総数、いち ばん下となっています。  次に横、財団Aで見ていただくと、医療法人総数(1)+(2)+(3)、403となっていま す。これはその横の特定医療法人(1)が71、特別医療法人(2)が7、非特定、非特別の医 療法人(3)の328を足したものとなっています。ただし、一部、特別医療法人(2)の中に ある財団Aで言うと(3)という数字があります。こちらについては、特別医療法人と 特定医療法人の両方に属しているという法人です。いわゆる重複ですので、71+7−3 +328=403になるということです。社団については、医療法人総数は3万6,903です。 このうち特定医療法人は285、特別医療法人が22、兼ねているものが8、それ以外が3 万6,604となっています。社団のうち、持分有のものについては医療法人総数3万6,581 です。持分のあるものは特定医療法人、特別医療法人になれませんので、当然これでは すべて非特定、非特別の医療法人ということになっています。  社団持分無、bについては、医療法人総数としては322です。このうち特定医療法人 が285、特別医療法人が22、重複が8、それ以外、非特定、非特別の医療法人が23とな っています。  この内訳はどうなっているか。いちばん下のところ、「医療法人 社団(持分無)の 内訳」23法人となっているところをご覧ください。我々が都道府県に照会させていただ き調査したものであり、都道府県でもその実態を把握していないというものがいくつか ありましたので、いくつか「不明」というものがありました。そのうち(1)、特定医療 法人を取り消されたことで社団持分無となっているものが3法人、設立当初から持分が ないものが8法人、「不明」が12法人、計23法人が存在しています。  結局、これを併せると、特定医療法人は総数356、特別医療法人29、そのうち11が特 定医療法人と兼ねています。そのほかの医療法人3万6,932と併せて、医療法人総数3 万7,306となっているところです。以上が前回、財団と社団がどのようになっているか わからないのではないかというご指摘を踏まえた資料です。  資料3、「出資額限度法人に係る課税関係」に移ります。前回、我々から法人税、贈 与税、所得税の移行時の非課税措置についてどう考えるかを申し上げました。相続税と の関係もなかなかわかりづらい面があったと思いますので、この資料をご用意させてい ただきました。  これは前回提出した資料から縦横を変えたようなものになっています。設立から年月 の経過を経て出資額限度法人に移行するに当たり、どういった課税が発生するかを示し た図です。  まず、いちばん左ですが、設立時は出資者A、出資者B、出資者C、それぞれ400万 円、400万円、200万円、計1,000万円の出資金を出している。これが年月の経過に伴っ て剰余金が発生していく。これが1,000万円発生し、400万、400万、200万となります。  総資産2,000万円の法人が出資額限度法人へ移行することになると、この資料の真ん 中から右に移るところになりますけれども、どのような状況が発生してどのような課税 が発生するか。まず、「移行」の右に書かれた矢印の上をご覧になっていただきたいと 思います。(1)「収益又は贈与?」(2)「法人税または贈与税?」と書いています。これ は出資者から法人に対して、法人側にとっての収益があったと見て法人課税がかかる か、あるいは法人にとって贈与が行われたものと見て贈与税がかかるかということを意 味しています。これが1つ、まず課税関係として発生するものです。  次に「移行」の下のほう、(1)「みなし譲渡?」(2)「所得税(又は法人税)?」とあ ります。(又は法人税)は個人、法人の違いだけですので所得税と考えていただいて結 構です。  まず「移行」の左側に戻って、「年月の経過」の下の図をご覧ください。400万、400 万、200万の上に400万、400万、200万の剰余金が乗っている図をご覧になっていただく と、そもそも出資者A、B、Cは当初400万、400万、200万円しか持っていなかったも のが年月の経過を経て、剰余金400万、400万、200万の権利を有するということになっ ています。それぞれ、当初の出資額の倍の資産を有することとなっています。  そうすると、例えば不労所得というか、自分が本来持っていた400万円の資産が800万 円になった。適切な例かどうかはさておき、例えば利子や配当など、放っておいてもお 金が増えてくるという場合があると、当然増えた部分については課税が発生する。た だ、土地などもそうなのですが、このような含み益というのは例えば資産を売却した時 点で初めて課税関係が発生する。どこで課税をするかということですが、例えばその土 地なら800万で売却した場合には400万円分について、何もしていないのに増えた分につ いては課税しますということで課税が発生するわけです。結局、そういった含み益がど こで発生したかということについて、出資額限度法人に移行した場合には移行時にいわ ゆるみなし譲渡所得というものが発生しているのではないかとして、みなし譲渡課税が かかるのではないかということが言われています。法人税、贈与税、所得税にしても、 実はいま現在はっきりどのような課税関係になっているかということは明確になってい ません。  これについては下の吹出し部分、「出資額限度法人への移行に係る課税関係につい て、財務省主税局と調整(平成16年度税制改正要望提出)」ということであります。こ この課税関係についてまず明確化するということ等について、我々厚生労働省として、 財務省に対して税制改正要望を提出しているというものです。まず、これが1つの課税 の関係です。  さらに、出資者の死亡時点に相続税という話が生じてきます。まず出資者Cという方 がお亡くなりになられた場合なのですが、この方がそもそも払戻し請求権があったもの が相続人たるDに相続される。このときに当然、相続人Dについて相続税が課されるこ とになります。これについては純資産価額方式、類似業種比準方式、2つの方式によっ て評価することになります。その評価については、いま皆様が議論されている出資額限 度法人というものが制度化された場合において、相続財産評価について必要があれば 我々のほうで国税庁と調整していくことになるというものです。ですから、課税関係に ついては先ほど申し上げた法人税の問題、贈与税の問題、所得税の問題とこうした相続 税の問題、2点があるということでございます。  次に資料4、「各種医療法人の位置付け(概念の整理)」の説明に移ります。いろい ろご説明している中でも、持分があるとかない、公益性の要件があるとかないなどがあ ります。いろいろ説明させていただく中で、その辺はなかなか整理してご説明していな い部分もあるかと思い、この資料をご用意させていただきました。  まず、「持分無法人」がいちばん上のグルーピングに分類しています。左側に「持分 のない社団医療法人」とあります。その内訳として公益性の要件、点線部分の右側に特 定医療法人、特別医療法人というものを位置づけています。  特定医療法人、特別医療法人においては、一定の公益性の要件を満たしているという ことでこうした点が付与されているところです。一方、現実として持分のない社団医療 法人であって公益性を満たしていないもの、先ほど資料2の「医療法人数」で説明させ ていただいた23法人のようなものも存在しているということです。  もう1つのグルーピングとしていちばん下、持分のある社団医療法人というものがあ ります。これはいわゆる3万いくつあるところ、特定でも非特定でもない、一般の医療 法人ということであります。これは持分のある社団医療法人です。点線で囲った部分は あまり意味のあるグルーピングではないのですが、概念的には持分のある社団医療法人 であっても、たまさか同族役員割合の制限など、一定の規制の要件を満たしていること も概念としては考えられます。このように、右側に分類されるものが全くないと言い切 れないので、点線を付させていただいています。3万いくつある法人は多分、点線の左 側にグルーピングされるのではないかと考えていただいて結構ではないかと思います。  最後に、真ん中に「出資額限度法人」とあります。これをどのように位置づけるか。 名前のとおり、持分は若干ながらもあります。公益性の要件ということをまた議論して いただくわけですが、概念的にはいちばん上にあります持分のない社団医療法人、特定 医療法人、特別医療法人と同様に、出資額限度法人であって公益性の要件を満たすも の、あるいは満たさないものの存在が考えられるのではないかと考えています。  資料5についてご説明いたします。「特別医療法人と特定医療法人の公益性要件の比 較」ということですが、「効果」に書いたとおり特別医療法人は収益業務を実施でき る。特定医療法人については、法人税の軽減税率22%の適用を受けることができる。ま た、表のいちばん下に書きましたが、「移行時における税制上の取扱い」において、課 税関係が生じないということがありますので、公益性の要件ということがいくつか、ま たは厳格に付されているということでございます。  特別医療法人のところですが、まず「要件等」、医療法人のうち、法人の財産が個人 に帰することなく、公的な運営が確保されているもので、医療法に位置付けられていま す。一方、特定医療法人ですが、医療法人のうち、その事業が医療の普及及び向上、社 会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与し、かつ、公的に運営されていることに ついて国税庁長官の承認を受けたもの、これは租税特別措置法に位置付けられていま す。「法人の種類」ですが、どちらもいまご説明したように財団又は持分の定めのない 社団のみに限られています。  次に「医療施設の要件」ですが、特別医療法人に定められた特定の病床を有すること 及び次のいずれかの要件を有することということで、患者40人以上の収容施設を有する こと、救急告示病院であること、その他公益の増進に著しく寄与することということに なっています。一方、特定医療法人は特別医療法人に課されている「特定の病床を有す ること」という病床規制がありません。しかし、「患者40人以上の収容施設を有するこ と」という要件は付されています。  「収入要件」といったものがあり、特別医療法人、特定医療法人ともに、社会保険診 療に係る収入金額が全収入の80%を超えるものであること等の要件が課されています。  一方、特定医療法人のみについてですが、差額ベッドの額は30%までという規制がか かっています。これについては、今年の3月31日までは20%だったものを今年の4月1 日に30%に改正したところです。  「法令違反事実の有無」ということで、特別、特定とも医療に関する法令に違反する 事実、または公益違反の事実がないことが要件になっています。「特別利益付与の禁止 」ということで、役員に対して特別の利益を与えないものであることという要件がある とともに、役員に対する給与支給額が年間3,600万円以下であることという要件が付さ れています。  次に「同族要件」、同族の者が3分の1以下、残余財産の帰属ということで、解散等 をした場合の残余財産が国等に帰属することが特別医療法人、特定医療法人ともに要件 として課されています。  最後に「移行時における税制上の取扱い」ですが、これは先ほど資料3でご説明した ように、持分のある法人から持分のない法人等へ移行した場合には法人税や贈与税、所 得税といったものがかかるのではないかというものです。こうしたことについて、特別 医療法人および特定医療法人については課税関係は生じないという措置が講じられてい ます。  ちなみに「注」の部分ですが、いまほどご説明させていただいたいくつかの事項につ いて、現在パブリック・コメントをして来月から改正を予定しているものがあります。 1つは特別医療法人の収益業務について、実施できる業務の範囲を大幅に緩和する予定 です。また、実施できる業務に係る要件について、いままでの特定の病床、緩和ケア病 床など、省令に定める9種類から医療施設近代化補助金の交付条件、税制上優遇措置を 受けるための条件とされている業務を追加するという予定です。  もう1つは役員の給与等について、職務内容及び年齢により加減算して計算する階層 的規制を撤廃ということであります。例えば、年齢が1歳違えば1万円以上の差異を設 けてはいけないなどという段階的な規制があったのですが、こうした要件を撤廃したと いうものです。  資料1から資料5について、私からのご説明は以上です。 ○田中座長  ありがとうございました。特に、2は早速調べていただいてありがとうございまし た。また3もわかりやすかったし、4も概念整理の資料になると思います。いまご説明 いただいた資料について、ご質問があればお願いします。 ○川原委員  よくまとまった、大変素晴らしい資料をいただき、私の理解が深まりました。3点ほ ど、ご質問・ご指摘をさせていただきたいと思います。まず、第1点は資料1の1頁目、 下から3行目でございます。判決内容の中で、「同社員の出資時における資産総額に対 する同社員の出資額の比率」という表示がなされています。これは会計学上の定義によ る資産総額ではなく、流動資産に固定資産と投資金を加算した積極財産から負債を控除 した正味財産額、いわゆる純資産額と思うのですが、このように理解して良いのか、お 調べの上、ご回答いただければありがたいと思います。これが第1点です。  第2点として資料3、「出資限度法人へ移行」という囲いのところです。上のほう、 「医療法人」の欄なのですが、受贈益に対して法人税または贈与税が課税される懸念が あるというご指摘がありました。法人に対して贈与であれば受増益となり、もともと法 人税が課税されるはずです。贈与税というのは、原則として、個人間に無償による資産 等の移動があった場合、課税されるものとされています。この点についてもお調べいた だければありがたいと思います。  第3点として、資料4の「各種医療法人の位置付け(概念の整理)」ですが、もしも このままのタイトルであれば、各種医療法人ということになると財団が入るわけです。 財団がどこに位置付けられるのかということも、ちょっと不明なので質問させていただ きました。以上です。 ○田中指導課課長補佐  私からお答えいたします。まず資料1、資産総額が純資産額ではないかというご指摘 でした。我々が資料を作成するとき、とりあえず概要のみ、皆様にわかりやすいように ということで作成しました。確かに判決の中では、総資産額や純資産額といった詳細な ご検討をされ、地裁ですと49億9,168万円、高裁だと50億7,488万円と若干性質が違って います。正式なワーディングとしては、先生からご指摘いただいたようなものかもしれ ません。その辺、精査しなかったことについてはお詫び申し上げます。 ○渡延指導課長  次の31頁に該当部分があります。31頁の左側、このときは控訴人の右当時における資 産総額は被控訴人の出資額を含めて、4億何ぼと書いています。ここでは「資産総額」 という言葉を裸でボンと使っている。それを引いてきたのですが、ここへ来る手前のと ころで、資産総額の中が厳密なネットのものになっているかどうか、そこまで的確には お答えできません。言葉としては、「資産総額」というものを使っているということで す。 ○川原委員  実は主文の中の3頁で、「純資産額」という表現が使われています。資産総額という ことになると会計学上正味財産である資本の額に負債の額を合算したものをもって表現 されるわけです。そこでちょっと確認してみたかったのです。 ○田中指導課課長補佐  それについて、今後、ワーディングには十分注意して資料を作成したいと思います。  2点目、資料3について、「法人税又は贈与税?」とあるが法人税のみかかるのでは ないか。贈与税というのは、そもそも概念としてかかり得ないのではないかということ でした。第1回の資料の25頁をご覧ください。まず、こちらに法人に対する課税、法人 税法、相続税法というものを引用させていただきました。課税関係はここで規定してい ます。法人税については第22条2項、上から2番目になりますが、課税対象となる額に ついて「資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額」とあります。例えば、 持分を放棄したものが資本等取引に当たらない場合は課税関係が生じることになるとい うことが1つ考えられます。  一方、贈与税のほうですが、相続税法の第66条4項がいちばん下にあります。ここで 「不当な減少に当たる場合」と書いてあります。真ん中辺り、特別の関係がある者の相 続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められた場合について準用する とあります。端的に申し上げると、不当な減少に当たる場合には贈与税を課税されるこ とになるので、持分放棄部分が不当な減少に当たり、課税関係が生じることがあり得る ということでありますことは、 実は、法人税なのか贈与税なのかという議論がいろい ろあり、先生がおっしゃったように、法人税ならかかるのではないかといったご意見も あります。 ○川原委員  人格のない社団又は財団を指しているのではないでしょうか。医療法人は人格なき社 団や財団ではなく、「普通法人」として法人税が課されることになっております。 ○品川委員  「人格なき社団」以外、公益法人に関する範囲が問題なので「?」を付けようと思い ました。第66条の規定で法人税がかからない場合には、法人を個人とみなして贈与税を 課税するという規定があります。それが医療法人が含まれるかどうかについて、そこで 「?」が付いているのかなと思います。そこはあり得る話であって、資料を否定する話 ではないと思っています。 ○川原委員  決して資料を否定しているわけではなくて、私の疑問を言っています。気を悪くしな いでください。 ○田中指導課課長補佐  その辺、法人税か、贈与税かというのが我々も不明確です。確かに事務局として、そ の辺を明確にお示ししたほうが適切かもしれません。率直に申し上げて、この辺の課税 関係は我々自体もまだよくわからない点がありますので、「法人税または贈与税?」と いう曖昧な資料をお示ししているというものです。 ○川原委員  いま、品川委員がおっしゃったように、結局医療法人が人格なき社団、あるいは財団 に当たるのかどうかという根幹的なものなのではないですか。 ○品川委員  いや、そうではなくて、確か人格なき社団とそれとは別に議論していたと思います。 第66条2項で、第1項が人格なき社団の問題、「前項の規定は同項に規定する社団また は財団を設立するために、財産の提供があった場合について準用する」という規定があ ります。 ○川原委員  ここの規定は医療法人としての固有の法人格を有し、且つ、「普通法人」として法人 税法上の納税義務者になっていても適用されることになるのですか。 ○品川委員  いや、準用規定があります。準用規定についてどこまで範囲が及ぶのか。あるいは 「設立」と書いてあるから、このような場合は「設立」の中に入るのかどうかという問 題がある。もともとこの資料は「?」なので、課税されるわけではなくて、こういう問 題が生じるというように資料が作られたことだと思いましたので、そこは「?」でかま わないと思います。 ○川原委員  念のためにお調べいただけますか。 ○田中指導課課長補佐  わかりました、のちほど調べて川原委員にお伝えします。もう1点、資料4で財団が 入っていないのではないかというご指摘ですが、私の説明が雑でしたが、これは社団で あるものについての資料です。 ○川原委員  わかりました、ありがとうございます。 ○真野委員  川原委員の高等な質問のあとで失礼します。資料4なのですが、わざわざ点線を使っ て右左を分け、「注」で指摘があるわけです。たまたまここで同族役員云々を出してい ますけれども、当然ほかにも他々あるわけです。大体どういうイメージなのか。もちろ ん、全部ということは当然ないわけですが、あえてここで「同族役員」と使っているわ けですがどのようなイメージで出されているのでしょうか。 ○田中指導課課長補佐  一般的にそこがいちばんわかりやすいのかなということで、公益性要件の代表例とし てお出ししたまでです。特段、例示として深い意味があるわけではありません。 ○真野委員  そうすると、このうちのいくつかをというイメージでしょうか。 ○田中指導課課長補佐  すべてをというイメージです。いわゆる特定医療法人、特別医療法人に求められるよ うなですね。 ○真野委員  すべて満たしているけど、申請はしていないという意味ですか。 ○田中指導課課長補佐  そういうことです。申請しないというか、持分を持っているので、特別医療法人、特 定医療法人になるには、持分の部分のみが抜けているというものがあるのかどうかわか りませんが、そういうイメージで点線で囲んでいるというものです。 ○真野委員  なるほど。一定の公益性の要件という、「一定」というのはこれら全部と読み換えて いいのですか。 ○田中指導課課長補佐  ワーディングの問題として、「一定の」という点で誤解があったかもしれません。 「すべての」ということでございます。 ○田中座長  ほかにいかがでしょうか。 ○山崎委員  資料3の年月の経過に、出資者A、出資者B、Cの上に、剰余金と下の400万、400 万、200万という数字が付いています。出資者A、B、Cには出資額に応じ、剰余金を こういうようにするという権利があるのでしょうか。というのは、医療法の第54条に 「医療法人は剰余金の配当はしてはならない」という項目があります。そうすると、当 然、剰余金については400万、400万、200万というように区切れる話ではなくて、剰余 金として1,000万乗るという話ではないかと思います。 ○田中指導課課長補佐  ここは説明の便宜と申しますか、あえて説明を看過して作成したものでございます。 1,000万乗っているわけですが、例えば出資額に応じて払戻しをするというのであれば、 これは400万対400万対200万、2対2対1で解散時には返還することになるのかなとい うことで、400万、400万、200万を剰余金として書いています。  ご指摘のような配当の禁止との関係ですが、前の「医業経営の在り方検討会」におい てもご指摘をいただいているところですが、配当の禁止に当たるのではないかという意 見もあるところです。ここがそういったことに該当するかどうかというのは、なしとは しないところですが、事例としてこういったことは一般的に想定されていることではあ ります。ご指摘のように、配当の禁止に当たるのではないかと言われるとなかなか、 「当たります」や「当たりません」と申し上げることはできません。とりあえず、図と しては看過して作ったものです。 ○渡延指導課長  いまの山崎委員のご指摘というのは、この絵自体、事柄をわかりやすくするために前 回ご紹介した、役所が作成しているモデルペーパーに書かれているような、脱退、解散 のときは払込済出資額に応じて分配する。それを前提にこのストーリーは出来上がって いるわけです。  そのような標準ペーパーに即したものを持っている医療法人において、仮にAさん、 Bさん、Cさんについて脱退等が起きた場合は、1階部分に応じて配分を受け得る可能 性のある額が400万、400万、200万あるという意味です。山崎委員のご指摘は、本来、 2階部分が各人に切り離されて付いているわけではない。たまたま、例外・変則とも言 うべき脱退、解散が起きたときに、一定の定款の書きぶりになったときにそのような配 分なりが起こり得るだけのはずである。  そこを混同せずに、本来の第54条の趣旨からして正確に表現すべきであるという提起 と受け止めました。それについては前回以来ご説明しているとおり、私どもも認識とし てはきちんと持っているつもりです。ただ、今回、ここの仕切りを入れておかないと、 なぜ課税関係が生じるかという点のご説明がしにくいところもあり、こうした絵にしま した。  ただ、これがあたかも、剰余金部分が平時においても出資者に帰属しているかのよう な誤解を与えるということであるならば、次回以降、こういった形で資料集をご用意し ますが、標準定款を前提にし、脱退、解散の際に持分が及び得る額という意味での 「注」を付けるようにしたいと思います。 ○山崎委員  もう1つ質問します。このような問題の場合、法人の定款が優先するのか医療法が優 先するのか、法律的にはどちらなのですか。 ○渡延指導課長  前回、法令集的なものをお付けしています。その20頁に第56条という規定がありま す。医療法の第56条、「残余財産の帰属処分」という規定です。「解散した医療法人の 残余財産は合併、破産を除くほか、定款または寄附行為に定めるところにより、その帰 属すべき者に帰属する」という規定がある。それから20頁の第54条、「医療法人は剰余 金の配当をしてはならない」、この2つの規定がある。この両者の関係をどう考える か、というのがいまの山崎委員のご提起の趣旨と考えます。  先生がおっしゃっていることは、第56条で「定款または寄附行為の定めるところによ り」とは書いてあるが、第54条があるのだから、法律で定められたことの残りの部分が 定款実務のはずである。だから、第54条に違反するような定款の定めは出来ないのでは ないかという提起だと思います。 ○山崎委員  そうです。 ○渡延指導課長  確かに、医療法人制度が立法された昭和25年当時の国会審議録を見ると、当時の政府 委員の答えの中で、「残余財産の配分の対象について、剰余金部分は含まない」という 趣旨で答えた議事録が存在しているのもまた事実です。その後、昭和30年代以降、個別 の解釈例規が出る中で、個々の事案を妥当に処理していく過程で若干考え方が違うもの が集積されています。  その後、本日ご紹介した資料があります。2つ挙げた裁判例のうち、10年の裁判例、 最高裁まで行って確定しているものです。出資額に応じて払戻しを請求することができ るという定款がある場合については、定款自治で決めたことが有効だと認めた。それは 別に、医療法第54条違反ではないということを前提に最高裁で確定しています。  したがって、私ども行政の立場として法律の施行に当たるわけですが、最高裁からこ うした考え方が示されたことに従うとするなら、現時点において第54条と第56条の関係 で見るならば、定款で決めるところで解散時点の残余財産についてもともとの成り立ち を極めれば、剰余金から寄ってきた部分が配分されることも直ちに法違反ではないとい うことが、現在の最高裁判決を前提にした解釈になろうと考えます。 ○山崎委員  わかりました。 ○田中座長  解釈はしっかり共通認識として持つ必要があるので、質問があればどんどんお願いし ます。座長でなく、一委員として質問したいと思います。2つあります。1つは資料1 の2つ目の裁判例、「出資額限度法人として認められた」と書いてあります。この法人 については出資額限度にしたときに、先ほどの課税云々というのはどのようにあったの かなかったのか、もしわかれば教えていただきたい。  もう1つは資料4についての質問です。資料4は左側が公益性が低く、右側が高い図 になっています。持分がなくても特別に税金、税率が低かったり、収益事業を行える公 益性の高いもの、公益性の低いものがあると分けられています。そうすると、出資額限 度法人は公益性が高いから非課税にしてほしいと求めながら、左のほう、公益性が低い 出資額限度法人がある図になっていると思います。これだと出資額限度法人全部に公益 性を求める、という要求はしにくいのではないかと危惧したのですがいかがでしょう か。 ○渡延指導課長  ただいま、2点ご質問がありました。まず1点目、裁判例としてご紹介した2点目が どうなっているか。先ほど整理した資料3でいくならば移行時の税制関係がどうなって いるか。品川委員、もしご承知でしたら補足、訂正をお願いします。  私どもが承知している限りでは、まさにここは「?」を付けたとおりの状態になって います。法人と社員の遺族の間は裁判で確定していますが、法人と税務署、あるいは相 続人と税務署との関係がどうなっているか、私どもも正確な情報を持っていません。た だ、側聞しているところでは、どうも出資額限度方式に定款を変えた際に法人税などが 課税された事実はないと聞いています。まさに、そこのところは個別事案です。現に、 この裁判例に見るように、定款の変更で既に先行してやっておられるところがあるわけ です。その課税関係についてはなかなか明確になっていないのが現状のようです。 ○品川委員  いまの点、現在の課税関係は、要するに定款で出資額限度に移行しても、税務上は一 切それを無視しているわけです。無視しているから法人税は課税しない。その代わり、 出資額限度だといっても、相続税や贈与税の趣旨を息子に譲るという段階では出資額に 応じてとなります。先ほど400万、400万、200万に区分できないではないかというご指 摘もありましたが、税務上はすべて区分してしまって、相続あるいは贈与の段階では区 分に応じて全額課税する。移行しても定款で勝手に決めたことであって、税務上は預か り知らないという形で、とにかく相続税のときには全部いただきますという形にしてあ るわけです。  ただ、平成10年の裁判例は脱退したときなのです。50万出資して、最初は5億円戻っ てくる、次は588万円戻ってくる。いずれにしても5億円、あるいは530万かの利益が生 じているわけです。これについては会員が得た所得で、確か配当所得は限定されている ものにならないと思います。問題は出資の譲渡として譲渡所得として見るか、譲渡所得 に該当しなければ雑所得として課税されているはずだと思います。  問題は資料2、「相続」のとき、限度額しか戻らない場合です。先ほどの説明です と、これも本来、全額出資額に応じて課税されるべきはずなのです。ところが、実際は 限度額しか戻ってこなかった場合にどういう課税をしたかについては、課税当局は一切 表にしていないと思います。表にしていないということは、現実的に限度額しか課税し ないということであれば、このように定款で変更しただけでも国税庁は出資額限度法人 について、出資額しか課税しないというようにオーソライズされることが嫌なわけで す。内々聞くところによると、いままでの課税環境は維持する。維持するから、いまこ うやっていろいろな議論が沸き上がっているわけです。  いずれにしても、平成15年に関しては課税環境は表に出ていないはずだと思います。 厚生労働省から照会しても、おそらく国税庁は守秘義務を前提に答えないと思います。 個別の案件の処理として、もちろん最初課税しても結果的に最高裁で判決が出た場合、 例えば最初は1億課税して500万しか戻らなかったということであれば、「更生の請求」 という制度がある。第23条2項に「判決によって、最初の課税関係が変更された場合に は、それを理由に2カ月以内に更生の請求ができる」という制度があって、そこで課税 調整が行われているかもわかりません。  いずれにしても出資額に応じた、すなわち平成10年のような課税関係を平成15年に調 整することは無理だと思います。しかし、その課税関係を個別にどう対応したかという ことは、おそらく国税庁は一切公表しないと思います。 ○渡延指導課長  座長からご提示のあった2点目の問題ですが、2つの座標軸のところに出資額限度法 人がこういう形で座っていることについてどう考えるか。実は、この問題はのちほどご 説明する資料6の中にも登場してきます。今年3月に閉めました「医業経営の在り方検 討会」の中で、確か座長のご発言だったと記憶しているのですが、世の中には諸々の非 営利性を持った法人が存在している。民法の公益法人もあるけれども、例えば同窓会組 織など、一切営利を目的としていないものがある。ただ、それだけでは単なる仲良しク ラブであって、世間的に積極的な公益を実現しているわけではない。そういったものに ついて税であろうが、助成であろうが、何らかの法的な支援というものが付くことは直 ちには想定し難いのではないか。そこへ一歩行くためには、もう1つ、何か公益性の要 件が必要なのではないか。  今回、この絵の中で出資額限度法人というのは一体何か。あからさまに言ってしまえ ば、出した額がそのままで戻ってくるだけという見方もできるわけです。それだけで果 たして公益性があるのか。そうなったときに、縦に1本縦軸が貫いているわけです。こ の出資額限度法人という枠全体を捉えて何かを考えるのか。それとも、点線の位置がど こかはわかりませんが、この持分ある・なしの差を一切査証して、縦に1本点線が通る という整理が正しいのかどうかわかりませんが、一定の線の右側の世界を議論するの か。まさに今日、論点整理に向けてご議論いただく課題がそこにあるのではないかと思 います。 ○田中座長  遡っての質問でも結構です。この点はそういうことなので、資料6を伺ってみんなで 議論してみたいと思います。説明をお願いします。 ○田中指導課課長補佐  資料6、「『出資額限度法人』の在り方について(論点整理メモ)」をご覧くださ い。私から読み上げます。  「『出資額限度法人』の在り方について(論点整理メモ)」  1.「出資額限度法人」制度の検討の必要性。  医療法人制度の創設以来50余年を経て、その出資持分に含まれる払戻請求権が高齢化 した社員や、死亡した社員の相続人により行使されるようになったため、社員の世代交 代に際して、医療法人の存続そのものが脅かされる事態。  こうした問題について、「これからの医業経営の在り方に関する検討会」最終報告書 においては、「将来の医療法人のあるべき姿である持分がなく公益性の高い特定医療法 人又は特別医療法人への円滑な移行を促進するための1つの方策として、出資額限度法 人(社員の払戻請求権を出資額にのみ制限した定款を有する社団医療法人)の制度化が 必要であるとする意見があった」としているところ。  医療法人制度は、非営利性を担保しながら、医療の永続性・継続性を確保することを 目的とした制度。したがって、持分の定めのない法人へ移行し、「非営利性」を徹底し つつ、「医療の永続性・継続性」の確保を図る方向に沿って対処することが望ましい。  このような観点を踏まえると、社団医療法人において、社員の退社時や医療法人の解 散時における医療法人の財産に対する払戻請求権又は分配請求権を出資額の範囲に限定 することは、  (1)投下資本の回収を最低限確保しつつ、法人の内部に留保された剰余金が出資額に 応じて社員に払戻(分配)されるという「事実上の配当」とも評価されない事態の発生 を防止し、医療法人の「非営利性」の徹底に資するものであること。  (2)社員の退社時や法人の解散時における払戻(分配)される額の上限があらかじめ 明らかになることで、医療法人の安定的運営に寄与し、もって「医療の永続性・継続性 」の確保に資するものであること。 から、望ましいものと考えられ、特定医療法人又は特別医療法人への円滑な移行を視野 に入れた促進方策ともなり得るもの。  さらに、「非営利性の徹底」等に留まらず、医療提供主体として積極的に果たしてい くことが期待される役割についても、検討する必要。  一方、出資額限度法人については、現行の医療法人制度を複雑化させるのではないか などという指摘もあるところ。  2.「出資額限度法人」の内容等。  (1)「出資額限度法人」の内容。  1.の考え方に基づき、「社員の退社時における持分払戻請求権や解散時における残 余財産分配請求権の及ぶ範囲を、払込出資額を限度とすることを定款において明らかに する社団医療法人」ことを、「出資額限度法人」と呼ぶこととする。  その具体的な意味は、社員が出資者であり、持分を有するものとして、整理すれば、 それぞれ以下のとおりとする。  (1)出資額。  金銭出資であっても現物出資であっても、社員(出資者)が出資した時点の価格(出 資申込書記載の額の等価)を基準とする。  なお、医療法人の設立後、追加して出資があった場合についても同様とし、出資時点 の差異による調整は行われないものとする。  (2)出資持分の及ぶ範囲。  解散・脱退時における持分を有する者への返還額は、持分を有する者それぞれにつき 出資した額を超えるものではないこととする。  物価下落時等により法人の資産価額が減少している場合等において、医療の永続性・ 継続性の確保を図るという観点から、出資時の価額を上限として、出資割合に応じて持 ち分を有する者に返還することとする。  なお、その際、出資額に係る相続税の評価方法について、納税者の便宜を図る観点か ら、その取扱を明確化することが必要。  (2)その他(医療法人にとっての選択肢の追加と行政の関わり)  医療法人自らが、新規設立の際に定款の規定により、また、既設のものについての定 款変更により、「出資額限度法人」とすることについては、医療法人の自治に委ねられ たものとして、任意。  持分のある社団医療法人から持分のない社団医療法人へとの移行の方法が公益にかな うとの考え方に沿って制定された医療法施行規則第30条の36の規定に照らせば、  (1)社団医療法人で持分の定めのあるものは、定款を変更して出資額限度法人に移行 できること。また、出資額限度法人は、定款を変更して、社団である医療法人で持分の 定めのないものに移行できること。  (2)社団である医療法人で持分の定めのないものは、出資額限度法人に移行できない こと。また、出資額限度法人は、社団医療法人で持分の定めのあるもの(脱退及び解散 時の持分の及ぶ範囲に制限をつけないもの、あるいは従前よりその及ぶ範囲が拡大する ものをいう。)に移行できないこと。 とすべきであり、定款の変更認可に係る監督官庁の事務も、これに沿って行われる必要 があることから、この旨を法令で位置付けることが必要。  3.「出資額限度法人」の法令上の位置付け。  医療法人については、現在、公的な運用を確保するための一定の要件を満たす法人類 型として、租税特別措置法に基づき、法人税の軽減税率が適用されている「特定医療法 人制度」のほか、医療法に基づき、経営安定化の観点から、その収益を医業経営に充て ることを目的とした収益業務を実施できる「特別医療法人制度」がある。これらの法人 類型については、移行に伴い、医療法人について法人税、贈与税が、また、社員(出資 者)について所得税(みなし譲渡所得課税)が非課税の取扱となっている。  一方、出資額限度法人については、現行医療法においては、持分有医療法人の一形態 であるが、移行に伴う課税関係を明確にすべきとの指摘がある。  特定医療法人及び特別医療法人については、制度化の経緯、時期を異にし、その効 果、享受するメリット)等に応じ、それぞれ公益性の要件も区々となっていることか ら、出資額限度法人を法令上位置付けるに当たっては、要件・効果の両面で、こうした 既存の公的な運営を確保している法人類型と、整合性がとれた仕組みを構築することが 課題。  その上で、どのような税制上の取扱とするか、整合的に整理する必要がある。  なお、この際、特別医療法人や特定医療法人が、財団又は持分のない社団である一 方、出資額限度法人が、持分を解消するに至っていないことに留意する必要がある。  (別紙参照)。  (別紙)。  出資額限度法人への移行に当たっての税制上の論点。  1.既設法人の移行時。  法人の財産のうち、出資額を超える部分(社員(出資者)の脱退や法人の解散の際、 社員(出資者)に出資額に応じて配分されることが無くなる部分)についての取扱い。  (1)医療法人側の側の課税関係。  上記部分について、法人が社員(出資者)から贈与を受けたものとして、法人税又は 贈与税が課税されるか。  (2)社員(出資者)側の課税関係。  (上記部分について、対価を得ているか否かを問わず、)所得税(みなし譲渡所得課 税)(又は法人税)が課税されるか。  2.社員(出資者)の出資の払戻請求権の相続時の評価。  出資額について(出資額を限度として)、所定方式で評価の上、相続税が課税される か。以上です。 ○田中座長  ありがとうございました。ただいま説明いただいたのは、前回皆様にご議論いただい た、出資額限度法人の制度化に向けて整理すべき論点について、いただいた意見を踏ま えて議論を深めるために、事務局にまとめていただいたものです。すべて重要な点です が、大項目が1、2、3と分かれていますので、項目立てに沿って順番に議論していき たいと存じます。  まず、1.「出資額限度法人」制度の検討の必要性について、ご意見があれば発言を お願いします。非営利性、医療の永続性・継続性以外にも、出資額限度法人を設けるこ とについて、こういう理由はどうかという点があればご提案下さい。 ○山崎委員  この委員会というのは、出資額限度法人の在り方について検討をするわけですが、そ の検討する必要性のところに、「特定医療法人又は特別医療法人への円滑な移行を促進 するために」というのが2カ所に書いてありますが、そういうことで検討するのです か。あるいは出資額限度法人という制度を単独で作るということで検討するのか。前回 の委員会で大道委員からも指摘があったように、円滑な移行をするための出資額限度法 人を作るというのは私は反対です。あくまで単独で出資額限度法人というポジションを 作るということだと思います。 ○渡延指導課長  資料6の1頁目のところで、2カ所にそうした記述が見られるという指摘は、具体的 には2つ目の○のところにまず出てきます。ここは今年の3月に閉めた医業経営の在り 方に関する検討会の最終報告書の該当部分を、そのまま引いてきたということです。2 カ所目に出てくるのは、4つ目の○の下から2行目のところです。「望ましいものと考 えられ、特定医療法人又は特別医療法人への円滑な移行を視野に入れた促進方策ともな り得るもの。」と書いています。  最初の2つ目の○のところでは、事務局の考えで申し上げれば、この表にもあります とおり、これをグラフと見れば左下から右上へ貫いて移行していく。これが大きな流れ であろうという発想に立ち、医業経営の在り方検討会もそうした考え方があったと思う し、大きな流れはそういうふうにあるわけですが、こと今回のこの具体的な出資額限度 法人の在り方についての検討は、前回も事務局から、果たして時限のものとして位置付 けるのか恒久なのかとお尋ねしたのも、いま山崎委員からの提起に関わってくることで すが、必ずしも時限を切って、特定・特別へ移行するステップだという発言はありませ んでした。  それを受けて、ここでも「円滑な移行を視野に入れた促進方策ともなり得るもの」と いう表現にしています。こういう整理がコンセンサスかどうかについては、引き続き議 論いただければと思います。 ○品川委員  私の質問の前に、いまの議論の関係ですが、いまの山崎委員のお話はある意味でそう 厳格に考えなくても、独立の限度額法人があって、それが課税当局に対する1つのプレ ゼンテーションというか、こういう移行のために必要なのだという論理付けをすれば、 独立限度額法人があっても、その中で移行するものがあれば結構なのですよということ で公益性の面から強く支持されれば、それはそれで1つの当局に対する説得力のある説 明にはなると思います。だから、私はそれほどこだわらなくても両睨みでできればいい と思います。  問題は、先ほど資料2で特定・特別医療法人の数等が示され、資料4で、この中間的 位置付けとして出資額限度法人が位置付けられるということ。先ほどの問題提起のなか で、医療法人制度が非常に複雑になるのではないか、本当に出資額限度法人がニーズと してあるのか。母体が3万6,932となっているけれども、このうちどれくらい移行する見 込みがあるのか。特別医療法人でさえ29しかないのに、どれだけのニーズがあるのかに ついて、ある程度の見込み数がないと財務省当局に対して説得力が弱いと思います。私 は見込みでもいいから、いま病院関係者が何人かおられると思いますけれども、こうい う制度ができればどのくらい移行できるのか、そういう見込みはいかがですか。そうい うある程度のニーズがないと、なかなか説得できないのではないかと思います。 ○豊田委員  具体的にそういう調査をしたことはありませんが、ただ、この特別医療法人、特定医 療法人の制度がありながら、これだけの数字に止どまっているのは、医療法人を経営し ている人たちの関心がないとか、その意義を認めていないということではないのです。  前回も申し上げたとおり、持分のある社団の医療法人でも、自分たちは公益の立場で 仕事をしているのだという自負を、ほとんどの人が持っているわけです。しかしなが ら、この特別・特定医療法人は非常にハードルが高い。現在、緩和されつつあります が、特定病床などハードルの高い要件があった。それに、長い間医療法人を経営してい ると、出資者が1人でなく多くいます。また世代交代もしています。そうすると、持分 を全部放棄する場合にはなかなか意思統一ができないなど、内部的な事情もあります。 そのようなことが踏み切れない大きな原因だったろうと思います。  しかし、公益性の高い制度に無関心ではなく、特に今回は株式会社参入議論のなか で、自分たちは公益でなければならないということを改めて意識させられた。しからば 自分たちはどうするのかということで、この議論が非常に意義を持ってきていると思い ます。  持分の全部放棄は非常に難しい。そこで出資額だけでもということになるわけです。 なぜ出資額にこだわるのかと言われますが、1つは、ある程度主体性を持ちながら法人 経営をしていく。病院とか医療法人を作る人たちは、若いうちは病院に勤務したりして いるわけですが、自分の医療をやりたい、自分が主体性を持ってやりたいと思って、医 療法人をつくる。命がけで一生懸命仕事をしているわけですから、それだけに全部放棄 ということに踏み切れない。  この場の議論としてはあまりふさわしくないかもしれませんが、せめて出資額なりと も医療法人と自分のつながりをという、人間の心理、自分が全エネルギーを投じてやっ ているのだという1つの証とでも呼ぶべきものがある。それは、潜在的なものに過ぎま せんが、そういったことは非常に大きいのではないでしょうか。ですから、この出資額 限度法人ができたからといって、持分のある社団が全部そちらに移行するというのは、 私はなかなか難しいと思います。では具体的に数字はどのくらいですかと言われると、 これまた困ってしまうのですが、特定・特別になれなかった人たちが、かなりこれに参 加できる。 ○品川委員  それは、どのくらいあるのですか。 ○豊田委員  周辺でいろいろな話を聞く限りでは、半分よりは少ないでしょうかね。 ○品川委員  この3万6,000のうち、1割ぐらいあるとか。 ○豊田委員  1割は十分あるでしょう。ただ、3万6,000の中には1人医療法人がある。 ○品川委員  1人医療法人は、どのくらいあるのですか。 ○豊田委員  大半です。 ○渡延指導課長  前回、提出した資料の中に法人の数があります。前回資料の7頁です。社団持分有が 3万6,581に対して、財団か社団かはわかりませんが、1人医師医療法人については3 万331ということです。 ○品川委員  そこは、まず出資限度額にはおそらくは選択しないでしょうね。 ○豊田委員  病院を経営している医療法人が、主になると思います。数字は言えませんが半分は越 えないと思います。先ほどの議論と重なるのですが、これを選択することによって、結 果として特定・特別にいくということは、当然、起こると思います。ですから私は、出 資額限度法人を時限措置や特別・特定へ移行するための1つ手前のステップとして位置 付けるのは反対です。これは1つの恒久的なものとして制度化してもらいたい。それ は、そこでみんな留まれということでなく、結果として持分のあるものから特定・特別 に移る役割を果たすと思います。そういう意味で私は最初からそれが目的というより も、結果として移行を促進すると考えるのです。当然、いまよりも更に特定・特別に移 る人が増えるだろうということは十分に予想できます。したがって、私は医療法人全体 の公益性を高めるうえで、非常に大きな貢献をする制度になると考えています。 ○大道委員  私ども医療の側から考えると、医療法人制度がこのままであれば継続性という面で、 極端に言うと、いまの持分のある医療法人は病院から撤退せざるを得ないという危機感 を非常に持っているのです。特に中小病院の危機感は皆さんが想像する以上のものがあ ります。というのは建替え等の時期もきているし、資金の調達力も無理ということであ れば、こういう公益性の高い新しい類型のきちっとしたものを作ることは、我々医療側 からしても非常にニーズが高いわけです。そういう意味で足元のしっかりした制度を 作っていただいて、その姿が見えるようなものをよろしくお願いしたいと思います。 ○西澤委員  言葉としての出資額限度法人でなくて、条件で選択がされます。先ほどの判例でもあ りましたが、定款で例えば出資額にしたところで、課税上は持分あり法人と同じにする のであれば、これは作る意味もないと思います。ですから、そのあたりの議論がなけれ ば、その条件次第で行くか行かないか決まるわけですから、いまの段階でどのくらい移 行するのかは私は全く未知数ではないかと思っています。 ○品川委員  でも目的は、一応、課税上はいちばん有利な方向になった場合にどうかということだ と思います。もちろん、要求する課税関係が成立すれば、どのくらい移行するのかで す。 ○西澤委員  もし課税上有利になった場合の条件ですが、そのときに特定・特別と出資額だけ戻す か、戻さないか以外の条件がどれだけ違いがあるかも明確にならないと、数は明らかに できないと思います。 ○山崎委員  いまの意見に関連して、出資額限度法人に変わるときは当然、定款変更が必要になる わけですが、その定款変更の手続というのが非常に難しい。というのは、都道府県に よっては社員全員の判こをもらえというところもあるし、3分の2でいいと指導してい るところもある。権利関係が多い場合は必ず全員が自分の持分を放棄するわけですか ら、全員が判こをくれるかといったら、なかなかくれないような状態があって、経営者 としては出資額限度法人に変更したいけれども、判こが取れなくて定款変更ができない ケースが出てくる可能性があると思います。 ○田中座長  大項目1について、ほかの論点はありますか。  ○品川委員  要するに必要性が高いということですね。 ○田中座長  そう医療側は言っていますね。 ○川原委員  私は前回休みましたので、前回の議論については議事録が昨日送られてきたので内容 は確認してきたのですが、お聞きしたいのは、この制度は時限的な形で作るのか恒久的 な形で作るのか、これが固まっているのかどうか。というのは、制度の在り方によって 先ほど来の質問が、かなり結果論として変わってくるのではないかと思います。特に後 戻り規制をかけるということであれば、果たして時限的なもので可能なものなのかどう か、またどういう意味合いを持っているのか。  次に、特別・特定医療法人への移行ということで先ほど質問がありましたが、出資額 限度法人が、いわゆる特定・特別への移行の絶対条件としての制度なのかどうか。これ も確認しなければ私は将来予測ができないと思います。  というのは一昨日私共のクライアントに行って、特別医療法人への移行について相談 を受けました。最終的には移行することに決定したわけです。医療法人側の本音は組織 の持続にあります。医療法人の永続性をどうやって図ったらいいのかと、非常に真面目 に、且つ真剣に考えていることは否定できない事実だと思います。  とはいえ、一方において、自分たちの持分がまったくなくなるとなると、先ほどお話 があったように、出資者が多ければ多いほど皆さんの意見をまとめることがなかなか大 変な作業であることも、改めて私は認識したわけです。  したがって、いまの制度のなかで考えるのと異なり、限度額法人制度を作り、そこか らワンステップ上の特定・特別に移行するのは非常に移行しやすいことは確かです。し たがって出資額限度法人のほうに皆さんに移行していただくことは、すごく重要なこと であります。そこらへんについてベーシックな部分で、どういう取決めが前回なされた のかを教えていただければ理解が深まり、有り難く思うのですが。 ○渡延指導課長  事務局の立場で申し上げるのは適当でないかもしれませんが、まだ2の部分について は議論になっていませんけれども、2のところで出資額限度法人の内容をどうするかと いうところで、時限ということは一言も書いていません。ただいま議論になっています が、例えば出資額限度法人になったら5年以内に特定・特別にならないと、それが取り 消されるというパターンの時限もあるでしょうし、先ほどの絵でいったら中間の踊り場 が存在しているのは、これから向こう5年とか10年間だけで、その間はこの高さを2回 に分けて飛べるけど、10年経ったら一気に飛んでくださいという形の時限もあり得ると 思います。全体として左下から右上にプロットして点を打っていくと動いていくのです が、それは全体としての大きな流れがそうなっているのであって、個々の法人の動きが それに沿って必ず行かなければいけないというものではないという考え方も、当然ある だろうと思っています。  今回の資料は、いま3つ申し上げましたが、いちばん最後の考え方でこの原案は作っ ています。その前提として前回の議論の中で、時限方式というのはいろいろなものがあ り得ますけれども、いずれについても積極的な支持はなかったことから、事務局として はこのペーパー自体は、そうした時限論になったらば5年以内に特定・特別にいかない と取り消されるとか、あるいは一定のタイムセールで、5年なり10年なりでこういうも のを用意するとか、そういう考え方には立っていないということです。 ○田中座長  そういうまとめになっています。いま、課長から2にも触れていただいたので、出資 額限度法人の内容等についても議論がありましたらお願いします。 ○真野委員  内容だけではなくて多少法令のほうにも絡むのですが、例えば法令のほうの4頁でい くと、公益性の要件がいろいろ異なっているという話があります。いちばん最初の私の 質問も多少関連しているのですが、この点線は仮のもので、これが特定及び特別に対し てのものを全部満たしているということですが、多少特定と特別の間で違うこともあり ますし、「すべて」の中に公益性に対しての軽重がありますね。そのあたりはどんなふ うに議論されていくのでしょうか。例えば出資額限度法人に対して、どういう話を持っ ていくかというところにも、その辺の議論が要るような感じがします。  フレームワークとしても、構造的に公益を担保していく形のものと、もっと具体的に 医療のところで担保していくものと、両方あるような感じがしますので、その辺の整理 はどういうふうにやっていくのでしょうか。 ○田中座長  ちゃんとしろという意見ですか。 ○真野委員  というか、どんな感じでその辺の議論がされるのかということです。 ○豊田委員  それについて、医療法人協会と四病協で話し合った内容を併せてお話します。出資額 限度方式は持分については出資額を限度とするということです。物価下落時は別問題と して、原則として払戻しは、出資額限度とするということです。特別・特定医療法人の 場合、持分は全部放棄です。出資額限度方式は払込済の出資額を越える部分の請求権を 主張する。公益性の高い法人として位置づけられている特別・特定医療法人や社会福祉 法人では、同族規制が行われています。ですから、この同族規制については当然入れな ければならない。具体的に言うと、高度な公益性を有する特定・特別医療法人は3分の 1です。ですから2分の1を超えたら、これはあまり意味がなくなることなので、3分 の1と2分の1の間の議論になるであろうと思います。もちろん配当はないわけです。  解散時の残余財産については、出資額を超える部分は国あるいは地方公共団体、ある いは同種の医療法人に寄付する。もちろん、これができた場合に後戻り規制をかける。 要するに都合のいいときには出資が限度で、また状況が変わったら元に戻るということ は禁止する。こういう規制は特別・特定と同じです。そういうことで形の上での公益性 を担保する。  同時に、では医療面でどうなのかという問題になります。1つには、例えば成老人の 健康診断、基本的検診、学校保健、予防接種、あるいは市町村の行う健康相談や講演と いった、行政の行う地域医療に参加していくことや精神病院における精神疾患について の相談業務をやっているとか、一般の人たちにがんに対する相談業務を行っているな ど、地域医療に重要な役割を果たしているといったことが考えられます。  また、日本の医療は役割分担と連携がこれから柱になっていくと思いますが、病診連 携室とか病診連携係などで積極的に取り組んでいるということを、この出資額限度には 求めることもひとつの考えであると私どもは思っています。 ○田中座長  ほかに、2について何か議論はありますか。 ○品川委員  これも実際に病院を経営している方に伺いたいと思います。出資額限度法人を設ける ことはいいのですが、その内容の要件については資料5に書いてある特別・特定の公益 要件をそっくり真似したら何か支障があるのですか。どこがいちばん支障があります か。これをそっくり真似すると、課税当局に対して非常に説得力があるのですが、この まま右習いにするとどこがいちばん支障があるか。 ○豊田委員  最大の問題は、3対1の同族規制です。先ほど申し上げたように、出資額限度になろ うかという場合でも皆さんの同意が得られない。 ○品川委員  何分の1ならいいのですか。 ○豊田委員  私が提案を求められたら、私は2分の1にしていただきたいと提案します。新しい医 療法人をスタートするときはやりやすいでしょうが、10年、20年経ってくると、その形 で経済活動をずっと行っていますから、言うとおりにはいかない。それぞれの立場があ りますし、特に世代交代などをしていると、そんなこと言うなら途中退社しますよとい う人たちがたくさん出てくるでしょうし、それ自体が非常に危険な話です。 ○品川委員  同族要件以外は全部、別に構わないですか。 ○豊田委員  いちばんは絶対クリアーできないというか、それをやったらほとんど動かないという のが同族です。 ○真野委員  2分の1と言われたのは、2分の1未満ですか。 ○豊田委員  未満です。 ○真野委員  以下ではなくて未満ですか。 ○豊田委員  はい、未満です。2分の1を超えたら駄目でしょうね。超えたら、それを作っても駄 目です。 ○真野委員  要するに支配権としては、特にはないという意味ですね。 ○豊田委員  そういうことです。 ○山崎委員  前回資料の19頁で医療法42条の2の1に、役員らのうち配偶者、三親等以内の親族が 役員の総数の半分を超えてはいけないとあり、既に医療法に入っている話です。したが って半分のところというのは、医療法でそういうことになっているわけですから、あま りそこの部分で半分というのは意味がないのですが、実態はもっと多いわけですかね。 ○山崎委員  ありますね。 ○品川委員  医療法の範囲内で目をつぶってくれということですね。 ○山崎委員  ただ、先ほどもお話したように、法人の理事で半分を超えていると誰が抜けるのかと いう話になり、定款の変更自体、豊田委員が言われるように非常に難しい部分があるの です。 ○豊田委員  いずれにしても、各医療法人には長い歴史の中で培われた個別事情もあり、皆が右向 け右とはなかなかいかない。したがって、これはいい制度だとしても、では皆がそれに なれるか。やがてはなるのでしょうけど時間がかかるということです。 ○田中座長  時間が迫ってきましたので、3の出資額限度法人の法令上の位置付けも含めて、ご意 見、ご質問をお願いします。 ○品川委員  先ほど医療法施行規則を読んでいて分からないところがあって、この法令の問題も絡 むのですが、医療法施行規則の30条の34で、「自己資本額を資本総額の100分の20に相 当する以前の自己資本を有しなければならない」とある。特定・特別のように持分がな い場合の自己資本というのは、どういうふうになるのですか。あるいは特定・特別は、 この30条の34は関係ないのですか。 ○渡延指導課長  もちろん関係あります。 ○品川委員  そうすると持分がない場合の資本は、どういうふうに計算するのですか。 ○渡延指導課長  持分を解消して資本剰余金にしたときは、それをカウントしている。正確なところは またご報告します。 ○品川委員  資本金は、もともとないですよね。 ○石井委員  規定の条項を忘れましたが、特別医療法人等に関しては移行段階で、会計的なイメー ジとは違うのですが、資本金を資本剰余金に振り替えろという規定があります。 ○品川委員  全部剰余金にするわけですね。 ○石井委員  会計的には何となく変なのですが、医療法の上では財産権がなくなったところで、資 本剰余金振替をしろと施行規則のどこかに書いています。 ○品川委員  資本金はないけれども、全部剰余金にしてしまうというわけですね。 ○石井委員  そうです。結局は正味財産のところでの位置付けで2割規定という形に整理されてい ます。 ○渡延指導課長  23頁の30条の36の第2項です。 ○石井委員  医療法の中に、はっきり資本の部の全額を資本剰余金として掲示すると書いてありま す。 ○品川委員  わかりました。 ○田中座長  先ほど、出資額限度法人への定款変更に伴う課税についてお聞きしましたが、持分の ある社団が持分のない社団に転換するときの税制は、どうなっているのですか。 ○渡延指導課長  特定・特別以外になるときも問題なのですが、前回資料の10頁に昭和39年当時の大蔵 省、厚生省、国税長官の覚書きというのを付けています。これは過去の事実として紹介 します。記の1のところで組織の変更、要は持分有から持分無へ変わるといったことも 組織の変更と考えるわけですが、組織の変更については一旦ちゃらだと書いているので す。既往の出資持分の定めのある社団たる医療法人について、清算の手続をして新規設 立であるべきだと、1の書き出しは言っていますが、唯一、変更後の医療法人が例えば 特定なりをできる要件を満たしている場合については、定款変更をやることを認める と、39年当時では関係者が確認し合っています。  この考え方でいくと、いま座長が言われたようなものは、定款変更によるのではなく て解散、新規設立ということになる。だとすると持分のない社団医療法人をゼロから設 立するケースであれば、これは確か課税になります。もう持分がないわけですから、出 資の分は自分のものから完全に離れて法人のものになります。その時点で法人側には受 増益の課税が生じ、出したほうにはみなし譲渡所得になるのか、そういった課税関係が そこで生じるという扱いになるはずです。  座長のお尋ねは、仕組みはそうだとしても、実際の定款変更の認可の事務がどうなっ ているかというところで、今回、医療法人の実態についての数の資料も示しています が、定款変更の事務自体が自治事務になっている関係で、悉皆で状況は私どもにわかり ません。ですから後半の部分の提起にはなかなか的確にお答えしかねるのが現実です。 ○田中座長  現実にはほとんどないということなのでしょうね。 ○渡延指導課長  おそらく少ないのではないか。というか、もしかしたらないのではないか。 ○品川委員  この覚書きには、41年3月末日までに定款変更した場合に有効な覚書きとなっていま すが、その後も特別・特定に変わった場合には、この覚書きがまだ生きているのですか ね。 ○渡延指導課長  いま読まれた3行の後ろの部分で、「同日以後においてイの手続により変更を行おう とする場合において、協議により承認されたときについてまた同様とする」というのが あります。これは特定の承認については個別協議していて、自動でなるというものでは ない。 ○品川委員  生きているのですね。 ○田中座長  1、2、3について、出資額限度法人に向けたサポートと言いますか、積極的に道筋 を示すようなご意見をいただければと思います。 ○石井委員  前回も今回もとんでもない形で出席して申し訳ありません。出資額限度法人を制度的 に対応して成立していただいて、なおかつその普及をかけることに関して、先ほど品川 委員から資料5で、特定・特別の要件と一緒であってはまずいだろうかという質問があ りました。私は真ん中の収入要件ですが、その中の特定・特別の両方にかぶっている社 会保険診療に係る収入金額が、全収入の80%超であるという要件と、特定にのみ現時点 でも存在している差額ベッド比率30%という、この2つの要件が出資額限度法人につい ても適用されるとなると、現実的には移行が難しいようなケースが出るのかなと思いま す。  1つは、大都市部においては、現実に差額ベッド代を取らなければアメニティアップ をして運営ができない状況がありますので、これを無視して30%比率を踏襲してしまう と、制度導入は難しいのかなと思います。まさにこれは、いま医療制度の中でいろいろ 議論されている、いわゆる特定療養費概念拡大議論とのなかで、この社会保険診療に係 る収入金額が全収入の80%超でなければいけないということ自体も、いまの差額だけで はなくて、さまざまに今後行われるであろう特定療養費制度の拡大との関係で、比率的 に達成が難しくなる可能性もある。出資額限度法人に関しては、少なくとも80%要件と 差額ベッド要件はなしでいったほうが、制度としての取組みはしやすいのかなと思って います。一度かかってしまうと、なかなか変えることができないというのがあるので、 そのあたりは、できればご留意いただいたほうがいいのではないかという理解をしてい ます。 ○品川委員  私が先ほど質問して、いまのような答えをいただいた理由は、私も課税当局に長い間 いたものですから、現在のスタッフがどう考えているかある程度予測できるわけです。 おそらく皆さん方が希望する課税制度ができることについては、出資した以上の経済的 利益が同族関係者に跳ね返ってくることを、課税当局としてはいちばん警戒するわけで す。  病院として収入要件などは、病院の継続性という問題を考えれば、それは大いに稼い で結構なのではないか。病院が栄えていくことについては税務的にとやかく言う話では なく、それで法人税は納めるわけですから、それで納めていただければ結構な話で、問 題は特別利益付与の禁止あるいは同族要件で、結果的には出資限度だけれども、出資し た人の息子や娘が経済的な利益を、出資を持っていることによっていくらでも自由に バックできる。そういう事態があると、それについて相続が起こったときに、そういう 将来的な利益も出資の中に含まれて時価評価ができるではないかということで、課税関 係を緩めないと思う。  だから収入要件とかの問題は、あまり本件については重要ではなくて、これはいまご 指摘のように別な要件を定めればいいわけです。ただ、特別利益付与の禁止とか同族要 件については、相当事務局が交渉するにしても相当に揉めるのではないか。あと、せっ かくこういう制度ができて病院としては最低限、ここまではしてくれないと、作った意 味がない。そこをどう調整するかが厄介ではないかと思います。 ○田中座長  貴重なご指摘をいただきまして、ありがとうございます。 ○渡延指導課長  先ほど真野委員が言われたように、資料5の特定・特別の要件を見ると、法人の構造 なり作りなりに係る部分と、法人が提供している医療の中身にわたる部分と、荒っぽく 言うと2つの要素の要件が付いている。  法人の構造、作りのところを見ると、これはほぼ同じと考えられるわけです。提供す る医療の中身については微妙な出っ張り、引っ込みがある。特別のほうは収益業務を認 めているということもあり、ある程度企業活力的なところに配慮したように見えるとこ ろもあるし、またそういうふうな収入の道があるのだから、一種の絞り込まれた特定の 病床の提供をしろと言っているように見えるところもあり、非常に出っぱり、引っ込み があります。  いま、品川委員が言われたのは、法人の構造、作りの部分については正直なところ、 なかなかこの水準を割り込むのは難しいのではないか、という提起ではないかと拝聴し ていましたが、先ほど豊田委員が言われた2分の1という話が出てきたときに、2分の 1という高さ自体で大問題になってしまうものなのか。さらには微妙なところとして2 分の1以上なのか未満なのかも、微妙ではあるけれどもずいぶん差は大きい気がしま す。過半数で物事を決するとしたら、それは理事会なのでしょうけれども、2分の1以 上と未満は微妙に違うだろうと思います。もしそこら辺で何か品川委員をはじめ、医療 サイドの委員の方のご意見を伺えたらと思います。 ○大道委員  同族は未満だと思います。先ほど言われたように、特別・特定が3分の1ですから、 3分の1と2分の1の間ぐらいが妥当ではないかと私は思います。 ○西澤委員  確か役員の最低の数は6人だったと思います。6人だとすると3人では半数になって しまうから、未満だと2人になります。すなわち3分の1と同じです。ですから3分の 1と2分の1未満というのは、実際のところは差はないのではないかとも思います。 ○真野委員  現実的には6人が多いのですかね。 ○西澤委員  最低は6人ですから、6人以上です。 ○真野委員  実際は6人がほとんどですか。 ○西澤委員  いや、そういうこともない。 ○真野委員  そうでなければ、ちょっとまた違ってくる。 ○山崎委員  最低は4人ではないですか。 ○渡延指導課長  医療法上は3人と書いていて、1人医療法人も認めるということです。いまのは理事 会の執行サイドのお話だと思いますので、理事に限定すれば3人です。特定・特別につ いては6です。 ○品川委員  ちなみに税務上の支配基準は、法人税とか相続税の場面でこういう比率が使われてい るのです。1つは20%基準、1つは25%基準、1つは30%基準、そして50%基準です。 50%基準が使われるのは同族会社の判定の問題で、30%は財産評価基本通達で同族株主 として原則評価を受けるのが30%基準です。25%というのは法人税の受け取る配当の一 時金不参入の関係会社の基準で、20%基準は有価証券において時価評価ができない関係 会社の株式であるということで、原価評価しか認めないというのが20%基準です。  これが前回は、最終的には相続税が最大の問題だという、医師会から出られた委員の 方の発言がありましたが、そうすると30%基準あるいは既に問題になっている3分の1 基準ということを、かなり税務当局は、ほかの通達とのバランスがあるからということ を言ってくるかもしれない。  それを特定・特別でないのだから、医療法の原則に戻って2分の1基準でもいいでは ないかというのは、1つの交渉の問題です。そういうのがこの委員会でコンセンサスと して、そのぐらいのほうが公益性ということで妥当ではないか、という問題になってく ると思います。ただ交渉材料だけの問題でなく、ここは単なる利益集団として議論する 場合ではないので、その辺は事務当局である程度の感触を伺ってくる必要があるかもし れない。もともとそれを並行しながら、検討するということではあったようですけれど も。 ○西澤委員  おっしゃるとおりだと思います。実際の数で考えてみると、私の勘違いで特定・特別 は6人ですが、普通の医療法人で3人だとすれば、1人しか駄目だということになるの で、2分の1未満というのは実質の数ではどうかということは、もう1回我々も確認し てみる必要があると思います。 ○田中座長  事務局側も感触を求めているので、病院側はある程度の感触を改めて伝えることが必 要であると考えます。まだご意見はありますか。よろしいですか。さまざまな意見が出 されました。本日議論した、出資額限度法人の在り方について論点整理メモに関する皆 様方の意見を踏まえて、中間報告のとりまとめに向けた作業を進めていきたいと思いま す。まだ議論が尽きていない感じもしますが、本日はここまでにして、次回の日程と今 後の進め方について事務局から説明をお願いします。 ○渡延指導課長  ただいま、この会での検討と並行して国税当局関係筋との折衝という話がありまし た。実は本日時点でもなかなか確定的なところは伺えていないのですが、ただ言えるこ とは、今回、資料4なり資料5なりを使って、ある意味での公的運営が確保されている 法人の相場観的なものを示しているわけです。  ただ、そこで1つ大きな問題になっているのが、出資額限度といえども持分有法人で あることには何ら変わらない。その持分有法人と持分を解消した法人は果たして同一に 論じられるのかが、まず根底にあります。仮にそこを突破したとしても、では具体的に 次はどうなるのか。法人の構造を提供している医療の内容がどうなるのか。正直なとこ ろなかなか詰めの難しいところが残っています。これについて私どもとしては、本日頂 戴したご意見を整理するとともに、関係当局との調整を並行して行っていきたいと考え ています。  次回の開催日程ですが、前回、第1回の際に申し上げたとおり、テーマ限定、期間限 定でなかなか皆様方はお忙しく、頻回にはお集まりいただけないということですので、 次回の日程については目途が付いた段階で改めて日程調整の上、セットさせていただき たいと思います。またその過程で、座長をはじめ委員の方たちと場合によっては個別に ご相談申し上げることもあろうかと思いますのりで、その点については予めご容赦を賜 りたいと思います。 ○田中座長  ただいま事務局から説明のあったとおり、途中で個別にご意見を頂戴することがあり 得ると思います。それを含めて会合としては中間報告案を基にご議論いただき、意見集 約まで行いたいと思います。本日はこれで閉会します。お忙しいところお集まりいただ きまして、ありがとうございました。                                    (以上) 照会先 厚生労働省医政局指導課 医療法人指導官 橋本 昌男(内線2560) 医療法人係長  手島 一嘉(内線2552) ダイヤルイン 3595-2194